JP2004331777A - 縮重合コンポジット組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】カーボンナノチューブを含有し、電磁波吸収体または補強剤マスターバッチとして有用な縮重合コンポジット組成物、無機顔料を含有し、着色力が高く、カラーマスターバッチとして有用な縮重合コンポジット組成物を提供する。
【解決手段】縮重合体(ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリカーボネート)中にカーボンナノチューブが0.1〜60重量%含有され、均斉に分散した組成物。カーボンナノチューブの存在下、縮重合体を解重合したのち、縮重合させること、または、単量体を縮重合させることによって得られる。縮重合体中に無機顔料(カーボンブラック、酸化チタン、酸化第2鉄)が0.1〜60重量%含有され、均斉に分散した組成物。無機顔料の存在下、縮重合体を解重合したのち、縮重合させること、または、単量体を縮重合させることによって得られる。
【選択図】 なし
【解決手段】縮重合体(ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリカーボネート)中にカーボンナノチューブが0.1〜60重量%含有され、均斉に分散した組成物。カーボンナノチューブの存在下、縮重合体を解重合したのち、縮重合させること、または、単量体を縮重合させることによって得られる。縮重合体中に無機顔料(カーボンブラック、酸化チタン、酸化第2鉄)が0.1〜60重量%含有され、均斉に分散した組成物。無機顔料の存在下、縮重合体を解重合したのち、縮重合させること、または、単量体を縮重合させることによって得られる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来の方法ではポリマー中へ均斉に分散させることが困難な分散材を、新規な方法によりポリマー中に均斉に分散させることにより、分散材による効果を向上させたポリマー組成物およびその製造方法に関する。具体的には、本発明は、カーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物およびその製造方法に関する。本発明は、また、無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物およびその製造方法に関する。本発明は、射出成形品、モールド成形品、ブロー成形品、回転成形品、押出し成形品などの成形品に使用できる縮重合コンポジット組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブは、直径が数nmから数十nmでアスペクト比が大きく、導電性が優れた物質であり、ポリマーの補強材料、導電材料として使用できることが既に公知である。たとえば、特許文献1には、カーボンナノチューブを0.01〜2%(重量%、以下同様)含有する良導電性ポリマー組成物が記載されている。また、特許文献2には「導電性にすぐれたゴム組成物」が記載されており、このゴム組成物は、シランカップリング剤を使用し、ゴムにカーボンナノチューブを1〜50%混合したものである。さらに、特許文献3には「ゴム組成物」が記載されており、このゴム組成物は、凝集体の大きさ(径)が0.10〜0.25mmであるカーボンナノチューブをゴムに混合したゴム組成物である。
【0003】
特許文献1では、カーボンナノチューブの分散に押出し機を使用しているが、押出し機による方法では、カーボンナノチューブは、直径が微細でアスペクト比が大きく、見かけ比重が著しく小さく、絡まりやすいので、大きな塊になりやすく、混練してポリマー中に均斉に分散することが非常に困難であり、外観上もポリマー組成物に斑が発生しやすいという問題がある。また、カーボンナノチューブの凝集体が、均斉に分散していないため、ポリマーの流動性を阻害し、たとえば、射出成形品の薄肉部分の均一性を欠くという製造上の問題がある。
【0004】
一方、特許文献2および3では、カーボンナノチューブの分散にローラーミルを使用している。ローラーミルによる方法は、ゴム組成物の製造には好適であるが、通常、粘度が温度に敏感な熱可塑性樹脂(とりわけ縮重合体)を混練することは困難である。たとえば、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート・コテレフタレートなどの縮重合体である生分解性樹脂にカーボンナノチューブを混練することは困難である。
【0005】
カーボンナノチューブとしては、直径が10〜20nm、長さが100〜20,000nmの製品が、たとえば、米国のハイパリオンキャタリシスインターナショナルインコーポレーテッド(Hyperion Catalysis International, Inc.)から販売されている。そして、同社から、カーボンナノチューブを15〜20%混合した導電性マスターバッチが販売されている。このマスターバッチを使用したポリマー組成物は、カーボンナノチューブを3%以上混合することで、体積固有抵抗値が10〜102Ω・cmと優れた導電性を示すとされている。このように少量のカーボンナノチューブで導電性がよいということは、カーボンナノチューブが均斉に分散しておらず、分散が不充分な状態で、絡まりが残っていることを示している。
【0006】
ポリマーに着色性を付与するために、無機顔料(とりわけ、カーボンブラック、酸化チタン、酸化第2鉄などの凝集体を形成する無機顔料)を使用する場合についても、カーボンナノチューブを使用する場合と同様に、ポリマー中に均斉に分散させることが困難であるという問題がある。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第6,184,280号明細書
【特許文献2】
特開平2−232244号公報
【特許文献3】
特開平2−235945号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の方法ではポリマー中へ均斉に分散させることが困難な分散材を、新規な方法によりポリマー中に均斉に分散させることにより、分散材による効果を向上させたポリマー組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
具体的には、本発明は、カーボンナノチューブを含有し、たとえば、電磁波吸収体または補強剤マスターバッチとして有用な縮重合コンポジット組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。とりわけ、本発明は、カーボンナノチューブを含有し、機械的強度の高い縮重合コンポジット組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、カーボンナノチューブを含有し、耐熱性が高く、寸法安定性がよい縮重合コンポジット組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。本発明は、カーボンナノチューブを含有し、ポリマー添加剤(補強剤)として使用した場合に、ポリマー組成物が均一な流動性を示す縮重合コンポジット組成物およびその製造方法ならびに均一な流動性および高い強度を示すポリマー組成物を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は、また、無機顔料を含有し、たとえば、カラーマスターバッチとして有用な縮重合コンポジット組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。とりわけ、本発明は、無機顔料を含有し、着色力の高い縮重合コンポジット組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。本発明は、無機顔料を含有し、ポリマー添加剤(着色剤)として使用した場合に、ポリマー組成物が均一な流動性を示す縮重合コンポジット組成物およびその製造方法ならびに均一な流動性および良好な着色を示すポリマー組成物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来の方法ではポリマー中へ均斉に分散させることが困難な分散材を、新規な方法によりポリマー中に均斉に分散させることにより、分散材による効果を向上させたポリマー組成物およびその製造方法にかかわる。本発明では、たとえば、ポリマーとして縮重合体を使用し、分散材の存在下で、縮重合体を解重合したのち、縮重合させること、または、分散材の存在下で、単量体を縮重合または2量体を開環重合させることにより、縮重合体中に分散材が均斉に分散した縮重合コンポジット組成物を得る。
【0012】
具体的には、本発明は、縮重合体中にカーボンナノチューブが0.1〜60%含有され、縮重合体中にカーボンナノチューブが均斉に分散した縮重合コンポジット組成物にかかわる。前記縮重合体は、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルもしくはポリカーボネートまたはこれらの2種以上のコポリマーであることが好ましく、また、生分解性樹脂であることが好ましい。本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物は、カーボンナノチューブの99%以上が、相当する円の直径が500nm以下の2次凝集体として分散していることが好ましく、また、体積固有電気抵抗が1kΩ・cm以上であることが好ましい。本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物は、カーボンナノチューブの存在下、縮重合体を解重合したのち、縮重合させること、または、単量体を縮重合または2量体を開環重合させることによって得られる縮重合コンポジット組成物である。本発明は、さらに、ポリマー中に前記縮重合コンポジット組成物を2〜99%含有するポリマー組成物にかかわる。本発明は、さらにまた、カーボンナノチューブの存在下、縮重合体を解重合したのち、縮重合させること、または、単量体を縮重合または2量体を開環重合させることを特徴とする縮重合コンポジット組成物の製造方法にかかわる。
【0013】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物は、混合状態がミクロまで進み、連続相(縮重合体)が入り込んだ状態にあるコンポジット組成物であり、この点で、単なる縮重合体とカーボンナノチューブとの組成物と相違する。
【0014】
本発明は、また、縮重合体中に、無機顔料が0.1〜60%含有され、縮重合体中に無機顔料が均斉に分散した縮重合コンポジット組成物にかかわる。前記縮重合体は、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルもしくはポリカーボネートまたはこれらの2種以上のコポリマーであることが好ましく、また、生分解性樹脂であることが好ましく、とりわけ、生分解性樹脂を構成する単量体の50%以上が乳酸であることが好ましい。前記縮重合コンポジット組成物は、無機顔料の99%以上が、相当する円の直径が500nm以下の2次凝集体として分散していることが好ましい。前記縮重合コンポジット組成物は、無機顔料の存在下、縮重合体を解重合したのち、縮重合させること、または、単量体を縮重合させることによって得られる縮重合コンポジット組成物である。本発明は、さらに、ポリマー中に前記縮重合コンポジット組成物を1〜99%含有するポリマー組成物にかかわる。
【0015】
本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物は、混合状態がミクロまで進み、連続相(縮重合体)が入り込んだ状態にある組成物である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物では、縮重合体中にカーボンナノチューブが分散している。
【0017】
縮重合体としては、たとえば、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルもしくはポリカーボネートまたはこれらの2種以上のブロックコポリマーがある。ポリアミドとしては、たとえば、ポリプロピルアミド、ポリブチルアミド、ポリヘキシルアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジペート(ナイロン66)、ポリドデカメチレンアミド(ナイロン12)、ポリパラジアミノベンツテレフタル酸アミドがある。ポリイミドとしては、たとえば、ポリエチレンベンツイミド、ポリベンツイミダゾールがある。ポリエステルとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリエチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンアジぺートテレフタレート、ポリカプロラクトン、ポリエチレンエーテルケトン(PEEK)がある。ポリエーテルとしては、たとえば、ポリメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSF)がある。
