JP5224576B2 - 魚釣用リール - Google Patents

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本発明は、魚釣用リールに関し、特に、釣糸巻取り機構の駆動歯車がハンドル軸との間の摩擦結合力に抗して回転したときに、この駆動歯車の回転状態を発音機構を介して報知する魚釣用リールに関する。
従来、スプールを回転駆動するメインギアと、ハンドルを介して釣り糸巻上力を作用させるハンドル軸との間に摩擦結合力を形成するドラグ機構を配置し、このドラグ機構の設定ドラグ力に抗してスプールが回転したときに、メインギアの径方向内方に配置したリング状音出し部材の凹凸部と、ハンドル軸上を軸方向に移動可能でかつ回転不能のドラグディスクに両端部を係合した山形バネ状の音出しピンとの径方向における干渉により、音を発生し、メインギアの回転状態を報知する発音機構を設けた魚釣用リールが開発されている(例えば特許文献1参照)。
また、このような発音機構を設けた魚釣用リールについて、ドラグ力の変動による音質の変化を防止するため、ハンドル軸の軸方向に沿ってメインギアを挟持する2つのドラグ部材のうち、反ハンドル側のドラグ部材とメインギアとに摩擦係合するリング状のライニング材を配置し、このリング状のライニング材の径方向内側に、このライニング材よりも薄肉に形成した環状発音部材を配置してメインギアに回り止めし、この環状発音部材に形成した凹凸部に、反ハンドル側のドラグ部材と共に回転する音出しピンを軸方向から係合させるものも開発されている(例えば特許文献2参照)。
特開平10−210904 特開2002−34407
しかし、メインギアとドラグディスクとの間に発音機構を設けた魚釣用リールは、メインギアに重ねられるドラグディスクの径が径方向の干渉作用で発音する発音機構で制限されるため、高いドラグ力が得られ難い。また、高いドラグ力を得るためにドラグディスクを大きくすると、発音機構も大型化し、魚釣用リールの全体が大型化する。また、ライニング材等のドラグ機構に摩擦力を形成する部材の磨耗によって発音機構と干渉する可能性があり、この場合にはドラグ性能が損なわれることになる。
また、反ハンドル側のドラグ部材とメインギアとに軸方向から摩擦係合するリング状のライニング材の径方向内側に、環状発音部材を配置した発音機構は、ドラグ機構の長期の使用に伴うライニング材の磨耗の影響により、発音部材の凹凸部に対する音出しピンの係合量が変化し、クリック音を安定させることはできない。
更に、環状発音部材の径方向外側を囲むリング状のライニング材が磨耗すると、金属材で形成される発音部材の凹凸部側の側面と、ハンドル軸と共に回転するドラグ部材とが直接的に摩擦係合しつつ摺接することになり、音出しピンと凹凸部との連続的な係脱によるクリック性能が低下するだけでなく、摺接時に発生する切粉の影響で歯車の噛合い性能も低下する。
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、使用経過に伴うライニング材の磨耗の影響を受けることなく、クリック性能およびドラグ性能を安定して維持することのできる魚釣用リールを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の魚釣用リールは、逆転防止機構を介して一方向に回転自在にリール本体で支持されるハンドル軸に、軸方向に移動可能でかつ回転不能に支持部材を装着し、このハンドル軸に設けた制動力調節体の回転操作でこの支持部材を軸方向に移動することにより、釣糸巻取り駆動機構の駆動歯車とハンドル軸との間の摩擦結合力を調節可能とし、この摩擦結合力に抗して、釣糸の繰り出しで回転する前記駆動歯車の回転を発音機構を介して報知する魚釣用リールであって、前記発音機構は、前記支持部材の内部に装着されかつ先端部が支持部材の外周から径方向外方に突出するように径方向外方に向けてバネ付勢された音出しピンと、この音出しピンの先端部が係脱したときに発音する凹凸部を周面に配置した発音体とを備え、この発音体が、前記駆動歯車に一体的に固定された状態に設けられることを特徴とする。
この魚釣用リールによると、音出しピンがハンドル軸と共に回転する支持部材の外周から先端を突出させ、駆動歯車に一体的に固定された状態に設けられた発音体の周面に配置された凹凸部と係脱するため、長期にわたる使用でライニング材等の摩擦部材が磨耗した場合であっても、支持部材の位置に係わらず、良好なクリック性能およびドラグ性能を長期間にわたって安定して維持することができる。
図1から図3は、本発明の好ましい実施形態による魚釣用リール10を示す。
