JP2020000013A - 魚釣用リール及びその制動力調節用の回転操作部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハンドル等の他の操作部材の操作性やリール保持性などに影響を及ぼすことなく、所望の制動力常用範囲(所望の最大制動力)をもたらす回動操作範囲(回動位置)である設定制動範囲(位置)が容易に調整し直すことができる制動力調節用の回転操作部材及びそのような回転操作部材を備える魚釣用リールを提供する。【解決手段】魚釣用リールは、ハンドル10が設けられるリール本体の一方の側板3bに回転自在に支持された制動力調節用の回転操作部材60の回転操作によってスプールと一体回転するスプール軸の釣糸繰り出し方向の回転に制動力を付与するスプール制動機構を備える。回転操作部材60は、制動力調節に関与する回動操作部60Aと、回動操作部60Aの回動位置の指標となる指標部110とを有し、回動操作部60Aに対する指標部110の位置が回動操作部60Aの周方向で変化可能である。【選択図】図4
Description
本発明は、魚釣用リールに関し、特に、スプール軸の回転に制動力(抵抗力)を付与するスプール制動機構を備える魚釣用リール及びその制動力調節用の回転操作部材に関する。
この種の魚釣用リール、特に両軸受型リールは、リール本体の側板間に回転自在に支持されるスプールを釣糸巻き取り状態(クラッチON)と釣糸繰り出し状態(クラッチOFF)とに切り換えるクラッチ機構と、釣糸繰り出し状態のスプールの回転に制動力(抵抗力)を付与してスプールの回転状態を調整できるようにするスプール制動機構とを備える。
前記スプール制動機構は、一般に、リール本体の一方の側板に回転可能に支持して設けられる調節ツマミを回動操作することにより、スプールと一体に回転するスプール軸の端部に作用する押圧力を加減してスプール軸に所望の摩擦抵抗を付与し、スプールの回転に制動力を付与できる(スプールの回転状態を調節できる)ように構成される。
また、そのようなスプール制動機構の前記調節ツマミは、一般に、指で摘まんで回動操作するようにキャップ状に形成されるが、調節ツマミの操作性の向上を図るべく、調節ツマミと一体に回転する操作レバーを設け、この操作レバーを介して調節ツマミを回転させて制動力を調整できるようにするとともに、操作レバーを調節ツマミに対して着脱自在として調節ツマミに対する操作レバーの位置を変動可能にすることによって釣り人にとって操作し易い常用範囲内で操作レバーを回動できるようにする構造が特許文献1で知られている。
具体的には、この特許文献1に開示される構成によれば、まず、調節ツマミによってスプール軸に対する制動力を調整する。そして、適切な制動力に調整した後に、操作レバーを調節ツマミに取り付ける。操作レバーは調節ツマミに対して周方向の位置調整が可能であるため、操作レバーは操作し易い方向に延びるように配置することができる。このように、釣り条件に適したスプールの制動状態(弱〜強の常用範囲)に調節ツマミを回動操作して設定した後に調節ツマミに取着した操作レバーを操作することにより、スプールの制動状態を容易に把握でき、所望の制動力に瞬時に切り換えることが可能となる。
しかしながら、特許文献1に開示される操作レバーは、釣糸を巻き取る際に回転操作されるハンドルや釣糸巻き取り時の抵抗力を調節するドラグ力調節部材(スタードラグ)の近傍に配設されるため、ハンドルによる巻き取り操作時やドラグ力調節時に邪魔になりこれらの操作性を低下させるとともに、ハンドル側のリール本体の側板を手で保持する際のリール保持性も低下させる。また、操作レバーが側板の前後方向に向けて突出して配置されるため、操作レバーに釣糸が絡み易いとともに、外力や落下等によって操作レバーが損傷する虞もある。
また、操作レバーが調節ツマミと共に回動するため、所望の制動力を引き起こす調節ツマミの回動範囲や位置(例えば制動力の常用範囲の最大位置)が釣りの状況に応じて(仕掛けの錘の重さ、水深、釣り方などによって)変動する場合には、その都度操作レバーを調節ツマミから取り外して調整し直さなければならず、さもなければ、ハンドル巻き取り操作等にとって邪魔になる位置に操作レバーが回動する場合もある。
