JP5229396B2 - 位置決め制御装置 - Google Patents
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Description
また、前述した特許文献2に開示された技術では、残りの移動距離がどれぐらいの値から制御ループ特性を切り替えるかの具体的な指針が無く、試行錯誤によりこれを決定しなければならないため、位置決め制御装置の調整に時間がかかるという問題があった。さらに、位置決め制御中に位置制御ループ特性を切り換えることに伴い、モータトルクなどのアクチュエータの操作量が不連続になり、これに起因する振動などが発生するという問題があった。
位置決め制御における機械の移動距離及び機械の制限加速度からなる動作条件情報に基づいて、最終値が前記移動距離となり、かつ二回微分信号である指令加速度信号が前記制限加速度以下となるように位置指令信号を生成するとともに、この位置指令信号から、機械の位置決め制御において発生する残留振動の成分を除去した振動成分除去位置指令信号を、前記動作条件情報に基づいて生成するとともに、前記検出位置信号と前記振動成分除去位置指令信号とに基づいて、前記振動成分除去位置指令信号と機械位置が一致するように位置決め制御を実行するための第二のトルク指令信号を生成する第二のサーボ制御部と、
予め任意の動作条件のもとで第一のサーボ制御部を使用して位置決め制御を行った際に発生した機械の残留振動を計測した残留振動情報を記憶する残留振動情報入力部と、
前記残留振動情報及び動作条件情報に基づき、第一のサーボ制御部を使用して位置決め制御を実行した場合に発生する機械の残留振動の振幅値を予測する残留振動振幅予測部と、
位置決め制御で目標とする機械の移動距離と、位置決め制御終了時における機械の検出位置との差の許容値を、許容位置決め誤差を記憶する許容位置決め誤差入力部と、
前記残留振動振幅予測部で予測した残留振動振幅予測値が、前記許容位置決め誤差を超える場合は、第二のサーボ制御部を用いて機械の位置決め制御を実行し、また、前記残留振動振幅予測値が前記許容位置決め誤差以下の場合は、第一のサーボ制御部を用いて機械の位置決め制御を実行するよう、動作条件毎に位置決め制御に用いるサーボ制御部を選択するサーボ制御部選択部と、
前記サーボ制御選択部が選択したサーボ制御部から出力されるトルク指令信号をもとに、機械を駆動するモータに与える電流を制御する電流制御部と、
を備えることを特徴とする。
5 ボールネジナット、6 弾性要素、7 負荷機械
10 動作条件情報部、11 第一のサーボ制御部、12 第二のサーボ制御部、
13 許容位置決め誤差入力部、14 残留振動情報入力部、
15 残留振動振幅予測部、16 サーボ制御選択部、17 電流制御部、
20 動作条件情報、21 第一のトルク指令信号、22 第二のトルク指令信号、
23 選択トルク指令信号、24 電流、25 検出位置情報、26 残留振動情報、
27 許容位置決め誤差、30 位置指令信号生成部、31 位置制御部、
32、36 微分器、33 速度制御部、35 低域フィルタ部、
37、57 フィードフォワードトルク指令信号生成部、40 位置指令信号、
41、51 位置偏差信号、42、52 速度指令信号、43、53 検出速度信号、
44、54 速度偏差信号、50 低域通過位置指令信号、
55 暫定第一のトルク指令、70 振動成分除去部、
71 振動成分除去位置指令信号、80 無振動型位置指令信号生成部、
91 残留振動振幅理論値算出部、92 比例定数乗算部、
93 サーボ制御選択判断部、94 サーボ制御選択実行部、
101〜105 加減算器、X 残留振動振幅予測値、Y 残留振動振幅予測値。
本発明の実施の形態1について以下説明する。図1は、位置決め制御装置の一例を示すブロック図である。1はモータ、2はモータ1の位置情報を検出する位置検出器、3はモータ1の回転運動を直線運動に変換するボールネジ、4はモータ1の動力をボールネジ3に伝えるカップリング、5はボールネジ3によって駆動されるボールネジナット、6は機械に含まれる弾性要素、7は駆動する機械負荷を表す。
