JP5227663B2 - 空気調和除菌システム - Google Patents
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Description
しかしながら、給気ダクトを介して各吹出し口に大量の空気が供給されるため、これら吹出し口を通じて大空間に供給される大量の空気を除菌することは難しかった。
この構成によれば、例えば、映画館のような大空間に開口した複数の吹出し口に給気ダクトを介して接続されるチャンバを設け、該チャンバ内に空気と電解水とを接触させて該空気を除菌する複数の気液接触部材を有する空気除菌部を設けたため、この空気除菌部の各気液接触部材で除菌された空気が給気ダクトを介して吹出し口に供給され、当該除菌された空気を吹出し口を通じて大空間内に広く行き渡らせることができ、当該大空間に供給される空気を簡単な構成で除菌することができる。また、チャンバ内に空気除菌部が集中して設けられたため、この空気除菌部の気液接触部材のメンテナンスを容易に行うことができる。
さらに、空気除菌部の各気液接触部材にそれぞれ前記電解水を供給する供給管に送水ポンプを介して接続される水槽を設けると共に、電解水を生成する電解ユニットを設け、前記送水ポンプにより汲み出され、前記供給管を介して複数の気液接触部材に供給される水槽内の電解水の一部を前記電解ユニットに導き、該電解ユニットで電解水を生成して前記水槽内に戻す機構を備えたため、当該水槽内の電解水濃度の変化幅を小さく抑えることができ、安定した濃度の電解水を空気除菌部の各気液接触部材に供給することができる。このため、各気液接触部材での空気の除菌を安定して行うことができるため、吹出し口を通じて大空間に供給される大量の空気を一様に除菌することができる。
図1は、ルーフトップ型空気調和機(以下、空気調和機という)110が配置される大空間施設としての映画館100を示す概略図である。
この図1に示すように、映画館100には、前方にスクリーン101が配置され、このスクリーン101の後方に階段状に客席部102が設けられている。一方、映画館100の天井部103には、空気調和機110から供給された調和空気を館内に吹出す複数の吹出し口104が設けられている。これら吹出し口104は、給気ダクト105を介して、空気調和機110の供給口111に連結されている。
また、映画館100の床部106には、この床部106付近の館内空気(内気)を吸い込む吸込口107が設けられている。この吸込口107は、スクリーン101の背面側に設けられ、このスクリーン101の背面空間を上方に延びる吸気ダクト108を介して、空気調和機110の内気導入口112に連結されている。また、空気調和機110には、この空気調和機110内に屋外の空気(外気)を導入するための外気導入口113が形成されている。
映画館100内の空気(内気)は、矢印Xで示すように、吸込口107から吸い込まれ、吸気ダクト108及び内気導入口112を通じて、空気調和機110内に導かれる。ここで、空気調和機110内には、外気導入口113を通じて外気が導かれているため、この外気と上記内気とが当該空気調和機110内で混合される。この混合された空気は、空気調和機110が備える利用側熱交換器(後述する)で熱交換された後、供給口111及び給気ダクト105を通じて、吹出し口104から調和空気として映画館100内に供給される。
具体的には、筐体114内は、図3に示すように、仕切板115によって区分けされており、一方の室(機械室)116に熱源側ユニット1が配置され、他方の室117に利用側ユニット2が配置されている。これら熱源側ユニット1及び利用側ユニット2は、冷媒配管10で連結されて冷媒回路を形成している。
熱源側ユニット1は、図2に示すように、冷媒配管10に設けられた圧縮機11を備え、この圧縮機11の吸込側に、アキュムレータ12が接続され、その吐出側には四方弁13と熱源側熱交換器14と電動膨張弁15とが順に接続されている。また、熱源側ユニット1には、熱源側熱交換器14へ向かって送風する熱源側送風機16が配設されている。
一方、利用側ユニット2は、上記冷媒配管10を介して電動膨張弁15に接続される利用側熱交換器21と、この利用側熱交換器21へ向かって送風する利用側送風機22とを備えて構成され、当該利用側熱交換器21は、上記冷媒配管10を介して上記四方弁13に接続されている。
また、暖房運転時には、図中に示す破線矢印の方向に冷媒が流れるように、四方弁13が切り換えられる。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、利用側熱交換器21に送られ、この利用側熱交換器21において凝縮することにより、利用側ユニット2内に導入された空気を加温する。利用側熱交換器21で凝縮した冷媒は、電動膨張弁15で膨張して熱源側熱交換器14に流入し、この熱源側熱交換器14で蒸発した後、四方弁13を介してアキュムレータ12に送られ、圧縮機11の吸込側に戻る。
