JP4952892B2 - 極厚鋼板の溶接方法 - Google Patents
極厚鋼板の溶接方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4952892B2 JP4952892B2 JP2006143924A JP2006143924A JP4952892B2 JP 4952892 B2 JP4952892 B2 JP 4952892B2 JP 2006143924 A JP2006143924 A JP 2006143924A JP 2006143924 A JP2006143924 A JP 2006143924A JP 4952892 B2 JP4952892 B2 JP 4952892B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- welding
- narrow gap
- welding method
- steel plate
- extra
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Arc Welding In General (AREA)
- Butt Welding And Welding Of Specific Article (AREA)
Description
そして、高層建築物の柱部材としては、図7に示すような高強度極厚鋼板を溶接によって接合してBOX構造とした溶接接合材が採用されている。
従って、前記のニーズに応える溶接接合材を提供するには、靱性と溶接性を高めた鋼材(高HAZ靭性鋼及び高HAZ靭性鋼用の溶接材料)を用いることは勿論であるが、溶接方法についても適切な方法を選択する必要がある。
特許文献1には、鉄粉添加フラックスを用いて板厚28〜60mmの厚鋼板の角継手を1パスサブマージアーク溶接で溶接する方法が記載されている。
しかしながら、この方法は板厚増大に伴い溶接に必要な溶着量が著しく増大するため、適用可能な板厚が溶接機溶接電源の電流容量などにより制限されるという問題がある。
しかしながら、この方法は開先内で多層溶接を行うため、各層ごとのスラグ除去に手間がかかるため効率の点で問題がある。
この方法は板厚が16mmを超える低炭素鋼の溶接を行う際に、板厚の2分の1を高周波溶接で仮付けし、残りの2分の1を1パスのサブマージとして行うことにより多層のサブマージ溶接を行わなくてすむようにしたものである。
しかしながら、この方法は、板厚が50mmを超える極厚鋼板の溶接については有効なものではなく、また、板材が相応の長さを有する場合には経済的な方法ではない。
特許文献5には厚板をナローギャップ溶接で溶接する際に、開先底面から所要の厚さ領域までの開先面の角度を大きめに設定し、その上方の厚さ領域の開先面の角度を小さめに設定して2段開先とすることにより継手の品質を向上させることが記載されている。特許文献5には溶接方法としてどのような方法を採用するかについては具体的な記載がないが、これは、一つの溶接方法で多層溶接するものであり、50mmを超える極厚鋼板の溶接を行う場合には作業効率の点で大いに問題がある。
(1)鋼材は高級鋼からできており、通常、溶接は容易でないため、高級鋼溶接に対応できる溶接方法であること。
(2)高級鋼の溶接時の組織変化による強度低下を避けるために溶接時の入熱が限界値以下であること(即ち入熱制限に耐えるものであること)
(3)製品は非常に過酷な強度環境におかれるので、溶接部の強度が高く溶接強度保証が高い溶接であること
(4)溶接効率が高いこと
すなわち、本発明は以下に記載する通りの極厚鋼板の溶接方法及び該溶接方法により製造された極厚鋼板溶接部材である。
(2)前記ナローギャップ部の深さが[板厚−30mm]を超えることを特徴とする上記(1)記載の極厚鋼板の溶接方法。
(3)上記(1)または(2)に記載の溶接方法によって得られる極厚鋼板溶接部材。
(4)上記(3)に記載の極厚鋼板溶接部材からなることを特徴とする土木・建築用ボックス柱。
従来のCO2半自動溶接に比べて溶接開先断面積が少なくなることから、溶接ワイヤーの所要量が約65%削減され、溶接にかかわる作業時間は、溶接機を一人2台使用可能なことも考慮すると約80%の削減が図れる。また冶金学的に問題となるCO2半自動溶接とSAWの境界面が小さくなるので、溶接部の機械的性能の確保が容易になる効果がある。
本発明ではこのナローギャップ部Aを回転アーク溶接(以下、「NGW」という。)で溶接し、開先部Bをサブマージアーク溶接(以下、「SAW」という。)で溶接する。
溶接に際しては、突き合わせる二つの極厚鋼板部材の上面は同一レベルとする。なお、本明細書で言う同一レベルとは50mmまでの段差がある場合をも含む。建築用BOX柱は断面の有効活用の面から突合わせ部の上面を同一レベルとすることが好ましいことは勿論である。
