ところで、上記特許文献1のような温水床暖房パネルでは、基板の凹溝から引き出した温水パイプを直角に折り曲げて往路パイプ又は復路パイプに接続するため、施工の際に、床下地にあけた貫通孔にパイプがこすられて傷ついたり、温水パイプが変形してしまう虞がある。また、温水パイプが凹溝から引き出された部分の基板は加熱されないため、床暖房パネルにおいて暖まりにくい部分がでてしまい、暖房効率が低下する。
そこで、上記特許文献2のように、エルボ等の接続部材を用いて温水パイプと往路パイプ又は復路パイプとを接続することで、温水パイプの傷や変形を防ぐことができるとともに、温水パイプを凹溝から引き出さずに、接続部材によって往路パイプ等と接続するため、暖房効率の低下を抑制することができる。
しかし、上記特許文献2の温水床暖房パネルでは、基板に設けられた凹溝によって温水パネルの端部の収納位置が決まっているため、床下地材に貫通孔を設ける位置も定まってしまう。そうすると、この貫通孔を設ける位置が、根太や大引き等の床下構造材の配設されている位置と一致した場合、床下地材に貫通孔を設けることができないため、温水床暖房パネルの設置割付を再検討する必要があり、手間がかかるという問題がある。
本出願人は、床下地材に配設されている床下構造材の位置によって温水床暖房パネルの設置割付を再検討する等の手間をかけなくても、床暖房パネルを容易に施工することができるようにした温水床暖房パネルを提案した(特願2008−103701号明細書及び図面参照)。
この提案のものでは、選択凹溝を設けることで接続部材収容部が選択可能になり、これにより、施工時において床下構造材との位置関係によって、接続部材の位置を変更することが可能となる。
しかし、その反面、2枚の温水床暖房パネルにおける温水パイプの一端にそれぞれ接続部材を設ける一方、両温水床暖房パネルにおける温水パイプの他端同士を連続させて、温水床暖房パネルを2枚1組の温水床暖房パネルセットとして施工した場合、以下のような問題が生じ、改良の余地があった。
すなわち、温水床暖房パネルの施工の際には床下において、温水パイプの接続を行うが、各温水床暖房パネルにそれぞれ1つずつの接続部材が設けられており、2枚1組の温水床暖房パネルセットでは、温水の往路及び復路となる2つの接続部材が引き出される。その際、暗くて狭い床下では、どの2つの接続部材が温水床暖房パネルセットのものとなっているのかを、できるだけ瞬時に理解できることが作業性の上で重要である。
ところが、上記のように接続部材の位置変更が可能になると、その位置によっては隣接する温水床暖房パネルセットの接続部材と間違える恐れがある(接続部材が位置変更不能である場合、一定間隔があけられた固定位置であるので、理解は容易であり、間違えることはない)。仮に端から順番に接続するというルールにしていたとしても、現場状況により、接続部材を見逃してしまい、後で気付いても接続部材と、往路パイプや復路パイプ等の配管部材との距離が離れて届かなくなって接続できず、作業のやり直しになって手間となる恐れが生じる。
同様に、往路及び復路となる接続部材を互いに異なる表示にしておき、往路の接続部材と復路の接続部材とを明確に区分しておいたとしても、現場状況により、接続部材を見逃したときに必要な接続ができず、やはりやり直しになってしまう。
本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、上記のように、接続部材の位置を変更可能な温水床暖房パネルを2枚1組の温水床暖房パネルセットにして施工する際、その各温水床暖房パネルの接続部材に対する接続作業を間違いなく容易に行い得るようにすることにある。
上記の目的の達成のため、この発明では、1対の温水床暖房パネルの各々に設けられる接続部材に互いに同じでかつ他の温水床暖房パネルのセットとは異なる表示を付すようにした。
具体的には、請求項1の発明では、基板と、該基板の下面に形成された凹溝と、該凹溝内に収容された温水パイプとを備えた温水床暖房パネルを、2枚1組の温水床暖房パネルセットにして施工するようにした施工構造が対象である。
そして、上記一方の温水床暖房パネルにおける温水パイプの一端には第1接続部材が設けられている一方、第2温水床暖房パネルにおける温水パイプの一端には第2接続部材が設けられ、両温水床暖房パネルにおける温水パイプの他端同士は連続している。
また、上記各温水床暖房パネルの凹溝は、凹溝本体と、該凹溝本体の少なくとも一端に設けられた分岐部と、一端が上記分岐部に分岐して接続されかつ互いに同じ長さである複数の選択凹溝と、該選択凹溝の他端にそれぞれ設けられた接続部材収容部とを備え、上記温水パイプの接続部材が設けられている側の端部は、上記分岐部を介して上記複数の選択凹溝のうちのいずれか1つの選択凹溝に収容され、上記接続部材を収容する上記選択凹溝の他端の接続部材収容部が選択可能とされている。
さらに、上記温水床暖房パネルセットの第1及び第2接続部材には、互いに同じ表示をしかつ少なくとも隣接して施工される他の温水床暖房パネルのセットとは異なる表示をする表示手段が設けられていることを特徴とする。
