以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図35は、本発明の第1の実施形態に係わる昇降装置を示している。この昇降装置1は、図1に示すように、家屋の特に体育館や工場、倉庫などの高所の天井2に取付アーム3を図示しないボルトによって取り付け、この取付アーム3の下部に、昇降装置本体5をその左右両側にてボルト7を用いて取り付けている。また、昇降装置本体5の上部は、カバー9により覆っている。
昇降装置1は、昇降装置本体5に対し、図3に示す昇降体11を吊材としてのワイヤ13により吊り下げて昇降動自在に支持する。そして、昇降体11には、図1に示す照明器具15が取り付けられ、この照明器具15を昇降させて、例えば清掃や消耗品交換などのメンテナンス作業を行う。なお、図3,図4では、照明器具15及びカバー9を省略している。
上記した昇降体11は、昇降装置本体5の基台17に設けたガイド部としての開口部17aに嵌入して取り付けられ、この取付状態で、図2と図10に示す昇降装置本体5側の昇降装置本体側接点(傾き検出手段)19と、昇降体11(照明器具15)側の昇降体側接点(傾き検出手段)21とが互いに接触して、昇降装置本体5から照明器具15に給電されるようになっている。この際、昇降装置本体側接点19は昇降装置本体5に固定してある絶縁体20に対して上下動可能であり、該昇降装置本体側接点19を昇降体側接点21に押圧して接点圧を付与する弾性部材としての接点ばね22を、絶縁体20と昇降装置本体側接点19との間に設けている。なお、このとき昇降装置本体側接点19はねじ24により下方への移動量が規制されている。
昇降装置本体5には、図3に示す駆動手段である正逆回転可能なモータ23によって減速機25を介して回転し、前記したワイヤ13を巻き取りあるいは巻き出す巻取ドラム27を設置している。巻取ドラム27に一端を接続してあるワイヤ13は、巻取ドラム27からほぼ水平に引き出されて第1滑車29に巻き渡した後U字状に方向変換し、巻取ドラム27と第1滑車29とのほぼ中間位置に設けてある第2滑車31に掛け渡されている。
第2滑車31から下方に方向変換して延びるワイヤ13は、前記した昇降装置本体5の基台17に設けた開口部17aを通して昇降体11に設けてある図9にも示す一対の滑車33,35に巻き渡し、このワイヤ13の他端を開口部17aに再度貫通させて上方に引き出し、昇降装置本体5に設けてあるワイヤ保持部37に保持させている。
なお、第1滑車29を省いて、巻取ドラム27から巻き出されたワイヤ13が 直接第2滑車31にて下方に方向転換される構造であってもよい。また、ワイヤ保持部37側に別の巻取ドラムを設けてワイヤ13の他端側を巻き取るようにしてもよい。
そして、本実施形態では、図2,図8に示すように、昇降体11を昇降装置本体5の開口部17aに進入させて入り込ませた状態で、昇降体11に設けた係止部39の下方位置に対し水平方向外側から進出して昇降体11の下方への移動を規制するロック機構としてのシャッタ41を昇降装置本体5に設けている。このシャッタ41は、図2に示す昇降体11を間に挟んで左右対称位置に一対設けている。この左右対称位置に設けられた一対のシャッタ(一対のロック機構)41,41のロックにより、昇降体11は安定して落下を防止した状態で保持されるようになっている。
図10に示すように、昇降装置本体5の開口部17aへの昇降体11の嵌め込め動作時に、昇降体11を上記した一対のシャッタ41,41の上に置くと、上下振動・地震の際に昇降体11がシャッタ41から浮いて衝突し、シャッタ41が破損する現象が起きる可能性がある。そこで、昇降体11をシャッタ41の上に置かれた状態の時、昇降体11を下に向かって弾性部材としての接点ばね22で押せば、上下方向の振動が起きた時に昇降体11が浮くのを抑えることができるようになっている。なお、弾性部材を接点ばね22で兼ねているので、部品点数を削減することができるようになっている。