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、ハンドル等の他の操作部材の操作性やリール保持性などに影響を及ぼすことなく、所望の制動力常用範囲(所望の最大制動力)をもたらす回動操作範囲(回動位置)である設定制動範囲(位置)が釣況に応じて変動する場合でも、その設定制動範囲(位置)を容易に調整し直すことができる(設定制動範囲(位置)の再現操作を容易に行なえる)制動力調節用の回転操作部材及びそのような回転操作部材を備える魚釣用リールを提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明は、リール本体の側板間に回転可能に支持されて釣糸が巻回されるスプールと、前記リール本体の一方の前記側板に回転自在に支持された制動力調節用の回転操作部材の回転操作によって前記スプールと一体回転するスプール軸の釣糸繰り出し方向の回転に制動力を付与するスプール制動機構とを備える魚釣用リールにおいて、前記回転操作部材は、制動力調節に関与する回動操作部と、前記回動操作部の回動位置の指標となる指標部とを有し、前記回動操作部に対する前記指標部の位置が前記回動操作部の周方向で変化可能であることを特徴とする。
上記構成において、リールの操作者(釣り人)は、例えば、回転操作部材(回動操作部)が回転(回動)して指標部が所定の回動位置(視界内位置)に位置するときに所望の最大制動力が生起されるように回動操作部に対する指標部の周方向位置を設定することにより、所望の制動力常用範囲(所望の最大制動力)をもたらす回転操作部材(回動操作部)の回動操作範囲(回動位置)である設定制動範囲(位置)を決めることができるが、その設定制動範囲(位置)が釣況に応じて変動する場合でも、その設定制動範囲(位置)を、回動操作部に対して指標部の位置を周方向で変位させることにより容易に調整し直すことができる(設定制動範囲(位置)の再現操作を容易に行なえる)。
リールの操作者(釣り人)は、実釣時、回転操作部材(回動操作部)の回転操作時に指標部を視認することでスプールの釣糸繰り出し方向の回転に所望の制動力を容易に付与することができるが、回動操作部に対する指標部の位置を回動操作部の周方向で変化可能にする手段としては、例えば、回動操作部と共に一体的に回動可能であるとともに回動操作部に対して回転できる環状体の表面に指標部を設けること、或いは、指標部を回動操作部の周方向に沿って互いに離間して複数設け、各指標部を回動操作部に対してその側方で選択的に突没自在にすることなどを挙げることができる。このような構成の指標部位置可変手段は、ハンドル等の他の操作部材の操作性やリール保持性などに影響を及ぼすことなく指標部の位置を回転操作部材(回動操作部)の周方向で変化可能にし得るだけでなく、回転操作部材の動きとは独立に環状体を回転操作するだけで或いは指標部を回動操作部に対して突没させるだけで釣況に応じた指標部の位置調整を容易にし得るため、有益である。
なお、上記構成において、指標部は、回動操作部の側部に視認可能に設けられることが好ましく、回動操作部の側部以外の方向からも更に視認できることがより好ましい。具体的には、指標部は、スプール軸の軸方向と直交する方向に面する回転操作部材の径方向周端面に設けられることが好ましく、更に、スプール軸の軸方向に面する回転操作部材の側面にも設けられることがより好ましい。
また、本発明は、上記構成の魚釣用リールに設けられる前記回転操作部材も提供する。
本発明によれば、ハンドル等の他の操作部材の操作性やリール保持性などに影響を及ぼすことなく、所望の制動力常用範囲(所望の最大制動力)をもたらす回動操作範囲(回動位置)である設定制動範囲(位置)が釣況に応じて変動する場合でも、その設定制動範囲(位置)を容易に調整し直すことができる(設定制動範囲(位置)の再現操作を容易に行なえる)制動力調節用の回転操作部材及びそのような回転操作部材を備える魚釣用リールが得られる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る魚釣用リールについて説明する。
なお、以下の説明及び図面の全体にわたって、「前、後」「左、右」「上、下」の方向は、図1で規定される方向を基準とする。
なお、以下の説明及び図面の全体にわたって、「前、後」「左、右」「上、下」の方向は、図1で規定される方向を基準とする。
図1〜図3に示されるように、魚釣用両軸受型リールのリール本体1は、左右フレーム2a,2bと、これら左右フレーム2a,2bに所定の空間を隔ててそれぞれシール材を介して装着される左右側板3a,3bとを備える。左右フレーム2a,2bは複数の支柱を介して一体化されており、下方の支柱に設けられるリール脚によってリール本体1が釣竿の図示しないリールシートに装着される。
