次に発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るトラクタ10の側面図である。図2は、本実施形態のトラクタ10の背面図である。図3は、PTO軸60及びPTO軸カバー62の様子を示した拡大斜視図である。なお、以下の説明では、単に「左側」「右側」等というときは、トラクタ10が前進する方向に向かって左側及び右側を意味するものとする。また、単に、「正面側」というときは、トラクタ10の前進する方向のことを意味し、「背面側」等というときは、トラクタ10の前進する方向と反対方向のことを意味するものとする。
本実施形態のトラクタ10は、農業作業用の作業車両であり、ローダ、プラウ、及びボックススクレーパー等の各種のアタッチメント(作業機)を必要に応じて装着し、アタッチメントを用いた各種の作業を行うことができるように構成されている。
図1に示すように、トラクタ10の前後には前輪14及び後輪15が配置されている。トラクタ10の車体前方には、ボンネット20が配置されている。このボンネット20内にはエンジン19等が収容されている。エンジン19は、トラクタ10が備える機体フレームに、直接、又は防振部材等を介して支持されている。
ボンネット20の後方には、オペレータが搭乗するための操縦席16が配置されている。この操縦席16には、各種の操作を行うためのハンドル、レバー等の操作具12が配置されている。トラクタ10のオペレータは、前記操作具12を介して、トラクタ10の走行操作及びアタッチメントの操作等を行う。
図1及び図2に示すように、トラクタ10の車体後部にはミッションケース21が配置されている。図2に示すように、このミッションケース21の左右から車体幅方向に突出するようにして後車軸ケース17が設けられており、この左右の後車軸ケース17から、後輪15を支持する後車軸が突出している。
図2及び図3に示すように、ミッションケース21の後端部からは、PTO軸60が後方に突出している。PTO軸60は、トラクタ10に接続されるアタッチメントにエンジン19の動力を伝達するためのものである。ミッションケース21内部には、ギア等の動力伝達機構(図面において省略)が配置されており、この動力伝達機構によってエンジン19の動力がPTO軸60に伝達される。前述のアタッチメントは、このPTO軸60に連結することで、エンジン19の駆動力を得ることができる。
また、図3に示すように、ミッションケース21の後端部には、トラクタ10の後方に延出するドローバーヒッチ65が配置されている。ドローバーヒッチ65は、トラクタ10が牽引式の各種作業機やトレーラーを牽引するときに用いられるものである。
本実施形態のドローバーヒッチ65は、連結部71と、バー部材72と、バー支持部73と、枢支軸74と、ドローバーヒッチ取付部85と、を備える。連結部71は、牽引式の各種作業機又はトレーラー等を連結するためのものである。バー部材72は、その長手方向を前後方向に向けた状態で、トラクタ10の後部に配置されており、その後端部の上面に前記連結部71が固定されている。バー部材72は、バー支持部73に枢支軸74を介して固定されている。このバー支持部73の左右両側にはドローバーヒッチ取付部85が固定されている。このドローバーヒッチ取付部85がミッションケース21の側方に位置するように、ドローバーヒッチ65が配置される。そして、左右のドローバーヒッチ取付部85がミッションケース21の左右両側の側壁にボルト93でそれぞれ固定されることによって、ドローバーヒッチ65がミッションケース21に固定される。トラクタ10は、前記連結部71に例えばトレーラーを連結することによって、当該トレーラーを牽引できるようになっている。
また、ミッションケース21の後端部には、PTO軸カバー62が配置されている。PTO軸カバー62は、PTO軸60を保護するためのものであり、前記ドローバーヒッチ取付部85に中間部材66を介して取り付けられている。
PTO軸カバー62の構成を詳細に説明する。図4(a)は、保護位置のPTO軸カバー62の様子を示した拡大側面図である。図4(b)は、開放位置のPTO軸カバー62の様子を示した拡大側面図である。図5は、中間部材66を介してミッションケース21に取り付けられるPTO軸カバー62の様子を示した分解斜視図である。図6(a)は、屈曲部70がストッパとしての中間部材66に接触している様子を正面側から示した拡大斜視図である。図6(b)は、屈曲部70がストッパとしての中間部材66に接触している様子を背面側から示した拡大斜視図である。
図4(a)及び図4(b)に示すように、本実施形態のPTO軸カバー62は、アタッチメントを取り付けていないときの保護位置と、アタッチメントを取り付けるときの開放位置と、の間で回動可能に構成されている。このPTO軸カバー62は、本体部81と、取付部82と、回動軸80と、屈曲部70と、を備えている。なお、上記構成のうち、本体部81、取付部82及び屈曲部70は、金属又は樹脂によって一体的に形成されている。
