JP2009148774A - ガスシールドアーク溶接用ルチール系フラックス入りワイヤ - Google Patents

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政男 鎌田
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Abstract

【課題】全姿勢溶接において良好なビード形状が得られるとともに、アーク状態が良好でスパッタ発生量が少ないなど溶接作業性が良好で溶接作業者技量を要することなく高能率に溶接することができるガスシールドアーク溶接用ルチール系フラックス入りワイヤを提供する。
【解決手段】ワイヤの直径が1.25〜1.34mmで、ワイヤ全質量に対して、フラックスに、Ti酸化物のTiO換算値:5.1〜7.0%、SiO:0.4〜1.0%、ZrO:0.2〜0.8%、金属弗化物のF換算値:0.02〜0.15%、Mg:0.05〜0.5%を含み、かつ鋼製外皮とフラックスの一方または両方にAlとAlのAl換算値の合計:0.2〜1.2%を含有させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガスシールドアーク溶接用ルチール系フラックス入りワイヤ、またスラグ系フラックス入りワイヤとも称されるものに関する。本発明は特に全姿勢溶接において良好なビード形状が得られるとともに、アーク状態が良好でスパッタ発生量が少ないなど溶接作業性が良好で溶接作業者への肉体的な負担が少なく高能率に溶接することができるガスシールドアーク溶接用ルチール系フラックス入りワイヤを提供する。
ガスシールドアーク溶接用ルチール系フラックス入りワイヤ(以下、フラックス入りワイヤという)は、全姿勢溶接において溶接作業性が優れ高能率な溶接が可能なことから造船、橋梁および鉄骨などの分野で使用されている。この場合ワイヤの直径が1.2mmおよび1.4mmのものが使用されている。
全姿勢溶接で溶接作業性およびビード外観が良好で、かつ高能率の溶接が可能なフラックス入りワイヤとして、例えば特開平8−99192号公報(特許文献1)には、立向上進姿勢および上向姿勢溶接において、高電流で溶接しても溶接金属の垂れ落ちが防止されるという技術が開示されている。また特開2004−34078号公報(特許文献2)には、立向上進姿勢溶接以外の溶接での作業性、スラグ剥離性および溶接金属の衝撃性能を良好に維持しつつ、立向上進姿勢溶接性を向上させることができるという技術の開示がある。また、特開2005−305531号公報(特許文献3)には、立向上進姿勢溶接および上向姿勢溶接において、衝撃性能およびビード形状を劣化させることなく、高能率で優れた溶接作業性を得ることができるという技術の開示がある。
しかし、これら特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載のフラックス入りワイヤは、いずれもワイヤの直径が1.2mmで立向上進姿勢溶接や上向姿勢溶接等において主に溶接作業性を良好にしたものである。しかしワイヤの直径が1.2mmであるので溶接電流を約320A以上高くすることができず、下向姿勢溶接や水平すみ肉姿勢溶接においては能率面で問題がある。
一方、前述のフラックス入りワイヤをワイヤの直径を1.4mmとした場合、下向姿勢溶接や水平すみ肉溶接においては溶接電流が430A程度まで使用可能であり高能率に溶接することができる。しかし、ワイヤの直径が1.4mmで立向上進姿勢溶接および上向姿勢溶接をした場合には、アーク幅が広くなるので溶接作業者の技量を要し、溶接金属が垂れやすくビード外観が不良となる。また、立向下進姿勢溶接では、溶融スラグが先行しやすくスラグ巻き込み欠陥が生じやすくなる。さらに、前述のように下向姿勢溶接や水平すみ肉溶接では、高能率に溶接することが可能であるが、溶接作業者が溶接トーチを手持ちで使用する半自動溶接の場合、溶接速度が早くなることから下向姿勢や水平姿勢でも溶接作業者の技量が必要になるという問題もある。
