特許文献1は、図7に示すようなフレキシブル管用継手を開示する。このフレキシブル管用継手は、継手本体250と、リテーナ部材252と、押輪254と、防水パッキン256とを備える。
継手本体250には、フレキシブル管300が挿入される。フレキシブル管300は、外周部に円周方向全周に延びる山部310と谷部312とを管軸方向へ交互に並設し、それらの外周を塩化ビニールなどの被覆層314で被覆したものである。
リテーナ部材252は、継手本体250の中に配置される。リテーナ部材252は、後方突起252aを有する。後方突起252aは、フレキシブル管300の外面の谷部312に差し込まれる。
押輪254は、リテーナ部材252の後方突起252aをフレキシブル管300の外面の谷部312に差し込んだ状態で固定する。また、押輪254は、継手本体250内で軸方向にスライドする。したがって、押輪254は、リテーナ部材252の後方突起252aがフレキシブル管300の谷部312へ嵌まり込まない位置と、リテーナ部材252の後方突起252aがフレキシブル管300の谷部312へ嵌まり込んだ状態を保持する位置との間で変位可能である。
防水パッキン256は、フレキシブル管300と継手本体250との間をシールする。
さらに、図7に示すフレキシブル管用継手には、ロック機構が設けられている。このロック機構は、次に述べる状態で押輪254をロックする。その状態とは、後方突起252aが谷部312へ嵌まり込んだ状態である。このロック機構は、スナップリング258と、第1溝260と、第2溝262と、第3溝264とによって構成される。
スナップリング258は、C字状の部材である。第1溝260は、継手本体250に形成されている。第1溝260には、スナップリング258の外周部が係合する。第2溝262も、継手本体250に形成されている。第2溝262にも、スナップリング258の外周部が係合する。第3溝264は、押輪254の外周面に形成されている。第3溝264には、スナップリング258の内周部が係合する。スナップリング258は、第3溝264に内周部が係合したまま、押輪254のスライドに応じて第1溝260から第2溝262へスライドする。
スナップリング258の外周部が第1溝260に係合しているとき、押輪254は、継手本体250に半挿入状態に仮止めされている。このときの押輪254の位置は、後方突起252aが谷部312へ嵌まり込まない位置である。スナップリング258の外周部が第2溝262に係合するとき、押輪254はロックされる。このとき、後方突起252aは、谷部312へ嵌まり込んだ状態に保持される。押輪254の押し込み量は、上述した第1溝260と第2溝262との間の距離にほぼ等しくなるように設定されている。
このフレキシブル管用継手によれば、押輪254を押込むと、良好なシール性を維持した状態でフレキシブル管300の接続を行うことができる。
また、図7に示すフレキシブル管用継手は、分解用リング部材280を備えている。継手本体250には、拡張段部270が設けられている。フレキシブル管300を接続した後、いったんそれを取り外す必要が生じたときには、分解用リング部材280が取り除され、押輪254がさらに押し込まれる。押輪254がさらに押し込まれることで、第2溝262に嵌まっていたスナップリング258も、拡張段部270に押し込まれる。第2溝262に嵌っている間、スナップリング258の直径は弾性変形によって小さくなっているので、拡張段部270に押し込まれたスナップリング258の直径は拡がる。直径が拡がるため、スナップリング258が拡張段部270に押し込まれると、押輪254のロックは解除される。
このフレキシブル管用継手によれば、継手本体250に押輪254がロックされた状態を解除できる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施例について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。図1は、本発明の実施例にかかるフレキシブル管用継手10を、シール材22押し込み前の状態で示す半欠截断面図である。図2の(a)はシール材22の半欠截断面図である。図2の(b)はシール材22の背面図である。図2の(c)はシール材22の側面図である。図3は、妨害部64の先端部分の拡大図である。図4は押輪24の斜視図である。図5の(a)は、露出部分の長さが適切なフレキシブル管が挿入された場合における、本発明の実施例にかかるフレキシブル管用継手10を、シール材22押し込み前の状態で示す半欠截断面図である。