本体部81は、背面視において門形となるように形成されており、PTO軸カバー62が保護位置にあるときに、PTO軸60の上方向及び左右方向を覆うことができるようになっている。なお、本実施形態のPTO軸60は、PTO軸カバー62が保護位置にあるときであっても、その下側と背面側が外部に露出された状態になっている。
取付部82は、図5に示すように、PTO軸カバー62の左右両側に配置されている。この取付部82は、側面視において、下側に傾斜しながら正面側(前方)に延出している。取付部82の上部には、回動軸80を挿通させるための挿通孔91が形成されている。また、取付部82の先端部分であって、前記挿通孔91の前下方にはカバー側凸部76が配置されている。このカバー側凸部76は、左右に配置される取付部82の内側にそれぞれ形成されており、左右のカバー側凸部76が互いに対向する形になっている。なお、カバー側凸部76の詳細は後述する。
また、取付部82は、適宜の金属又は樹脂によって弾性変形可能に構成されている。そして、取付部82のカバー側凸部76の近傍には、切欠き部79が隣接するように形成されている。この切欠き部79は、側面視において、正面側の下方から背面側の上方に切れ込むように取付部82下部に形成されている。この切欠き部79によって取付部82の一部と本体部81との間には隙間が生じており、カバー側凸部76が配置される部分(アーム状に形成された部分)の剛性が低くなっている。
図5に示すように、前記中間部材66は、背面視において、門形となるように形成されており、ドローバーヒッチ65の上に跨るように配置されている。より具体的には、中間部材66は、その側壁部分が左右両側のドローバーヒッチ取付部85にボルト94で固定されることによって、ドローバーヒッチ65に固定されている。この中間部材66の左右両側には、回動軸80を固定するための固定孔92がそれぞれ形成されている。PTO軸カバー62は、取付部82の内側に配置される中間部材66の固定孔92に回動軸80を介して支持されている。本実施形態の回動軸80は、ボルト等で構成されており、取付部82(挿通孔91)を貫通した状態で、中間部材66の固定孔92に挿通される。そして、固定孔92から回動軸80の先端部を突出させ、その先端部をナット95で固定している。
屈曲部70は、図5に示すように、PTO軸カバー62の左右両側に配置されている。より具体的には、屈曲部70は、本体部81の正面側端面から内側に折れ曲がるように形成されており、取付部82の下方に位置している。
また、屈曲部70は、図5に示すように、上下方向に細長い平面部70aを有するように構成されている。屈曲部70の平面部70aは、PTO軸カバー62の保護位置において、中間部材66の背面側端面の一部にほぼ隙間がない状態で対面している(図4(a)を参照)。また、屈曲部70の平面部70aは、PTO軸カバー62の保護位置において、ドローバーヒッチ取付部85の背面側端面の一部にもほぼ隙間がない状態で対面している(図6を参照)。
この構成で、PTO軸カバー62が保護位置よりも正面側(前方)に回動しようとしても、中間部材66及びドローバーヒッチ取付部85に屈曲部70が接触して、PTO軸カバー62がそれ以上前方に回動することができなくなる。即ち、中間部材66及びドローバーヒッチ取付部85は、PTO軸カバー62が回動ストロークを外れようとする移動を(当該回動ストロークの一側で)規制するストッパとして機能している。
このように構成することで、例えば、トラクタ10の整備中等に、作業者が保護位置のPTO軸カバー62を誤って足場にしてしまった場合に、作業者の体重によって、PTO軸カバー62に、保護位置よりも正面側に回動させようとする力が作用し、カバー側凸部76と第1凹部77との嵌合を解除するのに十分な力がPTO軸カバー62に加わったとしても、中間部材66及びドローバーヒッチ取付部85によって、屈曲部70(PTO軸カバー62)が受け止められる。このように、本実施形態のPTO軸カバー62は、上記のように大きな力が加わった場合でも、保護位置より前方へ移動することなく、保持位置で安定的に保持されるのである。
次に、PTO軸カバー62を保護位置又は開放位置で固定するための固定機構について説明する。本実施形態の固定機構は、PTO軸カバー62に形成される前述のカバー側凸部76と、中間部材66に形成される第1凹部77及び第2凹部78と、によって構成されている。
カバー側凸部76は、取付部82(アーム状の部分)の内側に形成されており、中間部材66の側面に対向するように突出している。カバー側凸部76は、その突出量が、PTO軸カバー62と中間部材66の間に形成される隙間よりも大きくなるように構成されている。本実施形態のカバー側凸部76は、取付部82と一体的に形成されている。
