JP4402816B2 - 両軸受リールのドラグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドラグ装置、特に、両軸受リールのスプールの糸繰り出し方向の回転を制動するために先端にハンドルが装着されたハンドル軸の周囲に配置された両軸受リールのドラグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
両軸受リールのハンドル軸の周囲には、スプールの糸繰り出し方向の回転を制動するスタードラグ形のドラグ装置が設けられている。ドラグ装置は、メインギアとハンドル軸との間で伝達可能なトルクを調整して、釣り糸にかかる張力を抑えるために設けられている。ドラグ装置は、ハンドル軸に螺合するドラグ調整部材(スタードラグ)と、メインギアを挟んでハンドル軸に回転不能に装着された第1及び第2ドラグディスクとを備えている。メインギアのドラグ調整部材側に配置された第2ドラグディスクは、ドラグ調整部材により間接的に押圧されて、第1ドラグディスクとでメインギアを挟持する。なお、ハンドル軸はワンウェイクラッチにより繰り出し取方向に回転不能になっている。またメインギアは、スプールに回転不能に連結されたピニオンギアに噛み合い可能である。
【0003】
この種のドラグ装置で、ドラグ作動、つまりスプールがドラグ力に抗して糸繰り出し方向に回転すると、そのことを報知するために発音する発音機能を有するものが特開平10−210904号公報に開示されている。これにより、釣り人が釣り竿から離れた位置にいても簡単にアタリが分かる。前記公報の開示されたドラグ装置は、メインギアのハンドル側に装着された第2ドラグディスクとメインギアとの間で発音する発音手段を有している。発音手段は、第2ドラグディスクに設けられたばね部材と、メインギアに回転不能に装着された音出し部材とを有している。音出し部材は、メインギアに係止される円板部と、円板部の外周部に一体形成された筒状部とを有しており、筒状部の内周面にばね部材と干渉する凹み部が周方向に間隔を隔てて形成されている。音出し部材は、メインギアに径方向に所定量だけ移動可能に装着されている。
【0004】
このような構成の従来のドラグ装置では、ドラグが作動してメインギアと第2ドラグディスクとが相対回転すると、ばね部材が凹み部への衝突を繰り返して振動し音出し部材からクリック音が発生する。このとき、音出し部材はメインギアに対して径方向に所定量だけ移動可能であるので、ドラグ力の変動による影響を受けない。このため、ドラグ力が変動しても音質が変化しにくい。また、音出し部材の動きがドラグ力によって規制されないので、発生する音がよく響き音量も大きくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の構成では、メインギアよりハンドル側に発音機構が設けられている。このため、第2ドラグディスクの径が発音機構に制限されてドラグ力が制限され高いドラグ性能を維持しにくい。高いドラグ性能を維持するためには、第2ドラグディスクの径を大きくする必要がある。第2ドラグディスクを大きくすると、さらに音出し部材の径が大きくなり、ハンドル軸の径方向寸法が大きくなる。この結果、ハンドル軸回りの寸法が大きくなり、リールの大型化を招く。
【0006】
本発明の課題は、発音機能を有するドラグ装置において、コンパクトなサイズで高いドラグ性能を維持でき、かつドラグ力の変動による音質の変化を防止できるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る両軸受リールのドラグ装置は、先端にハンドルが装着されたハンドル軸の周囲に配置され、ハンドル軸とハンドル軸に回転自在に装着されたメインギアとを所定のトルク量まで連動回転させる装置であって、ドラグ調整部材と、第1ドラグ部材と、第2ドラグ部材と、第3ドラグ部材と、リング部材と、発音手段と、逆転防止機構とを備えている。