JP5233088B2 - 電池用電極 - Google Patents

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Description

本発明は、電池用電極に関する。特に本発明は、電池の出力特性を向上させるための改良に関する。
近年、大気汚染や地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダを用いて正極活物質等を正極集電体の両面に塗布した正極と、バインダを用いて負極活物質等を負極集電体の両面に塗布した負極とが、電解質層を介して接続され、電池ケースに収納される構成を有している。
上述したような自動車等のモータ駆動用電源として用いられるリチウムイオン二次電池には、携帯電話やノートパソコン等に使用される民生用リチウムイオン二次電池と比較して極めて高い出力特性を有することが求められており、かような要求に応えるべく鋭意研究開発が進められているのが現状である。
ここで、自動車への搭載を念頭にリチウムイオン二次電池の出力特性を向上させるための技術として、例えば、Li−Mn−Ni複合酸化物を含有するリチウム二次電池用正極活物質であって、Li−Mn−Ni複合酸化物の1次粒子の平均直径が2.0μm以下であり、かつ、BET比表面積が0.4m/g以上であることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質が開示されている(特許文献1を参照)。
特開2003−68299号公報
上記特許文献1に記載の技術によれば、放電容量特性およびサイクル耐久性に優れるリチウムイオン二次電池が提供されうる。これは、正極活物質であるLi−Mn−Ni複合酸化物の平均直径および比表面積が上記の値に制御されると、電解液と接触可能な正極活物質の表面積が増大する結果、充放電反応が充分に進行しうるためであると考えられる。
このように、電極の活物質層に含まれる活物質の粒径をより減少させることは、電池の高出力化の観点からは好ましい。しかしながら、高出力化に寄与する導電ネットワークを効率的に構築させるためには、過剰量の導電助剤やバインダが必要となり、それにより電極の体積が増大し、体積あたりの容量が低下するという問題があった。
そこで本発明は、リチウムイオン二次電池において、導電助剤の使用量の増加に伴う体積あたりの容量の低下を最小限に抑制しつつ、出力特性を向上させうる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に鑑み、鋭意研究を積み重ねた結果、粒径の小さい活物質と導電助剤とを、造粒や焼結などの手段により、あらかじめ塊状の多孔質体とすることによって、電極の体積を低減でき、電極体積あたりの出力を増大させることができることを見出した。
すなわち、本発明は、集電体と、前記集電体上に形成され、導電助剤、結着剤、および平均粒径が3μm以下である活物質を含む塊状多孔質体を含む活物質層と、を備えることを特徴とする、電池用電極である。
本発明によれば、導電助剤やバインダの使用量の増加に伴う体積あたりの容量の低下を最小限に抑制しつつ、出力特性を向上させうる電池用電極が提供されうる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(第1実施形態)
(構成)
本発明の第1は、集電体と、前記集電体上に形成され、導電助剤、結着剤、および平均粒径が3μm以下である活物質を含む塊状多孔質体を含む活物質層と、を備えることを特徴とする、電池用電極である。
図1は、本発明の電極における活物質層中に含まれる、導電助剤、結着剤、および活物質を含む塊状多孔質体を表した模式図である。なお、本発明においては、説明の都合上、図面が誇張されており、本発明の技術的範囲は、図面に掲示する形態に限定されない。また、図面以外の実施形態も採用されうる。図1に示すように、導電助剤および平均粒径が3μm以下である活物質を、結着剤の存在下、流動層造粒装置などの造粒装置を用い塊状多孔質体の粗生成物を得て、その後焼結、解砕を行い、本発明の電極に用いられうる塊状多孔質体を得ることができる。この塊状多孔質体を電極に用いることにより、導電助剤の使用量の増加に伴う電極の体積の増加を抑えつつ、電池の出力特性が向上されうる。
次に、本発明の電池用電極を用いた単電池の構造について、図面を参照して説明する。
図2は、本発明の電池用電極を用いた単電池の一実施形態を示す断面図である。図2に示すように、単電池1は、集電体11の上に正極活物質層13が形成された正極と、別の集電体11の上に負極活物質層15が形成された負極とが、電解質層17を介して積層している構成を有する。
以下、本発明の電池用電極を用いた電池の構成の一実施形態について、図2を参照して説明する。本実施形態の電極は、正極および負極の双方の活物質層において、導電助剤、結着剤、および活物質を含む塊状多孔質体を含むが、本発明の技術的範囲はかような形態のみには制限されず、正極または負極のいずれか一方のみが上述した塊状多孔質体を含む形態もまた、包含しうる。集電体、活物質の種類、バインダ、支持塩(リチウム塩)、電解質、その他必要に応じて添加される化合物の選択について、特に制限はない。使用用途に応じて、従来公知の知見を適宜参照することにより、選択すればよい。以下、本発明の電池用電極を構成する部材について、詳細に説明する。
[集電体]
