以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.回胴式遊技機の装置構成:
A−1.全体構成:
A−2.電気的構成:
B.遊技の概要:
C.回胴式遊技機の制御内容:
C−1.遊技制御処理:
C−2.遊技状態設定処理:
C−3.回胴回転停止処理:
D.フリーズ設定処理:
E.フリーズ実行処理:
F.フリーズ演出制御処理:
A.回胴式遊技機の装置構成 :
A−1.全体構成 :
図1は、回胴式遊技機1(以下、「遊技機1」と略記)の外観を示す正面図である。図1に示すように、遊技機1には、箱状に形成された筐体3と、筐体3の前面側を覆うように設けられた前面扉2などが設けられている。前面扉2は、実際に遊技が行われる中段の領域と、遊技の進行に応じて種々の演出が行われる上段の領域2uと、遊技メダルが払い出される下段の領域2dとの大きく3つの領域から構成され、更に中段の領域は、遊技の状態を表示するための遊技状態表示部2maと、遊技を行うための操作部2mbとから構成されている。
上段の領域2uには、中央に演出表示装置10が設けられ、演出表示装置10の左右にはスピーカ14が設けられ、そして、演出表示装置10およびスピーカ14の上方には、各種のランプ類12が設けられている。演出表示装置10は、いわゆる液晶表示装置によって構成されており、遊技の進行状況に合わせて種々の図柄を表示して演出を行うことが可能となっている。
前面扉2の中段に設けられた遊技状態表示部2maの中央には、大きな表示窓20が設けられており、内部に設けられた3つの回胴20a,20b,20cが回転する様子を視認可能となっている。また、表示窓20の左右および下方には、遊技の状態を表示する各種の表示パネル類22が設けられている。このうち、表示窓20の左上側に設けられた3つのパネルは、後述するベット枚数を表示するためのパネル(ベット枚数表示パネル22b)となっている。
前面扉2の中段下方に設けられた操作部2mbは、手前に向かって突出した形状に形成されており、上面には、遊技メダルを投入するための遊技メダル投入口30と、クレジットとして貯留されている遊技メダルを、1ゲームに要する枚数だけ投入するための投入ボタン34などが設けられている。ここで、遊技メダルの貯留とは、遊技メダル投入口30に投入された遊技メダルの枚数が規定枚数(1ゲームに要する遊技メダル枚数の上限)を超えた場合にその超えた分をデータとして記憶しておくこと、あるいは、遊技メダルを実際に払い出す代わりにメダルの払い出し枚数をデータとして記憶しておくことをいう。また、操作部2mbの前面には、遊技メダルの投入後に回胴20a,20b,20cの回転を開始するためのスタートレバー36と、3つの回胴20a,20b,20cの回転をそれぞれ停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38cなどが設けられている。
加えて、操作部2mbには、上面に精算ボタン40、および前面に返却ボタン42が設けられている。ここで、精算ボタン40とは、遊技機1の内部に貯留されている遊技メダルを外部に払い出す際に操作するボタンである。遊技メダルの投入後も、スタートレバー36を操作して回胴20a,20b,20cの回転を開始するまでの間であれば、投入済みの遊技メダルも精算ボタン40を操作することによって払い出すことが可能である。また、返却ボタン42とは、投入した遊技メダルが遊技機1の内部で詰まった場合に、メダルの詰まりを解消するために操作されるボタンである。
前面扉2の下段の領域2dには、遊技メダルが払い出される遊技メダル払出口50と、払い出された遊技メダルを受け止める受け皿52などが設けられている。
図2は、前面扉2を開いて遊技機1の内部の構成を示した斜視図である。前面扉2の裏面側上部には、演出表示装置10が取り付けられており、その左右には一対のスピーカ14が取り付けられている。
前面扉2のほぼ中央には表示窓20が設けられており、その下方には、後述する扉基板240が設けられている。また、扉基板240の下方には、回胴停止ボタン38a,38b,38cや、スタートレバー36が取り付けられている。
回胴停止ボタン38a,38b,38cの左方には、投入された遊技メダルの通路となるメダルセレクタ106が設けられており、その下方には、遊技メダルを遊技メダル払出口50に導くためのコインシュータ108などが設けられている。メダルセレクタ106は、遊技メダル投入口30から投入された遊技メダルを主に寸法に基づいて選別し、規格寸法に適合した遊技メダルだけを受け入れる機能を有している。遊技者がスタートレバー36を操作する前に遊技メダルを投入すると、遊技メダルはメダルセレクタ106によって選別され、規格を満足しているものだけがホッパー116内に投入され、規格を満たしていないメダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50に返却されるようになっている。
これに対して、スタートレバー36が操作された後に遊技メダルが投入された場合は、メダルセレクタ106内の通路が切り換わり、投入された遊技メダルはコインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50に返却される。また、メダルセレクタ106の内部には、図示しないメダルセンサが設けられており、寸法規格を満たして受け入れられた遊技メダルが通過すると、メダルセンサによって検出されて、その信号が後述する主制御基板200に供給されるようになっている。
このような前面扉2が取り付けられる筐体3のほぼ中央には、3つの回胴20a,20b,20cが設けられており、各回胴の外周面には、後述するように複数種類の図柄が描かれている。これら回胴の上方には、遊技全体の制御を司る後述する主制御基板200が格納された主制御基板ユニット110が設けられており、回胴の背後には、各回胴を駆動するための後述する回胴基板260が格納された回胴基板ユニット112が設けられている。また、回胴の左方には、図1に示した演出表示装置10や、各種ランプ類12、スピーカ14などを用いて行われる各種演出の制御を司る後述するサブ制御基板220が格納されたサブ制御基板ユニット111が設けられている。
3つの回胴20a,20b,20cの下方には、リアスピーカ114が設けられ、更にその下方には、投入された遊技メダルが集められるホッパー116や、遊技メダルを払い出すメダル払出装置118、遊技機1全体に電源を供給するための後述する電源基板280が格納された電源ユニット120などが搭載されている。メダル払出装置118から払い出された遊技メダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50から払い出されるようになっている。また、電源ユニット120の前面には、遊技機1の電源を投入するための電源スイッチ120sも設けられている。
図3は、3つの回胴20a,20b,20cの外周面に描かれた図柄の配列を示す説明図である。各回胴には、何れも21個の図柄が外周面に描かれている。また、何れの回胴についても、描かれている図柄の種類は同じであるが、図柄の配列については回胴毎に異なる配列に設定されている。
A−2.電気的構成 :
図4は、本実施例に係る遊技機1の電気的構成を示す説明図である。図4に示すように、遊技機1には、主制御基板200を中心として、サブ制御基板220、扉基板240、回胴基板260、電源基板280、中継基板300等がデータをやり取り可能に接続されて構成されている。
主制御基板200は、遊技機1で行われる遊技全体の進行や演出を司る基板である。この主制御基板200には、CPU201、ROM202、RAM203などがバスによって互いにデータをやり取り可能に接続されて搭載されており、前面扉2に搭載された扉基板240から、スタートレバー36が操作されたことを示す信号などを受け取って、後述する遊技制御処理を実行しながら、サブ制御基板220や、扉基板240、回胴基板260などに向かって制御コマンド(あるいは制御信号)を出力することにより、これら各種基板の動作を制御している。
サブ制御基板220も、上述した主制御基板200と同様に、CPU221や、ROM222、RAM223などがバスによって互いにデータをやり取り可能に接続されて構成されている。また、サブ制御基板220には、各種のランプ類12や、各種のスピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lなどが接続されている。ここで回胴バックライト20Lとは、各回胴20a,20b,20cの内部に設けられ、回胴の表面に描かれた図柄(図3参照)を裏側から照らすライトである。サブ制御基板220は、主制御基板200から受け取った制御コマンドを解析して、各種ランプ類12、各種スピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lにそれぞれ駆動信号を出力することにより、各種の演出を行っている。