ドラグ調整部材は、ハンドルより基端側でハンドル軸の先端部に螺合してそれより基端側でハンドル軸に装着された部材を押圧して所定のトルク量を調整するための部材である。第1ドラグ部材は、メインギア装着部分より基端側でハンドル軸に回転不能かつ軸方向基端側に移動不能に装着された部材である。第2ドラグ部材は、メインギア装着部分より先端側でハンドル軸に回転不能に装着され、ドラグ調整部材による押圧力により第1ドラグ部材とでメインギアを挟持可能な部材である。第3ドラグ部材は、第1ドラグ部材とメインギアとの間に装着されたリング状の部材である。リング部材は、メインギアに連動して回転するように第3ドラグ部材の内周側に装着され第3ドラグ部材より薄肉の部材である。発音手段は、第1ドラグ部材とリング部材との相対回転により発音する手段である。逆転防止機構は、ハンドル軸の糸繰り出し方向の回転を防止する機構である。
【0008】
このドラグ装置では、ドラグ調整部材を回転させると、第1ドラグ部材と第2ドラグ部材とでメインギアを挟持する押圧力が変化してドラグ力が変化する。第1とメインギアとの間には第3ドラグ部材が配置されており、第2ドラグ部材により押圧されたメインギアは第3ドラグ部材を介して第1ドラグ部材で受けられる。第3ドラグ部材の中心側には、メインギアに連動して回転するリング部材が設けられている。しかし、リング部材は第3ドラグ部材より薄肉のため、このリング部材にドラグ力が作用することはない。そして、逆転が禁止されたハンドル軸にメインギアを介して糸繰り出し方向の力が作用するドラグ作動により、メインギアが逆転し、リング部材と第1ドラグ部材とが相対回転すると、発音手段によって発音する。ここでは、メインギアと連動しかつドラグ力が作用しないリング部材と第1ドラグ部材との間の相対回転により発音手段が発音するので、ドラグ力の変動による音質の変化を防止できる。しかも、メインギアのハンドル側と逆側で発音するので、第2ドラグ部材の大きさが発音手段によって制限されない。このため、コンパクトなサイズでドラグ性能を高く維持できる。
【0009】
発明2に係る両軸受リールのドラグ装置は、発明1に記載の装置において、第1ドラグ部材は、逆転防止機構を構成するラチェットホイールである。この場合には、ラチェットホイールによってメインギアを挟持しているので、別に逆転防止機構を設ける構成に比べて装置の構成を簡素化できる。
【0010】
発明3に係る両軸受リールのドラグ装置は、1又は2に記載の装置において、発音手段は、第1ドラグ部材の基端側でハンドル軸に回転不能に装着された円板部材に、第1ドラグ部材を貫通してリング部材に向けて突出可能かつ軸方向に移動自在に装着された音出しピンと、音出しピンをリング部材に向けて付勢する付勢部材と、リング部材に音出しピンに対向可能な位置で周方向に沿って設けられた音出し凹部とを有する。この場合には、ドラグ作動によりリング部材と第1ドラグ部材とが相対回転すると、ハンドル軸に回転不能に装着された円板部材もリング部材と相対回転する。この結果、音出しピンが音出し凹部に向けて衝突を繰り返してリング部材が発音する。ここでは、薄肉で軸方向に動きやすい融通があるリング部材に音出し凹部を設けて発音するように構成したので、ドラグ力に左右されない歯切れがよい軽快なクリック音を得ることができる。
【0011】
発明4に係る両軸受リールのドラグ装置は、発明3に記載の装置において、円板部材は、スプールに釣り糸を均一に巻き付けるためのレベルワインド機構にハンドル軸の回転を伝達するギア部材である。この場合には、レベルワインド機構にハンドルの回転を伝達するギア部材に音出しピンを収納したので、第1ドラグ部材に収納する場合に比べて、軸方向のサイズをコンパクトに維持できる。
【0012】
発明5に係る両軸受リールのドラグ装置は、発明3又は4に記載の装置において、音出しピンは、円板部材に第1ドラグ部材に対向する側面に第1ドラグ部材を貫通して軸方向に沿って形成された筒状部の内部に進退自在に装着されている。この場合には、第1ドラグ部材を貫通する筒状部に音出しピンを収納したので、軸方向の寸法をさらにコンパクトに維持できる。