また、昇降体11に取り付けられた照明器具15は、図示しない3つのランプを備えている。この3つのランプを点灯させるためには、図11及び図13に示すように、昇降装置本体5側に6つの昇降装置本体側接点19が必要となると共に、昇降体11(照明器具15)側に6つの昇降体側接点21が必要となる。また、昇降体11の一対のシャッタ41,41による不完全なロック状態をランプの不点灯により使用者に異常を知らせるためには、上記の3つのランプの全部が不点灯である必要がある。1つでもランプが点灯すると使用者が異常を見誤る可能性があるためである。
図11,図12は、上記3つのランプを使用した場合の例を示す。昇降体11の通常のロック状態において、昇降装置本体側接点19は昇降体側接点21に対して弾性部材としての接点ばね22にて下方に押圧されて接点圧が付与されており、接点圧を均一にするために、接点ばね22の種類及び絶縁体20からの昇降装置本体側接点19の突出量(図12中長さA)を同じにしている。よって、図11,図13に示すように、左右に位置する各一対の昇降装置本体側接点19,19間の距離を同一(図11中、L1=L2=L3)にすれば、昇降装置本体側接点19と昇降体側接点21との空間距離Bを同じにすることができ、昇降体11の不完全ロック時に全てのランプを不点灯にすることができるようになっている。
図14はシャッタ41が閉じて昇降体11の下方への移動を規制している状態を示し、図15はシャッタ41が開いて昇降体11の下方への移動を規制していない状態を示している。なお、これら図14,図15においては、昇降装置本体5の基台17に設定してあるシャッタ41及びシャッタ41に関連する部品以外は省略している。
上記したシャッタ41は、その基端部41aが基台17に対し図14(a)中で紙面に直交する方向(鉛直方向)を軸芯とする回転支持軸43に回転支持されている。そして、このシャッタ41は、その先端部(上端部)41bが、図2,図14に示すように係止部39の下方に位置して昇降体11を支持する支持位置と、図15に示すように上記支持位置から先端部41bが昇降体11から離れた位置となる退避位置との間を、前記した回転支持軸43を中心として水平面内で回転可能となっている。
また、基台17上には、シャッタ41を上記した支持位置から退避位置へ移動させるための駆動部としてのソレノイド45を設置している。
図16は、シャッタ41の斜視図で、このシャッタ41は、図14,図15中での左右一対のうち右側のものを示している。図16に示すように、シャッタ41は、前記した基端部41aからアーム状に延びるアーム部41cの先端側に、前記先端部41bを備えるほぼ矩形状の先端膨大部41dを有し、先端膨大部41dのアーム部41c側の縁部及びアーム部41cと反対側の縁部は、図2中で下方に屈曲する屈曲部41e及び41fを備えている。
そして、アーム部41cの先端膨大部41d近傍には、前記図14,図15に示したソレノイド45の可動鉄心47の先端を回転可能に連結する連結ピン49のピン挿入孔41gを形成している。なお、符号41hは、前記した回転支持軸43を回転可能に挿入する回転支持軸挿入孔である。
ここで、シャッタ41は、該シャッタ41の開時にソレノイド45への通電により可動鉄心47が後退移動して退避位置となり、退避位置から支持位置(シャッタ41の閉時)への移動については、ソレノイド45への通電を停止した上で、上記した回転支持軸43に設けた弾性手段としてのねじりコイルばね51によってなされる。即ち、ねじりコイルばね51の一端が、昇降装置本体5の基台17に設けたばね受部17bに図14(a)中で下方に向けて押し付け、ねじりコイルばね51の他端は、図16に示すシャッタ41のアーム部41cの裏面に形成してある図示しない係止爪に係止することで、支持位置に向けて押圧保持することになる。
これら一対のシャッタ41,41とソレノイド45とねじりコイルばね51とで昇降体11のロック及びロック解除するロック制御装置(回転シャッタ装置)40が構成されている。すなわち、ソレノイド45への通電を停止した上で、回転支持軸43に設けた弾性手段としてのねじりコイルばね51によって一対のシャッタ41,41が閉じられて昇降体11にロックをかけ、また、ソレノイド45への通電により可動鉄心47が後退移動して一対のシャッタ41,41が退避位置となって昇降体11のロックが外れてロック状態が解除されるようになっている。