図5の(b)は、シール材22押し込み途中の状態で示す同フレキシブル管用継手10の半欠截断面図である。図5の(c)は、フレキシブル管300の差込み完了後の状態で示す同フレキシブル管用継手10の半欠截断面図である。図6(a)は、露出部分の長さが不足するフレキシブル管300が挿入された場合における、本発明の実施例にかかるフレキシブル管用継手10を、シール材22押し込み前の状態で示す半欠截断面図である。図6(b)は、図6(a)に示すフレキシブル管用継手10をシール材22押し込み途中の状態で示す半欠截断面図である。図6(c)は、図6(a)に示すフレキシブル管用継手10をフレキシブル管300の差込み完了後の状態で示す半欠截断面図である。
図1に示すように、本実施例に係るフレキシブル管用継手10は、継手本体20と、シール材22と、押輪24と、スナップリング26などとを備える。継手本体20の一端部には、挿入口30が形成されている。継手本体20の他端部の外周には、接続用雄ねじ32が形成されている。挿入口30は、金属製のフレキシブル管300の先端部を受け入れる口である。シール材22は、この継手本体20の挿入口30を経て継手本体20の中に収容される。押輪24は、この継手本体20に、押込み代を残す仮挿入状態で接続される。押輪24は、シール材22よりも挿入口30側に配置される。スナップリング26は、継手本体20内に収容される。スナップリング26は、その径方向へ拡縮可能な係合部材である。
図1に示すように、継手本体20の内部は、挿入口30を介して継手本体20の外部に連通している。なお、本発明の説明において、「連通」とは、通路を介して二つの空間を連続状態にすることを意味する。ここでいう「通路」には管状のものだけでなく単なる孔も含まれる。フレキシブル管300は、押輪24を通り抜け、かつ、挿入口30から継手本体20に挿入される。継手本体20の内部には、第1収容部42と、第2収容部44と、シール材縮径案内部46と、第3収容部48とが設けられている。これらの中で最も挿入口30側にあるのは第1収容部42である。これらの中で最も内奥側にあるのは第3収容部48である。第1収容部42は、挿入口30の奥に形成され、挿入口30に連通される。第2収容部44は、第1収容部42の奥に形成され、第1収容部42に連通される。シール材縮径案内部46は、第2収容部44の奥に形成される。シール材縮径案内部46は、第2収容部44から離れるにつれ窄まる。第3収容部48は、シール材縮径案内部46の奥に形成される。第3収容部48は、フレキシブル管300の先端部とこの先端部の外周のシール材22とを収容する。
第1収容部42は、溝付き部54と抜止縮径案内部56とを有する。溝付き部54は、挿入口30に連通される。本実施例において、溝付き部54の断面は、円形である。抜止縮径案内部56は、第2収容部44との境界部分に設けられている。抜止縮径案内部56は、挿入口30から離れるにつれ窄まる。
溝付き部54には、スナップリング仮止め溝92と本体凹み部94とが設けられている。これらはそれぞれ継手本体20の中心軸に対して直交する方向に延びている。本体凹み部94が、スナップリング仮止め溝92に比べ、挿入口30から遠い位置に設けられている。スナップリング仮止め溝92内の奥側溝壁には溝テーパ面92aが形成されている。溝テーパ面92aは、第2収容部44の方向へ向かって窄まっている。
第2収容部44の内周には、シール材22の外周を取り囲むように耐火パッキン溝96が設けられている。この耐火パッキン溝96には耐火パッキン104が嵌め込まれている。本実施例において、耐火パッキン104は熱膨張性黒鉛入りゴムなどからなる。
第3収容部48の内奥端にはストッパー部50が設けられている。ストッパー部50は、第3収容部48に比べ、継手本体20の中心軸方向へ突出している。
図2の(a)〜(c)に示すように、本実施例にかかるシール材22は、係合部61と、シール作用部62とを有する。シール材22の中央には管挿入孔63が形成されている。管挿入孔63にはフレキシブル管300が挿入される。係合部61は、管挿入孔63から挿入されたフレキシブル管300に押されることでシール材22を継手本体20の挿入完了位置(本実施例においては第3収容部48)へ移動させる部分である。シール作用部62は、胴部60aの後端部に外向きに張り出している。シール作用部62がフレキシブル管300の谷部312にかみ合うことにより、継手本体20の内周面とフレキシブル管300の外周面とがシールされる。