発明6に係る両軸受リールのドラグ装置は、発明1から5のいずれかに記載の装置において、ドラグ調整部材と第2ドラグ部材との間に配置され、ドラグ調整部材により圧縮されるばね部材をさらに備える。この場合には、ドラグ調整部材の押圧力がばね部材を介して第2ドラグ部材に伝達されるので、所定のトルク(ドラグ力)を細かく調整できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1〜図3において、本発明の一実施形態によるドラグ機構を採用した両軸受リールは、リール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール回転用ハンドル2と、ハンドル2のリール本体1側に配置されたドラグ調整用のスタードラグ(ドラグ調整部材)3とを備えている。
【0014】
図3に示すように、リール本体1は、フレーム5と、フレーム5の両側方に装着された第1側カバー6及び第2側カバー7とを有している。フレーム5は、所定の間隔をあけて互いに対向するように配置された1対の側板8,9と、これらの側板8,9を連結する前連結部10a及び下連結部10bとを有している。下連結部10bには、釣り竿装着用の竿装着脚部4が一体形成されている。
【0015】
第1側カバー6は、スプール軸方向外方から見て円形であり、第2側カバー7は、2つの交差する外周円で構成されたひょうたん型である。第1側カバー6は、図1に示すように、スプール12の着脱を可能にするために側板8に揺動自在に装着され、フレーム5に対して開閉可能である。第2側カバー7は、側板9と同一の2つの外周円が交差する偏芯した円形の側面を有している。第2側カバーは、たとえば3本のねじにより側板9に固定されている。
【0016】
フレーム5内には、スプール12と、サミングを行う場合の親指の当てとなるクラッチレバー17と、スプール12内に均一に釣り糸を巻くためのレベルワインド機構18とが配置されている。フレーム5と第2側カバー7との間には、回転伝達機構19と、クラッチ機構21と、クラッチ制御機構22と、ドラグ機構23と、キャスティングコントロール機構24とが配置されている。また、フレーム5と第1側カバー6との間には、キャスティング時のバックラッシュを抑えるための遠心ブレーキ機構25が配置されている。
【0017】
回転伝達機構19は、ハンドル2からの回転力をスプール12及びレベルワインド機構18に伝える。クラッチ機構21は、回転伝達機構の途中に設けられ、ハンドル軸30とスプール12とを連結・遮断する。クラッチ制御機構22は、クラッチレバー17の操作に応じてクラッチ機構21の係脱を制御する。ドラグ機構23は、スタードラグ3の締め付け量に応じてスプール12の糸繰り出し方向の回転を制動する。キャスティングコントロール機構24は、スプール12の回転時の抵抗力を調整する。
【0018】
スプール12は、その中心を貫通するスプール軸20に固定されている。スプール軸20は軸受によってリール本体1に回転自在に支持されている。
【0019】
クラッチレバー17は、図3に示すように、1対の側板8,9間の後部でスプール12後方に配置されている。クラッチレバー17は側板8,9間で上下方向にスライドする。クラッチレバー17のハンドル装着側には、係合軸17aが側板9を貫通して一体形成されている。この係合軸17aは、クラッチ制御機構22に係合している。
【0020】
レベルワインド機構18は、図3に示すように、スプール12の前方で両側板8,9間に配置され、外周面に交差する螺旋状溝46aが形成された螺軸46と、螺軸によりスプール軸方向に往復移動する釣り糸案内部47とを有している。螺軸46は、両端が側板8,9に装着された軸支持部48,49により回転自在に支持されている。
【0021】
回転伝達機構19は、図3に示すように、ハンドル軸30と、ハンドル軸30に固定されたメインギア31と、メインギア31に噛み合う筒状のピニオンギア32と、螺軸46の図3右端に回転不能に装着されたギア部材50と、ハンドル軸30の基端部に回転不能に装着されたギア部材51とを有している。