【0018】
縮重合体(とりわけ、PET)としては、通常、たとえば、極限粘度(IV値)が0.6〜0.7の縮重合体を、ボルト用としては、たとえば、固相重合をして、IV値を0.8〜0.95まであげた縮重合体を使用することができる。また、縮重合体(とりわけ、ポリ乳酸)としては、メルトインデックス(MI値)が0.5〜25、好ましくは2〜20の縮重合体を、フィルム用としては、MI値が2〜5の縮重合体を使用することができる。
【0019】
本発明では、カーボンナノチューブを分散させることが一般的な方法では困難な縮重合体である生分解性樹脂(たとえば、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート・コテレフタレート)を、縮重合体として使用することができる。縮重合体である生分解性樹脂には、耐熱性に乏しく、寸法安定性に欠けるという欠点があり、汎用性樹脂が多用される成形品に使用することができなかったが、本発明によれば、縮重合体である生分解性樹脂を使用して、耐熱性が高く、寸法安定性に優れた縮重合コンポジット組成物を提供することができる。
【0020】
カーボンナノチューブは、トーチアーク放電法、真空陰極アーク放電法、アークジェットプラズマ法、レーザー蒸着法などにより製造される。製造方法を選択することによりコイル状の製品も得られる。
【0021】
カーボンナノチューブの分散性を向上させるため、前処理としてカーボンナノチューブの表面処理または化学修飾を行なってもよい。たとえば、縮重合体を構成する単量体を予め適量配合することにより、分散性をさらに向上させることができる。たとえば、縮重合体としてポリ乳酸を使用する場合は、乳酸を予め配合することにより、分散性を向上させることができる。単量体の配合量は、たとえば、縮重合体100部(重量部、以下同様)に対して0.1〜10部、好ましくは0.5〜5部とすることができる。また、適宜水分を予め加えることもできる。水の添加量は、たとえば、縮重合体100部に対して0.1〜5部、好ましくは0.5〜2部とすることができる。
【0022】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物では、縮重合体中にカーボンナノチューブが0.1〜60%、好ましくは0.5〜5%含有されている。
【0023】
カーボンナノチューブの含有量が0.1%未満では、補強効果に乏しく、縮重合コンポジット組成物の機械的強度が低いので、好ましくない。一方、カーボンナノチューブの含有量が20%以上の縮重合コンポジット組成物は、一般的にはマスターバッチ(補強剤マスターバッチ)として使用されるが、60%を超える場合は、希釈倍率を過剰に大きくする必要があり、ポリマーとドライブレンドすると、希釈による斑が発生するので、好ましくない。
【0024】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物では、縮重合体中にカーボンナノチューブが均斉に分散されている。
【0025】
たとえば、本発明の縮重合コンポジット組成物は、カーボンナノチューブの99%以上が、相当する円の直径が500nm以下(好ましくは400nm以下、より好ましくは300nm以下)の2次凝集体として分散していることが好ましい。カーボンナノチューブの2次凝集体の直径は、縮重合コンポジット組成物の切片を顕微鏡で観察し、各2次凝集体の面積から、同面積の円の直径を算出することにより、求めることができる。相当する円の直径が500nmを超える大きさの2次凝集体として分散しているカーボンナノチューブが1%を超えた縮重合コンポジット組成物では、カーボンナノチューブの分散がわるく、縮重合体中にカーボンナノチューブが均斉に分散していないため、機械的強度が低下する傾向がある。
【0026】
また、本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物は、体積固有電気抵抗が1kΩ・cm以上(好ましくは5kΩ・cm以上、より好ましくは8kΩ・cm以上)であることが好ましく、通常は10MΩ・cm以下である。すなわち、本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物は、カーボンナノチューブが、縮重合体中で、絡まず接触しない程度まで、均斉に、よく分散されているため、導電性が低く、体積固有電気抵抗が大きい。体積固有電気抵抗が1kΩ・cm未満の縮重合コンポジット組成物では、カーボンナノチューブの分散が悪く、縮重合体中にカーボンナノチューブが均斉に分散していないため、機械的強度が低下する傾向がある。
【0027】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物は、カーボンナノチューブが絡まず接触していないことにより、縮重合コンポジット組成物の溶融流動性も損なわれないため、成形性が良好である。
【0028】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物を、たとえば、補強剤マスターバッチとし、ほかのポリマーをマトリックスとしてポリマー組成物(ポリブレンド)とすることができる。ほかのポリマーとしては、とくに限定はなく、汎用ポリマー、たとえば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ゴム(たとえば、天然ゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR))を使用することができる。補強剤マスターバッチは、通常、ドライブレンドによってポリマーに配合され、2〜50倍に(すなわち、カーボンナノチューブが0.1〜10重量%含有するように)希釈されることにより、補強剤として使用される。稀釈倍率が低いと補強効果が大きいがコストアップの傾向があり、高いと補強効果が小さいが経済的である傾向がある。
【0029】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物およびポリマー組成物には、製品に悪影響のでない範囲で、一般に使用される添加剤(たとえば、タッキング防止剤、防汚剤、防虫剤、抗菌剤、耐熱剤、耐光剤、酸化防止剤、静電防止剤、着色剤、光分解促進剤)を使用することができる。これらの添加剤は、本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物またはポリマー組成物に、ドライブレンドで添加してもよく、また、本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物またはポリマー組成物の製造時に添加してもよい。
【0030】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物は、カーボンナノチューブの存在下、縮重合体を解重合したのち、縮重合させること(解重合縮重合法)、または、カーボンナノチューブの存在下、単量体を縮重合させること(単量体縮重合法)によって製造することができる。
【0031】
アスペクト比が大きく、絡まりやすいカーボンナノチューブを分散させる方法としては、低粘度の流体中で機械的な剪断力を与える方法が最も好ましい。カーボンナノチューブを低粘度の流体中で低分子(縮重合体の解重合物または単量体)と混合することにより、良好に分散させることができる。
【0032】
解重合縮重合法では、たとえば、押出し機の中で炭酸ガスまたはチッ素ガスの超臨界状態下で撹拌することにより、縮重合体を解重合し、部分的にモノマーまたはオリゴマーとし、カーボンナノチューブに入り込んだ連続相(縮重合体)からなるコンポジットを形成したのち、再度縮重合をすることを特徴とする。すなわち、一時的に、低粘度の液体状態に保持し、カーボンナノチューブを分散させる。前記コンポジットの形成とnmレベルの分散状態は走査型プローブ顕微鏡による研磨面の表面観察で確認できる。超臨界状態を形成し、一時的に粘度を小さくし、縮重合体の解重合(加水分解)を促進する炭酸ガスまたはチッ素ガスは、押出し機の反応部にボンベから直接供給することができ、予め水溶液として供給することもできる。
【0033】
解重合縮重合法では、たとえば、縮重合体を、低粘度にするため、高温・高圧下で、短時間に解重合し、剪断力下、カーボンナノチューブを分散させたのち、解重合された縮重合体の脱水縮重合反応を行なわせ、縮重合体の分子量を調節する。反応効率および分散効率を向上させるため、超臨界または亜臨界状態を利用することが好ましい。超臨界状態としては、炭酸ガスまたはチッ素の超臨界状態(温度および圧力が臨界点以上)または亜臨界状態(温度および圧力の一方が臨界点以上であり、他方が臨界点未満)を利用することが好ましい。
【0034】
単量体縮重合法で使用する単量体または2量体としては、目的とする縮重合体に応じた単量体を、適宜選択して使用することができる。たとえば、目的とする縮重合体がポリアミドの場合、たとえば、アミノカルボン酸、アミノカルボン酸の環状の2量体、ジアミンとジカルボン酸との混合物を使用することができる。目的とする縮重合体がポリエステルの場合、たとえば、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸の2量体、ジヒドロキシ化合物とジカルボン酸との混合物を使用することができる。目的とする縮重合体がポリエーテルの場合、たとえば、ジヒドロキシ化合物、ジヒドロキシ化合物の環状2量体を使用することができる。なお、単量体として使用するカルボン酸はエステルとして使用することができ、ジカルボン酸は酸無水物として使用することができる。
【0035】
前記脱水縮重合反応は、バッチ式反応機または連続式反応機で行なうことができる。バッチ式反応機は、初期設備費が高価になるが、大量生産に適している。連続式反応機は、初期設備費が廉価であり、小ロット生産に適している。
【0036】
本発明に使用される連続式反応機としては、たとえば、脱水用ベント付き押出し機形式の連続式反応機を使用することが好ましい。反応機としては、押出し機、たとえば、2ベント付き押出し機、または3ベント付き押出し機を使用することが好ましい。使用するスクリューは、好ましくは、供給部のみ、食い込みをよくするために2軸とし、この後からダイまでは1軸で構成することが好ましい。たとえば、3ベント付き押出し機は、好ましくは、2軸スクリュー供給部、剪断混練り圧縮反応部、開放ベント部、混練り圧縮部、真空ポンプ吸引ベント部、混練り圧縮部、真空ポンプ吸引ベント部および混練り圧縮部から構成される。たとえば、前記剪断混練り圧縮反応部の圧力は3〜20MPa(好ましくは7〜12MPa)、温度は150〜220℃(好ましくは180〜200)、滞留時間は0.5〜5分(好ましくは1〜2分)とすることができる。反応温度と圧力は補完関係にあり、例えば超臨界圧力以上で温度を上昇させて行くと、急激に圧力が低下する温度がある。このような状態に達したことは超臨界、または亜臨界状態に達したことを意味している。超臨界と亜臨界の違いはその状態での圧力により異なる。
【0037】
単量体縮重合法では、縮重合体の製造時(単量体の重合時)に、単量体または2量体または重合前駆体(例えばPETの場合のBHET)溶融物にカーボンナノチューブをガラスミル等により分散させ、そののち、縮重合させる。反応機としては回分式または連続式反応機を使用することができる。反応温度、時間、触媒等は縮合体の縮合条件を適宜選択すればよい。
【0038】
カーボンナノチューブを分散させる際または縮重合反応時に、縮重合反応系におけるカーボンナノチューブの分散状態を維持するために、その温度で適当な粘度を保持する点より、単量体またはその縮重合体に、溶解する粘度増加剤を予め縮重合反応系に添加しておくことが好ましい。粘度増加剤は、反応および製品(カーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物)の特性に悪影響のないことが必要である。反応および製品の特性に悪影響のない粘度増加剤としては、単量体の縮重合体(オリゴマーまたはポリマー)を使用することができる。2次凝集を防止するため、適当な粘度を保持したほうが好ましく、分散時またはその後で縮合体を単量体または2量体または重合前駆体(たとえばPETの場合のBHET)溶融物に対し1〜5重量%添加することがよい。