扉基板240には、メダルセレクタ106や、貯留されている遊技メダルを投入するための投入ボタン34、回胴の回転を開始するためのスタートレバー36、回転している回胴を停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38c、貯留されている遊技メダルや投入された遊技メダルを払い出して遊技を終了するための精算ボタン40、遊技の状態を表示するための表示パネル22(ベット枚数表示パネル22bを含む)などが接続されている。また、この扉基板240は、前述した主制御基板200とデータをやり取り可能に接続されている。このため、前面扉2に設けられたスタートレバー36や、回胴停止ボタン38a,38b,38c、投入ボタン34、精算ボタン40などを操作すると、扉基板240を介して、その信号が主制御基板200に供給されるようになっている。また、メダルセレクタ106が、内蔵するメダルセンサによって遊技メダルの通過を検出した信号も、扉基板240を介して主制御基板200に供給される。更に、本実施例の遊技機1では、扉基板240からの信号が、サブ制御基板220にも出力されている。このためサブ制御基板220のCPU221は、遊技者が、スタートレバー36や、回胴停止ボタン38a,38b,38c、投入ボタン34、精算ボタン40などを操作したり、あるいは遊技メダル投入口30から遊技メダルを投入したりするなど、遊技を進行させるために行う各種操作(以下、「遊技者操作」)を行うと、扉基板240からの信号によっていずれの操作が行われたかを認識することが可能となっている。
回胴基板260には、3つの回胴20a,20b,20cをそれぞれ回転させるための回胴モータ24a,24b,24cと、それぞれの回胴の回転位置を検出するための回胴センサ26a,26b,26cなどが接続されている。回胴基板260は、回胴センサ26a,26b,26cによって、各回胴20a,20b,20cの回転位置を検出しながら、回胴モータ24a,24b,24cを駆動することにより、それぞれの回胴20a,20b,20cを、所望の位置で停止させることが可能となっている。尚、本実施例の遊技機1では、回胴モータ24a,24b,24cには、いわゆるステッピングモータが使用されている。
また、メダル払出装置118は、中継基板300を介して、主制御基板200に接続されており、主制御基板200からの制御信号に基づいて、所定枚数の遊技メダルを払い出す動作を行う。
これら各種制御基板、および基板で消費される電力は、電源基板280から供給されている。図4では、電源基板280から電力が供給される様子を破線の矢印で表している。図示されているように、主制御基板200およびサブ制御基板220には、電源基板280から直接電力が供給されており、各種基板(扉基板240、回胴基板260、中継基板300)には、主制御基板200を介して電力が供給されている。電源基板280には100Vの交流電圧が供給されており、この電力を規定電圧の直流電圧に変換した後、それぞれの制御基板および基板に供給している。
B.遊技の概要 :
以下では、上記の構成を有する回胴式の遊技機1において、遊技を進行するために行われる制御の内容について説明するが、その準備として、回胴式遊技機で行われる遊技の概要を説明しておく。
遊技を開始するにあたっては、遊技メダル投入口30から遊技メダルを投入して、遊技を開始するに必要な枚数(規定枚数)の遊技メダルのベットを行う。本実施例の遊技機1では、規定枚数は「3枚」に固定されており、3枚の遊技メダルをベットすると、スタートレバー36の操作が有効化される。また、遊技メダルがクレジットとして予め内部に貯留されている場合は、投入ボタン34を押すことによって規定枚数の遊技メダルをベットすることも可能である。尚、遊技メダル投入口30から遊技メダルをベットした場合、あるいは投入ボタン34を押すことによって遊技メダルをベットした場合の何れにおいても、ベットされた遊技メダルの枚数がベット枚数表示パネル22bに表示される。従って遊技者は、ベット枚数表示パネル22bの表示から、ベットが受け付けられたメダル枚数を確認することが可能である。
規定枚数の遊技メダルをベットして、スタートレバー36を操作すると、3つの回胴20a,20b,20cが回転を開始する。図3を用いて前述したように、各回胴には複数の図柄が描かれているため、回胴が回転すると、表示窓20では、これら図柄が変動表示されることになる。また、図1を用いて前述したように、前面扉2の前面側には、各回胴に対応して3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cが設けられている。回胴20a,20b,20cの回転中に回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すと、押したボタンに対応する回胴が回転を停止し、これに伴って、表示窓20では、変動表示されていた図柄が何れかの図柄で停止表示される。このようにして、3つの回胴20a,20b,20cの回転を停止させると、それぞれの回胴で何れかの図柄が停止表示される。本実施例の遊技機1では、表示窓20の大きさは、各回胴あたり3つずつ、図柄が表示されるような大きさに設定されている。結局、3つの回胴20a,20b,20cが停止表示されると、表示窓20には、3行3列の合計9つの図柄が表示されるようになる。また、これら9つの図柄が表示される位置には、複数本の入賞ラインが予め設定されている。
図5は、本実施例の遊技機1に設定されている入賞ラインを示した説明図である。図示されているように、本実施例の遊技機1では、上段の入賞ラインL1と、中段の入賞ラインL2と、下段の入賞ラインL3と、右斜め上方向きの入賞ラインL4と、右斜め下方向きの入賞ラインL5の合計5本の入賞ラインが設定されている。3つの回胴20a,20b,20cが停止すると、これらの入賞ライン上には、何某かの図柄組合せが得られることになる。そして、入賞ライン上に揃った図柄組合せが、何れかの遊技役に対応する図柄組合せであった場合には、その遊技役の入賞が成立し、遊技役に応じた特典が遊技者に付与される。
図6は、本実施例の遊技機1に設定されている遊技役の種類を、その遊技役の入賞を成立させる図柄組合せ、および遊技役の入賞が成立したときに遊技者に付与される特典と対応付けて示した説明図である。図6では、左端の欄に遊技役の種類が表示され、中央の欄には遊技役の入賞を成立させる図柄組合せが表示され、右端の欄には遊技役の入賞が成立したときに遊技者に付与される特典が表示されている。例えば、最上段に示したビッグボーナス役(以下、BB役)と呼ばれる遊技役には、「赤セブン」と呼ばれる図柄の揃った図柄組合せが、「青セブン」と呼ばれる図柄の揃った図柄組合せが対応付けられており、何れかの図柄組合せで揃うと、特典として、遊技者にとって大変有利なビッグボーナス遊技(BB遊技)と呼ばれる遊技状態が開始される。尚、本実施例の遊技機1では、「赤セブン」の図柄で入賞が成立したBB役を「赤7のBB役」と呼び、「青セブン」の図柄で入賞が成立したBB役を「青7のBB役」と呼んで区別する。
本実施例のBB遊技は、BB一般遊技とレギュラーボーナス遊技(RB遊技)とによって構成されている。ここで、BB一般遊技とは、通常遊技では入賞が成立することのないレギュラーボーナス役(以下、RB役)と呼ばれる遊技役の入賞が成立し易い遊技状態であり、BB一般遊技でRB役の入賞が成立すると、BB遊技の中でRB遊技が開始される。RB遊技とは、特典として遊技メダルが払い出される遊技役の種類が通常遊技に比べて増加し、その増加した遊技役(増加役)の入賞が高い確率で成立する遊技状態である。本実施例の遊技機1では、増加役の入賞を成立させる図柄組合せとして、左回胴20aおよび右回胴20cの図柄が「リプレイ」であり、中回胴20bの図柄が「ベル」である図柄組合せが設定されており、増加役の入賞が成立すると、特典として、15枚の遊技メダルが遊技者に払い出されるように設定されている。RB遊技は、RB遊技の開始後に所定回数だけ遊技役の入賞(例えば、8回入賞)が成立するか、あるいは所定回数の遊技(例えば、12ゲーム)が行われると、BB一般遊技へと復帰する。こうしてBB一般遊技とRB遊技とが繰り返されるBB遊技は、所定枚数(例えば、400枚)の遊技メダルが払い出されるまで継続される。そのため、BB遊技が開始されると、遊技者は多量の遊技メダルを獲得することができる。