この請求項1の発明では、温水床暖房パネルが2枚1組の温水床暖房パネルセットに組み合わされ、その複数の温水床暖房パネルセットになって施工される。そして、各温水床暖房パネルの温水パイプは凹溝本体に収容され、少なくとも分岐部が設けられている側の端部は、分岐部を介して複数の選択凹溝のうちのいずれか1つに収容されている。温水パイプの端部に設けられた接続部材は、温水パイプが収容される選択凹溝の他端の接続部材収容部に収容される。温水床暖房パネルを床下地材に施工する際に、接続部材が収容されている接続部材収容部に対応する床下地材の箇所に貫通孔を形成し、この貫通孔に温水供給装置から温水を供給する往路パイプ又は放熱後の温水を温水供給装置に戻す復路パイプを通し、これらを接続部材に接続することで、温水パイプと往路パイプ又は復路パイプとを接続する。
ここで、貫通孔を設けようとする床下地材の箇所に根太や大引き等の床下構造材が配設されている場合には、温水パイプの端部を選択凹溝から分岐部まで引き出し、異なる選択凹溝に収容し直す。そして、この選択凹溝の接続部材収容部に対応する床下地材の箇所に貫通孔を設ける。
このように、温水パイプを収容する凹溝に分岐部から分岐する複数の選択凹溝を設け、各選択凹溝の他端に接続部材収容部を設けたため、接続部材が収容されている接続部材収容部に対応する床下地材の箇所に床下構造材が配設されている場合でも、他の選択凹溝に温水パイプを収容し直して、接続部材を異なる位置の接続部材収容部に収容することができ、床下構造材が配設されていない床下地材の箇所に貫通孔を設けて、接続部材に往路パイプ等を接続することができる。
すなわち、床下地材に貫通孔を設けることができる位置にある接続部材収容部を選択可能であるので、床下地材に配設されている床下構造材の位置によって温水床暖房パネルの設置割付を再検討する等の手間をかけなくても、温水床暖房パネルを容易に施工することができる。
そして、各温水床暖房パネルセットにおける一方の温水床暖房パネルの第1接続部材と、他方の温水床暖房パネルの第2接続部材とに、互いに同じ表示をする表示手段が設けられているので、温水床暖房パネルの施工時に床下で接続部材を接続する作業において、どの接続部材が温水床暖房パネルセットのペアであるかが明確に判るようになり、その一方を往路とすれば、もう一方を復路とすればよく、接続間違いが生じない。
しかも、上記第1及び第2接続部材の表示手段は、少なくとも隣接して施工される他の温水床暖房パネルセットのものとは異なる表示をしているので、複数の接続部材について、ある温水床暖房パネルセットと、他の温水床暖房パネルセットとを区別することができ、複数の温水床暖房パネルから引き出された複数の接続部材が隣接していても、どの温水床暖房パネルの往復路用の接続部材なのか、或いは、どの往路用接続部材と、どの復路用接続部材とが1つの温水床暖房パネルセットに対応しているのか識別が容易で直ぐに理解でき、所定の配管部材(往路パイプ、復路パイプ)に対応する接続部材を間違いなく接続することができる。
請求項2の発明では、上記請求項1の温水床暖房パネルの施工構造において、温水床暖房パネルの凹溝は、上記基板の長辺方向端部近傍で短辺方向中央部に位置するように設けられた分岐部と、上記分岐部から基板の短辺方向両側に向かって延びる2つの上記選択凹溝と、上記基板の短辺方向両側部に設けられた2つの接続部材収容部とを備えていることを特徴とする。
この請求項2の発明では、温水パイプの端部は分岐部を介して2つの選択凹溝のうちのいずれか一方に収容されている。温水パイプが収容されている方の選択凹溝の接続部材収容部に対応する床下地材の箇所に根太等の床下構造材が配設されている場合は、温水パイプの端部を選択凹溝から分岐部まで引き出し、他方の選択凹溝に収容し直す。2つの選択凹溝は、基板の短辺方向に互いに離間した位置に設けられているので、貫通孔を設けようとする基板の箇所に床下構造材が配設されている場合には、貫通孔を設ける位置を基板の短辺方向にずらすことができる。
こうして接続部材収容部が基板の短辺方向両側部に設けられているため、一側部の接続部材収容部に対応する床下地材の箇所に床下構造材が配設されていても、この接続部材収容部と離間した他側部の接続部材収容部に接続部材を収容することで、床下構造材が配設されていない床下地材に貫通孔を設けることができ、温水床暖房パネルを容易に施工することができる。
また、分岐部を基板の長辺方向端部近傍に設けているため、2つの選択凹溝のうち、いずれの選択凹溝に温水パイプの端部を収容しても、基板で温水パイプが通らない部分が少ないので、暖房効率の低下を抑制することができる。
請求項3の発明では、基板と、該基板の下面に形成された凹溝と、該凹溝内に収容された温水パイプとを備えた温水床暖房パネルを、2枚1組の温水床暖房パネルセットとして施工するようにした施工構造であって、上記一方の温水床暖房パネルにおける温水パイプの一端には第1接続部材が設けられている一方、他方の温水床暖房パネルにおける温水パイプの一端には第2接続部材が設けられ、両温水床暖房パネルにおける温水パイプの他端同士は連続している。