なお、シャッタ41の支点、力点、作用点の位置を自由に変えれば、シャッタ41の作用点上のストロークを自由に変えることができる。仮に、ソレノイド45の可動鉄心47のストロークが5mmとすると、シャッタ41の力点を、支点と作用点の中間点にすれば、作用点上のストロークが10mmに倍増できる。よって、直動シャッタ装置と比較して回転シャッタ装置40は、設計自由度が高い。また、直動シャッタ装置のように、シャッタ41の動作時に、シャッタ41が傾いてごじることが少ない。さらに、ソレノイド45の構造が簡単になると共に、シャッタ41の閉時にソレノイド45に通電する必要がないため、省エネになる。
また、シャッタ41の先端部41b上には、シャッタ41が支持位置から退避位置へ移動するのを阻止する抜け止め部としての抜け止め突起41iを設けている。
シャッタ41が、図2,図14に示すように閉じた状態では、抜け止め突起41iが昇降体11の係止部39よりも前方(開口部17a側)に位置している。またこのとき、昇降体11は、係止部39を介してシャッタ41上に載置された状態となっている。したがって、このとき昇降体11を吊り下げ支持するワイヤ13の負荷が軽減することになる。
また、昇降体11を昇降装置本体5の開口部17aに進入させて係止部39をシャッタ41上に載置した状態では、前述したように昇降装置本体5の昇降装置本体側接点19と、昇降体11の昇降体側接点21とが互いに接触している。また、このとき接点ばね22の弾性力によって、昇降装置本体側接点19を昇降体側接点21に押し付けて接点圧を付与しており、この押し付け力によって昇降体11がシャッタ41に押し付けられることになる。すなわち、接点ばね22が押圧部材を構成している。
また、本実施形態では、昇降体11を昇降装置本体5の開口部17aに進入させて係止部39がシャッタ41上に載置可能な位置では、これら昇降体11と昇降装置本体5との間に、昇降体11が昇降装置本体5に対して回転するのを規制する回り止め部を設けてある。
この回り止め部は、図3〜図7に示すように、昇降体11を平面視でほぼ矩形状とし、これに対応して昇降装置本体5側の開口部17aも同形状として、この各矩形状部分の四隅の角部Kによって構成している。すなわち、昇降体11が昇降装置本体5の開口部17aに進入すると、昇降体11が四箇所の回り止め部Kにより回転規制されるようになっている。これにより、昇降体11は完全に回転規制されるため、非対称な照明器具を取り付けることができるようになっている。
次に、ワイヤ13に吊り下げ支持されている昇降体11が、昇降装置本体5の開口部17aから外されて下方に位置する状態から、開口部17aに進入させてロックするまでの動作について説明する。
図17(a),(b)は、昇降体11が昇降装置本体5の開口部17aに進入する直前で、かつソレノイド45は通電されていてシャッタ41が退避位置にある状態である。この退避位置では、この状態から図18(a),(b)に示すように、ワイヤ13をモータ23の正転駆動により巻取ドラム27に巻き取ることで、昇降体11が上昇して昇降装置本体5の開口部17aに進入しつつ、図19(a),(b)の状態では本体側接点部19と昇降体側接点部21とが互いに接触を開始する。
図19(a),(b)の状態からさらに昇降体11が上昇すると、図20(a),(b)に示すように、昇降体11の上端部が昇降装置本体5の開口部17a周縁の下面部に干渉し、このとき昇降体11は、ワイヤ13に吊り下げられた状態であって係止部39の下端がシャッタ41の抜け止め突起41iよりも上方位置になる。
次に、図21(a),(b)に示すように、ソレノイド45への通電を停止することで、シャッタ41は、ねじりコイルばね51の作用によって回転支持軸43を中心として回転し、退避位置から前進移動してシャッタ41の一部である先端部41bが係止部39の下方に位置する支持位置となる。このとき、抜け止め突起41iは、係止部39よりも上記前進移動方向前方(開口部17a)に位置している。