除菌ユニット150は、図2に示すように、利用側ユニット2に導入された空気に活性酸素種を含む電解水を接触させて空気の除菌を行う空気除菌部4と、所定のイオン種を含む水を電気分解して活性酸素種を含む当該電解水を生成し、この電解水を上記空気除菌部4に循環供給する電解水循環供給部5とを備えている。
詳述すると、利用側ユニット2が設けられる他方の室117は、図3に示すように、仕切板118によって、さらに熱交換室119とチャンバとしての除菌室120とに区分けされている。この熱交換室119には、上記した内気導入口112及び外気導入口113が形成され、これら内気導入口112及び外気導入口113の下流側に利用側熱交換器21が筋交い状に配置されている。また、仕切板118には、熱交換室119と除菌室120とを連通する開口118Aが形成され、この開口118Aに利用側送風機22が取り付けられている。この利用側送風機22の運転により、熱交換室119内の空気が除菌室120に送風されるようになっている。この除菌室120には利用側送風機22の下流側に空気除菌部4が配置され、この空気除菌部4の下流側に供給口111が形成されている。これにより、利用側ユニット2に導入された空気は、除菌室120を通過する際に、この除菌室120に配置された空気除菌部4で電解水と接触することにより除菌され、この除菌された空気が供給口111及び給気ダクト105を通じて、吹出し口104から映画館100内に循環供給される。
除菌ユニット150は、図4に示すように、除菌室120内に配置される空気除菌部4と上記除菌室120に隣接して配置される電解水循環供給部5とを備える。
空気除菌部4は、除菌室120内の送風路のほぼ全面を覆って配列される複数(本実施形態では12枚)の気液接触部材41A1、A2〜41F1、F2を備え、本実施形態では、除菌室120の送風路120Aの略幅一杯に横並びに配置された一対の気液接触部材(例えば、気液接触部材41A1、41A2)を、当該除菌室120の高さ方向に複数段(例えば6段)並べて配列することにより構成されている。
気液接触部材41A1〜41F2は、ハニカム構造に似た3次元構造を持ったフィルタ部材であり、気体に接触するエレメント部をフレームにより支持する構造を有する。エレメント部は、図示を省略するが、波板状の波板部材と平板状の平板部材とが積層されて構成され、これら波板部材と平板部材との間に略三角状の多数の開口が形成されている。従って、エレメント部に空気を通過させる際の気体接触面積が広く確保され、電解水の滴下が可能で、目詰まりしにくい構造になっている。
エレメント部には、電解水による劣化が少ない素材、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、PET(ポリエチレン・テレフタレート)樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、PFA、ETFE等)又はセラミックス系材料等の素材が使用され、本構成では、PET樹脂を用いるものとする。また、エレメント部には親水性処理が施され、電解水に対する親和性が高められており、これによって、気液接触部材41A1〜41F2の電解水の保水性(湿潤性)が保たれ、後述する活性酸素種(活性酸素物質)と空気との接触が長時間持続される。
また、気液接触部材41A1、41A2の上面には、散水ボックス42A1、42A2から滴下される電解水をエレメント部に効率よく分散させるため、分流シート(図示略)が配設されている。この分流シートは、液体の浸透性を有する繊維材料からなるシート(織物、不織布等)であり、気液接触部材41A1、41A2の厚み方向断面に沿って一または複数設けられる。
また、気液接触部材41A1、41A2の下部には、これら気液接触部材41A1、41A2から流下した水を受ける電解水トレー43Aが取り付けられている。この電解水トレー43Aの底面には、当該電解水トレー43Aで受けた水をドレンパン44(図4)に導くドレンホース45Aが取り付けられている。各段に配置される気液接触部材は略同一の構成を有するものであるため、最上段の気液接触部材41A1、41A2の構成について説明し、これより下方に位置する気液接触部材41B1、41B2〜41F1、F2については同種の符号を付して説明を省略する。
