JP2010019479A - 空気調和システム - Google Patents

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Toru Arakawa
徹 荒川
Takeshi Rakuma
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Abstract

【課題】簡単な構成で室内機から吹き出す空気の清浄化を図ることができる空気調和システムを提供すること。
【解決手段】ビル200内の各部屋201の天井部に配置され、筐体内に送風機と室内熱交換器とを収容した室内機2を複数備え、これら室内機2を、屋外空気OAもしくは室内空気RAの少なくとも一方を当該室内機2に供給するメイン給気ダクト3に並列に接続し、このメイン給気ダクト3は室内機2の風上にチャンバ60を備え、このチャンバ60内に、水を電気分解して生成した電解水と屋外空気OAもしくは室内空気RAの少なくとも一方とを接触させて当該空気を除菌する空気除菌部70を設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、空中浮遊微生物(細菌、ウイルス、真菌(以下、単に「ウイルス等」という。))の除去が可能な空気調和システムに関する。
近年、オフィスなどの大空間では空気の清浄化(除菌)を行うことが要望されている。これを解決するために、天井部に配置された室内機の筐体内に電解水と空気とを接触させて当該空気を除菌する除菌ユニットを設けた空気調和装置が出願人によって提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008-051424号公報
ところで、従来のものは、室内機ごとに一もしくは複数の除菌ユニットを備えるため、オフィスビルなどの1フロアに多数の室内機を備える大空間では構成が煩雑となる傾向にあった。
そこで、本発明の目的は、簡単な構成で室内機から吹き出す空気の清浄化を図ることができる空気調和システムを提供することにある。
上記した課題を解決するため、本発明は、建屋の天井部に配置され、筐体内に送風機と熱交換器とを収容した室内機を複数備え、これら室内機を、屋外空気もしくは室内空気の少なくとも一方を当該室内機に供給する給気ダクトに並列に接続し、この給気ダクトは、前記室内機の風上にチャンバを備え、このチャンバ内に、水を電気分解して生成した電解水と前記屋外空気もしくは室内空気の少なくとも一方とを接触させて当該空気を除菌する空気除菌部を設けたことを特徴とする。
この構成によれば、空気除菌部を通過する屋外空気もしくは室内空気の少なくとも一方を集中して除菌することができ、この除菌した空気を給気ダクトを介して各室内機に供給することができる。従って、簡単な構成で室内機から吹き出す空気の清浄化を図ることができる。また、給気ダクトに設けたチャンバ内に空気除菌部を設けたため、この空気除菌部で清浄化および除菌された同質の空気を同時に各室内機に供給することができる。
この構成において、前記室内機は、前記除菌された空気を前記筐体内における前記熱交換器の一次側に導く構成を備え、前記熱交換器により当該空気を熱交換した後に室内空間に吹き出す構成としても良い。この構成によれば、除菌された空気は熱交換器により熱交換された後に室内空間に吹き出されるため、除菌された空気の供給に伴う室温の変動を抑制することができる。
また、水を電気分解して前記電解水を生成する電解水生成部と、前記電解水を貯留する水槽と、この水槽内の電解水を前記空気除菌部に送る送水ポンプとを備え、これらを前記空気除菌部の下方に位置する室内に配置した構成としても良い。この構成によれば、水が循環する電解水生成部、水槽及び送水ポンプがいずれも室内空間に配置されるため、これら各機器のメンテナンスを容易に行うことができる。さらに、これらの各機器は空気除菌部の下方に配置されているため、当該各機器と空気除菌部との距離を短くすることができ、これらを接続する配管の引き回し作業を容易に行うことができる。