特開平8−99192号公報 特開2004−34078号公報 特開2005−305531号公報
本発明は、全姿勢溶接において良好なビード形状が得られるとともに、アーク状態が良好でスパッタ発生量が少ないなど溶接作業性が良好でり溶接作業者の技量を要することなく高能率に溶接することができるガスシールドアーク溶接用ルチール系フラックス入りワイヤを提供することを目的とする。
本発明の要旨は、鋼製外皮にフラックスを充填してなるガスシールドアーク溶接用ルチール系フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤの直径が1.25〜1.34mmで、ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックスに、Ti酸化物のTiO換算値:5.1〜7.0%、SiO:0.4〜1.0%、ZrO:0.2〜0.8%、金属弗化物のF換算値:0.02〜0.15%、Mg:0.05〜0.5%を含み、かつ鋼製外皮とフラックスの一方または両方に、AlとAlのAl換算値の合計:0.2〜1.2%を含有し、残部は、鋼製外皮のFe、鉄粉、合金剤、脱酸剤、アーク安定剤および不可避不純物であることを特徴とするガスシールドアーク溶接用ルチール系フラックス入りワイヤにある。
また、鋼製外皮に貫通した合せ目がないこと、ワイヤ表面に銅めっきが施されていることも特徴とする。
本発明のガスシールドアーク溶接用ルチール系フラックス入りワイヤによれば、全姿勢溶接において良好なビード形状が得られるとともに、アーク状態が良好でスパッタ発生量が少ないなど溶接作業性が良好であり溶接作業者の技量を要することなく高能率に溶接することができるので、高品質の溶接部を得ることが可能となる。
本発明者らは、前記課題を解決するためにフラックス入りワイヤを種々試作し、全姿勢溶接に適用した。これにより良好なビード形状が得られるとともに、アーク状態が良好でスパッタ発生量が少なく溶接作業者の技量を要することがないワイヤを得るためのワイヤの直径および各成分組成の影響を調べた。
その結果、ワイヤの直径を1.2mmと1.4mmの中間直径である1.3mm程度にして、ワイヤ中のTi酸化物のTiO換算値、SiO、ZrO、金属弗化物のF換算値、MgおよびAlとAlのAl換算値を適正にすれば、各姿勢溶接ともにアーク状態が良好でスパッタの発生量が少ないことがわかった。これにより立向上進姿勢溶接および上向姿勢溶接ともに溶接金属が垂れることがなくビード外観が良好で、立向下進姿勢溶接では溶融スラグ先行することがなく無欠陥の溶接が可能で、下向姿勢溶接および水平すみ肉溶接においても高能率に溶接できることを見出した。
以下、本発明のフラックス入りワイヤのワイヤの直径と成分組成およびその含有量の限定理由について説明する。なお、成分組成は、本発明のフラックス入りワイヤのワイヤの直径との組み合わせにおいて得られた作用、効果を示す。
[ワイヤの直径:1.25〜1.34mm]
図1は、定格電流500A、最大ワイヤ送給速度17m/分の溶接電源および送給装置を使用した場合のワイヤの直径と溶着速度の関係を示す。なお、ワイヤは、JIS Z3313 YFW−C50DR相当のフラックス入りワイヤを用いた。
図1の○印は、下向姿勢溶接および水平すみ肉溶接における各ワイヤの直径と限界電流における溶着速度の関係を示す。ワイヤの直径1.2mmの場合、限界電流はワイヤ送給装置の限界である320Aで溶着速度は116g/分、1.3mmの場合、限界電流はワイヤ送給装置の限界である375Aで溶着速度は135g/分である。またワイヤ径1.4mmの場合、限界電流は溶接作業性の限界である410Aで溶着速度は152g/分である。これによりそれぞれ限界電流で溶接した場合、ワイヤの直径が大きいほど高能率に溶接できることがわかる。
