JP5224893B2 - 貼付剤用複合不織布及びその製造方法 - Google Patents

貼付剤用複合不織布及びその製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、種々の薬物を含む粘着剤を塗布形成するための貼付剤用複合不織布に関するものであり、特に、フィルムと不織布層との複合構造を有する基材として、当該不織布層に対する薬物吸着が少なく、かつ貼付剤としての密封効果及び投錨性にも優れた貼付剤用複合不織布及びその製造方法に関するものである。
人体に貼付し、消炎鎮痛など、種々の効能を達成する目的で、薬物を含有する粘着剤を基材に塗布形成した貼付剤は、パップ剤、プラスター剤、或いは治療用接着テープ等として広く知られている。本発明では、これらを包括的に貼付剤と称するが、係る貼付剤として、期待する効能に応じた薬物にも種々のものが知られており、これらの薬物を含む粘着剤が不織布や樹脂フィルム又はそれらの複合品などの基材に塗布されている。
このような樹脂フィルムに薬物を含む粘着剤が塗布された貼付剤として、例えば特許文献1の治療用接着テープもしくはシートが知られている。この特許文献1には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、軟質ポリ塩化ビニル、セロハン等のフィルムに、治療用薬物を混入させた感圧性接着剤層を薄層状に設けた治療用接着テープが開示されている。この治療用接着テープは、患部に貼付することによって、感圧性接着剤層から滲出する薬物を患部に供給して局所治療を行なうことが可能であり、フィルムを基材とすることにより、薬物の揮発に伴う散逸を低減し得るバリア性を有している。しかし、この例では、フィルムに感圧性接着剤層を直接塗布しているため、フィルムへの充分な投錨性が得られず、このため皮膚への粘着剤残りが発生するという問題があった。
このような、投錨性を改良した技術として、投錨性に優れた多孔質体をフィルムにラミネートした、例えば、特許文献2の粘着テープ用および粘着シート用基材が知られている。この特許文献2には、ポリエステルフィルムと厚さ20μm以上で、通気度が100〜300cm/cm/secである多孔質体を、接着剤を介してラミネートした基材であって、当該基材の剛度が10mg以下である基材が開示されている。ここで、多孔質体としては、天然繊維や化学繊維を乾式或いは湿式でシート状にしたものが適用され、特に、接着剤や粘着剤等に対する耐薬品性、強度等からポリエステル系繊維を使用したものが望ましいことが開示されている。しかし、この例では、接着剤を用いてフィルムと多孔質体をラミネートしているため、この接着剤によって薬物が吸収されてしまい、貼付剤として用いた場合、薬物の効果が低下してしまうという問題があった。
このような接着剤を用いずにラミネートを行なう技術としては、例えば特許文献3の積層シートが知られている。この特許文献3には、コロナ放電処理することにより、少なくとも片方の表面のぬれ指数を50dyne/cm以上としたポリエステルフイルムと、非晶状態のポリエステル未延伸糸を含む湿式抄造によって得られた不織布とを、該未延伸糸の融点より20℃以上低い温度で熱圧着した積層シートが開示されている。また、当該文献には「ポリエステル未延伸糸は熱圧により可塑変形し、不織布内の接着成分となることはよく知られている。それゆえ不織布とポリエステルフイルムとの接着に対しても効果を発揮すると考えられたが、表面を全く処理していないフイルムと未延伸糸を含んだ不織布とを熱圧着させた場合、フイルムと不織布との一体化は接着状態とは程遠いものであった。」ことが示されている。
すなわち、湿式抄造によってポリエステル未延伸糸を含む不織布を形成する場合、当該文献によれば、ポリエステル延伸糸とポリエステル未延伸糸を水中に分散させて抄造によりシート化した後、ヤンキードライヤーにより130℃で加熱処理して、ポリエステル延伸糸とポリエステル未延伸糸を結合して、不織布を形成する必要がある。しかし、この抄造工程において、ポリエステル未延伸糸が130℃で加熱処理されるので、結晶化が進み、フイルムと不織布の接着力が極めて弱くなり、一体化が生じない。そこで、ポリエステルフイルムの表面処理を行うことで接着力を高めて、フイルムと不織布を接着一体化するに至ったものと考えられる。しかし、この技術によれば、ポリエステルフイルムをコロナ放電処理することが必要であり、製造コストが上昇するという問題があった。また、コロナ放電処理の程度によって接着力が変化することのみならず、ポリエステル未延伸糸が一旦熱処理されているため結晶化が進んでおり、結晶化の程度を制御することが困難なため、接着力を均一に制御することが困難となり、これらの結果、品質が安定しないという問題があった。