また、前記電解水生成部、前記水槽及び前記送水ポンプを1つの箱体に収容し、この箱体を前記室内の床上に載置した構成としても良い。この構成によれば、電解水生成部、水槽及び送水ポンプをコンパクトに配置することができるとともに、各機器のメンテナンスを一層容易に行うことができる。
また、前記空気除菌部は、水平面に対して傾斜して配設された気液接触部材を備えた構成としても良い。チャンバの開口面積に対して気液接触部材における空気と電解水との接触面積を大きく確保することができ、当該空気の除菌効率を高めることができる。
また、前記室内機と前記給気ダクトとを接続する分岐ダクトを備え、この分岐ダクトにそれぞれファンを備え、これらファンの動作を当該分岐ダクトに対応する前記室内機の送風機と連動させた構成としても良い。この構成によれば、例えば、室内機がサーモオフ状態にある場合には、送風機の停止動作に連動してファンの運転が停止され、室内機がサーモオンした場合には、送風機の運転動作に連動してファンの運転が開始される。このため、各室内機に除菌された空気を供給するか否かの制御を容易に行うことができる。
本発明によれば、空気除菌部を通過する屋外空気もしくは室内空気の少なくとも一方を集中して除菌することができ、この除菌した空気を給気ダクトを介して各室内機に供給することができる。従って、簡単な構成で室内機から吹き出す空気の清浄化を図ることができる。また、給気ダクトに設けたチャンバ内に空気除菌部を設けたため、この空気除菌部で清浄化および除菌された同質の空気を同時に各室内機に供給することができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、ビル200(建屋)等を冷暖房する空気調和システム100の概略構成を示す斜視図であり、図2は、空気調和システム100の配管構成図である。空気調和システム100は、図1に示すように、ビル200に設けられる室外機1と、この室外機1に並列に接続され、ビル200内の各部屋201の天井部に配置される複数台(本実施形態では3台)の室内機2と、これら室内機2にメイン給気ダクト(給気ダクト)3を介して接続される空気除菌装置150とを備えて構成されている。
室外機1は、例えばビル200の屋上やビル200内に形成される機械室等に配置されるものであり、冷媒配管10を介して各室内機2に接続されている。具体的には、図2に示すように、室外機1は、冷媒配管10に設けられた圧縮機11を備え、この圧縮機11の吸込側に、アキュムレータ12が接続され、その吐出側には四方弁13と室外熱交換器14と電動膨張弁15とが順に接続されている。また、室外機1には、室外熱交換器14へ向かって送風する室外送風機16が配設されている。
一方、室内機2は、上記冷媒配管10を介して電動膨張弁15に接続される室内熱交換器21と、この室内熱交換器21へ向かって送風する送風機22とを備えて構成され、当該室内熱交換器21は、冷媒配管10を介して上記四方弁13に接続されている。
冷房運転時には、図2に示す実線矢印の方向に冷媒が流れるように、四方弁13が切り換えられる。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、アキュムレータ12を経て室外熱交換器14に達し、この室外熱交換器14において凝縮されて電動膨張弁15に送られる。この高圧の冷媒は電動膨張弁15で膨張して室内熱交換器21に流入し、この室内熱交換器21において蒸発することにより、室内機2内に導入された空気を冷却する。室内熱交換器21で蒸発した冷媒は圧縮機11の吸込側に戻る。
また、暖房運転時には、図中に示す破線矢印の方向に冷媒が流れるように、四方弁13が切り換えられる。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、室内熱交換器21に送られ、この室内熱交換器21において凝縮することにより、室内機2内に導入された空気を加温する。室内熱交換器21で凝縮した冷媒は、電動膨張弁15で膨張して室外熱交換器14に流入し、この室外熱交換器14で蒸発した後、四方弁13を介してアキュムレータ12に送られ、圧縮機11の吸込側に戻る。