そして、上記各温水床暖房パネルの凹溝は、凹溝本体と、該凹溝本体の少なくとも一端に設けられた分岐部と、平面視で2つのループ溝同士を互いに接するように連結した8の字状に形成され、両ループ溝の連結部に上記分岐部が接続された選択凹溝と、該分岐部を始点としかつ上記選択凹溝に沿って上記分岐部からの距離が一定で途中で交差しない4つの経路を設定したときに、該経路の終点となる4箇所に設けられた接続部材収容部とを備え、上記温水パイプの接続部材が設けられている側の端部は、上記分岐部を介して上記選択凹溝に上記経路のいずれか1つに沿うように収容され、上記接続部材を収容する上記接続部材収容部が選択可能とされている。
さらに、上記温水床暖房パネルセットの第1及び第2接続部材には、互いに同じ表示をしかつ少なくとも隣接して施工される他の温水床暖房パネルのセットとは異なる表示をする表示手段が設けられていることを特徴とする。
この請求項3の発明では、温水パイプは凹溝本体に収容され、少なくとも分岐部が設けられている側の端部は、分岐部を介して選択凹溝にいずれかの経路に沿って収容されている。温水パイプの端部に設けられた接続部材は、選択凹溝に設けられた4つの接続部材収容部のうち、上記経路の終点に設けられた接続部材収容部に収容される。温水床暖房パネルを床下地材に施工する際に、接続部材が収容されている接続部材収容部に対応する床下地材の箇所に貫通孔を形成し、この貫通孔に温水供給装置から温水を供給する往路パイプ又は放熱後の温水を温水供給装置に戻す復路パイプを通し、これらを接続部材に接続することで、温水パイプと往路パイプ又は復路パイプとを接続する。
接続部材が収容されている接続部材収容部に対応する床下地材の箇所に根太や大引き等の床下構造材が配設されている場合には、温水パイプの端部を選択凹溝から分岐部まで引き出し、床下地材において床下構造材が配設されていない箇所に対応する接続部材収容部に接続部材を収容するように、温水パイプを選択凹溝内に収容し直す。このように、温水パイプを選択凹溝に収容する経路を変えることにより、異なる位置に形成された接続部材収容部のいずれかに接続部材が収容される。
そして、いずれの接続部材収容部に接続部材が収容される場合でも、8の字状に形成された選択凹溝に温水パイプが収容されて、選択凹溝の途中に設けられた接続部材収容部に接続部材が収容されるので、選択凹溝において温水パイプが収容されていない部分が少ない。
このように、温水パイプを収容する凹溝に分岐部から連続する選択凹溝を設け、この選択凹溝に4つの接続部材収容部を設けたため、接続部材が収容されている接続部材収容部に対応する床下地材の箇所に床下構造材が配設されている場合でも、選択凹溝における温水パイプの端部の収容形態を変更して収容し直し、接続部材を異なる位置の接続部材収容部に収容することができるので、床下構造材が配設されていない床下地材の箇所に貫通孔を設けて、接続部材に往路パイプ等を接続することができる。
すなわち、床下地材に貫通孔を設けることができる位置にある接続部材収容部を選択可能であるので、床下地材に配設されている床下構造材の位置によって温水床暖房パネルの設置割付を再検討する等の手間をかけなくても、温水床暖房パネルを容易に施工することができる。
また、分岐部から連続する選択凹溝に接続部材収容部を4つ設けたので、種々の床下構造材の配置に対して対応し易く、床下構造材が配設されていない床下地材の箇所に対応する接続部材収容部の選択を可能とすることができる。
また、温水パイプの端部を8の字状の選択凹溝に収容するので、いずれの接続部材収容部に接続部材を収容しても、基板で温水パイプが通らない部分が少ないので、暖房効率の低下を抑制することができる。
また、各温水床暖房パネルセットにおける一方の温水床暖房パネルの第1接続部材と、他方の温水床暖房パネルの第2接続部材とに、互いに同じ表示をする表示手段が設けられているので、請求項1の発明と同様に、温水床暖房パネルの施工時に床下で接続部材を接続する作業において、どの接続部材が温水床暖房パネルセットのペアであるかが明確に判るようになり、その一方を往路とすれば、もう一方を復路とすればよく、接続間違いが生じない。
さらに、第1及び第2接続部材の表示手段は、少なくとも隣接して施工される他の温水床暖房パネルのセットの接続部材とは異なる表示をしているので、複数の接続部材について、ある温水床暖房パネルのセットと他の温水床暖房パネルのセットとを区別することができ、複数の温水床暖房パネルから引き出された複数の接続部材が隣接していても、どの温水床暖房パネルの往復路用接続部材なのか、或いは、どの往路用接続部材と、どの復路用接続部材とが1つの温水床暖房パネルセットに対応しているのか識別が容易で直ぐに理解でき、所定の配管部材(往路パイプ、復路パイプ)に対応する接続部材を間違いなく接続することができる。
請求項4の発明では、上記請求項3の温水床暖房パネルのセットにおいて、各温水床暖房パネルの分岐部が基板の長辺方向一端部近傍で短辺方向中央部に設けられ、上記選択凹溝の2つのループ溝にそれぞれ2つずつ設けられた上記接続部材収容部が、上記基板の短辺方向両側部に設けられていることを特徴とする。
この請求項4の発明では、温水パイプの端部の接続部材は、分岐部を介して4つの接続部材収容部のうちのいずれかに収容されている。接続部材が収容されている接続部材収容部に対応する床下地材の箇所に根太等の床下構造材が配設されている場合は、温水パイプの端部を選択凹溝から分岐部まで引き出し、異なる接続部材収容部に接続部材を収容し直す。4つの接続部材収容部は、選択凹溝の各ループ溝における基板の短辺方向両側部で長辺方向に互いに離間した位置にそれぞれ設けられているので、貫通孔を設けようとする基板の箇所に床下構造材が配設されている場合には、貫通孔を設ける位置を基板の短辺方向又は長辺方向にずらすことができる。
