JP5219266B2 - コルゲイト管継手 - Google Patents

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Description

本発明は、蛇腹状のコルゲイト管の接続に用いるコルゲイト管継手に関する。特には、コルゲイト管を挿入するだけで接続が出来るとともに、この接続作業を確実に行うことが容易なコルゲイト管継手に関する。
屋内ガス配管等には、金属製の蛇腹状コルゲイト管が広く用いられている。また、このコルゲイト管とガス栓や鋼管などとを接続するための管継手が種々用いられている。例えば、特許文献1には、継手本体内に低硬度ゴムパッキンを装着し、前記継手本体内に装着した本体の軸線方向入り口側に弾発するバネと、前記継手本体内に係止して前記バネを圧縮状態に保持し、接続蛇腹管を継手本体内に挿入すると蛇腹管の端部で前記継手本体との係止が外されるガイドと、前記ガイドの係止が外されて圧縮状態のバネが伸張することにより蛇腹管の外周面に圧縮されるパッキンと、前記バネの伸張により前記パッキンを介して押され、蛇腹管の波山凹凸部に係止する抜け止め部材とからなる差込式管継手が記載されている。
また、特許文献2には、コルゲイト管の端部が挿入される内孔を有する本体と、前記内孔内に配置された、コルゲイト管外面の環状凹部に差し込まれる爪を有し、前記本体にコルゲイト管を係止するリテーナと、コルゲイト管と前記本体との間をシールするシール手段と、前記本体に対してスライド可能に係合するとともに、特定のスライド位置において、コルゲイト管を前記本体に係止した状態で前記リテーナをロックするリテーナ押えと、前記リテーナ押えをスライド不能とする係止機構と、前記リテーナ押えが不意に移動することを防止する誤操作防止機構と、前記リテーナ押えの係止機構を解除し、コルゲイト管、前記リテーナ及び前記リテーナ押えを前記本体から抜き出し可能とする分解機構と、を具備したコルゲイト管継手が記載されている。
特開2001−132881号公報 特開2004−316733号公報
しかしながら、特許文献1に記載の差込式管継手は、継手本体にガイドが係止されることによって、バネを圧縮状態で保持しているために、接続施工に至る間の振動や落下によって、ガイドと継手本体との係止が開放され、コルゲイト管が接続できないという虞があった。
一方、特許文献2に記載のコルゲイト管継手においては、ストッパ部材にコルゲイト管が係り合う手応えが判りづらく、狭い場所などでの施工時には、コルゲイト管を所定の位置にまで挿入することなくリテーナ押えをロックさせてしまい、長期的なシール性能を保証しづらいという問題点があった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、コルゲイト管を管継手に挿入するだけで接続可能とするとともに、この接続を確実なものにするコルゲイト管継手を提供することを目的としている。
本発明は、コルゲイト管が挿入される内孔を有した継手本体と、前記継手本体の内孔に奥側から順に配置された、圧縮状態で保持された弾性部材と、前記内孔にスライド可能に配置されたシール部材と、前記コルゲイト管に係合する爪部を有し、前記爪部の内径が前記コルゲイト管の外径よりも大きい状態で設置され、前記弾性部材の圧縮状態からの開放によってコルゲイト管に係合するリテーナと、前記継手本体と連結されたナット部材とを具備し、前記弾性部材は、一端が前記継手本体の内孔内の当接段部に当接し、他端は前記継手本体の内孔内の係止段部に係止された拡縮リングに支持され、前記拡縮リングは、コルゲイト管の管端部に押圧されてスライドする可動部材に支持され、前記ナット部材は、前記リテーナの一端を係止し、この係止部以外でリテーナと接触せぬヌスミ凹部が形成されていることを特徴とするコルゲイト管継手である。
上記構成によれば、コルゲイト管を挿入すると、コルゲイト管の先端が可動部材を継手本体の奥側へ移動させ、拡縮リングが係止段部から離脱することによって、弾性部材を圧縮状態から開放させる。弾性部材の付勢力は、シール部材を圧縮してコルゲイト管とのシール面圧を向上させると共に、リテーナを縮径させてコルゲイト管と係止する。したがって、コルゲイト管を挿入するだけで施工作業が完了すると共に、弾性部材が圧縮状態から開放される際の音や手応えを確実に認識することができる。また、弾性部材が圧縮状態にある間は、リテーナが縮径しないので、コルゲイト管を容易に引き抜くことができる。また、ナット部材にはヌスミ凹部が形成されているので、コルゲイト管に引抜き方向の力が加わると、リテーナはさらに縮径方向に変形し、コルゲイト管の引抜きを阻止することができる。
