JP5221340B2 - Cmp用の多層研磨パッド材料 - Google Patents

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Description

本発明は、化学機械研磨で用いる多層研磨パッド材料に関する。
化学機械研磨(「CMP」)法は、半導体ウエハー、電界放出ディスプレイ、及び多くの他のマイクロ電子基板上に平坦な表面を形成するために、マイクロ電子デバイスの製造において用いられる。例えば、半導体素子の製造は、一般に、種々のプロセス層の形成、それらの層部分の選択的除去又はパターン化、及び半導体ウエハーを形成するための半導体基板の表面上へのなお追加のプロセス層の蒸着を含む。プロセス層には、一例として、絶縁層、ゲート酸化膜、導電層、及び金属又はガラス層、などを挙げることができる。プロセス層の最上表面が後続層の蒸着用に平面的、すなわち平坦であることは、一般に、ウエハー工程の一部の段階において望ましい。CMPはプロセス層を平坦化するために用いられ、導電又は絶縁材料などの蒸着材料は後続の工程段階用に研磨される。
一般的なCMP法において、CMP工具中のキャリヤー上に逆さまに組み込まれる。力をかけてキャリヤー及びウエハーを研磨パッドに向けて下方に押す。キャリヤー及びウエハーは、CMP工具の研磨テーブル上の回転性研磨パッド上で回転される。研磨用組成物(研磨用スラリーとも呼ばれる)は、一般に、研磨工程の間、回転ウエハーと回転研磨パッド間に導入される。研磨組成物は、一般的に、最上ウエハー層(複数を含む)の部分と相互作用するか又はそれらを溶解する化学物質、及び物理的に層(複数を含む)部分を除去する研磨材を含有する。ウエハー及び研磨パッドは、行われようとする特定の研磨法に対して望ましいものであれば同じ方向又は反対方向のどちらにでも回転することができる。キャリヤーは、また、研磨テーブル上の研磨パッドにわたって振動することができる。CMP研磨パッドは、多くの場合、ホットメルト接着剤又は粘着剤などの接着剤の使用を通して結合される2つ以上の層、例えば、研磨層及び底層(例えば、サブパッド層)を含む。こうした多層研磨パッドは、例えば、米国特許第5,257,478号明細書に開示されている。
加工物の表面を研磨する上で、原位置で研磨工程を監視することは、多くの場合有利である。原位置での研磨工程監視の1つの方法は、研磨工程の間にそこを通して光が通過して加工物表面の検査を可能とすることができる入口を提供する「窓」を有する研磨パッドの使用を含む。こうした窓を有する研磨パッドは当技術分野で公知であり、半導体素子などの加工物を研磨するために用いられてきている。例えば、米国特許第5,893,796号明細書には、開口部を提供するために研磨パッドの一部を除去し、開口部中に透明ポリウレタン又は石英プラグを置いて透明な窓を提供することが開示されている。同様に、米国特許第5,605,760号明細書には、ロッド又はプラグとして成形される固形の均一なポリマー材料から形成される透明な窓を有する研磨窓が提供されている。透明プラグ又は窓は、一般的に、研磨パッド形成の間(例えば、パッド成形の間)に研磨パッドに一体化して結合されるか、又は、接着剤の使用を通して研磨パッドの開口部中に貼られる。
研磨パッド層を結合するため、又は研磨パッド内に窓を貼るために接着剤に依存する従来技術の研磨パッドは、多くの不利を有する。例えば、接着剤は、多くの場合、それらに関連する不快なフュームを有すると共に、一般的に24時間以上にわたる硬化を必要とする。さらに、接着剤は研磨用組成物の成分からの化学攻撃に敏感であることができるので、パッド層を結合するか、又はパッドに窓を貼り付ける上で用いられる接着剤のタイプは、どのタイプの研磨系が用いられるかに基づいて選択されねばならない。さらに、研磨パッドに対するパッド層又は窓の結合は時折不完全であるか、又は経時的に劣化する。これは、パッド層の層割れ及び座屈、及び/又はパッドと窓間の研磨用組成物の漏れをもたらすことができる。一部の例において、窓は経時的に研磨パッドから遊離することができる。一体的に成形された研磨パッド窓を形成するための方法は、これら問題の少なくとも一部を避けることにおいて成功することができるが、しかし、こうした方法は、多くの場合、高価であると共に、用いることができるパッド材料のタイプ、及び生みだすことができるパッド構造のタイプにおいて限定される。
従って、効果的な多層研磨パッド、及び接着剤の使用に依存することなしに効率的で安価な方法を用いて製造することができる半透明領域(例えば、窓)を含む研磨パッドに対する必要性が残ったままである。本発明は、こうした研磨パッド、ならびにそれらの使用方法を提供する。本発明のこれらの及び他の利点、ならびに追加の本発明の態様は、本明細書において提供される本発明の説明から明らかである。
本発明は、化学機械研磨で使用するための多層研磨パッドを提供する。この研磨パッドは、多孔質の研磨層と多孔質の底層を含み、該研磨層と該底層がほぼ同一の広がりを有し、接着剤の使用なしで結合される。研磨層は、底層の平均表面粗さよりも大きな平均表面粗さRaを有する。本発明はまた、ほぼ同一の広がりを有し、接着剤の使用なしで結合される2つ以上の層を含む多層の光学的に透過性の領域を含む研磨パッドを提供する。
本発明は、化学機械研磨装置及び加工物の研磨方法をさらに提供する。CMP装置は、(a)回転するプラテン、(b)本発明の研磨パッド、及び(c)回転する研磨パッドと接触することにより研磨すべき加工物を保持するキャリヤーを含む。研磨方法は、(i)本発明の研磨パッドを用意する工程、(ii)加工物を研磨パッドと接触させる工程、及び(iii)加工物に対し研磨パッドを動かして加工物を削り、それによって加工物を研磨する工程を含む。
本発明は、本発明の研磨パッドを製造するための方法をさらに提供する。第1の方法は、(i)超臨界ガスの存在下、高圧下で所定の時間帯にわたりポリマーシートを置き、(ii)ポリマーシートを放置して部分的に超臨界ガスを脱着し、及び(iii)ポリマーシートのガラス転移温度を超える温度にシートをさらすことにより、部分的に脱着したポリマーシートを発泡させることを含む。第2の方法は、(i)超臨界ガスの存在下、高圧下で所定の時間帯にわたり第1の面及び第2の面を有するポリマーシートを置き、(ii)ポリマーシートの第1の面をポリマーシートのガラス転移温度を超える第1の温度にさらし、(iii)ポリマーシートの第2の面を第1の温度よりも低い第2の温度にさらし、及び(iv)ポリマーシートを発泡させることを含む。