【0022】
ハンドル軸30には、図4に示すように、基端側から先端側に向かって軸支部30a、第1係止部30b、鍔部30c、第2係止部30d、第3係止部30e、第1雄ネジ部30f、第2雄ネジ部30g、及び第4係止部30hがそれぞれ形成されている。軸支部30aには、軸受28が装着されている。第1係止部30bは軸支部30aより大径であり、互いに平行な2組の面取り部で構成されている。鍔部30cは、第1係止部30bより大径である。第2係止部30dは、鍔部30cより小径であり、互いに平行な2組の面取り部で構成されている。第3係止部30eは、第2係止部30dより小径であり、互いに平行な1組の面取り部により構成されている。第1雄ネジ部30fは、第3係止部30eの先端側に第3係止部30eを除く外周面に形成されている。第2雄ネジ部30gは、ハンドル軸30の先端部に第1雄ネジ部30fより小径に形成されている。第4係止部30hは、第2雄ネジ部30gが形成されたハンドル軸30の外周面に形成されている。第4係止部30hにハンドル2が回転不能に装着され、第2雄ネジ部30gにねじ込まれたナット53によりハンドル2がハンドル軸30に固定されている。
【0023】
メインギア31は、ハンドル軸30に回転自在に装着されており、ハンドル軸30とドラグ機構23を介して連結されている。
【0024】
ピニオンギア32は、図3に示すように、側板9の外方から内方に延び、中心にスプール軸20が貫通する筒状部材である。ピニオンギア32は、スプール軸20に軸方向に移動自在に装着されている。ピニオンギア32の図3左端部には係合ピン20bに噛み合う噛み合い溝32aが形成されている。この噛み合い溝32aとスプール軸20に装着された係合ピン20bとによりクラッチ機構21が構成される。また、ピニオンギア32の中間部にはくびれ部32bが、右端部にはメインギア31に噛み合うギア部32cがそれぞれ形成されている。
【0025】
ギア部材51は、ハンドル軸30の基端部に形成された第1係止部30bに回転不能に装着され、鍔部30cに基端部側から当接している。螺軸46に装着されたギア部材50は、ハンドル軸30に装着されたギア部材51に噛み合っている。このような構成により、レベルワインド機構18の螺軸46は、ハンドル軸30の糸巻取方向の回転に連動して回転する。
【0026】
ドラグ機構23は、所定のトルク量までハンドル軸30とメインギア31とを連動回転させてスプール12の糸繰り出し方向の回転を制動する機構である。この所定のトルク量は、スタードラグ3の締め具合によって調節される。ドラグ機構23は、図4及び図5に示すように、主として、スタードラグ3と、第1及び第2ドラグ部材61,62と、第3ドラグ部材63と、リング部材64と、発音機構65と、逆転防止機構66とを備えている。
【0027】
ドラグ機構23が装着されるハンドル軸30は、リール本体1に回転自在に装着されており、逆転防止機構66を構成するローラ型のワンウェイクラッチ86及び爪式のワンウェイクラッチ87により糸繰り出し方向の回転(逆転)が禁止されている。また、ハンドル軸30は、軸受28及びワンウェイクラッチ86によって第2側カバー7及びフレーム5に回転自在に支持されている。
【0028】
ワンウェイクラッチ86は、ハンドル軸30の中間部に配置され、リール本体1の第2側カバー7とハンドル軸30との隙間に装着されている。ワンウェイクラッチ87は、第1ドラグ部材61と兼用されたラチェットギアと、リール本体1の側板9の外側面に揺動自在に装着されたラチェット爪67とを有している。第1ドラグ部材61は、メインギア31とギア部材51との間で第2係止部30dに回転不能に装着されている。第1ドラグ部材61は、鍔部30cに接触して配置されており、鍔部30cにより基端側への移動が規制されている。第1ドラグ部材61の外周部には、略平行四辺形状に突出して形成されたラチェット歯61aが周方向に間隔を隔てて配置されており、ラチェット爪67がラチェット歯61aに噛み合うことによりハンドル軸30の糸繰り出し方向の回転が禁止される。