この状態で、図22(a),(b)に示すように、モータ23を逆転駆動して巻取ドラム27からワイヤ13を僅かに巻き出すことで、昇降体11の係止部39をシャッタ41の先端部(上端部)41b上に載置した状態とする。これにより、ワイヤ13は弛んだ状態となって昇降体11の重量の負荷を受けないようにしている。また、この状態でのシャッタ41は、退避位置へ移動しようとしても、抜け止め突起41iが係止部39に干渉することになるので、退避位置への移動が阻止されることになる。
このように、本実施形態では、昇降体11を昇降装置本体5に対してロック固定する際には、昇降装置本体5の開口部17aに昇降体11が進入した状態で、シャッタ41が、昇降体11の係止部39の下方位置に対し水平方向外側から進出し、昇降体11の下方への移動を規制するように係止する。このため、昇降装置全体が例えば地震などによって上下方向の振動入力を受けたとしても、昇降体11の下方への移動を確実に防止でき、昇降体11のロック状態を安定化することができる。
また、ロック時には、昇降体11をシャッタ41の先端部41b上に載置した状態としているので、シャッタ41の昇降体11に対するロック状態がより安定化するとともに、ワイヤ13は、弛んだ状態となるので、昇降体11の重量の負荷を受けることはなく負荷を軽減でき、長寿命化を達成できる。
また、シャッタ41は、昇降体11が載置されている状態で退避位置への移動を阻止する抜け止め突起41iを備えているので、昇降体11の下方への移動を規制する状態をより確実に維持することができる。
さらに、昇降体11がシャッタ41上に載置されている状態で、接点ばね22が、昇降体11をシャッタ41に押し付けるように下方に向けて押圧しているので、昇降装置全体が上下方向の振動を受けたとしても、昇降体11の浮きを抑えることができ、ロック状態を確実に維持することができる。
この際、本実施形態では、昇降体11の浮きを抑えるために接点ばね22を利用しているので、専用の押圧部材を設ける場合に比較して、部品点数の削減を達成できる。
また、シャッタ41は、昇降体11を間に挟んで左右両側に一対配置しているので、昇降体11をバランスよく保持することができる。
また、シャッタ41を回転によって退避位置と支持位置との間を移動させるようにしているので、シャッタ41の回転時での支点、力点及び作用点のそれぞれの位置を適宜に変更することができ、シャッタ41の移動ストロークを容易に変更できて設計自由度が高くなる。また、回転式のシャッタ41は、直動式の場合に比較して傾きにくく、動作が安定する。直動式の場合には、移動方向の左右両サイドをガイドする必要があるので、移動させる際の押圧部位が左右いずれかに偏っていたりすると、左右のガイド部に負荷がかかり動作が悪化する恐れがある。
さらに、駆動部であるソレノイド45は、シャッタ41が支持位置から退避位置へ移動させるときのみ動作させる構成であるので、簡素化したものを使用でき、コスト低下に寄与することができる。
図23及び図24に昇降体11の不完全なロック状態の一例を示す。
この昇降体11の不完全なロック状態では、図23及び図24中右側に位置するシャッタ41は正常に閉じられているが、左側に位置するシャッタ41は閉じられていない。よって、昇降体11が片方のロック機構としての片方のシャッタ41と昇降装置本体5と昇降体11の側面にて保持されているため、非常に不安定な状態にある。このような状態で放置していると、通常一対のロック機構としての一対のシャッタ41,41で保持されるべき昇降体11が、片側のシャッタ41でしか保持されていないため、地震や長時間の振動により強度が低下し、シャッタ41も破損するおそれがある。そこで、このような昇降体11の不完全なロック状態を検知するための不完全ロック検知手段と、検知された信号を外部に送る外部信号出力手段を設けて、昇降体11のロック状態の異常を検知し、外部に異常を伝えることができるようになっている。
すなわち、図23及び図24に示すように、昇降装置本体5に固定されて昇降装置本体側接点19を絶縁する絶縁体20の両側に不完全ロック検知手段としての一対のギャップセンサ(傾き検出手段)52,52を設けてある。この一対のギャップセンサ52,52の値の差を求めることで、昇降体11の傾きを求めることができるようになっている。この昇降体11の傾きを検出することで、昇降体11の不完全なロック状態の発生を安価な構造で確実に検出することができる。