本発明は、研磨パッド材料が接着剤の使用なしで結合される2以上の層を含む多層研磨パッド材料を含む研磨パッドに関する。任意選択で、研磨パッド材料は、接着剤なしで結合される3以上(例えば、4以上、6以上、又は8以上)の層を含む。第1の実施形態において、多層研磨パッド材料は多層研磨パッドとして用いられる。第2の実施形態において、多層研磨パッド材料は研磨パッド内の光学的に透過性の領域として用いられる。
研磨パッド材料層は、層間にいかなる接着剤も含有しない。本明細書及び特許請求の範囲において用いられる用語「接着剤」は、当技術分野で公知の任意の通常の接着剤、例えば、ホットメルト接着剤、粘着剤、及びグルーなどを指す。むしろ、研磨パッド層は、機械的に連結されるか、相互連結されるか、又は各層間ポリマー樹脂の物理的重なり、点在、及び/又はより合せにより結合される。望ましくは、層はほぼ同一の広がりを有する。研磨パッドの隣接層間の界面に関連して、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる用語「接着剤なし」は、層が機械的に連結されるか、相互連結されるか、又は層間にいかなる接着剤もなしで結合されることを意味する。
こうした多層研磨パッド材料の利点は、各層が異なる物理的又は化学的特性を有することができることである。例えば、一部の用途において、各層が同じポリマー組成物を有するが、しかし、硬度、密度、気孔率、圧縮率、剛性、引張弾性率、バルク弾性率、レオロジー、クリープ、ガラス転移温度、融解温度、粘度、又は透明度などの異なる物理的特性を有することは、望ましくあることが可能である。他の用途において、研磨パッド層が類似の物理的特性を有するが、しかし、異なる化学的特性(例えば、異なる化学組成)を有することは、望ましくあることが可能である。勿論、研磨パッド層は、異なる化学的特性ならびに異なる物理的特性を有することができる。好ましくは、研磨パッド材料層は、少なくとも1つの異なる化学的又は物理的特性を有する。
望ましくは、研磨パッド材料の各層はポリマー樹脂を含む。ポリマー樹脂は任意の好適なポリマー樹脂であることができる。一般的に、ポリマー樹脂は、熱可塑性エラストマー、熱硬化性ポリマー、ポリウレタン(例えば、熱可塑性ポリウレタン)、ポリオレフィン(例えば、熱可塑性ポリオレフィン)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ナイロン、エラストマー系ゴム、エラストマー系ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアラミド、ポリアリーレン、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、それらのコポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択される。好ましくは、ポリマー樹脂は熱可塑性ポリウレタンである。
層は同じポリマー樹脂を含むことができるか、又は異なるポリマー樹脂を含むことができる。例えば、1つの層は熱可塑性ポリウレタンを含むことができ、一方で第2の層は、ポリエステル、ポリカーボネート、ナイロン、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、及びそれらの混合物からなる群より選択されるポリマー樹脂を含むことが可能である。1つの好ましい研磨パッド材料は、架橋ポリアクリルアミド又はポリビニルアルコール(例えば、架橋又は非架橋の)から選択されるポリマー樹脂を含む層と組み合わせた熱可塑性ポリウレタン層を含む。別の好ましい研磨パッド材料は、架橋アクリルアミド又はアクリル酸から選択されるポリマー樹脂を含む層と組み合わせたポリカーボネート層を含む。
研磨パッド材料層は、親水性、疎水性、又はそれらの組合せであることができる。研磨パッド層の親水性/疎水性は、層を作製するために用いられるポリマー樹脂のタイプにより大きく左右される。34ミリニュートン/メートル(mN/m)以上の臨界表面張力を有するポリマー樹脂は、一般に、親水性と考えられるが、一方で、33mN/m以下の臨界表面張力を有するポリマー樹脂は、一般に、疎水性と考えられる。一部の汎用ポリマー樹脂の臨界表面張力は以下のとおりである(値は括弧内に示される):ポリテトラフルオロエチレン(19)、ポリジメチルシロキサン(24)、シリコーンゴム(24)、ポリブタジエン(31)、ポリエチレン(31)、ポリスチレン(33)、ポリプロピレン(34)、ポリエステル(39〜42)、ポリアクリルアミド(35〜40)、ポリビニルアルコール(37)、ポリメタクリル酸メチル(39)、ポリ塩化ビニル(39)、ポリスルフォン(41)、ナイロン6(42)、ポリウレタン(45)、及びポリカーボネート(45)。一般的に、研磨パッド材料の少なくとも1つの層は親水性である。好ましくは2以上の層が親水性である。
研磨パッド材料層は、任意の好適な硬度(例えば、ショアA30〜50又はショアD25〜80)を有することができる。同様に、層は任意の好適な密度及び/又は気孔率を有することができる。例えば、層は非多孔質(例えば、固形物)、ほぼ固形物(例えば、10%未満の空隙体積)、又は多孔質であることができると共に、0.3g/cm3以上(例えば、0.5g/cm3以上、又は0.7g/cm3以上)、又はなお0.9g/cm3(例えば、1.1g/cm3、又は材料の理論密度の99%まで)の密度を有することができる。一部の用途に対して、研磨パッド材料(例えば、研磨層)の1つの層が硬く、高密度であり、及び/又は低気孔率を有し、一方で、他層(複数を含む)が柔らかく、高多孔質であり、及び/又は低密度を有することは望ましくあることが可能である。
研磨パッド材料層は、任意の好適な透明性(すなわち、光に対する透過性)を有することができる。例えば、1つの層は実質的に透明であることができるが、一方で他(複数を含む)は実質的に不透明である。あるいは、研磨パッド材料のすべての層は、光学的に透過性であることができる。3以上の層が存在する場合に、中間層は実質的に透明であり、一方で外層は実質的に不透明である。光学的透明性は、研磨パッドが光学的端点検出システムと併せて用いられる場合に望ましい。研磨パッド層の透明度は、少なくとも一部には(a)選択されるポリマー樹脂のタイプ、(b)孔の濃度及びサイズ、及び(c)任意の埋め込み粒子の濃度及びサイズに応じて決まる。好ましくは、光透過率(すなわち、パッド材料を透過した光の全体量)は、200nm〜10,000nm間(例えば、200nm〜1000nm間)の少なくとも1つの光波長で、少なくとも10%(例えば、20%、又は30%)である。