また、いわゆる「小役」と呼ばれる遊技役も設けられている。先ず、ベルの小役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「ベル」の図柄で揃った図柄組合せが設定されており、このベルの小役の入賞成立に対する特典としては、15枚の遊技メダルが遊技者に払い出されるように設定されている。次いで、スイカの小役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「スイカ」の図柄で揃った図柄組合せが設定されており、スイカの小役に対しては、10枚の遊技メダルが遊技者に払い出される。そして、チェリーの小役という遊技役には、左回胴20aの図柄が「チェリー」の図柄であれば、中回胴20bおよび右回胴20cの図柄はどのような図柄であっても構わない図柄組合せが設定されており、チェリーの小役に対しては、2枚の遊技メダルが払い出される。
また、本実施例の遊技機1には、再遊技役という遊技役も設けられている。再遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「リプレイ」の図柄で揃った図柄組合せが設定されており、再遊技役の入賞が成立すると、再遊技役の入賞成立時にベットしていた遊技メダルと同じ枚数だけ、遊技メダルがベットされたものとして扱われ、その結果、新たな遊技メダルをベットすることなく、もう一度遊技を行うことが可能となる。また、本実施例の遊技機1には、リプレイタイム遊技(RT遊技)と呼ばれる特殊な遊技状態が設けられており、RT遊技中は、通常遊技に比べて非常に高い確率で再遊技役の入賞が成立するように設定されている。そのため、RT遊技が開始されると、再遊技役の入賞が頻繁に成立して、遊技者は遊技メダルあまり減らすことなく遊技を継続することができる。
もちろん、回胴20a,20b,20cが停止したときに、何れかの遊技役の入賞が成立するとは限らない。この場合は、再び規定枚数の遊技メダルをベットした後、スタートレバー36を操作して回胴を回転させることによって、次のゲームを行う。本実施例の遊技機1では、こうした操作を繰り返し行うことによってゲームが進行するようになっている。こうした遊技の進行は、主制御基板200に搭載されたCPU201によって制御されている。以下では、主制御基板200のCPU201が遊技の進行を制御するために行っている処理内容について説明する。
C.回胴式遊技機の制御内容 :
C−1.遊技制御処理 :
図7は、本実施例の遊技機1において主制御基板200のCPU201が遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の前半部分を示すフローチャートである。また、図8は、本実施例の遊技機1において主制御基板200のCPU201が行う遊技制御処理の後半部分を示すフローチャートである。この遊技制御処理は、遊技機1に電源が投入され、更に主制御基板200や、サブ制御基板220に搭載されたROMのチェックサムなどの初期化処理が行われた後に実行される処理である。
図7に示すように、主制御基板200のCPU201は遊技制御処理を開始すると、先ず初めに、フリーズ設定処理(ステップ50。以下、ステップを「S」と略記する)を行う。ここで「フリーズ」とは、遊技者が遊技を進行するために行った操作(遊技者操作)が、一時的に無効にされる状態をいう。前述したように、回胴式遊技機では、投入ボタン34やスタートレバー36、回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作するなどの遊技者操作が行われると、ベット枚数表示パネル22bの点灯表示や、回胴20a,20b,20cの回転開始、あるいは回転停止など、何らかの反応が遊技機1に生じることが通常であり、従って、遊技者操作に対して遊技機1に何の反応も生じないと、「何が起こったのか」と遊技者が強い関心を持つようになる。そこで、このような心理を利用して、たとえばボーナス役に内部当選するなど、何か特別なことが起こった場合に、そのことを遊技者に察知させる目的で、一種の演出として、遊技機1を「フリーズ」と呼ばれる状態にすることがある。本実施例の遊技機1にも、このようなフリーズ状態が発生するようになっている。図7に示した遊技制御処理のフリーズ設定処理(S50)では、フリーズ状態を発生させて遊技者に察知させるような特別な事柄(フリーズ対象)が生じているか否かを判断して、そのようなフリーズ対象が生じていた場合には、その旨を設定する処理を行う。フリーズ設定処理の詳細については、後ほど詳しく説明する。
主制御基板200のCPU201は、フリーズ設定処理(S50)に続いて、遊技状態設定処理(S100)を行う。遊技状態設定処理では、大まかには次のような処理を行う。前述したように、本実施例の遊技機1では、ビッグボーナス遊技(BB遊技)や、BB遊技の中で実行されるレギュラーボーナス遊技(RB遊技)、あるいはリプレイタイム遊技(RT遊技)といった特殊な遊技状態が設けられており、遊技状態に応じて遊技役の入賞の成立し易さや、入賞の成立し得る遊技役の種類等が異なっている。遊技状態設定処理では、現在の遊技状態が何れであるかを検出するとともに終了条件が満たされたか否かを判断し、終了条件が満たされた場合には、その遊技状態を終了させて、遊技状態を切り換える処理を行う。こうして遊技状態を切り換えることで、遊技が単調になることを回避することが可能となる。遊技状態設定処理の詳細については後述する。
遊技状態設定処理を終了すると、今度は、フリーズ実行処理を行う(S900)。フリーズ実行処理についても詳細な内容は後述するが、大まかには次のような処理を行う。先ず、フリーズ対象が生じているか否かを判断する。先に行われたフリーズ設定処理(S50)では、フリーズ対象が生じているか否かについて判断されて、その結果が設定されているので、フリーズ対象が生じているのであれば、そのことを直ちに認識することができる。そして、フリーズ対象が生じていた場合は、フリーズ状態を開始する条件が満足されていることを確認した後、フリーズ状態を開始する。また、フリーズ状態を開始するための条件が満足されていない場合は、そのままフリーズ実行処理を終了してしまう。後述するように、本実施例の遊技制御処理では、一周の処理を行う間の複数箇所でフリーズ実行処理が行われるようになっており、このため、フリーズ状態の開始条件が整っていない場合は、今回のフリーズ実行処理ではフリーズ状態を開始しないものと判断して、そのまま処理を終了するのである。
フリーズ実行処理(S900)から復帰すると、主制御基板200のCPU201は、メダル投入確認処理を行う(S102)。メダル投入確認処理では、遊技メダル投入口30から遊技メダルが投入されたか否か、あるいは遊技メダルがクレジットとして貯留されている場合に、投入ボタン34が操作されたか否かを確認する。前述したように、投入された遊技メダルは、メダルセレクタ106に内蔵されたメダルセンサによって検出され、その検出信号が主制御基板200に供給される。また、投入ボタン34を操作した場合には、その操作信号が主制御基板200に供給される。主制御基板200のCPU201は、これらの信号に基づいて、遊技メダルが投入されたか否かを判断することができる。そして、規定枚数の遊技メダルが投入されたら、遊技を開始可能な状態になる。尚、投入ボタン34が操作された場合には、遊技メダルの貯留枚数から投入枚数を減算する処理も同時に行われる。そして、遊技メダル投入口30から遊技メダルが投入された場合、あるいは投入ボタン34が操作された場合に拘わらず、投入された遊技メダルの枚数がベット枚数表示パネル22bに表示され、これにより、遊技者は何枚の遊技メダルがベットされたかを認識することが可能となる。また、本実施例の遊技機1では、扉基板240からサブ制御基板220にも信号が出力されており(図4参照)、メダルセンサが遊技メダルを検出した信号や、投入ボタン34の操作信号は、主制御基板200に出力されると同時にサブ制御基板220にも出力されている。
上述のようにして遊技メダルの投入が確認できたら、再び、フリーズ実行処理を行う(S900)。上述したようにフリーズ実行処理では、フリーズ対象が生じているか否かを判断し、フリーズ対象が生じていた場合は、フリーズ状態の開始条件が満足されていることを確認した後にフリーズ状態を開始する。しかし、開始条件が満足されていなかった場合は、たとえフリーズ対象が生じていた場合でも、フリーズ状態を発生させずに、そのままフリーズ実行処理を終了してしまう。従って、メダル投入確認処理(S102)の前に行った前回のフリーズ実行処理では、フリーズ状態の開始条件が満足されておらず、そのままフリーズ実行処理を終了してしまっている可能性があるので、メダル投入確認処理(S102)の後でも、もう一度、フリーズ実行処理を行うのである。このことから、本実施例の遊技機1では、メダル投入確認処理(S102)の前にフリーズ状態が開始されて、メダルの投入操作(たとえば投入ボタン34を押す操作など)が無効になる場合と、メダル投入確認処理(S102)の後にフリーズ状態が開始されて、メダルの投入後の操作(たとえば回胴を回転させるための操作や、停止させるための操作など)が無効になる場合とが存在することになる。この点については、後ほど詳しく説明する。