【0029】
スタードラグ3は、ハンドル軸30のハンドル2より基端側でハンドル軸30の外周面に形成された第1雄ネジ部30fに螺合している。スタードラグ3は、それより基端側でハンドル軸30に装着された第2ドラグ部材62等を押圧して所定のトルク量を調整するための部材である。スタードラグ3とワンウェイクラッチ86との間には4枚の波板ばね88が装着されている。波板ばね88は、スタードラグ3の締め付け力を第2ドラグ部材62に緩やかに伝えるために設けられている。波板ばね88は、スタードラグ3とワンウェイクラッチ86の内輪86aに接触している。
【0030】
スタードラグ3は、その締め具合を調節することにより、第2側カバー7に装着されたワンウェイクラッチ86の内輪86aを波板ばね88を介して軸方向に移動させることができる。すなわち、スタードラグ3の調節によって、波板ばね88の押圧力が調整される。これにより、スタードラグ3によりドラグ力を細かく調整できる。
【0031】
第2ドラグ部材62は、摩擦部材68を介してメインギア31にハンドル2側から接触する円板部材である。第2ドラグ部材62は、第3係止部30eに回転不能に装着されている。第2ドラグ部材62は、第1ドラグ部材61とでメインギア31を挟持する。また、第2ドラグ部材62は、ワンウェイクラッチ86の内輪86aと回転不能に連結されかつ当接している。この結果、ワンウェイクラッチ86の内輪86aは、ハンドル軸30に対して回転不能であるとともに、第2ドラグ部材62にスタードラグ3の押圧力を伝達する。
【0032】
第3ドラグ部材63は、第1ドラグ部材61とメインギア31との間に配置されたリング状の摩擦ディスクである。第3ドラグ部材63の内周側にリング部材64が配置されている。リング部材64は、ハンドル軸30に介して回転自在である。また、リング部材64は、メインギア31側に1対の係止ピン64a,64bを有している。係止ピン64a,64bは、メインギア31の側面に貫通して形成された係止孔31a,31bに係合する。この結果、リング部材64は、メインギア31に連動して回転する。リング部材64の厚みは、第3ドラグ部材63の厚みより薄い。このため、スタードラグ3により第2ドラグ部材62が押圧されてメインギア31が第1及び第2ドラグ部材61,62により挟持されても、リング部材64に押圧力は作用しない。
【0033】
発音機構65は、ギア部材51にハンドル軸方向に進退自在に装着された音出しピン70と、リング部材64のハンドル側と逆側の側面に周方向に間隔を隔てて形成された多数の音出し凹部71と、音出しピン70をリング部材64に向けて付勢するコイルばね72とを有している。音出しピン70は、先端に音出し凹部71に係合する頭部を有している。音出しピン70は、ギア部材51のハンドル側の側面に突出して形成された円筒部51aに収納されている。円筒部51aは、第1ドラグ部材61の中心孔の近傍に形成された貫通孔61bに挿入可能な大きさであり、リング部材64側に露出している。音出し凹部71は、リング部材64の側面の音出しピン70に対向可能な円周上に形成されている。このような構成の発音機構65では、ドラグの作動によりハンドル軸30とメインギア31とが相対回転すると、ハンドル軸30に対して回転不能な音出しピン70がメインギア31とともに回転するリング部材64に形成された音出し凹部71に対して衝突を繰り返して発音する。
【0034】
次に、この両軸受リールの動作を説明する。
【0035】
釣り糸を巻き取るときには、ハンドル2を糸巻き取り方向に回す。ハンドル2の回転はハンドル軸30からドラグ機構23を介してハンドル軸30に連動するメインギア31及びピニオンギア32に伝達される。ピニオンギア32の回転は、クラッチ機構21によりピニオンギア32と嵌合しているスプール軸20に伝達され、スプール12が回転して釣り糸を巻き取る。このハンドル軸30の回転は、ギア部材51,50を介して螺軸46にも伝達され、螺軸46の回転により釣り糸案内部47がスプール軸20に沿って往復運動を行う。この往復運動により、スプール12に釣り糸が略均一に巻き取られる。