集電体11は、アルミニウム箔、ニッケル箔、銅箔、ステンレス(SUS)箔など、導電性の材料から構成される。集電体の一般的な厚さは、1〜30μmである。ただし、この範囲を外れる厚さの集電体を用いてもよい。
集電体の大きさは、電池の使用用途に応じて決定される。大型の電池に用いられる大型の電極を作製するのであれば、面積の大きな集電体が用いられる。小型の電極を作製するのであれば、面積の小さな集電体が用いられる。
[活物質層]
集電体11上には、活物質層(13、15)が形成される。活物質層(13、15)は、充放電反応の中心を担う活物質を含む層である。本発明においては、正極活物質層13もしくは負極活物質層15のいずれか一方または双方において、導電助剤および平均粒径が3μm以下である活物質を含む塊状多孔質体を含む。本発明の電極が正極として用いられる場合には、塊状多孔質体は正極活物質を含む。一方、本発明の電極が負極として用いられる場合には、塊状多孔質体は負極活物質を含む。
正極活物質としては、例えば、リチウム−マンガン複合酸化物、リチウム−ニッケル複合酸化物、リチウム−コバルト複合酸化物、リチウム−鉄複合酸化物、リチウム−ニッケル−コバルト複合酸化物、リチウム−マンガン−コバルト複合酸化物、リチウム−ニッケル−マンガン複合酸化物、リチウム−ニッケル−マンガン−コバルト複合酸化物、リチウム−金属リン酸化合物、およびリチウム−遷移金属硫酸化合物などが例示される。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。
負極活物質としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素などの炭素材料、リチウム−遷移金属化合物、金属材料、ならびにリチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、およびリチウムケイ素合金などのリチウム合金などが例示される。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の単電池において、正極活物質層13に含まれる塊状多孔質体に含まれる正極活物質の平均粒径は3μm以下である。当該平均粒径は、好ましくは2μm以下であり、より好ましくは1μm以下である。なお、本発明の作用効果を得るという観点からは、正極活物質の平均粒径の下限値は特に制限されないが、電池の高出力化、ならびに活物質の高分散性および凝集防止という観点から、正極活物質の平均粒径は、好ましくは0.01μm以上であり、より好ましくは0.1μm以上である。
なお、本願において、活物質の粒径の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)により測定した値を採用するものとする。
また、前記塊状多孔質体には、導電助剤が含まれる。導電助剤は、活物質と共に塊状多孔質体を形成し、活物質層の導電性を向上させる役割を果たす。導電助剤の例としては、アセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイトなどのカーボン粉末や、気相成長炭素繊維(VGCF;登録商標)などの種々の炭素繊維などが挙げられる。
さらに、前記塊状多孔質体には、結着剤が含まれる。結着剤とは、塊状多孔質体を形成させるために、活物質と導電助剤とを結着させる役割を果たす添加剤をいう。前記結着剤は、活物質と導電助剤とを結着できるものであれば特に制限されない。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、芳香族ポリアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物等の熱可塑性高分子、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルプロピナール、ポリビニルブチラール、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のヒドロキシル基含有化合物、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム等が挙げられる。これらの結着剤は単独でも、または2種以上組み合わせて使用してもよい。特に水を溶剤として使えること、安価なこと、毒性が低いこと、消失させることが出来ること、および消失時に灰分が残らないことなどの観点から、ポリビニルアルコールがより好ましい。
前記塊状多孔質体中の活物質の含有量は特に制限されないが、塊状多孔質体の全質量を100質量%として、70〜95質量%であることが好ましく、80〜90質量%がより好ましい。前記範囲内にあれば、電池の高エネルギー密度化および高出力化のバランスが取れるため、好ましい。
前記塊状多孔質体中の導電助剤の含有量は特に制限されないが、塊状多孔質体の全質量を100質量%として、1〜20質量%であることが好ましく、5〜10質量%がより好ましい。前記範囲内にあれば、電池の高エネルギー密度化および高出力化が図れるため、好ましい。
前記塊状多孔質体中の結着剤の含有量は特に制限されないが、塊状多孔質体の全質量を100質量%として、2〜20質量%であることが好ましく、3〜10質量%がより好ましい。前記範囲内にあれば、電池の高エネルギー密度化および高出力化が図れるため、好ましい。