フィルムと不織布を接着一体化する他の技術としては、例えば、本出願人による特許文献4の粘着テープ用基材が知られている。この特許文献4には、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルムの少なくとも一方の表面に、未延伸ポリエステル短繊維を含む繊維ウェブが熱接着されてなり、かつ該繊維ウェブが一方向性乾式ウェブである粘着テープ用基材が開示されている。ここで、当該繊維ウェブは、フラットカード機やローラーカード機によって、繊維長が20〜100mmの繊維が空気中で分散されて形成された繊維ウェブである。このため当該繊維ウェブに含まれる未延伸ポリエステル短繊維は熱処理がなされておらず、繊維ウェブがフィルムに確実に熱接着されているという利点を有している。しかし、この技術によれば、繊維ウェブは繊維長が抄造法で用いる繊維の繊維長よりも長いため、当該繊維ウェブは湿式法の不織布と比較して均一性に劣るという問題があった。
特開昭58−164506号公報 特開平5−309772号公報 特開平5−200949号公報 特開2006−326963号公報
本発明は、上記問題を解決することを目的としており、薬物の揮発を低減し得るバリア性と共に均一な薬物保持層を有しており、それゆえ薬物を含む粘着剤に対する優れた投錨性を有していると共に薬物吸着の低減を図ることが可能な貼付剤用複合不織布及びその製造方法を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するための手段は、請求項1の発明では、ポリエステルからなるフィルムと、繊維長が15mm以下のポリエステル繊維からなる繊維層が積層一体化してなる貼付剤用複合不織布であって、前記フィルムと前記繊維層の接着が、前記フィルムと前記繊維層の間に配置された未延伸ポリエステル繊維を含む繊維ウェブの前記未延伸ポリエステル繊維によってなされており、前記繊維ウェブは気体中で形成され且つ繊維長が100mm以下の繊維からなる繊維ウェブであることを特徴とする貼付剤用複合不織布であり、薬物の揮発を低減し得るバリア性と共に均一な薬物保持層を有しており、それゆえ優れた投錨性を有していると共に薬物吸着の低減を図ることが可能な貼付剤用複合不織布を提供することが可能である。ここで、未延伸ポリエステル繊維とは、ポリエステル系樹脂の原料ペレットを用いて紡糸した後に延伸処理がなされていない繊維のことをいう。これに対して、本発明では、延伸処理がされている繊維を延伸ポリエステル繊維と称する場合がある。
請求項2の発明では、前記フィルムがポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称する場合がある)からなることを特徴とする請求項1に記載の貼付剤用複合不織布であり、特に薬物が吸着し難いという利点がある。
請求項3の発明では、前記繊維層がポリエチレンテレフタレート繊維(以下、PET繊維と称する場合がある)からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の貼付剤用複合不織布であり、特に薬物が吸着し難いという利点がある。
請求項4の発明では、前記繊維ウェブが、延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(以下、延伸PET繊維と称する場合がある)と未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(以下、未延伸PET繊維と称する場合がある)とからなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の貼付剤用複合不織布であり、特に薬物が吸着し難いという利点がある。
請求項5の発明では、前記繊維層と前記繊維ウェブとから構成される不織布層の薬物吸着率が10%未満であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の貼付剤用複合不織布であり、特に薬物が吸着し難いという利点がある。
請求項6の発明では、ポリエステルからなるフィルムと、繊維長が15mm以下のポリエステル繊維からなる繊維層とを、未延伸ポリエステル繊維を含む繊維ウェブであって、気体中で形成され且つ繊維長が100mm以下の繊維からなる繊維ウェブを介して積層し、得られた積層体を加圧状態で加熱することにより、前記未延伸ポリエステル繊維によって前記フィルムと前記繊維層を接着して、前記フィルムと前記繊維層とを積層一体化させることを特徴とする貼付剤用複合不織布の製造方法である。
本発明により、薬物の揮発を低減し得るバリア性と共に均一な薬物保持層を有しており、それゆえ薬物を含む粘着剤に対する優れた投錨性を有していると共に薬物吸着の低減を図ることが可能な貼付剤用複合不織布及びその製造方法を提供することが可能となる。