また本発明は、コルゲイト管が挿入される内孔を有した継手本体と、前記内孔の軸方向に伸縮自在な弾性部材と、前記弾性部材を圧縮状態で保持する保持手段と、前記内孔にスライド可能に配置されたシール部材と、前記コルゲイト管に係合する爪部を有し、前記爪部の内径が前記コルゲイト管の外径よりも大きい状態で配置されたリテーナと、前記継手本体と連結されたナット部材とを設け、前記コルゲイト管の挿入によって、前記保持手段は前記弾性部材の圧縮状態を開放し、前記弾性部材の伸長にともなって、前記シール部材が軸方向に圧縮され、かつ前記リテーナが縮径して前記コルゲイト管に係合するように構成され、前記保持手段は、前記弾性部材の一端を支持するリング状の支持部と、該支持部から突出した先端に形成した係止突起を有する保持部材と、前記係止突起が係止される継手本体の保持部材係止溝と、前記保持部材の内孔に挿通され、前記係止突起の内径側への縮径を規制する可動部材とを備え、前記ナット部材は、前記リテーナの一端を係止し、この係止部以外でリテーナと接触せぬヌスミ凹部が形成されていることを特徴とするコルゲイト管継手である。
この構成によれば、コルゲイト管を挿入すると、コルゲイト管の先端が可動部材を継手本体の奥側へ移動させ、保持部材が保持部材係止溝から離脱することによって、弾性部材を圧縮状態から開放させる。弾性部材の付勢力は、シール部材を圧縮してコルゲイト管とのシール面圧を向上させると共に、リテーナを縮径させてコルゲイト管と係止する。したがって、コルゲイト管を挿入するだけで施工作業が完了すると共に、弾性部材が圧縮状態から開放される際の音や手応えを確実に認識することができる。また、弾性部材が圧縮状態にある間は、リテーナが縮径しないので、コルゲイト管を容易に引き抜くことができる。また、ナット部材にはヌスミ凹部が形成されているので、コルゲイト管に引抜き方向の力が加わると、リテーナはさらに縮径方向に変形し、コルゲイト管の引抜きを阻止することができる。
本発明において、前記継手本体の内孔には、係止溝と、これに連なり前記係止溝よりも大径とした回避溝とを有し、前記ナット部材の外径側には、外周溝を形成し、前記係止溝と前記外周溝とを跨ぐようにストップリングを配置させて前記継手本体と前記ナット部材とを係止すると共に、前記ナット部材の他端側には大径部が形成され、前記大径部と前記継手本体の端部との間に分解用リングを備えることができる。
また本発明において、前記シール部材は、気密パッキンと、耐火パッキンとを含み、前記気密パッキンが消失したとき、前記耐火パッキンは、前記弾性部材の伸長によって前記継手本体の内孔奥側への膨張を規制されることが好ましい。
本発明に係るコルゲイト管継手によれば、コルゲイト管を挿入すると、コルゲイト管の先端が可動部材を継手本体の奥側へ移動させ、拡縮リング(又は保持部材)が係止段部(又は保持部材係止溝)から離脱することによって、弾性部材を圧縮状態から開放させる。弾性部材の付勢力は、シール部材を圧縮してコルゲイト管とのシール面圧を向上させると共に、リテーナを縮径させてコルゲイト管と係止する。したがって、コルゲイト管を挿入するだけで施工作業が完了すると共に、弾性部材が圧縮状態から開放される際の音や手応えを確実に認識することができる。また、弾性部材が圧縮状態にある間は、リテーナが縮径しないので、コルゲイト管を容易に引き抜くことができる。また、ナット部材にはヌスミ凹部が形成されているので、コルゲイト管に引抜き方向の力が加わると、リテーナはさらに縮径方向に変形し、コルゲイト管の引抜きを阻止することができる。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態を図1から図5を用いて説明する。図1は本発明のコルゲイト管継手の一実施例の半断面図を、図2は弾性部材の実施の形態の斜視図、図3は本発明のコルゲイト管継手にコルゲイト管を挿入途中の状態の半断面図を、図4は本発明のコルゲイト管継手にコルゲイト管を接続施工完了した状態の半断面図を示している。また、図5は本発明のコルゲイト管継手が高温にさらされた場合の状態を示す半断面図である。