活物質層(13、15)には、必要であれば、その他の物質が含まれてもよい。例えば、バインダ、支持塩(リチウム塩)、イオン伝導性ポリマー等が含まれうる。また、イオン伝導性ポリマーが含まれる場合には、前記ポリマーを重合させるための重合開始剤が含まれてもよい。
バインダとは、活物質層において、複数の前記塊状多孔質体を結着させる役割を果たすために配合される添加物をいう。バインダの具体的な例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ酢酸ビニル、ポリイミド、ユリア樹脂などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂、ブチルゴム、スチレン系ゴムなどのゴム系材料が好ましく挙げられる。
支持塩(リチウム塩)としては、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。
イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。ここで、前記ポリマーは、本発明の電極が採用される電池の電解質層において用いられるイオン伝導性ポリマーと同じであってもよく、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
重合開始剤は、イオン伝導性ポリマーの架橋性基に作用して、架橋反応を進行させるために配合される。開始剤として作用させるための外的要因に応じて、光重合開始剤、熱重合開始剤などに分類される。重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)や、光重合開始剤であるベンジルジメチルケタール(BDK)等が挙げられる。
活物質層(13、15)に含まれる、導電助剤以外の成分の配合比は、特に限定されず、リチウムイオン二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。
活物質層(13、15)の厚さについても特に制限はなく、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、活物質層(13、15)の厚さは、好ましくは10〜100μm程度であり、より好ましくは20〜50μmである。活物質層(13、15)が10μm程度以上であれば、電池容量が充分に確保されうる。一方、活物質層(13、15)が100μm程度以下であれば、電極深部(集電体側)にリチウムイオンが拡散しにくくなることに伴う内部抵抗の増大という問題の発生が抑制されうる。
(製造方法)
続いて、本発明の電池用電極の製造方法を説明する。
まず、図2に示す形態の電池用電極1の製造方法について説明する。
本発明の電極は、例えば、導電助剤、結着剤、および活物質から塊状多孔質体を形成し(塊状多孔質体形成工程)、得られた塊状多孔質体を溶媒に添加することにより、多孔質体スラリーを調製し(多孔質体スラリー調製工程)、この多孔質体スラリーを集電体の表面に塗布し、乾燥させることにより塗膜を形成し(塗膜形成工程)、前記塗膜形成工程を経て作製された積層体を積層方向にプレスする(プレス工程)ことにより、製造されうる。多孔質体スラリーにイオン伝導性ポリマーが添加され、当該イオン伝導性ポリマーを架橋させる目的で重合開始剤がさらに添加される場合には、塗膜形成工程における乾燥と同時に、または当該乾燥の前もしくは後に、重合処理を施してもよい(重合工程)。
以下、かような製造方法について、工程順に詳細に説明するが、下記の形態のみには制限されない。
[塊状多孔質体形成工程]
本工程においては、活物質、導電助剤、および結着剤から塊状多孔質体を形成する。
まず、結着剤が溶解可能な溶媒を用い、この溶媒中に結着剤を溶解させた後、活物質および導電助剤を分散させ、塊状多孔質体形成用スラリーを調製する。
前記溶媒は、結着剤が溶解可能であり、活物質および導電助剤が分散可能であれば特に制限されず、例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)など用いることができる。
次に、例えば流動層造粒装置の流動層内に、前記で調製した塊状多孔質体形成用スラリーを噴霧すると同時に乾燥させ、結着剤により活物質と導電助剤とを密着させ、塊状多孔質体の粗生成物を得る。
造粒方法は上記の方法に制限されるものではなく、例えば、転動流動層造粒装置を用いる方法、噴霧乾燥法、湿式粉砕造粒法などから適宜選択すればよい。例えば、活物質の平均粒径が3μmを超える場合、あらかじめ導電助剤および結着剤を含むスラリーが投入された湿式粉砕装置に活物質を投入することによって、活物質が平均粒径3μm以下の微粒子に粉砕されつつ、結着剤によって導電助剤と結着し、前述のような塊状多孔質体の粗生成物が調製されうる。
塊状多孔質体の粗生成物を得た後、例えば焼成用の鞘(セラミック製の角型容器)の中に、表面が平らになるように前記塊状多孔質体の粗生成物を詰めていく。
次に、焼結炉を用いて、好ましくは200〜500℃の温度で焼結する。その後、例えば乾式粉砕機またはハンマーを用いて解砕し、塊状多孔質体を得る。
塊状多孔質体の平均粒径は、好ましくは20μm以下、より好ましくは5〜20μm、さらに好ましくは10〜20μmである。前記範囲内にあれば、リチウムイオンの拡散距離が長すぎないため好ましい。該平均粒径は、焼成後の解砕条件を制御することにより、所望の値とすることができる。なお、本願において、塊状多孔質体の平均粒径の値としては、レーザー回折法により測定した値を採用するものとする。