メイン給気ダクト3はビル200の天井裏空間に配設されている。このメイン給気ダクト3には分岐ダクト4がそれぞれ接続され、これら各分岐ダクト4に室内機2が接続されている。すなわち、各室内機2は、分岐ダクト4を介してメイン給気ダクト3に並列に接続される。また、メイン給気ダクト3には、室内機2の風上(上流側)に上記した空気除菌装置150が接続される。この空気除菌装置150は、後述するように水を電気分解して生成される電解水に浸潤される気液接触部材71(図4)を備え、この気液接触部材71にてメイン給気ダクト3を通じる空気と電解水とを接触させることにより、当該空気を除菌するものである。
本構成では、メイン給気ダクト3は空気除菌装置150の風上に給気ファン65(図4)を備え、この給気ファン65の風上で2つの給気ダクト3A、3Bに分岐している。一方の給気ダクト3Aはビル200の外壁に形成されて上記給気ファンの運転により屋外空気(外気)OAの導入を行う給気口5に接続されている。また、他方の給気ダクト3Bは、ビル200内の空間(例えば廊下)に配置されて上記給気ファンの運転により、当該ビル200内の室内空気(内気)RAを当該給気ダクト3B内に導くための給気用グリル6に接続されている。本実施形態では、給気用グリル6は、ビル200内の廊下202に位置する天井部に配設しているが、これに限るものではなく、給気用グリル6を各部屋201の天井部に設け、これらを給気ダクト3Bで接続する構成としてもよい。
また、本実施形態では、喫煙室203やトイレ204等の天井部には、排気用グリル7が設けられ、この排気用グリル7は、排気ダクト8を介して、ビル200の外壁に形成された排気口9に接続されている。排気ダクト8は排気ファン(不図示)を備え、この排気ファンが運転されると、各部屋201内の空気はドアの隙間などを通じて喫煙室203やトイレ204に向かって流通し、上記排気口9を通じて外部に排出される。これら排気口9から排出される排気量は、上記給気口5から供給される給気量と略同等となるように各給気ファン及び排気ファンの運転が制御される。これにより、ビル200内の室内空間の換気が実現される。
次に、室内機2の構成について説明する。
本実施形態の室内機2は、いわゆる「4方向カセット」と呼ばれる天井埋込型の室内機である。この室内機2は、図3に示すように、吊りボルト27で天井裏空間28に吊り下げられた室内機本体23と、天井24に設けられて室内に露出される化粧パネル25と、この化粧パネル25と室内機本体23との間に配置される給気チャンバ26とを備えて構成されている。
室内機本体23は、上記した室内熱交換器21や送風機22等を収容する筐体29を備え、この筐体29は、室内側の面(図3では下側の面)が開口した箱形に形成されている。送風機22は、筐体29の略中央に取付具30を介して固定されているモータ31と、このモータ31によって駆動されるファン(ターボファン)32とを備え、このファン32を取り囲むように室内熱交換器21が配置されている。この室内熱交換器21の下方には当該室内熱交換器21から流下するドレン水を受けるドレンパン33が配置され、このドレンパン33の中央部には通風路34が形成されている。
また、ドレンパン33の下面には吸込板35が取り付けられ、この吸込板35にはオリフィス36が形成されている。このオリフィス36の下方には本体吸込口38が形成されており、この本体吸込口38は、オリフィス36を通じてファン37の吸込口と連通している。また、筐体29の内壁面と室内熱交換器21及びドレンパン33との間には空気吹出口39が形成されている。なお、符号40は、筐体29の内壁面に貼付された断熱材である。
化粧パネル25は略正方形に形成されており、図3に示すように、その略中央に吸込グリル41を備え、この吸込グリル41のまわりには化粧パネル25の四辺に沿ってそれぞれ吹出口42が設けられ、この吹出口42には風向変更羽根43が配置されている。また、吸込グリル41の裏側にはプレフィルタ44が配置されている。
室内機本体23と化粧パネル25との間に配置された給気チャンバ26には中性能フィルタ45が設けられた吸込空間(通風路)46と、この吸込空間46の外側に設けられた4つの吐出空間47とが形成されている。本構成では、上記吸込空間46によって室内機本体23の本体吸込口38と化粧パネル25の吸込グリル41とが連通され、吐出空間47によって室内機本体23の空気吹出口39と化粧パネル25の吹出口42とが連通される。