そして、接続部材収容部が基板の短辺方向に離間した位置と、長辺方向に離間した位置との4箇所に設けられているため、基板の短辺方向又は長辺方向に延びる床下構造材が配設されていても、いずれかの接続部材収容部に接続部材を収容して、床下構造材が配設されていない床下地材に貫通孔を設けることができ、温水床暖房パネルの施工をより一層容易にすることができる。
以上説明したように、請求項1〜4の発明によると、2つの温水床暖房パネルを、2枚1組の温水床暖房パネルセットとして施工するようにした施工構造において、各温水床暖房パネルに、選択凹溝及び接続部材収容部を備えた凹溝を設け、この両温水床暖房パネルの接続部材収容部にそれぞれ収容される接続部材に、互いに同じで他の温水床暖房パネルセットの接続部材とは異なる表示をする表示手段を設けたことにより、施工時において床下構造材との位置関係によって、接続部材の位置を変更することができるとともに、温水床暖房パネルの施工時に床下で接続部材を接続する作業において、どの接続部材が温水床暖房パネルセットのペアであるかが明確に判るようになり、複数の接続部材について、ある温水床暖房パネルセットと他の温水床暖房パネルセットとを区別することができ、所定の配管部材に対応する接続部材を間違いなく接続することができる。
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る温水床暖房パネル施工構造を示し、この施工構造では、2種類の温水床暖房パネルP1,P2(以下、床暖房パネルともいう)が1組の温水床暖房パネルセットS(以下、床暖房パネルセットともいう)に組み合わされて複数セット施工されている。
すなわち、各温水床暖房パネルセットSは、図3で右側に位置する第1の温水床暖房パネルP1と、図3で左側に位置する第2の温水床暖房パネルP2とが組み合わされている。これら温水床暖房パネルP1,P2は、基本的には互いに略同じ構造のもので、図4及び図5に示すように、合板、MDF等の木質材料からなる基板1を有し、この基板1の上面に突板、WPC、化粧紙等からなる表面化粧材2が一体的に接着されている。
図3〜図5に示すように、各温水床暖房パネルP1,P2の基板1周縁部における一方の長辺及び一方の短辺には、断面矩形状の凹条からなる雌実1a,1aが形成されている。一方、基板1の周縁部における他方の長辺及び他方の短辺には、断面矩形状の凸条からなる雄実1b,1bが形成されている。各温水床暖房パネルセットSの床暖房パネルP1,P2同士を接合するとき、及び、互いに隣り合う2つの温水床暖房パネルセットS,Sにおいて、隣接する床暖房パネルP1,P2同士を接合するときには、いずれもそれら雌実1aと雄実1bとを嵌合させることで、床暖房パネルP1,P2同士を接合するようになっている。
上記各床暖房パネルP1,P2における基板1の下面には凹溝9が形成されている。この凹溝9は、図4に示すように、開口側の側面が互いに平行な平面形状で、奥側の溝底面が断面半円形状のものである。この凹溝9は、連続する1本の温水パイプ13を収容するためのもので、図3に示すように、各床暖房パネルP1,P2の平面視全域に亘って蛇行するように形成されている。
具体的には、上記凹溝9は、各床暖房パネルP1,P2の長辺方向一端部近傍(図3の上側)で短辺方向中央部に分岐部10をそれぞれ有し、この各分岐部10から連続する1本の凹溝本体11が蛇行して基板1の全域に亘って形成されている。図3の右側に示す第1床暖房パネルP1では、その短辺方向において、図3左側の第2床暖房パネルP2側端部で長辺方向一端(図3の上側)寄りに、凹溝9の他端が形成されている。一方、第2床暖房パネルP2では、分岐部10から連続する1本の凹溝本体11(凹溝9)の他端が、短辺方向における第1床暖房パネルP1側(図3の右側)端部で長辺方向中央部に形成されている。これら両床暖房パネルP1,P2の凹溝9,9の他端は、両床暖房パネルP1,P2が長辺方向に互いに隣り合った位置に施工された際に、重なる位置に形成されている。
さらに、各床暖房パネルP1,P2の凹溝9は、上記凹溝本体11と連続し、かつ一端が上記分岐部10から長辺方向一端側に向かって短辺方向両側に分岐する2つの選択凹溝12,12を備えている。各選択凹溝12の他端には、例えば平面視で矩形状の接続部材収容部14が形成されている。このことで、凹溝9は凹溝本体11と、分岐部10と、選択凹溝12,12と、接続部材収容部14,14とで構成されている。
上記各温水床暖房パネルP1,P2の凹溝9内には、架橋ポリエチレン等からなる1本の連続する温水パイプ13が収容されており、この温水パイプ13の内部を所定温度の温水が流れる。