一方、図1の●印は、立向上進姿勢溶接の場合の各ワイヤの直径における溶接金属が垂れる限界電流を示す。溶接時のアーク幅はワイヤの直径に比例して広くなり溶接金属が垂れやすくなるが、一方、ワイヤの直径が小さいほどアーク幅が狭いので溶着速度を上げることができる。その結果、各ワイヤの直径における溶接金属が垂れる限界電流はいずれも280Aで、溶着速度は1.2mmの場合95g/分、1.3mmの場合88g/分、1.4mmの場合79g/分であった。したがって、ワイヤの直径が小さいほど高能率に溶接できることがわかる。なお、この傾向は上向姿勢溶接も同様である。
また、立向下進姿勢溶接は、各ワイヤの直径ともに比較的高電流で溶接が可能であるが、ワイヤの直径が1.4mmの場合は溶融スラグが先行しやすくスラグ巻き込み欠陥が生じる場合がある。
以上の結果から、下向姿勢溶接および水平すみ肉溶接の能率、立向上進姿勢溶接および上向姿勢溶接の能率、さらに、立向下進姿勢溶接での耐欠陥性を考慮すると、全姿勢溶接においては、ワイヤの直径が1.2mmと1.4mmの中間直径である1.3mm程度が最も高能率に溶接が可能で溶接欠陥が生じることがない健全な溶接部を得ることができる。ワイヤの直径が1.25mm未満であると、下向姿勢溶接および水平すみ肉溶接時の溶接能率が悪い。一方ワイヤの直径が1.34mmを超えると、立向上進姿勢溶接および上向姿勢溶接時の溶接能率が悪くなるとともに、立向下進姿勢溶接で溶融スラグが先行しやすく溶接金属が垂れてスラグ巻き込み欠陥も生じる場合がある。
なお溶接トーチのコンタクトチップ(給電チップ)はワイヤ径に応じたものを使用する必要があるが、1.3mm用のものは市販されていない。ワイヤ径のJIS規格としては1.2mmや1.4mmは規定されているが、1.3mmは規定されていないからである。したがって上記のような直径が1.3mmのワイヤを使用するには、これに合わせて専用のコンタクトチップを用意する必要がある。
[Ti酸化物のTiO換算値:5.1〜7.0質量%]
TiOは、スラグ形成剤の主成分であり、Ti酸化物の鉱物であるルチールのほか、化学合成による酸化チタン、チタン酸ソーダ、チタンスラグ、イルミナイト等も原料として使用できる。これらはビード全体を均一に被包してビード形状を整える作用を有する。また、アークを持続して安定させスパッタ発生量を低減させる効果がある。Ti酸化物のTiO換算値が5.1質量%(以下、%という。)未満であると、アークを安定させる効果がなくなりスパッタ発生量も増加する。また、立向上進姿勢溶接および上向姿勢溶接において溶接金属が垂れてビード外観が不良となる。さらに、立向下進姿勢溶接ではスラグ剥離性性も悪くなる。一方、7.0%を超えると、アークは安定してスパッタ発生量は減少するが、下向姿勢溶接、立向上進姿勢溶接、立向下進姿勢溶接および上向姿勢溶接でスラグ巻き込み欠陥が生じやすくなる。また、立向下進姿勢溶接では溶接金属が垂れてビード外観も不良となる。さらに、水平すみ肉溶接では下板側のビード止端部が膨れてビード外観が不良となる。
[SiO:0.4〜1.0%]
SiOは、珪砂、ジルコンサンド等より添加されスラグ形成剤として作用し、少量で溶融スラグの粘性を大きくする効果がある。SiOが0.4%未満であるとスラグ形成剤としての効果が無くスラグ被包性が悪くなり、下向姿勢溶接、水平すみ肉溶接および立向下進姿勢溶接でスラグ剥離性が悪くなる。また水平すみ肉溶接ではビード上脚部にアンダーカットが生じやすくなる。さらに立向上進姿勢溶接および上向姿勢溶接で溶接金属が垂れてビード外観が不良となる。一方、1.0%を超えると溶融スラグの粘性が大きくなりすぎて、下向姿勢溶接でスラグ巻き込み欠陥が生じやすくなる。また、水平すみ肉溶接では下板側の止端部が膨れてビード外観が不良となる。さらに、立向上進姿勢溶接、立向下進姿勢溶接および上向姿勢溶接で溶接金属が垂れてビード外観が不良となる。
[ZrO:0.2〜0.8%]
ZrOは、ジルコンサンドおよび酸化ジルコニウム等より添加され、溶融スラグの凝固温度を高くして立向上進姿勢溶接、立向下進姿勢溶接および上向姿勢溶接で溶接金属を垂れにくくし、水平すみ肉溶接ではスラグの被包性を高めてビード形状を平滑にする作用を有する。ZrOが0.2%未満であると立向上進姿勢溶接、立向下進姿勢溶接および上向姿勢溶接で溶接金属が垂れてビード外観が不良となる。また、水平すみ肉溶接でビード形状が平滑にならない。一方、0.8%を超えると立向上進姿勢溶接、立向下進姿勢溶接および上向姿勢溶接で溶接金属が垂れてビード外観が不良となる。また、水平すみ肉溶接ではビード形状が凸状となる。さらに、下向き姿勢溶接ではスラグ巻き込み欠陥が生じる場合がある。