本発明の貼付剤用複合不織布は、ポリエステルからなるフィルムと、繊維長が15mm以下のポリエステル繊維からなる繊維層が積層一体化している。前記フィルムは、後段で述べる繊維ウェブとの熱接着、或いは、その後に実施される粘着剤の塗布工程における加工適性を実現することを考慮して、少なくとも1軸延伸されたフィルムを適用することが好ましい。このようなポリエステルとしては、周知のポリエステル系樹脂を種々に選択することが可能であり、芳香族ジカルボン酸を主な酸成分、アルキレングリコールを主なグリコール成分とすることができる。具体的には、芳香族ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸等が挙げられる。また、アルキレングリコールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘキシレングリコール等が知られているが、これら重合成分の組み合わせのうち、特に、化学的に安定なテレフタル酸とエチレングリコールとの共重合体を原料として採用し、当該共重合体のペレットにより構成されたポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、或いはポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。これらのポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、或いはポリエチレンテレフタレートから成るフィルムを用いることによって、極めて低い薬物吸着量を実現することができる。また、特にポリエチレンテレフタレートから成るフィルムを用いることによって、上記繊維ウェブとの熱接着工程において寸法安定性に優れると共に極めて低い薬物吸着量を実現することができ、実用性、汎用性の点でも優れるという利点がある。このようなポリエチレンテレフタレートから成るフィルムの具体例としては、例えば「マイラー」(帝人デュポンフィルム(株)製,商品名)や「ルミラー」(東レ(株)製,商品名)として市販される2軸延伸フィルムがあり、特に上記繊維ウェブとの熱接着工程において、寸法安定性に優れるため、最も好適である。
前記ポリエステルから成るフィルムの面密度等は、前記繊維ウェブとの組み合わせに応じて任意好適に設計し得るが、フィルム単体としての安定な加工適性を確保する目的で2μm(面密度2.8g/m)を超えることが好ましく、皮膚に貼着した際の追従性を考慮すれば25μm(面密度35g/m)以下とするのが好適であり、より好ましくは20μm(面密度28g/m)以下であり、更に好ましくは15μm(面密度21g/m)以下である。
次いで、本発明を構成する繊維層について説明する。前記繊維層は繊維長が15mm以下のポリエステル繊維からなる繊維層である限り、特に限定されることはなく、例えば湿式抄造によって得られた湿式不織布を適用することが可能である。また、繊維長が15mm以下のポリエステル繊維を空気中で分散させてシート化した不織布(以下、乾式分散不織布と称する場合がある)を適用することが可能である。また、前記繊維層の面密度は前述のフィルムと同様に皮膚への貼着感を損なわない範囲が望ましく、またフィルムとの剥離強度、並びに粘着剤の投錨性の双方を確保する目的で、面密度2〜20g/mとするのが好ましく、5〜15g/mとするのがより好ましい。
前記湿式不織布は、水平長網方式、傾斜ワイヤー型短網方式、円網方式、又は長網・円網コンビネーション方式の抄紙機などを用いて、繊維長が15mm以下のポリエステル繊維、並びに当該ポリエステル繊維を接着するための繊維長が15mm以下の未延伸ポリエステル繊維又は熱接着性繊維を含む原料繊維をスラリー化させ、このスラリーから繊維シートを漉き上げて、繊維ウェブを形成しておき、その後前記繊維ウェブに加圧下で加熱処理することによって、未延伸ポリエステル繊維又は熱接着性繊維によって繊維ウェブの構成繊維を接着して得ることができる。
また、前記乾式分散不織布としては、例えば、本出願人による特開2002−155458号公報に開示される極細繊維分散不織布を適用することが可能である。この極細繊維分散不織布は、繊維径が4μm以下で繊維長が3mm以下の極細繊維を分散した状態で含み、付着物の付着率が0.5mass%以下である極細繊維分散不織布である。その製造方法は、繊維径が4μm以下で繊維長が3mm以下の極細繊維の集合体、又は機械的に分割して繊維径が4μm以下で繊維長が3mm以下の極細繊維を発生可能な分割性繊維を、圧縮気体の作用によりノズルから気体中に噴出させて、前記極細繊維集合体を極細繊維に分割させ、次いでそれらの極細繊維を分散させる工程、分散した極細繊維を集積して繊維ウェブを形成する工程、及び前記繊維ウェブを結合させる工程、を含んでいる。なお、この極細繊維分散不織布において、繊維径が30μm以下で繊維長が15mm以下の繊維を適用することも可能であり、このような繊維を適用した不織布も本発明では乾式分散不織布と称する。
前記繊維層を構成する繊維はポリエステル繊維であることを必要とするが、種々のポリエステル系樹脂を単独に用いた繊維であることも、或いは一種以上のポリエステル系樹脂を含む二種類以上の樹脂を複合した複合繊維であることも可能である。複合繊維としては、例えば低融点成分と高融点成分とからなり、低融点成分が繊維の表面の少なくとも一部に露出している複合繊維からなる熱接着性繊維であることが可能である。このような複合繊維としては、例えば、芯鞘型、サイドバイサイド型、断面が2成分以上の樹脂で分割されたオレンジ型、海島型の複合繊維などがある。なお、ポリエステル系樹脂以外の樹脂としては、例えばナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリアクリロニトリルなどのアクリル系樹脂およびポリビニルアルコール樹脂などを挙げることができる。
