JP5199613B2 - 除菌システム - Google Patents
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Description
しかしながら、ルーフトップ型空気調和装置からビル内へは大量の空気が供給されるため、この大量の空気を除菌することは難しかった。
前記ルーフトップ型空気調和装置は、筺体内に前記送風経路の一部を構成し、熱交換器を配置した熱交換室と、この熱交換室の空気下流側に設けられた除菌室とを備え、これら熱交換室と除菌室とを区分けする仕切板に、前記熱交換室から前記除菌室に向けて送風する送風機を配置し、前記熱交換室における前記熱交換器よりも上流に前記ビル内の空気と屋外空気とが導入されて混合される構成とし、水を電気分解して電解水を生成する電解水生成部と、前記除菌室内に配置され、前記電解水生成部から供給された電解水と前記空気とを接触させて当該空気を除菌する空気除菌部と、前記ビルの屋上に設けられ、外部の給水源から供給された水を貯める水槽と、この水槽と前記電解水生成部との間を繋ぐ給水路とを備えたことを特徴とする。
この構成によれば、ルーフトップ型空気調和装置に連動して、水槽に貯められた水が給水路を介して電解水生成部に供給され、この電解水生成部で電解水が生成される。そして、この電解水がルーフトップ型空気調和装置の送風経路内に配置された空気除菌部に供給されることにより、この送風経路を通過する空気が空気除菌部で除菌されるため、この除菌された空気をビル内に広く行き渡らせることが可能となり、このビル内の被空調空間の空気除菌及び脱臭を簡単な構成で行うことができる。さらに、この水槽はビルの屋上に設けられるため、この水槽と電解水生成部とを繋ぐ給水路の配管長を短く施工することができるため、施工コストの低減を図れるとともに、屋上空間の有効利用を図ることができる。
図1は、ルーフトップ型空気調和装置(以下、空気調和装置という)110が配置される大空間施設としての映画館100を示す概略図である。
この図1に示すように、映画館100には、前方にスクリーン101が配置され、このスクリーン101の後方に階段状に客席部102が設けられている。一方、映画館100の天井部103には、空気調和装置110から館内に調和空気を吹き出す複数の吹出口104が設けられている。これら吹出口104は、供給ダクト105を介して、空気調和装置110の供給口111に連結されている。
また、映画館100の床部106には、この床部106付近の館内空気(内気)を吸い込む吸込口107が設けられている。この吸込口107は、スクリーン101の背面側に設けられ、このスクリーン101の背面空間を上方に延びる吸気ダクト108を介して、空気調和装置110の内気導入口112に連結されている。また、空気調和装置110には、この空気調和装置110内に屋外の空気(外気)を導入するための外気導入口113が形成されている。
映画館100内の空気(内気)は、矢印Xで示すように、吸込口107から吸い込まれ、吸気ダクト108及び内気導入口112を通じて、空気調和装置110内に導かれる。ここで、空気調和装置110内には、外気導入口113を通じて外気が導かれているため、この外気と上記内気とが当該空気調和装置110内で混合される。この混合された空気は、利用側熱交換器(後述する)で熱交換された後、供給口111及び供給ダクト105を通じて、吹出口104から調和空気として映画館100内に供給される。
具体的には、筐体114内は、仕切板115によって区分けされており、一方の室116に熱源側ユニット1が配置され、他方の室117に利用側ユニット2が配置されている。これら熱源側ユニット1及び利用側ユニット2は、冷媒配管10で連結されて冷媒回路を形成している。
熱源側ユニット1は、図2に示すように、冷媒配管10に設けられた圧縮機11を備え、この圧縮機11の吸込側に、アキュムレータ12が接続され、その吐出側には四方弁13と熱源側熱交換器14と電動膨張弁15とが順に接続されている。また、熱源側ユニット1には、熱源側熱交換器14へ向かって送風する熱源側送風機16が配設されている。
一方、利用側ユニット2は、上記冷媒配管10を介して電動膨張弁15に接続される利用側熱交換器21と、この利用側熱交換器21へ向かって送風する利用側送風機22とを備えて構成され、当該利用側熱交換器21は、上記冷媒配管10を介して上記四方弁13に接続されている。