上記第1温水床暖房パネルP1,P2における温水パイプ13の一端にはエルボ等の第1接続部材15aが液密状にシールされて取付固定されている。一方、第2温水床暖房パネルP2における温水パイプ13の一端にも同様の第2接続部材15bが液密状にシールされて取付固定されている。そして、第1温水床暖房パネルP1における温水パイプ13の他端と第2温水床暖房パネルP2における温水パイプ13の他端とは、上記各温水床暖房パネルP1,P2の凹溝9,9の他端において接続されて、両温水床暖房パネルP1,P2の温水パイプ13,13が一連に連続している。このことで、各温水床暖房パネルセットSの2つの床暖房パネルP1,P2の温水パイプ13,13によって1つの温水回路が形成されており、例えば第1温水床暖房パネルP1の第1接続部材15aから流入した温水が、該第1温水床暖房パネルP1の温水パイプ13を通った後に、第2温水床暖房パネルP2の温水パイプ13に流れてそれを通過し、該第2温水床暖房パネルP2の第2接続部材15bから流出するか、或いは逆に、第2温水床暖房パネルP2の第2接続部材15bから流入した温水が、該第2温水床暖房パネルP2の温水パイプ13を通った後に、第1温水床暖房パネルP1の温水パイプ13に流れてそれを通過し、該第1温水床暖房パネルP1の第1接続部材15aから流出するようになっている。
そして、図3に示すように、上記温水パイプ13の端部は、接続部材15a,15bと共に、選択凹溝12から分岐部10までの部分が凹溝9から引出し可能に構成されている。また、第1床暖房パネルP1に形成された2つの選択凹溝12,12のうちのいずれか一方に一端部が収容される温水パイプ13は、上記の如く、分岐部10を経由して凹溝本体11内を第1床暖房パネルP1における他端まで延びている。さらに、この温水パイプ13は、第2床暖房パネルP2における凹溝9に至り、その他端から凹溝本体11内を連続して延び、他端部が分岐部10を介して、第2床暖房パネルP2に形成された2つの選択凹溝12,12のうちのいずれか一方に収容されている。
上記温水パイプ13の両端部にそれぞれ設けられている両接続部材15a,15bは、各床暖房パネルP1,P2の2つの選択凹溝12,12のうち温水パイプ13が収容されている側の選択凹溝12の接続部材収容部14に収容されている。
尚、図4に示すように、上記基板1の下面には裏面材16が接着されていて、この裏面材16によって凹溝9及び温水パイプ13が隠蔽されている。この裏面材16は、アルミニウム薄膜等の金属シート、アルミニウム薄膜を紙で挟んだアルミサンド紙、樹脂含浸紙、樹脂強化したガラスクロスをクラフト紙で挟んだ繊維強化紙、木質薄単板や木質繊維板等、又はこれらの複合物で構成されたシート状物である。この裏面材16は、少なくとも一層がアルミニウム薄膜等の金属シート層で構成されているため、均熱効果を得ることができる。
そして、上記裏面材16は、基板1における分岐部10、選択凹溝12、接続部材収容部14及びこれらの周囲を除く部分、具体的には、分岐部10から基板1の長辺方向で凹溝本体11が設けられている側の全面には予め接着されている。一方、基板1における分岐部10、選択凹溝12、接続部材収容部14及びこれらの周囲、具体的には、分岐部10から基板1の長辺方向で選択凹溝12が設けられている側には、床暖房パネルP1を床下地材23を施工する際に、裏面材16を後貼りする。選択凹溝12側に後貼りする裏面材16は、予め接着されている凹溝本体11側の裏面材16と別体のものとしてもよいし、連続する1枚の裏面材16で構成されていてもよい。1枚の裏面材16を用いる場合は、分岐部10よりも選択凹溝12側に貼着される部分には離型紙を設けておき、床暖房パネルP1,P2を施工する際に、この離型紙を剥がしながら裏面材16を基板1に接着する。尚、分岐部10よりも選択凹溝12側の裏面材16は、接続部材収容部14に対応する部分には貼着しないか、後で該部分を切り取る等して、接続部材15a,15bに床下から往路パイプ25等を接続する。
上記凹溝9には、温水パイプ13や接続部材15a,15bの収容を妨げないように、凹溝9内面に少なくとも金属層を有する溝内均熱シートが設けられていてもよい。この溝内均熱シートと上記裏面材16とを設けることにより、温水パイプ13を包むように金属層を有するシートで覆うことになるので、より均等な均熱効果を得て熱効率を向上することができる。
そして、上記床暖房パネルP1,P2は、図5に示すように、隣接する根太20,20間に断熱材21を根太20上面と面一となるように架設した後、その根太20及び断熱材21の上に木質材からなる捨て貼り材22を捨て貼りしてなる床下地材23上に施工を行うようになっている。この床下地材23には、温水パイプ13が収容されている側の選択凹溝12の接続部材収容部14に対応する箇所に床下まで貫通する貫通孔24が設けられている。
施工の際、上記接続部材15a,15bの一方には、温水パイプ13に温水を供給するための往路パイプ25が、また他方には放熱後の温水を温水パイプ13から戻す復路パイプ26がそれぞれ液密状に接続される。これら接続部材15a,15bによって、水平に配設された温水パイプ13と、略垂直に配設された往路パイプ25及び復路パイプ26とが接続部材収容部14において接続されるようになっている。