【0039】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物を射出成形に使用する場合には、MI値が15〜30の縮重合コンポジット組成物を使用することが好ましい。縮重合コンポジット組成物のMI値は、原料として使用する縮重合体のMI値および製造条件(加水分解条件、縮重合条件)を制御することにより調節することができる。
【0040】
本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物では、縮重合体中に無機顔料が分散している。
【0041】
縮重合体としては、たとえば、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルもしくはポリカーボネートまたはこれらの2種以上のランダムもしくはブロックコポリマーがある。ポリアミドとしては、たとえば、ポリプロピルアミド、ポリブチルアミド、ポリヘキシルアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジペート(ナイロン66)、ポリドデカメチレンアミド(ナイロン12)、ポリパラジアミノベンツテレフタル酸アミドがある。ポリイミドとしては、たとえば、ポリエチレンベンツイミド、ポリベンツイミダゾールがある。ポリエステルとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリエチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンアジぺートテレフタレート、ポリカプロラクトン、ポリエチレンエーテルケトン(PEEK)がある。ポリエーテルとしては、たとえば、ポリメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSF)がある。
【0042】
縮重合体(とりわけ、PET)としては、通常、たとえば、極限粘度(IV値)が0.6〜0.7の縮重合体を、ボルト用としては、たとえば、固相重合をして、IV値を0.8〜0.95まであげた縮重合体を使用することができる。また、縮重合体(とりわけ、ポリ乳酸)としては、メルトインデックス(MI値)が0.5〜25、好ましくは2〜20の縮重合体を、フィルム用としては、MI値が2〜5の縮重合体を使用することができる。
【0043】
本発明では、無機顔料を分散させることが一般的な方法では困難な縮重合体である生分解性樹脂(たとえば、構成する単量体の50%以上が乳酸である縮重合体(とりわけ、ポリ乳酸)、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート・コテレフタレート)を、縮重合体として使用することができる。縮重合体である生分解性樹脂には、耐熱性に乏しく、寸法安定性に欠けるという欠点があり、汎用性樹脂が多用される成形品に使用することができなかったが、本発明によれば、縮重合体である生分解性樹脂を使用して、耐熱性が高く、寸法安定性に優れた縮重合コンポジット組成物を提供することができる。
【0044】
無機顔料としては、たとえば、カーボンブラック、天然無機顔料、合成無機顔料がある。
【0045】
カーボンブラックは、たとえば、東海カーボン(株)のホームページに次のように掲載されている。カーボンブラック、トーカブラック#4500を低密度ポリエチレン(LDPE)70部に30部配合すると体積固有電気抵抗が10Ω・cm以下になる。#4500の粒子径は40nmで、比着色力は68%である。粒子径の小さい#5500の粒子径は25nmで、比着色力は98%である。しかし、可視光線の波長は250〜550nmであり、この可視光線の波長の範囲と同じ範囲に粒子径があるとき、隠蔽力が最大、比着色力が最大となる。カーボンブラックは1次凝集し、ストラクチャーを作っているため、見掛けの径が可視光線の波長域より大きい。従って、#5500のアグリゲートが可視光線の波長域に、より近くなっていると推察される。
【0046】
一般に粒子径の小さいカーボンブラックは高価である。無機顔料としてカーボンブラックを含有する本発明の縮重合コンポジット組成物では、カーボンブラックのアグリゲートが500nm以下の1次凝集体に粉砕されるため、粒子径の大きい廉価なカーボンブラックを使用することができ、経済的である。また、無機顔料としてカーボンブラックを含有する本発明の縮重合コンポジット組成物は、1次凝集体を100nm以下に粉砕することにより、顔料であるカーボンブラックを、隠蔽することなく、染料と同様に使用することができ、透明な黒色着色ができる。染料でなく顔料であるため、透明性があり、耐光性に優れている。
【0047】
天然無機顔料としては、土系顔料(たとえば、イエローオーカー、テールベルト、ローシェンナ、カッセルアース、石膏)、焼成土(たとえば、バーントシェンナ、バーントアンバー)、鉱物性顔料(たとえば、ラピスラズリ、アズライト、マラカイト、オーピメント、辰砂)、その他の天然無機顔料(たとえば、珊瑚末、胡粉)がある。
【0048】
合成無機顔料としては、酸化物顔料(たとえば、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトバイオレット、コバルトグリーン、ジンクホワイト、チタニウムホワイト、ライトレッド、クロムオキサイドグリーン、マルスブラック)、水酸化物顔料(たとえば、ビリジャン、イエローオーカー、アルミナホワイト)、硫化物顔料(たとえば、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、パーミリオン、リトポン)、珪酸塩顔料(たとえば、ウルトラマリーン、タルク、ホワイトカーボン、クレー)、リン酸塩顔料(たとえば、ミネラルバイオレット、ローズコバルトバイオレット)、炭酸塩顔料(たとえば、シルバーホワイト、炭酸カルシウム)、金属粉類顔料(たとえば、金粉、ブロンズ粉、アルミニウム粉)、そのほかの合成無機顔料(たとえば、アイボリーブラック、ピーチブラック、ランプブラック、カーボンブラック、プルシャンブルー、オーレオリン、雲母)がある。
【0049】
無機顔料の分散性を向上させるため、前処理として無機顔料の表面処理または化学修飾を行なってもよい。たとえば、縮重合体を構成する単量体を予め適量配合することにより、分散性をさらに向上させることができる。たとえば、縮重合体としてポリ乳酸を使用する場合は、乳酸を予め配合することにより、分散性を向上させることができる。単量体の配合量は、たとえば、縮重合体100部(重量部、以下同様)に対して0.1〜10部、好ましくは0.5〜5部とすることができる。また、適宜水分を予め加えることもできる。水の添加量は、たとえば、縮重合体100部に対して0.1〜5部、好ましくは0.5〜2部とすることができる。
【0050】
本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物では、縮重合体中に無機顔料が0.1〜60%、好ましくは0.1〜40%含有されている。
【0051】
無機顔料の含有量が0.1%未満では、着色性の乏しく、無機顔料を添加することによる効果が低いので、好ましくない。一方、無機顔料の含有量が20%以上の縮重合コンポジット組成物は、一般的にはマスターバッチ(カラーマスターバッチ)として使用されるが、60%を超える場合は、希釈倍率を過剰に大きくする必要があり、ポリマーとドライブレンドすると、希釈による斑が発生するので、好ましくない。
【0052】
無機顔料の含有量については、黒色が最も含有量を多くすることを必要とし、一般的には、6%まで配合される。必要な含有量は求められる色調により異なるが、比着色力が大きい程、使用量が少なくて済み経済的である。本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物をカラーマスターバッチとして使用する場合は、無機顔料の含有量が多いほど経済的であるが、最終的なポリマー組成物の無機顔料の含有量が同じ場合でも、縮重合コンポジット組成物に対して配合されるポリマーの比率(稀釈比率)が大きくなると得られるポリマー組成物の色斑が大きくなるため通常最大で60%である。本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物においては、無機顔料を、隠ぺい力が効果的になる範囲で配合すれば、無機顔料の比着色力が大きいので、経済的である。
【0053】
本発明の縮重合コンポジット組成物では、縮重合体中に無機顔料が均斉に分散されている。
【0054】
たとえば、本発明の縮重合コンポジット組成物は、無機顔料の99%以上が、相当する円の直径が500nm以下(好ましくは400nm以下、より好ましくは300nm以下)の2次凝集体として分散していることが好ましい。無機顔料の2次凝集体の直径は、縮重合コンポジット組成物の切片を顕微鏡で観察し、各2次凝集体の面積から、同面積の円の直径を算出することにより、求めることができる。相当する円の直径が500nmを超える大きさの2次凝集体として分散している無機顔料が1%を超えた縮重合コンポジット組成物では、無機顔料の分散がわるく、縮重合体中に無機顔料が均斉に分散していないため、着色性が低下する傾向がある。
【0055】
本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物は、無機顔料が均斉に分散されていることにより、縮重合コンポジット組成物の溶融流動性も損なわれないため、成形性が良好である。
【0056】
本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物を、たとえば、カラーマスターバッチとし、ほかのポリマーをマトリックスとしてポリマー組成物(ポリブレンド)とすることができる。ほかのポリマーとしては、とくに限定はなく、汎用ポリマー、たとえば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ゴム(たとえば、天然ゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR))を使用することができる。カラーマスターバッチは、通常、ドライブレンドによってポリマーに配合され、20〜50倍(顔料含有量が0.1から10重量%)に希釈されることにより、着色剤として使用される。稀釈倍率が低いと均一性が良いがコストアップの傾向があり、高いと均一性が低いが経済的である傾向がある。
【0057】
本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物およびポリマー組成物には、製品に悪影響のでない範囲で、一般に使用される添加剤(たとえば、タッキング防止剤、防汚剤、防虫剤、抗菌剤、耐熱剤、耐光剤、酸化防止剤、静電防止剤、着色剤、光分解促進剤)を使用することができる。これらの添加剤は、本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物またはポリマー組成物に、ドライブレンドで添加してもよく、また、本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物またはポリマー組成物の製造時に添加してもよい。
【0058】
本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物は、無機顔料の存在下、縮重合体を解重合したのち、縮重合させること(解重合縮重合法)、または、無機顔料の存在下、単量体を縮重合させること(単量体縮重合法)によって製造することができる。
【0059】
カーボンブラックなどの凝集しやすい無機顔料を分散させる方法としては、低粘度の流体中で機械的な剪断力を与える方法が最も好ましい。無機顔料を低粘度の流体中で低分子(縮重合体の解重合物または単量体)と混合することにより、良好に分散させることができる。
【0060】
解重合縮重合法では、たとえば、押出し機の中で炭酸ガスまたはチッ素ガスの超臨界状態下で撹拌することにより、縮重合体を解重合し、部分的にモノマーまたはオリゴマーとし、カーボンブラックに入り込んだ連続相(縮重合体)からなるコンポジットを形成したのち、再度縮重合をすることを特徴とする。すなわち、一時的に、低粘度の液体状態に保持し、カーボンブラックを分散させる。超臨界状態を形成し、見かけ上の粘度を小さくし、縮重合体の解重合(加水分解)を促進する炭酸ガスまたはチッ素ガスは、押出し機の反応部にボンベから直接供給することができ、予め水溶液として供給することもできる。
【0061】
解重合縮重合法では、たとえば、縮重合体を、低粘度にするため、高温・高圧下で、短時間に解重合し、剪断力下、無機顔料を分散させたのち、解重合された縮重合体の脱水縮重合反応を行なわせ、縮重合体の分子量を調節する。反応効率および分散効率を向上させるため、超臨界または亜臨界状態を利用することが好ましい。超臨界状態としては、炭酸ガスまたはチッ素の超臨界状態(温度および圧力が臨界点以上)または亜臨界状態(温度および圧力の一方が臨界点以上であり、他方が臨界点未満)を利用することが好ましい。
【0062】
単量体縮重合法で使用する単量体としては、目的とする縮重合体に応じた単量体を、適宜選択して使用することができる。たとえば、目的とする縮重合体がポリアミドの場合、たとえば、アミノカルボン酸、ジアミンとジカルボン酸との混合物を使用することができる。目的とする縮重合体がポリエステルの場合、たとえば、ヒドロキシカルボン酸、ジヒドロキシ化合物とジカルボン酸との混合物を使用することができる。目的とする縮重合体がポリエーテルの場合、たとえば、ジヒドロキシ化合物を使用することができる。なお、単量体として使用するカルボン酸はエステルとして使用することができ、ジカルボン酸は酸無水物として使用することができる。
【0063】
前記脱水縮重合反応は、バッチ式反応機または連続式反応機で行なうことができる。バッチ式反応機は、初期設備費が高価になるが、大量生産に適している。連続式反応機は、初期設備費が廉価であり、小ロット生産に適している。
【0064】
本発明に使用される連続式反応機としては、たとえば、脱水用ベント付き押出し機形式の連続式反応機を使用することが好ましい。反応機としては、押出し機、たとえば、2ベント付き押出し機、または3ベント付き押出し機を使用することが好ましい。使用するスクリューは、好ましくは、供給部のみ、食い込みをよくするために2軸とし、この後からダイまでは1軸で構成することが好ましい。たとえば、3ベント付き押出し機は、好ましくは、2軸スクリュー供給部、剪断混練り圧縮反応部、開放ベント部、混練り圧縮部、真空ポンプ吸引ベント部、混練り圧縮部、真空ポンプ吸引ベント部および混練り圧縮部から構成される。
【0065】
たとえば、前記剪断混練り圧縮反応部の圧力は3〜20MPa(好ましくは7〜12MPa)、温度は150〜220℃(好ましくは180〜200)、滞留時間は0.5〜5分(好ましくは1〜2分)とすることができる。反応温度と圧力は補完関係にあり、例えば超臨界圧力以上で温度を上昇させて行くと、急激に圧力が低下する温度がある。このような状態に達したことは超臨界、または亜臨界状態に達したことを意味している。超臨界と亜臨界の違いはその状態での圧力により異なる。
【0066】
本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物を射出成形に使用する場合には、MI値が15〜30の縮重合コンポジット組成物を使用することが好ましい。縮重合コンポジット組成物のMI値は、原料として使用する縮重合体のMI値および製造条件(加水分解条件、縮重合条件)を制御することにより調節することができる。
【0067】
本発明においては、カーボンナノチューブと無機顔料とを併用することができる。カーボンナノチューブと無機顔料とを併用する場合、カーボンナノチューブによる黒色着色を補い無機顔料による自由な着色性(隠蔽性)を付与する観点から無機顔料は最終製品の縮合体に対し3重量%以上、好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上含有されることが好ましい。
【0068】
【実施例】
実施例1
反応機として、2軸スクリュー供給部、炭酸ガス供給部、剪断混練り圧縮反応部、開放ベント部、混練り圧縮部、真空ポンプ吸引ベント部、混練り圧縮部、真空ポンプ吸引ベント部および混練り圧縮部から構成される40mm径3ベント付き押出し機を使用して、本発明の縮重合コンポジット組成物を製造した。前記剪断混練り圧縮反応部の反応温度は200℃、圧力は5MPa、滞留時間は1分とした。
【0069】
MI値5.2のポリ乳酸100部、カーボンナノチューブ5部および乳酸粉末0.5部(カーボンナノチューブ含有量約4.7%)をドライブレンドし、反応機に供給し、炭酸ガスが超臨界状態または亜臨界となる条件下(30.9℃、7.38MPa)以上で、解重合反応後、脱水縮重合させ、ダイスから押し出し、ホットカッターで切断し、縮重合コンポジット組成物のペレットを製造した。このペレットのMI値は15.3であった。本明細書において、縮重合体または縮重合コンポジット組成物のMI値はJIS K 7210に準じて測定した値である。
【0070】
このペレットを厚さ1mmのプレートに射出成形した。プレートの表面は平滑で光沢があり、摩擦による脱落もなく、良好な分散性を示した。このプレートは、体積固有電気抵抗が10kΩ・cm以上と電気抵抗が大きく、カーボンナノチューブの絡みがなく分散が非常に良好であることがわかった。このプレートを沸騰水中で20分間加熱したが、耐熱性がよく、外観の変化は見られなかった。寸法変形(沸騰水中で加熱する前の長さに対する沸騰水中で加熱したのちの長さの変化の割合)は、縦横ともに1%未満であり、寸法安定性もよかった。液体チッ素で冷却後、破断した面を走査型電子顕微鏡で撮影し、カーボンナノチューブの分散状態を確認したが、相当する円の直径が500nm以上の塊(凝集体)は見当たらなかった。
【0071】
本実施例の縮重合コンポジット組成物のペレットをポリ乳酸で5倍に希釈して得られたポリマー組成物を射出成形してノッチなしサンプルを作製し、アイゾット衝撃強度を測定した(JIS K7110)が、破損せず、強度が測定を超えていた。一方、ポリ乳酸単独(参考例1)のサンプルのアイゾット衝撃強度は0.1kJ/m2と非常に脆かった。
【0072】
実施例2〜4
実施例1と同様にして、カーボンナノチューブの配合量を、ポリ乳酸100部に対して1部(実施例2)、10部(実施例3)または20部(実施例4)に変えたほかは、実施例1と同様に縮重合コンポジット組成物を製造し、得られた縮重合コンポジット組成物の体積固有電気抵抗値とアイゾット衝撃強度を測定した。結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
実施例5および6
カーボンナノチューブの含有量を30部(実施例5)または60部(実施例6)に変えたほかは、実施例1と同様に縮重合コンポジット組成物を製造し、得られた縮重合コンポジット組成物の体積固有電気抵抗値とアイゾット衝撃強度を測定した。各縮重合コンポジット組成物を、ポリ乳酸で30倍(実施例5)または60倍(実施例6)に希釈し、カーボンナノチューブの配合量が実施例2(1部)と同じポリマー組成物を得た。得られたポリマー組成物を使用して厚さ1mmのプレートを製造した。
【0075】
参考例2として、ポリ乳酸100部に対するカーボンナノチューブ配合量が70部の縮重合コンポジット組成物のペレットを製造し、得られた縮重合コンポジット組成物のペレットをポリ乳酸で70倍に希釈し、ポリ乳酸100部に対するカーボンナノチューブの配合量が実施例2(1部)と同じポリマー組成物を得た。得られたポリマー組成物で、厚さ1mmのプレートを製造した。得られた各プレートのアイゾット衝撃強度を測定した。結果を表2に示す。
【0076】
【表2】
【0077】
実施例7
実施例4で製造した縮重合コンポジット組成物のペレット5部を、MI値20のLDPEと、2軸混練り機で、ドライブレンドし、よく混練りしてポリマー組成物を得た。得られたポリマー組成物を射出成形して厚さ1mmのノッチなしサンプルを製造した。このサンプルのアイゾット衝撃強度を測定したが、破損せず良好な耐衝撃性を示した。
【0078】
実施例8〜12
カーボンナノチューブの代わりに、縮重合体中の含有量が0.1%(実施例8)、1.0%(実施例9)、2.0%(実施例10)、20%(実施例11)または30%(実施例12)となる量のカーボンブラック(東海カーボン(株)製トーカブラック#4500)を使用し、実施例1と同様にして縮重合コンポジット組成物を製造した。実施例8〜10は、縮重合コンポジット組成物のペレットを製造し、実施例11および12は、それぞれ10倍または15倍に希釈し、カーボンブラック含有量が実施例10の縮重合コンポジット組成物(2.0%)と同じ、ポリマー組成物を得た。各縮重合コンポジット組成物またはポリマー組成物で厚さ1mmのプレートを製造した。
【0079】
参考例3および4は、一般的な2軸混練機を使用した製造例である。参考例4の黒さを標準(100)として、色差計で求めたLabのL値で着色力を評価し、比較した。420nmの光線の透過率を分光光度計で測定した。結果を表3に示す。
【0080】
【表3】
【0081】
実施例13
カーボンナノチューブに代えて、カーボンナノチューブ1部とルチル型酸化チタン(無機顔料)7部を使用したほかは、実施例1と同様に縮重合コンポジット組成物を製造し、射出成形で厚さ1mmのプレートを製造した。実施例1で製造したプレートのL値と、実施例13で製造したプレートのL値を色差計で測定したところ、実施例1は8.3であったのに対して、実施例13では9.8であった。実施例13のプレートは、ライトグレーで、ルチル型酸化チタンで、カーボンナノチューブの黒色を遮蔽することができた。
【0082】
実施例14
乳酸に代わるモノマーを使用することなく、実施例1と同様にしてポリ乳酸の代わりに水分率が0.43%、IV値が0.75のポリエチレンテレフタレートを使用し、温度を275℃に変更し、本発明の縮重合コンポジット組成物のペレットを製造した。得られたペレットを水分率が0.05重量%以下になるまで乾燥し、通常のポリエチレンテレフタレートのペレットとドライブレンドして5倍に稀釈し、射出成形でノッチなしサンプル試験片を製造した。このサンプルのアイゾット衝撃強度を測定したが、破損することなく、良好な耐衝撃性を示した。
【0083】
実施例15
実施例1と同様にして、ポリ乳酸の代わりにナイロン6を、乳酸の代わりにカプロラクタムを使用し、温度を250℃に変更し、本発明の縮重合コンポジット組成物のペレットを製造した。得られたペレットを水分率が0.1%以下になるまで乾燥し、通常のナイロン6のペレットとドライブレンドして5倍に稀釈し、射出成形でノッチなしサンプル試験片を製造した。このサンプルのアイゾット衝撃強度を測定したが、破損することなく、良好な耐衝撃性を示した。
【0084】
実施例16および17
ポリ乳酸を、MI値が0.5(実施例16)または25.3(実施例17)のポリ乳酸に変更したほかは、実施例1と同様にして、本発明の縮重合コンポジット組成物のペレットを製造した。得られたペレットのMI値はそれぞれ4.8(実施例16)と35.2(実施例17)であった。おのおののペレットを水分率が0.05%以下になるまで乾燥し、MI値が15のポリ乳酸ペレットとドライブレンドして5倍に稀釈し、射出成形でノッチなしサンプル試験片を製造した。このサンプルのアイゾット衝撃強度を測定したが、いずれも破損することなく、良好な耐衝撃性を示した。
【0085】
【発明の効果】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物を使用することにより、ミリ波帯の電磁波吸収体を製造することができる。本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物を使用することにより、補強剤含有量が少なくても補強効果があり、しかも、成形性および機械特性に優れたFRPを製造することができる。本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物は、無機顔料の含有量が少なくても発色性に優れ、表面が滑らかに仕上がり、摩擦による脱落が殆どなく、カラーマスターバッチとして使用した場合に優れた分散性を示す。本発明の縮重合コンポジット組成物は汎用的な成形方法(たとえば、射出成形、回転成形、真空モールド成形、ブロー成形、押出し成形、紡糸)を使用して、成形品を製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来の方法ではポリマー中へ均斉に分散させることが困難な分散材を、新規な方法によりポリマー中に均斉に分散させることにより、分散材による効果を向上させたポリマー組成物およびその製造方法に関する。具体的には、本発明は、カーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物およびその製造方法に関する。本発明は、また、無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物およびその製造方法に関する。本発明は、射出成形品、モールド成形品、ブロー成形品、回転成形品、押出し成形品などの成形品に使用できる縮重合コンポジット組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブは、直径が数nmから数十nmでアスペクト比が大きく、導電性が優れた物質であり、ポリマーの補強材料、導電材料として使用できることが既に公知である。たとえば、特許文献1には、カーボンナノチューブを0.01〜2%(重量%、以下同様)含有する良導電性ポリマー組成物が記載されている。また、特許文献2には「導電性にすぐれたゴム組成物」が記載されており、このゴム組成物は、シランカップリング剤を使用し、ゴムにカーボンナノチューブを1〜50%混合したものである。さらに、特許文献3には「ゴム組成物」が記載されており、このゴム組成物は、凝集体の大きさ(径)が0.10〜0.25mmであるカーボンナノチューブをゴムに混合したゴム組成物である。
【0003】
特許文献1では、カーボンナノチューブの分散に押出し機を使用しているが、押出し機による方法では、カーボンナノチューブは、直径が微細でアスペクト比が大きく、見かけ比重が著しく小さく、絡まりやすいので、大きな塊になりやすく、混練してポリマー中に均斉に分散することが非常に困難であり、外観上もポリマー組成物に斑が発生しやすいという問題がある。また、カーボンナノチューブの凝集体が、均斉に分散していないため、ポリマーの流動性を阻害し、たとえば、射出成形品の薄肉部分の均一性を欠くという製造上の問題がある。
【0004】
一方、特許文献2および3では、カーボンナノチューブの分散にローラーミルを使用している。ローラーミルによる方法は、ゴム組成物の製造には好適であるが、通常、粘度が温度に敏感な熱可塑性樹脂(とりわけ縮重合体)を混練することは困難である。たとえば、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート・コテレフタレートなどの縮重合体である生分解性樹脂にカーボンナノチューブを混練することは困難である。
【0005】
カーボンナノチューブとしては、直径が10〜20nm、長さが100〜20,000nmの製品が、たとえば、米国のハイパリオンキャタリシスインターナショナルインコーポレーテッド(Hyperion Catalysis International, Inc.)から販売されている。そして、同社から、カーボンナノチューブを15〜20%混合した導電性マスターバッチが販売されている。このマスターバッチを使用したポリマー組成物は、カーボンナノチューブを3%以上混合することで、体積固有抵抗値が10〜102Ω・cmと優れた導電性を示すとされている。このように少量のカーボンナノチューブで導電性がよいということは、カーボンナノチューブが均斉に分散しておらず、分散が不充分な状態で、絡まりが残っていることを示している。
【0006】
ポリマーに着色性を付与するために、無機顔料(とりわけ、カーボンブラック、酸化チタン、酸化第2鉄などの凝集体を形成する無機顔料)を使用する場合についても、カーボンナノチューブを使用する場合と同様に、ポリマー中に均斉に分散させることが困難であるという問題がある。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第6,184,280号明細書
【特許文献2】
特開平2−232244号公報
【特許文献3】
特開平2−235945号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の方法ではポリマー中へ均斉に分散させることが困難な分散材を、新規な方法によりポリマー中に均斉に分散させることにより、分散材による効果を向上させたポリマー組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
具体的には、本発明は、カーボンナノチューブを含有し、たとえば、電磁波吸収体または補強剤マスターバッチとして有用な縮重合コンポジット組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。とりわけ、本発明は、カーボンナノチューブを含有し、機械的強度の高い縮重合コンポジット組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、カーボンナノチューブを含有し、耐熱性が高く、寸法安定性がよい縮重合コンポジット組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。本発明は、カーボンナノチューブを含有し、ポリマー添加剤(補強剤)として使用した場合に、ポリマー組成物が均一な流動性を示す縮重合コンポジット組成物およびその製造方法ならびに均一な流動性および高い強度を示すポリマー組成物を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は、また、無機顔料を含有し、たとえば、カラーマスターバッチとして有用な縮重合コンポジット組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。とりわけ、本発明は、無機顔料を含有し、着色力の高い縮重合コンポジット組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。本発明は、無機顔料を含有し、ポリマー添加剤(着色剤)として使用した場合に、ポリマー組成物が均一な流動性を示す縮重合コンポジット組成物およびその製造方法ならびに均一な流動性および良好な着色を示すポリマー組成物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来の方法ではポリマー中へ均斉に分散させることが困難な分散材を、新規な方法によりポリマー中に均斉に分散させることにより、分散材による効果を向上させたポリマー組成物およびその製造方法にかかわる。本発明では、たとえば、ポリマーとして縮重合体を使用し、分散材の存在下で、縮重合体を解重合したのち、縮重合させること、または、分散材の存在下で、単量体を縮重合または2量体を開環重合させることにより、縮重合体中に分散材が均斉に分散した縮重合コンポジット組成物を得る。
【0012】
具体的には、本発明は、縮重合体中にカーボンナノチューブが0.1〜60%含有され、縮重合体中にカーボンナノチューブが均斉に分散した縮重合コンポジット組成物にかかわる。前記縮重合体は、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルもしくはポリカーボネートまたはこれらの2種以上のコポリマーであることが好ましく、また、生分解性樹脂であることが好ましい。本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物は、カーボンナノチューブの99%以上が、相当する円の直径が500nm以下の2次凝集体として分散していることが好ましく、また、体積固有電気抵抗が1kΩ・cm以上であることが好ましい。本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物は、カーボンナノチューブの存在下、縮重合体を解重合したのち、縮重合させること、または、単量体を縮重合または2量体を開環重合させることによって得られる縮重合コンポジット組成物である。本発明は、さらに、ポリマー中に前記縮重合コンポジット組成物を2〜99%含有するポリマー組成物にかかわる。本発明は、さらにまた、カーボンナノチューブの存在下、縮重合体を解重合したのち、縮重合させること、または、単量体を縮重合または2量体を開環重合させることを特徴とする縮重合コンポジット組成物の製造方法にかかわる。
【0013】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物は、混合状態がミクロまで進み、連続相(縮重合体)が入り込んだ状態にあるコンポジット組成物であり、この点で、単なる縮重合体とカーボンナノチューブとの組成物と相違する。
【0014】
本発明は、また、縮重合体中に、無機顔料が0.1〜60%含有され、縮重合体中に無機顔料が均斉に分散した縮重合コンポジット組成物にかかわる。前記縮重合体は、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルもしくはポリカーボネートまたはこれらの2種以上のコポリマーであることが好ましく、また、生分解性樹脂であることが好ましく、とりわけ、生分解性樹脂を構成する単量体の50%以上が乳酸であることが好ましい。前記縮重合コンポジット組成物は、無機顔料の99%以上が、相当する円の直径が500nm以下の2次凝集体として分散していることが好ましい。前記縮重合コンポジット組成物は、無機顔料の存在下、縮重合体を解重合したのち、縮重合させること、または、単量体を縮重合させることによって得られる縮重合コンポジット組成物である。本発明は、さらに、ポリマー中に前記縮重合コンポジット組成物を1〜99%含有するポリマー組成物にかかわる。
【0015】
本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物は、混合状態がミクロまで進み、連続相(縮重合体)が入り込んだ状態にある組成物である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物では、縮重合体中にカーボンナノチューブが分散している。
【0017】
縮重合体としては、たとえば、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルもしくはポリカーボネートまたはこれらの2種以上のブロックコポリマーがある。ポリアミドとしては、たとえば、ポリプロピルアミド、ポリブチルアミド、ポリヘキシルアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジペート(ナイロン66)、ポリドデカメチレンアミド(ナイロン12)、ポリパラジアミノベンツテレフタル酸アミドがある。ポリイミドとしては、たとえば、ポリエチレンベンツイミド、ポリベンツイミダゾールがある。ポリエステルとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリエチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンアジぺートテレフタレート、ポリカプロラクトン、ポリエチレンエーテルケトン(PEEK)がある。ポリエーテルとしては、たとえば、ポリメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSF)がある。
【0018】
縮重合体(とりわけ、PET)としては、通常、たとえば、極限粘度(IV値)が0.6〜0.7の縮重合体を、ボルト用としては、たとえば、固相重合をして、IV値を0.8〜0.95まであげた縮重合体を使用することができる。また、縮重合体(とりわけ、ポリ乳酸)としては、メルトインデックス(MI値)が0.5〜25、好ましくは2〜20の縮重合体を、フィルム用としては、MI値が2〜5の縮重合体を使用することができる。
【0019】
本発明では、カーボンナノチューブを分散させることが一般的な方法では困難な縮重合体である生分解性樹脂(たとえば、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート・コテレフタレート)を、縮重合体として使用することができる。縮重合体である生分解性樹脂には、耐熱性に乏しく、寸法安定性に欠けるという欠点があり、汎用性樹脂が多用される成形品に使用することができなかったが、本発明によれば、縮重合体である生分解性樹脂を使用して、耐熱性が高く、寸法安定性に優れた縮重合コンポジット組成物を提供することができる。
【0020】
カーボンナノチューブは、トーチアーク放電法、真空陰極アーク放電法、アークジェットプラズマ法、レーザー蒸着法などにより製造される。製造方法を選択することによりコイル状の製品も得られる。
【0021】
カーボンナノチューブの分散性を向上させるため、前処理としてカーボンナノチューブの表面処理または化学修飾を行なってもよい。たとえば、縮重合体を構成する単量体を予め適量配合することにより、分散性をさらに向上させることができる。たとえば、縮重合体としてポリ乳酸を使用する場合は、乳酸を予め配合することにより、分散性を向上させることができる。単量体の配合量は、たとえば、縮重合体100部(重量部、以下同様)に対して0.1〜10部、好ましくは0.5〜5部とすることができる。また、適宜水分を予め加えることもできる。水の添加量は、たとえば、縮重合体100部に対して0.1〜5部、好ましくは0.5〜2部とすることができる。
【0022】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物では、縮重合体中にカーボンナノチューブが0.1〜60%、好ましくは0.5〜5%含有されている。
【0023】
カーボンナノチューブの含有量が0.1%未満では、補強効果に乏しく、縮重合コンポジット組成物の機械的強度が低いので、好ましくない。一方、カーボンナノチューブの含有量が20%以上の縮重合コンポジット組成物は、一般的にはマスターバッチ(補強剤マスターバッチ)として使用されるが、60%を超える場合は、希釈倍率を過剰に大きくする必要があり、ポリマーとドライブレンドすると、希釈による斑が発生するので、好ましくない。
【0024】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物では、縮重合体中にカーボンナノチューブが均斉に分散されている。
【0025】
たとえば、本発明の縮重合コンポジット組成物は、カーボンナノチューブの99%以上が、相当する円の直径が500nm以下(好ましくは400nm以下、より好ましくは300nm以下)の2次凝集体として分散していることが好ましい。カーボンナノチューブの2次凝集体の直径は、縮重合コンポジット組成物の切片を顕微鏡で観察し、各2次凝集体の面積から、同面積の円の直径を算出することにより、求めることができる。相当する円の直径が500nmを超える大きさの2次凝集体として分散しているカーボンナノチューブが1%を超えた縮重合コンポジット組成物では、カーボンナノチューブの分散がわるく、縮重合体中にカーボンナノチューブが均斉に分散していないため、機械的強度が低下する傾向がある。
【0026】
また、本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物は、体積固有電気抵抗が1kΩ・cm以上(好ましくは5kΩ・cm以上、より好ましくは8kΩ・cm以上)であることが好ましく、通常は10MΩ・cm以下である。すなわち、本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物は、カーボンナノチューブが、縮重合体中で、絡まず接触しない程度まで、均斉に、よく分散されているため、導電性が低く、体積固有電気抵抗が大きい。体積固有電気抵抗が1kΩ・cm未満の縮重合コンポジット組成物では、カーボンナノチューブの分散が悪く、縮重合体中にカーボンナノチューブが均斉に分散していないため、機械的強度が低下する傾向がある。
【0027】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物は、カーボンナノチューブが絡まず接触していないことにより、縮重合コンポジット組成物の溶融流動性も損なわれないため、成形性が良好である。
【0028】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物を、たとえば、補強剤マスターバッチとし、ほかのポリマーをマトリックスとしてポリマー組成物(ポリブレンド)とすることができる。ほかのポリマーとしては、とくに限定はなく、汎用ポリマー、たとえば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ゴム(たとえば、天然ゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR))を使用することができる。補強剤マスターバッチは、通常、ドライブレンドによってポリマーに配合され、2〜50倍に(すなわち、カーボンナノチューブが0.1〜10重量%含有するように)希釈されることにより、補強剤として使用される。稀釈倍率が低いと補強効果が大きいがコストアップの傾向があり、高いと補強効果が小さいが経済的である傾向がある。
【0029】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物およびポリマー組成物には、製品に悪影響のでない範囲で、一般に使用される添加剤(たとえば、タッキング防止剤、防汚剤、防虫剤、抗菌剤、耐熱剤、耐光剤、酸化防止剤、静電防止剤、着色剤、光分解促進剤)を使用することができる。これらの添加剤は、本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物またはポリマー組成物に、ドライブレンドで添加してもよく、また、本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物またはポリマー組成物の製造時に添加してもよい。
【0030】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物は、カーボンナノチューブの存在下、縮重合体を解重合したのち、縮重合させること(解重合縮重合法)、または、カーボンナノチューブの存在下、単量体を縮重合させること(単量体縮重合法)によって製造することができる。
【0031】
アスペクト比が大きく、絡まりやすいカーボンナノチューブを分散させる方法としては、低粘度の流体中で機械的な剪断力を与える方法が最も好ましい。カーボンナノチューブを低粘度の流体中で低分子(縮重合体の解重合物または単量体)と混合することにより、良好に分散させることができる。
【0032】
解重合縮重合法では、たとえば、押出し機の中で炭酸ガスまたはチッ素ガスの超臨界状態下で撹拌することにより、縮重合体を解重合し、部分的にモノマーまたはオリゴマーとし、カーボンナノチューブに入り込んだ連続相(縮重合体)からなるコンポジットを形成したのち、再度縮重合をすることを特徴とする。すなわち、一時的に、低粘度の液体状態に保持し、カーボンナノチューブを分散させる。前記コンポジットの形成とnmレベルの分散状態は走査型プローブ顕微鏡による研磨面の表面観察で確認できる。超臨界状態を形成し、一時的に粘度を小さくし、縮重合体の解重合(加水分解)を促進する炭酸ガスまたはチッ素ガスは、押出し機の反応部にボンベから直接供給することができ、予め水溶液として供給することもできる。
【0033】
解重合縮重合法では、たとえば、縮重合体を、低粘度にするため、高温・高圧下で、短時間に解重合し、剪断力下、カーボンナノチューブを分散させたのち、解重合された縮重合体の脱水縮重合反応を行なわせ、縮重合体の分子量を調節する。反応効率および分散効率を向上させるため、超臨界または亜臨界状態を利用することが好ましい。超臨界状態としては、炭酸ガスまたはチッ素の超臨界状態(温度および圧力が臨界点以上)または亜臨界状態(温度および圧力の一方が臨界点以上であり、他方が臨界点未満)を利用することが好ましい。
【0034】
単量体縮重合法で使用する単量体または2量体としては、目的とする縮重合体に応じた単量体を、適宜選択して使用することができる。たとえば、目的とする縮重合体がポリアミドの場合、たとえば、アミノカルボン酸、アミノカルボン酸の環状の2量体、ジアミンとジカルボン酸との混合物を使用することができる。目的とする縮重合体がポリエステルの場合、たとえば、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸の2量体、ジヒドロキシ化合物とジカルボン酸との混合物を使用することができる。目的とする縮重合体がポリエーテルの場合、たとえば、ジヒドロキシ化合物、ジヒドロキシ化合物の環状2量体を使用することができる。なお、単量体として使用するカルボン酸はエステルとして使用することができ、ジカルボン酸は酸無水物として使用することができる。
【0035】
前記脱水縮重合反応は、バッチ式反応機または連続式反応機で行なうことができる。バッチ式反応機は、初期設備費が高価になるが、大量生産に適している。連続式反応機は、初期設備費が廉価であり、小ロット生産に適している。
【0036】
本発明に使用される連続式反応機としては、たとえば、脱水用ベント付き押出し機形式の連続式反応機を使用することが好ましい。反応機としては、押出し機、たとえば、2ベント付き押出し機、または3ベント付き押出し機を使用することが好ましい。使用するスクリューは、好ましくは、供給部のみ、食い込みをよくするために2軸とし、この後からダイまでは1軸で構成することが好ましい。たとえば、3ベント付き押出し機は、好ましくは、2軸スクリュー供給部、剪断混練り圧縮反応部、開放ベント部、混練り圧縮部、真空ポンプ吸引ベント部、混練り圧縮部、真空ポンプ吸引ベント部および混練り圧縮部から構成される。たとえば、前記剪断混練り圧縮反応部の圧力は3〜20MPa(好ましくは7〜12MPa)、温度は150〜220℃(好ましくは180〜200)、滞留時間は0.5〜5分(好ましくは1〜2分)とすることができる。反応温度と圧力は補完関係にあり、例えば超臨界圧力以上で温度を上昇させて行くと、急激に圧力が低下する温度がある。このような状態に達したことは超臨界、または亜臨界状態に達したことを意味している。超臨界と亜臨界の違いはその状態での圧力により異なる。
【0037】
単量体縮重合法では、縮重合体の製造時(単量体の重合時)に、単量体または2量体または重合前駆体(例えばPETの場合のBHET)溶融物にカーボンナノチューブをガラスミル等により分散させ、そののち、縮重合させる。反応機としては回分式または連続式反応機を使用することができる。反応温度、時間、触媒等は縮合体の縮合条件を適宜選択すればよい。
【0038】
カーボンナノチューブを分散させる際または縮重合反応時に、縮重合反応系におけるカーボンナノチューブの分散状態を維持するために、その温度で適当な粘度を保持する点より、単量体またはその縮重合体に、溶解する粘度増加剤を予め縮重合反応系に添加しておくことが好ましい。粘度増加剤は、反応および製品(カーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物)の特性に悪影響のないことが必要である。反応および製品の特性に悪影響のない粘度増加剤としては、単量体の縮重合体(オリゴマーまたはポリマー)を使用することができる。2次凝集を防止するため、適当な粘度を保持したほうが好ましく、分散時またはその後で縮合体を単量体または2量体または重合前駆体(たとえばPETの場合のBHET)溶融物に対し1〜5重量%添加することがよい。
【0039】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物を射出成形に使用する場合には、MI値が15〜30の縮重合コンポジット組成物を使用することが好ましい。縮重合コンポジット組成物のMI値は、原料として使用する縮重合体のMI値および製造条件(加水分解条件、縮重合条件)を制御することにより調節することができる。
【0040】
本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物では、縮重合体中に無機顔料が分散している。
【0041】
縮重合体としては、たとえば、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルもしくはポリカーボネートまたはこれらの2種以上のランダムもしくはブロックコポリマーがある。ポリアミドとしては、たとえば、ポリプロピルアミド、ポリブチルアミド、ポリヘキシルアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジペート(ナイロン66)、ポリドデカメチレンアミド(ナイロン12)、ポリパラジアミノベンツテレフタル酸アミドがある。ポリイミドとしては、たとえば、ポリエチレンベンツイミド、ポリベンツイミダゾールがある。ポリエステルとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリエチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンアジぺートテレフタレート、ポリカプロラクトン、ポリエチレンエーテルケトン(PEEK)がある。ポリエーテルとしては、たとえば、ポリメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSF)がある。
【0042】
縮重合体(とりわけ、PET)としては、通常、たとえば、極限粘度(IV値)が0.6〜0.7の縮重合体を、ボルト用としては、たとえば、固相重合をして、IV値を0.8〜0.95まであげた縮重合体を使用することができる。また、縮重合体(とりわけ、ポリ乳酸)としては、メルトインデックス(MI値)が0.5〜25、好ましくは2〜20の縮重合体を、フィルム用としては、MI値が2〜5の縮重合体を使用することができる。
【0043】
本発明では、無機顔料を分散させることが一般的な方法では困難な縮重合体である生分解性樹脂(たとえば、構成する単量体の50%以上が乳酸である縮重合体(とりわけ、ポリ乳酸)、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート・コテレフタレート)を、縮重合体として使用することができる。縮重合体である生分解性樹脂には、耐熱性に乏しく、寸法安定性に欠けるという欠点があり、汎用性樹脂が多用される成形品に使用することができなかったが、本発明によれば、縮重合体である生分解性樹脂を使用して、耐熱性が高く、寸法安定性に優れた縮重合コンポジット組成物を提供することができる。
【0044】
無機顔料としては、たとえば、カーボンブラック、天然無機顔料、合成無機顔料がある。
【0045】
カーボンブラックは、たとえば、東海カーボン(株)のホームページに次のように掲載されている。カーボンブラック、トーカブラック#4500を低密度ポリエチレン(LDPE)70部に30部配合すると体積固有電気抵抗が10Ω・cm以下になる。#4500の粒子径は40nmで、比着色力は68%である。粒子径の小さい#5500の粒子径は25nmで、比着色力は98%である。しかし、可視光線の波長は250〜550nmであり、この可視光線の波長の範囲と同じ範囲に粒子径があるとき、隠蔽力が最大、比着色力が最大となる。カーボンブラックは1次凝集し、ストラクチャーを作っているため、見掛けの径が可視光線の波長域より大きい。従って、#5500のアグリゲートが可視光線の波長域に、より近くなっていると推察される。
【0046】
一般に粒子径の小さいカーボンブラックは高価である。無機顔料としてカーボンブラックを含有する本発明の縮重合コンポジット組成物では、カーボンブラックのアグリゲートが500nm以下の1次凝集体に粉砕されるため、粒子径の大きい廉価なカーボンブラックを使用することができ、経済的である。また、無機顔料としてカーボンブラックを含有する本発明の縮重合コンポジット組成物は、1次凝集体を100nm以下に粉砕することにより、顔料であるカーボンブラックを、隠蔽することなく、染料と同様に使用することができ、透明な黒色着色ができる。染料でなく顔料であるため、透明性があり、耐光性に優れている。
【0047】
天然無機顔料としては、土系顔料(たとえば、イエローオーカー、テールベルト、ローシェンナ、カッセルアース、石膏)、焼成土(たとえば、バーントシェンナ、バーントアンバー)、鉱物性顔料(たとえば、ラピスラズリ、アズライト、マラカイト、オーピメント、辰砂)、その他の天然無機顔料(たとえば、珊瑚末、胡粉)がある。
【0048】
合成無機顔料としては、酸化物顔料(たとえば、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトバイオレット、コバルトグリーン、ジンクホワイト、チタニウムホワイト、ライトレッド、クロムオキサイドグリーン、マルスブラック)、水酸化物顔料(たとえば、ビリジャン、イエローオーカー、アルミナホワイト)、硫化物顔料(たとえば、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、パーミリオン、リトポン)、珪酸塩顔料(たとえば、ウルトラマリーン、タルク、ホワイトカーボン、クレー)、リン酸塩顔料(たとえば、ミネラルバイオレット、ローズコバルトバイオレット)、炭酸塩顔料(たとえば、シルバーホワイト、炭酸カルシウム)、金属粉類顔料(たとえば、金粉、ブロンズ粉、アルミニウム粉)、そのほかの合成無機顔料(たとえば、アイボリーブラック、ピーチブラック、ランプブラック、カーボンブラック、プルシャンブルー、オーレオリン、雲母)がある。
【0049】
無機顔料の分散性を向上させるため、前処理として無機顔料の表面処理または化学修飾を行なってもよい。たとえば、縮重合体を構成する単量体を予め適量配合することにより、分散性をさらに向上させることができる。たとえば、縮重合体としてポリ乳酸を使用する場合は、乳酸を予め配合することにより、分散性を向上させることができる。単量体の配合量は、たとえば、縮重合体100部(重量部、以下同様)に対して0.1〜10部、好ましくは0.5〜5部とすることができる。また、適宜水分を予め加えることもできる。水の添加量は、たとえば、縮重合体100部に対して0.1〜5部、好ましくは0.5〜2部とすることができる。
【0050】
本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物では、縮重合体中に無機顔料が0.1〜60%、好ましくは0.1〜40%含有されている。
【0051】
無機顔料の含有量が0.1%未満では、着色性の乏しく、無機顔料を添加することによる効果が低いので、好ましくない。一方、無機顔料の含有量が20%以上の縮重合コンポジット組成物は、一般的にはマスターバッチ(カラーマスターバッチ)として使用されるが、60%を超える場合は、希釈倍率を過剰に大きくする必要があり、ポリマーとドライブレンドすると、希釈による斑が発生するので、好ましくない。
【0052】
無機顔料の含有量については、黒色が最も含有量を多くすることを必要とし、一般的には、6%まで配合される。必要な含有量は求められる色調により異なるが、比着色力が大きい程、使用量が少なくて済み経済的である。本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物をカラーマスターバッチとして使用する場合は、無機顔料の含有量が多いほど経済的であるが、最終的なポリマー組成物の無機顔料の含有量が同じ場合でも、縮重合コンポジット組成物に対して配合されるポリマーの比率(稀釈比率)が大きくなると得られるポリマー組成物の色斑が大きくなるため通常最大で60%である。本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物においては、無機顔料を、隠ぺい力が効果的になる範囲で配合すれば、無機顔料の比着色力が大きいので、経済的である。
【0053】
本発明の縮重合コンポジット組成物では、縮重合体中に無機顔料が均斉に分散されている。
【0054】
たとえば、本発明の縮重合コンポジット組成物は、無機顔料の99%以上が、相当する円の直径が500nm以下(好ましくは400nm以下、より好ましくは300nm以下)の2次凝集体として分散していることが好ましい。無機顔料の2次凝集体の直径は、縮重合コンポジット組成物の切片を顕微鏡で観察し、各2次凝集体の面積から、同面積の円の直径を算出することにより、求めることができる。相当する円の直径が500nmを超える大きさの2次凝集体として分散している無機顔料が1%を超えた縮重合コンポジット組成物では、無機顔料の分散がわるく、縮重合体中に無機顔料が均斉に分散していないため、着色性が低下する傾向がある。
【0055】
本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物は、無機顔料が均斉に分散されていることにより、縮重合コンポジット組成物の溶融流動性も損なわれないため、成形性が良好である。
【0056】
本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物を、たとえば、カラーマスターバッチとし、ほかのポリマーをマトリックスとしてポリマー組成物(ポリブレンド)とすることができる。ほかのポリマーとしては、とくに限定はなく、汎用ポリマー、たとえば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ゴム(たとえば、天然ゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR))を使用することができる。カラーマスターバッチは、通常、ドライブレンドによってポリマーに配合され、20〜50倍(顔料含有量が0.1から10重量%)に希釈されることにより、着色剤として使用される。稀釈倍率が低いと均一性が良いがコストアップの傾向があり、高いと均一性が低いが経済的である傾向がある。
【0057】
本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物およびポリマー組成物には、製品に悪影響のでない範囲で、一般に使用される添加剤(たとえば、タッキング防止剤、防汚剤、防虫剤、抗菌剤、耐熱剤、耐光剤、酸化防止剤、静電防止剤、着色剤、光分解促進剤)を使用することができる。これらの添加剤は、本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物またはポリマー組成物に、ドライブレンドで添加してもよく、また、本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物またはポリマー組成物の製造時に添加してもよい。
【0058】
本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物は、無機顔料の存在下、縮重合体を解重合したのち、縮重合させること(解重合縮重合法)、または、無機顔料の存在下、単量体を縮重合させること(単量体縮重合法)によって製造することができる。
【0059】
カーボンブラックなどの凝集しやすい無機顔料を分散させる方法としては、低粘度の流体中で機械的な剪断力を与える方法が最も好ましい。無機顔料を低粘度の流体中で低分子(縮重合体の解重合物または単量体)と混合することにより、良好に分散させることができる。
【0060】
解重合縮重合法では、たとえば、押出し機の中で炭酸ガスまたはチッ素ガスの超臨界状態下で撹拌することにより、縮重合体を解重合し、部分的にモノマーまたはオリゴマーとし、カーボンブラックに入り込んだ連続相(縮重合体)からなるコンポジットを形成したのち、再度縮重合をすることを特徴とする。すなわち、一時的に、低粘度の液体状態に保持し、カーボンブラックを分散させる。超臨界状態を形成し、見かけ上の粘度を小さくし、縮重合体の解重合(加水分解)を促進する炭酸ガスまたはチッ素ガスは、押出し機の反応部にボンベから直接供給することができ、予め水溶液として供給することもできる。
【0061】
解重合縮重合法では、たとえば、縮重合体を、低粘度にするため、高温・高圧下で、短時間に解重合し、剪断力下、無機顔料を分散させたのち、解重合された縮重合体の脱水縮重合反応を行なわせ、縮重合体の分子量を調節する。反応効率および分散効率を向上させるため、超臨界または亜臨界状態を利用することが好ましい。超臨界状態としては、炭酸ガスまたはチッ素の超臨界状態(温度および圧力が臨界点以上)または亜臨界状態(温度および圧力の一方が臨界点以上であり、他方が臨界点未満)を利用することが好ましい。
【0062】
単量体縮重合法で使用する単量体としては、目的とする縮重合体に応じた単量体を、適宜選択して使用することができる。たとえば、目的とする縮重合体がポリアミドの場合、たとえば、アミノカルボン酸、ジアミンとジカルボン酸との混合物を使用することができる。目的とする縮重合体がポリエステルの場合、たとえば、ヒドロキシカルボン酸、ジヒドロキシ化合物とジカルボン酸との混合物を使用することができる。目的とする縮重合体がポリエーテルの場合、たとえば、ジヒドロキシ化合物を使用することができる。なお、単量体として使用するカルボン酸はエステルとして使用することができ、ジカルボン酸は酸無水物として使用することができる。
【0063】
前記脱水縮重合反応は、バッチ式反応機または連続式反応機で行なうことができる。バッチ式反応機は、初期設備費が高価になるが、大量生産に適している。連続式反応機は、初期設備費が廉価であり、小ロット生産に適している。
【0064】
本発明に使用される連続式反応機としては、たとえば、脱水用ベント付き押出し機形式の連続式反応機を使用することが好ましい。反応機としては、押出し機、たとえば、2ベント付き押出し機、または3ベント付き押出し機を使用することが好ましい。使用するスクリューは、好ましくは、供給部のみ、食い込みをよくするために2軸とし、この後からダイまでは1軸で構成することが好ましい。たとえば、3ベント付き押出し機は、好ましくは、2軸スクリュー供給部、剪断混練り圧縮反応部、開放ベント部、混練り圧縮部、真空ポンプ吸引ベント部、混練り圧縮部、真空ポンプ吸引ベント部および混練り圧縮部から構成される。