左右フレーム2a,2b(左右側板3a,3b)間には、スプール軸5が左右の軸受4A,4B(左側に位置される軸受4Aは図示せず)を介して回転可能に支持されており、このスプール軸5には、釣糸が巻回されるスプール6が取り付けられる。
スプール6は、ハンドル10を回転操作することによって回転されるように構成されており、ハンドル10は、右側板3bから突出したハンドル軸7の端部に取り付けられる。
ハンドル軸7は、右フレーム2bと右側板3bとの間に、図示しない軸受を介して回転自在に支持されるとともに、右側板3bとの間に介在される図示しない一方向クラッチによって釣糸巻き取り方向にのみ回転可能に構成されている。
右フレーム2bと右側板3bとの間には、ハンドル軸7に回転自在に支持されてハンドル10の回転運動をスプール軸5側に伝達するためのドライブギア11が設けられており、また、ハンドル10の回転操作により回転するこのドライブギア11に係合して、スプール6に所定のドラグ力を付与する公知のドラグ機構12が収容されている。ドラグ機構12は、魚釣時にスプール6から釣糸が繰り出された際に、スプール6に所定のドラグ力を付与するようになっており、ドライブギア11に当接する複数の摩擦板12aを備える。このようなドラグ機構12は、ハンドル軸7の端部に配設された操作体としてのスタードラグ13を回動操作することで、ドライブギア11に対する圧接力が調節されるようになっており、スプール6に対するドラグ力(釣糸巻き取り時の抵抗力)を調節できるように構成される。
ドライブギア11には、クラッチ機構20の一部を構成する動力伝達部材としてのピニオンギア21(ピニオンギア21の歯21c)が噛合している。このピニオンギア21は、ドライブギア11の回転をスプール6(スプール軸5)に伝達する部材であり、軸方向に貫通する中心孔21aが形成されており、この中心孔21aにスプール軸5(又はスプール軸5の端面に当接する支持軸であってもよい)が貫通されている。
本実施形態において、スプール軸5の右側は、大径部5Aと、この大径部5Aに連続する小径部5Bと、小径部5Bから延びる軸部5C(又は小径部5Bの端面に当接する別体の支持軸であってもよい)とから成り、軸部5Cが前述したようにピニオンギア21の中心孔21aに挿通される。また、スプール軸5は、その(軸部5Cの)右端面5aがリール本体1(右側板3b)の支持部3baに螺合される制動力調節用の回転操作部材60(本実施形態では、親指等の1本の指で容易にハンドル側から(例えば斜め方向から)押圧してダイヤル式に回転操作できるジョグ操作部材の形態を成す)の内方に設けられる軸方向規制部62に当て付くことにより軸方向における移動が規制される。そして、後述するように、スプール軸5には、回転操作部材60が回転操作されることにより所定の押圧力が制動力として付与されるようになっている。
ピニオンギア21の一部には、周方向に沿って円周溝21bが形成されており、この円周溝21bにクラッチ機構20を構成するクラッチ部材23が係合している。クラッチ部材23は、クラッチ操作部材24を操作(クラッチON状態からクラッチOFF状態へ操作)することにより、付勢部材90の付勢力に抗して図中右側に向けて駆動されるようになっており、これにより、ピニオンギア21をスプール軸5に沿って右側に移動させるようになっている。
この場合、ピニオンギア21は、その両側(ドライブギア11に噛合する歯部21cのスプール6側及び側板3b側の両側部位)がリール本体1(右フレーム2b,右側板3b、図1参照)に設けられる軸受24A,24BによりカラーC(樹脂材)を介して支持されており、軸受24A,24Bの内輪内周面に対して軸方向に移動可能に且つ回転自在に接触している。すなわち、ピニオンギア21は、スプール6に接続する側が第1の軸受24Aによって支持されるとともに、スプール6に接続する側と反対の側が第2の軸受24Bによって支持される。なお、カラーCを削除して軸受24A,24Bで直接にピニオンギア21の両側を支持してもよい。