また、左右に位置する各一対の昇降装置本体側接点19,19と各一対の昇降体側接点21,21とで外部信号出力手段を兼ねた不完全ロック検知手段を構成する。すなわち、照明器具15のランプ点灯のために、一対の昇降装置本体側接点19,19と一対の昇降体側接点21,21とを3組設けて、昇降体11の不完全なロック状態を検出し、使用者に異常を知らせることができるようになっている。具体的には、昇降体11の不完全なロック状態の時に、一対の昇降装置本体側接点19と昇降体側接点21とが離れることで、ランプを点灯させようとしても、ランプが不点灯になるため、使用者が昇降体11のロック状態の異常を知ることができる。これにより、不完全ロック検知手段が、ランプ点灯用の接点と共通化することができるため、部品点数を減らすことができると共に、低コスト化を図ることができる。
さらに、図23及び図24に示すように、昇降装置本体4の左右一対のシャッタ41,41の相対向する位置には、昇降体11が完全なロック状態にある時に、一対のシャッタ41,41の位置を検知する不完全ロック検知手段としての検知スイッチ(傾き検出手段)54を設けてある。この検知スイッチ54は、フォトインタラプタ54aとその光を遮るシャッタ54bとで構成されている。この検知スイッチ54により、昇降体11のロック完了時に左右どちらかのシャッタ41の位置に異常があれば、不完全な嵌合状態と認識できる。さらに、左右どちらのシャッタ41の位置の異常かを検出できるので、不完全なロックの原因となるロック機構としての左右一対のシャッタ41,41を特定することができる。なお、シャッタ54bはロック機構としてのシャッタ41と連動するものを用いたが、シャッタ41の一部に遮蔽部を設けて検知スイッチ54のシャッタとしてもよい。
また、本実施形態では、図2,図3,図25に示すように、巻取ドラム27に回転検知用ドグ53を設けるとともに、基台17側に、昇降体11の昇降方向の位置を検出する位置検出手段としての回転検知センサ55を設けている。なお、ここでの回転検知センサ55としては透過型のものを使用するが、透過型に限るものではない。
回転検知センサ55で、巻取ドラム27の回転位置を検知することで、昇降体11の上下方向位置を把握し、昇降体11が昇降装置本体5から充分離れて下方に位置するときには、ソレノイド45への通電を解除してシャッタ41を支持位置としておく。
これにより、昇降体11を昇降装置本体5の開口部17aに進入させるときのみ、すなわち必要時のみソレノイド45に通電してシャッタ41を退避位置にすればよいので、ソレノイド45に供給するエネルギ(電気)消費量を低減することができる。
上記した回転検知センサ55による昇降体11の上下方向位置の検知については、以下のようにして行う。昇降体11が開口部17a内に進入し、最上位位置にあるときの位置を「0」とする。巻取ドラム27が回転すると、回転検知センサ55は回転検知用ドグ53に光を遮られて、ON,OFFの連続信号を得ることになる。
ここで、ONまたはOFF時に昇降体11の位置をプラスまたはマイナスにする。昇降体11の位置をプラスにするかマイナスにするかは、巻取ドラム27の回転方向による。例えば、図2において、巻取ドラム27を反時計回りに回転かつ回転検知センサ55のON信号にて、昇降体11の位置を「プラス」とし、逆に巻取ドラム27を時計回りに回転かつ回転検知センサ55のON信号にて、昇降体11の位置を「マイナス」とする。上記の「プラス」と「マイナス」は逆でもよい。
これにより、昇降体11の位置が認識可能になり、シャッタ41の支持位置への閉動作をねじりコイルばね51で行う場合に、シャッタ41が退避位置にあるときに昇降体11が開口部17aから充分離れたら(例えば0.3m〜1.0m)ソレノイド45への通電を解除すればよい。よって、必要な時(昇降体11がガイド部17a内に近い時)以外は、ソレノイド45への通電をしなくてもよくなる。
なお、シャッタ41の支持位置への閉動作をねじりコイルばね51で行わずに、ソレノイドで行うようにしてもよい。