尚、前述したフリーズ設定処理(S50)でフリーズ対象が存在すると判断された後、何れかのフリーズ実行処理でフリーズ状態が開始された場合には、その後のフリーズ実行処理では、フリーズ対象が存在しないものと判断されるようになっている。このため、たとえば遊技メダルの投入操作がフリーズ状態となり、その後のスタートレバー36操作が再びフリーズ状態になるといったように、1回のゲーム中(すなわち、1周分の遊技制御処理が行われる間)に、重ねてフリーズ状態が発生することはない。この点についても、後ほど詳しく説明する。
また、メダル投入確認処理(S102)の前にフリーズ状態が開始された場合には、上述したようにメダルの投入操作が無効になるが、本実施例では次のようにして、メダルの投入操作を無効化している。先ず、投入ボタン34によるメダルの投入操作に対しては、扉基板240から出力される投入ボタン34の操作信号を、主制御基板200のCPU201が無視してしまうことによって無効化する。これに対して、遊技メダル投入口30から遊技メダルを投入する操作に対しては、メダルセレクタ106内の通路を切り換えて、投入された遊技メダルをコインシュータ108から遊技メダル払出口50に返却してしまうことによって無効化する。前述したように、遊技者が遊技メダル投入口30から遊技メダルを投入すると、メダルセレクタ106から主制御基板200に向かってメダルの検出信号が出力されているが、主制御基板200のCPU201が、この検出信号を無視してしまったのでは、遊技メダルを投入した分だけ遊技者に不利益を与えてしまう。そこで、フリーズ状態中に遊技メダル投入口30から遊技メダルが投入された場合には、メダルセレクタ106内の通路を切り換えて、投入された遊技メダルを返却することによって、遊技者によるメダルの投入操作を無効化する。また、前述したようにメダルセレクタ106には、スタートレバー36の操作後に投入された遊技メダルを返却するために、内部の通路を切り換える機構が組み込まれていることから、この機構を利用すれば、フリーズ状態中に遊技メダル投入口30から投入された遊技メダルが返却されるようにすることは容易に実現することが可能である。
以上のように、メダル投入確認処理(S102)後のフリーズ実行処理(S900)から復帰すると、スタートレバー36を操作することによって何時でも遊技を開始することが可能となるが、その前に、精算ボタン40が操作されたか否かの確認を行う(S104)。すなわち、遊技メダルをベットした後であっても、スタートレバー36を操作して回胴20a,20b,20cを回転させる前であれば、ベットした遊技メダルも含めてメダルを精算することが可能となっている。そして、精算ボタン40が操作されていた場合には(S104:yes)、精算処理を行うことにより、クレジットとして貯留されている遊技メダルおよび投入した遊技メダルを払い出す処理を行う(S106)。遊技メダルの払い出しは、主制御基板200からメダル払出装置118に向けて、払い出すべき遊技メダルの枚数を指示する制御信号を出力することによって行われる。こうして遊技メダルを払い出したら、遊技の開始前の状態(S100)に戻って、以降の処理を行う。
一方、精算ボタン40が操作されていない場合には(S104:no)、スタートレバー36が操作されたか否かを判断する(S108)。前述したように遊技者がスタートレバー36を操作すると、その操作信号が主制御基板200に供給されるので、主制御基板200は、スタートレバー36の操作信号に基づいて、スタートレバー36が操作されたか否かを判断することができる。そして、スタートレバー36が操作されていない場合は(S108:no)、遊技者が未だ遊技を開始していないものと判断されるので、精算ボタン40の操作の有無を確認しながら(S104)、スタートレバー36が操作されるまで待機する。一方、スタートレバー36が操作されたら(S108:yes)、内部抽選処理を開始する(S110)。尚、詳細には後述するが、メダル投入確認処理(S102)後のフリーズ実行処理(S900)でフリーズ状態が開始された場合には、フリーズ期間中に遊技者が精算ボタン40やスタートレバー36を操作しても、これらの操作は、主制御基板200のCPU201によって無視されてしまう。従って、フリーズ期間の終了後に、遊技者が精算ボタン40あるいはスタートレバー36を操作しない限り、上述した精算処理(S106)や、以下に説明する内部抽選処理が開始されることはない。
内部抽選処理では、図6を用いて前述した遊技役の何れかの入賞成立を許容するか否かを、抽選によって決定する処理を行う。尚、この抽選で何れかの遊技役に当選した(入賞成立が許容された)としても、直ちに遊技役の入賞が成立するわけではなく、回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作することにより、当選した遊技役に対応する図柄組合せを有効な入賞ライン上に揃えなければ遊技役の入賞を成立させることはできない。また逆に、抽選で当選した遊技役でなければ、どのようなタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作したとしても、有効な入賞ライン上に対応する図柄組合せを揃えることはできないようになっている。その意味で、この抽選は、図柄組合せを揃えて遊技役の入賞を成立させるための前提条件として、内部的に行われる抽選であることから「内部抽選」と呼ばれている。また、内部抽選に当選した状態は、内部当選状態(あるいは単に、内部当選)と呼ばれている。
この内部抽選は、抽選テーブルと呼ばれる専用のテーブルを用いて行われており、このテーブルには、遊技役と内部抽選用乱数との対応関係が設定されている。ここで内部抽選用乱数とは、主制御基板200のCPU201がスタートレバー36の操作信号を受け取ったときに取得する乱数である。本実施例の遊技機1では、内部抽選用乱数は2バイトデータとなっており、0〜65535の範囲の乱数値を取ることが可能である。尚、この抽選用の乱数は、主制御基板200に搭載された専用の乱数発生回路を用いてハードウェア的に生成することもできるし、乱数発生用のプログラムを用いてソフトウェア的に生成することも可能である。
図9は、最も一般的な遊技状態である通常遊技中に用いられる抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図9(a)には、各遊技役に対して割り当てられた乱数の範囲がまとめて示されている。また、図9(b)には、各遊技役に割り当てられた乱数範囲の大まかな比率が示されている。図示されているように、通常遊技用の抽選テーブルでは、「ベルの小役」に対しては0〜7000の乱数値が設定されている。これは、取得した乱数値がこの範囲にあった場合には、ベルの小役に内部当選することを表している。同様に、「スイカの小役」に対しては7001〜7200の乱数値が設定され、「チェリーの小役」には7201〜7300の乱数値が設定されている。また、「赤7のBB役」に対しては7301〜7400の乱数値が設定され、「青7のBB役」には7401〜7500の乱数値が設定されている。さらに、「再遊技役」に対しては7501〜20000の乱数値が設定されている。尚、20001〜65535の乱数値には、何れの遊技役も設定されておらず、従って、取得した乱数値がこの範囲にあった場合は「ハズレ」となる。
内部抽選処理では、以上のようにして、スタートレバー36が操作されたことを検出して内部抽選用乱数を取得するとともに、抽選テーブルを参照することにより、何れの遊技役に内部当選したか、若しくは何れの遊技役にも内部当選しなかったかを判断する。そして、何れかの遊技役に内部当選したら、当選した遊技役を内部当選フラグにセットする。ここで内部当選フラグとは、内部抽選の結果を記憶しておくために用いられるフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。