本発明の実施形態に係る施工構造では、図1及び図2に示すように、上記各暖房パネルセットSが、他の複数の暖房パネルセットS,S,…と組み合わされて床下地材23上に施工される。図1(図2)は、例えば5つの暖房パネルセットS,S,…を組み合わせる場合を例示しており、往路パイプ25及び復路パイプ26の何れもが接続部材15a,15bに接続されておらず、かつこの接続部材15a,15bから分岐部10までの温水パイプ13が選択凹溝12から引き出されている状態を示している。尚、図1では、各床暖房パネルP1,P2の基材1における雌実1a及び雄実1bの図示を省略している。
図2に示すように、各暖房パネルセットSの一方の接続部材15a(又は15b)に接続された往路パイプ25は、他の暖房パネルセットS,S,…の往路パイプ25,25,…と集合されて図示しない温水供給装置(熱源機)の温水供給側に供給配管系27を介して、また他方の接続部材15b(又は15a)に接続された復路パイプ26は、他の暖房パネルセットS,S,…の復路パイプ26,26,…と集合されて温水供給装置の温水戻し側に戻し配管系28を介してそれぞれ接続される。
そして、上記各暖房パネルセットSに設けられている第1及び第2接続部材15a,15bには、それぞれ互いに同じ表示をしかつ他の暖房パネルセットSの接続部材15a,15bとは異なる表示をする表示手段としてのラベル29,29が設けられている。
具体的には、図1左端の暖房パネルセットSの2つの接続部材15a,15bにはいずれも、その暖房パネルセットS固有の例えばアルファベット「A」字の表示を有するラベル29(表示手段)が貼り付けにより取り付けられている。また、その暖房パネルセットSに隣接する右隣の暖房パネルセットSの2つの接続部材15a,15bのいずれにも、その暖房パネルセットS固有のアルファベット「B」字の表示を有するラベル29(表示手段)が貼り付けられている。同様にして、残りの暖房パネルセットS,S,…の各々における2つの接続部材15a,15bのいずれにも、その暖房パネルセットS,S,…であることを示すアルファベット「C」字〜「E」字の表示を有するラベル29,29,…(表示手段)がそれぞれ貼り付けにより取り付けられている。尚、図1では、その下側の部分(実線の円で囲んだ部分)に、各暖房パネルセットSにおける拡大した2つの接続部材15a,15bを共通に示している。
上記表示手段としては、数値やアルファベット等の文字や記号、或いは色や模様を付与したり、光を利用したりする等、視覚での識別が可能になるもの、凹凸形状等の触覚での識別が可能になるもの、音や声等の聴覚での識別が可能になるもの、様々な公知手段が上げられる。簡便な手段としては、例えば英数字を記入した同一のラベル29を接続部材15a,15bに付すことで実現可能であり、この実施形態では当該表示を例示している。
尚、この実施形態に係る温水床暖房パネル施工構造では、暖房パネルセットSにおける1対の床暖房パネルP1,P2からなる1つの温水回路を構成する往路用の接続部材15a(15b)と復路用の接続部材15b(15a)とがペアであることが判る必要がある。また、複数の床暖房パネルセットS,S,…を接して施工する場合には、それぞれとを識別できる必要があるので、それぞれの2つの接続部材15a,15bは互いに同じ表示ではあるが、隣接する床暖房パネルセットSの2つの接続部材15a,15bとは異なる表示とされている。すなわち、少なくとも隣接する床暖房パネルセットSの2つの接続部材15a,15bとは異なる表示とされていればよく、隣接しない床暖房パネルセットSの2つの接続部材15a,15bとは同じ表示でもよい。
したがって、上記実施形態1の床暖房パネルP1,P2(床暖房パネルセットS)を施工する場合、各々1対の床暖房パネルP1,P2からなる複数の床暖房パネルセットS,S,…が床下地材23上に並べられて施工される。その際に、まず、ある1つの床暖房パネルセットSにおいて、その一方、例えば第1床暖房パネルP1の温水パイプ13が収容されている側の選択凹溝12の接続部材収容部14に対応する床下地材23の箇所に貫通孔24を設ける。
ここで、上記床下地材23において貫通孔24を設けようとする箇所が、例えば図5の左側に示すように根太20が設けられている位置と一致してしまう場合には、床下地材23に貫通孔24を設けることができない。そこで、温水パイプ13の端部を選択凹溝12から分岐部10まで引き出して(図3の第1床暖房パネルP1参照)、図6に示すように、他方の選択凹溝12に収容し直すことで、接続部材15aを収容する位置を変更し、この接続部材収容部14に対応する床下地材23の位置に貫通孔24を設ける。
そして、適切な接続部材収容部14に接続部材15a,15bを収容した後、基板1の裏面における分岐部10よりも選択凹溝12側に裏面材16を接着する。その後、床暖房パネルP1を床下地材23に施工する。
上記一方の例えば第1床暖房パネルP1を床下地材23に施工した後、この一方の床暖房パネルP1の長辺方向にずらした位置に他方の例えば第2床暖房パネルP2を施工する。この施工の際は、一方の床暖房パネルP1の長辺側の雌実1aに他方の床暖房パネルP2の長辺側の雄実1bを嵌合させて互いを接合させる。
そして、床下地材23に設けた各貫通孔24から復路パイプ26及び往路パイプ25を挿入して、それぞれ接続部材15a,15bに接続することで、温水パイプ13と往路パイプ25及び復路パイプ26とを接続する。