ピニオンギア21の左端部には、スプール軸5の右端部(小径部5B)に設けられる係合突部5b,5bに係脱可能な凹部25aが設けられている。図2に示されるように、凹部25aにスプール軸5の係合突部5b,5bが係合している状態がクラッチON状態であり、図3に示されるように、クラッチ機構20(クラッチ部材23)によりピニオンギア21が図中右側に向けて移動されて凹部25aから係合突部5b,5bが脱した状態(両者の係合状態が解除された状態)がクラッチOFF状態である。
なお、ピニオンギア21は、クラッチ操作部材24を復帰操作することによって或いはハンドル10の巻き取り操作によって自動的にクラッチOFF状態からクラッチON状態へ復帰させることが可能となっている。
以上のように構成される魚釣用リールでは、図2に示されるクラッチON状態でハンドル10が回転操作されると、ドライブギア11に伝達された回転駆動力は、ピニオンギア21に伝達され、ピニオンギア21の凹部25aに係合している係合突部5b,5bを介してスプール軸5に伝達される。これによって、スプール6が回転駆動される。
また、このような図2に示されるクラッチON状態(釣糸巻き取り状態)からクラッチ操作部材24が移動操作(クラッチON状態からクラッチOFF状態へ操作)されると、クラッチ部材23が付勢部材90の付勢力に抗して図中右側に向けて駆動されて、ピニオンギア21が図中右側に向けて移動され、それにより、図3に示されるようにスプール軸5の係合突部5b,5bに対するピニオンギア21の凹部25aの係合が解除される。したがって、スプール6は、ドライブギアからの回転動力の伝達が遮断されるフリー回転可能状態(釣糸繰り出し状態)となる。
その後、再びハンドル10が回転操作される又はクラッチ操作部材24が操作されると、クラッチOFF状態からクラッチON状態にクラッチ機構20が復帰され、ピニオンギア21がスプール軸5側(左側)に移動される。それにより、スプール軸5の係合突部5b,5bにピニオンギア21の端面が回転しながら当接し、スプール軸5の係合突部5b,5bがピニオンギア21の凹部25aに嵌入してこれらが係合する状態(釣糸巻き取り状態)となる(図2参照)。その結果、ハンドル10の回転駆動力がピニオンギア21からスプール軸5へ伝達される。
また、本実施形態の魚釣用リールは、リール本体1の支持部3baに設けられる前述の回転操作部材60の回転操作によってスプール6と一体回転するスプール軸5の回転に制動力を付与するスプール制動機構70を更に備える。この場合、スプール制動機構70は、スタードラグ13と干渉しない軸方向長さに抑えられる略有底円筒状の回転操作部材60の内側収容空間内に設けられる被摩擦制動部70Bと、クラッチ機構20(クラッチ操作部材24)の切り換え操作によるピニオンギア21の前述の軸方向移動によって被摩擦制動部70Bに対して接離してスプール軸5に対する制動力をON/OFF制御する摩擦制動部70Aとを有する。
摩擦制動部70Aは、例えば、必要に応じて表面処理が施されるステンレス鋼、銅合金、アルミニウム合金等の金属材によって形成されており、スプール軸5の端部(スプール6に接続する側とは反対側の端部)に軸方向移動可能に回り止め嵌合されている。すなわち、摩擦制動部70Aは、スプール軸5に対して回転することなくスプール軸5と一体に回転する一方で、スプール軸5に対して軸方向に移動できるようになっている。
また、摩擦制動部70Aは、第2の軸受24Bの側部(ピニオンギア21の歯部21cと反対側の右側)と回転操作部材60との間に、特に本実施形態ではリール本体1の支持部3baと回転操作部材60の内側底部に固定される被摩擦制動部70Bとの間に配設されており、支持部3baと回転操作部材60とによって画定される閉空間内で被摩擦制動部70Bと圧接可能に対向配置される。この場合、摩擦制動部70Aと回転操作部材60との間にはバネ部材(圧縮コイルスプリング)80が介挿されており、摩擦制動部70Aはその径方向内側の環状凹部でバネ部材80の一端を支持している。
一方、摩擦制動部70Aとともにスプール制動機構70を構成する被摩擦制動部70Bは、例えば、カーボンやパルプ等を主成分とする織布、不織布に合成樹脂を含浸させて硬化させたシート状部材によって形成されて保持体65によって保持される。この保持体65は、回転操作部材60の中心に位置して回転操作部材60の内側底部からスプール軸5側へ向けて延びる中央突出部60aの周囲の環状空間60b内に嵌着され、また、保持体65の径方向外側部位の背面と回転操作部材60の内側底部との間には、ピニオンギア21を介して摩擦制動部70Aを被摩擦制動部70Bに圧接させるためのクラッチ操作部材24の操作が重くならないようにその操作力を部分的に逃がす(操作力を部分的に吸収する)力吸収部材として例えばOリング64が介挿されている。なお、保持体65は、その径方向内側の環状凹部でバネ部材80の他端を支持するようになっている。