前記ポリエステル系樹脂としては前述のフィルムと同様の種々の樹脂を適用することが可能であり、具体的には、芳香族ジカルボン酸を主な酸成分、アルキレングリコールを主なグリコール成分とすることができる。具体的には、芳香族ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸等が挙げられる。また、アルキレングリコールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘキシレングリコール等が知られているが、これら重合成分の組み合わせにより得られる樹脂のうち、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンフタレートが、薬物吸着性が少ないため好ましい。
また、特に、化学的に安定なテレフタル酸とエチレングリコールとの共重合体を繊維原料として採用し、当該共重合体のペレットにより紡糸されたポリエチレンテレフタレート繊維からなる繊維層であることが好ましい。ポリエチレンテレフタレートから成る繊維を用いることによって、上記繊維ウェブとの熱接着工程において寸法安定性に優れると共に極めて低い薬物吸着量を実現することができ、実用性、汎用性の点でも優れるという利点がある。このような、ポリエチレンテレフタレート繊維は、例えば「ダクロン」(デュポン社製,商品名)、「テトロン」(東レ(株)製、商品名)、或いは「テピルス」(帝人(株)製,商品名)等として入手可能である。なお、これらポリエステル繊維に対しては、繊維層の調製時における加工性、並びに基材とした後の機能付与を目的として、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の種々の添加剤を配合することも可能である。
前記繊維層が湿式不織布の場合は、前記ポリエステル繊維の繊維径は1〜30μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。また、前記ポリエステル繊維の繊維長は15mm以下であり、10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましい。また、下限は1mm以上であることが好ましい。15mmを超える場合は、水中での分散が不均一となり、均一な繊維層が得られないという問題がある。その結果、薬物を含む粘着剤の投錨性が不充分になる場合がある。また、1mm未満であると、シート化が困難となり、繊維層とフィルムとを一体化することができない場合がある。
また、前記繊維層が乾式分散不織布の場合は、前記ポリエステル繊維の繊維径は0.01〜30μmであることが好ましく、0.1〜20μmであることがより好ましい。繊維径が細くなればなる程、極細繊維が均一に分散するため、極細繊維の繊維径が小さくなるのに従って、各種特性が向上する。また、前記ポリエステル繊維の繊維長は0.1〜15mmであることが好ましく、0.5〜10mmであることがより好ましい。0.1mm未満であると、シート化が困難となり、繊維層とフィルムとを一体化することができない場合がある。また、15mmを超えると気体中での分散が不均一となり、均一な繊維層が得られないという問題がある。その結果、薬物を含む粘着剤の投錨性が不充分になる場合がある。
次いで、本発明を構成する繊維ウェブについて説明する。前記繊維ウェブは未延伸ポリエステル繊維を含む繊維ウェブである限り、特に限定されることはなく、例えば乾式法不織布の製造法によって形成される繊維ウェブ(以下、乾式繊維ウェブと称する場合がある)であることも、スパンボンド法によって形成される繊維ウェブであることも、メルトブロー法によって形成される繊維ウェブ(以下、メルトブローウェブと称する場合がある)であることも、或いは前述の乾式分散不織布の製造法によって形成される繊維ウェブ(以下、乾式分散繊維ウェブと称する場合がある)であることも可能である。なお、湿式抄造によって形成される繊維ウェブの場合、乾燥工程において未延伸ポリエステル繊維の結晶化が進行するので好ましくない。また、前記繊維ウェブの面密度は前述の繊維層と同様に皮膚への貼付感を損なわない範囲、或いは積層一体化による繊維ウェブ中の未延伸ポリエステル繊維の結晶化反応の進行を考慮して薄いことが望ましいが、フィルムとの剥離強度、並びに粘着剤の投錨性の双方を確保する目的で、面密度1〜15g/m、より好ましくは2〜10g/mとするのが好ましい。