【0036】
一方、釣り糸を繰り出すときには、クラッチレバー17を操作してクラッチ制御機構22によりクラッチ機構21を離脱状態する。これにより、スプール軸20とピニオンギア32との嵌合が解除され、釣り糸の繰り出しによりスプール12が回転しても回転伝達機構19及びハンドル軸30にはその回転は伝達されない。
【0037】
次に、ドラグ機構23の動作について説明する。
【0038】
魚を釣り上げる際には、釣り糸にテンションがかかる。これにより、スプール12には糸繰り出し方向に回転しようとするトルクが作用する。しかし、スプール12に作用するトルクが小さい間は、スタードラグ3の締め込みにより圧縮した波板ばね88によってメインギア31が摩擦部材68を介して第1及び第2ドラグ部材61,62に挟持されており、メインギア31とハンドル軸30が相対回転不能である。そして、ハンドル軸30は逆転防止機構66により糸繰り出し方向に回転しないように止められているので、メインギア31と連動するスプール12も糸繰り出し方向に回転しない。なお、ここでは第1及び第2ドラグ部材61,62とメインギア31との間に摩擦部材68及び第3ドラグ部材63を挿入しているため、小さな波板ばね88の押圧力で第1及び第2ドラグ部材61,62とメインギア31との間で伝達可能なトルク量を大きくできる。
【0039】
釣り糸にかかるテンションが高くなりスプール12にかかるトルクが大きくなると、第1及び第2ドラグ部材61,62とメインギア31との第3ドラグ部材63及び摩擦部材68を介した圧接部分でスリップが発生し、ハンドル軸30の回転を止めていても動摩擦の抵抗を受けながらメインギア31が糸繰り出し方向に回転する。これにより、スプール12も糸繰り出し方向に回転する。このように、スプール12に作用するトルクが所定の値を超えると、言い換えれば釣り糸に過大な張力がかかると、ドラグ機構23が作動してスプール12が糸繰り出し方向に回転し、釣り糸を過大な張力から保護する。
【0040】
魚の釣り上げ時において上記のようにスプール12が糸繰り出し方向に回転する際に、本実施形態のドラグ機構23は音を発生する。ハンドル軸30とメインギア31とが相対回転すると、メインギア31に連動して回転するリング部材64に形成された音出し凹部71と、ハンドル軸30に対し相対回転不能なギア部材51に連動して回転する音出しピン70とが干渉してクリック音を発生する。このクリック音は、等間隔に配置された音出し凹部71にコイルばね72により付勢された音出しピン70の頭部が間欠的に当接することによって発生するためリズミカルな音である。この音発生時には、リング部材64は、第3ドラグ部材63に対して薄肉のため、また、係止ピン64aと係止孔31aとの隙間により、径方向に対しても、軸方向に対しても、ある程度ガタを持った状態で配置されている。このように、リング部材64が他の部材によって押さえつけられていないため、発生する音が良く響き、音量も大きい。
【0041】
このように、魚を釣り上げる際にスプール12が糸繰り出し方向に回転すると音が発生するので、釣り人はスプールの回転を認識することができ、釣り人にとって便利である。さらに、ドラグ機構23が作動してもリング部材64に押圧されないので、発生する音が良く響き、音量も大きい。
【0042】
なお、スプール12を回転させるトルクの大きさ、つまりドラグ力の調節は、スタードラグ3の締め具合によって波板ばね88の押圧力を調整することによりメインギア31の挟持の度合いを変えることによって行う。
【0043】
〔他の実施形態〕
(a)前記実施形態では、金属製の丸形の両軸受リールを例に説明したが、本発明のドラグ機構は全ての両軸受リールのハンドル軸に装着されたドラグ機構に採用できる。
【0044】
(b)前記実施形態では、ギア部材51に音出しピン70を収納したが、第1ドラグ部材61に収納してもよい。