また、塊状多孔質体のBET比表面積は、好ましくは3m/g以上、より好ましくは3〜10m/g、さらに好ましくは3〜5m/gである。前記範囲内にあれば、電池反応時の反応表面積が適切な値となるため好ましい。該BET比表面積は、活物質の比表面積、導電助剤の比表面積を制御することにより、所望の値とすることができる。
さらに、塊状多孔質体の空隙率は、好ましくは25%以上、より好ましくは35〜55%である。前記範囲内にあれば、リチウムイオンが高速に拡散するための経路が確保できるため好ましい。該空隙率は、塊状多孔質体中の結着剤量の割合を制御することにより、所望の値とすることができる。すなわち、塊状多孔質体中の結着剤量の割合を増やせば、空隙率は大きな値となり、結着剤量の割合を減らせば、空隙率は小さな値となる。空隙率が大きな値であるほどリチウムイオンが高速に拡散するための経路が増えるが、あまり大きすぎるとエネルギー密度が低くなる場合がある。なお、本願において、塊状多孔質体の空隙率は、水銀ポロシメーターにより測定された値を採用するものとする。
[多孔質体スラリー調製工程]
本工程においては、上記工程で得られた所望の塊状多孔質体、および必要に応じて他の成分(例えば、バインダ、イオン伝導性ポリマー、支持塩(リチウム塩)、重合開始剤など)を、溶媒中で混合して、多孔質体スラリーを調製する。この多孔質体スラリー中に配合される各成分の具体的な形態については、上記の本発明の電極の構成の欄において説明した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
溶媒の種類は特に制限されず、電極製造について従来公知の知見が適宜参照されうる。溶媒の一例を挙げると、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミドなどが用いられうる。バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を採用する場合には、NMPを溶媒として用いるとよい。
混合手段も特に制限されないが、あらかじめ前記バインダを溶解させた溶液中に、前記塊状多孔質体を分散させる方法を採用すれば、後述の塗膜形成工程で得られる塗膜において、塊状多孔質体の分布が均一になりやすいため、好ましい。
[塗膜形成工程]
続いて、集電体を準備し、上記で調製した多孔質体スラリーを当該集電体の表面に塗布し、乾燥させる。これにより、集電体の表面に多孔質体スラリーからなる塗膜が形成される。この塗膜は、後述するプレス工程を経て、活物質層となる。
準備する集電体の具体的な形態については、上記の本発明の電極の構成の欄において説明した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
多孔質体スラリーを塗布するための塗布手段も特に限定されないが、例えば、自走型コータなどの一般的に用いられている手段が採用されうる。
塗膜は、製造される電極における集電体と活物質層との所望の配置形態に応じて、形成される。例えば、製造される電極が双極電極の場合、集電体の一方の面には正極活物質を含む塗膜が形成され、他方の面には負極活物質を含む塗膜が形成される。これに対し、双極型でない電極を製造する場合には、正極活物質または負極活物質のいずれか一方を含む塗膜が1枚の集電体の両面に形成される。
その後、集電体の表面に形成された塗膜を乾燥させる。これにより、塗膜中の溶媒が除去される。
塗膜を乾燥させるための乾燥手段も特に制限されず、電極製造について従来公知の知見が適宜参照されうる。例えば、加熱処理が例示される。乾燥条件(乾燥時間、乾燥温度など)は、多孔質体スラリーの塗布量やスラリーの溶媒の揮発速度に応じて適宜設定されうる。
塗膜が重合開始剤を含む場合には、さらに重合工程を行うことで、塗膜中のイオン伝導性ポリマーが架橋性基によって架橋される。
重合工程における重合処理も特に制限されることはなく、従来公知の知見を適宜参照すればよい。例えば、塗膜が熱重合開始剤(AIBNなど)を含む場合には、塗膜に熱処理を施す。また、塗膜が光重合開始剤(BDKなど)を含む場合には、紫外光などの光を照射する。なお、熱重合のための熱処理は、上記の乾燥工程と同時に行われてもよいし、当該乾燥工程の前または後に行われてもよい。
[プレス工程]
続いて、前記塗膜形成工程を経て作製された積層体を積層方向にプレスする。これにより、本発明の電池用電極が完成する。この際、プレス条件を調節することにより、活物質層の空隙率が制御されうる。
プレス処理の具体的な手段やプレス条件は特に制限されず、プレス処理後の活物質層の空隙率が所望の値となるように、適宜調節されうる。プレス処理の具体的な形態としては、例えば、ホットプレス機やカレンダーロールプレス機などが挙げられる。また、プレス条件(温度、圧力など)も特に制限されず、従来公知の知見が適宜参照されうる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、上記の第1実施形態の電池用電極を用いて、リチウムイオン二次電池を構成する。すなわち、本発明の第2は、正極、電解質層、および負極がこの順に積層されてなる少なくとも1つの単電池層を含むリチウムイオン二次電池であって、前記正極または前記負極の少なくとも一方が本発明の電池用電極である、リチウムイオン二次電池である。本発明の電極は、正極、負極、双極電極のいずれにも適用されうる。本発明の電極を、少なくとも1つの電極として含むリチウムイオン二次電池は、本発明の技術的範囲に属する。ただし、好ましくは、リチウムイオン二次電池を構成する電極の全てが本発明の電極である。かような構成を採用することにより、リチウムイオン二次電池の出力特性を効果的に向上させうる。