前記乾式繊維ウェブは、繊維長が20〜100mm程度で、捲縮数が5〜30個/インチ程度を有するステープル繊維をカード機やエアレイ装置などを使用して、繊維原綿を開繊して繊維フリースとした後、この繊維フリースを一方向に、或いはクロスレイなどにより積層することにより、ステープル繊維が空気中で分散されて形成された繊維ウェブである。当該乾式繊維ウェブであれば、未延伸ポリエステル繊維と延伸ポリエステル繊維とを任意の割合で均一に混合することが可能であり、繊維の接着により極端に硬くなることなく、必要とする柔軟性に調整可能であるという利点がある。なお、乾式繊維ウェブ中の未延伸ポリエステル繊維の含有率は、10〜100質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましく、30〜50質量%であることが更に好ましい。10質量%未満では、前記フィルムと前記繊維層の一体化が困難になる場合がある。
前記メルトブローウェブは、メルトブロー装置用ダイによって熱可塑性樹脂を溶融しておき、この溶融した熱可塑性樹脂をダイに設けたメルトブロー用ノズルから、加熱気流に随伴させて噴出させることで、極細繊維に繊維化し、この極細繊維を搬送用コンベアー上に集積して形成することができる。したがって、このメルトブローウェブは、延伸工程を経ないで繊維ウェブとなっており、繊維ウェブに含まれる繊維全体が長繊維の未延伸ポリエステル繊維ということができる。なお、熱可塑性樹脂としては、前述のフィルムと同様の種々のポリエステル系樹脂を適用することが可能である。また、極細繊維の繊維径としては、0.1〜20μmが可能であり、均一な分散性を考慮すると1〜10μm程度が好ましい。
また、前記乾式分散繊維ウェブとしては、例えば、本出願人による特開2002−155458号公報に開示される極細繊維分散不織布によって得られる繊維ウェブを適用することが可能である。この乾式分散繊維ウェブは、繊維径が4μm以下で繊維長が3mm以下の極細繊維を分散した状態で含み、付着物の付着率が0.5mass%以下である。その製造方法は、繊維径が4μm以下で繊維長が3mm以下の極細繊維の集合体、又は機械的に分割して繊維径が4μm以下で繊維長が3mm以下の極細繊維を発生可能な分割性繊維を、圧縮気体の作用によりノズルから気体中に噴出させて、前記極細繊維集合体を極細繊維に分割させ、次いでそれらの極細繊維を分散させる工程、分散した極細繊維を集積して繊維ウェブを形成する工程を含んでいる。なお、この極細繊維分散不織布において、繊維径が30μm以下で繊維長が15mm以下の繊維を適用することも可能であり、このような繊維を適用した繊維ウェブも本発明では乾式分散繊維ウェブと称する。また、乾式分散繊維ウェブ中の未延伸ポリエステル繊維の含有率は、10〜100質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましく、30〜50質量%であることが更に好ましい。10質量%未満では、前記フィルムと前記繊維層の一体化が困難になる場合がある。
前記繊維ウェブを構成する繊維は未延伸ポリエステル繊維を含む限り、特に限定されず、前記未延伸ポリエステル繊維としては、種々のポリエステル系樹脂を単独に用いた繊維であることも、或いは一種以上のポリエステル系樹脂を含む二種類以上の樹脂を複合した複合繊維であることも可能である。複合繊維としては、例えば低融点成分と高融点成分とからなり、低融点成分が繊維の表面の少なくとも一部に露出している複合繊維からなる熱接着性繊維であることが可能である。このような複合繊維としては、例えば、芯鞘型、サイドバイサイド型、断面が2成分以上の樹脂で分割されたオレンジ型、海島型の複合繊維などがある。なお、ポリエステル系樹脂以外の樹脂としては、例えばナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリアクリロニトリルなどのアクリル系樹脂およびポリビニルアルコール樹脂などを挙げることができる。
前記ポリエステル系樹脂としては前述のフィルムと同様の種々の樹脂を適用することが可能であり、具体的には、芳香族ジカルボン酸を主な酸成分、アルキレングリコールを主なグリコール成分とすることができる。具体的には、芳香族ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸等が挙げられる。また、アルキレングリコールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘキシレングリコール等が知られているが、これら重合成分の組み合わせにより得られる樹脂のうち、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンフタレートが、薬物吸着性が少ないため好ましい。
また、特に、化学的に安定なテレフタル酸とエチレングリコールとの共重合体を繊維原料として採用し、当該共重合体のペレットにより紡糸されたポリエチレンテレフタレート繊維であることが好ましい。ポリエチレンテレフタレートから成る繊維を用いることによって、上記フィルムや前記繊維層との熱接着工程において寸法安定性に優れると共に極めて低い薬物吸着量を実現することができ、実用性、汎用性の点でも優れるという利点がある。このような、ポリエチレンテレフタレート繊維は、例えば「ダクロン」(デュポン社製,商品名)、「テトロン」(東レ(株)製、商品名)等として入手可能である。なお、これらポリエステル繊維に対しては、繊維層の調製時における加工性、並びに基材とした後の機能付与を目的として、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の種々の添加剤を配合することも可能である。