10は位置決め制御に必要な情報である、移動距離や位置決め制御時の制限すべき制限加速度などの動作条件情報を出力する動作条件情報部、11は動作条件情報と位置検出器が出力する位置情報とをもとに、機械の残留振動の発生を考慮せずにモータの位置決め制御を行わせるための第一のトルク指令信号を算出する第一のサーボ制御部、12は動作条件情報と位置検出器が出力する位置情報とをもとに、機械の残留振動の発生を抑制してモータの位置決め制御を行わせるための第二のトルク指令信号を算出する第二のサーボ制御部である。
13は目標とする機械の移動距離と位置決め制御終了時の機械の検出位置との誤差の許容値、もしくは機械の残留振動振幅の許容値を、許容位置決め誤差として位置決め制御装置の外部から入力する許容位置決め誤差入力部、14は第一のサーボ制御部11を使用したときに発生する機械の残留振動の情報(残留振動の周波数や振幅など)を位置決め制御装置の外部から入力する残留振動情報入力部、15は動作条件情報をもとに、第一のサーボ制御部を使用して位置決め制御を行ったときの機械の残留振動の振幅予測値を出力する残留振動振幅予測部、16は残留振動振幅予測部の出力と許容位置決め誤差とを比較し、第一のサーボ制御部が生成した第一のトルク指令を使用して実際の位置決め制御を行うか、第二のサーボ制御部が生成した第二のトルク指令を使用して実際の位置決め制御動作を行うか、の選択を行うサーボ制御選択部、17はサーボ制御選択部16で選択したサーボ制御部から出力されたトルク指令をもとに、モータ1が所望のトルクを発生できるように、モータに与える電流を制御する電流制御部である。
20は動作条件情報部10から出力される動作条件情報であり、21は第一のサーボ制御部が生成する第一のトルク指令信号、22は第二のサーボ制御部が生成する第二のトルク指令信号、23はサーボ制御選択部16で選択したサーボ制御部から出力されたトルク指令である選択された選択トルク指令信号、24は電流制御部15からモータ1に供給される電流、25は位置検出器2が検出したモータ1の位置情報である検出位置信号である。26は残留振動情報入力部14から出力される残留振動の周波数や振幅などの残留振動情報である。27は許容位置決め誤差入力部13から出力される許容位置決め誤差である。
動作条件情報部10から出力された動作条件情報20(移動距離と位置決め制御時の制限すべき制限加速度)は、第一のサーボ制御部11と第二のサーボ制御部12と残留振動振幅予測部15へ出力される。また、位置検出器2からは検出位置信号25が第一のサーボ制御部11と第二のサーボ制御部12へ出力される。第一のサーボ制御部11は、動作条件情報20と検出位置信号25とを入力し、これらをもとに、機械の残留振動の発生を考慮せずにモータの位置決め制御を行わせるための第一のトルク指令信号21を算出する。第二のサーボ制御部12は、動作条件情報20と検出位置信号25とを入力し、これらをもとに、機械の残留振動の発生を抑制してモータの位置決め制御を行わせるための第二のトルク指令信号22を算出する。
残留振動振幅予測部15は、動作条件情報20と、残留振動情報入力部14を通して位置決め制御装置の外部から入力された残留振動の情報と、を入力し、これらをもとに、第一のサーボ制御部21を使用して位置決め制御を行ったときの残留振動の振幅予測値を算出する。制御選択部16は、残留振動振幅予測部15からの残留振動の振幅予測値と、許容位置決め誤差入力部13から位置決め誤差の許容値とを入力し、これらをもとに、第一のトルク指令21を使用して実際の位置決め制御を行うか、第二のトルク指令22を使用して実際の位置決め制御動作を行うか、の選択を行う。電流制御部17は、サーボ制御選択部16により選択された選択トルク指令23をもとに、モータ1が所望のトルクを発生できるような電流24をモータ1に供給し、モータ1を駆動する。