また、給気チャンバ26はダクト接続部48を備え、このダクト接続部48には上記した分岐ダクト4が接続される。この分岐ダクト4はブースタファン装置49を備え、このブースタファン装置49には、入口側に配置されるフィルタ50とブースタファン(ファン)51とが収納されている。このブースタファン51は、上記した給気ファン65を補助するとともに、その運転によってメイン給気ダクト3を流れる空気を室内機2へ送り込むものである。ブースタファン51は、室内機2の送風機22と連動するように構成され、例えば、室内機2がサーモオフ状態にある場合には、送風機22の停止動作に連動してブースタファン51の運転が停止され、室内機2がサーモオンした場合には、送風機22の運転動作に連動してブースタファン51の運転が開始される。
ダクト接続部48は給気チャンバ26の側部を貫通し、このダクト接続部48の出口部48Aは給気チャンバ26の吸込空間46、すなわち室内熱交換器21の一次側空間に臨んでいる。このため、ブースタファン51の運転により吸込空間46に流入した空気は、この吸込空間46で吸込グリル41を通過した室内空気RAと合流し、送風機22より室内熱交換器21に送られ、この室内熱交換器21で熱交換された後に吹出口42から室内に吹き出される。
また、本構成では、ダクト接続部48の出口部48Aは、この出口部48Aの開口方向が送風機22のファン37の回転方向と一致するように設けられている。これによれば、ファン37の回転による空気の流れがダクト接続部48から吸込空間46への通風を阻害することはなく、この分岐ダクト4から流出する空気はスムーズに室内空気RAとともにオリフィス36へ流れ込む。
次に、空気除菌装置150の各構成について説明する。
空気除菌装置150は、図4に示すように、天井裏空間28内でメイン給気ダクト3に設けられた空気除菌部70と、この空気除菌部70の下方に位置する室内空間で当該空気除菌部70に電解水を循環供給する電解水循環供給部80とを備えて構成されている。具体的には、メイン給気ダクト3は、各室内機2よりも上流側に当該メイン給気ダクト3よりも拡径して形成されるとともに吊りボルト61で天井裏空間28に吊り下げられたチャンバ60を備え、このチャンバ60内に空気除菌部70が収容されている。
本構成では、メイン給気ダクト3、チャンバ60及び空気除菌部70はすべて天井裏空間28に配置されるため、これらメイン給気ダクト3、チャンバ60及び空気除菌部70をユーザが視認することはない。このため、空気調和システム100の見栄えが向上する。
空気除菌部70は、チャンバ60の開口のほぼ全面を覆って設けられる平板状の気液接触部材71と、この気液接触部材71の下方に当該気液接触部材71から流下する水を受ける水受皿72とを備える。気液接触部材71は、チャンバ60を介してメイン給気ダクト3を通過する空気と電解水とを接触させるための部材であり、当該気液接触部材71において空気が所定の活性酸素種を含む電解水に接触することにより、空気中に含まれるウイルス等が不活化されて空気の除菌が行われる。
気液接触部材71は、その上端部が空気の流れの上流側にあたるチャンバ60の内壁上面に当接し、この当接する位置を基点として、空気の流れの下流側に所定の角度だけ水平面に対し傾いて取り付けられている。この気液接触部材71の下端部とチャンバ60の内壁下面との間には若干の間隔が空いている。ここで、空気除菌装置150の運転中は、水受皿72には気液接触部材71から流下した電解水が貯留され、この電解水が気液接触部材71の下端まで達するため、チャンバ60に流入した空気が通過できる風路は気液接触部材71のみとなる。すなわち、給気口5から吸い込まれた屋外空気OA及び給気用グリル6から吸い込まれた室内空気RAは、すべて気液接触部材71を通過するため、当該空気の除菌効率を高めることができる。
また、本実施形態では、気液接触部材71は、チャンバ60内で所定の角度だけ水平面に対し傾けて配置しているため、チャンバ60の開口面積に対して気液接触部材71における空気と電解水との接触面積を大きく確保することができ、当該空気の除菌効率を高めることができる。