ナローギャップ部の開先深さは「板厚−SAW開先深さ」で決まるが、SAW開先深さは30mm以下とすることが好ましいので、ナローギャップ部の開先深さは「板厚−30mm」以上であることが好ましい。またSAW開先の最小深さは約15mmとすることが好ましい。
この装置は、溶接ワイヤが電極ノズルを介して通電チップに供給され、通電チップの偏心孔により偏心し、回転モータによって電極ノズル・通電チップが高速回転して溶接を行うものである。この溶接法によるナローギャップ溶接は、I形開先の狭開先溶接であるため、溶接作業の省力化が図れる。また、アルゴンガス80%、炭酸ガス20%の混合ガスをシールドガスに使用するか又は低スパッタワイヤを用いて炭酸ガス溶接をするとビード表面が平滑となり、スパッタの発生が少なく、スラグの除去も容易となる。また、I形開先の1層1パスの狭開先溶接で偏心孔を有するチップの回転によって溶接するので、側壁部の溶け込みが深く、均一かつ安定であり、高能率かつ高密度の溶接が可能である。
また、本発明においてはNGWにおいて一番溶接欠陥の出やすい初層の溶接性を確保するためにナローギャップの底面には密閉用の裏当金を用いる。また板/板の交差部の欠陥発生を防ぐため裏当金に図1に示すように切削加工を施して窪み4を形成しておき、欠陥が万一発生しても板厚外にとどまるようにすることが好ましい。この窪みの深さは0〜4mmであることが好ましい。
図3に本発明で用いる裏当金の例を示す。
図3(a)は裏当金の窪みの深さを2mm、幅を15mm、角を2mmRとした例であり、図3(b)は裏当金の窪みの深さを2mm、幅を15mm、角を5mmRとした例である。
開先部Bの溶接はSAWによって行う。SAWは太径ワイヤを用い大電流の通電が可能であるので溶融能率が高く、また深溶け込みが得やすいため、厚板の高速・高能率溶接法として従来から角溶接に適した溶接方法として広く採用されている。特に中詰めコンクリート充填鋼管(CFT:Concrete-Filled Steel Tube)のように柱全長にわたって完全溶け込み溶接(超音波探傷検査対象)となる場合には溶け込みが深いため裕度が高く有利である。
この溶接法の原理を図4に示す。粒状のフラックス中において通電チップを介して供給される溶接ワイヤと母材間にアークを発生させ、そのアーク熱で母材、ワイヤ及びアークの周囲のフラックスが溶融し、精製したスラグにより溶融金属を精錬して溶接する方法である。
この溶接法は、溶接入熱が高すぎると溶接部の強度および衝撃値が低下することから適切な最大入熱を設定して管理する必要がある(「建築構造用高性能590N/mm2(SA440)設計・施工指針」では400KJ/cmと定められている。)
本発明の溶接法を用いてナローギャップ部をNGWで溶接している状態を図5に示す。
NGWの最終層はSAW開先の底部となるのでゲージにより精度確認を行うことが必要であるが、CO2溶接とSAWとを組み合わせた場合に比べると、本発明のようにNGWとSAWとを組み合わせたものは、はCO2溶接とSAWとを組み合わせた場合に比べて溶接境界部を極小化できるので有利である。
また、溶接入熱量が極端に小さい場合は溶接部が急冷され割れが発生しやすくなるため予熱管理等が重要となることがある。パス間温度が低い場合も同様である。
溶接部性能に影響を及ぼすのは入熱やパス間温度だけではなく、溶接方法、鋼種、板厚、溶接構造物の寸法などによる冷却時間の違いも影響を及ぼすので、所定の予熱温度をキープする必要がある。
図6に示すように、板厚95mmの2枚の鋼板1、2をそれぞれの溶接部を対向させて配置した。溶接部の上方には深さ30mm、開先角度35°で、開先の底のギャップが約18mmとなる開先部を設け、溶接部の下方には前記開先部に続いて深さ65mm、垂直2°のテーパーが付いたナローギャップ部を設けた。また、ナローギャップ部の底部の15mmのギャップに厚さ25mmの電炉材(SN490B)を裏当金3として設けた。この裏当金のギャップと当接する部分の表面には2mmの窪み部4を機械加工により形成した。
次にナローギャップ部の底から回転アーク溶接を施して、1パス毎にスラグを除去して、15回のパスでナローギャップ部Aの溶接を終えた。
次に、サブマージアーク溶接をフラックスとしてKB−60IADを、ワイヤーとしてKW−101B/KW−55を用い、入熱を533KJ/cmに制御して実施し、1パスで開先部Bを溶接した。
得られた溶接部について超音波探傷検査を行うと優れた溶接品質を有していた。また溶接部の引張強さ、靱性も確保されていることが確認された。同様な方法にて板厚:80mm・90mm、鋼種:SA440、引張強度:590N/mm2および板厚:70mm・75mm、鋼種:TMCP355、引張強度:520N/mm2でも良好な結果が得られた。
2 極厚鋼板
3 裏当金
4 窪み部
5 回転トーチ軸
6 偏心チップ
7 溶接ワイヤ
8 回転アーク
11 鋼板
12 鋼板