図2は、第一のサーボ制御部の構成の一例を示すブロック図である。ここで、30は動作条件情報20である移動距離と制限加速度の情報をもとに、位置指令信号40を生成する位置指令信号生成部、101は位置指令信号40と位置検出器2から検出される検出位置信号25との差を計算し位置偏差信号41として出力する加減算器、31は位置偏差信号41から速度指令信号42を算出する位置制御部、32は検出位置信号25からその微分信号である検出速度信号43を算出する微分器、102は速度指令信号42と検出速度信号43との差を計算し速度偏差信号44として出力する加減算器、33は速度偏差信号44から第一のトルク指令21を算出する速度制御部である。
図5に、第二のサーボ制御部12の構成の一例を示すブロック図である。図5に示す第二のサーボ制御部12は、図2に示した第一のサーボ制御部11の構成において、位置指令信号生成部30の後ろに振動成分除去部70をさらに設けている。振動成分除去部70では、位置指令信号40から残留振動の周波数成分を除去した振動成分除去位置指令信号71を生成する。図5に示す第二のサーボ制御部12では、振動成分除去部70以外の動作は図2に示した第一のサーボ制御部11の動作と同じであり、第一のサーボ制御部11における位置指令信号40の代わりに振動成分除去位置指令信号71を用いて位置決め制御を行う。
このようにして算出される位置指令信号を用いた場合、加減速時間t0、及び、移動距離Dと、指令加速度信号の最大値Apを表す以下の関係
このようにして算出される位置指令信号を用いた場合、加減速時間t0、及び、移動距離Dと、指令加速度信号の最大値を表す関係
また、図7に示す第二のサーボ制御部12においても、振動を励起しないような振動成分除去位置指令信号71を生成するので、位置決め制御時の整定時に発生する機械の残留振動を抑制することができる。しかし、同一の動作条件(すなわち、同一の移動距離、同一の制限加速度)で比較すると、振動を励起しないような振動成分除去位置指令信号71を位置決め制御に用いた場合は、制限加速度を最大限使用した三角指令を位置決め制御に用いた場合より、位置指令信号が開始されてから目標となる移動距離に到達するまでの時間が長くなる。
以上より、第二のサーボ制御部12では、機械の残留振動を抑制することを考慮して位置決め制御を行うので、位置決め制御時の整定時に発生する残留振動を抑制することができるが、位置決め時間が長くなる。
図8は、図1における残留振動振幅予測部15の構成の一例を示すブロック図である。図8において、91は動作条件情報20と残留振動情報26をもとに残留振動振幅理論値Yを算出する残留振動振幅理論値算出部、92は残留振動振幅理論値Yに比例定数を乗じて残留振動振幅予測値Xを算出する比例定数乗算部である。
残留振動振幅予測部15においては、動作条件情報20と残留振動情報26とを残留振動振幅理論値算出部91に入力し、第一のサーボ制御部11を用いて動作させたときの残留振動振幅理論値Yを算出する。算出された残留振動振幅理論値Yと残留振動情報26とが比例定数乗算部92に入力され、比例定数乗算部92では、残留振動振幅理論値Yに比例定数を乗じて残留振動振幅予測値Xを算出し、これを出力する。
まず、第一のサーボ制御部11を用いて、ある動作条件(移動距離D0、加速度A0とする)で実際に位置決め制御させ、そのときの、位置検出器2から出力される検出位置信号25の振動の振幅(目標位置からの変位)X0と、周波数ωnを、任意の手段で別途測定しておく。このときの位置指令信号は目標となる移動距離D0であり、位置指令信号の2回微分である指令加速度信号の最大値がA0である。
次に、残留振動振幅理論値算出部91において、この動作条件(移動距離D0、加速度A0)で第一のサーボ制御部11を用いて動作させたときの、残留振動振幅理論値Y0を、
ここで、t0は位置指令信号が開始されてから目標位置に到達するまでの時間の半分の時間(加減速時間)、jは虚数単位である。V*ハット(ω)は、X0を測定する際の位置決め制御に使用した位置指令信号の微分信号である指令速度信号の周波数成分を表すフーリエ変換であり、V*ハット(ωn)で残留振動の周波数ω=ωnにおける周波数成分を表す。また、v*(t)は、時間0から時間t0にかけての指令速度信号を表す。