一方、中間部材66の側面に形成されている第1凹部77及び第2凹部78は、ともに貫通状の孔で構成されている。第1凹部77は、取付部82を弾性変形させてカバー側凸部76を嵌合することで、PTO軸カバー62を保護位置で固定するためのものである。第2凹部78は、取付部82を弾性変形させてカバー側凸部76を嵌合することで、PTO軸カバー62を開放位置で固定するためのものである。
上述したように、取付部82のうちカバー側凸部76が配置される部分は、切欠き部79によって弾性変形し易くなっている。従って、作業者は、カバー側凸部76と、第1凹部77又は第2凹部78と、の嵌合作業(又は嵌合の解除作業)を僅かな力で行うことができるようになっている。
また、第1凹部77及び第2凹部78は、PTO軸カバー62の回動時のカバー側凸部76が描く円弧状の回動軌跡(移動軌跡)に沿って配置されている。本実施形態においては、この回動軌跡に沿わせるために、第1凹部77よりも第2凹部78の方が下方に位置するようになっている(図4を参照)。
カバー側凸部76は、左右の取付部82のそれぞれに形成されている。また、第1凹部77及び第2凹部78についても、カバー側凸部76に対応するように、中間部材66の左右両側に形成されている。このように、本実施形態の固定機構は、カバー側凸部76と、第1凹部77及び第2凹部78と、を2つ1組で備えるように構成されており、左右方向の2箇所でPTO軸カバー62を安定的に保持できるようになっている。
以上の構成によって、PTO軸カバー62を保護位置又は開放位置で固定することが可能になっている。図3及び図4(a)に示すように、保護位置のPTO軸カバー62は、アタッチメントが取り付けられていない状態のPTO軸60の上方及び左右方向を覆う状態になる。一方、図4(b)に示すように、開放位置のPTO軸カバー62は、側面視において、PTO軸60の根元側を露出させる状態になる。このように、PTO軸カバー62が開放位置にあるときは、トラクタ10の側方からPTO軸60の根元側に手を差し入れることができるので、アタッチメントの連結機構とPTO軸60との連結作業をスムーズに行うことができるのである。
以上に示したように、本実施形態のトラクタ10は以下のように構成される。即ち、トラクタ10は、本体と、エンジン19と、ミッションケース21と、PTO軸60と、PTO軸カバー62と、固定機構と、を備える。エンジン19は、トラクタ10本体に配置される。ミッションケース21は、トラクタ10本体に配置される。PTO軸60は、トラクタ10本体に着脱可能に連結されるアタッチメント(作業機)にエンジン19の駆動力を伝達するために、ミッションケース21から外部に突出する。PTO軸カバー62は、ミッションケース21に対して移動可能に構成される。固定機構は、PTO軸カバー62を、PTO軸60の少なくとも一部を露出させる開放位置と、アタッチメントとの接続が解除された状態のPTO軸60を保護する保護位置と、で固定できる。また、固定機構は、PTO軸カバー62に配置されるカバー側凸部76を有するとともに、カバー側凸部76に対応するようにミッションケース21側に配置される第1凹部77及び第2凹部78を有する。また、PTO軸カバー62のカバー側凸部76が配置される部分は弾性変形可能に構成されている。そして、固定機構は、第1凹部77にカバー側凸部76をPTO軸カバー62の弾性力を利用して嵌合させることで、PTO軸カバー62を保護位置で固定する。また、固定機構は、第2凹部78にカバー側凸部76をPTO軸カバー62の弾性力を利用して嵌合させることで、PTO軸カバー62を開放位置で固定する。
これにより、第1凹部77又は第2凹部78にカバー側凸部76を嵌合させるという簡単な操作で、当該PTO軸カバー62を開放位置又は保護位置で固定できる。従って、PTO軸カバー62を開放位置に移動させてPTO軸60にアタッチメントを連結する作業を効率的に行うことができる。また、開放位置にPTO軸カバー62を固定する固定機構を凸部と凹部というシンプルな構成で実現できるので、部品点数を削減して製造コストの低減及び組立作業の効率化に寄与できる。
また、本実施形態のトラクタ10は、以下のように構成される。即ち、PTO軸カバー62は、その一部が折れ曲がることで形成される屈曲部70を有する。ミッションケース21側には、PTO軸カバー62の可動ストロークの一側で屈曲部70に接触する中間部材66が配置されている。
これにより、カバー側凸部76と第1凹部77の嵌合が外れてしまうような大きな力がPTO軸カバー62に掛かり、当該PTO軸カバー62が可動ストロークを外れるように移動しようとした場合であっても、中間部材66によってその移動を規制することができる。従って、可動ストロークを超えた移動によってPTO軸カバー62がPTO軸60に接触したり、PTO軸カバー62が保護位置に復帰できなくなったりする事態を効果的に防止できる。