13 圧接部
14 開先部
15 溶接部
Claims (4)
- 490N/mm2以上の引張り強度を有する板厚が50mm以上の極厚鋼板の溶接方法であって、突き合わせた際に開先部とこの開先部に続くテーパー付のナローギャップ部とが形成されるようにした二つの極厚鋼板部材を直交もしくは並べて配置し、前記ナローギャップ部のテーパーの面とナローギャップの中心面との成す角が1.5°〜2.5°であり、前記ナローギャップの底面にはナローギャップ側の面に窪み部が形成された裏当金を配置し、該ナローギャップ部を底から回転アーク溶接を行なった後、該開先部をサブマージアーク溶接することを特徴とする極厚鋼板の溶接方法。
- 前記ナローギャップ部の深さが[板厚−30mm]を超えることを特徴とする請求項1記載の極厚鋼板の溶接方法。
- 請求項1または2に記載の溶接方法によって得られる極厚鋼板溶接部材。
- 請求項3に記載の極厚鋼板溶接部材からなることを特徴とする土木・建築用ボックス柱。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006143924A JP4952892B2 (ja) | 2006-05-24 | 2006-05-24 | 極厚鋼板の溶接方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006143924A JP4952892B2 (ja) | 2006-05-24 | 2006-05-24 | 極厚鋼板の溶接方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007313524A JP2007313524A (ja) | 2007-12-06 |
JP4952892B2 true JP4952892B2 (ja) | 2012-06-13 |
Family
ID=38847854
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006143924A Expired - Fee Related JP4952892B2 (ja) | 2006-05-24 | 2006-05-24 | 極厚鋼板の溶接方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4952892B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111299766A (zh) * | 2020-03-16 | 2020-06-19 | 中国十九冶集团有限公司 | 用于大型钢箱梁的制作方法 |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101879666B (zh) * | 2010-07-15 | 2012-03-21 | 湘潭电机股份有限公司 | 一种电机转轴的筋板与光轴的焊接方法 |
JP5953744B2 (ja) * | 2011-12-28 | 2016-07-20 | Jfeスチール株式会社 | 溶接四面箱形断面部材の角溶接用開先部 |
JP5935395B2 (ja) * | 2012-03-02 | 2016-06-15 | Jfeスチール株式会社 | 溶接組立四面箱形断面部材の角溶接用開先部 |
JP5657053B2 (ja) * | 2013-05-08 | 2015-01-21 | 片山ストラテック株式会社 | サブマージアーク溶接による厚板鋼板の多層盛溶接方法 |
CN104148786B (zh) * | 2014-08-15 | 2016-04-13 | 鲁西工业装备有限公司 | 钛钼镍合金φ2.0粗丝自动氩弧焊接方法 |
CN112719704B (zh) * | 2020-12-21 | 2023-03-17 | 中建五局土木工程有限公司 | 钢板的焊接方法 |
CN113798629B (zh) * | 2021-09-07 | 2023-02-03 | 东方电气集团东方电机有限公司 | 一种活门阀轴坡口结构、活门阀轴及焊接系统 |
CN114799406A (zh) * | 2022-05-07 | 2022-07-29 | 广船国际有限公司 | 一种船舶用板材的焊接方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01148473A (ja) * | 1987-12-04 | 1989-06-09 | Nkk Corp | 高速回転アーク狭開先溶接装置 |
JPH06114552A (ja) * | 1992-09-30 | 1994-04-26 | Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd | 箱状柱の溶接方法 |