気液接触部材71は、ハニカム構造に似た3次元構造を持ったフィルタ部材であり、気体に接触するエレメント部をフレームにより支持する構造を有する。エレメント部は、図示を省略するが、波板状の波板部材と平板状の平板部材とが積層されて構成され、これら波板部材と平板部材との間に略三角状の多数の開口が形成されている。従って、エレメント部に空気を通過させる際の気体接触面積が広く確保され、電解水の滴下が可能で、目詰まりしにくい構造になっている。
エレメント部には、電解水による劣化が少ない素材、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、PET(ポリエチレン・テレフタレート)樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、PFA、ETFE等)又はセラミックス系材料等の素材が使用され、本構成では、PET樹脂を用いるものとする。また、エレメント部には親水性処理が施され、電解水に対する親和性が高められており、これによって、気液接触部材71の電解水の保水性(湿潤性)が保たれ、後述する活性酸素種(活性酸素物質)と空気との接触が長時間持続される。
気液接触部材71の上部には、この気液接触部材71のエレメント部に均一に電解水を分散させるための散水ボックス73が組み付けられている。この散水ボックス73には、上記電解水循環供給部80の貯水タンク81から延びる電解水供給ホース83が接続される接続口73Aが形成されている。また、散水ボックス73は、電解水供給ホース83を通じて供給された電解水を一時的に貯留するトレー部材(不図示)を備え、このトレー部材の側面に複数の散水孔(不図示)が開口し、この散水孔から気液接触部材71に対して電解水を滴下するようになっている。
また、気液接触部材71の上面には、散水ボックス73から滴下される電解水をエレメント部に効率よく分散させるため、分流シート(不図示)が配設されている。この分流シートは、液体の浸透性を有する繊維材料からなるシート(織物、不織布等)であり、気液接触部材71の厚み方向断面に沿って一または複数設けられる。
水受皿72は、気液接触部材71から流下する電解水を一時的に貯留するために十分な深さ及び面積を有し、その底部には、除菌に使用された電解水を排水して電解水循環供給部80の貯水タンク81に戻す排水ホース86が取り付けられている。
空気除菌部70及びメイン給気ダクト3は、天井裏空間28に配置されているため、見栄えの向上は図れるがメンテナンス作業の負担が増加する。特に、空気除菌装置150は、水を電気分解して電解水を生成し、この電解水を気液接触部材71に供給するものである。このため、本実施形態では、メンテナンス作業の軽減を図るため、空気除菌装置150は、空気除菌部70と、この空気除菌部70に電解水を供給する電解水循環供給部80とに区分けし、この電解水循環供給部80を上記空気除菌部70(チャンバ60)の下方に位置する各室201の床205上に載置している。
電解水循環供給部80は、図4に示すように、貯水タンク(水槽)81と、この貯水タンク81内の水を電気分解して電解水を生成する電解ユニット(電解水生成部)82と、当該貯水タンク81内の電解水を上記空気除菌部70の気液接触部材71にそれぞれ供給するための電解水供給ホース83と、この電解水供給ホース83上に設けられた送水ポンプ84と、この送水ポンプ84の下流側で上記電解水供給ホース83から分岐して電解ユニット82に接続される分岐ホース85と、上記空気除菌部70の水受皿72に流下した電解水を貯水タンク81に導く排水ホース86とを備える。
本実施形態では、貯水タンク81と電解ユニット82と送水ポンプ84とは1つの箱体87に収容されている。貯水タンク81には、この貯水タンク81に市水(水道水)等を供給する給水管88と、給水弁89とが接続され、この給水弁89は、貯水タンク81内に設けられるフロートスイッチFSの動作に応じて開閉制御される。