係合部61は、胴部60aと、管端受け部60bとを有する。胴部60aは筒状である。胴部60aの内径はフレキシブル管300の山部310の外径とほぼ同一である。管端受け部60bは、この胴部60aの前端部に内向きに張り出している。継手本体20の中にフレキシブル管300が挿入されると、管端受け部60bがフレキシブル管300の先端に突き当たる。
シール材22の後方側すなわち係合部61よりも挿入口30に近い側には、複数の妨害部64が設けられている。これらの妨害部64は、円周方向に並ぶように配置される。妨害部64同士は、所定間隔をおいて離れている。継手本体20の中にシール材22が収容されたとき、妨害部64によって囲まれる空間の直径は、フレキシブル管300の山部310の外径より大きい。妨害部64は、シール材22が継手本体20の挿入完了位置に到達していない手前の位置(本実施例においては、図1に示す位置のこと)に位置していた場合に、押輪24により押されたとき押輪24の先方に立ちはだかって、押輪凹み部84に嵌められたスナップリング26の本体凹み部94への嵌り込みを阻止する。
本実施例において、係合部61と、妨害部64の一部(後述する介入部70以外の部分)とは、一体となっている。
本実施例の場合、胴部60aと、管端受け部60bと、シール作用部62と、妨害部64の一部とは、ゴム製である。これらの素材として用いられるゴムの例には、NBR(Acrylonitrile-Butadiene Rubber)、SBR(Styrene-butadiene rubber)、EPDM(ethylene propylene rubber)などがある。
管端受け部60bには、黄銅製座金などの補強芯金60fが埋込まれている。管端受け部60bの材質は、胴部60aおよびシール作用部62と同一材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。
図3に示すように、妨害部64の先端には、介入部70が設けられている。介入部70は、押輪24により押されたときに押輪24の先方に立ちはだかる。また、介入部70は、フレキシブル管300の谷部312にかみ合う。介入部70は、胴部60aおよびシール作用部62よりも硬い材料で形成される。そのような材料の例として、黄銅などの金属材料や硬質樹脂がある。
介入部70は、拘束部70aと、抜止部70bと、かみ合い凹部70cとを有する。拘束部70aは、後述する先端部分82aによって抜止縮径案内部56に押付けられる(このため、抜止縮径案内部56は、介入部70を受け止めることとなる)。図1や図5から明らかな通り、拘束部70aは、後述する押輪24の先端面106bよりも内径が大きい部分を有する。抜止部70bは、挿入口30側から見たとき、後述する外周テーパ面71の背面側に配置される。抜止部70bは、第3収容部48の奥へ係合部61が押し込まれることに伴って第1収容部42の中から第2収容部44の中へ移動する。抜止部70bは、第1収容部42の中から第2収容部44の中へ移動することに伴ってフレキシブル管300の外周に嵌まる。かみ合い凹部70cは、拘束部70aと抜止部70bとによって形成される凹み部分である。妨害部64が第1収容部42内の妨害位置(スナップリング26が本体凹み部94に嵌まることを妨げる位置のこと。本実施例の場合、図5(a)に示す位置のこと。)に配置されており、かつ、継手本体20の中に押輪24が押し込まれるとき、後述する先端部分82aがかみ合い凹部70cに嵌まる。
拘束部70aは、外周テーパ面71を有する。外周テーパ面71は、第3収容部48の奥へ胴部60aが押し込まれ、かつ、押輪24が継手本体20の中に押し込まれると、先端部分82aに対向する。外周テーパ面71は、押輪24が継手本体20の中に押し込まれた状態でフレキシブル管300に引抜力がかかると、押輪24の先端部のうち後述する反力部82bに接触する。
シール材22は、フレキシブル管300の差込み前(初期状態)において、図1に示すように配置される。これにより、初期状態において、管端受け部60bおよび胴部60aが第3収容部48内に位置し、シール作用部62が第2収容部44内に位置し、かつ、妨害部64が第1収容部42内の妨害位置に位置するように、シール材22は配置されることとなる。
図4に示すように、押輪24は、筒部76aと鍔部76bとを有する。筒部76aと鍔部76bとは一体となっている。筒部76aは、継手本体20の中に挿入される。挿入口30の中において筒部76aは軸方向に移動可能である。筒部76aの中を、フレキシブル管300が挿通可能である。鍔部76bは、この筒部76aの入口側後端の外周に設けられている。鍔部76bは、後述する嵌入予定部77を挟んで継手本体20に対向している。鍔部76bの外径は、挿入口30の孔径より大きい。