図1に示すように、コルゲイト管継手1は、一端側からコルゲイト管Tが挿入される通孔部16を有する継手本体10と、通孔部16には奥側から順に、弾性部材71と、弾性部材71を圧縮状態で保持するための拡縮リング70と、通孔部16にスライド可能に配置されたシール部材40と、コルゲイト管Tに係合する爪部52を有するリテーナ50と、一方に大径となしたヘッド部21と他方に小径とした挿入部24とが形成され、この挿入部24が継手本体10の通孔部16に挿入されるようになした押ナット20とを有する。なお、継手本体10の他端側の外表面には他の配管部材と接続するための雄ネジ部14と雄ネジ部14を他の配管部材に螺合するための工具係部15が形成されている。
継手本体10の通孔部16には、係止溝部18aと、係止溝部18aに連なり係止溝部18aよりも大径とした回避溝18bが形成されている。一方、押ナット20の挿入部24には係止凹溝25が形成されている。そして、係止溝部18aと係止凹溝25を跨ぐようにストップリング61が配置されている。ストップリング61は、弾性を有する金属製のC型形状のリングで、継手本体10の通孔部16に押ナット20の挿入部24を挿入する際に、係止溝25に縮径させて収納し、係止溝部18aの位置に来たとき若干拡径し、これにより継手本体10と押ナット20とが予め連結されている。
そして、継手本体10の一端面と押ナット20のヘッド部21との間には、所定の厚さの分解用リング63が挟着されており、この分解用リング63を取外すと、分解用リング63の厚さ分だけ継手本体10の通孔部16に押ナット20を押し込むことができるようになっている。すると、ストップリング61は係溝段部18aの位置から回避溝18bに移動し、ここでストップリング61が拡径するので、継手本体10と押ナット20との連結が開放される。これによって、継手本体10と押ナット20とを分解することが可能となっている。
押ナット20の挿入部24の内面側には、先端に向かって拡径するテーパ内面28が形成され、このテーパ内面28に対向するように形成されたテーパ外面54を有し、内径側にコルゲイト管Tの谷部T4に係り合う爪部52を有するリテーナ50が配置されている。そして、このリテーナ50の爪部52の内径は、無負荷状態ではコルゲイト管Tの外形よりも大としている。従って、コルゲイト管Tの挿入の段階では、リテーナ50の爪部52はコルゲイト管Tの山部T2に係り合うことなくスムースに挿入することができる。
このリテーナ50は、継手本体10の通孔部16内において、シール部材40と押ナット20との間に配置されたリング状の部材である。そして、その後部が一体のリング状となっており、前部は軸方向の分割部53によって複数のセグメント(一例で8個)にわかれている。各セグメントの先端は、半径方向内側に張り出した爪部52が設けられている。リテーナ50は、例えば母体がプラスチック製、爪部52が真ちゅう製であり、両者は一体にモールド成形されている。
次にシール部材40は、コルゲイト管Tの外周面をシールするリング状ゴム製弾性部材で、外径側は、継手本体10の通孔16の内周面の内径よりも大きく設定し、継手本体10の通孔部16に気密に密着するように圧入されるとともに、継手本体10の通孔部16の内周面に沿って軸方向に移動可能に配置されている。一方、内径側は、コルゲイト管Tの外径よりも若干小さく設けられている。なお、シール部材40は、特に長期間にわたってシール性能を保持する必要性から、耐ガス性を考慮しニトリルブタジエンゴム(NBR)が望ましい。
そして、シール部材40の一端側には、リング状で、その断面形状がL形の金属ガイド42が、接着されて一体化されて、金属ガイド42には耐火パッキン44が備えられている。