[金属弗化物のF換算値:0.02〜0.15%]
Fは、弗化ソーダ、珪弗化カリ、氷晶石、弗化アルミ、弗化リチウムおよびホタル石等より添加され、アークの安定性を向上させる。金属弗化物のF換算値が0.02%未満であるとアークの集中性が弱くなり安定したアーク状態を得ることができない。また、立向下進姿勢溶接では溶接金属が垂れてビード外観が不良となる。さらに、水平すみ肉溶接ではピットが発生する場合がある。一方、0.15%を超えるとアークが荒くなりスパッタ発生量が多くなる。また、立向上進姿勢溶接、立向下進姿勢溶接および上向姿勢溶接で溶接金属が垂れてビード外観が不良となる。さらに、水平すみ肉溶接ではビード形状が凸状となる。
[Mg:0.05〜0.5%以下]
Mgは、金属MgやAl−Mg等により添加され、脱酸剤として作用する。Mgが0.05%未満であると立向下進姿勢溶接で溶接金属が垂れてビード外観が不良となる。一方、0.5%を超えると立向上進姿勢溶接、立向下進姿勢溶接および上向姿勢溶接で溶接金属が垂れてビード外観が不良となる。また、水平すみ肉溶接ではビード形状が凸状となる。
[AlとAlのAl換算値の合計:0.2〜1.2%]
Alは、鋼製外皮とフラックスの一方または両方から添加されるが、フラックスには金属Al、Fe−Al、Al−Mgおよびアルミナ等として含有され、スラグの粘性を高めて立向上進姿勢溶接、立向下進姿勢溶接および上向姿勢溶接における溶接金属の垂れを防止する。AlとAlのAl換算値の合計が0.2%未満であると立向上進姿勢溶接、立向下進姿勢溶接および上向姿勢溶接で溶接金属が垂れてビード外観が不良となる。一方、1.2%を超えると立向下進姿勢溶接で溶接金属が垂れてビード外観が不良となる。また、下向姿勢溶接でスラグ剥離性が不良となる。さらに、水平すみ肉溶接ではビード止端部が膨れてビード外観が不良となる。
本発明のフラックス入りワイヤは、前記成分の他、アークを安定にしスラグ剥離性を改善するためにフラックスにワイヤ全質量当り鉄粉:12%以下、Na化合物およびK化合物のNaおよびK換算値の合計:0.2%以下、金属BiおよびBi酸化物のB換算値:0.03%以下を使用できる。また、溶着金属の機械的性能を得るために脱酸剤として鋼製外皮およびフラックス成分との合計でC:0.04〜0.12%、Si:0.3〜1.0%、Mn:1.0〜3.5%の範囲で含有する。
また、本発明のフラックス入りワイヤは、フラックス充填後の伸線加工性が良好な軟鋼または合金鋼の外皮内にフラックスを、ワイヤ全重量に対して10〜20%程度充填後、ダイス伸線やローラ圧延加工により所定のワイヤの直径(1.25〜1.34mm)に縮径して製造される。ワイヤの断面構造は鋼製外皮に貫通した合せ目がないシームレスタイプであることが各姿勢溶接においてワイヤの狙い位置が安定するので溶接作業者の技量を要することがなく溶接できる。また、自動溶接機を用いた下向姿勢溶接や水平すみ肉溶接においてもワイヤの狙い位置がずれることがないので良好なビード外観と品質の優れた溶接部を高能率に得ることができる。シームレスタイプのフラックス入りワイヤは、鋼管の一端からフラックスを充填後、線引きするか、帯板を連続的に曲げつつフラックスを供給して管状にし、突合せ部を溶接後、線引きすることにより製造できる。
さらに、ワイヤ表面に銅めっきが施されていることにより、ワイヤとチップ間の通電性を良好にしてアークがさらに安定するので溶接作業者の技量を要することがなくなる。ワイヤ表面の銅めっき厚さは0.3〜1.1μmであることが好ましい。
以下、実施例により本発明の効果をさらに詳細に説明する。