また、本実施形態のトラクタ10においては、PTO軸カバー62には、カバー側凸部76が配置される部分に隣り合うようにして切欠き部79が形成される。
これにより、切欠き部79を形成するというシンプルな方法で、PTO軸カバー62のカバー側凸部76が配置される部分の剛性を意図的に低下させて、PTO軸カバー62を弾性変形させるために必要な力を小さくすることができる。従って、第1凹部77又は第2凹部78にカバー側凸部76を嵌合する際の作業性を効率的に向上させることができ、連結作業をよりスムーズに行うことができる。
以上に本発明の実施形態を説明したが、上記の構成は更に以下のように変更することができる。
本実施形態の中間部材66は、PTO軸カバー62の移動を回動ストロークの一側のみで規制するように構成されているが、この構成は事情に応じて適宜変更することができる。次に、回動ストロークの両側でPTO軸カバー62の移動を規制するように中間部材166を構成した変形例について説明する。図7は、変形例のPTO軸カバー62が保護位置にあるときの様子を示した斜視図である。図8は、変形例のPTO軸カバー62が開放位置にあるときの様子を示した斜視図である。なお、変形例において、本実施形態と同一及び類似する構成には、図面に同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
変形例の中間部材166は、後方に突出する突出部111を有している。この突出部111は、開放位置よりも更に上方へのPTO軸カバー62の移動を規制するためのものである。図7に示すように、突出部111は、正面側から背面側に突出する矩形状に構成されており、中間部材166と一体的に形成されている。図8に示すように、突出部111は、その端面111aが、開放側(上方)の回動ストロークの端部で屈曲部70の上側端面70bに接触することで、開放位置より上方へのPTO軸カバー62の移動を規制するように構成されている。
これにより、PTO軸カバー62が開放位置から上方に更に移動しようとしても、屈曲部70の上側端面70bが突出部111の端面111aに接触し、その移動が規制されるので、中間部材166の第2凹部78と、取付部82のカバー側凸部76と、の嵌合が外れてしまうことを防止できる。また、本変形例の中間部材166は、本実施形態と同様に、保護位置よりも正面側(前方)に更に移動しようとするPTO軸カバー62の移動を規制するストッパとしても機能するように構成されている。即ち、本変形例においては、中間部材166が、PTO軸カバー62の可動ストロークの両側で、当該PTO軸カバー62の移動を規制するストッパとして機能するように構成されているのである。
また、本実施形態では、カバー側凸部76がPTO軸カバー62の取付部82に一体的に形成されているが、この構成は事情に応じて適宜変更することができる。次に、図9を参照してPTO軸カバーに形成される凸部の変形例について説明する。図9(a)は、本変形例のPTO軸カバー262が有する取付部82近傍の様子を模式的に示した拡大側面図である。図9(b)は、本変形例の凸部を構成する押圧機構276の様子を模式的に示したPTO軸カバー262の正面一部断面図である。
図9(a)に示すように、PTO軸カバー262にはカバー側凸部として機能する押圧機構(デテント機構)276が取り付けられている。押圧機構276は、図9(b)に示すように、ケース281と、押しボルト282と、コイルバネ(弾性部材)283と、ボール284と、を備えている。なお、押圧機構276は、PTO軸カバー262の左右両側に取り付けられている。
ケース281は、円筒状に構成されており、PTO軸カバー262の取付部82に配置されている。押しボルト282は、ケース281の内壁に形成されるネジ溝281aに螺合されている。この押しボルト282は、その先端部分がコイルバネ283の一側に接触するようにその位置が設定されている。コイルバネ283の他側には、ボール284が配置されている。このボール284は、取付部82から中間部材66側に突出するようにコイルバネ283によって付勢されている。即ち、押圧機構276のボール284は、PTO軸カバー262の取付部82の側面から中間部材66側に突出する凸部として機能しているということができる。
中間部材66の外側の側面には、第1凹部277及び第2凹部278が窪み状に形成されている。この第1凹部277及び第2凹部278は、本実施形態の第1凹部77及び第2凹部78と同様の位置に配置されている。なお、第1凹部277及び第2凹部278は、本実施形態と同様に貫通状の孔として構成してもよい。