耐火パッキン44は、例えば、原料ゴムと無発泡状態で熱膨張する黒鉛層間化合物と必要に応じ充填材、軟化材、加硫剤等を混練して得られたゴム配合物を、金型に充填して成形し、ついでプレス加硫することにより製造される。黒鉛層間化合物は、例えば黒鉛(六員環重合体層が層状に重なり合った炭素の六方晶系結晶体)に硫酸を反応させることにより得られる層間に硫酸銀が結合した化合物であり、170度以上に加熱されると無発泡状態で体積が数倍乃至数十倍にも増加し、800度〜1000度に加熱すると見掛けの体積は100乃至250倍に増加する。原料ゴムとしては、天然ゴム(NR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)、シリコーンゴム(Q)等を用い得る。
コルゲイト管継手1が火災等で高温にさらされた場合、シール部材40は焼失してしまうが、耐火パッキン44が熱膨張し、継手本体10とコルゲイト管Tとの空間に充満して、コルゲイト管Tの外径をシールすることで、火災時にガス漏れが生じて被害を拡大させることを防止している。具体的には、図5に示すように、コルゲイト管継手1が火災等で高温にさらされた場合、金属ガイド42は、弾性部材71の伸長によって、継手本体10の通孔部16の奥側(図の右方向)への移動を規制することができる。この場合、シール部材(気密パッキン)40は消失してしまうので、弾性部材71は更に伸長して金属ガイド42を支持することとなる。そして、耐火パッキン44は通孔16の奥側への膨張が規制され、入口側(図の金属ガイド42から左側)にのみ膨張するので、シール面圧を確保しやすくなっている。なお、シール部材(気密パッキン)40と耐火パッキン44との間に必ずしも金属ガイド42を介在させる必要はなく、例えばシール部材(気密パッキン)40と耐火パッキン44とを直接接着することができる。この場合、火災等でシール部材(気密パッキン)40が消失すると、弾性部材71が伸長して、カラー72が耐火パッキン44の通孔16の奥側への膨張を規制することとなる。
弾性部材71は、一端が継手本体10の通孔部16に形成された当接段部19aに当接し、他端は拡縮リング70に支持されている。拡縮リング70は、弾性を有する金属製のC型形状のリングで、その外周面が通孔部16に形成された係止段部19bに係止され、内周面に嵌入された可動部材80によって縮径を阻止されている。したがって、この状態で、弾性部材71は、圧縮状態に保持されている。また、拡縮リング71とシール部材40との間には、弾性部材71が圧縮状態から開放されたとき、シール部材40を押圧するためのカラー72が配置されている。
弾性部材71は、ステンレス製コイルスプリングで形成されている。実施例においては断面円状のコイルスプリングを示しているが、図2(a)に示す異形断面ばね(角ばね)71A、図2(b)に示す円すいコイルばね71B、図2(c)に示すコイルドウエイブスプリング71C、図2(d)に示す波形座金71D1と平座金71D2との組合せ、図2(e)に示す微小コイルばね71Eを円状に配置させた形態、図2(f)に示す竹の子ばね71Fを採用することもできる。
この中で、円すいコイルばね71B、コイルドウエイブスプリング71C、波形座金71D1と平座金71D2との組合せ、および竹の子ばね71Fは、弾性部材を小型化することにおいて有益で、また、コイルドウエイブスプリング71C、および微小コイルばね71Eは円周上に均一な反力を付勢できる点で有益である。
特に、コイルドウエイブスプリング71Cは、その形状によってばね定数を選択することが容易で、一般のコイルスプリングに比べて全長を短くすることができ、また、円周上に均一な反力を付勢できるので、コルゲイト管継手をコンパクトにできるとともに、シール部材40を均一に圧縮できるために好適である。
また、押ナット20の挿入部24には、Oリング溝23が形成され、ここに水密Oリング47が装着されている。また、押ナット20の挿通孔部22には、水密パッキン48が備えられている。従って、コルゲイト管用継手の内部に外部からの水分や粉塵等の進入を阻止している。
また、押ナット20には、挿入孔部22から挿入部24へ貫通する通気穴26が設けられ、選択透過性部材60が設けられている。