図10は、本実施例の遊技機1における内部当選フラグの構成を例示した説明図である。図示されているように、本実施例の遊技機1では、小役、再遊技役、増加役についての内部当選フラグ(小役等内部当選フラグ)と、BB役およびRB役についての内部当選フラグ(ボーナス役内部当選フラグ)とに分けて記憶されており、それぞれに1バイト(8ビット)分の領域が確保されている。図10(a)は、小役等内部当選フラグが設定される1バイト分の領域のデータ構造を例示した説明図である。図示されているように、1バイトデータのうち下位側の5ビット分が小役等内部当選フラグとして用いられている。これら5ビット中の先頭のビットは、ベルの小役に内部当選したことを記憶しておくためのビットであり、次のビットはスイカの小役に内部当選したことを記憶しておくためのビットである。以下の5つのビットも同様に、それぞれ、チェリーの小役、再遊技役、増加役に内部当選したことを記憶しておくために用いられるビットである。
また、図10(b)は、ボーナス役内部当選フラグが設定される1バイト分の領域のデータ構造を例示した説明図である。図示されているように、1バイトデータのうち下位側の3ビット分がボーナス役内部当選フラグとして用いられている。これら3ビット中の先頭のビットは、赤7のBB役に内部当選したことを記憶しておくためのビットであり、次のビットは青7のBB役に内部当選したことを記憶しておくためのビットである。更にその下位のビットは、RB役に内部当選したことを記憶しておくためのビットである。図7に示した内部抽選処理(S110)では、内部抽選用乱数を取得して、抽選テーブルを参照しながら、何れかの遊技役に内部当選しているか否かを判断し、何れかの遊技役に内部当選していれば、図10に示した内部当選フラグの対応するビットに「1」を設定する処理を行う。
内部抽選処理を終了すると、主制御基板200は、ウェイト時間が経過したか否かを判断する(図7のS111)。ここで、ウェイト時間とは、回胴20a,20b,20cの回転開始と共に、計時が開始される所定時間(たとえば、4.1秒)である。すなわち、遊技者によってスタートレバー36が操作されると、後述する回胴回転始動処理(S112)で回胴20a,20b,20cの回転が開始されるが、その際に、所定時間のウェイト時間が設定されて、計時が開始されるようになっている。図7に示した遊技制御処理のS111では、内部抽選処理を終了すると、前回の回胴20a,20b,20cの回転開始時に設定されたウェイト時間が経過したか否かを判断するのである。そして、ウェイト時間が経過していないと判断した場合は(S111:no)、ウェイト時間が経過するまでそのまま待機状態となる。このため、回胴20a,20b,20cの回転が開始されてからウェイト時間が経過するまでの間は、メダルの投入や精算などの操作については直ちに受け付けられるが、スタートレバー36を操作しても、内部抽選処理が行われるだけで(S110)、ウェイト時間が経過するまでは回胴20a,20b,20cが回転し始めることはない。
尚、回胴20a,20b,20cの回転が開始された後、ウェイト時間が経過するまでは、回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作や遊技メダルを投入する操作は受け付けられるものの、遊技者がスタートレバー36を操作しても、回胴の20a,20b,20cの回転が開始されることはない。このようにスタートレバー36の操作による回胴の20a,20b,20cの回転開始が遅延される動作は、主制御基板200のCPU201が、遊技制御処理の中でS111の判断を行うことによって実現されている。従って、遊技制御処理を実行する本実施例の主制御基板200のCPU201は、本発明における「ウェイト状態発生手段」に対応するものとなっている。
ウェイト時間が経過したことを確認したら(S111:yes)、主制御基板200のCPU201は、続いて回胴回転始動処理を開始する(S112)。回胴回転始動処理では、各回胴20a,20b,20cにそれぞれ設けられた回胴モータ24a,24b,24cに対して駆動信号を出力することにより、3つの回胴20a,20b,20cを回転させるとともに、上述したウェイト時間の計時を開始する処理を行う。
こうして3つの回胴20a,20b,20cを回転させたら、主制御基板200は、再び、フリーズ実行処理(S900)を開始する。前述したようにフリーズ実行処理では、フリーズ対象が生じていても、フリーズ状態を開始するための条件が満足されていなければ、フリーズ状態を発生させることなく、そのままフリーズ実行処理を終了してしまう。従って、以前に行われたフリーズ実行処理では、フリーズ状態を発生させることなく処理を終了してしまっている可能性があるので、回胴20a,20b,20cを回転させた後に(S112)、もう一度、フリーズ実行処理を行うのである。換言すれば、本実施例の遊技機1では、回胴20a,20b,20cが回転している状態で、回転を停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38cのボタン操作がフリーズ状態になる場合も存在していることになる。この点については、後ほど詳しく説明する。
以上のように、回胴回転始動処理(図7のS112)後のフリーズ実行処理(図8のS900)から復帰すると、主制御基板200は、回胴の回転を停止させるための処理(回胴回転停止処理)を行う(S114)。回胴回転停止処理の詳細については後述するが、この処理では、先に行われた内部抽選の結果(何れの遊技役に内部当選したか否か)や、遊技者によって回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されたタイミング、あるいは現在の遊技状態などに基づいて、3つの回胴20a,20b,20cのそれぞれの停止位置を決定し、決定した位置で停止させる処理を行う。
3つの回胴20a,20b,20cを停止させたら、主制御基板200は、遊技回数計数処理を行う(S116)。前述したように、本実施例のBB遊技の中で開始されるRB遊技は、所定回数の遊技(例えば、12ゲーム)が行われると終了するように設定されている。また、RT遊技も、所定回数の遊技(例えば、100ゲーム)が行われると終了するようになっている。そこで、遊技回数計数処理では、先ず、現在の遊技状態がRB遊技あるいはRT遊技の何れかであるか否かの判断を行う。そして、RB遊技中あるいはRT遊技中であると判断された場合には、3つの回胴20a,20b,20cを停止させたことによって遊技が1回消化されたことになるので、現在の遊技状態で行った遊技回数に「1」を加算する処理を行う。一方、RB遊技中でもRT遊技中でもないと判断された場合には、遊技回数の加算処理を行うことなく、そのまま遊技回数計数処理を終了する。
主制御基板200のCPU201は、遊技回数計数処理に続いて、何れかの遊技役の入賞が成立したか否かを判断する(S118)。ここで、「遊技役の入賞が成立する」とは、遊技役に対応する図柄組合せが、入賞ライン上に揃って停止表示されることをいう。前述したように、本実施例の遊技機1では、内部抽選処理(S110)で何れかの遊技役に内部当選していても、回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すタイミングによっては、その遊技役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃うとは限らない。そこで、主制御基板200は、回胴の回転を停止させた後、内部抽選で当選した遊技役の入賞が成立しているか否かを判断する。
そして、何れの遊技役の入賞も成立していないと判断された場合は(S118:no)、その遊技は終了となるが、その前に、停止表示されている図柄組合せが、RT発生図柄組合せであるか否かを判断する(S119)。ここで、RT発生図柄組合せとは、RT遊技と呼ばれる特殊な遊技状態を開始させる図柄組合せであり、本実施例の遊技機1では、何れの遊技役の入賞も成立させない所定の図柄組合せ(たとえば「赤セブン」−「リプレイ」−「リプレイ」)が、RT発生図柄組合せに設定されている。そこで、何れの遊技役の入賞も成立していないと判断された場合は(S118:no)、停止表示された図柄組合せがRT発生図柄組合せであるか否かを判断して(S119)、RT発生図柄組合せであった場合は(S119:yes)、RT遊技フラグをONに設定した後(S121)、図7の遊技制御処理の先頭に戻って、フリーズ設定処理(S50)を開始する。これに対して、停止表示された図柄組合せがRT発生図柄組合せでなかった場合は(S119:no)、RT遊技フラグをONに設定することなく、直ちに図7の遊技制御処理の先頭に戻って、フリーズ設定処理(S50)を開始する。