本発明の電池は、双極型のリチウムイオン二次電池(以下、「双極型電池」とも称する)でありうる。図3は、双極型電池である、本発明の第3のリチウムイオン二次電池を示す断面図である。以下、図3に示す双極型電池を例に挙げて詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はかような形態のみに制限されない。
図3に示す本実施形態の双極型電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の電池要素21が、外装であるラミネートシート29の内部に封止された構造を有する。
図3に示すように、本実施形態の双極型電池10の電池要素21は、正極活物質層13と、負極活物質層15とが集電体11のそれぞれの面に形成された双極電極(図示せず)を複数個有する。各双極電極は、電解質層17を介して積層されて電池要素21を形成する。この際、一の双極電極の正極活物質層13と前記一の双極電極に隣接する他の双極電極の負極活物質層15とが電解質層17を介して向き合うように、各双極電極および電解質層17が積層されている。
そして、隣接する正極活物質層13、電解質層17、および負極活物質層15は、一つの単電池層19を構成する。したがって、双極型電池10は、単電池層19が積層されてなる構成を有するともいえる。また、単電池層19の外周には、隣接する集電体11間を絶縁するための絶縁層31が設けられている。なお、電池要素21の最外層に位置する集電体(最外層集電体)(11a、11b)には、片面のみに、正極活物質層13(正極側最外層集電体11a)または負極活物質層15(負極側最外層集電体11b)のいずれか一方が形成されている。
さらに、図3に示す双極型電池10では、正極側最外層集電体11aが延長されて正極タブ25とされ、外装であるラミネートシート29から導出している。一方、負極側最外層集電体11bが延長されて負極タブ27とされ、同様にラミネートシート29から導出している。
以下、本実施形態の双極型電池10を構成する部材について簡単に説明する。ただし、電極を構成する成分については上記で説明した通りであるため、ここでは説明を省略する。また、本発明の技術的範囲が下記の形態のみに制限されることはなく、従来公知の形態が同様に採用されうる。
[電解質層]
電解質層17を構成する電解質としては、液体電解質またはポリマー電解質が用いられうる。
液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。可塑剤として用いられうる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。また、支持塩(リチウム塩)としては、LiBETI等の電極の活物質層に添加されうる化合物が同様に採用されうる。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない真性ポリマー電解質に分類される。
ゲル電解質は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。マトリックスポリマーとして用いられるイオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体等が挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系高分子には、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。
なお、電解質層17が液体電解質やゲル電解質から構成される場合には、電解質層17にセパレータを用いてもよい。セパレータの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔膜が挙げられる。
真性ポリマー電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。従って、電解質層17が真性ポリマー電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
ゲル電解質や真性ポリマー電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合等の重合処理を施せばよい。
[絶縁層]
双極型電池10においては、通常、各単電池層19の周囲に絶縁層31が設けられる。この絶縁層31は、電池内で隣り合う集電体11同士が接触したり、電池要素21における単電池層19の端部の僅かな不ぞろいなどによる短絡が起きたりするのを防止する目的で設けられる。かような絶縁層31の設置により、長期間の信頼性および安全性が確保され、高品質の双極型電池10が提供されうる。
絶縁層31としては、絶縁性、固体電解質の脱落に対するシール性や外部からの水分の透湿に対するシール性(密封性)、電池動作温度下での耐熱性などを有するものであればよく、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ゴムなどが用いられうる。なかでも、耐蝕性、耐薬品性、作り易さ(製膜性)、経済性などの観点から、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