選択透過性部材60は、四フッ化エチレン樹脂粉を押し固めたのち、延伸加工して成形した連続多孔質膜を含むシート材からなり、0.1〜5μmの連続した微細孔を有し、空気や水蒸気のような気体は通すが、水などの液体ははじくという特性を備えているものがあげられる。あるいはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルアクリレート、ポリスチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、四フッ化エチレン重合体等の熱可塑性樹脂粉体から成形した連続気孔を有する多孔質体であるとか、またポリビニルアルコールとホルムアルデヒドを酸触媒と共に反応させることで成形した連続気孔を有する多孔質シート材等を用いてもよい。
これらの選択透過性部材は、空気や水蒸気のような気体を透過する通気性、透湿性を有し、一方で水や薬液等の液体は透過させない防水性を兼ね備えるもので、他に防塵性、耐薬品性、耐熱性、耐候性等にも優れる。従って、外から継手内への固体(塵芥など)及び液体(水や露など)の透過、侵入は阻止して配管施工後長期にわたって外部からの水分や塵芥の侵入を防止し内部が腐食するなどの問題が生じない。
具体的には、コルゲイト管Tの外周に被覆した樹脂被覆層T6の内面には管の長手方向に(図示しない)凹凸が設けられており、コルゲイト管を施工するときに誤って管に釘を打たれると、漏れ出たガスが凹凸に沿って選択透過性部材60まで導かれ、選択透過性部材60は、ガス、空気等の気体は透過するので、内封圧力の降下を検出したり、ガス漏れセンサ等を利用することによって、漏れの有無を検知し得るようにしている。
続いて、コルゲイト管継手1にコルゲイト管Tを接続する手順とその作用について図3及び図4を用いて詳細に説明する。
図3に示すように、コルゲイト管継手1にコルゲイト管Tを挿入すると、リテーナ50の内径がコルゲイト管Tの外径よりも大としているので、金属ガイド42まではコルゲイト管Tをスムースに挿入することができる。そして、シール部材40の内周面で若干の手応えを感じつつ、更にコルゲイト管Tを押し込むと、コルゲイト管Tの先端は可動部材80の端面に当接する。
そして更に力を加えると、コルゲイト管の挿入とともに可動部材80が、通孔部16の奥方向にスライドし、可動部材80が拡縮リング70の内周面から離間する。すると、図4に示すように、拡縮リング70が縮径して、係止段部19bから離脱する。同時に弾性部材71が伸長し、拡縮リング70、カラー72を介して、シール部材40を押圧し、通孔部16の入口方向へスライドさせる。また、金属ガイド42、耐火パッキン44もスライドすることとなる。
そして、金属ガイド42は、リテーナ50の爪部52を押圧する。リテーナ50は、その背面側にテーパ外面54が形成され、押ナット20のテーパ内面28に押付けられることとなるので、爪部52は縮径してコルゲイト管Tの谷部に係り合い、このことによって、コルゲイト管Tとコルゲイト管継手1とが強固に連結し、施工が完了する。
すなわち、コルゲイト管Tを挿入するだけで施工作業が完了すると共に、弾性部材71が圧縮状態から開放される際の音や手応えを確実に認識することができる。
また、リテーナ50とカラー72の間に位置するシール部材40は、弾性部材71の付勢力を受けて軸方向に圧縮され、シール部材40とコルゲイト管Tとのシール面圧を向上することになるので、例えば多少扁平や変形のあるコルゲイト管であっても気密にシールすることができる。また、弾性部材71は、図4の如く伸長した状態でも付勢力を付加されるように設定しておくことによって、たとえシール部材40の永久歪が進行したとしてもシール面圧を一定以上に維持することができる。特に、リテーナ50は押ナット20のテーパ内面28によって縮径され、爪部52がコルゲイト管の谷部に係り合っているので、リテーナ50がこの状態で固定され、弾性部材71による付勢力によってシール部材40を確実に圧縮することができる。
続いて、コルゲイト管継手1とコルゲイト管Tとの接続を分解する手順とその作用について図6及び図7を用いて詳細に説明する。図6は分解リングを取り除き、押ナットをスライドさせた状態の半断面図、図7は継手本体からコルゲイト管を引き出した状態の判断面図である。
まず、図6に示すように、継手本体10の一端面と押ナット20のヘッド部21との間に装着されている分解用リング63を取外し、押ナット20を継手本体10の通孔部16に押し込む。すると、ストップリング61は係止溝部18aの位置から回避溝18bに移動し、ここでストップリング61が拡径するので、継手本体10と押ナット20との連結が開放される。
次に、コルゲイト管Tを引き抜くと、図7に示すように、弾性部材71に押出されるように、コルゲイト管Tと共に、押ナット20、リテーナ50、シール部材40などが継手本体10から抜き出される。また、弾性部材71及び可動部材80も容易に取り出すことができる。
そして、コルゲイト管Tからシール部材40、リテーナ50、押ナット20の順に取外すことができるので、ステンレス製のコルゲイト管T、黄銅製の継手本体10や押ナット20、合成ゴム製のシール部材40などその材質ごとに分別することができ、リサイクルすることが容易にできる。またコルゲイト管継手を構成する部品は再び組み立てて再利用(リユース)することもできる。
[第2の実施の形態]
続いて、第2の実施の形態について、図8および図10を用いて説明する。図8は本発明のコルゲイト管継手の第2の実施例の半断面図を、図9は本発明のコルゲイト管継手の第2の実施例において、コルゲイト管を接続施工完了した状態の半断面図を、図10は保持部材の一実施例の斜視図をそれぞれ示している。
なお、図1から図7に示したコルゲイト管用継手と同一の構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図8に示すように、コルゲイト管継手1Aは、一端側からコルゲイト管Tが挿入される通孔部16を有する継手本体10と、通孔部16に奥側から順に、コイルドウエイブスプリング(弾性部材)71Cを圧縮状態で保持した保持部材70Aと、通孔部16にスライド可能に配置されたシール部材40と、コルゲイト管Tに係合する爪部52Aを有するリテーナ50Aと、一方に大径となしたヘッド部21と他方に小径とした挿入部24とが形成され、この挿入部24が継手本体10の通孔部16に挿入されるようになした押ナット20Aとを有する。
リテーナ50Aは、一端部55が切欠きを有するリング状となっており、前部は(図示しない)軸方向の分割部よって複数のセグメント(一例で8個)にわかれ爪部52Aをなしている。そして、プレス等を用いて、全体を金属製で形成している。
また、リテーナ50Aの一端部55は、押ナット20Aの先端内周面に形成された内面係止溝27に係止されている。また、押ナット20Aの内面係止溝27に隣接してヌスミ凹部29が形成されている。
保持部材70Aは、図10に示すように、一端がリング状で弾性部材71Cを支持する支持部74が形成されており、この支持部から突出させた他端には係止突起73が(図中では4箇所)形成されている。そして、係止突起73は継手本体10の通孔部16に形成された保持部材係止溝75に係止されるとともに、係止突起73の内周側に可動部材80が嵌入されて、係止突起73が内側に縮径することを規制している。なお、この保持部材70Aの係止突起73の先端の外径は、可動部材80が嵌入されていない状態では、保持部材係止溝75の内径よりも小となるように成形されている(図9参照)。
そして、図9に示すように、コルゲイト管Tが挿入されると、可動部材80が、通孔部16の奥方向にスライドし、可動部材80が保持部材70Aの内周面から離間する。すると、保持部材70Aの係止突起73が縮径して保持部材係止溝75から離脱する。同時に、弾性部材71Cが伸長し、保持部材70Aを介して、シール部材40を押圧し、通孔部16の入口方向へスライドさせる。また、金属ガイド42、耐火パッキン44もスライドすることとなる。
そして、金属ガイド42は、リテーナ50Aの爪部52Aを押圧する。リテーナ50Aは、その一端部55が押ナット20Aの内面係止溝27に係止されているので、一端部55を支点として爪部52Aが縮径し、コルゲイト管Tの谷部に係り合い、このことによって、コルゲイト管Tとコルゲイト管継手1Aとが強固に連結し、施工が完了する。
すなわち、コルゲイト管Tを挿入するだけで施工作業が完了すると共に、弾性部材71Cが圧縮状態から開放される際の音や手応えを確実に認識することができる。
また、リテーナ50Aと保持部材70Aの間に位置するシール部材40は、弾性部材71Cの付勢力を受けて軸方向に圧縮され、シール部材40とコルゲイト管Tとのシール面圧を向上することになるので、例えば多少扁平や変形のあるコルゲイト管であっても気密にシールすることができる。また、弾性部材71Cは、伸長した状態でも付勢力を付加されるように設定しておくことによって、たとえシール部材40の永久歪が進行したとしてもシール面圧を一定以上に維持することができる。