また、貯水タンク81の底部には、排水管90と排水弁91とが接続され、この排水弁91は、貯水タンク81内の電解水が濃縮して当該電解水中の硬度成分(例えばカルシウムイオンやマグネシウムイオン)の濃度が所定の基準値に至った場合に開放され、貯水タンク81内の水が交換される。
ここで、給水管88に接続されて、貯水タンク81に水を供給する給水源は、市水(水道水)或いは給水槽等に貯留された水等のいずれであってもよい。この給水槽等に貯留される水とは、水道水等のように塩化物イオン等のイオン種が予め含有されている水であってもよいし、井戸水等の塩化物イオンの濃度の希薄な水を使う場合には、この水に塩化物イオンを添加して水道水相当に調整された水であってもよい。本実施形態では、これらを総称して水という。
電解ユニット82は、図4に示すように、貯水タンク81の側面に固定配置されている。具体的には、電解ユニット82は、有底円筒形状のケース体82Aと、このケース体82A内に収納される少なくとも一対の電極92、93とを備え、これら電極92、93間に電圧を印加することにより、水を電気分解して活性酸素種を含む電解水を生成させる。
ここで、活性酸素種とは、通常の酸素よりも高い酸化活性を持つ酸素分子と、その関連物質のことであり、スーパーオキシドアニオン、一重項酸素、ヒドロキシルラジカル、或いは過酸化水素といった、いわゆる狭義の活性酸素に、オゾン、次亜ハロゲン酸等といった、いわゆる広義の活性酸素を含めたものとする。
電極92、93は、例えば、ベースがチタン(Ti)で皮膜層がイリジウム(Ir)、白金(Pt)から構成された2枚の電極板である。
上記電極92、93間に電圧を印加すると、カソード電極(陰極)では、下記式(1)に示すように反応する。
2H2O+2e-→H2+2OH- ・・・(1)
アノード電極(陽極)では、下記式(2)に示すように反応する。
2H2O→O2+4H++4e- ・・・(2)
これらカソード電極及びアノード電極での反応を合わせると、下記式(3)に示すように水が電気分解される。
2H2O→2H2+O2 ・・・(3)
この反応とともに、アノード電極においては、水に含まれる塩素イオン(塩化物イオン:Cl-)が下記式(4)に示すように反応し、塩素(Cl2)が発生する。
2Cl-→Cl2+2e- ・・・(4)
さらに、この塩素は下記式(5)に示すように水と反応し、次亜塩素酸(HClO)と塩化水素(HCl)が発生する。
Cl2+H2O→HClO+HCl ・・・(5)
アノード電極で発生した次亜塩素酸(広義の活性酸素種)は、強力な酸化作用や漂白作用を有する。次亜塩素酸が溶解した水溶液、すなわち電解ユニット82により生成される電解水は、ウイルス等の不活化、殺菌、有機化合物の分解等、種々の空気清浄効果を発揮する。本構成では、貯水タンク81内の水の一部は、送水ポンプ84、分岐ホース85を介して電解ユニット82に流入し、この電解ユニット82で電解水を生成して貯水タンク81に貯留する。一方、送水ポンプ84で送られた電解水の一部は、電解水供給ホース83を流れ、散水ボックス73を介して気液接触部材71に滴下される。
この場合、給気ファン65の運転により、給気口5から吸い込まれた屋外空気OA及び給気用グリル6から吸い込まれた室内空気RAが気液接触部材71において次亜塩素酸と接触する。これにより、空気中に浮遊するウイルス等が不活化されるとともに、当該空気に含まれる臭気物質が次亜塩素酸と反応して分解され、或いはイオン化して溶解する。従って、空気の除菌及び脱臭がなされ、清浄化(除菌)された空気が気液接触部材71から排出され、この清浄化された空気は、メイン給気ダクト3及び分岐ダクト4を介して各室内機2に流れ、これら室内機2内でそれぞれ室内空気RAと混合されて各室内に供給される。
活性酸素種によるウイルス等の不活化の作用機序として、インフルエンザウイルスの例を挙げる。上述した活性酸素種は、インフルエンザウイルスの感染に必須とされるウイルスの表面蛋白(スパイク)を破壊、消失(除去)する作用を有する。この表面蛋白が破壊された場合、インフルエンザウイルスと、インフルエンザウイルスが感染するのに必要な受容体(レセプタ)とが結合しなくなり、感染が阻止される。このため、空気中に浮遊するインフルエンザウイルスは、気液接触部材71において活性酸素種を含む電解水に接触することにより、感染力を失うこととなり、感染が阻止される。