前記繊維ウェブが乾式繊維ウェブの場合は、前記ポリエステル繊維の繊維径は5〜30μmであることが好ましく、10〜20μmであることがより好ましい。繊維径が5μm未満の場合は、カード機やエアレイ装置などを使用して繊維原綿を開繊することが困難になる場合があり、30μmを超えると繊維ウェブの構造が粗くなり、前記フィルムと前記繊維層との一体化が困難になったり、投錨性が低下したり貼付用複合基材全体の柔軟性が低下する場合がある。また、前記ポリエステル繊維の繊維長は20〜100mmであることが好ましく、35〜75mmであることがより好ましく、30〜60mmであることが更に好ましい。繊維長が20〜100mmの範囲を超える場合は、カード機やエアレイ装置などを使用して繊維原綿を開繊することが困難になる場合があり、100mmを超えると繊維ウェブの構造が粗くなり、前記フィルムと前記繊維層との一体化が困難になる場合がある。
また、前記繊維ウェブが乾式分散繊維ウェブの場合は、前記ポリエステル繊維の繊維径は0.01〜30μmであることが好ましく、0.1〜20μmであることがより好ましい。繊維径が細くなればなる程、極細繊維が均一に分散するため、極細繊維の繊維径が小さくなるのに従って、各種特性が向上する。また、前記ポリエステル繊維の繊維長は0.1〜15mmであることが好ましく、0.5〜10mmであることがより好ましい。0.1mm未満であると、繊維ウェブの形成が困難となり、繊維層とフィルムとを一体化することができない場合がある。また、15mmを超えると気体中での分散が不均一となり、均一な繊維ウェブが得られないという問題がある。その結果、薬物を含む粘着剤の投錨性が不充分になる場合がある。
本発明では、前記フィルムと前記繊維層の接着が、前記フィルムと前記繊維層の間に配置された未延伸ポリエステル繊維を含む繊維ウェブの前記未延伸ポリエステル繊維によってなされている。このような構成は、例えば本発明の貼付剤用複合不織布の製造方法によって得ることができる。すなわち、ポリエステルからなるフィルムと、繊維長が15mm以下のポリエステル繊維からなる繊維層とを、未延伸ポリエステル繊維を含む繊維ウェブを介して積層し、得られた積層体を加圧状態で加熱することにより、前記未延伸ポリエステル繊維によって前記フィルムと前記繊維層を接着して、前記フィルムと前記繊維層とを積層一体化させることを特徴とする貼付剤用複合不織布の製造方法によって得ることができる。このようにして得られた本発明の貼付剤用複合不織布は、面密度が5〜70g/mであることが好ましく、10〜50g/mであることがより好ましい。また、厚さは20〜100μmとするのが好ましく、30〜60μmとするのがより好ましい。
本発明の貼付剤用複合不織布においては、前記繊維層と前記繊維ウェブとが一体化した不織布層を形成しており、前記不織布層が前記フィルムと積層一体化していることが好ましく、このような形態であれば、前記繊維層が前記繊維ウェブから剥離し難いという利点を有している。また、当該不織布層の薬物吸着率が10%未満であることが好ましく、この場合、特に薬物が吸着し難いという利点がある。
次いで、本発明の製造方法の積層一体化工程について説明する。既に述べたとおり、本発明では、前記フィルムと前記繊維層とを、未延伸ポリエステル繊維を含む繊維ウェブを介して積層し、得られた積層体を加圧状態で加熱することにより、前記未延伸ポリエステル繊維によって前記フィルムと前記繊維層を接着して、前記フィルムと前記繊維層とを積層一体化させる。このように、前記フィルムと前記繊維層との積層一体化に、未延伸ポリエステル繊維、特に未延伸ポリエチレンフタレート繊維を利用し、他の接着剤成分を用いることなく調製される。ここで、周知の通り、例えば延伸ポリエチレンフタレート繊維は250℃以上の融点を有する。これに対して、未延伸ポリエチレンフタレート繊維は、実質的に、これらと同一の化学組成を有するものの、非晶状態の繊維であるため、熱接着可能な温度は180℃程度であり、190〜210℃で熱接着するのが好ましい。また、前記フィルムの融点は210℃を超えることが好ましく、前記フィルムがポリエチレンテレフタレートから成る場合はフィルムの融点が250℃以上の融点を有するので、より好ましい形態といえる。
また、この様な構成とした本発明の貼付剤用複合不織布は、外観を向上せしめる目的でフィルムに種々のエンボスパターンを形成したり、或いは印刷を施すことができる。