また、暖房運転時には、図中に示す破線矢印の方向に冷媒が流れるように、四方弁13が切り換えられる。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、利用側熱交換器21に送られ、この利用側熱交換器21において凝縮することにより、利用側ユニット2内に導入された空気を加温する。利用側熱交換器21で凝縮した冷媒は、電動膨張弁15で膨張して熱源側熱交換器14に流入し、この熱源側熱交換器14で蒸発した後、四方弁13を介してアキュムレータ12に送られ、圧縮機11の吸込側に戻る。
詳述すると、利用側ユニット2が設けられる他方の室117は、図3に示すように、仕切板118によって、さらに熱交換室119と除菌室(送風経路)120とに区分けされている。この熱交換室119には、上記した内気導入口112及び外気導入口113が形成され、これら内気導入口112及び外気導入口113の下流側に利用側熱交換器21が筋交い状に配置されている。また、仕切板118には利用側送風機22が設けられ、この利用側送風機22の運転により、熱交換室119内の空気が除菌室120に送風されるようになっている。この除菌室120には空気除菌部4が配置され、この空気除菌部4の下流側に供給口111が形成されている。これにより、利用側ユニット2に導入された空気は、送風経路としての除菌室120を通過する際に、この除菌室120に配置された空気除菌部4で除菌され、この除菌された空気が供給口111及び供給ダクト105を通じて、吹出口104から映画館100内に供給される。
空気除菌部4は、図4に示すように、保水性の高く、略同一の大きさに形成された複数(本実施形態では12枚)の気液接触部材41A1〜41F2を備える。具体的には、空気除菌部4は、横並びに配置された一対の気液接触部材(例えば、気液接触部材41A1、41A2)からなる系統を6系統(系統A〜系統F)備えて構成されている。
気液接触部材41A1〜41F2は、この気液接触部材41A1〜41F2に吹き付けられた空気に電解水を接触させるための部材である。これら気液接触部材41A1〜41F2において除菌室120内に吸い込まれた空気が所定の活性酸素種を含む電解水に接触することで、空気中に含まれるウイルス等が不活化されることなどにより、空気の除菌が行われる。
気液接触部材41A1〜41F2は、ハニカム構造に似た3次元構造を持ったフィルタ部材であり、気体に接触するエレメント部をフレームにより支持する構造を有する。エレメント部は、図示を省略するが、波板状の波板部材と平板状の平板部材とが積層されて構成され、これら波板部材と平板部材との間に略三角状の多数の開口が形成されている。従って、エレメント部に空気を通過させる際の気体接触面積が広く確保され、電解水の滴下が可能で、目詰まりしにくい構造になっている。
エレメント部には、電解水による劣化が少ない素材、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、PET(ポリエチレン・テレフタレート)樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、PFA、ETFE等)又はセラミックス系材料等の素材が使用され、本構成では、PET樹脂を用いるものとする。また、エレメント部には親水性処理が施され、電解水に対する親和性が高められており、これによって、気液接触部材41A1〜41F2の電解水の保水性(湿潤性)が保たれ、後述する活性酸素種(活性酸素物質)と空気との接触が長時間持続される。
次に、各系統の気液接触部材の構成について説明する。例えば、系統Aにおいて、気液接触部材41A1、41A2の上部には、この気液接触部材41A1、41A2に均一に電解水を分散させるための散水ボックス42A1、42A2が組み付けられている。この散水ボックス42A1、42A2は、電解水を一時的に貯留するトレー部材を備え、このトレー部材の側面に複数の散水孔(図示略)が開口し、この散水孔から気液接触部材41A1、41A2に対して電解水を滴下するようになっている。
また、気液接触部材41A1、41A2の上面には、散水ボックス42A1、42A2から滴下される電解水をエレメント部に効率よく分散させるため、分流シート(図示略)が配設されている。この分流シートは、液体の浸透性を有する繊維材料からなるシート(織物、不織布等)であり、気液接触部材41A1、41A2の厚み方向断面に沿って一または複数設けられる。