したがって、このような構成のスプール制動機構70においては、まず、図2に示されるクラッチON状態にある場合、摩擦制動部70Aがバネ部材80の付勢力によって被摩擦制動部70Bから離間された位置に保持される。そのため、スプール制動機構70による制動力がスプール6に作用せず、軽いハンドル操作で釣糸の巻き取りを行なうことができる。これに対し、クラッチ操作部材24がクラッチON状態からクラッチOFF状態へと操作されてピニオンギア21が図中右側に向けて移動されると、図3に示されるようにピニオンギア21によって摩擦制動部70Aがバネ部材80の付勢力に抗して右方向へ移動されて、摩擦制動部70Aが被摩擦制動部70Bに当接(圧接)する。そのため、回転操作部材60の締め付け量(回転操作量)に応じた摩擦制動力を(スプール軸5を介して)スプール6のフリー回転に対して作用させることができる。すなわち、このようなスプール制動機構70によれば、釣糸繰り出し状態でスプール6側に制動力を付与できるとともにその制動力を釣糸巻き取り状態で解除できる。
また、スプール軸5の右端面5aと当て付いてスプール軸5の軸方向移動を規制する前述した軸方向規制部62は、回転操作部材60の内方でスプール軸5の右端面5aと対向するように回転操作部材60の中央突出部60aの端部に取り付け固定されている。すなわち、軸方向規制部62は、被摩擦制動部70Bに対してその径方向内側に設けられるような配置関係を成している(回転操作部材60の内側底部で軸方向規制部62と被摩擦制動部70Bとが径方向に配設される)。
また、本実施形態において、軸方向規制部62は、例えば金属材によって形成されて例えば金属製のスプール軸5と常時当接し得るようになっているが、スプール軸5に対する押圧量が所定範囲を超えないように設けられる。すなわち、軸方向規制部62は、その機能がスプール軸5に制動力を付与することではなくスプール軸5の軸方向移動を規制してそのガタつきを適正に維持又は防止することにあるため、スプール制動機構70による制動力調整と直接的に干渉しないようにスプール制動機構70による制動力最大調整時(回転操作部材60の回転操作量が最大のとき)でもスプール軸5の端部を不必要に押圧しないように規制設定されている。具体的には、例えば回転操作部材60の所定量の回転操作量で回転操作部材60に保持される軸方向規制部62がそれ以上スプール軸5側へ移動しないように軸方向規制部62と当接する度当て部が適切な位置に設けられ、それにより、スプール軸5の適切な軸方向規制が制動操作に関係なく維持できるようになっている。
また、本実施形態では、回転操作部材60の回転に節度のある抵抗力を付与する回転節度発生部100が回転操作部材60の内方に設けられている。具体的には、例えば、回転操作部材60によって覆われるリール本体1の支持部3ba側の部位に設けられるバネ性を有する係合凸部3baaが回転操作部材60の内周に形成された凹凸部100aに対して弾発的に係合することにより(発条の弾発力に抗した係止部と係止部の乗り越えとによる節度回転により)規則正しい適度な摩擦抵抗力を有するクリック音を発生するようになっており、回転操作部材60は、スプール制動機構70によって不用意に回転しないように抑制されている。このような回転節度発生部100の配置により、回転操作部材60の内側には、その中心部から径方向外方に向けて、軸方向規制部62、被摩擦制動部70B、及び、回転節度発生部100が順に限られたスペース内にコンパクトに配設される状態となる。
また、このようなスプール制動機構70による制動力を調節するために用いられる前述の回転操作部材60は、図4に拡大して示されるように、略円形の断面を有しており、前述したように親指等の1本の指で容易にハンドル側から(例えば斜め方向から)押圧してダイヤル式に回転操作できるジョグ操作部材の形態を成す。この場合、回転操作部材60は、ハンドル10と側板3bとの間(図では、スタードラグ13と側板3bとの間)に位置されており(図1も参照)、制動力調節に関与する回動操作部60Aと、回動操作部60Aの回動位置の指標となる指標部110とを有している。