JP3198817B2 (ja) * | 1994-08-30 | 2001-08-13 | 日本鋼管株式会社 | 固定管の狭開先突合せ溶接における積層溶接方法 |
-
2006
- 2006-05-24 JP JP2006143924A patent/JP4952892B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111299766A (zh) * | 2020-03-16 | 2020-06-19 | 中国十九冶集团有限公司 | 用于大型钢箱梁的制作方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007313524A (ja) | 2007-12-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4952892B2 (ja) | 極厚鋼板の溶接方法 | |
JP5515850B2 (ja) | ガスシールドアーク溶接とサブマージアーク溶接を組み合わせた複合溶接方法およびその複合溶接機 | |
JP4751625B2 (ja) | 溶接継手の形成方法 | |
CN107598340B (zh) | 大厚板t型接头焊接方法 | |
CN105127583B (zh) | 一种铝合金厚板搅拌摩擦焊方法 | |
JP2008043974A (ja) | Uoe鋼管の縦シーム溶接継手 | |
JP6025620B2 (ja) | サブマージアーク溶接方法、当該サブマージアーク溶接方法を用いる鋼管を製造する方法、溶接継手、及び当該溶接継手を有する鋼管 | |
WO2019182081A1 (ja) | 鋼板のガスシールドアーク溶接方法 | |
CN104690402A (zh) | 一种免清根的对接板埋弧焊方法 | |
JP2015208771A (ja) | 自動ティグ裏波溶接の開先収縮抑制方法 | |
CN109641306B (zh) | 立式窄坡口气体保护弧焊方法 | |
CN108367376B (zh) | 立式窄坡口气体保护弧焊方法 | |
CN108290239B (zh) | 立式窄坡口气体保护弧焊方法 | |
JP6119948B1 (ja) | 立向き狭開先ガスシールドアーク溶接方法 | |
JP2013139047A (ja) | 鋼材の溶接接合部 | |
JP2008043986A (ja) | ガウジングレス完全溶込み溶接方法 | |
JP3182672B2 (ja) | クラッド鋼管の内面溶接方法 | |
CN113210870A (zh) | 一种高效的激光-电弧复合热源高强钢管道直缝焊接工艺 | |
Perrett et al. | Recent developments in friction stir welding of thick section aluminium alloys | |
CN106425277A (zh) | 一种箱型钢构电渣焊焊缝缺陷的返修方法 | |
JP5672697B2 (ja) | 鋼材のサブマージアーク溶接方法 | |
CN114226931B (zh) | 一种高冲击值电渣焊“t”型接头的加工方法 | |
JP4038003B2 (ja) | 極厚h形鋼の柱継ぎ溶接方法 | |
CN112935519B (zh) | 一种大尺寸铝合金板的焊接方法 | |
Leroux | Electroslag welding (ESW): A new option for smelters to weld aluminum bus bars |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080806 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20101202 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20101209 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110202 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110630 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110801 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120215 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120228 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150323 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |