JP5220715B2 - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体に関する。より詳しくは、耐衝撃性及び引張伸び等の機械的特性並びに導電性に優れ、成形外観が良好なフィルムやシート等を与える成形性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体に関する。
近年、エレクトロニクス技術の発展により、情報処理装置及び電子事務機器が急速に普及している。これに伴い、電子部品から発生するノイズが周辺機器に影響を与える電磁波障害、静電気による誤作動等のトラブルが増加し、大きな問題となりつつある。
これらの問題の解決のため、導電(帯電防止)性や制電性に優れた材料が要求されている。高分子材料は導電性が低いため、これに導電性フィラー等を配合して、導電性を高めた高分子材料が広く利用されている。
ポリカーボネート樹脂は、その優れた耐熱性、機械的、物理的性質より、電気、電子機器部品、精密部品をはじめとして広く利用されている。このように優れた特性を有するポリカーボネート樹脂にカーボンブラックを配合して導電性を付与することが行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の組成物には、ポリカーボネート樹脂に比べて耐熱性が著しく劣るスチレンブタジエン系共重合体を配合しているので、耐熱性が要求されるフィルムやシートを成形する場合に、該成形工程で樹脂の劣化や分解が容易に起こり、得られるフィルムやシートの耐熱性はポリカーボネート樹脂自体の耐熱性よりも劣化する。また、特許文献2及び3に記載の組成物には、さらにポリエチレン樹脂、ガラス繊維及び炭素繊維を充填しているので、これらの組成物をフィルムやシートに成形することは困難であり、得られる成形体の表面平滑性は著しく不良である。
ポリカーボネート樹脂への導電性付与を目的として、ポリカーボネート樹脂にDBP吸油量が300ml/100g以上のカーボンブラックを配合してフィルムやシートを成形すると安定した導電性は得られる。しかし、カーボンブラック自体が難分散性であるため未分散の凝集塊によりその成形品の表面状態が不良となることがわかった。つまり、表面に目視にて確認できる突起が多数あり、表面が平滑な導電性フィルム及びシートを得ることは困難である。
また、比較的良分散性のDBP吸油量が300ml/100g未満のカーボンブラックを配合してフィルム及びシートを成形すると、その成形品の表面状態は改良出来るが、安定した導電性を得るためにはカーボンブラックの添加量を多くしなければならなく、その結果として、強度が著しく低下する。
すなわち、ポリカーボネート樹脂に安定した導電性の付与を目的にカーボンブラックを配合してフィルム及びシートを成形するには、表面平滑性か樹脂強度のどちらかを犠牲にせざるを得ないのが現状であった。これらのことからポリカーボネート樹脂の優れた特性を活かしつつ、表面平滑性に優れた導電性フィルム及びシートを得ることは困難であった。
上述の問題を解決する為に、ポリカーボネート及びカーボンナノチューブと、難燃剤を配合してなる樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献4及び5参照)。しかしながら、これら樹脂組成物を用いて成形外観が良好なフィルムやシートを成形することや、ポリカーボネート樹脂/ポリブチレンアジペート系ポリエステル及び/又はポリカプロラクトン/カーボンナノチューブの組み合わせについては記載がない。
また、導電性能を発現させるため、ポリカーボネートにカーボンナノチューブを多量に配合すると、外観不良を招き、耐衝撃強度の低下を引き起こす等のおそれがある。
特開平2−199143号公報 特開平3−155007号公報 特開平4−153257号公報 特開2003−221510号公報 特開2004−182842号公報
本発明は、上記のような状況に鑑みなされたもので、芳香族ポリカーボネートの特性を維持しつつ、優れた導電性を有し、成形外観が良好な成形体を与える芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、鋭意検討を進めた結果、芳香族ポリカーボネート、カーボンナノチューブ及びポリブチレンアジペート系樹脂やポリカプロラクトンを特定の割合で含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物により上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体を提供する。
1.(A)芳香族ポリカーボネートが99〜60質量%及び(B)(b−1)ポリブチレンアジペート系樹脂及び/又は(b−2)ポリカプロラクトンが1〜40質量%からなる樹脂成分100質量部に対し、(C)カーボンナノチューブを0.1〜30質量部を含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
2.(b−1)ポリブチレンアジペート系樹脂が、ポリブチレンアジペート樹脂又はポリブチレンアジペートとポリブチレンテレフタレートとの共重合体である上記1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
3.共重合体に含まれるブチレンアジペート単位が25モル%以上である上記2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
4.上記1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いてなる成形体。
5.上記1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いてなるシート。
6.上記1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いてなるフィルム。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、従来のポリカーボネート/カーボンナノチューブを含有する樹脂組成物よりも、耐衝撃性及び引張伸び等の機械的特性が向上し、導電性に優れ、かつ、成形外観が良好なフィルムやシート等の成形体を与えることができる。
[芳香族ポリカーボネート樹脂組成物]
((A)芳香族ポリカーボネート)
本発明における(A)芳香族ポリカーボネートは、耐熱性及び機械的特性が良好であるため樹脂組成物の主成分とすることができる。
(A)成分の粘度平均分子量は、樹脂組成物の物性面から、10,000〜40,000であることが好ましく、13,000〜30,000であることがより好ましい。
(A)成分としては、通常、二価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることができる。
二価フェノールとしては、様々なものを挙げることができるが、4,4'−ジヒドロキシジフェニル;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン及び2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕等のビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等を挙げることができる。これらのなかでも、ビスフェノールAが好ましい。また、二価フェノールとしては、これらの二価フェノール一種を用いたホモポリマーでも、二種以上を用いたコポリマーであってもよい。さらに、多官能性芳香族化合物を二価フェノールと併用して得られる熱可塑性ランダム分岐ポリカーボネートであってもよい。
カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、ハロホーメート、炭酸エステル等が挙げられ、具体的にはホスゲン、二価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等が挙げられる。
また、耐熱性及び耐衝撃性が上昇することから、(A)成分は下記一般式(1)で表される末端基を有するものであることが好ましい。このような末端基を有する芳香族ポリカーボネートは、例えば、塩化メチレン等の溶媒中において、トリエチルアミン等の触媒と下記一般式(2)で表される末端停止剤の存在下、上記二価フェノールと上記カーボネート前駆体との反応により製造することができる。
Figure 0005220715
上記式(1)及び(2)中、R1は炭素数1〜35のアルキル基を示し、直鎖状のものでも分岐状のものでもよく、炭素数10〜35のアルキル基がより好ましい。また、R1の結合の位置は、p位、m位、o位のいずれもよいがp位が好ましい。aは0〜5の整数を示す。
上記一般式(2)で表される末端停止剤としては、例えばフェノール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、ドコシルフェノール、テトラコシルフェノール、ヘキサコシルフェノール、オクタコシルフェノール、トリアコンチルフェノール、ドトリアコンチルフェノール、テトラトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。これらは一種でもよく、二種以上を混合したものでもよい。
なお、上記末端停止剤の存在下で製造される(A)成分は、実質的に分子の片末端又は両末端に一般式(1)で表される末端基を有するものである。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において(A)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分との合計量中60〜99質量%である。60質量%未満であると芳香族ポリカーボネート特有の物性が著しく低下し、99質量%超であると導電性向上効果が少なく、成形体(特にフィルム・シート)の外観が不良となる。好ましくは65〜97質量%である。
((B)ポリブチレンアジペート系樹脂及び/又はポリカプロラクトン)
本発明における(B)成分としては、(b−1)ポリブチレンアジペート系樹脂及び(b−2)ポリカプロラクトンをそれぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において(B)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分との合計量中1〜40質量%である。1質量%未満であると導電性向上効果が少なく、成形体(特にフィルム・シート)の外観が不良となり、40質量%超であると芳香族ポリカーボネート特有の物性が著しく低下する。好ましくは3〜35質量%である。
また、(A)成分と(B)成分とからなる樹脂成分については、ガラス転移温度(Tg)が50〜150℃程度の範囲であることが好ましい。
(b−1)成分及び(b−2)成分について下記に説明する。
〈(b−1)ポリブチレンアジペート系樹脂〉
(b−1)ポリブチレンアジペート系樹脂は、低融点、かつ結晶性のポリエステル樹脂である。
(b−1)成分のポリブチレンアジペート系樹脂としては、ポリブチレンアジペート樹脂、あるいはポリブチレンアジペートとポリブチレンテレフタレートとの共重合体のいずれも用いることができ、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
ポリブチレンアジペート樹脂は、通常、アジピン酸と1,4−ブタンジオールとを反応させることによって製造することができ、本発明の効果を得るためには、ゲルパーミエーション法(GPC法)で測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000〜50,000の範囲であることが好ましい。
ポリブチレンアジペートとポリブチレンテレフタレートとの共重合体は、該共重合体に含まれるブチレンアジペート単位が、好ましくは25モル%以上、より好ましくは35〜80モル%となるように共重合したものが好ましい。
上記割合でブチレンアジペート単位を含む共重合体を使用すると、(A)成分中での分散性が向上し、成形性が向上する点で好ましい。
〈(b−2)ポリカプロラクトン〉
(b−2)成分のポリカプロラクトンは、一般式 −[O(CH25CO]n− で表される脂肪族ポリエステルであり、ε−カプロラクトンを触媒存在下で開環重合して製造され、とりわけ2−オキセパノンのホモポリマーが好適に用いられる。
さらに、本発明において(b−2)成分としては、ε−カプロラクトンを開環重合させる際に、1,4−ブタンジオール等と共存させて変性したものや分子末端をエーテルあるいはエステル基等で置換した変性ポリカプロラクトンも含まれる。
(b−2)成分の粘度平均分子量としては、優れた機械的特性を得る観点から、好ましくは10,000〜100,000であり、より好ましくは40,000〜90,000である。
本発明において使用することができる(b−2)成分は、市販品として容易に入手可能で、ダイセル化学工業社製のセルグリーン(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
((C)カーボンナノチューブ)
本発明における(C)カーボンナノチューブは、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の導電性を向上させるために含有される成分であり、カーボンナノチューブの特性を発揮させるためには樹脂組成物中で十分に分散させる必要がある。また、(C)成分を含有することにより、(A)成分/(B)成分の相構造が安定化され、溶融時の(B)成分の再凝集や成形時のドメイン配向を低減することができる。
本発明の(C)成分は、炭素からなる、平均繊維径が5〜150nm程度で、平均繊維長が1〜50μm程度の円筒状の中空繊維状物質であり、好ましくは平均繊維径が10〜150nm、平均繊維長が1〜10μmである。(C)成分の平均繊維径が5nm以上であれば、分散が容易であり、導電性が上昇し、150nm以下であれば、成形体の外観が良好で、導電性も上昇する。また、(C)成分の平均繊維長が1μm以上であれば、導電性が上昇し、50μm以下であれば、分散が容易となり、成形体の外観が良好となる。
さらに、燃焼残渣の増量、ドリップの防止の観点より、カーボンナノチューブに不純物として含まれる非晶カーボン粒子は15質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。非晶カーボン粒子を15質量%以下にすることにより、燃焼残渣量が増加するとともに、ドリップの防止に効果がある。
(C)成分としては、公知の種々のカーボンナノチューブを用いることができ、ゼオライトの細孔に鉄やコバルト系触媒を導入した触媒化学気相成長法(CCVD法)、気相成長法(CVD法)、レーザーアブレーション法、炭素棒・炭素繊維等を用いたアーク放電法等によって製造することができる。
カーボンナノチューブの末端形状は、必ずしも円筒状である必要はなく、例えば、円錐状等変形していても差し支えない。また、カーボンナノチューブの末端が閉じた構造でも、開いた構造のどちらでも用いることができるが、好ましくは末端が開いた構造のものが良い。カーボンナノチューブの末端が閉じた構造のものは、硝酸等化学処理をすることにより開口することができる。さらに、カーボンナノチューブの構造は、多層でも単層でもよい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物における(C)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分とからなる樹脂成分100質量部に対し、0.1〜30質量部である。0.1質量部未満では導電性の効果が発現せず、30質量部を超えると導電性が急激に低下し著しい物性低下を引き起こす。好ましくは0.3〜20質量部であり、さらに好ましくは0.4〜10質量部、特に好ましくは0.5〜5質量部である。
(その他の添加剤)
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、上記の(A)〜(C)成分の他に、成形体に要求される特性に応じて、添加剤の適宜量を含有させることができる。このような添加剤としては、例えば、可塑剤、安定剤、無機充填剤、難燃剤、シリコーン系化合物、フッ素樹脂等が挙げられる。添加剤の添加量は、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の特性が維持される範囲であれば特に制限はない。
[芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、上記の(A)〜(C)成分、必要に応じて用いられる添加剤を配合し、溶融混練することにより得ることができる。また、樹脂ペレットの形状とすることかできる。上記の配合、溶融混練は、例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等を用いる方法により行うことができる。溶融混練に際しての加熱温度は、通常220〜280℃の範囲で適宜選定される。
[成形体]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いてなる成形体は、上記の溶融混練物、あるいは、得られた樹脂ペレットを原料として、公知の成形方法、例えば中空成形法、射出成形法、押出成形法、真空成形法、圧空成形法、熱曲げ成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、回転成形法等の成形法を適用することができる。