[タブ]
双極型電池10においては、電池外部に電流を取り出す目的で、最外層集電体(11a、11b)に電気的に接続されたタブ(正極タブ25および負極タブ27)が外装の外部に取り出される。具体的には、正極用最外層集電体11aに電気的に接続された正極タブ25と、負極用最外層集電体11bに電気的に接続された負極タブ27とが、外装の外部に取り出される。
タブ(正極タブ25および負極タブ27)の材質は、特に制限されず、双極型電池用のタブとして従来用いられている公知の材質が用いられうる。例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等が例示される。なお、正極タブ25と負極タブ27とでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。なお、本実施形態のように、最外層集電体(11a、11b)を延長することによりタブ(25、27)としてもよいし、別途準備したタブを最外層集電体に接続してもよい。
[外装]
双極型電池10においては、使用時の外部からの衝撃や環境劣化を防止するために、電池要素21は、好ましくはラミネートシート29などの外装内に収容される。外装としては特に制限されず、従来公知の外装が用いられうる。自動車の熱源から効率よく熱を伝え、電池内部を迅速に電池動作温度まで加熱しうる点で、好ましくは、熱伝導性に優れた高分子−金属複合ラミネートシート等が用いられうる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、上記の第2実施形態の双極型電池を複数個、並列および/または直列に接続して、組電池を構成する。
図4は、本実施形態の組電池を示す斜視図である。
図4に示すように、組電池40は、上記の第2実施形態に記載の双極型電池が複数個接続されることにより構成される。各双極型電池10の正極タブ25および負極タブ27がバスバーを用いて接続されることにより、各双極型電池10が接続されている。組電池40の一の側面には、組電池40全体の電極として、電極ターミナル(42、43)が設けられている。
組電池40を構成する複数個の双極型電池10を接続する際の接続方法は特に制限されず、従来公知の手法が適宜採用されうる。例えば、超音波溶接、スポット溶接などの溶接を用いる手法や、リベット、カシメなどを用いて固定する手法が採用されうる。かような接続方法によれば、組電池40の長期信頼性が向上しうる。
本実施形態の組電池40によれば、組電池40を構成する個々の双極型電池10が出力特性に優れることから、出力特性に優れる組電池が提供されうる。
なお、組電池40を構成する双極型電池10の接続は、複数個全て並列に接続してもよく、また、複数個全て直列に接続してもよく、さらに、直列接続と並列接続とを組み合わせてもよい。
(第4実施形態)
第4実施形態では、上記の第2実施形態の双極型電池10、または第3実施形態の組電池40をモータ駆動用電源として搭載して、車両を構成する。双極型電池10または組電池40をモータ用電源として用いる車両としては、例えば、ガソリンを用いない完全電気自動車、シリーズハイブリッド自動車やパラレルハイブリッド自動車などのハイブリッド自動車、および燃料電池自動車などの、車輪をモータによって駆動する自動車が挙げられる。
参考までに、図5に、組電池40を搭載する自動車50の概略図を示す。自動車50に搭載される組電池40は、上記で説明したような特性を有する。このため、組電池40を搭載する自動車50は出力特性に優れている。
以上のように、本発明の幾つかの好適な実施形態について示したが、本発明は、以上の実施形態に限られるものではなく、当業者によって種々の変更、省略、および追加が可能である。例えば、上記の第2実施形態では双極型のリチウムイオン二次電池(双極型電池)を例に挙げて説明したが、本発明の電池の技術的範囲が双極型電池のみに制限されることはなく、例えば、双極型でないリチウムイオン二次電池であってもよい。参考までに、図6に、双極型でないリチウムイオン二次電池60の概要を示す断面図を示す。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
<実施例1>
<正極の作製>
正極活物質としてリチウムマンガン複合酸化物(平均粒径:1μm)、導電助剤としてカーボンブラック、前記正極活物質と前記導電助剤との塊状多孔質体を形成させるための結着剤としてポリビニルアルコール(重合度1500のもの)を用意した。
次いで水を溶媒として用い、ポリビニルアルコールを溶解させた。その後、リチウムマンガン複合酸化物およびカーボンブラックを加え、塊状多孔質体形成用スラリーを調製した。なお、混合比は、質量比でリチウムマンガン複合酸化物:カーボンブラック:ポリビニルアルコール=80:10:1.5であった。
このスラリーを、流動層造粒装置(パウレック社製)に投入し、温度80℃の条件で造粒、乾燥を行い、塊状多孔質体の粗生成物を得た。
次に、塊状多孔質体の粗生成物を、スパチュラを用いて平型の形に成型し、セラミックボートを用いて、500℃の条件で焼結させた。その後、乳鉢を用いて解砕し、粉末の塊状多孔質体を得た。得られた塊状多孔質体のレーザー回折法により測定した平均粒径は、5μmであった。