図1に全体を示すように、本実施形態の魚釣用リール10は、両軸受型手巻きリールとして形成してある。この魚釣用リール10のリール本体12は、連結部材等で一体化される左右一対のフレーム14a,14bのそれぞれの外側に、例えば螺合、ビスあるいは嵌合等の結合手段により、円形状あるいは円筒状の側板16a,16bを取付けて、全体的に剛性構造のハウジングとして形成され、図示しない取付脚部を介して釣竿に固定される。
釣糸が巻回されるスプール18は、左右のフレーム14a,14b間に回転自在に支持され、右側板16bは、スプール18をスプール軸20を介して回転駆動させる釣糸巻取り駆動機構22を支持し、この右側板16b内に右フレーム14bで区画された空間内に、この釣糸巻取り駆動機構22の後述する駆動力伝達系やドラグ系等の各種機構が収容される。
このリール本体12のフレーム14a,14b間には、スプール18を装着してこのスプール18と共に回転するスプール軸20の両端部が、例えば図示のようなボール軸受22a,22bを介して回転自在に支持されている。このスプール軸20の一端側から右フレーム14bを通して突出する端部には、このスプール軸20と同軸状に配置されるピニオン軸20aを配置してある。このピニオン軸20aは、リール本体12内で、スプール軸20の右側端部に当接し、右側板16bに設けた調節ねじ24による押圧力をスプール軸20に作用させ、スプール18のガタ付きを防止しつつ軸方向の所定位置に保持する。このピニオン軸20a上にハンドル26で回転駆動されるピニオン28が移動可能に支持されている。
このピニオン28は、ピニオン軸20aを挿通する筒状構造を有し、右フレーム14bおよび右側板16bで支えられた軸受30a,30bにより、リール本体12に対して回転可能かつ軸方向に移動可能に支持されている。左右のフレーム14a,14b間に配置された図示しないクラッチレバーを介して図示しないクラッチ機構をON/OFF操作することにより、ピニオン28は、図1に示すようにスプール軸20に嵌合してスプール軸20と一体的に回転する係合位置と、スプール軸20との係合状態が解除された非係合位置(図示しない)との間を移動することができる。
このピニオン28の移動は、ピニオン28に形成された周溝28aに係合するヨーク32を、クラッチ機構のON/OFF操作に連動させて、ピニオン軸20aに沿って移動することで行うことができ、ピニオン28が図1に示す係合位置に配置されたときに、クラッチONの釣糸巻取可能状態となり、図示しない非係合位置では、クラッチOFFのスプールフリー回転状態となる。なお、本実施形態の魚釣用リール10は、スプール18が自由に回転できるクラッチOFFの状態で、釣糸を放出した際にスプール18の過回転を阻止してバックラッシュを防止する磁気制動装置34が、左フレーム14a側のスプール軸20の端部に設けてある。
更に、右側板16b内には、一端にハンドル26を取付けられたハンドル軸36がピニオン軸20aと平行に配置されており、このハンドル26を回転することにより、回転駆動される。
図1および図2に示すように、このハンドル軸36は、軸受38a,38bを介して右フレーム14bおよび右側板16bで回転可能に支持されている。このハンドル軸36をハンドル26側で支える軸受38bは、右側板16bの略円筒状に突出する突出部16cに設けてあり、この突出部16c内には、ハンドル軸36の釣糸巻回方向への回転を許容し、逆方向の回転を阻止する一方向クラッチ40が逆転防止機構として配置されている。
符号17は、この突出部16cを覆う保護カバー部材を示す。
また、ハンドル軸36は、軸受38aを介して右フレーム14bで支えられる基端部35に近接した部位に環状溝36aを形成してあり、この環状溝36aに嵌合する抜け止め部材42が右フレーム14bに固定され、右フレーム14bから抜け止めされて保持される。更に、基端部35の端面に係合する付勢部材44が、この基端部35を介してハンドル軸36を付勢し、ハンドル軸36の遊動間隙分を移動してハンドル軸36のスムーズな回転性を維持することができる。
この基端部35に近接する部位には、ピニオン28をスプール軸20から分離した状態でハンドル26を回転したときに、クラッチONの状態に復帰させるクラッチ復帰用のラチェット歯車46と連動歯車48とがハンドル軸36の断面非円形部36bに回り止め嵌合された状態で支持されている。ラチェット歯車46は、ハンドル軸36に一体形成したフランジ部37で支えられている。更に、このハンドル軸36には、駆動歯車50が回転自在に装着されている。駆動歯車50は摩擦ライニング材52を介して連動歯車48およびラチェット歯車46と共にフランジ部37で右フレーム14b側を支えられ、ドラグ機構54を介してハンドル軸36との間の摩擦結合力を調節可能に連結される。