これらX0、Y0の値を用い、比例定数乗算部92における比例定数をX0/Y0とする。また、残留振動振幅理論値算出部91は、位置決め制御の動作条件を移動距離D1、加速度A1である場合、上記Y0を求める手順において、変数をD0→D1、A0→A1に置換して算出する。
図9は図1におけるサーボ制御選択部16の構成の一例を示すブロック図である。図9において、93は許容位置決め誤差と残留振動振幅予測値Xの値を比較し大小を判断し、第一のサーボ制御部11もしくは第二のサーボ制御部12のうち、どちらの位置決め制御を選択するかを判断するサーボ制御選択判断部、94はサーボ制御選択判断部93で判断された結果に基づき、第一のサーボ制御部11もしくは第二のサーボ制御部12のうちいずれかを選択し、位置決め制御を行わせるサーボ制御選択実行部である。
サーボ制御選択部16においては、許容位置決め誤差入力部13から許容位置決め誤差27を、また、残留振動振幅予測部15から残留振動振幅予測値Xを、サーボ制御選択判断部93に入力する。サーボ制御選択判断部93では、許容位置決め誤差27と残留振動振幅予測値Xの値を比較し、残留振動振幅予測値Xが許容位置決め誤差27より小さいならば、第一のサーボ制御部11で位置決め制御を行わせる。また、残留振動振幅予測値Xが許容位置決め誤差27より大きいならば、第二のサーボ制御部12で位置決め制御を行わせる。
ステップST1では、動作条件情報部10から、位置決め制御を行うための情報である、移動距離D1、制限加速度A1の動作条件情報20を残留振動振幅予測部15に読み込む。
ステップST2で、実際の位置決め制御を行わせる前に、上記の動作条件で第一のサーボ制御部11を用いて動作させたときに生じる残留振動振幅理論値Y1を残留振動振幅理論値算出部91において算出する。具体的には、移動距離D1であり、位置指令信号の二回微分である指令加速度信号の最大値がA1以下である位置指令信号に対し、位置指令信号の微分信号である指令速度信号の周波数成分を表したフーリエ変換V*ハット(ω)を用いて、
いずれの場合でも、Y1は、位置指令信号、指令速度信号、指令加速度信号、指令加々速度信号の残留振動の周波数ωnにおける周波数成分に比例して計算される。
特に、位置指令信号が加速度Aである三角指令である場合には、Y1を、
複数の動作条件(移動距離、加速度)に対して、シーケンス的に位置決め制御を行う場合は、ある動作条件(移動距離、加速度)の位置決め制御が図10のフローチャートに従って行われ、これが完了した後には、別の動作条件をST1に従い読み込みステップST2以降の処理を行うということを繰り返していく。この際、ステップST3におけるX0とY0は繰返し動作中同一の値を使用して処理を行えばよい。
そこで、実際の位置決め制御を実行する前に、ステップST3で、機械の残留振動の抑制を考慮しない第一のサーボ制御部11を用いたときの、機械の残留振動の振幅値を予測し、その振幅予測値が許容位置決め誤差以下に収まれば、第一のサーボ制御部11を用いて位置決め制御を実行することにより、余計な遅延が発生せず、かつ、残留振動も許容位置決め誤差以下に抑えられる位置決め制御が実現できる。特に、位置指令信号が三角指令であり、加速度を制限加速度にした場合には、位置指令信号が開始されてから指令が目標位置に到達するまでの時間が最短となり、位置決め時間も短縮することができる。
また、ステップST6で、残留振動振幅予測値が、許容位置決め誤差より大きくなる場合、機械の残留振動を抑制することを考慮した第二のサーボ制御部12を用いることにより、位置決め制御として最低限満たさなければならない許容位置決め誤差内への位置決め制御動作が実現できることになる。
以上のように、機械の残留振動の抑制を考慮しない第一のサーボ制御部11と、機械の残留振動を抑制することを考慮した第二のサーボ制御部12を動作条件に応じて自動的に使い分けることによって、許容位置決め誤差内への位置決め制御が実現でき、かつ、なるべく位置決め時間が短縮できるという効果がある。