この構成によれば、送風路120Aの面積よりも総面積が広い複数の気液接触部材41A1、A2〜41F1、F2を、送風路120Aにまとまりよく配列することができ、送風路120Aに配列された当該気液接触部材41A1、A2〜41F1、F2の除菌能力の向上を図ることができる。さらに、上方に位置する気液接触部材の下端部と、その直近下方に位置する気液接触部材の上端部との間は導風板で閉塞されているため、気液接触部材41A1、A2〜41F1、F2を通過せずに送風路120A内に空気が流れることが防止される。
本構成では、貯水タンク51には、井戸水等の塩化物イオン濃度の希薄な水を使用した場合であっても、この水に塩化物イオンを添加するために、予め所定の濃度に調整された食塩水タンク59が設けられ、この食塩水タンク59に接続される食塩水供給管60には、供給ポンプ61と逆止弁62とを介して貯水タンク51に接続されている。この供給ポンプ61は、例えば、電解ユニット52で検出される導電率に基づいて制御部65の制御によって動作するように構成されている。
ここで、活性酸素種とは、通常の酸素よりも高い酸化活性を持つ酸素分子と、その関連物質のことであり、スーパーオキシドアニオン、一重項酸素、ヒドロキシルラジカル、或いは過酸化水素といった、いわゆる狭義の活性酸素に、オゾン、次亜ハロゲン酸等といった、いわゆる広義の活性酸素を含めたものとする。
上記電極72、73間に電圧を印加すると、カソード電極(陰極)では、下記式(1)に示すように反応する。
2H2O+2e-→H2+2OH- ・・・(1)
アノード電極(陽極)では、下記式(2)に示すように反応する。
2H2O→O2+4H++4e- ・・・(2)
これらカソード電極及びアノード電極での反応を合わせると、下記式(3)に示すように水が電気分解される。
2H2O→2H2+O2 ・・・(3)
この反応とともに、アノード電極においては、水に含まれる塩素イオン(塩化物イオン:Cl-)が下記式(4)に示すように反応し、塩素(Cl2)が発生する。
2Cl-→Cl2+2e- ・・・(4)
さらに、この塩素は下記式(5)に示すように水と反応し、次亜塩素酸(HClO)と塩化水素(HCl)が発生する。
Cl2+H2O→HClO+HCl ・・・(5)
例えば、電極72に正の電位を与えて、電極72、73間に流れる電流値を、電流密度で20mA(ミリアンペア)/cm2(平方センチメートル)とすると、所定の遊離残留塩素濃度(例えば1mg(ミリグラム)/l(リットル))を発生させる。また、電極72、73間に印加する電圧を変更して、電流値を高くすることで、電解水中の次亜塩素酸の濃度を高い濃度に調整できる。
また、電解ユニット52のケース体71は、図7に示すように、開口周囲にフランジ74を備え、このフランジ74は、パッキン75を介して、貯水タンク51の側面に形成された開口部51Aにボルト76及びナット77で固定されている。
この開口部51Aは、ケース体71と略同径に形成されており、貯水タンク51の内側から開口部51Aを通じて、ケース体71内の電極72、73にアクセスできるようになっている。このため、電気分解時に水中に含まれる物質が電極72、73にスケール類として付着したとしても、貯水タンク51の開口部51Aを通じて当該スケール類の除去作業を容易に行うことができる。
また、この構成によれば、電極72、73に生じたスケール類が、これら電極72、73から除去された場合、このスケール類は電解水と共に貯水タンク51内に戻され、当該貯水タンク51内で堆積するため、このスケール類が電解水供給管56を通じて気液接触部材41A1、A2〜41F1、F2に流入することが防止される。このため、スケール類の流入による電解水供給管56の閉塞や、各気液接触部材41A1、A2〜41F1、F2の目詰まりが防止されることにより、これら電解水供給管56や気液接触部材41A1、A2〜41F1、F2のメンテナンス頻度が少なくなり、メンテナンス作業の軽減化を図ることができる。
更に、本構成では、図4に示すように、電解ユニット52が直付けされる貯水タンク51の開口部51Aと、電解水供給管56が接続される接続口51Bとの間には、当該貯水タンク51内を区画するスケールフィルタ66が設けられているため、貯水タンク51内に堆積したスケール類は、このスケールフィルタ66で捕集されることにより、貯水タンク51の外部に流出することがない。
さらに、気液接触部材41A1、A2〜41F1、F2にそれぞれ電解水を供給する電解水供給管56に送水ポンプ53を介して接続される貯水タンク51を設けると共に、電解水を生成する電解ユニット52を設け、送水ポンプ53により汲み出され、電解水供給管56を介して複数の気液接触部材41A1、A2〜41F1、F2に供給される貯水タンク51内の電解水の一部を電解ユニット52に導き、電解ユニット52で電解水を生成して貯水タンク51内に戻す機構を備えたため、当該貯水タンク51内の電解水濃度の変化幅を小さく抑えることができ、安定した濃度の電解水を各気液接触部材41A1、A2〜41F1、F2に供給することができる。このため、各気液接触部材41A1、A2〜41F1、F2での空気の除菌を安定して行うことができるため、吹出し口104を通じて映画館100に供給される大量の空気を一様に除菌することができる。