押輪24の内部には、被覆層進入部79aと、本体連通部79bとが設けられている。被覆層進入部79aは、フレキシブル管300の先端部分が貫通し、かつ、被覆層314が進入する。本体連通部79bは、継手本体20に押輪24が挿入されたとき被覆層進入部79aよりも継手本体20側に配置される。本体連通部79bのうち被覆層進入部79aとの境界部分には、フレキシブル管300が通り抜ける、被覆層314の外径よりも小さくフレキシブル管300の山部310の外径よりも大きな直径の円形開口87が設けられている。
筒部76aは、パッキン溝78を有する。パッキン溝78は、筒部76aの入口側後端の内周に設けられている。パッキン溝78は、筒部76aの中心軸に対して直交する方向に形成されている。図1に示すように、パッキン溝78には、防水パッキン80が嵌め込まれている。防水パッキン80は、EPDMなどで作られている。防水パッキン80の断面はT形状である。防水パッキン80の円周方向数箇所には、ピン形状の選択透過性部材100が埋設されている。選択透過性部材100は、気体を透過するが固体や液体は透過しない。これにより、ガス漏れ検査が可能である。選択透過性部材100は、例えば、連続多孔質膜を含むシート材、あるいは連続気孔を有する多孔質体である。前者の連続多孔質膜は、四フッ化エチレン樹脂粉体を成形することによって得られる。後者の多孔質体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルアクリレートなどの熱可塑性樹脂粉体から成形することによって得られる。
筒部76aのうち妨害部64に対向する部分には、先端部分82aが設けられている。後述の説明から明らかなように、先端部分82aは、妨害位置に妨害部64が配置されているとき継手本体20の中に筒部76aが押し込まれると第1収容部42の内周面に妨害部64を押付ける。なお、本実施例の場合についてさらに具体的に述べるならば、押付けられた妨害部64を受け止めるのは、第1収容部42のうち、抜止縮径案内部56である。
先端部分82aは、傾斜面106aと先端面106bとを有する。傾斜面106aの形状は先細形である。これにより、傾斜面106aは、筒部76aの先端に近付くにつれ窄まることになる。本実施例における傾斜面106aの勾配は、継手本体20に設けられた抜止縮径案内部56とほぼ同じである。本実施例の先端面106bは、筒部76aの先端に配置される平面である。もちろん、先端面106bは曲面その他の面であってもよい。ちなみに、先端面106bのうち筒部76aの中心側の端における内径は、第2収容部44の内径以上である。
筒部76aのうち妨害部64に対向する先端部分の内周には、反力部82bが設けられている。反力部82bは、挿入口30の奥に向かって広がる先拡がり状である。
図4に示すように、筒部76aのうち継手本体20の内周に対向する面には押輪凹み部84が設けられている。押輪凹み部84は、筒部76aの中心軸に対して直交する方向に形成されている。
筒部76aのうち押輪凹み部84より入口側の部分には防水パッキン溝86が設けられている。この防水パッキン溝86には防水パッキン102が嵌め込まれている。
図1に示すように、嵌入予定部77には、誤動作防止カラー110が嵌め込まれている。嵌入予定部77とは、押輪24の筒部76aのうち、スナップリング26の外周がスナップリング仮止め溝92に嵌め込まれているときには継手本体20から露出し、かつ、スナップリング26の外周が本体凹み部94に嵌め込まれているときには挿入口30の中に配置される部分のことである。その結果、鍔部76bは、嵌入予定部77を挟んで継手本体20に対向していることになる。誤動作防止カラー110は、欠縁部を有しており、挿入口30の内周面と押輪24の筒部76aとの間の隙間よりも大きい厚みを有する。
なお、押輪24の押込み代であるストローク長さS(図5の(b)参照)は、スナップリング仮止め溝92と本体凹み部94との間の距離にほぼ等しくなるように設定されている。
次に、上述したフレキシブル管用継手10にフレキシブル管300を接続する要領について図5を参照しつつ説明する。