尚、RT遊技フラグとは、遊技状態を、リプレイタイム遊技(RT遊技)と呼ばれる遊技者にとって有利な遊技状態とすることを示すフラグであり、現在の遊技状態を表すための「遊技状態フラグ」と呼ばれる専用のフラグの一種である。詳しくは後述するが、本実施例の遊技機1には、BB遊技、RB遊技、RT遊技といった遊技状態のそれぞれに対応する遊技状態フラグが設けられており、これら遊技状態フラグの設定(ON/OFF)に応じて遊技状態を切り換えながら遊技が進行していく。こうした遊技状態フラグは、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。
また、本実施例の遊技機1では、前述した内部抽選処理(S110)でビッグボーナス役(BB役)に当選した場合において、入賞ライン上に対応する図柄組合せが停止表示されず、BB役の入賞が成立しなかったときに限り、BB役の内部当選が持ち越され、次回の遊技以降もBB役に対応する内部当選フラグがセットされている状態で遊技が行われる。これに対して、小役や再遊技役等の他の遊技役に内部当選した場合は、当選した遊技役に対応する図柄組合せを入賞ライン上に停止表示させることができなければ、その内部当選は次遊技以降に持ち越されることなくリセットされてしまう。
一方、何れかの遊技役の入賞が成立したと判断された場合は(S118:yes)、先ず初めに、入賞の成立した遊技役が、BB役であるか否かを判断する(図8のS120)。図6を用いて前述したように、BB役は、入賞ライン上に「赤セブン」の図柄が揃うか、「青セブン」の図柄が揃った場合に入賞が成立する遊技役である。そして、BB役の入賞が成立したと判断された場合は(S120:yes)、入賞の成立したBB役の種類(「赤7のBB役」あるいは「青7のBB役」の何れであるか)に応じてBB遊技フラグをONに設定するとともに、他の遊技状態フラグを全てOFFに設定する(S122)。ここで、BB遊技フラグとは、遊技状態を、前述したビッグボーナス遊技(BB遊技)と呼ばれる遊技者にとって有利な遊技状態とすることを示すフラグであり、現在の遊技状態を表すための「遊技状態フラグ」と呼ばれる専用のフラグの一種である。BB遊技フラグも、上述したRT遊技フラグと同様に、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。
図11は、遊技状態フラグが設定される1バイト分の領域のデータ構造を例示した説明図である。本実施例の遊技機1では、RAM203上の所定アドレスの1バイトデータのうち、下位側の5ビット分が遊技状態フラグとして用いられている。また、5ビット分の遊技状態フラグの1つ上位の1ビットは、後述する「フリーズ実行フラグ」として用いられる。フリーズ実行フラグは、後述するフリーズ設定処理(S50)の中でフリーズ対象が生じていると判断された場合に「ON」に設定される。フリーズ実行フラグを設定する処理に詳細については後ほど詳しく説明する。
フリーズ実行フラグの下位側に設定された5ビット分の遊技状態フラグの中で、先頭のビットは「赤7のBB役」に対応するBB遊技フラグ(以下、赤7のBB遊技フラグ)に設定されており、その次のビットは「青7のBB役」に対応するBB遊技フラグ(以下、青7のBB遊技フラグ)に設定されている。BB役に入賞したと判断されると(図8のS120:yes)、続いて行われるS122では、入賞の成立したBB役の種類に応じて、何れかのビットに「1」を設定する。また、本実施例の遊技機1では、BB役の入賞が成立すると、何れの遊技状態であってもBB遊技へと切り換えるようになっている。そこで、BB遊技フラグをONに設定したら、BB遊技フラグ以外の遊技状態フラグをOFFに設定する(すなわち、BB遊技フラグを除く全ての遊技状態フラグのビットに「0」を設定する)。こうしてBB遊技フラグがONにセットされた状態で遊技制御処理の先頭に戻った後、遊技状態設定処理(S100)を開始すると、BB遊技フラグがONになっていることが検出され、遊技状態がBB遊技に切り換わって、上述した一連の処理が行われる。S100において、BB遊技フラグに基づいて遊技状態をBB遊技に切り換える処理の詳細については後述する。
以上では、入賞の成立した遊技役がBB役であった場合(図8のS120:yes)に行われる処理について説明したが、入賞の成立した遊技役がBB役ではなかった場合には(S120:no)、次いで、入賞成立した遊技役がRB役か否かを判断する(S124)。図6を用いて前述したように、RB役は、入賞ライン上に「バー」の図柄が揃った場合に入賞が成立する遊技役である。そして、RB役の入賞が成立したと判断された場合には(S124:yes)、RB遊技フラグをONに設定する(S126)。ここで、RB遊技フラグとは、遊技状態を、前述したレギュラーボーナス遊技(RB遊技)とすることを示す遊技状態フラグである。図11に示した遊技状態フラグに用いられる5ビットのうち、先頭から3番目のビットがRB遊技フラグに設定されており、RB遊技フラグをONにする場合には、このビットに「1」を設定する。尚、本実施例の遊技機1では、BB遊技の中でRB遊技が行われることから、RB遊技がONに設定されても、BB遊技フラグはONに設定されたままとなっている。そしてRB遊技フラグ(およびBB遊技フラグ)がONにセットされた状態で遊技制御処理の先頭に戻った後、遊技状態設定処理(S100)を開始すると、RB遊技フラグ(およびBB遊技フラグ)がONになっていることが検出されて、RB遊技が開始される。
これに対して、入賞の成立した遊技役がRB役ではなかった場合には(S124:no)、今度は、入賞の成立した遊技役が再遊技役か否かを判断する(S128)。そして、再遊技役の入賞が成立していた場合は(S128:yes)、再遊技フラグをONに設定する(S130)。ここで、再遊技フラグとは、再遊技役の入賞が成立したことを記憶しておくためのフラグである。この再遊技フラグがONにセットされていると、次回の遊技のメダル投入確認処理(図7のS102)において、遊技者によって投入されなくても自動的に遊技メダルが再投入される。また、メダル投入確認処理が遊技メダルを自動的に再投入した後は、再遊技フラグの設定はOFFに戻される。このような再遊技フラグも、前述した遊技状態フラグと同様に、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。本実施例の遊技機1では、図11に示したように、遊技状態を示す5ビット分のビットデータの中で最下位のビットが再遊技フラグに設定されている。
一方、入賞の成立した遊技役が再遊技役ではなかった場合は(S128:no)、何かの遊技役の入賞が成立しているものの(S118:yes)、その遊技役は、BB役、RB役、再遊技役の何れでもないことから、小役または増加役であると判断される。そこで、入賞の成立した遊技役に応じた枚数の遊技メダルを払い出す処理を行う(S132)。すなわち、入賞の成立した小役がベルの小役であれば、15枚の遊技メダルを払い出し、スイカの小役であれば10枚の遊技メダルを払い出し、チェリーの小役であれば2枚の遊技メダルを払い出す処理を行う。また、増加役の入賞が成立した場合には、15枚の遊技メダルを払い出す処理を行う。この処理は、主制御基板200の内部で払い出すべき遊技メダルの枚数を求めた後、主制御基板200からメダル払出装置118に対して制御信号を出力することによって行われる。
こうして遊技メダルを払い出すと、主制御基板200のCPU201は、払出枚数計数処理を行う(S134)。前述したように、本実施例のBB遊技は、上限枚数(例えば、400枚)の遊技メダルが払い出されると終了するように設定されていることから、BB遊技の開始後に払い出された遊技メダルの枚数(払出枚数)を計数しておく必要がある。そこで、払出枚数計数処理では、先ず、現在の遊技状態がBB遊技であるか否かを判断して、BB遊技中であると判断された場合には、S132の処理で払い出した遊技メダルの枚数を、既に払い出した枚数(払出枚数)に加算する処理を行う。一方、BB遊技中ではないと判断された場合には、払出枚数の加算処理を行うことなく、そのまま払出枚数計数処理を終了する。
払出枚数計数処理に続いて、主制御基板200のCPU201は、入賞回数計数処理を行う(S136)。前述したように、BB遊技の中で行われるRB遊技は、所定回数だけ遊技役の入賞(例えば、8回入賞)が成立するとBB一般遊技に復帰するようになっている。後述のように本実施例のRB遊技中は、BB役やRB役の入賞が成立しないように設定されており、また、再遊技役の入賞成立は回数に含めないことになっていることから、RB遊技中に遊技メダルの払い出しが行われた回数を計数することによって、遊技役(小役または増加役)の入賞が成立した回数(入賞回数)を計数することができる。そこで、入賞回数計数処理では、現在の遊技状態がRB遊技であるか否かを判断し、RB遊技中であると判断された場合は、RB遊技中の入賞回数に「1」を加算する処理を行う。一方、RB遊技中ではないと判断された場合には、入賞回数の加算処理を行うことなく、そのまま入賞回数計数処理を終了する。こうして入賞回数計数処理を行ったら、図7および図8に示した遊技制御処理の先頭に戻って、新たな遊技を開始する。