残留振動の周波数が10Hz(ωn=2π×10[rad/s])であるような機械に対し、複数の移動距離1mm(=0.001m)、5mm(=0.005m)、10mm(=0.010m)、20mm(=0.020m)、制限加速度A=3.0m/s2 という動作条件に対して位置決め制御を行い、許容位置決め誤差を移動距離の大小に関わらず0.5mmとする場合を考える。ここで、これらの動作条件に対し、移動距離に関わらず10Hzの機械の残留振動の抑制を考慮しない位置決め制御方式(これを方式Aと呼ぶ)、移動距離に関わらず10Hzの機械の残留振動を抑制することを考慮した位置決め制御方式(これを方式Bと呼ぶ)、および、本発明による位置決め制御方式(これを方式Cと呼ぶ)で位置決め制御を行ったときの、検出位置信号の挙動をシミュレーションにより比較する。ここで、方式Aの位置決め制御方式としては、図4に示した第一のサーボ制御部11と同じ構成をしたサーボ制御部を使用した。方式Bの位置決め制御方式としては、図6に示した第二のサーボ制御部12と同じ構成をしたサーボ制御部を使用し、振動成分除去部に(1)式のノッチフィルタを使用した。方式Cにおける第一のサーボ制御部11としては図4に示したもの、第二のサーボ制御部12として、図6に示したものを使用した。また、方式A、B、Cのいずれにおいても、位置指令信号には制限加速度を最大限使用した三角指令を使用した。
図10に示すように、方式A(機械の残留振動の抑制を考慮しない位置決め制御方式)は、どの移動距離においても、位置決め制御の整定時に残留振動が発生していることが分かる。ただし、移動距離1mmと20mmの場合には、残留振動が発生していても、許容位置決め誤差内で、振幅で収まっている。このときの、位置指令信号が開始されてから、検出位置信号が許容位置決め誤差内に収束するまでの位置決め時間は、移動距離が1mmの場合は、0.0524[s]、移動距離が20mmの場合は、0.221[s]となる。一方、距離5mmと10mmの場合には、許容位置決め誤差を超えた振動振幅が発生しており、位置決め制御として不適切な動作となっている。
また、図11に示すように、方式B(機械の残留振動を抑制することを考慮した位置決め制御方式)は、移動距離に関わらず位置決め制御整定時に残留振動が発生しておらず、すべての移動距離で位置決め制御動作として適切な動作となっている。位置決め時間は、距離1mmの場合は0.0688[s]、距離5mmの場合は0.148[s]、距離10mmの場合は0.192[s]、距離20mmの場合は0.247[s]となる。
次に、本発明の実施の形態による方式Cによる位置決め制御を行う場合を考える。第一のサーボ制御部で実際に位置決め動作させたときの残留振動の振幅値X0を求めるのに用いたある動作条件をD0=1mm、A0=3.0m/s2とした。方式Aでの移動距離1mmのときX0 = 0.39mmの振幅がシミュレーション上発生し、また、方式Aも方式Cも位置指令信号として三角指令を使用していることから、(3)式でY0を計算するとY0 =1.767となる。さらに、X0、Y0を基に他の移動距離の残留振動振幅予測値X1を計算する。
移動距離1mmに関して、(5)式よりY1=1.767となるので、(6)式により、残留振動振幅予測値は、X1=0.39mmとなる。これは、許容位置決め誤差0.5mm以下であるため、10Hzの機械の残留振動の抑制を考慮しない第一のサーボ制御部11を使用して、位置決め制御を行う。
移動距離5mmに関して、(5)式よりY1=5.515となるので、(6)式より残留振動振幅予測値は、X1 = 1.217mmとなる。これは、許容位置決め誤差0.5mmを超えるため、10Hzの機械の残留振動を抑制することを考慮した第二のサーボ制御部12を使用して、位置決め制御を行う。