フレキシブル管300の接続に際しては、先ず、フレキシブル管300を、押輪24の入口側から継手本体20の挿入口30内に差し込む。なお、このフレキシブル管300の先端部分の被覆層314は、山部310が8つ露出するよう、予め剥離されている。ただし、山部310をいくつ露出させるかは、継手本体20の大きさなどに応じて定められるものである。山部310をいくつ露出させるかは、本実施例のものに限定されない。
挿入口30内に差し込まれたフレキシブル管300は、シール材22の中を、妨害部64、シール作用部62、胴部60aの順に通過する。その後、図5(a)に示すように、フレキシブル管300の先端部は、シール材22の管端受け部60bに突き当たる。その際、シール材22のシール作用部62は外向きに張り出す形に形成されているので、フレキシブル管300の差込み時にそのシール作用部62が障害になるようなことない。フレキシブル管300の先端部はシール材22内にスムーズに挿入できる。
シール材22の管端受け部60bに突き当たるまでフレキシブル管300が差込まれると、シール材22の胴部60aは第3収容部48の奥へ押込まれる。この押込みに伴い、シール材22のシール作用部62はシール材縮径案内部46の窄まり側に移動する。シール作用部62は、シール材縮径案内部46に押されて内向きに縮径変形する。シール作用部62は、シール材縮径案内部46を通過して第3収容部48内に引き込まれるや否やフレキシブル管300の谷部312にかみ合う。その際、シール作用部62は、谷部312の斜面312aに密着する。これと同時に妨害部64が抜止縮径案内部56の窄まり側に移動する。妨害部64は、抜止縮径案内部56によって縮径方向に押されながら第2収容部44に引き込まれる。これにより、図5の(b)に示すように、フレキシブル管300の先端部の外周面と継手本体20の第3収容部48の内周面との間がシール材22によって確実に密封シールされる。そこが密封シールされることで、フレキシブル管300内を流れる流体が継手本体20から漏れ出るのを防止できる。フレキシブル管300が少々変形していたとしても、その効果はほとんど低下しない。なお、フレキシブル管300の先端部とシール材22の管端受け部60bとの間でもシール機能を期することができる。図5の(b)は、シール材22の管端受け部60bの内径部およびフレキシブル管300の先端部の内面が、第3収容部48の奥のストッパー部50に突き当たった状況を示す。
フレキシブル管300の差込み完了後には、誤動作防止カラー110を押輪24から外す。誤動作防止カラー110が外れると、押輪24を押込み代(図5の(b)に示すストローク長さSのこと)分だけ完全に押込む。この押し込みに伴い、スナップリング26は、押輪凹み部84内に内周部が嵌め込まれた状態で、溝テーパ面92aに沿ってスナップリング仮止め溝92から滑り出す。溝テーパ面92aに沿って移動するため、スナップリング26は縮径するよう弾性変形する。そして、押輪24が完全に押し込まれた時点で、スナップリング26の外周部が本体凹み部94に嵌まる。スナップリング26の外周部が本体凹み部94に嵌まる時、それまで縮径していたスナップリング26は拡径する。これにより、押輪24の位置を固定できる。図5の(c)は、押輪24が完全に押し込まれた状態を示す。押輪24の先端部は、妨害部64の後側に位置する完全な押込み位置に保持される。このとき、図5の(c)から明らかなように、シール材22によるシール状態は確保される。
また、押輪24の完全な押込みに伴い、押輪24の先端部の反力部82bが妨害部64の外周テーパ面71に近接し、かつ、対向する。この後、フレキシブル管300に対して継手本体20から引き抜く方向に引抜力がかかると、外周テーパ面71は、挿入口30の方向に少し移動して、反力部82bに接触する。外周テーパ面71は、反力部82bに接触すると、反力部82bから反力を受ける。外周テーパ面71が反力部82bから反力を受けると、抜止部70bは、フレキシブル管300の谷部312の底の方へ移動する。外周テーパ面71が反力部82bから反力を受け、かつ、抜止部70bがフレキシブル管300にその反力を伝達することで、フレキシブル管300の抜け出しは阻止される。
次に、露出部分の長さが不足するフレキシブル管300が挿入された場合における、フレキシブル管用継手10の動作を、図6を参照しつつ説明する。
継手本体20の中にフレキシブル管300が挿入されると、そのフレキシブル管300は、シール材22の中を、妨害部64、シール作用部62、胴部60aの順に通過する。その後、図6(a)に示すように、フレキシブル管300の先端部は、シール材22の管端受け部60bに突き当たる。