また、図7に示したように、遊技制御処理では、フリーズ実行処理(S50)に続いて遊技状態設定処理(S100)が行われ、図11に示した遊技状態フラグが設定される。そして、遊技状態フラグがセットされることにより、遊技状態が切り換わっていく。以下では、遊技状態設定処理について説明する。
C−2.遊技状態設定処理 :
図12は、本実施例の遊技機1が行う遊技状態設定処理を示すフローチャートである。遊技状態設定処理を開始すると、先ず初めに主制御基板200のCPU201は、図11に示した遊技状態フラグを参照して、BB遊技フラグ(赤7のBB遊技フラグ、青7のBB遊技フラグの何れか)がONに設定されているか否かを判断する(S200)。前述したように、BB遊技フラグは、遊技状態をBB遊技とすることを示す遊技状態フラグであり、BB役(赤7のBB役、青7のBB役の何れか)の入賞が成立したと判断された場合に(図8のS120:yes参照)、入賞の成立したBB役の種類に応じて赤7のBB遊技フラグあるいは青7のBB遊技フラグの何れかがONの状態に設定される(S122参照)。
何れかのBB遊技フラグがONに設定されていると判断された場合は(S200:yes)、BB遊技の終了条件が満たされているか否かを判断する(S202)。本実施例では、BB遊技の終了条件として、BB遊技の開始後に払い出した遊技メダルの枚数が設定されており、払い出した遊技メダルの枚数が所定枚数(例えば、400枚)に達するとBB遊技が終了するように設定されている。図7および図8を用いて前述した遊技制御処理では、払い出した遊技メダルの枚数を計数しており(図8のS134)、従って、BB遊技開始後に払い出した遊技メダルの枚数が所定枚数に達すると、そのことを直ちに検出することができる。そして、所定枚数の遊技メダルを払い出していた場合は、BB遊技の終了条件が成立したと判断して(S202:yes)、BB遊技フラグおよびRB遊技フラグをOFFに設定する(S204)。図11を用いて前述したように、BB遊技フラグは、遊技状態がBB遊技である場合にONに設定されるフラグである。また、RB遊技フラグは、BB遊技中にRB遊技が発生した場合にONに設定されるフラグである。S204では、BB遊技の終了条件が成立したことに伴って、BB遊技を終了させるべくBB遊技フラグをOFFに設定するとともに、そのBB遊技中にRB遊技が行われていた場合を考慮して、念のためにRB遊技フラグもOFFに設定している。
一方、BB遊技の終了条件が満たされていないと判断された場合は(S202:no)、RB遊技フラグがONに設定されているか否かを判断する(S206)。前述した遊技制御処理で説明したように、RB遊技フラグは、BB遊技中にRB役の入賞が成立すると(図8のS124:yes)、ONに設定されるフラグである(S126)。判断の結果、RB遊技フラグがONに設定されていない場合は(S206:no)、BB一般遊技用抽選テーブルを選択する(S212)。前述したように、本実施例のBB遊技は、BB一般遊技とRB遊技とによって構成されており、RB遊技フラグがONに設定されていないことから、現在の遊技状態はBB一般遊技であると判断して、BB一般遊技用の抽選テーブルを選択するのである。
図13は、BB一般遊技用に用いられる抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図13(a)には、各遊技役に対して割り当てられた乱数の範囲が示されており、図13(b)には、各遊技役に割り当てられた乱数範囲の大まかな比率が示されている。図13に示したBB一般遊技用抽選テーブルも、図9を用いて前述した通常遊技用抽選テーブルとほぼ同様であるが、通常遊技用抽選テーブルに対して、BB一般遊技用抽選テーブルには、「赤7のBB役」、「青7のBB役」、「再遊技役」の遊技役が設定されておらず、それら遊技役の乱数範囲に「RB役」が設定された抽選テーブルとなっている。従って、BB一般遊技では、比較的高い確率でRB役に内部当選することになり、そしてRB役に対応する図柄組合せ(図6参照)が揃うと、RB役の入賞が成立したと判断されて(図8のS124:yes)、RB遊技フラグがONに設定される(S126)。その結果、次回に行われる遊技状態設定処理のS206の判断では、RB遊技フラグがONに設定されている(S206:yes)と判断されることになる。
こうして、RB遊技フラグがONに設定されていることが確認されると(S206:yes)、RB遊技の終了条件が満たされたか否かを判断した後(S208)、RB遊技の終了条件が満たされていない場合は(S208:no)、RB遊技用抽選テーブルを選択する(S214)。ここで、本実施例の遊技機1では、RB遊技の終了条件として、RB遊技開始後の遊技役の入賞成立回数が所定回数(例えば、8回)に達すること、あるいはRB遊技開始から所定回数(例えば、12ゲーム)の遊技が行われることの2つの終了条件が設定されており、何れか一方の条件が成立すると、RB遊技の終了条件が成立したと判断される。図7および図8を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では、遊技制御処理において、3つの回胴が停止表示されて何らかの図柄組合せが得られる度に、遊技回数を計数するとともに(図8のS116)、遊技役の入賞が成立して遊技メダルが払い出される度に入賞回数を計数している(図8のS136)。従って、主制御基板200のCPU201は、RB遊技を開始してからの遊技回数が所定回数に達するか、あるいは入賞成立回数が所定回数に達すると、直ちにこれを検出して、RB遊技の終了条件が成立したことを検出することが可能である。
図14は、RB遊技用に用いられる抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図14(a)には、各遊技役に対して割り当てられた乱数範囲が示されており、図14(b)には、各遊技役に割り当てられた乱数範囲の大まかな比率が示されている。図13に示したBB一般遊技用抽選テーブルと比較すると明らかなように、図14のRB遊技用抽選テーブルも、BB一般遊技用抽選テーブルと同様に、「赤7のBB役」、「青7のBB役」、「再遊技役」の遊技役は設定されていない。しかし、RB遊技用抽選テーブルでは、BB一般遊技用抽選テーブルで「RB役」に設定されていた乱数範囲の全てと、「ハズレ」に設定されていた乱数範囲の一部とに「増加役」が設定されている。図6を用いて前述したように、「増加役」の入賞が成立すると、15枚の遊技メダルが払い出されることから、RB遊技中は高い確率で増加役の入賞が成立し、入賞成立の度に15枚の遊技メダルが払い出されることになる。
これに対して、S208の判断で、RB遊技の終了条件が満たされたと判断された場合は(S208:yes)、RB遊技を終了するべく、RB遊技フラグをOFFに設定した後(S210)、図13を用いて前述したBB一般遊技用抽選テーブルを選択する(S212)。その結果、RB遊技を終了すると、前述したBB一般遊技状態に戻って遊技が継続されることになる。
以上では、BB遊技フラグがONに設定されていると判断された場合(S200:yes)について説明した。これに対して、BB遊技フラグがONに設定されていなかった場合(S200:no)、あるいはBB遊技フラグがONに設定されていたが、BB遊技の終了条件が成立して、BB遊技フラグおよびRB遊技フラグがOFFに設定された場合は(S204)、今度は、RT遊技フラグがONに設定されているか否かを判断する(S216)。前述したように、RT遊技フラグとは、遊技状態をRT遊技とすることを示す遊技状態フラグであり、遊技制御処理の中で、所定のRT発生図柄組合せが停止表示されたと判断された場合に(図8のS119:yes)、ONに設定されている(S121)。
そこで、RT遊技フラグがONに設定されていると判断された場合は(S216:yes)、今度はRT遊技の終了条件が満たされているか否かを判断する(S218)。本実施例の遊技機1では、RT遊技の終了条件として、RT遊技を開始してからの遊技回数が上限回数(本実施例では100回)に達した場合が設定されている。尚、図8を用いて前述したように、BB役の入賞が成立すると(図8のS120:yes)、BB遊技フラグがONに設定されるとともに、他の遊技状態フラグはOFFに設定される(図8のS122)ので、RT遊技中にBB役の入賞が成立した場合には、遊技回数が上限回数に達する前に(RT遊技の終了条件を満たす前に)、RT遊技が終了することになる。