得られた塊状多孔質体のBET比表面積は10m/gであり、水銀ポロシメーターにより測定した塊状多孔質体の空隙率は、29%であった。
分散用ミキサーに、純度99.9%の無水NMPを入れ、次にPVdFを、リチウムマンガン複合酸化物およびカーボンブラックの合計の質量とPVdFの質量との比が90:5となる量で投入し、NMPに十分に溶解させた。その後上記で得られた塊状多孔質体を少しずつ加え、NMPに塊状多孔質体をなじませた。次に、NMPを加えて粘度を調節し、スラリー(以下、正極スラリーと称する)とした。
上記で調製した正極スラリーを、正極集電体としてのアルミニウム箔(厚さ:20μm)上にドクターブレード法で塗布し、ホットスターラー上で乾燥させて、積層体を得た。次いで、得られた積層体を、ロールプレス機を用いて、荷重10t以下でプレスした。
集電体に出力端子を接続して、試験用正極を作製した。
<負極の作製>
負極活物質であるハードカーボン(平均粒径:9μm)(85質量%)、導電助剤である気相成長炭素繊維(VGCF;登録商標)(5質量%)、およびバインダであるポリフッ化ビニリデン(PVdF)(10質量%)からなる固形分に対し、スラリー粘度調整溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量添加して、負極活物質スラリーを調製した。
上記で調製した負極活物質スラリーを、負極集電体としての銅箔(厚さ:15μm)上にドクターブレード法で塗布し、乾燥させて、積層体を得た。次いで、得られた積層体を、プレス機を用いてプレスし、集電体に出力端子を接続して、試験用負極を作製した。
<電解液の調製>
エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、およびジエチルカーボネート(DEC)を2:2:6の体積比で混合し、電解液の可塑剤(有機溶媒)とした。次いで、この可塑剤に、リチウム塩であるLiPFを1Mの濃度になるように添加して、電解液を調製した。
<評価用電池の作製>
上記で作製した試験用正極および試験用負極を16mmの直径で、それぞれ打ち抜き、試験用電極を作製した。これらの試験用電極で、リチウムイオン電池用セパレータであるポリエチレン製微多孔膜(厚さ:25μm)を挟持した。次いで得られた挟持体を三方シール済みの外装材であるアルミラミネートパック中に挿入した。その後、前記アルミラミネートパック中に上記で調製した電解液を注入し、パックから出力端子が露出するようにパックを真空シールして、評価用ラミネート電池を完成させた。
<実施例2>
質量比でリチウムマンガン複合酸化物:カーボンブラック:ポリビニルアルコール=80:10:2とした以外は、実施例1と同様の方法で塊状多孔質体を得た。得られた塊状多孔質体のBET比表面積は10m/gであり、水銀ポロシメーターにより測定した塊状多孔質体の空隙率は、35%であった。その後、実施例1と同様の方法で、評価用ラミネート電池を作製した。
<実施例3>
質量比でリチウムマンガン複合酸化物:カーボンブラック:ポリビニルアルコール=80:10:3とした以外は、実施例1と同様の方法で塊状多孔質体を得た。得られた塊状多孔質体のBET比表面積は10m/gであり、水銀ポロシメーターにより測定した塊状多孔質体の空隙率は、42%であった。その後、実施例1と同様の方法で、評価用ラミネート電池を作製した。
<実施例4>
質量比でリチウムマンガン複合酸化物:カーボンブラック:ポリビニルアルコール(固体分)=80:10:4とした以外は、実施例1と同様の方法で塊状多孔質体を得た。得られた塊状多孔質体のBET比表面積は10m/gであり、水銀ポロシメーターにより測定した塊状多孔質体の空隙率は、52%であった。その後、実施例1と同様の方法で、評価用ラミネート電池を作製した。
<実施例5>
質量比でリチウムマンガン複合酸化物:カーボンブラック:ポリビニルアルコール(固体分)=80:10:5とした以外は、実施例1と同様の方法で塊状多孔質体を得た。得られた塊状多孔質体のBET比表面積は10m/gであり、水銀ポロシメーターにより測定した塊状多孔質体の空隙率は、58%であった。その後、実施例1と同様の方法で、評価用ラミネート電池を作製した。
<実施例6>
質量比でリチウムマンガン複合酸化物:カーボンブラック:ポリビニルアルコール(固体分)=80:10:6とした以外は、実施例1と同様の方法で塊状多孔質体を得た。得られた塊状多孔質体のBET比表面積は10m/gであり、水銀ポロシメーターにより測定した塊状多孔質体の空隙率は、62%であった。その後、実施例1と同様の方法で、評価用ラミネート電池を作製した。
<比較例>
分散用ミキサーに純度99.9%の無水NMPを投入した後、PVdF(5質量%)を投入し、十分に溶解させた。次いで、正極活物質であるリチウムマンガン複合酸化物(平均粒径:1μm)(85質量%)、および導電助剤であるカーボンブラック(10質量%)、を少しずつ投入し、NMPになじませた。次に、NMPを加え粘度を調節し、正極スラリーを調製した。
上記で調製した正極スラリーを、正極集電体としてのアルミニウム箔(厚さ:15μm)上にドクターブレードで塗布し、乾燥させて、積層体を得た。次いで得られた積層体を、ロールプレス機を用いてプレスし、試験用正極を作製した。
得られた試験用正極は非常にもろく、電極の打ち抜き、裁断などの作業中に、活物質層のこぼれや活物質層の集電体からの剥離などが観察され、評価用ラミネート電池を作製することはできなかった。