ハンドル軸36上でスプール18側に配置される連動歯車48は、スプール18の前方側に配置したレベルワインド機構56のウォームシャフト58を駆動する歯車58aと噛合している。このウォームシャフト58は、左右のフレーム14a,14b間に延びる筒体60内に収容されており、端部に取付けられた歯車58aが連動歯車48で回転されたときに、外周面に形成したトラバース溝に係合する係合子60aがこの筒体60に沿って左右に摺動する。これにより、係合子60aに形成されたガイド孔を通して、釣糸がスプール18上に均等に巻回される。
駆動歯車50は、釣糸巻取り駆動機構の一部を形成しており、ハンドル32側が開口した筒状に形成され、外周部に形成した歯部がピニオン28と噛合する。この駆動歯車50とハンドル軸36との間に設けられるドラグ機構54は、駆動歯車50の内部空間に収容されてライニング部材62を介して駆動歯車50を押圧し、連動歯車48と共に駆動歯車50を支持する支持部材として機能する押圧板64を備え、ハンドル軸36の外端側に螺合したドラグ操作部材66(図1)を回転することで、基端側のフランジ部37で軸方向移動を規制される駆動歯車50との間で、一方向クラッチ40の内周側に配置されたスリーブ68および皿バネ70を介して押圧板64を軸方向に押圧し、ハンドル軸36に対する駆動歯車50の摩擦結合力、つまり、駆動回転されるスプール18に所望のドラグ力を付与することができる。
すなわち、ハンドル26を回転操作することで、その駆動力は、ハンドル軸36からドラグ機構54を介して駆動歯車50とピニオン28とスプール軸20とに伝達され、スプール18が回転される。ドラグ操作部材66は、駆動歯車50とハンドル軸36との間の摩擦結合力を調節する制動力調節体として機能する。
そして、魚が掛かったときに、釣糸繰出し方向にスプール18を回転する力がドラグ機構54の摩擦結合力を超えない場合は、スプール18に作用する釣糸放出方向すなわち釣糸繰出し方向の力は、スプール軸20とピニオン28とを介して駆動歯車50に伝達され、この駆動歯車50からドラグ機構54を介してハンドル軸36に作用し、一方向クラッチ40で回転を阻止される。
スプール18を釣糸繰出し方向に回転させる力が、ドラグ機構54の摩擦結合力すなわちドラグ力を超えると、駆動歯車50が押圧板64およびハンドル軸36に対して回転し、スプール18が釣糸繰出し方向に回転する。これにより、釣り糸の糸切れを防止する。このようにスプール18が釣り糸繰出し方向に回転すると、ピニオン28を介してスプール18と共に回転する駆動歯車50により、発音機構72を介して報知する。
図3に示すように、発音機構72は、駆動歯車50の支持部材として機能する押圧板64の内部に装着されかつ先端部が押圧板64の外周から径方向外方に突出するように径方向外方に向けてバネ付勢された音出しピン74と、この音出しピン74の先端部が係脱したときに発音する凹凸部76を内周面に配置した発音体78とを備える。本実施形態では、発音体78をリング状の板材で形成し、駆動歯車50の内周部に一体的に嵌合してある。必要な場合には、ネジやピン等の図示しない固定部材を用いて一体化することも可能である。
凹凸部76は、軸長方向に延びる凹部と凸部とを周方向に沿って交互に配置して形成してあり、このような凹凸部76をライニング材62および押圧板64を収容する筒状構造の駆動歯車50の内周面側に配置することにより、使用経過に伴ってライニング材52,62が磨耗し、駆動歯車50および押圧板64が移動した場合であっても、音出しピン74と凹凸部76との係脱状態は変化せず、同じ係脱状態を維持することができる。また、発音機構72の音出しピン74および発音体78のいずれも駆動歯車50あるいは押圧板64等の他の部材と干渉することがなく、駆動歯車50と押圧板64との間に十分な摩擦係合面を維持することができ、発音機構72がドラグ性能を損うことがない。したがって、この発音機構72は、支持部材である押圧板64の位置に係わらず、良好なクリック性能およびドラグ性能を長期間にわたって安定して維持することができる。
本実施形態では、音出しピン74を収容する凹部65をハンドル軸36に対して垂直かつ半径方向に延設してあるが、傾斜方向に延設することも可能であり、その数も1つに限らず等間隔に複数個設けてもよい。
また、押圧板64の外周部と発音体78の内周部との間にOリング80を設けることにより、音出しピン74と凹凸部76とが係合する音出し部の防水・防塵化を図ることができる。このようなOリング80は、必ずしも必要なものではないが、駆動歯車50の凹部内を防塵化する場合には、音出し部を保護するだけでなく、音出し部における摩擦により、例えば切粉等が発生した場合に、このような切粉が駆動歯車50およびピニオン28との噛合い部に悪影響を及ぼすのを防止することができる。