また、押ナット20Aの内面係止溝27に隣接してヌスミ凹部29が形成されているので、コルゲイト管Tに引抜き方向の力が加わると、リテーナ50Aは一端部55を支点として更に爪部52Aを縮径方向に変形し、コルゲイト管Tの引抜きを阻止することができる。
一方、コルゲイト管Tに押し込み方向の力が加わった場合、爪部52Aが金属ガイド42に当接しているので、爪部52Aが拡径されることがなく、コルゲイト管Tが押し込まれることもない。
さらに、リテーナ50Aは押ナット20Aの内面係止溝27と、コルゲイト管Tの谷部T4の谷部に係り合っているので、リテーナ50Aがこの状態で固定され、弾性部材71Cによる付勢力によってシール部材40を確実に圧縮することができる。
コルゲイト管継手1Aとコルゲイト管Tとの接続を分解する手順は、コルゲイト管継手1の場合と同様である。継手本体10の一端面と押ナット20Aのヘッド部21との間に装着されている分解用リング63を取外し、押ナット20Aを継手本体10の通孔部16に押し込む。すると、ストップリング61は係止段部18aの位置から回避溝18bに移動し、ここでストップリング61が拡径するので、継手本体10と押ナット20Aとの連結が開放される。
次に、コルゲイト管Tを引き抜くと、弾性部材71Cに押出されるように、コルゲイト管Tと共に、押ナット20A、リテーナ50A、シール部材40などが継手本体10から抜き出される。また、弾性部材71C及び可動部材80も容易に取り出すことができる。
以上、説明したように、本発明に係るコルゲイト管継手によれば、
(1)コルゲイト管を所定の位置に挿入していない状態では、リテーナ(抜止め部材)がコルゲイト管に係り合うことがなく、コルゲイト管を所定の位置に挿入すると、弾性部材の圧縮状態が開放されて、リテーナがコルゲイト管に係り合うとともに、弾性部材が反発するときの音や手応えを確実に認識することができる。
(2)圧縮状態から開放された弾性部材は、シール部材を同時に圧縮することとなるので、コルゲイト管に多少の扁平や変形があったとしても、コルゲイト管の外周面を確実にシールすることができる。
(3)また、継手本体の通孔部16には、係止溝部18aと、これに連なり係止溝部18aよりも大径とした回避溝18bとを有し、ナット部材20の外径側には、係止凹溝25を形成し、係止溝部18aと係止凹溝25とを跨ぐようにストップリング61を配置させて継手本体10とナット部材20とを係止すると共に、ナット部材20の他端側には大径部21が形成され、大径部21と継手本体10の端部との間に分解リング63を備える構成であるので、分解リング63を取外し、ナット部材20を押し込むと継手本体10とナット部材20との連結が解除され、コルゲイト管継手を構成する部品とともにコルゲイト管を分解することができる。したがって、各部材のリサイクル・リユースを容易に行うことができる。
本発明に係るコルゲイト管継手の形状は一端に雄ねじ部を有する片ねじソケットに限らず、両ソケット、エルボ、ティー、または雌ねじを有するものであってもよい。またガス栓やガスメータなどの機器の端部に本発明の継手構造を一体的に設けることもできる。
本発明のコルゲイト管継手の一実施例の半断面図である。 弾性部材の実施の形態の斜視図である。 本発明のコルゲイト管継手にコルゲイト管を挿入途中の状態の半断面図である。 本発明のコルゲイト管継手にコルゲイト管を接続施工完了した状態の半断面図である。 本発明のコルゲイト管継手が高温にさらされた場合の状態を示す半断面図である。 分解リングを取り除き、押ナットをスライドさせた状態の半断面図である。 継手本体からコルゲイト管を引き出した状態の判断面図である。 本発明のコルゲイト管継手の第2の実施例の半断面図である。 本発明のコルゲイト管継手の第2の実施例において、コルゲイト管を接続施工完了した状態の半断面図である。 保持部材の一実施例の斜視図である。
符号の説明
1、1A:コルゲイト管継手、
10:継手本体、14:雄ねじ部、15:工具掛部、16:通孔部、18a:係止溝部、18b:回避溝、19a:当接段部、19b:係止段部、