次に、図25〜図35に基づいて巻出量判別装置60によるワイヤ13の巻出量の判別について説明する。
前記した第1滑車29は、図28に示すように回転中心軸30を備え、この回転中心軸30の第1滑車29を境にしてその軸方向両側部分を、昇降装置本体5の基台17に立設した滑車支持台18上の一対の凹部18a,18bに、回転可能かつ第1滑車29とともに軸方向に移動可能に配置する。滑車支持台18の上記凹部18a,18bを設けた部位相互間には、第1滑車29が回転中心軸30に対して軸方向に移動可能に収容される間隙38を設けてある。
滑車支持台18の上記した凹部18a,18bは、第2滑車31側の端面18a1,18b1が巻取ドラム27の回転中心軸28と平行で、第2滑車31と反対側の端面18a2,18b2が、上記端面18a1,18b1に対し、図28中で下部側が同上部側よりも第2滑車31から離れた位置となるように傾斜している。なお、端面18a1,18b1は互いに同一面上に位置し、端面18a2,18b2も傾斜した状態で互いに同一面上に位置している。
第1滑車29の回転中心軸30は、第1滑車29及び第2滑車31にワイヤ13が掛け渡されて該ワイヤ13が前記した昇降体7を支持することで張力が発生している図27,図28に示す通常の状態では、凹部18a,18bの上記した端面18a1,18b1に接触し、巻取ドラム27の回転中心軸28と平行になる。
上記回転中心軸30の図28中で上部側の端部30aには弾性手段としての引張コイルスプリング32の一端を取り付け、引張コイルスプリング32の他端は滑車支持台18側のスプリング引掛部34に引っ掛け、回転中心軸30を第2滑車31側に押し付けている。
スプリング引掛部34は、図28では二点鎖線で示してあるカバー36に形成してある。カバー36は、図26に示すように第1滑車33を覆うコ字状のカバー本体36aと、カバー本体36aの一方側にて前記した凹部18aを覆うようにして滑車支持台18にねじ止め固定され、前記したスプリング引掛部34を備える第1固定板部36bと、カバー本体36aの他方側にて前記した凹部18bを覆うようにして滑車支持台18にねじ止め固定される第2固定板部36cとを備えている。
図29(a)は図26の上記カバー36を設けた部位周辺の図26とは逆方向(引張コイルスプリング32側)から見た斜視図であり、図29(b)は図29(a)に対してカバー36を省略している。
上記したカバー36における第2固定板部36cのカバー本体36aと反対側の縁部には、上方に向けて折曲形成してある検知部取付板36dを備えている。検知部取付板36dには、検知部材としての検知レバー63を、第1滑車29の上方に位置している回転支持軸65を中心として回転可能に支持させてある。
検知レバー63は、図27に示すように正面視でほぼ直角三角形を呈する一対の縦板部63a,63aを備え、この各縦板部63aの上端角部に前記した回転支持軸65を設けている。この一対の縦板部63a,63のうち検知部取付板36d側の縦板部63aには、下方に突出する突出片63bを形成してあり、この突出片63bは第1滑車29の回転中心軸30の第2滑車31と反対側近傍に位置している。
ここで、図30(a)は図26における検知レバー63周辺の斜視図であり、図30(b)は図30(a)に対してカバー36を省略している。
また、検知レバー63は、上記一対の縦板部63a,63aの下縁同士を接続する底板部63cを有している。この底板部63cの上記突出片63bとは反対側の位置にて巻取ドラム27側に向けて水平に突出する突出部63c1の先端には、回転支持軸65と平行に引張コイルスプリング32側に向けて延びるワイヤ検知部63dを設けている。
このワイヤ検知部63dは、図27に示すように、正面視で上端が頂点となるような山形状を呈しており、その上方に巻取ドラム27と第1滑車29との間のワイヤ13aが位置している。
そして、このワイヤ検知部63d近傍の底板部73c(突出部63c1)の下方に検知スイッチ67を配置している。検知スイッチ67は、そのスイッチ本体67aを、図29(a)に示すように、検知部取付板36dに形成してあるスイッチ取付部36d1の底板部63c側にねじ止めしている。