ここで、電解ユニット82内の電極92、93のうち任意の側に正電位を与えるための電極の切り替えは、電極の極性を反転させることで行うことができ、本実施形態では電極92、93に印加する電圧を変化(反転)させることにより、実行可能である。
また、電解水中の活性酸素種の濃度は、除菌するウイルス等を不活化させる濃度となるように調整される。活性酸素種の濃度の調整は、電極92、93間に印加する電圧を調整して、電極92、93間に流す電流値を調整することにより行われる。例えば、電極92に正の電位を与えて、電極92、93間に流れる電流値を、電流密度で20mA(ミリアンペア)/cm2(平方センチメートル)とすると、所定の遊離残留塩素濃度(例えば1mg(ミリグラム)/l(リットル))を発生させる。また、電極92、93間に印加する電圧を変更して、電流値を高くすることで、電解水中の次亜塩素酸の濃度を高い濃度に調整できる。
以上、本実施形態によれば、ビル200内の部屋201の天井部に配置され、筐体29内に送風機22と室内熱交換器21とを収容した室内機2を複数備え、これら室内機2を、屋外空気OAもしくは室内空気RAの少なくとも一方を当該室内機2に供給するメイン給気ダクト3に並列に接続し、このメイン給気ダクト3は室内機2の風上にチャンバ60を備え、このチャンバ60内に、水を電気分解して生成した電解水と屋外空気OAもしくは室内空気RAの少なくとも一方とを接触させて当該空気を除菌する空気除菌部70を設けたため、この空気除菌部70を通過する空気を集中して除菌することができ、この除菌した空気をメイン給気ダクト3を介して各室内機2に供給することができる。従って、簡単な構成で室内機2から吹き出す空気の清浄化を図ることができる。また、本実施形態では、メイン給気ダクトに設けたチャンバ60内に空気除菌部70を設けたため、この空気除菌部70で清浄化および除菌された同質の空気を同時に各部屋に供給することができる。
また、本実施形態によれば、室内機2は、除菌された空気を筐体29内における室内熱交換器21の一次側に導く構成を備えたため、この室内熱交換器21により当該空気を熱交換した後に室内空間に吹き出すことができる。
また、本実施形態によれば、水を電気分解して電解水を生成する電解ユニット82と、電解水を貯留する貯水タンク81と、この貯水タンク81内の電解水を空気除菌部70の気液接触部材71に送るための送水ポンプ84とを備え、これらを空気除菌部70の下方に位置する室201内に設けたため、水が循環する各機器のメンテナンスを容易に行うことができる。さらに、これらの各機器は空気除菌部70の下方に配置されているため、当該各機器と空気除菌部70の気液接触部材71との距離を短くすることができ、電解水供給ホース83や排水ホース86の引き回し作業を容易に行うことができる。
また、本実施形態によれば、電解ユニット82、貯水タンク81及び送水ポンプ84を1つの箱体87に収容し、この箱体87を室201内の床205上に載置したため、これら電解ユニット82、貯水タンク81及び送水ポンプ84をコンパクトに配置することができるとともにメンテナンスを一層容易に行うことができる。
また、本実施形態によれば、空気除菌部70は、水平面に対して傾斜して配設された気液接触部材71を備えたため、チャンバ60の開口面積に対して気液接触部材71における空気と電解水との接触面積を大きく確保することができ、当該空気の除菌効率を高めることができる。
また、本実施形態によれば、室内機2とメイン給気ダクト3とを接続する分岐ダクト4を備え、この分岐ダクト4にそれぞれブースタファン51を備え、これらブースタファン51の動作を当該分岐ダクト4に対応する室内機2の送風機22と連動させたため、例えば、室内機2がサーモオフ状態にある場合には、送風機22の停止動作に連動してブースタファン51の運転が停止され、室内機2がサーモオンした場合には、送風機22の運転動作に連動してブースタファン51の運転が開始される。このため、各部屋201に除菌された空気を供給するか否かの制御を容易に行うことができる。