多層研磨パッド材料が光学的に透過性である場合に、材料は、任意に、さらに、研磨パッド材料が特定波長(複数を含む)光を選択的に透過することを可能とする染料を含むことが可能である。染料は望ましくない波長の光(例えば、背景光)を濾過分離するように作用し、このようにして検出の信号対雑音比を改善する。透明窓は、任意の好適な染料を含むことができるか、又は染料の組合せを含むことが可能である。適する染料には、ポリメチン染料、ジ−及びトリ−アリールメチン染料、ジアリールメチン染料のアザ類似体、アザ(18)アンヌレン染料、天然染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、アゾ染料、アントラキノン染料、及び硫黄染料などが挙げられる。望ましくは、染料の透過スペクトルは、原位置端点検出用に用いられる光の波長に合致するか又は重なる。例えば、端点検出(EPD)システム用の光源は、波長633nmを有する可視光を生みだすHeNeレーザーである場合に、染料は、好ましくは、波長633nmを有する光を透過することができる赤色色素である。
研磨パッド材料層は任意の好適な厚さを有することができる。好ましくは、各層は、多層研磨パッド材料の全体厚さの少なくとも10%以上(例えば、20%以上、又は30%以上)である厚さを有する。各層の厚さは、1つには、研磨パッド材料層の全体数に応じて決まる。さらに、各研磨パッド材料層は同じ厚さを有することができるか、又は、層はそれぞれ異なる厚さを有することができる。好ましくは、本発明の多層研磨パッドの研磨層の厚さは、50ミル〜160ミルの範囲にある。
多層研磨パッド材料は、多層研磨パッドとして用いることができる。一般的な従来技術の多層研磨パッド(10)は図1に示され、研磨層(12)は底層(14)にそれらの間の接着剤(16)を介して付着される。対照的に、本発明の多層研磨パッドは、例えば、図2〜6に示されるように、接着剤なしで結合される第1の層(例えば、研磨層)及び第2の層(例えば、底層)を含む。特に、図2は研磨層(12)及び底層(14)を含む研磨パッド(10)を示す。研磨層及び底層は、同じポリマー樹脂(例えば、ポリウレタン)又は異なるポリマー樹脂(例えば、ポリウレタンとポリカーボネート)を含むことができる。望ましくは、研磨層は底層よりも高い圧縮弾性率を有する。例えば、研磨層は固形物であることができるか、又は極めて低い気孔率を有することができるが、一方で、底層は高多孔質(例えば、発泡ポリマー)である。
本発明の多層研磨パッドが原位置端点検出システムと併せて用いられる場合に、好ましくは、多層研磨パッドの少なくとも1つの層が、200nm〜10,000nm(例えば、200nm〜1,000nm、又は200nm〜800nm)間の少なくとも1つの波長で、10%以上(例えば、20%以上、又は30%以上)の光(例えば、レーザー光)に対する透過率を有することは望ましくあることが可能である。一部のケースにおいて、研磨層と底層の両方が、全体研磨パッドが少なくとも部分的に光に対して透明であるように、光学的に透過性であることが可能である。他のケースにおいて、研磨層と底層の1つだけが実質的に不透明であることが可能であり、一方で、他の層は光学的に透過性である。例えば、研磨層は実質的に不透明であることができ、底層は光学的に透過性であることができる。原位置端点検出システムによりこうした研磨パッドを用いるために、研磨層の一部は、図3に示すように、実質的に光学的に透過性の底層(14)の領域(22)を現す研磨層(12)中の開口部(20)を作り出すために除去される。研磨層中の開口部により現される底層(14)の光学的に透過性の領域(22)は、このように、「窓」を研磨工程の間に研磨組成物により引っかかれることのないように保護するために研磨表面(13)から引っ込めて作られる。光学的に透過性の研磨層と実質的に不透明な底層のケースにおいて、底層の一部は、実質的に光学的に透過性の研磨層の領域を現す底層中の開口部を作り出すために除去される。
本発明の多層研磨パッドはまた、上述のような研磨パッドであることができると共に、さらに、研磨層と底層の間に配置される1つ又は複数の中間層を含む。こうした研磨パッド(10)は、研磨層(12)、底層(14)、及び中間層(18)を含み、図4に示される。研磨パッド層は、上述のように、任意の好適な化学的及び物理的特性(層間で同じか又は異なることができる)を有することができる。一部の用途のため、各層が少なくとも1つの異なる化学的又は物理的特性を有することは望ましくあることが可能である。例えば、研磨パッドは、微小孔性ポリウレタンを含む研磨層、固形ポリウレタンを含む中間層、及び柔らかい多孔質ポリウレタンを含む底層を含むことができる。あるいは、研磨層は親水性ポリマーを含むことができるが、一方で、中間層及び底層はそれぞれ疎水性ポリマー及び親水性ポリマーを含む。
他の用途において、研磨層と底層が同じ化学的及び物理的特性を有し、一方で、中間層が少なくとも1つの異なる特性を有することは望ましくあることが可能である。例えば、中間層は低圧縮性を有するが、一方で、研磨層と底層はより高い圧縮性を有する。あるいは、中間層は実質的に透明であることができるが、一方で、研磨層と底層は実質的に不透明である。こうした研磨パッド(10)は、研磨層(12)の一部及び底層(14)の一部を除去して研磨層(12)中の開口部(20)、及び底層中の開口部(24)を作り出すことによって、原位置端点検出システムにより用いることができる。開口部(20)及び開口部(24)が並べられる(すなわち、互いの頂部上に配置される)場合に、実質的に光学的に透過性の中間層(18)の領域(26)は図5に示すように現される。こうした研磨パッドにおいて、研磨層と底層中の開口部により現される中間層(18)の光学的に透過性の領域(26)は、「窓」を研磨工程の間に研磨組成物により引っかかれることのないように保護するために研磨表面(13)から引っ込めて作られる。
本発明の多層研磨パッドは、任意の好適な寸法を有することができる。一般的に、多層研磨パッドは30ミル以上の厚さを有する。多層研磨パッドは、望ましくは、円形(回転研磨工具中に用いられるように)であるか、又はループ線形ベルト(線形研磨工具中に用いられるように)である。多層研磨パッドの研磨層は、任意に、さらに、研磨パッドの表面にわたり研磨組成物の流れを容易にする溝、穿孔、チャンネル、又は他のこうしたパターンを含む。溝、チャンネルなどは、同心円、螺旋形、XY斜交平行線模様、又は他の適するパターンの形状にあることができる。