回動操作部60Aは、スプール軸5の軸方向(回動操作部60Aの回転中心軸方向)と直交する方向に面する径方向周端面60sと、スプール軸5の軸方向(回動操作部60Aの回転中心軸方向)に面する周側面60tとを有しており、径方向周端面60sからは、複数(例えば8個)の指掛用側方突部90及び指掛用外周突部92が一体形成されて連続的に側方(ハンドル10側)及び径方向外側に延びている。この場合、複数の指掛用側方突部90は、ハンドル10に向けて側方に例えば0.5mm〜5mm(好ましくは、1.5mm〜3mm)の長さで突出して互いに周方向に例えば等間隔で離間されており、一方、複数の指掛用外周突部92は、径方向外側に向けて例えば0.5mm〜5mm(好ましくは、1.5mm〜3mm)の長さで突出して互いに周方向に例えば等間隔で離間されており、好ましくはハンドル10側へ向けて徐々に斜めに立ち上がる(厚さが増す)ように延びている。
また、本実施形態において、回動操作部60Aの回動位置の指標となる前記指標部110は、図4及び図5に示されるように、回動操作部60Aに対するその位置を回動操作部60Aの周方向で変えられるように回動操作部60Aの側部に視認可能に設けられており、具体的には、回動操作部60Aと共に一体的に回動可能であるとともに回動操作部60Aに対して回転できる環状体60Bの表面、本実施形態ではスプール軸5の軸方向と直交する方向に面する環状体60Bの径方向周端面60Baに設けられる。
この場合、環状体60Bは、指掛用側方突部90よりもハンドル10側へ突出する回動操作部60Aの小径の円筒突出部60Abの外周面上に、回動操作部60Aに対して相対回転可能に装着されており、円筒突出部60Abの突出端に取着された抜け止め環状部材120によって円筒突出部60Abからの脱落が阻止されている。また、環状体60Bの内周面と円筒突出部60Abの外周面との間には、環状体60Bの回転方向に所定の摩擦抵抗力を付与する摩擦抵抗部を構成するためのOリング122が介挿されており、このOリング122は、円筒突出部60Abの外周面に形成される環状溝60Aa内に部分的に係合して装着されている。
なお、環状体60Bの回転方向に抵抗力を持たせるための摩擦抵抗部の他の手段としては、前記Oリング122以外に、例えば前述した回転節度発生部100と同様な公知の回転方向の凹凸部に弾性係合部(バネ付勢したピンや板バネ等)を弾発係合させる節度構造を成すクリック機構を挙げることができる。
以上説明したように、本実施形態の魚釣用リールによれば、リールの操作者(釣り人)は、例えば、回転操作部材60(回動操作部60A)が回転(回動)して指標部110が所定の回動位置(視界内位置)に位置するときに所望の最大制動力が生起されるように回動操作部60Aに対する指標部110の周方向位置を設定することにより、所望の制動力常用範囲(所望の最大制動力)をもたらす回転操作部材60(回動操作部60A)の回動操作範囲(回動位置)である設定制動範囲(位置)を決めることができるが、その設定制動範囲(位置)が釣況に応じて変動する場合でも、その設定制動範囲(位置)を、環状体60Bを回動操作部60Aに対して回転させて回動操作部60Aに対する指標部110の位置を周方向で変位させることにより容易に調整し直すことができる(指標部110の前後方向の回動位置を確認することで設定制動範囲(位置)の再現操作を容易に行なえる)。
また、本実施形態の構成において、リールの操作者(釣り人)は、実釣時、回転操作部材60(回動操作部60A)の回転操作時に指標部110を視認することでスプール6の釣糸繰り出し方向の回転に所望の制動力を容易に付与することができるが、回動操作部60Aに対する指標部110の位置を回動操作部60Aの周方向で変化可能にする環状体60Bは、ハンドル10等の他の操作部材の操作性やリール保持性などに影響を及ぼすことなく回動操作部60Aの動きとは独立に回転操作するだけで釣況に応じた指標部110の位置調整を容易にし得るため、有益である。
図6は、回転操作部材60の第1の変形例を示している。この変形例に係る回転操作部材60の環状体60BBは、回動操作部60Aの小径の前述した円筒突出部60Abの外周面上から更に円筒突出部60Abの突出端面上へと延びており、結果として、スプール軸5の軸方向(環状体60BBの回転中心軸方向)と直交する方向に面する径方向周端面60BBaと、スプール軸5の軸方向(環状体60BBの回転中心軸方向)に面する周側面60BBbとを有している。そして、この環状体60BBの外表面上には、径方向周端面60BBaと周側面60BBbとにわたって指標部110が設けられる。なお、環状体60BBは、回動操作部60Aの円筒突出部60Abに回動可能に装着されて円筒突出部60Abの突出端に取着された抜け止め環状部材130によって回動方向の位置決めと共に円筒突出部60Abからの脱落が阻止されている。