本実施形態では、水受皿72で受けた水を排水ホース86を通じて貯水タンク81に戻す水循環方式を採用しており、少量の水を有効に利用することで、長時間にわたって効率よく空気の除菌を行うことができる。また、蒸発により貯水タンク81内の水位が減少するので、フロートスイッチFSの動作によって給水弁89が開いて給水口より水道水が適量供給される。このように、水を循環させることにより、水受皿72で受けた水をそのまま排出する方式に比べて、水使用量を低減することができ、空気除菌装置150を運転する際のランニングコストの低減を図ることができる。
本実施形態では、室内機として、いわゆる「4方向カセット」について説明したが、これに限るものではなく、「2方向カセット」や「1方向カセット」に適用しても良いことは明らかである。
また、本実施形態では、メンテナンス作業の軽減を図るため、電解水循環供給部80を床205上に配置する構成としたが、この電解水循環供給部を天井裏空間28におけるチャンバ60の近傍に配置する構成としても良い。この構成では、電解水循環供給部と空気除菌部70との距離をより短くできるため、これらを接続する配管の引き回し作業がより容易となる。
本発明の実施形態における空気調和システムの概略構成を示す図である。 空気調和システムの配管構成図である。 室内機の側断面図である。 空気除菌装置の側断面図である。
符号の説明
1 室外機
2 室内機
3 メイン給気ダクト(給気ダクト)
4 分岐ダクト
10 冷媒配管
21 室内熱交換器(熱交換器)
22 送風機
23 室内機本体
24 天井
25 化粧パネル
26 給気チャンバ
28 天井裏空間
29 筐体
49 ブースタファン装置
50 フィルタ
51 ブースタファン(ファン)
60 チャンバ
65 給気ファン
70 空気除菌部
71 気液接触部材
72 水受皿
73 散水ボックス
73A 接続口
80 電解水循環供給部
81 貯水タンク(水槽)
82 電解ユニット(電解水生成部)
83 電解水供給ホース
84 送水ポンプ
85 分岐ホース
86 排水ホース
87 箱体
92、93 電極
100 空気調和システム
150 空気除菌装置
200 ビル

Claims (6)

  1. 建屋の天井部に配置され、筐体内に送風機と熱交換器とを収容した室内機を複数備え、これら室内機を、屋外空気もしくは室内空気の少なくとも一方を当該室内機に供給する給気ダクトに並列に接続し、この給気ダクトは、前記室内機の風上にチャンバを備え、このチャンバ内に、水を電気分解して生成した電解水と前記屋外空気もしくは室内空気の少なくとも一方とを接触させて当該空気を除菌する空気除菌部を設けたことを特徴とする空気調和システム。
  2. 前記室内機は、前記除菌された空気を前記筐体内における前記熱交換器の一次側に導く構成を備え、前記熱交換器により当該空気を熱交換した後に室内空間に吹き出すことを特徴とする請求項1に記載の空気調和システム。
  3. 水を電気分解して前記電解水を生成する電解水生成部と、前記電解水を貯留する水槽と、この水槽内の電解水を前記空気除菌部に送る送水ポンプとを備え、これらを前記空気除菌部の下方に位置する室内に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和システム。
  4. 前記電解水生成部、前記水槽及び前記送水ポンプを1つの箱体に収容し、この箱体を前記室内の床上に載置したことを特徴とする請求項3に記載の空気調和システム。
  5. 前記空気除菌部は、水平面に対して傾斜して配設された気液接触部材を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の空気調和システム。
  6. 前記室内機と前記給気ダクトとを接続する分岐ダクトを備え、この分岐ダクトにそれぞれファンを備え、これらファンの動作を当該分岐ダクトに対応する前記室内機の送風機と連動させたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の空気調和システム。
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