以上説明したように、本発明では、繊維層の形成工程と、繊維層とフィルムとの一体化の工程とを分けることが可能であるので、未延伸ポリエステル繊維による接着が確実に行えるという利点がある。また、工程を分けることにより、積層一体化の工程において、繊維層の構成繊維の熱接着を必要としないので、積層一体化に要する熱量が少なくてすみ、その結果フィルムを過剰に加熱して熱収縮が生じることも防止できるという利点がある。また、工程を分けることにより、繊維層の均一化を自由に行なうことができるので、その結果、貼付剤用複合不織布の不織布層をより均一なものとすることが可能となり、本発明の目的を達成することができる。すなわち、本発明により、薬物の揮発を低減し得るバリア性と共に均一な薬物保持層を有しており、それゆえ優れた投錨性を有していると共に薬物吸着の低減を図ることが可能な貼付剤用複合不織布及びその製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施例につき詳細に説明する。この実施例では、フィルム及び/または
種々の繊維層を種々に組み合わせた貼付剤用複合不織布の試験サンプルを作製し、貼付剤用複合不織布としての薬物吸着率、剥離性、及びフィルムの熱収縮による外観の変化を評価した結果について説明する。尚、以下の説明では具体的な数値条件、形状、配置関係またはその他、特定条件を例示するが、本発明は、これら特定条件にのみ限定されるものではなく、この発明の目的の範囲内で任意好適な変更または変形を行い得る。また、構成材料の基本物性測定はJIS L1096並びにC2318に準じて行った。
(薬物吸着量の測定)
薬効成分としてケトプロフェンを含有する市販の消炎鎮痛用貼付薬の粘着剤面に、各試験サンプルの繊維層を密着させた状態でアルミパックに密封する。尚、この密着・密封状態の貼付薬と試験サンプルとは同一の寸法で裁断し、互いに、はみ出る部分がないようにして行う。このアルミパックを50℃の温度条件で10日間静置した後、貼付薬と試験サンプルとを分離し、各々をメタノールにて薬効成分を抽出する。この各抽出液に関して、液体クロマトグラフィーにて薬効成分濃度を測定し、以下の計算式から、単位面積当たりの薬物吸着率を算出する。
薬物吸着率(%)=サンプル側濃度÷(貼付剤側濃度+サンプル側濃度)×100
以下に、この薬効成分濃度の測定条件を列挙する。
使用カラム:『CAPCELL PAK C18 UG120 S5』
(内径4.6mm×長さ250mm;(株)資生堂製,商品名)
移動相:CHCN/H0=60/40(pH2.2,リン酸調整)
フローレート:1.0mL/分
実施温度:40℃
検出:230nm(UVディテクターによる)
(剥離性試験)
各試験サンプルの繊維層側に市販のクラフトテープ『キクラフトテープNo.100』(菊水テープ株式会社製,商品名)を貼り付け、その後クラフトテープを剥離した後の繊維層の状態を下記の基準により判定した。
○・・・変化なし
△・・・繊維層がフィルム面より一部剥離している。
×・・・繊維層がフィルム面より完全に剥離している。
(外観の変化)
各試験サンプルを1m幅×1m長さに裁断し、熱収縮によるフィルム面のシワ及び凹凸の状態を下記の基準により判定した。
○・・・変化なし
△・・・フィルム面に僅かなシワ及び凹凸が発生している。
×・・・フィルム面にシワ及び凹凸が発生している。
(実施例1)
市販のPETからなる、厚さ3.5μm、面密度4.9g/mの2軸延伸フィルムを準備した。
また、フィルムと積層一体化する繊維層として、PET繊維100%からなる、厚さ30μm、面密度8.0g/mの湿式不織布を準備した。この湿式不織布は、繊維径11μm、繊維長5mmの延伸PET繊維と繊維径8μm、繊維長10mmの未延伸PET繊維とからなり、この未延伸PET繊維によって構成繊維が結合されてなる湿式不織布である。
また、フィルムと繊維層との間に配置する繊維ウェブとして、未延伸PET繊維(繊度:3.5デシテックス(繊維径:約18μm)、繊維長:38mm)と延伸PET繊維(繊度:1.3デシテックス(繊維径:約11μm)、繊維長:38mm)とを質量比40:60に混綿してフラットカード機を用いて、面密度6.0g/mの繊維ウェブを形成して準備した。
次いで、前記フィルムと前記繊維層とを前記繊維ウェブを介して積層し、得られた積層体を加圧状態で加熱することにより、繊維ウェブ中の未延伸PET繊維を結晶化させると共にフィルムと繊維層を接着して、フィルムと繊維層とを積層一体化させて、厚さ45μm、面密度19g/mの1m幅の貼付剤用複合不織布を得た。なお、積層体の加熱は、積層体を195℃に加熱した金属ロールと弾性ロールからなる一対のロール間に、線圧30kg/cm、生産速度5m/分で通過させて、カレンダー加工することにより行なった。実施例1の結果を表1に示す。
(実施例2)
市販のPETからなる、厚さ7.0μm、面密度9.8g/mの2軸延伸フィルムを準備した。
また、フィルムと積層一体化する繊維層として、実施例1と同様のPET繊維100%からなる、厚さ30μm、面密度8.0g/mの湿式不織布を準備した。
また、フィルムと繊維層との間に配置する繊維ウェブとして、未延伸PET繊維(繊度:3.5デシテックス(繊維径:約18μm)、繊維長:38mm)100質量%を用いて、フラットカード機により、面密度3.0g/mの繊維ウェブを形成して準備した。
次いで、実施例1と同様にして、フィルムと繊維層とを積層一体化させて、厚さ45μm、面密度21g/mの1m幅の貼付剤用複合不織布を得た。
(参考例1)