PTO軸カバー262を保護位置で固定するときは、押圧機構276のボール284が第1凹部277に嵌合する位置まで、PTO軸カバー262を回動させる。また、PTO軸カバー262を開放位置で固定するときは、押圧機構276のボール284が第2凹部278に嵌合する位置まで、PTO軸カバー262を回動させる。このように、変形例のPTO軸カバー262においても、凸部としての押圧機構276と、第1凹部277及び第2凹部278と、によって、保護位置と開放位置で固定できるようになっている。
本変形例のPTO軸カバー262は、コイルバネ283の弾性変形を利用してボール284の先端部分を第1凹部277又は第2凹部278と嵌合させるように構成されている。この構成であれば、PTO軸カバー262を弾性変形不能な部材で構成することもできる。また、押しボルト282の位置を変更してボール284への付勢力を調節することで、PTO軸カバー262を固定位置で保持する保持力の調節を行うこともできる。
また、本実施形態及び変形例では、PTO軸カバー62は、中間部材66及びドローバーヒッチ65を介してミッションケース21側に固定されているが、この構成は事情に応じて適宜変更することができる。例えば、中間部材66を省略してドローバーヒッチ65にPTO軸カバー62を回動可能に取り付ける構成に変更することもできる。この場合、第1凹部77及び第2凹部78は、ドローバーヒッチ65に形成されることが好ましい。また、ミッションケース21に直接的にPTO軸カバー62を取り付けるように構成することもできる。この場合、第1凹部77及び第2凹部78は、ミッションケース21に形成されることが好ましい。
また、本実施形態及び変形例の固定機構は、PTO軸カバー62にカバー側凸部76が形成され、ミッションケース21側(中間部材66)に第1凹部77及び第2凹部78が形成される構成であるが、本発明はこの構成に限定される訳ではない。例えば、PTO軸カバーに凹部を形成し、ミッションケース側に凸部を構成することもできる。また、PTO軸カバーに凸部を2つ配置し、中間部材に凹部を1つ配置することもできる。このように、凸部及び凹部は、保護位置で嵌合する組み合わせと、開放位置で嵌合する組み合わせと、を少なくとも有するように構成されていればよく、その数、配置場所は、事情に応じて適宜変更することができる。
また、本実施形態及び変形例では、PTO軸カバー62はミッションケース21に対して回動可能に構成されているが、ミッションケースに対して移動可能であれば、この構成は事情に応じて適宜変更することができる。例えば、PTO軸カバーをミッションケース21に対して上下方向にスライド移動可能に構成することもできる。
なお、以上に説明した実施形態及びその変形例から、少なくとも以下のように構成される技術思想を把握することができる。即ち、本体と、前記本体に配置されるエンジンと、前記本体に配置されるミッションケースと、前記本体に着脱可能に連結される作業機に前記エンジンの駆動力を伝達するために、前記ミッションケースから外部に突出するPTO軸と、前記ミッションケースに対して回転可能なPTO軸カバーと、PTO軸カバーの位置を固定するためにPTO軸カバーの回転移動に抵抗を付与する弾性部材と、を備えることを特徴とするトラクタ。
次に、図10を参照して、この技術思想の一実施形態に係るトラクタが備えるPTO軸カバー62の構成について説明する。図10(a)は変形例のPTO軸カバー362の取付部382近傍の様子を模式的に示した拡大側面図である。図10(b)は、本変形例の回転機構380近傍の様子を模式的に示したPTO軸カバー262の正面一部断面図である。
図10に参照する例では、図10(a)に示すように、取付部382には回転機構380のみが配置されており、本発明の実施形態と異なり、凸部と凹部を備える必要がない。図10(b)に示すように、本変形例の回転機構380は、支持ボルト(回動軸)311と、皿バネ(弾性部材)312と、カラー313と、ナット(回動軸固定部材)314と、を備えている。支持ボルト311は、ナット314によって中間部材66に固定されている。この支持ボルト311の軸部分にPTO軸カバー362が回転可能に支持されている。皿バネ312は、その一側が支持ボルト311に接触し、他側がPTO軸カバー362に接触するように、支持ボルト311に挿通状態で支持されている。この皿バネ312によって、PTO軸カバー362は中間部材66側に付勢されている。カラー313は、支持ボルト311とPTO軸カバー362の間に配置され、支持ボルト311の締付トルクの設定に利用されている。
この実施形態では、皿バネ312の付勢力によって、PTO軸カバー362と中間部材66との間に摩擦力が生じ、この摩擦力によってPTO軸カバー362を静止状態で保持できるようになっている。この摩擦保持機構によって、オペレータは、PTO軸カバー362を所望の位置に移動させた状態で固定することができる。