移動距離10mmに関して、(5)式よりY1= 5.653となるので、(6)式より残留振動振幅予測値は、X1=1.248mmとなる。これは、許容位置決め誤差0.5mmを超えるため、10Hzの機械の残留振動を抑制することを考慮した第二のサーボ制御部12を使用して、位置決め制御を行う。
移動距離20mmに関して, (5)式よりY1=1.783となるので、(6)式より残留振動振幅予測値X1は、X1=0.393mmとなる。これは、許容位置決め誤差0.5mm以下であるため、10Hzの機械の残留振動の抑制を考慮しない第一のサーボ制御部11を使用して位置決め制御を行う。
図12に示すように、本発明による方式(方式C)では、移動距離1、5、10、20mmともに許容位置決め誤差内に位置決め制御が行えており、位置決め制御として適切な動作となっていることが確認される。
表1より、距離1mmと20mmに関しては、方式Cは方式Aと同一の位置決め時間であり、方式Bよりも位置決め時間が短いことが確認される。この理由は、方式Cは、第一のサーボ制御部11を用いて位置決め制御を行うためである。また、距離5mmと10mmに関しては、方式Cは、方式Bと同一の位置決め時間となる。これは、方式Cは第二のサーボ制御部12を用いて位置決め制御を行うためである。
また、移動距離に係わらず、上述の通り、許容位置決め誤差内に検出位置信号が収束し、かつ、より位置決め時間を短縮するのに有利な制御方式を選択できるので、位置決め制御装置自体の調整時間を短縮できる。
さらに、ある1つの動作条件の位置決め制御中は制御方式を切り替えることがないので、位置決め制御中に切換に伴うショックや振動を発生させることがないという効果がある。
Claims (7)
- 位置決め制御における機械の移動距離及び機械の制限加速度からなる動作条件情報に基づいて、最終値が前記移動距離となり、かつ二回微分信号である指令加速度信号が前記制限加速度以下となるように位置指令信号を生成するとともに、検出した機械の位置情報である検出位置信号と前記位置指令信号とに基づいて、前記位置指令信号と機械位置が一致するように位置決め制御を実行するための第一のトルク指令信号を生成する第一のサーボ制御部と、
位置決め制御における機械の移動距離及び機械の制限加速度からなる動作条件情報に基づいて、最終値が前記移動距離となり、かつ二回微分信号である指令加速度信号が前記制限加速度以下となるように位置指令信号を生成するとともに、この位置指令信号から、機械の位置決め制御において発生する残留振動の成分を除去した振動成分除去位置指令信号を、前記動作条件情報に基づいて生成するとともに、前記検出位置信号と前記振動成分除去位置指令信号とに基づいて、前記振動成分除去位置指令信号と機械位置が一致するように位置決め制御を実行するための第二のトルク指令信号を生成する第二のサーボ制御部と、
予め任意の動作条件のもとで第一のサーボ制御部を使用して位置決め制御を行った際に発生した機械の残留振動を計測した残留振動情報を記憶する残留振動情報入力部と、
前記残留振動情報及び動作条件情報に基づき、第一のサーボ制御部を使用して位置決め制御を実行した場合に発生する機械の残留振動の振幅値を予測する残留振動振幅予測部と、
位置決め制御で目標とする機械の移動距離と、位置決め制御終了時における機械の検出位置との差の許容値を、許容位置決め誤差を記憶する許容位置決め誤差入力部と、
前記残留振動振幅予測部で予測した残留振動振幅予測値が、前記許容位置決め誤差を超える場合は、第二のサーボ制御部を用いて機械の位置決め制御を実行し、また、前記残留振動振幅予測値が前記許容位置決め誤差以下の場合は、第一のサーボ制御部を用いて機械の位置決め制御を実行するよう、動作条件毎に位置決め制御に用いるサーボ制御部を選択するサーボ制御部選択部と、
前記サーボ制御選択部が選択したサーボ制御部から出力されるトルク指令信号をもとに、機械を駆動するモータに与える電流を制御する電流制御部と、