このような環状体60BBによれば、スプール軸5の軸方向と直交する方向(リールを保持する釣り人から見て例えば上方)及びスプール軸5の軸方向(リールを保持する釣り人から見て例えば側方)の両方向から指標部110を視認することができ、釣況に応じた指標部視認形態をとることができる。
図7及び図8は、回転操作部材60の第2の変形例を示している。この変形例に係る回転操作部材60の指標部110Aは回動操作部60Aの周方向に沿って互いに離間して複数(本実施形態では12個)設けられ、各指標部110Aは回動操作部60Aに対してその側方で選択的に突没自在となっている。具体的には、回動操作部60Aの小径の円筒突出部60Abの外周面60Aba上には、スプール軸5の軸方向に沿ってハンドル10へ向けて延びる複数(本実施形態では12個)のレール140が等しい角度間隔を隔てて配置されており、各レール140上にはピン状の形態を成す対応する指標部110Aが摺動自在に装着されている。ピン状の指標部110Aは、指で容易に摘むことができる鍔部を先端に有しており、指で摘まんで円筒突出部60Ab上から側方(スプール軸5の軸方向)に向けてハンドル10側へ引き出すことができるようになっている。なお、側方に引き出されたピン状の指標部110Aは、引き出し端部位置で例えばレール140上に設けられる図示しない例えば段差状の係止部に凹凸嵌合などの圧入手段によって係止されてその引き出し位置を保持できるようになっている。
したがって、リールの操作者(釣り人)は、回転操作部材60(回動操作部60A)が回転(回動)されて引き出された指標部110Aが所定の回動位置(視界内位置)に位置するときに所望の最大制動力が生起されるように対応する1つの指標部110Aを選択して回動操作部60Aに対して側方に引き出すことにより、所望の制動力常用範囲(所望の最大制動力)をもたらす回転操作部材60(回動操作部60A)の回動操作範囲(回動位置)である設定制動範囲(位置)を決めることができる。すなわち、前述した実施形態及び第1の変形例は、回動操作部60Aに対する指標部110の周方向位置を連続的に変化させる(調整する)ことができるが、この第2の変形例は、回動操作部60Aに対する指標部110Aの周方向位置を段階的に(この例では12段階に)変化させる(調整する)ことができる。
なお、本発明は、前述した実施形態等に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、指標部の位置は、回動操作部に対して周方向に変更可能に保持できればよく、その具体的方法は前述した実施形態等に限定されない。また、図4に示されるように、回動操作部60Aに位置設定された指標部110(又は110A)に対向するリール本体1の右側板3bの任意の位置、例えば上部や前部にマークM(●)を付しておくことが好ましい。このようにすることで、回転操作部材60を回転操作することによる設定制動力への再現操作をより確実に容易に行なうことができる。
1 リール本体
3a,3b 側板
5 スプール軸
6 スプール
60 回転操作部材
60A 回動操作部
60B 環状体
70 スプール制動機構
110,110A 指標部
122 Oリング(摩擦抵抗部)
3a,3b 側板
5 スプール軸
6 スプール
60 回転操作部材
60A 回動操作部
60B 環状体
70 スプール制動機構
110,110A 指標部
122 Oリング(摩擦抵抗部)
Claims (10)
- リール本体の側板間に回転可能に支持されて釣糸が巻回されるスプールと、前記リール本体の一方の前記側板に回転自在に支持された制動力調節用の回転操作部材の回転操作によって前記スプールと一体回転するスプール軸の釣糸繰り出し方向の回転に制動力を付与するスプール制動機構とを備える魚釣用リールにおいて、