軟鋼外皮(C:0.02%、Si:0.01%、Mn:0.33%、Al:0.02%)にフラックスを充填後、縮径して、フラックス充填率14〜15%の表1および表2に示す各種ワイヤ直径および組成のフラックス入りワイヤを試作した。なお、鋼製外皮に合せ目のないフラックス入りワイヤは、外皮の軟化および脱水素のために中間焼鈍を1回実施し、ワイヤ表面に銅めっきを施した。
Figure 2009148774
Figure 2009148774
表1および表2に示すフラックス入りワイヤを用いて、板厚20mmの鋼板JIS G3106 SM490A)を用いて開先形状を開先角度45°、ギャップ5mmの固形裏当材付きとして表3に示す下向姿勢の溶接条件で半自動による下向多層盛溶接(長さ500mm)を行った。また、板厚12mmの鋼板(JIS G3106 SM490A)をT字すみ肉試験体(長さ500mm)とし、表3に示す水平すみ肉、立向上進姿勢および立向下進姿勢の溶接条件で半自動によるすみ肉溶接を行った。なお、溶接は定格電流500A、最大ワイヤ送給速度17m/分の溶接電源および送給装置を使用した。
Figure 2009148774
各試作ワイヤの評価は、各姿勢溶接でのアークの安定性およびスパッタの発生状況、下向姿勢溶接での効率、スラグ剥離性およびX線透過試験によるスラグ巻き込みの有無、水平すみ肉溶接での能率、スラグ剥離性、ビード外観およびピット発生の有無、立向上進溶接での能率、溶接金属の垂れの有無およびマクロ断面検査(10断面)によるスラグ巻き込み欠陥の有無、ならびに立向下進姿勢溶接でのスラグ剥離性、溶接金属の垂れの有無およびマクロ断面検査(10断面)によるスラグ巻き込み欠陥の有無をそれぞれ調査した。なお、上向姿勢溶接は、立向上進姿勢溶接と各評価の傾向が同様であるので実施しなかった。
各試験の評価基準は、アークの安定性は、○:アーク安定、△:アークやや不安定、×:アーク不安定を示す。スパッタは、○:少ない、×:多いを示す。能率は、各姿勢溶接で○:高能率、△:やや能率が劣る、×:能率が劣るを示す。スラグ剥離性は、○:良好、×:不良を示す。ビード外観は、○:良好、×:不良を示す。表4および表5にそれらの結果をまとめて示す。なお表4において限界電流の欄は、使用した溶接装置の最大ワイヤ送給速度17m/分における電流値の最大を示している。
Figure 2009148774
Figure 2009148774
表1、表2、表4および表5中ワイヤ記号W1〜W10が本発明例、ワイヤ記号W11〜W24が比較例である。本発明例であるワイヤ記号W1〜W10は、ワイヤの直径、Ti酸化物のTiO換算値、SiO、ZrO、金属弗化物のF換算値、MgおよびAlとAlのAl換算値が適量であるので、各姿勢ともアーク状態が良好でスパッタ発生量が少なく、下向姿勢溶接、水平すみ肉溶接および立向下進姿勢溶接において高能率に溶接ができ、下向姿勢溶接、水平すみ肉溶接および立向下進姿勢溶接においてスラグ剥離性が良好であり、下向姿勢溶接においてスラグ巻き込み欠陥も生じなかった。水平すみ肉溶接では、ビード外観が良好でピットが生じなかった。また、立向上進姿勢溶接および立向下進姿勢溶接では、溶接金属の垂れがなくスラグ巻き込み欠陥が生じないなど極めて満足な結果であった。
なお、ワイヤ記号W6〜W9は、ワイヤに貫通した合わせ目があるのでワイヤの先端が若干振れて溶接時に技量を要した。また、ワイヤ表面に銅めっきが施されていないのでアークがやや不安定であった。さらに、ワイヤ記号W10は、ワイヤ表面に銅めっきが施されていないのでアークがやや不安定であった。
比較例中ワイヤ記号W11は、ワイヤの直径が大きいので立向上進姿勢溶接での能率がやや劣った。また、立向下進姿勢溶接で溶接金属が垂れてスラグ巻き込み欠陥も生じた。
ワイヤ記号W12は、ワイヤの直径が小さいので限界溶接電流が低く溶着速度が低いので下向姿勢溶接および水平すみ肉溶接での能率が劣った。
ワイヤ記号W13は、Ti酸化物のTiO換算値が多いので下向姿勢溶接、立向上進姿勢溶接および立向下進姿勢溶接でスラグ巻き込み欠陥が生じた。また、水平すみ肉溶接でビード止端部が膨れてビード外観が不良であった。さらに、立向下進姿勢溶接で溶接金属が垂れた。