実施例1で用いた繊維ウェブの替わりに、平均繊維径が5μmのPET繊維からなる面密度3.0g/mのメルトブローウェブを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フィルムと繊維層とを積層一体化させて、厚さ40μm、面密度16g/mの1m幅の貼付剤用複合不織布を得た。参考例1の結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1で用いた繊維ウェブの替わりに、未延伸PET繊維(繊維径:11μm、繊維長:5mm)100質量%を分散混合した面密度3.0g/mの乾式分散繊維ウェブを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フィルムと繊維層とを積層一体化させて、厚さ40μm、面密度16g/mの1m幅の貼付剤用複合不織布を得た。実施例4の結果を表1に示す。
(比較例1)
市販のPETからなる、厚さ3.5μm、面密度4.9g/mの2軸延伸フィルムを準備した。
また、フィルムと積層一体化する繊維層として、実施例1と同様のPET繊維100%からなる、厚さ30μm、面密度8.0g/mの湿式不織布を準備した。
次いで、市販のポリウレタンバインダーを接着剤としてドライラミ技術によって、前記フィルムと前記繊維層のラミネートを行い、厚さ40μm、面密度16g/mの1m幅の複合不織布を得た。比較例1の結果を表1に示す。
(比較例2)
市販のPETからなる、厚さ3.5μm、面密度4.9g/mの2軸延伸フィルムを準備した。
また、フィルムと積層一体化する繊維層として、実施例1と同様のPET繊維100%からなる、厚さ30μm、面密度8.0g/mの湿式不織布を準備した。
次いで、前記フィルムと前記繊維層とを積層し、得られた積層体を加圧状態で加熱することにより、フィルムと繊維層を接着して、フィルムと繊維層とを積層一体化させて、厚さ40μm、面密度13g/mの1m幅の複合不織布を得た。なお、積層体の加熱は、積層体を210℃に加熱した金属ロールと弾性ロールからなる一対のロール間に、線圧30kg/cm、生産速度5m/分で通過させて、カレンダー加工することにより行なった。比較例2の結果を表1に示す。
表1
Figure 0005224893
この表1からも理解できるように、実施例1〜2及び4の貼付剤用複合不織布では、4%未満の極めて低い薬物吸着量を実現できることが確認された。これに対して、接着剤を用いて積層一体化した比較例1の複合不織布は、薬剤吸着量が高く、本発明が目的とする貼付剤用複合不織布として不適であった。また、比較例2の複合不織布は、薬物吸着量は低いが剥離性に劣り、また外観の変化が大きく、本発明が目的とする貼付剤用複合不織布として不適であった。
上述の通り、本発明の構成を採用することにより、薬物の揮発を低減し得るバリア性と共に均一な薬物保持層を有しており、それゆえ優れた投錨性を有していると共に薬物吸着の低減を図ることが可能な貼付剤用複合不織布を実現し得ることが確認された。

Claims (6)

  1. ポリエステルからなるフィルムと、繊維長が15mm以下のポリエステル繊維からなる繊維層が積層一体化してなる貼付剤用複合不織布であって、前記フィルムと前記繊維層の接着が、前記フィルムと前記繊維層の間に配置された未延伸ポリエステル繊維を含む繊維ウェブの前記未延伸ポリエステル繊維によってなされており、前記繊維ウェブは気体中で形成され且つ繊維長が100mm以下の繊維からなる繊維ウェブであることを特徴とする貼付剤用複合不織布。
  2. 前記フィルムがポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする請求項1に記載の貼付剤用複合不織布。
  3. 前記繊維層がポリエチレンテレフタレート繊維からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の貼付剤用複合不織布。
  4. 前記繊維ウェブが、延伸ポリエチレンテレフタレート繊維と未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維とからなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の貼付剤用複合不織布。
  5. 前記繊維層と前記繊維ウェブとから構成される不織布層の薬物吸着率が10%未満であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の貼付剤用複合不織布。
  6. ポリエステルからなるフィルムと、繊維長が15mm以下のポリエステル繊維からなる繊維層とを、未延伸ポリエステル繊維を含む繊維ウェブであって、気体中で形成され且つ繊維長が100mm以下の繊維からなる繊維ウェブを介して積層し、得られた積層体を加圧状態で加熱することにより、前記未延伸ポリエステル繊維によって前記フィルムと前記繊維層を接着して、前記フィルムと前記繊維層とを積層一体化させることを特徴とする貼付剤用複合不織布の製造方法。
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