を備えることを特徴とする位置決め制御装置。 - 位置決め制御における機械の移動距離及び機械の制限加速度からなる動作条件情報に基づいて、最終値が前記移動距離となり、かつ二回微分信号である指令加速度信号が前記制限加速度以下となるように位置指令信号を生成するとともに、検出した機械の位置情報である検出位置信号と前記位置指令信号とに基づいて、前記位置指令信号と機械位置が一致するように位置決め制御を実行するための第一のトルク指令信号を生成する第一のサーボ制御部と、
位置決め制御における機械の移動距離及び機械の制限加速度からなる動作条件情報に基づいて、最終値が前記移動距離となり、かつ二回微分信号である指令加速度信号が前記制限加速度以下となるように位置指令信号を生成するとともに、この位置指令信号に低域通過特性フィルタを通した信号を一回微分したフィードフォワード速度指令信号から、あるいは、前記位置指令信号に低域通過特性フィルタを通した信号を二回微分し、これに機械総イナーシャから決まるゲイン要素を乗じて算出するフィードフォワードトルク指令信号から、機械の位置決め制御において発生する残留振動の成分を除去した信号を生成するとともに、この残留振動の成分を除去した信号と前記検出位置信号とに基づいて、位置決め制御を実行するための第二のトルク指令信号を生成する第二のサーボ制御部と、
予め任意の動作条件のもとで第一のサーボ制御部を使用して位置決め制御を行った際に発生した機械の残留振動を計測した残留振動情報を記憶する残留振動情報入力部と、
前記残留振動情報及び動作条件情報に基づき、第一のサーボ制御部を使用して位置決め制御を実行した場合に発生する機械の残留振動の振幅値を予測する残留振動振幅予測部と、
位置決め制御で目標とする機械の移動距離と、位置決め制御終了時における機械の検出位置との差の許容値を、許容位置決め誤差を記憶する許容位置決め誤差入力部と、
前記残留振動振幅予測部で予測した残留振動振幅予測値が、前記許容位置決め誤差を超える場合は、第二のサーボ制御部を用いて機械の位置決め制御を実行し、また、前記残留振動振幅予測値が前記許容位置決め誤差以下の場合は、第一のサーボ制御部を用いて機械の位置決め制御を実行するよう、動作条件毎に位置決め制御に用いるサーボ制御部を選択するサーボ制御部選択部と、
前記サーボ制御選択部が選択したサーボ制御部から出力されるトルク指令信号をもとに、機械を駆動するモータに与える電流を制御する電流制御部と、
を備えることを特徴とする位置決め制御装置。 - 前記第二のサーボ制御装部は、位置決め制御における機械の移動距離及び機械の制限加速度からなる動作条件情報に基づいて、最終値が前記移動距離となり、かつ二回微分信号である指令加速度信号が前記制限加速度以下となるような位置指令信号を生成する代わりに、前記第一のサーボ制御部で生成された前記位置指令信号を入力して、前記第二のサーボ制御部で第二のトルク指令信号を生成するための演算に使用することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の位置決め制御装置。
- 前記残留振動振幅予測部は、前記残留振動情報及び動作条件情報に基づき算出する、第一のサーボ制御部における位置指令信号、あるいは、第一のサーボ制御部における位置指令信号の一回微分である指令速度信号、あるいは、第一のサーボ制御部における位置指令信号の高階微分信号、における、機械の残留振動の周波数に対する周波数成分の値に比例して機械の残留振動の振幅値を予測すること、を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の位置決め制御装置。
- 前記残留振動振幅予測部は、予め計測した、任意の動作条件のもとで第一のサーボ制御部を使用して位置決め制御を行った際に発生した機械の残留振動の振幅値をもとに、別の動作条件で動作させたときの機械の残留振動の振幅値を予測すること、を特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の位置決め制御装置。
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