本発明の多層研磨パッドは、任意に、さらに、研磨パッド中に切り込まれた開口部中に挿入される1以上の光学的に透過性の窓を含む(例えば、研磨層、中間層、及び底層の少なくとも1つの中に)。望ましくは、窓は、存在する場合、接着剤使用以外の手段により研磨パッドに保持される。例えば、窓は、溶接技術、例えば超音波溶接により研磨パッドに付着することが可能である。
本発明の多層研磨パッドは、任意に、さらに、任意の好適な埋め込み粒子、例えば、研磨粒子、水溶性粒子、及び吸水性粒子(例えば、水膨張性粒子)などを含む。研磨粒子は、金属酸化物粒子、ポリマー粒子、ダイアモンド粒子、及び炭化ケイ素粒子などを含む無機粒子又は有機粒子であることができる。水溶性粒子は、酸化剤、錯化剤、酸、塩基、分散剤、及び界面活性剤などの任意の好適な化学機械研磨剤であることができる。吸水性粒子は、適する吸水性ポリマー粒子であることができる。
本発明の多層研磨パッドにおいて、研磨層は、底層の平均表面粗さよりも大きい平均表面粗さ、Raを有する。好ましくは、研磨層のRaは25μmよりも大きい。底層のRaは、好ましくは、20μm未満である。好ましい実施形態において、研磨層のRaは25μmより大きく、底層のRaは20μm未満であり、さらに好ましくは、研磨層のRaは30μmより大きく、底層のRaは10μm未満である。
好ましくは、走査型電子顕微鏡法による測定で、研磨層は104セル/cm3より大きい孔セル密度を有し、底層は104セル/cm3未満の孔セル密度を有する。研磨層と底層は、好ましくは、それぞれ15〜50μmの範囲にある平均セル径を有する複数の孔セルを含む。研磨層の密度は、好ましくは、0.5〜1.05グラム/cm3の範囲にあり、底層の密度は、1〜1.2グラム/cm3の範囲にある。好ましくは、全体多層研磨パッドの平均密度は0.5〜1.2グラム/cm3間にある。図11は、層が接着剤の使用なしで結合される本発明の多層研磨パッド(例えば、2層)のSEM横断画像を示す。画像の頂部での層は、画像の底部での層に較べて比較的高い平均孔密度を有する。
本発明の多層研磨パッドの好ましい実施形態は、多孔質研磨層及び多孔質底層を含む。底層は研磨層とほぼ同一の広がりを有し、研磨層と底層は、それぞれ15〜50μmの範囲にある平均孔径を有する複数の孔セルを含む。走査型電子顕微鏡法による測定で、研磨層は104セル/cm3を超える孔セル密度を有し、底層は104セル/cm3未満の孔セル密度を有する。
第2の実施形態において、多層研磨パッド材料は、光通過に対して少なくとも部分的に透明であると共に、さもなければ不透明な研磨パッド中での光学的に透過性の領域(例えば、研磨パッド「窓」)として用いられる。こうした研磨パッドは図6に示され、光学的に透過性の領域(32)は、第1の透過層(34)及び第2の透過層(36)を含み、研磨パッド(30)中に貼られる。光学的に透過性の研磨パッド材料が端点検出システムと併せて用いられる場合に、研磨パッド材料が、200nm〜10,000nm(例えば、200nm〜1,000nm、又は200nm〜800nm)間の少なくとも1つの波長で、10%以上(例えば、20%以上、又は30%以上)の光(例えば、レーザー光)に対する透過率を有することは望ましい。好ましくは、光学的に透過性の研磨パッド材料は、200nm〜35,000nm(例えば、200nm〜10,000nm、又は200nm〜1,000nm、又はなお200nm〜800nm)の範囲にある少なくとも1つの波長で、40%以上(例えば、50%以上、又はなお60%以上)の光透過率を有する。
光学的に透過性の研磨パッド材料の各層は一定レベルの光透過率を有さなければならないが、各層により透過される光の量は異なることができる。例えば、研磨パッド材料の第1の透過層(例えば、研磨層)は、微小孔性であるか、又は埋め込み粒子を含み、従って光通過に対して透過性は低くなることができるが、一方で、第2の透過層(例えば、底層)は、光通過に対して高度に透過性である非多孔質固形シートである。あるいは、第1及び第2両方の透過層は、実質的に透過性であるが、しかし、異なるポリマー組成物を有することができる。従って、多層研磨パッド材料を透過した光の波長は、多層研磨パッド材料の各層の化学的及び物理的特性の適正な選択を通して「調節」することができる。光透過率は、1つには、用いられるポリマー樹脂のタイプに応じて決まる。例えば、第1の透過層(例えば、研磨層)及び第2の透過層(例えば、底層)を含む研磨パッド材料において、第1の層は一定範囲の光波長に対する透過性を有する第1のポリマー樹脂を含むことができると共に、第2の層は、異なるがしかし重なる範囲の光波長に対する透過性を有する第2のポリマー樹脂を含むことができる。従って、研磨パッド材料の全体透過率は狭い波長範囲に調節することができる。
第2の実施形態の光学的に透過性の研磨パッド材料層は、任意の好適な寸法(すなわち、長さ、幅、及び厚さ)及び任意の好適な形状を有することができる(例えば、円形、楕円、四角、長方形、及び三角形などであることができる)。一般的に、該層は、それらが互いに完全に同一の広がりを有するように、ほぼ同じ長さ及び幅(例えば、直径)を有する。光学的に透過性の研磨パッド材料は、研磨パッドの研磨表面と平らになる(すなわち、同一平面上にある)ように研磨パッド内に位置付けるか、又は研磨パッドの研磨表面から引き込むことができる。光学的に透過性の研磨パッド材料が研磨パッドの研磨表面と平らになる場合に、第1の透過層は研磨パッドの研磨表面の一部を構成する。
第2の実施形態の光学的に透過性の多層研磨パッド材料は、任意の好適な厚さを有することができると共に、厚さは、少なくとも一部には、研磨パッド材料が中に置かれる研磨パッドの厚さ、及び研磨パッド材料の頂部表面と研磨パッドの研磨表面間で望まれる窪みの量に応じて変わる。一般的に、光学的に透過性の多層研磨パッド材料は、1000μm以上(例えば、2000μm以上、又はなお3000μm以上)の厚さを有する研磨パッド(例えば、積層研磨パッド)内に位置付けられる場合に、少なくとも10μm以上(例えば、50μm以上、100μm以上、200μm以上、又はなお500μm以上)の全体厚さ(すなわち、第1の透過層の頂部表面から第2の透過層の底表面まで)を有する。好ましくは、光学的に透過性の多層研磨パッド材料は、1250μm以上(例えば、1600μm以上)の厚さを有する研磨パッド用に350μm以上(例えば、500μm以上)の厚さを有する。光学的に透過性の多層研磨パッド材料の各層の厚さは、同じか又は異なることができる。一般的に、光学的に透過性の多層研磨パッド材料の第1の層は、光学的に透過性の多層研磨パッド材料の全体厚さの少なくとも10%以上(例えば、20%以上、又は30%以上)である厚さを有する。同様に、光学的に透過性の多層研磨パッド材料の第2の層は、光学的に透過性の多層研磨パッド材料の全体厚さの少なくとも10%以上(例えば、20%以上、又は30%以上)である厚さを有する。