図4に示すように、駆動歯車50の内周面に凹凸部76を形成し、駆動歯車50と一体構造の発音体78Aとすることもできる。この場合には、駆動歯車50の全体で音を発生させることができ、また、発音体78Aの組立て工程を省略することができる。
また、図5に示すように、音出しピン74Aを板バネ状に形成することもできる。この場には、音出しピン74Aを収容する凹部65の周壁をV字状に傾斜させ、ピン74Aを半径方向外方に付勢することが好ましい。部品点数が減少すると共に、軽量化が図れる。
図6は、発音機構72を上述の実施形態とは反対側すなわちスプール18側に配置した実施形態を示す。この実施形態では、レベルワインド機構56の歯車58aと駆動歯車50との間の間隙に音出し機構72を配置してある。
音出しピン74は、駆動歯車50のスプール18側でハンドル軸36と共に回転する部材であればどのような部材でもよく、例えば連動歯車48の外周部から先端部が突出するようにバネ付勢させて設けることができる。また、発音体78は、駆動歯車50のスプール18側の側面に例えば止ネジ(図示しない)を用いて固定してあり、凹凸部76がこの駆動歯車50の側面から反ハンドル側に突出した状態に配置してある。
連動歯車48が駆動歯車50と共に回転する場合には、連動歯車48に代えて、ハンドル軸36と共に一体回転する部材に音出しピン74を設けてもよい。
この実施形態においても、スプール18を釣糸繰出し方向に回転させる力が、ドラグ機構54の摩擦結合力すなわちドラグ力を超えると、駆動歯車50が押圧板64およびハンドル軸36に対して回転し、スプール18が釣糸繰出し方向に回転すると、ピニオン28を介してスプール18と共に回転する駆動歯車50により、発音機構72を介して報知する。
使用経過に伴ってライニング材52,62が磨耗し、駆動歯車50および押圧板64が移動した場合であっても、音出しピン74と凹凸部76との係脱状態は変化せず、同じ係脱状態を維持することができる。また、発音機構72の音出しピン74および発音体78のいずれも駆動歯車50あるいは押圧板64等の他の部材と干渉することがなく、発音機構72がドラグ性能を損うことがない。したがって、この発音機構72は、支持部材である押圧板64の位置に係わらず、良好なクリック性能およびドラグ性能を長期間にわたって安定して維持することができる。
なお、上述の種々の実施形態では、音出しピン74をハンドル軸36と共に回転する支持部材としての押圧板64あるいは連動歯車48に設け、凹凸部76をスプール18と共に回転する駆動歯車50に設けたものであるが、ドラグ力に抗してスプール18が回転したときに、クリック性能およびドラグ性能を損なうことなく、長期間にわたって安定して発音できるものであれば、いずれの部位に設けてもよい。
また、両軸受型リールに限らず、ハンドル軸にドラグ機構を介して駆動歯車を連結するものであれば、スピニングリールにも適用することが可能であり、また、それぞれの実施形態あるいは変形例に限定されるものではなく、様々に組合せを変更することも可能である。
本発明の好ましい実施形態による魚釣用リールを示す断面図。 図1の魚釣用リールの一部を拡大した断面図。 発音機構を拡大して示し、(A)は駆動歯車に対する配置状態を示す説明図、(B)は(A)のB−B線に沿う断面図。 変形例による発音機構の図3の(B)と同様な説明図。 更に他の変形例による発音機構の図4と同様な説明図。 他の実施形態による発音機構を備えた魚釣用リールの図2と同様な断面図。
符号の説明
10…魚釣用リール、12…リール本体、22…釣糸巻取り駆動機構、36…ハンドル軸、50…駆動歯車、72…発音機構、74…音出しピン、76…凹凸部、78…発音体。

Claims (1)

  1. 逆転防止機構を介して一方向に回転自在にリール本体で支持されるハンドル軸に、軸方向に移動可能でかつ回転不能に支持部材を装着し、このハンドル軸に設けた制動力調節体の回転操作でこの支持部材を軸方向に移動することにより、釣糸巻取り駆動機構の駆動歯車とハンドル軸との間の摩擦結合力を調節可能とし、この摩擦結合力に抗して、釣糸の繰り出しで回転する前記駆動歯車の回転を発音機構を介して報知する魚釣用リールであって、
    前記発音機構は、前記支持部材の内部に装着されかつ先端部が支持部材の外周から径方向外方に突出するように径方向外方に向けてバネ付勢された音出しピンと、この音出しピンの先端部が係脱したときに発音する凹凸部を周面に配置した発音体とを備え、この発音体が、前記駆動歯車に一体的に固定された状態に設けられることを特徴とする魚釣用リール。
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