スイッチ本体67aから突出するスイッチアーム67bの先端にはスイッチ部67cを備え、このスイッチ部67cを、前記した検知レバー63の底板部63cが下方に押し付けることで、スイッチアーム67bが回転して検知スイッチ67が動作し、前記したモータ23の駆動が停止するようになっている。
また、上記したスイッチ取付部36d1の上端縁には、検知レバー63の底板部63cの下部側にて水平方向に延びるストッパ36eを形成している。このストッパ36eは、検知レバー63の底板部63cが当接することで検知レバー63の必要以上の回転を規制する。これら巻取ドラム27と回転検知センサ55と検知レバー63と検知スイッチ67等で巻出量判別装置60が構成されている。
次に、作用を説明する。まず、ワイヤ13の弛み検知について図31,図32を用いて説明する。
例えば、照明器具15(昇降体11)を下降させているとき、換言すれば、モータ23を駆動してワイヤ13を巻取ドラム27から巻き出しているときに、照明器具15が床面に到達してワイヤ13に弛みが発生した場合を想定する。
この場合には、ワイヤ13の張力が第1滑車29に作用しなくなり、この結果、第1滑車29は、引張コイルスプリング32によって回転中心軸30の一端側が第2滑車31側に引っ張られて回転中心軸30とともに図32に示すように傾斜する。この傾斜の際には、回転中心軸30は一方の狭い側の凹部18aが揺動支持部となって該揺動支持部を支点として水平面内で揺動することになる。
上記した揺動によって回転中心軸30は、引張コイルスプリング32と反対側の他方の端部が図31に示すように、検知レバー63の突出片63bを図31中で右方向(矢印A方向)に押し付け、検知レバー63を図31中で反時計方向(矢印B方向)に回転させる。
これにより検知レバー63は、その底板部63cが検知スイッチ67のスイッチ部67cを下方に押し付けて検知スイッチ67を動作させ、この検知スイッチ67の動作によってモータ23の駆動が停止し、ワイヤ13の巻き出し動作が停止する。すなわち、図21(a),(b)から図22(a),(b)に示すように、昇降体11の係止部39をシャッタ41の先端部41b上に載置してワイヤ13が弛んだ時に、昇降体11の下降を停止させる。そして、検知スイッチ67が動作した後は、検知レバー63の底板部63cがカバー36のストッパ36eに当接してそれ以上の回転が規制され、検知スイッチ37の破損を防止する。
次に、ワイヤ13の反転検知について図33,図34を用いて説明する。
例えば、照明器具15を下降させているとき、換言すれば、モータ23を駆動してワイヤ13を巻取ドラム27から巻き出しているときに、照明器具15が床面に到達する前にワイヤ13を巻取ドラム27からすべて巻き出した場合を想定する。
この場合には、図33に示す巻取ドラム27のワイヤ巻き出し方向Dの回転によってワイヤ13の巻取ドラム27への接続部48が、さらに上記D方向に巻取ドラム27の回転に伴い回転移動する。これにより、巻取ドラム27と第1滑車29との間のワイヤ13aが、図34に示すように下方に移動して検知レバー63のワイヤ検知部63dを押し下げる。
さらに、この押し下げられたワイヤ検知部63dと一体の底板部63cが検知スイッチ67のスイッチ部67cを下方に押し付けて検知スイッチ67を動作させ、この検知スイッチ67の動作によってモータ23の駆動が停止する。これにより、ワイヤ13の図34の状態からのさらなる矢印D方向への回転、すなわち巻取ドラム27の反転を防止する。検知スイッチ67が動作した後は、前記した弛み検知時と同様に、検知レバー63の底板部63cがカバー36のストッパ36eに当接してそれ以上の回転が規制され、検知スイッチ67の破損を防止する。
このように、本実施形態では、弛み検知と反転検知とを、1つの検知レバー63及び1つの検知スイッチ67を共用して実施しているので、部品点数が少なくて済み、材料費及び組立費を低く抑えて製造コストを削減することができる。この際、本実施形態では、第1滑車29の回転中心軸30が巻取ドラム27の回転中心軸28と平行でかつ第1滑車29を軸方向に移動可能とし、ワイヤ13をこの第1滑車29でU字状に方向変換させた後、第2滑車31に掛け渡している。