第2の実施形態の光学的に透過性の多層研磨パッド材料が中に置かれる研磨パッドは、任意の好適なポリマー樹脂を含むことができる。例えば、研磨パッドは、一般的に、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ナイロン、エラストマー系ゴム、エラストマー系ポリエチレン、それらのコポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択されるポリマー樹脂を含む。研磨パッドは、焼結、射出成形、ブロー成形、及び押出成形などを含む任意の好適な方法により製造することができる。研磨パッドは固形及び非多孔質であることができ、微小孔性独立気泡を含有することができ、開放気泡を含有することができ、又はポリマーがその上に成形されている線維性ウエブを含有することができる。研磨パッドは、一般的に、不透明であるか又は部分的にだけ半透明である。
第2の実施形態の光学的に透過性の多層研磨パッド材料を含む研磨パッドは、任意に、さらに、研磨パッドの表面にわたり研磨組成物の側方輸送を容易にする溝、チャンネル、及び/又は穿孔を含む研磨表面を有する。こうした溝、チャンネル、又は穿孔は、任意の好適なパターンにあることができると共に、任意の好適な深さ及び幅を有することができる。研磨パッドは、2以上の異なる溝パターン、例えば、米国特許第5,489,233号明細書に記載されているように、大きな溝と小さな溝の組合せを有することができる。溝は、傾いた溝、同心溝、螺旋又は円形溝、XY斜交平行線模様の形態にあることができると共に、接続において連続か又は非連続であることができる。好ましくは、研磨パッドは、少なくとも標準パッド調整法により製造される小さな溝を含む。又は他の適するパターンの形状にあることができる。
第2の実施形態の光学的に透過性の多層研磨パッド材料を含む研磨パッドは、光学的に透過性の多層研磨パッド材料に加えて1以上の他の態様又は成分を含むことができる。例えば、研磨パッドは、任意に、異なる密度、硬度、気孔率、及び化学組成物の領域を含むことができる。研磨パッドは、任意に、研磨粒子(例えば、金属酸化物粒子)、ポリマー粒子、水溶性粒子、吸水性粒子、及び中空粒子などを含む固形粒子を包含することができる。
本発明の研磨パッドは、化学機械研磨(CMP)装置と併せての使用に適する。一般的に、装置は、使用時、動いており、環状、線形、又は円形運動に起因する速度を有するプラテン、プラテンに接触し、動いている時にプラテンと共に動く本発明の研磨パッド、及び、接触し研磨パッド表面に相対して動くことにより研磨しようとする加工物を保持するキャリヤーを含む。加工物の研磨は、加工物を研磨パッドに接触して置き、次に、研磨パッドが加工物を研磨するために少なくとも加工物の一部を薄く削るために、一般的にそれらの間の研磨組成物と共に加工物に相対して動くことにより行われる。研磨組成物は、一般的に、液体キャリヤー(例えば、水性キャリヤー)、pH調整剤、及び任意に研磨剤を含む。研磨しようとする加工物のタイプに応じて、研磨組成物は、任意に、さらに、酸化剤、有機酸、錯化剤、pH緩衝液、界面活性剤、腐食防止剤、及び消泡剤などを含むことが可能である。CMP装置は、それらの多くが当技術分野で公知である任意の好適なCMP装置であることができる。本発明の研磨パッドは、また、線形研磨工具と共に用いることができる。
望ましくは、CMP装置は、さらに、それらの多くが当技術分野で公知である原位置研磨端点検出システムを含む。加工物表面から反射される分光又は他の放射線により研磨工程を検査し監視するための技術は当技術分野で公知である。こうした方法は、例えば、米国特許第5,196,353号明細書、米国特許第5,433,651号明細書、米国特許第5,609,511号明細書、米国特許第5,643,046号明細書、米国特許第5,658,183号明細書、米国特許第5,730,642号明細書、米国特許第5,838,447号明細書、米国特許第5,872,633号明細書、米国特許第5,893,796号明細書、米国特許第5,949,927号明細書、及び米国特許第5,964,643号明細書に記載されている。望ましくは、研磨しようとする加工物に関する研磨工程の進捗の検査又は監視は、研磨端点の決定、すなわち、特定の加工物に関する研磨工程を何時終わらせるかの決定を可能とする。
本発明の多層研磨パッド材料を含む研磨パッドは、多くのタイプの加工物(例えば、基板又はウエハー)及び加工物材料を研磨する上での使用に適する。例えば、研磨パッドは、記憶装置、半導体基板、及びガラス基板を含む加工物を研磨するために用いることができる。研磨パッドによる研磨用に適する加工物には、メモリ又はハードディスク、磁気ヘッド、MEMSデバイス、半導体ウエハー、電界放出ディスプレイ、及び他のマイクロ電子基板、特に絶縁層(例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は低誘電体)及び/又は金属含有層(例えば、銅、タンタル、タングステン、アルミニウム、ニッケル、チタン、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム又は他の貴金属)を含むマイクロ電子基板が挙げられる。
本発明の多層研磨パッド材料は、任意の好適な方法により調製することができる。1つの好適な方法は、少なくとも層の1つが少なくとも部分的に溶解している間に層の同一の広がりを有する面を接触させることにより、研磨パッド材料層を結合することを含む。例えば、研磨パッド層間の相互接続は、融合(例えば、超音波溶接)、熱結合、放射線活性化接合、積層、又は同時押出成形により作り出すことができる。好ましい方法は同時押出成形である。押出成形は、一般的に高い温度及び/又は圧力下で、ポリマーペレットを成形金型に通して押出すことにより、ポリマーシート又はフィルムを形成することを含む。同時押出成形において、2以上のポリマー樹脂層は、2以上の押出成形機金型の使用を通して同一の広がりを有する多層ポリマーシートとして形成される。同時押出成形により形成される多層ポリマーシートは、望ましい用途に応じて任意の好適な数の層を有することができる。