20、20A:押ナット、21:ヘッド部、22:挿通孔部、23:Oリング溝、24:挿入部、25:係止凹溝、26:通気穴、27:内面係止溝、28:テーパ内面、
40:シール部材(気密パッキン)、42:金属ガイド、44:耐火パッキン、47:水密Oリング、48:水密パッキン、
50:リテーナ、52:爪部、53:分割部、54:テーパ外面、
60:選択透過性部材、61:ストップリング、63:分解用リング、
70:拡縮リング、70A:保持部材、
71:弾性部材、71A:異形断面ばね(角ばね)、71B:円すいコイルばね、71C:コイルドウエイブスプリング、71D1:波形座金、71D2:平座金、71E:微小コイルばね、71F:竹の子ばね
72:カラー、73:係止突起、75:保持部材係止溝
80:可動部材、
T:コルゲイト管、T2:山部、T4:谷部、T6:樹脂被覆層、

Claims (5)

  1. コルゲイト管が挿入される内孔を有した継手本体と、前記継手本体の内孔に奥側から順に配置された、圧縮状態で保持された弾性部材と、前記内孔にスライド可能に配置されたシール部材と、前記コルゲイト管に係合する爪部を有し、前記爪部の内径が前記コルゲイト管の外径よりも大きい状態で設置され、前記弾性部材の圧縮状態からの開放によってコルゲイト管に係合するリテーナと、前記継手本体と連結されたナット部材とを具備し、
    前記弾性部材は、一端が前記継手本体の内孔内の当接段部に当接し、他端は前記継手本体の内孔内の係止段部に係止された拡縮リングに支持され、
    前記拡縮リングは、コルゲイト管の管端部に押圧されてスライドする可動部材に支持され
    前記ナット部材は、前記リテーナの一端を係止し、この係止部以外でリテーナと接触せぬヌスミ凹部が形成されていることを特徴とするコルゲイト管継手。
  2. コルゲイト管が挿入される内孔を有した継手本体と、
    前記内孔の軸方向に伸縮自在な弾性部材と、前記弾性部材を圧縮状態で保持する保持手段と、前記内孔にスライド可能に配置されたシール部材と、
    前記コルゲイト管に係合する爪部を有し、前記爪部の内径が前記コルゲイト管の外径よりも大きい状態で配置されたリテーナと、
    前記継手本体と連結されたナット部材とを設け、
    前記コルゲイト管の挿入によって、前記保持手段は前記弾性部材の圧縮状態を開放し、前記弾性部材の伸長にともなって、前記シール部材が軸方向に圧縮され、かつ前記リテーナが縮径して前記コルゲイト管に係合するように構成され、
    前記保持手段は、前記弾性部材の一端を支持するリング状の支持部と、該支持部から突出した先端に形成した係止突起を有する保持部材と、前記係止突起が係止される継手本体の保持部材係止溝と、前記保持部材の内孔に挿通され、前記係止突起の内径側への縮径を規制する可動部材とを備え
    前記ナット部材は、前記リテーナの一端を係止し、この係止部以外でリテーナと接触せぬヌスミ凹部が形成されていることを特徴とするコルゲイト管継手。
  3. 前記継手本体の内孔には、係止溝と、これに連なり前記係止溝よりも大径とした回避溝とを有し、前記ナット部材の外径側には、外周溝を形成し、前記係止溝と前記外周溝とを跨ぐようにストップリングを配置させて前記継手本体と前記ナット部材とを係止すると共に、前記ナット部材の他端側には大径部が形成され、前記大径部と前記継手本体の端部との間に分解用リングを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のコルゲイト管継手。
  4. 前記シール部材は、気密パッキンと、耐火パッキンとを含み、前記気密パッキンが消失したとき、前記耐火パッキンは、前記弾性部材の伸長によって前記継手本体の内孔奥側への膨張を規制されることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のコルゲイト管継手。
  5. 前記ナット部材は、前記リテーナの縮径を許容するテーパ面を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のコルゲイト管継手。
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