また、フィルムやシートを作製するには、Tダイ押出機やインフレーションフィルム成形機、二軸延伸フィルム成形機等の成形機を用いることができる。この際の混練条件及び成形条件は通常のポリカーボネート樹脂組成物の成形条件と同じでよく、加熱温度は230〜280℃の範囲で適宜選定される。
成形されたフィルム及びシートは、通常、厚さが2mm以下であり、好ましくは1mm以下、より好ましくは500〜20μmである。2mmを超える厚さのフィルム及びシートでは二次成形が困難である。
上記の成形法により、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を、成形外観の優れたフィルム及びシートとすることができる。
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
後述の実施例及び比較例で得られたサンプルの物性測定及び評価は、以下の方法により行った。
[機械的物性]
・IZOD衝撃強度:ASTM D256に準拠して測定した。
試験条件:〔温度:23℃、成形品肉厚:3.2mm(1/8インチ)、ノッチ有り〕
・引張伸び:JIS K 7113に準拠して測定した。
試験条件:〔温度:23℃、成形品肉厚:3.2mm(1/8インチ)〕
[フィルム特性評価]
・表面固有抵抗率:JIS K 7194に準拠して測定した。
・外観:目視にて直径10μmの突起の有無より評価した。
○…突起が無く、良好である。
×…突起が多く見られ、不良である。
原料としては、以下のものを使用した。
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂
・タフロンA2600〔出光興産社製、粘度平均分子量:26500〕
(B)
(b−1)ポリブチレンアジペート系樹脂
・共重合体:ポリブチレンアジペート/ポリブチレンテレフタレート共重合体
エコフレックスF BX 7011〔BASF社製、共重合モル比50/50〕
・ポリブチレンアジペート樹脂:以下の方法により製造した
反応器に、アジピン酸1モル当量及び1,4−ブタンジオール1.1モル当量を仕込み、窒素気流下で150℃から230℃まで、1時間に10℃ずつ昇温し、生成する水を留去しながら撹拌しエステル化反応を行った。その後、230℃で2時間反応した後、重合触媒としてチタンテトライソプロポキシドを、アジピン酸及び1,4−ブタンジオールの合計量に対して100質量ppm加え、減圧度200Paで12時間反応させた。反応終了後、重合触媒の失活剤として、2−エチルヘキサン酸ホスフェートを、アジピン酸及び1,4−ブタンジオールの合計量に対して110質量ppm添加し、333Pa、220℃で1時間撹拌することによって、数平均分子量が29,000、重量平均分子量が38,000のポリブチレンアジペート樹脂を得た。
(b−2)ポリカプロラクトン
・ポリカプロラクトン:セルグリーンPH7〔ダイセル化学工業社製〕
(C)カーボンナノチューブ
・カーボンナノチューブ1:
マルチウォールカーボンナノチューブ バイチューブ C150P〔バイエル社製、平均繊維径13〜16nm、平均繊維長1〜10μm、両端開口、非晶カーボン粒子未検出〕
・カーボンナノチューブ2:
マルチウォールカーボンナノチューブ〔サンナノテック社製、平均繊維系50〜100nm、平均繊維長1〜10μm、両端開口、非晶カーボン粒子量15質量%〕
(その他)
・カーボンブラック:三菱カーボンM−100〔三菱カーボン社製〕
[実施例及び比較例]
各表に示す組成をタンブラーを用いて均一にブレンドした後、径35mmのベント付き二軸押出成形機(東芝機械株式会社製、TEM35)に供給し、温度280℃で混練し、ペレット化した。得られたペレットを80℃で10時間乾燥した後、射出成形機(東芝機械株式会社製、TEM35)を用いて、シリンダー温度280℃、金型80℃で射出成形して、評価用サンプルを得た。
得られた評価用サンプルの物性測定及び評価を前記の方法に従って行い、結果を表に示した。
Figure 0005220715
Figure 0005220715
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、耐衝撃性及び引張伸び等の機械的特性並びに導電性に優れ、特に、フィルムやシート等に成形しても、優れた機械的特性及び導電性を有しつつ、成形外観が良好であるため、OA機器、情報通信機器、家庭電化機器分野等に利用できる。

Claims (6)

  1. (A)芳香族ポリカーボネートが99〜60質量%及び(B)(b−1)ポリブチレンアジペート系樹脂及び/又は(b−2)ポリカプロラクトンが1〜40質量%からなる樹脂成分100質量部に対し、(C)カーボンナノチューブを0.1〜30質量部を含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. (b−1)ポリブチレンアジペート系樹脂が、ポリブチレンアジペート樹脂又はポリブチレンアジペートとポリブチレンテレフタレートとの共重合体である請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 共重合体に含まれるブチレンアジペート単位が25モル%以上である請求項2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いてなる成形体。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いてなるシート。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いてなるフィルム。
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