別の適する方法は、単層ポリマーシート(例えば、単層研磨パッド)の1つの面又は両面を、単層ポリマーシートの1つの面又は両面の物理的特性を変える工程にかけることを含む。例えば、固形ポリマーシートは、多孔性がポリマーシートの1つの面中に導入され、接着剤の使用なしで固形層に付着される多孔質層を有する2層ポリマーシート(例えば、2層研磨パッド)をもたらすように、選択的に発泡することができる。固形ポリマーシートは、また、固形中間層及び多孔質の上層及び底層を有する3層ポリマーシート(例えば、3層研磨パッド)を製造するために、両面上で選択的に発泡することができる。
多層研磨パッド材料を製造する1つの適する方法は、(i)ポリマーシートを、所定の時間帯にわたり、超臨界ガスの存在下で高圧下に置き、(ii)シートをポリマーシートのガラス転移温度(Tg)を超える温度にさらすことにより、ポリマーシートを発泡させる段階を含む。ポリマーシートは、固形ポリマーシート又は多孔質ポリマーシートであることができる。段階(i)における圧力は任意の好適な圧力であることができると共に、ポリマーシートのタイプ及び超臨界ガスのタイプに応じて決まる。例えば、ポリマーシートが熱可塑性ポリウレタンを含む場合に、圧力は1.5MPa〜10MPa間(例えば、2MPa〜8MPa間)であることが好ましい。超臨界ガスは、ポリマー中の十分な溶解度を有する任意の好適なガス(例えば、N2又はCO2)であることができ、好ましくはCO2である。望ましくは、超臨界ガスは少なくとも0.1mg/g(例えば、1mg/g、又は10mg/g)の溶解度を有する。所定量の時間は、ポリマーシート中へのガス吸収速度及び望ましい吸収度により決定される。一般的に、時間量は1時間以上(例えば、2時間以上、又はなお5時間以上)である。発泡温度は任意の好適な温度であることができる。発泡温度は、少なくとも1つには、ポリマーシートのTgに応じて決まる。発泡温度は、一般的に、ポリマーシートのTgと融解温度(Tm)間にあるが、ポリマーシートのTmを超える発泡温度もまた用いることができる。
1つの好ましい実施形態において、ポリマーシートは超臨界ガスを均一に吸収することができない。例えば、超臨界ガスは、ポリマーシートの外側部分のみが超臨界ガスを吸収するように、吸収時間を限定することによりポリマーシート中に部分的にのみ吸収することができる。こうした方法は、さらに、ポリマーシート中への超臨界ガスの拡散を遅らせるように、超臨界ガス吸収の前にポリマーシートを冷却する段階を含むことができる。あるいは、超臨界ガス吸収は、ポリマーシート中への超臨界ガスの吸収を防止するか又は限定することができる、薄膜、フォイル、厚い基板、又は他の適する材料などの超臨界ガスバリア材料を適用することにより、ポリマーシートの一面に沿って限定するか又は防止することができる。一部の実施形態において、バリア材料はポリマーシートである。より多くの超臨界ガスを吸収したポリマーシートの部分は、より少ない超臨界ガスを吸収した、又は全く超臨界ガスを吸収しなかった残りの部分よりも高い気孔率を有する。
本発明の多層研磨パッド材料を製造する一層好ましい方法は、(i)ポリマーシートを、所定の時間帯にわたり、超臨界ガスの存在下で高圧下に置き、(ii)ポリマーシートを放置して部分的に超臨界ガスを脱着し、及び(iii)シートをポリマーシートのTgを超える温度にさらすことにより、部分的に脱着したポリマーシートを発泡させることを含む。段階(i)及び(iii)は、上述の条件下で行うことができる。超臨界ガスを脱着したポリマーシートの部分は、超臨界ガスを保持した残りの部分に較べてより低い気孔率を有する。一部の実施形態において、ポリマーシートは、望ましくは、段階(i)の間、超臨界ガスにより飽和される。一般に、ポリマーシートは一般的に60時間以下(例えば、40時間以下、又は30時間以下)で十分に飽和される。脱着段階は、任意の好適な温度及び任意の好適な圧力で行うことができる。一般的に、脱着段階は室温及び大気圧で行われる。ポリマーシートからのガス脱着速度は、温度を上げるか(脱着速度を増大させるため)又は温度を下げる(脱着速度を下げるため)ことにより制御することができる。脱着段階に必要とされる時間量は、ポリマータイプならびに脱着条件(例えば、温度及び圧力)に依存し、一般的に5分以上(例えば、10分以上)である。
別の好ましい方法において、ポリマーシートは、ポリマーシートの異なる面に適用される温度の制御を通して選択的に発泡される。ポリマーシート中の発泡程度が1つには温度に関係しているので、固形ポリマーシートのいずれかの面に対して異なる温度を適用することは、そのポリマーシート内の二つの異なる発泡度(例えば、異なる気孔率及び/又は異なる孔サイズ)を引き起こすことができる。従って、本方法は、(i)第1の面及び第2の面を有するポリマーシートを、所定の時間帯にわたり、超臨界ガスの存在下で高圧下に置き、(ii)ポリマーシートの第1の面を、ポリマーシートのTgを超える第1の温度下に置き、(ii)ポリマーシートの第2の面を、第1の温度未満である第2の温度下に置き、及び(iii)ポリマーシートを発泡させることを含む。第2の温度はポリマーシートのTg未満であることができ、それによって、ポリマーシートのその面の発泡を実質的に防止するか、又は第2の温度はポリマーシートのTgを超えるが、第2の面が第1の面よりも少ない発泡を行うように、ポリマーシートの第1の面の温度未満であることができる。この方法は、任意に、さらに、上述のように脱着段階を含む。この方法の1つの実施形態において、固形ポリマーシートの第1の面は急速熱焼きなましにさらされて発泡し、一方で、ポリマーシートの第2の面は実質的に室温に保持され、発泡せず、非多孔質のままである。
関連技術において、異なる物理的特性(例えば、異なるTgの)を有する異なるポリマー樹脂を含有する層を含む多層ポリマーシートは、同じ発泡法にかけることができる。特に、本方法は、(i)多層ポリマーシートを、所定の時間帯にわたり、超臨界ガスの存在下で高圧下に置き、(ii)多層ポリマーシートをポリマーシートの少なくとも1つの層のTgを超える温度にさらし、及び(iii)ポリマーシートを発泡させる段階を含む。研磨パッド層が異なる熱特性を有する場合に、各層における発泡度は異なる。従って、研磨パッド各層は、同じ発泡条件を用いて発泡されるにもかかわらず、異なる気孔率を得ることができる。発泡法及び条件は、上述のいずれのものであってもよい。同様に、単層多孔質研磨パッドは、研磨パッドの1つ又は両面の多孔性を排除するか、又は低下させるように処理することができ、それによって、固形層及び多孔質層を含む研磨パッドを作り出す。