【0065】
たとえば、前記剪断混練り圧縮反応部の圧力は3〜20MPa(好ましくは7〜12MPa)、温度は150〜220℃(好ましくは180〜200)、滞留時間は0.5〜5分(好ましくは1〜2分)とすることができる。反応温度と圧力は補完関係にあり、例えば超臨界圧力以上で温度を上昇させて行くと、急激に圧力が低下する温度がある。このような状態に達したことは超臨界、または亜臨界状態に達したことを意味している。超臨界と亜臨界の違いはその状態での圧力により異なる。
【0066】
本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物を射出成形に使用する場合には、MI値が15〜30の縮重合コンポジット組成物を使用することが好ましい。縮重合コンポジット組成物のMI値は、原料として使用する縮重合体のMI値および製造条件(加水分解条件、縮重合条件)を制御することにより調節することができる。
【0067】
本発明においては、カーボンナノチューブと無機顔料とを併用することができる。カーボンナノチューブと無機顔料とを併用する場合、カーボンナノチューブによる黒色着色を補い無機顔料による自由な着色性(隠蔽性)を付与する観点から無機顔料は最終製品の縮合体に対し3重量%以上、好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上含有されることが好ましい。
【0068】
【実施例】
実施例1
反応機として、2軸スクリュー供給部、炭酸ガス供給部、剪断混練り圧縮反応部、開放ベント部、混練り圧縮部、真空ポンプ吸引ベント部、混練り圧縮部、真空ポンプ吸引ベント部および混練り圧縮部から構成される40mm径3ベント付き押出し機を使用して、本発明の縮重合コンポジット組成物を製造した。前記剪断混練り圧縮反応部の反応温度は200℃、圧力は5MPa、滞留時間は1分とした。
【0069】
MI値5.2のポリ乳酸100部、カーボンナノチューブ5部および乳酸粉末0.5部(カーボンナノチューブ含有量約4.7%)をドライブレンドし、反応機に供給し、炭酸ガスが超臨界状態または亜臨界となる条件下(30.9℃、7.38MPa)以上で、解重合反応後、脱水縮重合させ、ダイスから押し出し、ホットカッターで切断し、縮重合コンポジット組成物のペレットを製造した。このペレットのMI値は15.3であった。本明細書において、縮重合体または縮重合コンポジット組成物のMI値はJIS K 7210に準じて測定した値である。
【0070】
このペレットを厚さ1mmのプレートに射出成形した。プレートの表面は平滑で光沢があり、摩擦による脱落もなく、良好な分散性を示した。このプレートは、体積固有電気抵抗が10kΩ・cm以上と電気抵抗が大きく、カーボンナノチューブの絡みがなく分散が非常に良好であることがわかった。このプレートを沸騰水中で20分間加熱したが、耐熱性がよく、外観の変化は見られなかった。寸法変形(沸騰水中で加熱する前の長さに対する沸騰水中で加熱したのちの長さの変化の割合)は、縦横ともに1%未満であり、寸法安定性もよかった。液体チッ素で冷却後、破断した面を走査型電子顕微鏡で撮影し、カーボンナノチューブの分散状態を確認したが、相当する円の直径が500nm以上の塊(凝集体)は見当たらなかった。
【0071】
本実施例の縮重合コンポジット組成物のペレットをポリ乳酸で5倍に希釈して得られたポリマー組成物を射出成形してノッチなしサンプルを作製し、アイゾット衝撃強度を測定した(JIS K7110)が、破損せず、強度が測定を超えていた。一方、ポリ乳酸単独(参考例1)のサンプルのアイゾット衝撃強度は0.1kJ/m2と非常に脆かった。
【0072】
実施例2〜4
実施例1と同様にして、カーボンナノチューブの配合量を、ポリ乳酸100部に対して1部(実施例2)、10部(実施例3)または20部(実施例4)に変えたほかは、実施例1と同様に縮重合コンポジット組成物を製造し、得られた縮重合コンポジット組成物の体積固有電気抵抗値とアイゾット衝撃強度を測定した。結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
実施例5および6
カーボンナノチューブの含有量を30部(実施例5)または60部(実施例6)に変えたほかは、実施例1と同様に縮重合コンポジット組成物を製造し、得られた縮重合コンポジット組成物の体積固有電気抵抗値とアイゾット衝撃強度を測定した。各縮重合コンポジット組成物を、ポリ乳酸で30倍(実施例5)または60倍(実施例6)に希釈し、カーボンナノチューブの配合量が実施例2(1部)と同じポリマー組成物を得た。得られたポリマー組成物を使用して厚さ1mmのプレートを製造した。
【0075】
参考例2として、ポリ乳酸100部に対するカーボンナノチューブ配合量が70部の縮重合コンポジット組成物のペレットを製造し、得られた縮重合コンポジット組成物のペレットをポリ乳酸で70倍に希釈し、ポリ乳酸100部に対するカーボンナノチューブの配合量が実施例2(1部)と同じポリマー組成物を得た。得られたポリマー組成物で、厚さ1mmのプレートを製造した。得られた各プレートのアイゾット衝撃強度を測定した。結果を表2に示す。
【0076】
【表2】
【0077】
実施例7
実施例4で製造した縮重合コンポジット組成物のペレット5部を、MI値20のLDPEと、2軸混練り機で、ドライブレンドし、よく混練りしてポリマー組成物を得た。得られたポリマー組成物を射出成形して厚さ1mmのノッチなしサンプルを製造した。このサンプルのアイゾット衝撃強度を測定したが、破損せず良好な耐衝撃性を示した。
【0078】
実施例8〜12
カーボンナノチューブの代わりに、縮重合体中の含有量が0.1%(実施例8)、1.0%(実施例9)、2.0%(実施例10)、20%(実施例11)または30%(実施例12)となる量のカーボンブラック(東海カーボン(株)製トーカブラック#4500)を使用し、実施例1と同様にして縮重合コンポジット組成物を製造した。実施例8〜10は、縮重合コンポジット組成物のペレットを製造し、実施例11および12は、それぞれ10倍または15倍に希釈し、カーボンブラック含有量が実施例10の縮重合コンポジット組成物(2.0%)と同じ、ポリマー組成物を得た。各縮重合コンポジット組成物またはポリマー組成物で厚さ1mmのプレートを製造した。
【0079】
参考例3および4は、一般的な2軸混練機を使用した製造例である。参考例4の黒さを標準(100)として、色差計で求めたLabのL値で着色力を評価し、比較した。420nmの光線の透過率を分光光度計で測定した。結果を表3に示す。
【0080】
【表3】
【0081】
実施例13
カーボンナノチューブに代えて、カーボンナノチューブ1部とルチル型酸化チタン(無機顔料)7部を使用したほかは、実施例1と同様に縮重合コンポジット組成物を製造し、射出成形で厚さ1mmのプレートを製造した。実施例1で製造したプレートのL値と、実施例13で製造したプレートのL値を色差計で測定したところ、実施例1は8.3であったのに対して、実施例13では9.8であった。実施例13のプレートは、ライトグレーで、ルチル型酸化チタンで、カーボンナノチューブの黒色を遮蔽することができた。
【0082】
実施例14
乳酸に代わるモノマーを使用することなく、実施例1と同様にしてポリ乳酸の代わりに水分率が0.43%、IV値が0.75のポリエチレンテレフタレートを使用し、温度を275℃に変更し、本発明の縮重合コンポジット組成物のペレットを製造した。得られたペレットを水分率が0.05重量%以下になるまで乾燥し、通常のポリエチレンテレフタレートのペレットとドライブレンドして5倍に稀釈し、射出成形でノッチなしサンプル試験片を製造した。このサンプルのアイゾット衝撃強度を測定したが、破損することなく、良好な耐衝撃性を示した。
【0083】
実施例15
実施例1と同様にして、ポリ乳酸の代わりにナイロン6を、乳酸の代わりにカプロラクタムを使用し、温度を250℃に変更し、本発明の縮重合コンポジット組成物のペレットを製造した。得られたペレットを水分率が0.1%以下になるまで乾燥し、通常のナイロン6のペレットとドライブレンドして5倍に稀釈し、射出成形でノッチなしサンプル試験片を製造した。このサンプルのアイゾット衝撃強度を測定したが、破損することなく、良好な耐衝撃性を示した。
【0084】
実施例16および17
ポリ乳酸を、MI値が0.5(実施例16)または25.3(実施例17)のポリ乳酸に変更したほかは、実施例1と同様にして、本発明の縮重合コンポジット組成物のペレットを製造した。得られたペレットのMI値はそれぞれ4.8(実施例16)と35.2(実施例17)であった。おのおののペレットを水分率が0.05%以下になるまで乾燥し、MI値が15のポリ乳酸ペレットとドライブレンドして5倍に稀釈し、射出成形でノッチなしサンプル試験片を製造した。このサンプルのアイゾット衝撃強度を測定したが、いずれも破損することなく、良好な耐衝撃性を示した。
【0085】
【発明の効果】
本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物を使用することにより、ミリ波帯の電磁波吸収体を製造することができる。本発明のカーボンナノチューブを含有する縮重合コンポジット組成物を使用することにより、補強剤含有量が少なくても補強効果があり、しかも、成形性および機械特性に優れたFRPを製造することができる。本発明の無機顔料を含有する縮重合コンポジット組成物は、無機顔料の含有量が少なくても発色性に優れ、表面が滑らかに仕上がり、摩擦による脱落が殆どなく、カラーマスターバッチとして使用した場合に優れた分散性を示す。本発明の縮重合コンポジット組成物は汎用的な成形方法(たとえば、射出成形、回転成形、真空モールド成形、ブロー成形、押出し成形、紡糸)を使用して、成形品を製造することができる。
Claims (18)
- 縮重合体中にカーボンナノチューブが0.1〜60重量%含有され、縮重合体中にカーボンナノチューブが均斉に分散した縮重合コンポジット組成物。
- 縮重合体が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルもしくはポリカーボネートまたはこれらの2種以上のコポリマーである請求項1記載の縮重合コンポジット組成物。
- 縮重合体が、生分解性樹脂である請求項1記載の縮重合コンポジット組成物。
- 生分解性樹脂がポリ乳酸である請求項3記載の縮重合コンポジット組成物。
- カーボンナノチューブの99重量%以上が、相当する円の直径が500nm以下の2次凝集体として分散している請求項1記載の縮重合コンポジット組成物。
- 体積固有電気抵抗が1kΩ・cm以上である請求項1記載の縮重合コンポジット組成物。
- カーボンナノチューブの存在下、縮重合体を解重合したのち、縮重合させることによって得られる縮重合コンポジット組成物。
- カーボンナノチューブの存在下、単量体を縮重合または2量体を開環重合させることによって得られる縮重合コンポジット組成物。
- ポリマー中に請求項1記載の縮重合コンポジット組成物を2〜99重量%含有するポリマー組成物。
- カーボンナノチューブの存在下、縮重合体を解重合したのち、縮重合させることを特徴とする縮重合コンポジット組成物の製造方法。
- カーボンナノチューブの存在下、単量体を縮重合または2量体を開環重合させることを特徴とする縮重合コンポジット組成物の製造方法。
- 縮重合体中に無機顔料が0.1〜60重量%含有され、縮重合体中に無機顔料が均斉に分散した縮重合コンポジット組成物。
- 縮重合体が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルもしくはポリカーボネートまたはこれらの2種以上のコポリマーである請求項12記載の縮重合コンポジット組成物。
- 縮重合体が、生分解性樹脂である請求項12記載の縮重合コンポジット組成物。
- 無機顔料の99重量%以上が、相当する円の直径が500nm以下の2次凝集体として分散している請求項12記載の縮重合コンポジット組成物。
- 無機顔料の存在下、縮重合体を解重合したのち、縮重合させることによって得られる縮重合コンポジット組成物。
- ポリマー中に請求項12記載の縮重合コンポジット組成物を1〜99重量%含有するポリマー組成物。
- 無機顔料の存在下、縮重合体を解重合したのち、縮重合させることを特徴とする縮重合コンポジット組成物の製造方法。
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