【0045】
(c)前記実施形態では、発音機構65を、音出しピン70と、音出し凹部71と、コイルばね72とにより構成したが、発音機構の構成はこれに限定されない。発音機構65は、メインギア31のハンドル側と逆側に配置され、かつドラグ作動の影響を受けない構成であれば、どのような構成でもよい。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、メインギアと連動しかつドラグ力が作用しないリング部材と第1ドラグ部材との間の相対回転により発音手段が発音するので、ドラグ力の変動による音質の変化を防止できる。しかも、メインギアのハンドル側と逆側で発音するので、第2ドラグ部材の大きさが発音手段によって制限されない。このため、コンパクトなサイズでドラグ性能を高く維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を採用した両軸受リールの斜視図。
【図2】 その左側面図。
【図3】 その縦断面図。
【図4】 そのハンドル軸回りの断面図。
【図5】 ドラグ機構の部分斜視図。
【符号の説明】
2 ハンドル
3 スタードラグ
23 ドラグ機構
30 ハンドル軸
31 メインギア
51 ギア部材
61 第1ドラグ部材
62 第2ドラグ部材
63 第3ドラグ部材
64 リング部材
65 発音機構
66 逆転防止機構
70 音出しピン
71 音出し凹部
72 コイルばね
Claims (6)
- 先端にハンドルが装着されたハンドル軸の周囲に配置され、前記ハンドル軸と前記ハンドル軸に回転自在に装着されたメインギアとを所定のトルク量まで連動回転させる両軸受リールのドラグ装置であって、
前記ハンドルより基端側で前記ハンドル軸の先端部に螺合してそれより基端側で前記ハンドル軸に装着された部材を押圧して前記所定のトルク量を調整するためのドラグ調整部材と、
前記メインギア装着部分より基端側で前記ハンドル軸に回転不能かつ軸方向基端側に移動不能に装着された第1ドラグ部材と、
前記メインギア装着部分より先端側で前記ハンドル軸に回転不能に装着され、前記ドラグ調整部材による押圧力により前記第1ドラグ部材とで前記メインギアを挟持可能な第2ドラグ部材と、
前記第1ドラグ部材と前記メインギアとの間に装着されたリング状の第3ドラグ部材と、
前記メインギアに連動して回転するように前記第3ドラグ部材の内周側に装着され前記第3ドラグ部材より薄肉のリング部材と、
前記第1ドラグ部材と前記リング部材との相対回転により発音する発音手段と、
前記ハンドル軸の糸繰り出し方向の回転を防止する逆転防止機構と、
を備えた両軸受リールのドラグ装置。 - 前記第1ドラグ部材は、前記逆転防止機構を構成するラチェットホイールである、請求項1に記載の両軸受リールのドラグ装置。
- 前記発音手段は、
前記第1ドラグ部材の基端側で前記ハンドル軸に回転不能に装着された円板部材に、前記第1ドラグ部材を貫通して前記リング部材に向けて突出可能かつ軸方向に移動自在に装着された音出しピンと、
前記音出しピンを前記リング部材に向けて付勢する付勢部材と、
前記リング部材に前記音出しピンに対向可能な位置で周方向に沿って設けられた音出し凹部とを有する、請求項1又は2に記載の両軸受リールのドラグ装置。 - 前記円板部材は、スプールに釣り糸を均一に巻き付けるためのレベルワインド機構に前記ハンドル軸の回転を伝達するギア部材である、請求項3に記載の両軸受リールのドラグ装置。
- 前記音出しピンは、前記円板部材に前記第1ドラグ部材に対向する側面に前記第1ドラグ部材を貫通して軸方向に沿って形成された筒状部の内部に進退自在に装着されている、請求項3又は4に記載の両軸受リールのドラグ装置。
- 前記ドラグ調整部材と第2ドラグ部材との間に配置され、前記ドラグ調整部材により圧縮されるばね部材をさらに備える、請求項1から5のいずれかに記載の両軸受リールのドラグ装置。
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