従来の方法は、一般に、固形ポリマーシートを選択的に多孔質ポリマーシートに変換することを含む。本発明の多層研磨パッド材料を製造するための代替アプローチは、多孔質ポリマーシートを非多孔質ポリマーシートに選択的に変換することを含む。詳細には、この方法は、単層多孔質ポリマーシートの1つ又は両面を、ポリマーが流れ、空隙を埋め始めるように、ポリマーのTgを超える温度にさらすことを含む。従って、ポリマーシートの1つ又は両面上の孔の数は下げられて、より低い気孔率を有するか、又はなお多孔性を全く有さないポリマー層を形成することができる。例えば、多孔質ポリマーシートは、ポリマーシートの一面上で選択的に焼きなましすることができ、ポリマーシートの1つ又は両面を加熱する焼結帯を通過することができ、又はポリマーシートの1以上の層を選択的に冷却する金型中で加熱することができる。これらの技術を用いて、多様な多層研磨パッドは接着剤層の必要性なしで製造することができる。特に、固形層及び多孔質層を含む2層研磨パッド、ならびに固形中間層及び多孔質の上及び下層、又は逆に固形の上及び下層を有する多孔質中間層は、製造することができる。
本発明の多層研磨パッド材料を製造する場合に層間の構造境界を最小化することは望ましい。同時押出成形多層研磨パッド中に、層間のポリマー重複の領域により定義される、第1の層と第2の層間の構造境界が存在する。しかし、異なる物理的特性を有するために1つ又は両面上で選択的に変性される単層ポリマーシートを利用する他の技術、例えば、上述の発泡技術は、こうした明確な構造境界を引き起こさない。構造境界の不在は改善された層割れ抵抗及びより良い研磨一貫性をもたらす。
以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、しかし、勿論、決してその範囲を限定するとして解釈されるべきではない。
[実施例1]
この実施例は、接着剤の使用なしで非多孔質層に結合される多孔質層を含む本発明の多層研磨パッドを製造する方法を説明する。
平均厚さ1500μmを有する固形熱可塑性ポリウレタンシート(試料A及びB)を、室温及び5MPa圧力でCO2(約50mg/熱可塑性ポリウレタン試料g)により飽和した。時間の関数としてのCO2取り込み量のプロットを図7に示す。CO2飽和試料A及びBを、次に、それぞれ20分及び120分間にわたり室温及び大気圧で保持し、その間に、ポリマーシートからのCO2の部分脱着が起こった。時間の関数としてのCO2損失のプロットを図8に示す。試料からのCO2損失量は、それぞれ、4.5mg/熱可塑性ポリウレタン試料g(9%)及び13.5mg/g(27%)であった。部分脱着後、試料A及びBを93℃で発泡させた。発泡試料A及びBのSEM画像を、それぞれ、図9及び10に示す。試料Aは1500μmの全体平均厚さを有し、50μmの固形研磨パッド層及び1450μmの多孔質研磨パッド層を含む。試料Bは1500μmの全体平均厚さを有し、200μmの固形研磨パッド層及び1300μmの多孔質研磨パッド層を含む。
この実施例は、接着剤層の使用を必要とすることなしで、本発明の多層研磨パッドを調製するための方法を実証する。
[実施例2]
この実施例は、該研磨層が底層のそれよりも大きな平均表面粗さを有する、接着剤の使用なしで多孔質底層に結合される多孔質研磨層を含む、本発明の多層研磨パッドを製造する方法を説明する。
二つの研磨パッド材料を以下の方法により調製した。一連の熱可塑性ポリウレタン(TPU)発泡シート(2A、2B、2C、及び2D)を押出成形法により製造した。各TPUシートを、2.2〜4のPDI、及び2〜10範囲のRPIでの50,000g/モル〜150,000g/モルの重量平均分子量を有するTPUを用いて調製した。各ケースにおいて、TPUを、高い温度及び圧力で32/1L/D単軸スクリューを備えた6.35cm(2.5インチ)スクリュー径を有する押出成形機中に置いて、ポリマー・メルトを形成した。二酸化炭素ガスを高い温度及び圧力下でポリマー・メルト中に注入し、ポリマー・メルトと混合して単相溶液を形成する超臨界流体CO2の形成をもたらした。CO2/ポリマー溶液を94cm(37インチ)幅の金型を通して押出成形して、多孔質発泡シートを形成した。CO2濃度は、シート2A、2B、2C、及び2Dに対して、それぞれ、1.7%、1.7%、1.8%、及び1.8%であった。
押出成形機の各領域、ゲート、金型の温度、及び融解温度、金型圧力、スクリュー速度、CO2濃度、及びシート寸法を表1にまとめる。
Figure 0005221340
セルサイズの良好な均一性(±25μm)を有する多孔質TPU発泡シートを、表1に示す各一連の押出成形パラメータを用いて製造した。シート2Aの一部を、シート2Bが実質的に金型からの押出し直後にはまだ部分的に融解した状態にある間にシート2Bの一部と併せて一対のニップ・ローラー(0.1397mm)を通して供給した。2シート上のニップ・ローラーの圧力は、2層の融合をもたらして、本明細書においてパッド2A/Bとして指定される本発明の多層研磨パッドを形成した。同様に、シート2Cの一部を、シート2Dが実質的に金型からの押出し直後にはまだ部分的に融解した状態にある間にシート2Dの一部と併せて一対のニップ・ローラー(0.1523mm)を通して供給した。2シート上のニップ・ローラーの圧力は、2層の融合をもたらして、本明細書においてパッド2C/Dとして指定される本発明の多層研磨パッドを形成した。
得られるシートからパッド試料を切り出すと共に、この実施例の多層研磨パッド(すなわち、パッド2A/B及びパッド2C/D)の特性は、以下の表2及び3に示す特性を有した。一部の試料の特性を「現状のまま」(バフ前と記される)測定し、一方で、他の特性をバフ研磨後(バフ後と記される)測定した。研磨層の表面から材料の5〜7ミルを、及び底層の表面から2〜3ミルを除去するために(例えば、望ましくない材料、又は存在するならばあらゆる表面薄層を除去するために)、バフ研磨を押出成形された多層シートの両面上で行った。表2及び3中で、「サイドA」はシート2Aから形成されるパッド2A/Bの底層を指し、「サイドB」はシート2Bから形成されるパッド2A/Bの研磨層を指し、「サイドC」はシート2Cから形成されるパッド2C/Dの底層を指し、及び「サイドD」はシート2Dから形成されるパッド2C/Dの研磨層を指す。
Figure 0005221340
表2中、「圧縮率%」は圧縮率パーセント(エームス)である。
Figure 0005221340
表3において、貯蔵弾性率、損失弾性率、及びタンジェントデルタ(タンデルタ)用の値は、第1の加熱での値/第2の加熱での値の形をとって第1及び第2両方の加熱に対して示される。