また、このようにして1つ目の床暖房パネルセットSの施工後、次の床暖房パネルセットSの床暖房パネルP1,P2を並べ、両床暖房パネルセットS,Sの隣接する床暖房パネルP1,P2の雌実1aと雄実1bとを互いに嵌合させて接合させる。以後は残りの床暖房パネルセットS,S,…を順に上記と同様にして施工する。
このような複数の床暖房パネルセットS,S,…の施工時、施工の作業者が床下において、上記の如く、これら暖房パネルセットS,S,…の各々における2つの接続部材15a,15bにそれぞれ往路パイプ25及び復路パイプ26を接続する際、図1に示すように、各暖房パネルセットSにおいて1つの温水回路を構成する第1及び第2の2つの接続部材15a,15bには、互いに同じ表示をするラベル29,29が設けられているので、どの接続部材15a,15bが暖房パネルセットSのペアであるかが明確に判ることになる。そのため、それら接続部材15a,15bの一方が往路用ならば、他方は確実に復路用の接続部材となるので、その一方を往路として往路パイプ25に接続すれば、必ず残りを復路として復路パイプ26に接続すればよく、床下という環境の施工現場においても理解し易く、接続間違いが生じることは全くない。
しかも、上記各暖房パネルセットSの第1及び第2接続部材15a,15bのラベル29,29には、他の暖房パネルセットS,S,…のものとは異なる表示がなされている。そのため、複数(例示では10)の接続部材15a,15b,15a,15b,…があっても、その各々について、ある暖房パネルセットSと他の暖房パネルセットSとを正確に区別することができ、識別が容易で間違えることがない。つまり、複数の接続部材15a,15b,15a,15b,…のうちの必ず2つがペアであることが理解できるので、複数の温水床暖房パネルセットS,S,…の各温水床暖房パネルP1,P2,P1,P2,…から引き出された複数の接続部材15a,15b,15a,15b,…が互いに隣接していて、そのうちのある接続部材15a(又は15b)が確認でき難い現場状況にあっても、残りの接続部材15b(15a)を他の温水床暖房パネルセットSの接続部材15a(又は15b)と間違うことはなく、どの温水床暖房パネルセットSの往復路用接続部材15a,15bなのか、或いは、どの往路用接続部材15a(15b)と、どの復路用接続部材15b(15a)とが1つの温水床暖房パネルセットSに対応しているのか識別が容易で直ぐに理解でき、所定の配管部材(往路パイプ25及び復路パイプ26)に対応する接続部材15a,15bを間違いなく接続することができる。
すなわち、仮に、本実施形態のような表示がない場合、現場状況により、ある接続部材15a(15b)を見逃してしまって施工を進めていき、後で気付いてたとしても、既に当該接続部材15a(15b)は往路パイプ25又は復路パイプ26に届かなくなって接続できず、やり直しになって面倒な手間となることがあるが、この実施形態ではそのようなことが生じることはない。
尚、各床暖房パネルP1,P2において、その温水パイプ13を収容する凹溝9に分岐部10から分岐する2つの選択凹溝12,12を設け、各選択凹溝12の端部に接続部材収容部14を設けたことによる詳細な作用効果は、前記の本出願人が提案した発明によるものと同じであるので、その説明は省略する(特願2008−103701号明細書及び図面参照)。
(実施形態2)
図7及び図8は本発明の実施形態2を示す(図1〜図6と同じ構成要素については同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する)。
すなわち、この実施形態では、床暖房パネルセットSにおける各床暖房パネルP1,P2の凹溝9が、数字「8」の字状の選択凹溝30を備えている点で上記実施形態1と異なる。
具体的には、上記選択凹溝30は、平面視で2つのループ溝32a,32b同士を互いに接するように連結した8の字状に形成され、両ループ溝32a,32bの連結部31が他の部分よりも幅広に形成されていて、その8の字の上下方向が基板1の短辺方向と同じ方向(図7の左右方向)となるように形成されている。
また、各床暖房パネルP1,P2の長辺方向一端部近傍(図7の上側)で短辺方向中央部に設けられた分岐部10と、上記選択凹溝30の連結部31とが接続されている。選択凹溝30には、分岐部10を介して温水パイプ13の端部が収容される。温水パイプ13の端部は、図7に示すように、選択凹溝30から分岐部10まで引出し可能に構成されている。
そして、上記選択凹溝30には、上記分岐部10を始点としかつ選択凹溝30に沿って分岐部10からの距離が一定で途中で交差しない4つの経路を設定したときに、該経路の終点となる4箇所に接続部材収容部14a〜14dが設けられている。温水パイプ13の接続部材15a,15bが設けられている側の端部は、分岐部10を介して選択凹溝30に上記経路のいずれか1つに沿うように収容される。
具体的には、選択凹溝30の一方のループ溝32a(左側)において、連結部31と図7における選択凹溝30左端との中間部であって、凹溝本体11側(図7の下側)に第1収容部14aが設けられ、連結部31と選択凹溝30左端との中間部であって、凹溝本体11と離間する側(図7の上側)に第2収容部14bが設けられている。一方、選択凹溝30の他方のループ溝32bにおいて、連結部31と図7における選択凹溝30右端との中間部であって、凹溝本体11と離間する側に第3収容部14cが設けられ、連結部31と選択凹溝30右端との中間部であって、凹溝本体11側に第4収容部14dが設けられている。