また、気液接触部材41A1、41A2の下部には、これら気液接触部材41A1、41A2から流下した水を受ける電解水トレー43Aが取り付けられている。この電解水トレー43Aの底面には、当該電解水トレー43Aで受けた水をドレンパン44(図4)に導くドレンホース45Aが取り付けられている。他の系統(系統B〜系統F)の構成は、上記した系統Aのものと略同等であるため、同種の符号を付して説明を省略する。
また、貯水タンク61には、この貯水タンク61に市水(水道水)を供給する給水管65を備え、この給水管65には給水弁66と、貯水タンク61内の水量に応じて給水もしくは止水するボールタップ67とが接続されている。ここで、給水管65に接続されて、貯水タンク61に水を供給する給水源は、市水(水道水)或いは給水槽等に貯留された水等のいずれであってもよい。この給水槽等に貯留される水とは、水道水等のように塩化物イオン等のイオン種が予め含有されている水であってもよいし、井戸水等の塩化物イオンの濃度の希薄な水を使う場合には、この水に塩化物イオンを添加して水道水相当に調整された水であってもよい。本実施形態では、これらを総称して水という。
また、貯水タンク61には、この貯水タンク61内の水を排出する排出口61Aが形成され、この排出口61Aには、排水弁68を介して排水管69が接続されている。この排水弁68は、例えば、除菌システム150の運転時間が所定時間に達する毎に開放されて貯水タンク61内の水の入れ替えが行われる。また、本構成では、排水管69の出口69Aは、ビル200の屋上に形成された排水溝200Aに指向するように設けられている。これによれば、貯水タンク61から排水管69を通じて排出される水はすべて排水溝200Aに流入されるため、ビル200の屋上の床面に排水されることが防止され、この屋上の多目的利用に支障を来たすことを防止できる。
また、電解ユニット51A〜51Fには、これら電解ユニット51A〜51Fから上記各系統A〜Fの気液接触部材41A1〜41F2にそれぞれ電解水を供給するための電解水注入チューブ56A〜56Fが接続されている。これら電解水注入チューブ56A〜56Fはそれぞれ2つに分岐しており、図5に示すように、例えば、系統Aの電解水注入チューブ56Aは、下流側端部で2つの分岐管56A1、56A2に分岐されている。これら分岐管56A1、56A2は、それぞれ散水ボックス42A1、42A2に接続され、これら散水ボックス42A1、42A2を介して、上記気液接触部材41A1、41A2に電解水を供給する。また、電解ユニット51A〜51Fは、1つの箱体54に収容されて、空気調和装置110(特に空気除菌部4)に隣接配置されている。これによれば、上記電解水注入チューブ56A〜56Fの配管長を短く施工することができるため、施工コストの低減を図ることができる。
ここで、活性酸素種とは、通常の酸素よりも高い酸化活性を持つ酸素分子と、その関連物質のことであり、スーパーオキシドアニオン、一重項酸素、ヒドロキシルラジカル、或いは過酸化水素といった、いわゆる狭義の活性酸素に、オゾン、次亜ハロゲン酸等といった、いわゆる広義の活性酸素を含めたものとする。
上記電極57A、58A間に電圧を印加すると、カソード電極(陰極)では、下記式(1)に示すように反応する。
2H2O+2e-→H2+2OH- ・・・(1)
アノード電極(陽極)では、下記式(2)に示すように反応する。
2H2O→O2+4H++4e- ・・・(2)
これらカソード電極及びアノード電極での反応を合わせると、下記式(3)に示すように水が電気分解される。
2H2O→2H2+O2 ・・・(3)
この反応とともに、アノード電極においては、水に含まれる塩素イオン(塩化物イオン:Cl-)が下記式(4)に示すように反応し、塩素(Cl2)が発生する。
2Cl-→Cl2+2e- ・・・(4)
さらに、この塩素は下記式(5)に示すように水と反応し、次亜塩素酸(HClO)と塩化水素(HCl)が発生する。
Cl2+H2O→HClO+HCl ・・・(5)
例えば、電極57Aに正の電位を与えて、電極57A、58A間に流れる電流値を、電流密度で20mA(ミリアンペア)/cm2(平方センチメートル)とすると、所定の遊離残留塩素濃度(例えば1mg(ミリグラム)/l(リットル))を発生させる。また、電極57A、58A間に印加する電圧を変更して、電流値を高くすることで、電解水中の次亜塩素酸の濃度を高い濃度に調整できる。