<評価用ラミネート電池の電池特性の評価>
上記の各実施例で作製したラミネート電池を用いて、以下の手法により充放電試験を行った。
(活物質質量あたりの放電容量の測定)
1mAの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vを保持しながら、電流が0.01mAに絞れるまで定電圧充電を行った。その後、2.5Vまで0.2mAの定電流で放電を行った。このときの放電容量を各電池の活物質の質量で割った値を、活物質質量あたりの放電容量とした。
(活物質質量あたりのレート特性の測定)
1mAの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vを保持しながら、電流が0.01mAに絞れるまで定電圧充電を行った。その後、2.5Vで5mAの定電流で放電を行った。このときの放電容量を各電池の活物質の質量で割った値を、活物質質量あたりのレート特性とした。
(正極体積あたりのレート特性の算出)
レート特性測定で得られた放電容量の値を各電池の正極の体積で割り、実施例1を100としたときの各電池の値を正極体積あたりレート特性とした。結果を下記の表1に示す。
上記の表1から示されるように、活物質質量あたりの放電容量はすべての実施例で同等の結果となった。活物質質量あたりのレート特性は、実施例1、2で約40mAh/g程度の値を示したが、実施例3〜6では60mAh/gを超える値となった。これは、高レート放電時に、塊状多孔質体に存在する空孔内の、電解液のリチウムイオンが消費されることによって放電が行われ、空隙が多いほどレート特性に有利になるためと考えられる。正極体積あたりのレート特性では、空隙率42%付近に最大値をもつ結果となった。これは、空隙率が大きくなるとエネルギー密度が減少するためと考えられる。
上記のように、比較例で作製した正極は、バインダであるPVdFの量が5質量%と少なく、かつ塊状多孔質体も含まないため非常にもろく、電池特性の評価ができなかった。しかしながら、実施例の塊状多孔質体を含む本発明の電極は、良好な形状を示し、優れた電池特性を示すことがわかった。特に、塊状多孔質体の空隙率を40%以上とすることによって、活物質質量あたりのレート特性が良好な電池が得られ、さらに、塊状多孔質体の空隙率を55%以下とすることによって、正極体積あたりのレート特性が良好な電池が得られることがわかった。
本発明の電池用電極は、自動車等のモータ駆動用電源として用いられるリチウムイオン二次電池で、好適に用いられる。
本発明の電極における活物質層中に含まれる、塊状多孔質体を表した模式図である。 本発明の電池用電極の一実施形態(第1実施形態)を示す断面図である。 第2実施形態の双極型電池の好ましい一実施形態を示す断面図である。 第3実施形態の組電池を示す斜視図である。 第3実施形態の組電池を搭載する第4実施形態の自動車の概略図である。 双極型でないリチウムイオン二次電池の概要を示す断面図である。
符号の説明
1 導電助剤、
2 活物質、
3 結着剤、
5 単電池、
10 双極型電池、
11 集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
17 電解質層、
19 単電池層、
21 電池要素、
25 正極端子、
27 負極端子、
29 ラミネートシート、
31 絶縁層、
33 正極集電体、
35 負極集電体、
40 組電池、
42、43 電極ターミナル、
50 自動車、
60 双極型でないリチウムイオン二次電池。

Claims (8)

  1. 集電体と、
    前記集電体上に形成され、導電助剤および平均粒径が3μm以下である活物質からなる塊状多孔質焼結粒子ならびにバインダを含む活物質層と、
    を備えることを特徴とする、電池用正極
  2. 前記塊状多孔質焼結粒子の平均粒径が20μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の電池用正極
  3. 前記塊状多孔質焼結粒子のBET比表面積が3m/g以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の電池用正極
  4. 前記塊状多孔質焼結粒子の空隙率が25%以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池用正極
  5. 前記空隙率が55%以下であることを特徴とする、請求項4に記載の電池用正極
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電池用正極、電解質層、および負極がこの順に積層されてなる少なくとも1つの単電池層を含むリチウムイオン二次電池。
  7. 導電助剤、結着剤、および平均粒径が3μm以下である活物質から塊状多孔質の粗生成物を形成する工程と、
    前記塊状多孔質の粗生成物を焼結し塊状多孔質焼結粒子を得る工程と、
    得られた前記塊状多孔質焼結粒子を溶媒に添加し、スラリーを調製する工程と、
    前記スラリーを集電体の表面に塗布し、乾燥させることにより塗膜を形成する工程と、
    を含む、電池用正極の製造方法。
  8. 前記結着剤がポリビニルアルコールであることを特徴とする、請求項に記載の電池用正極の製造方法。
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