そして、図7に第1床暖房パネルP1の場合を示すように(第2床暖房パネルP2でもよい)、第2収容部14bに温水パイプ13の端部に設けられた接続部材15aを収容する際には、温水パイプ13は、分岐部10から折り返されるようにして第4収容部14d側に延び、第3収容部14cを経て連結部31を通り、第1収容部14aを通って端部が第2収容部14bに到達する第2経路に沿って収容され、接続部材15aが第2収容部14bに収容される。
また、図8(a)に示すように、第1収容部14aに接続部材15aを収容する際には、温水パイプ13は、分岐部10から折り返されるようにして第4収容部14d側に延び、第3収容部14cから第2収容部14bを通り、端部が第1収容部14aに到達する第1経路に沿って収容され、接続部材15aが第1収容部14aに収容される。
また、図8(b)に示すように、第3収容部14cに接続部材15aを収容する際には、温水パイプ13は、分岐部10から折り返されるようにして第1収容部14a側に延び、第2収容部14bを経て連結部31を通り、第4収容部14dを通って端部が第3収容部14cに到達する第3経路に沿って収容され、接続部材15aが第3収容部14cに収容される。
そして、図8(c)に示すように、第4収容部14dに接続部材15aを収容する際には、温水パイプ13は、分岐部10から折り返されるようにして第1収容部14a側に延び、第2収容部14bから第3収容部14cを通り、端部が第4収容部14dに到達する第4経路に沿って収容され、接続部材15aが第4収容部14dに収容される。
上記選択凹溝30の連結部31は、他の部分よりも溝幅が大きく形成されているので、温水パイプ13を折り返すように収容する際の折り曲がり半径を大きくすることができ、温水パイプ13の損傷を抑制することができる。
尚、本実施形態2においても、上記実施形態1と同様に、その床暖房パネルP1,P2の基板1裏面における分岐部10よりも凹溝本体11側に、予め裏面材16が接着されている一方、分岐部10よりも選択凹溝12側には、床暖房パネルP1,P2を施工する際に裏面材16を後貼りするようになっている。その他の構成は、実施形態1と同様である(図1及び図2参照)。
この実施形態2の床暖房パネルセットSを施工する際には、予め選択凹溝30に温水パイプ13の端部を上記いずれかの経路に収容し、その経路に対応する接続部材収容部14に接続部材15a,15bを収容しておく。
接続部材15a,15bが収容された接続部材収容部14に対応する床下地材23の箇所に貫通孔24を形成しようとするとき、その床下地材23の箇所に根太20等の床下構造材が配設されている場合には、図7の床暖房パネルP2で示すように、温水パイプ13の端部を選択凹溝30から分岐部10まで引き出す。そして、床下構造材が配設されていない床下地材23に対応する箇所にある接続部材収容部14を選び、その接続部材収容部14に接続部材15a,15bが収容される経路で温水パイプ13を選択凹溝30に収容し直す。
そして、上記接続部材15a,15bが収容されている接続部材収容部14に対応する床下地材23の箇所に貫通孔24を形成し、床暖房パネルP1,P2を床下地材23上に施工して、接続部材15a,15bに往路パイプ25又は復路パイプ26を接続する。
よって、この実施形態2においても上記実施形態1と同様の作用効果を奏することができる。また、この実施形態2において、各温水床暖房パネルP1,P2の凹溝9に、分岐部10から連続する選択凹溝30を設け、この選択凹溝30に4つの接続部材収容部14a〜14dを設けたことによる詳細な作用効果についても、本出願人の提案発明によるものと同じであるので、その説明は省略する(特願2008−103701号明細書及び図面参照)。
(その他の実施形態)
尚、上述の実施形態は本発明の例示であって、本発明はこの例に限定されるものではない。例えば、以下のような構成としてもよい。
すなわち、上記各実施形態では、分岐部10を基板1の長辺方向端部に設けているが、分岐部10を設ける位置はこれに限定されず、短辺方向端部に設けてもよい。
また、上記各実施形態では、床暖房パネルP1,P2同士を長辺端部で付き合わせて接合したが、床暖房パネルP1,P2同士を短辺端部で付き合わせて接合してもよい。
また、上記各実施形態では、裏面材16を後貼りする際に、接続部材収容部14には裏面材16を貼着しないものとしたが、接続部材15a,15bが収容されていない接続部材収容部14や、接続部材収容部14が隣り合う床暖房パネルP1,P2の温水パイプ13を接続する場合には、裏面材16で覆うものとしてもよい。このことにより、裏面材16で覆われる部分が増えるので熱効率を向上させることができる。
また、上記実施形態1では、選択凹溝12を2つ設けているがが、3つ以上設けてもよい。また、実施形態1では、分岐部10は、基板1の短辺方向中央部に設けたが、必ずしも中央部に設ける必要はなく、例えば分岐部10を基板1の短辺方向一端部に設け、複数の選択凹溝を基板1の短辺方向他端部に向かって延びるように設けてもよい。