また、巻出量判別装置60によるワイヤ13の巻出量の管理は、巻取ドラム27の回転量を管理することで行うことができる。図21(a),(b)及び図22(a),(b)に示す昇降体11の係止部39が一対のシャッタ41,41の各先端部41b上に載置された正常のロック状態で、昇降体11の高さ方向の位置を例えば5mmとすると、ワイヤ13が弛むまで、すなわち、図21(a),(b)から図22(a),(b)に示す状態までのワイヤ13の巻出量は、5mm×2=10mmとなる。もし、昇降体11が不完全なロック状態にある場合(片側のシャッタ41が開いた状態、もしくは、シャッタ41の一部が破損した場合などの場合)で、図21(a),(b)から図22(a),(b)に示す状態の動作を行った場合、昇降体11が傾く分だけ、10±αmm巻き出さなくてはならない。例えばαを2mmとすれば12mm以上ワイヤ13が巻き出された時に、昇降体11の不完全なロック状態を検出することができる。
また、図24に示すように、一対のシャッタ41,41による昇降体11のロック状態が不完全な時に、昇降装置本体5の開口部17a内付近にて、図20(a),(b)〜図22(a),(b)に示す昇降体11の昇降、一対のシャッタ41,41の開閉動作、昇降体11の下降及び停止の一連のロック動作を複数回行うことで、昇降体11の不完全なロック状態を解消することができる場合がある。さらに複数回の上記動作を行い、さらに不完全なロックの場合に、ランプなどの外部信号出力手段に異常を出力することで、昇降体11の不完全なロック状態を外部に知らせることができる。これにより、昇降装置1の昇降体11の不完全なロック状態が発生する確率を減らすことができる。
さらに、図35は、不完全ロック検知手段としてのギャップセンサ(傾き検出手段)52と検知スイッチ(ロック機構位置検出手段)54及び巻出判別装置60の作用・効果を比較した説明図である。
この図35に示すように、昇降装置1は、昇降体11の不完全なロック状態を検知するために、傾き検出手段52やロック機構位置検出手段54等の複数の不完全ロック検知手段を設けて、その不完全なロック状態の組み合わせにより、昇降体11の不完全なロック状態の原因を特定することができる。例えば、傾き検出手段52やロック機構位置検出手段54を組み合わせたり、また、ロック機構位置検出手段54と巻出判別装置60を組み合わせたりしてロック状態判別装置を構成することで、昇降体11の不完全ロックの原因が「ロック機構41の動作不良」か「ロック機構41の破損」などかが判別できる。
図36,図37,図38は、本発明の第2の実施形態に係わる昇降装置の昇降装置本体5′を示している。
前記第1の実施形態では、昇降体11に取り付けられた照明器具15は3つのランプを備えている場合について説明したが、この第2の実施形態では、2つのランプを点灯させるためには、図36〜図38に示すように、昇降装置本体5′側に4つの昇降装置本体側接点19と昇降体11′側に4つの昇降体側接点21を設け、昇降体11′の一対のシャッタ41,41による不完全なロック状態を2つのランプの全部の不点灯により使用者に異常を知らせるようになっている。
すなわち、上記2つのランプを使用した場合に、昇降体11′の通常のロック状態においては、昇降装置本体側接点19は昇降体側接点21に対して弾性部材としての接点ばね22にて下方に押圧され接点圧が付与されており、接点圧を均一にするために、接点ばね22の種類及び絶縁体20から昇降装置本体側接点19の突出量を同じにしている。よって、図36,図38に示すように、左右に位置する4つの昇降装置本体側接点19,19間の距離を同一(図36中、L1=L2=L3=L4)にすれば、各昇降装置本体側接点19と昇降体側接点21との空間距離を同じにすることができ、昇降体11の不完全ロック時に全てのランプを不点灯にして、昇降体11′の一対のシャッタ41,41による不完全なロック状態の異常を使用者に知らせることができる。
なお、前記各実施形態では、昇降体をロックするロック機構として一対のシャッタを用いたが、シャッタ以外の機構でロック機構を構成してもよい。