また、本実施形態では、ドレンパン44で受けた水を循環路55を通じて貯水タンク51に戻す水循環方式としているが、このドレンパン44で受けた水をそのまま排出する構成としても良い。この構成では、水使用量が水循環方式に比べて増加するものの、循環路63を設ける必要がなくなるため、設備コストの低減を図ることが可能となる。
また、本実施形態では、気液接触部材41A1、A2〜41F1、F2は、上下に並べて配列され、送風路120Aの下方領域Aを覆う気液接触部材41F1、F2は、上方領域Bを覆う気液接触部材41A1、A2よりも送風路120Aの上流側に順次ずらして配列されている構成としたが、これに限るものではなく、送風路120Aの下方領域Aを覆う気液接触部材41F1、F2を、上方領域Bを覆う気液接触部材41A1、A2よりも送風路120Aの下流側に順次ずらして配列する構成としても良いことは勿論である。
2 利用側ユニット
4 空気除菌部
5 電解水循環供給部
11 圧縮機
14 熱源側熱交換器
21 利用側熱交換器
22 利用側送風機
41A1、41A2、41B1、41B2、41C1、41C2、41D1、41D2、41E1、41E2、41F1、41F2 気液接触部材
51 貯水タンク(水槽)
51A 開口部
52 電解ユニット
54 分岐管
56 電解水供給管(供給管)
71 ケース体
72 電極
74 フランジ
100 映画館(大空間)
104 吹出し口
105 給気ダクト
110 空気調和機
116 一方の室(機械室)
119 熱交換室
120 除菌室(チャンバ)
120A 送風路
150 除菌ユニット
200 ビル
A 下方領域
B 上方領域
Claims (5)
- 一つの空間に開口した複数の吹出し口に給気ダクトを介して接続され、該給気ダクトを介して各吹出し口に調和空気を供給する空気調和機を設け、
前記空気調和機は、熱交換器及び送風機を収納した熱交換室と、この熱交換室の空気下流側に設けられたチャンバとを筐体内に備え、
該チャンバ内に空気と電解水とを接触させて該空気を除菌する複数の気液接触部材を有する空気除菌部を設け、
該空気除菌部の気液接触部材は、前記チャンバの下方を覆う気液接触部材を、上方を覆う気液接触部材よりも、空気下流側もしくは空気上流側に順次ずらして配列され、気液接触部材の底面からそれぞれ下方に延出して、該気液接触部材からドレンパンに前記電解水を導くドレンホースを備え、
該空気除菌部の各気液接触部材にそれぞれ前記電解水を供給する供給管に送水ポンプを介して接続される水槽を前記空気調和機と並べて設けると共に、
前記電解水を生成する電解ユニットを設け、
前記送水ポンプにより汲み出され、前記供給管を介して複数の気液接触部材に供給される水槽内の電解水の一部を前記電解ユニットに導き、該電解ユニットで電解水を生成して前記水槽内に戻す機構を備えた
ことを特徴とする空気調和除菌システム。 - 上下に隣接する気液接触部材は、側面視で上下に重なるように配置されるとともに、上方の気液接触部材の下端部と、その直近下方の気液接触部材の上端部との間は、導風板によりそれぞれ閉塞されていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和除菌システム。
- 前記水槽に前記電解水を生成する電解ユニットを直付けし、電解ユニットで生成されるスケール類を、前記電解水と共に前記水槽内に戻す構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和除菌システム。
- 前記空気調和機が、筐体内を分割し、一室に熱交換器及び送風機を収納した熱交換室を設け、別の室に前記熱交換器を流れる冷媒を圧縮する圧縮機を収納した機械室を設け、また別の室に前記チャンバを設け、該チャンバを介して調和空気を環流することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気調和除菌システム。
- 前記チャンバには給気ダクトが接続され、該給気ダクトに向かうチャンバ内の送風路の全面を覆って複数の気液接触部材を配列したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の空気調和除菌システム。
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