ワイヤ記号W14は、Ti酸化物のTiO換算値が少ないのでスパッタ発生量が多かった。また、立向上進姿勢溶接で溶接金属が垂れた。さらに、立向下進姿勢溶接でのスラグ剥離性が不良であった。
ワイヤ記号W15は、SiOが多いので下向姿勢溶接でスラグ巻き込み欠陥が生じた。また、水平すみ肉溶接でビード止端部が膨れてビード外観が不良であった。さらに、立向上進姿勢溶接および立向下進姿勢溶接で溶接金属が垂れた。
ワイヤ記号W16は、SiOが少ないので下向姿勢溶接、水平すみ肉溶接および立向下進姿勢溶接でスラグ剥離性が不良であった。また、水平すみ肉溶接で上脚部にアンダーカットが生じビード外観が不良であった。さらに、立向上進姿勢溶接で溶接金属が垂れた。
ワイヤ記号W17は、ZrOが多いので下向姿勢溶接でスラグ巻き込み欠陥が生じた。また、水平すみ肉溶接でビードが凸状となりビード外観が不良であった。さらに、立向上進姿勢溶接および立向下進姿勢溶接で溶接金属が垂れた。
ワイヤ記号W18は、ZrOが少ないので水平すみ肉溶接でビード形状が平滑にならずビード外観が不良であった。また、立向上進姿勢溶接および立向下進姿勢溶接で溶接金属が垂れた。
ワイヤ記号W19は、金属弗化物のF換算値が多いのでアークが荒くスパッタ発生量が多かった。また、水平すみ肉溶接でビードが凸状となりビード外観が不良であった。さらに、立向上進姿勢溶接および立向下進姿勢溶接で溶接金属が垂れた。
ワイヤ記号W20は、金属弗化物のF換算値が少ないのでアークが不安定であった。また、水平すみ肉溶接でピットが発生した。さらに、立向下進姿勢溶接で溶接金属が垂れた。
ワイヤ記号W21は、Mgが多いので水平すみ肉溶接でビードが凸状となりビード外観が不良であった。また、立向上進姿勢溶接および立向下進姿勢溶接で溶接金属が垂れた。
ワイヤ記号W22は、Mgが少ないので立向下進姿勢溶接で溶接金属が垂れた。また、ワイヤ表面に銅めっきが施されていないのでアークがやや不安定であった。
ワイヤ記号W23は、AlとAlのAl換算値が多いので下向姿勢溶接でスラグ剥離性が不良であった。また、立向下進姿勢溶接で溶接金属が垂れた。
ワイヤ記号W24は、AlとAlのAl換算値が少ないので立向上進姿勢溶接および立向下進姿勢溶接で溶接金属が垂れた。また、ワイヤに合わせ目があるのでワイヤの先端が若干振れて溶接時に技量を要した。さらに、ワイヤ表面に銅めっきが施されていないのでアークがやや不安定であった。
定格電流500A、最大ワイヤ送給速度17m/分の溶接電源および送給装置を使用した場合のワイヤの直径と溶着速度の関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 鋼製外皮にフラックスを充填してなるガスシールドアーク溶接用ルチール系フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤの直径が1.25〜1.34mmで、ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックスに、
    Ti酸化物のTiO換算値:5.1〜7.0%、
    SiO:0.4〜1.0%、
    ZrO:0.2〜0.8%、
    金属弗化物のF換算値:0.02〜0.15%、
    Mg:0.05〜0.5%
    を含み、かつ鋼製外皮とフラックスの一方または両方に、
    AlとAlのAl換算値の合計:0.2〜1.2%
    を含有し、残部は、鋼製外皮のFe、鉄粉、合金剤、脱酸剤、アーク安定剤および不可避不純物であることを特徴とするガスシールドアーク溶接用ルチール系フラックス入りワイヤ。
  2. 鋼製外皮に貫通した合せ目がないことを特徴とする請求項1に記載のガスシールドアーク溶接用ルチール系フラックス入りワイヤ。
  3. ワイヤ表面に銅めっきが施されていることを特徴とする請求項2に記載のガスシールドアーク溶接用ルチール系フラックス入りワイヤ。
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