接着剤層により結合される研磨層及び底層を含む従来技術の多層研磨パッドの横断側面図を示す。 接着剤使用なしで結合される研磨層及び底層を含む本発明の多層研磨パッドの横断側面図を示す。 底層が光学的に透過性であり、研磨層の一部が光学的検出孔を現すように除去されている、研磨層及び底層を含む本発明の多層研磨パッドの横断側面図を示す。 接着剤使用なしで結合される研磨層、中間層、及び底層を含む本発明の多層研磨パッドの横断側面図を示す。 中間層が光学的に透過性であり、研磨層及び底層の一部が光学的検出孔を現すように除去されている、研磨層、中間層、及び底層を含む本発明の多層研磨パッドの横断側面図を示す。 窓部分の層が接着剤使用なしで結合され、窓部分が研磨パッド中に溶接される多層の光学的透過性窓部分を含む研磨パッドの横断側面図を示す。 固形ポリウレタンシートのCO2飽和に対するCO2濃度(mg/g)対時間(時間)のプロットである。 固形ポリウレタンシートのCO2脱着に対するCO2濃度(mg/g)対時間(分)のプロットである。 CO2脱着20分後93℃で発泡させることにより製造される多層研磨パッドのSEM画像である(試料A)。 CO2脱着120分後93℃で発泡させることにより製造される多層研磨パッドのSEM画像である(試料B)。 接着剤使用なしで結合される低及び高気孔率の層を示す同時押出成形により製造される多層研磨パッドのSEM画像である。

Claims (19)

  1. 多孔質の研磨層と多孔質の底層とを含む化学機械研磨用の多層研磨パッドであって、該底層が該研磨層とほぼ同一の広がりを有し、該研磨層と該底層の界面が接着剤なしであるように該研磨層が該底層と直接相互連結され、該研磨層が該底層の平均表面粗さRaよりも大きな平均表面粗さRaを有し、走査型電子顕微鏡法による測定で、前記研磨層が10 4 セル/cm 3 を超える孔セル密度を有し、前記底層が10 4 セル/cm 3 未満の孔セル密度を有する、多層研磨パッド。
  2. 前記研磨層及び前記底層が、それぞれ15〜50μmの範囲にある平均セル径を有する複数の孔セルを含む、請求項1に記載の多層研磨パッド。
  3. 前記研磨層のRaが25μmを超える、請求項1に記載の多層研磨パッド。
  4. 前記底層のRaが20μm未満である、請求項1に記載の多層研磨パッド。
  5. 前記研磨層のRaが25μmを超え、かつ前記底層のRaが20μm未満である、請求項1に記載の多層研磨パッド。
  6. 前記研磨層が第1のポリマー樹脂を含み、前記底層が第2のポリマー樹脂を含む、請求項1に記載の多層研磨パッド。
  7. 前記研磨層が熱可塑性ポリウレタンを含み、前記底層がポリカーボネート、ナイロン、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアラミド、ポリアリーレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、これらの任意のコポリマー、及びこれらの混合物からなる群より選択されるポリマー樹脂を含む、請求項に記載の多層研磨パッド。
  8. 前記底層及び前記研磨層が、それぞれ熱可塑性エラストマー、熱硬化性ポリマー、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ナイロン、エラストマー系ゴム、エラストマー系ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアラミド、ポリアリーレン、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、これらの任意のコポリマー、及びこれらの混合物からなる群より選択されるポリマー樹脂を含む、請求項1に記載の多層研磨パッド。
  9. 前記ポリマー樹脂が熱可塑性ポリウレタンである、請求項に記載の多層研磨パッド。
  10. 前記研磨層と前記底層の間に配置される1つ又は複数の中間層をさらに含み、該1つ又は複数の中間層が該研磨層及び該底層とほぼ同一の広がりを有し、該研磨層、該1つ又は複数の中間層及び該底層の各接触面が機械的に連結される、請求項1に記載の多層研磨パッド。
  11. 前記研磨層と前記底層の間に配置される1つ又は複数の中間層をさらに含み、該1つ又は複数の中間層が該研磨層及び該底層とほぼ同一の広がりを有し、該研磨層、該1つ又は複数の中間層及び該底層の各接触面が互いに融合される、請求項1に記載の多層研磨パッド。
  12. 多孔質の研磨層と多孔質の底層とを含む化学機械研磨用の多層研磨パッドであって、これらの層間の界面が接着剤なしであるように該底層が該研磨層とほぼ同一の広がりを有し、該研磨層及び該底層が、それぞれ15〜50μmの範囲にある平均孔径を有する複数の孔セルを含み、走査型電子顕微鏡法による測定で、該研磨層が104セル/cm3を超える孔セル密度を有し、該底層が104セル/cm3未満の孔セル密度を有する、多層研磨パッド。
  13. 前記研磨層及び前記底層がそれぞれ同じポリマー樹脂を含む、請求項12に記載の多層研磨パッド。
  14. 前記ポリマー樹脂が熱可塑性ポリウレタンである、請求項13に記載の多層研磨パッド。
  15. 前記研磨層と前記底層の間に配置される1つ又は複数の中間層をさらに含み、該1つ又は複数の中間層が該研磨層及び該底層とほぼ同一の広がりを有し、該研磨層、該1つ又は複数の中間層及び該底層が互いに融合される、請求項12に記載の多層研磨パッド。
  16. (a)回転するプラテン、
    (b)該回転するプラテンに取り付けられる請求項1に記載の多層研磨パッド、及び
    (c)回転する多層研磨パッドと接触することにより研磨すべき加工物を保持するキャリヤー
    を備えた、化学機械研磨装置。
  17. 加工物を請求項1に記載の多層研磨パッドの研磨表面と接触させる工程、及び
    該加工物に対し該研磨パッドを動かして該加工物を削り、それによって該加工物を研磨する工程
    を含む、加工物を研磨する方法。
  18. 多孔質の研磨層と多孔質の底層の少なくとも一方が部分的に融解している間に該研磨層の表面を該底層の表面に押し付け、それによって該研磨層を該底層に固定する工程を含み、該研磨層が該底層の平均表面粗さRaよりも大きな平均表面粗さRaを有する、請求項1に記載の研磨パッドを製造する方法。
  19. 前記研磨層と前記底層の少なくとも一方が押出成形された高分子発泡体である、請求項18に記載の方法。
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