シール材22の管端受け部60bに当接するまでフレキシブル管300が差込まれると、シール材22の胴部60aは第3収容部48の奥へ押込まれる。この押込みに伴い、シール材22のシール作用部62はシール材縮径案内部46の窄まり側に移動する。これと同時に妨害部64が抜止縮径案内部56の窄まり側に移動する。ただし、フレキシブル管300の被覆層314が押輪24の突き当て部88に突き当たるので、図6の(b)に示すように、妨害部64の一部は第2収容部44内へ引き込まれない。
被覆層314が突き当て部88に突き当たると、誤動作防止カラー110が押輪24から外される。誤動作防止カラー110が外れると、押輪24が継手本体20に押し込まれる。この押し込みに伴い、押輪24の先端部分82aは、継手本体20の奥へ進む。継手本体20の奥へ進んだ先端部分82aは、拘束部70aを抜止縮径案内部56に押付ける。拘束部70aを抜止縮径案内部56に押付けることで、押輪24は拘束部70aから反力を受ける。反力を受けるので、図6の(c)に示すように、押輪24は、継手本体20の奥へ進めない。
なお、フレキシブル管300を継手本体20に挿入せずに押輪24を押込んだ場合、介入部70は、押輪24の先方に立ちはだかる。押輪24の先端部分82aは、介入部70のかみ合い凹部70cに嵌まる。先端部分82aがかみ合い凹部70cに嵌まることで、介入部70の拘束部70aが第1収容部42の内周面に押付けられる。第1収容部42の内周面は、介入部70の拘束部70aを受け止める。これにより、フレキシブル管300が継手本体20に挿入されていないにも関わらず押輪24が継手本体20の中に押込まれる事態は避けられる。
以上のようにして、本実施形態にかかるフレキシブル管用継手10において、突き当て部88には、被覆層314の先端が突き当てられる。第3収容部48の奥へ胴部60aを押し込むのは、フレキシブル管300の先端部分となる。これにより、フレキシブル管300の露出した部分が短いと、第3収容部48の奥へ胴部60aを押し込むことができなくなる。胴部60aを押し込むことができなくなるので、フレキシブル管300の露出した部分の長さが不足することが原因となってフレキシブル管300の外周がシールされなくなる事態は回避される。
今回開示された実施例はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述した実施例に基づいて制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよいのはもちろんである。
たとえば、本発明は、継手本体20の一端に挿入口30が形成され、継手本体20の他端の外周に接続用雄ねじ32が形成された雄ねじフレキシブル管用継手に限られない。本発明は、他の構造、例えば、両端に受口部を有する左右対称のソケット形のフレキシブル管用継手や、エルボ型のフレキシブル管用継手などにも適用できることは勿論である。
また、本発明において、胴部60aの内径がフレキシブル管300の外径以下ならば、管端受け部60bおよび補強芯金60fは必ずしも必要なものではない。胴部60aとフレキシブル管300との間に作用する摩擦力によってシール材22がフレキシブル管300に係合するためである。シール材22がフレキシブル管300に係合することで、継手本体20の第2収容部44の中にシール材22は引き込まれていく。
また、シール材22は、複数のシール作用部62を有していてもよい。この場合、それらのシール作用部62は、シール材22の中心軸に沿って並ぶことが望ましい。さらに、それらのシール作用部62の間隔は、フレキシブル管300の山部310や谷部312の間隔に比例することが好ましい。それらの間隔は、山部310や谷部312の間隔より小さくても良い。シール作用部62同士の間隔は、フレキシブル管300の谷部312にかみ合う際、弾性変形によって広がり得るためである。
また、スナップリング26が本体凹み部94に嵌まることは、先端部分82aが第1収容部42の内周に拘束部70aを押付ける以外の仕組みによって妨げられてもよい。たとえば、スナップリング26が本体凹み部94に嵌まることは、第2収容部44の内周面に妨害部64の一部が押付けられて押輪24に反力を与えることで妨げられてもよい。継手本体20の構造が上述したものと異なる場合には、継手本体20ののうち第1収容部42や第2収容部44以外の部分が妨害部64を受け止めてもよい。
また、第1収容部42が抜止縮径案内部56を有していない場合、先端部分82aは、筒部76aの先端に近付くにつれ窄まる面を有していなくともよい。