さらに、貯水タンク61はビル200の屋上に設けられるため、この貯水タンク61と電解水生成部5とを繋ぐ給水路52の配管長を短く施工することができるため、施工コストの低減を図れるとともに、屋上空間の有効利用を図ることができる。
2H2O→4H++O2+4e- ・・・(6)
3H2O→O3+6H++6e- ・・・(7
2H2O→O3+4H++4e- ・・・(8)
一方、カソード電極では、下記式(9)及び(10)に示す反応が起こり、この(10)式では、電極反応により生成したO2 -と溶液中のH+とが結合して、過酸化水素(H2O2)が生成される。
2H2O+2e-→H2+2OH- ・・・(9)
O2 -+e-+2H+→H2O2 ・・・(10)
この場合、電解ユニット51A〜51Fに導入される水に、薬剤(ハロゲン化合物等)が供給される構成とすればよい。例えば、上記薬剤を供給する薬剤供給装置を貯水タンク61に設けてもよく、この薬剤供給装置は、貯水タンク61から電解ユニット51A〜51Fに至る経路上において薬剤を注入するものであってもよいし、電解ユニット51A〜51Fに直接薬剤を注入する構成としてもよい。
ここで、薬剤としては食塩または食塩水を用いることができる。例えば、電解ユニット51A〜51F中の食塩水の濃度を2〜3%(重量パーセント)程度に調整すれば、電解ユニット51A〜51Fにおいて食塩水を電気分解することにより次亜塩素酸もしくは過酸化水素を含んだ電解水(0.5〜1%)を生成できる。この構成によれば、電解ユニット51A〜51Fに導入される水中のイオン種が希薄な場合でも、食塩または食塩水を添加することにより、イオン種を増加させて、水の電気分解時に、高効率に安定して活性酸素種を生成できる。
また、本実施形態では、ドレンパン44で受けた水を循環路63を通じて貯水タンク61に戻す水循環方式としているが、このドレンパン44で受けた水をそのまま排出する構成としても良い。この構成では、水使用量が水循環方式に比べて増加するものの、循環路63を設ける必要がなくなるため、設備コストの低減を図ることが可能となる。
2 利用側ユニット
4 空気除菌部
5 電解水生成部
21 利用側熱交換器
22 利用側送風機
41A1、41A2、41B1、41B2、41C1、41C2、41D1、41D2、41E1、41E2、41F1、41F2 気液接触部材
44 ドレンパン
51A、51B、51C,51D、51E、51F 電解ユニット
52、52A、52B、52C,52D、52E、52F 給水路
61 貯水タンク(水槽)
61A 排出口
63 循環路
65 給水管
69 排水管
69A 出口
100 映画館(被空調空間)
120 除菌室(送風経路)
150 除菌システム
200 ビル(建屋)
200A 排水溝
Claims (4)
- ビルの屋上に配置されたルーフトップ型空気調和装置の当該ビル内への送風経路を流れる空気を除菌する除菌システムであって、
前記ルーフトップ型空気調和装置は、筺体内に前記送風経路の一部を構成し、熱交換器を配置した熱交換室と、この熱交換室の空気下流側に設けられた除菌室とを備え、これら熱交換室と除菌室とを区分けする仕切板に、前記熱交換室から前記除菌室に向けて送風する送風機を配置し、前記熱交換室における前記熱交換器よりも上流に前記ビル内の空気と屋外空気とが導入されて混合される構成とし、
水を電気分解して電解水を生成する電解水生成部と、前記除菌室内に配置され、前記電解水生成部から供給された電解水と前記空気とを接触させて当該空気を除菌する空気除菌部と、前記ビルの屋上に設けられ、外部の給水源から供給された水を貯める水槽と、この水槽と前記電解水生成部との間を繋ぐ給水路とを備えたことを特徴とする除菌システム。 - 前記水槽の排出口に排水管を備え、この排水管の出口を前記ビルの屋上に形成された排水溝に指向させたことを特徴とする請求項1に記載の除菌システム。
- 前記空気除菌部から流下した水を前記水槽に戻す循環路を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の除菌システム。
- 前記空気除菌部は、少なくとも前記除菌室の上下方向に並べて配置される複数の気液接触部材を備え、これら気液接触部材に前記電解水生成部から電解水をそれぞれ供給したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の除菌システム。
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