前記回転操作部材は、制動力調節に関与する回動操作部と、前記回動操作部の回動位置の指標となる指標部とを有し、前記回動操作部に対する前記指標部の位置が前記回動操作部の周方向で変化可能であることを特徴とする魚釣用リール。 - 前記指標部は、前記回動操作部の側部に視認可能に設けられることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。
- 前記指標部は、前記回動操作部と共に一体的に回動可能であるとともに前記回動操作部に対して回転できる環状体の表面に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の魚釣用リール。
- 前記回動操作部には、複数の指掛用突部が周方向に離間形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の魚釣用リール。
- 前記環状体は、前記回動操作部との間に設けられる摩擦抵抗部により回転方向に抵抗力が付与されることを特徴とする請求項3に記載の魚釣用リール。
- 魚釣用リールのリール本体に回転可能に支持されるスプールの釣糸繰り出し方向の回転に制動力を付与するために前記リール本体を構成する側板に回転自在に支持される制動力調節用の回転操作部材であって、
制動力調節に関与する回動操作部と、前記回動操作部の回動位置の指標となる指標部とを有し、前記回動操作部に対する前記指標部の位置が前記回動操作部の周方向で変化可能であることを特徴とする回転操作部材。 - 前記指標部は、前記回動操作部の側部に視認可能に設けられることを特徴とする請求項6に記載の回転操作部材。
- 前記指標部は、前記回動操作部と共に一体的に回動可能であるとともに前記回動操作部に対して回転できる環状体の表面に設けられることを特徴とする請求項6又は7に記載の回転操作部材。
- 前記回動操作部には、複数の指掛用突部が周方向に離間形成されていることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の回転操作部材。
- 前記環状体は、前記回動操作部との間に設けられる摩擦抵抗部により回転方向に抵抗力が付与されることを特徴とする請求項8に記載の魚釣用リール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018120051A JP2020000013A (ja) | 2018-06-25 | 2018-06-25 | 魚釣用リール及びその制動力調節用の回転操作部材 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2018120051A JP2020000013A (ja) | 2018-06-25 | 2018-06-25 | 魚釣用リール及びその制動力調節用の回転操作部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020000013A true JP2020000013A (ja) | 2020-01-09 |
Family
ID=69097344
Family Applications (1)
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JP2018120051A Pending JP2020000013A (ja) | 2018-06-25 | 2018-06-25 | 魚釣用リール及びその制動力調節用の回転操作部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020000013A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114097733A (zh) * | 2020-08-27 | 2022-03-01 | 古洛布莱株式会社 | 钓鱼用卷线器 |
-
2018
- 2018-06-25 JP JP2018120051A patent/JP2020000013A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN114097733A (zh) * | 2020-08-27 | 2022-03-01 | 古洛布莱株式会社 | 钓鱼用卷线器 |
CN114097733B (zh) * | 2020-08-27 | 2023-06-23 | 古洛布莱株式会社 | 钓鱼用卷线器 |
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