RT遊技フラグがONに設定されており(S216:yes)、RT遊技の終了条件が満たされていないと判断された場合は(S218:no)、RT遊技用の抽選テーブルを選択する(S224)。
図15は、RT遊技中に用いられる抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図15(a)には、各遊技役に対して割り当てられた乱数範囲が示されており、図15(b)には、各遊技役に割り当てられた乱数範囲の大まかな比率が示されている。図15に示したRT遊技用抽選テーブルは、図9に示した通常遊技用抽選テーブルと同様に、「ベル」や「スイカ」、「チェリー」の各小役や、「赤7」や「青7」のBB役、更には「再遊技役」が設定されている。しかし、RT遊技用抽選テーブルでは、通常遊技用抽選テーブルに対して、「再遊技役」に割り当てられた乱数範囲が大幅に広くなっている。このためRT遊技では、高い確率で再遊技役に内部当選し、対応する図柄組合せを停止表示させることができる。前述したように再遊技役の入賞が成立すると、遊技者は新たな遊技メダルを投入することなく次の遊技を開始することができ、そして、図15に示したように、RT遊技中も、通常遊技と同様の確率で、BB役や、RB役、各種の小役を成立させることが可能である。このため、RT遊技は、遊技メダルをほとんど減らすことなく、BB役やRB役などのボーナス役の入賞成立を狙うことができるという遊技者に有利な遊技状態となっている。
もっとも、RT遊技中に、BB役を入賞成立させることができないまま、遊技回数が上限回数(本実施例では100回)に達すると、RT遊技の終了条件が成立したと判断されて(S218:yes)、RT遊技を終了させるべく、RT遊技フラグをOFFに設定した後(S220)、図9に示した通常遊技用の抽選テーブルを選択する(S222)。
以上に説明したように、図12に示した遊技状態設定処理では、BB遊技フラグがONに設定されている場合(S200:yes)、あるいはRT遊技フラグがONに設定されている場合には(S216:yes)、それぞれの遊技状態に応じた抽選テーブルを選択した後、遊技状態設定処理を終了して、図7および図8に示した遊技制御処理に復帰する。これに対して、BB遊技フラグもRT遊技フラグもONに設定されていない場合は、そのまま遊技状態設定処理を終了する。
以上に説明したように、遊技制御処理が開始されて、フリーズ設定処理(S50)に続いて行われる遊技状態設定処理(S100)では、遊技状態フラグの設定に応じて適切な抽選テーブルを選択する処理が行われる。そして、遊技状態設定処理で何れの抽選テーブルが選択されたかによって、内部抽選で当選可能な遊技役の種類や遊技役の当選し易さが切り換わるようになっている。
ここで、前述したように、内部抽選で何れかの遊技役に当選したとしても、当選した遊技役の入賞が直ちに成立するわけではない。実際に遊技役の入賞が成立するためには、回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作によって、遊技役に対応する図柄組合せが有効な入賞ライン上に揃うように、回胴20a,20b,20cが適切な位置で停止する必要がある。逆に、何れの遊技役にも当選していないにも拘らず、遊技役に対応する図柄組合せが有効な入賞ライン上に揃う位置で偶然に回胴20a,20b,20cが停止するようなことがあってはならない。このように回胴20a,20b,20cは、回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されたら単純に停止させればよいというわけではなく、内部抽選の結果、有効な入賞ライン、および回胴停止ボタンが操作されたタイミングに応じて適切な位置で回胴20a,20b,20cを停止させる処理が必要となる。以下では、回胴20a,20b,20cの回転を停止させる処理(回胴回転停止処理)の内容について詳しく説明する。
C−3.回胴回転停止処理 :
図16は、本実施例の遊技機1で行われる回胴回転停止処理の流れを示すフローチャートである。前述したように、回胴回転停止処理は、主制御基板200によって、図7および図8に示した遊技制御処理の中で実行される(図7のS114)。
回胴回転停止処理を開始すると、先ず初めに、この処理に先立って行われた内部抽選(図7のS110)の結果に応じて第1停止テーブルを抽出する処理を行う(S400)。ここで、停止テーブルとは、回胴20a,20b,20cを停止する際に参照する専用のテーブルである。詳しくは後述するが、遊技者が回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作したときに、回胴の外周面に描かれた図柄のうち(図3参照)、何れの図柄を表示窓20に表示して回胴20a,20b,20cを停止するかは、停止テーブルに予め設定されている。前述したように、内部抽選によってある遊技役に当選している場合は、適切なタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると、その遊技役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃うように、各回胴20a,20b,20cを停止する必要がある。逆に、内部当選していない遊技役については、どのようなタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作したとしても、対応する図柄組合せが有効な入賞ライン上に揃わないように、各回胴20a,20b,20cを停止する必要がある。そのため、何れの遊技役に内部当選しているかに応じて、異なる停止テーブルが設けられている。
また、このような停止テーブルには、回胴20a,20b,20cの全てが回転しているときに参照する第1停止テーブルと、既に何れかが停止しているときに参照する第2停止テーブルとが設定されている。そこで、回胴回転停止処理を開始した直後のS400では、内部抽選の結果に応じて、先ず初めに第1停止テーブルを抽出する。例えば、「ベルの小役」に内部当選したと判断された場合は、「ベルの小役」当選時用に設定された第1停止テーブルを抽出する。もちろん、何れの遊技役にも当選していない場合には、ハズレ用に設定された第1停止テーブルを抽出する。
こうして第1停止テーブルを抽出すると、回胴20a,20b,20cの回転速度が所定値に達したか否かを判断する(S402)。回胴20a,20b,20cの回転を開始した直後で、未だ回転速度が所定値に達していない場合は(S402:no)、回転速度が所定値に達するまで待機する。そして、回転速度が所定値に達したら(S402:yes)、回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作を有効化する(S404)。
次いで、有効となった回胴停止ボタン38a,38b,38cの何れかが操作されたか否かを判断する(S406)。前述したように、遊技者が回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると、その操作信号が主制御基板200に供給される。主制御基板200は、この操作信号に基づいて、回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されたか否かを判断することができる。そして、何れの回胴停止ボタンも操作されていない場合は(S406:no)、操作されるまで待機する。
一方、何れかの回胴停止ボタンが操作された場合は(S406:yes)、操作された回胴停止ボタンを無効化するとともに(S408)、回胴停止ボタンが操作された時に、そのボタンに対応する回胴が何れの回転位置にあったかを検出する(S410)。前述したように、回胴20a,20b,20cのそれぞれに対応して回胴センサ26a,26b,26cが設けられており(図4参照)、回胴20a,20b,20cの回転位置を検出可能である。また、本実施例の遊技機1では、回胴停止ボタンの操作時に、対応する回胴に描かれた複数の図柄(図3参照)の中の何番目の図柄が所定の「基準位置」に表示されていたかに基づいて、その回胴の回転位置を検出するようになっている。ここで、基準位置は、各回胴の回転位置を相対的に検出するために予め定められた特別な位置であり、本実施例の遊技機1では、何れの回胴も表示窓20の中段の位置が基準位置に設定されている。
このようにして、回胴停止ボタンが操作された回胴の回転位置を検出したら、その回胴を適切な位置で停止させるための処理(回胴停止制御処理)を開始する(S412)。この回胴停止制御処理の詳細な内容については後述する。
回胴停止制御処理を行って、回胴停止ボタンが操作された回胴を停止させると、3つの回胴20a,20b,20cの全てを停止させたか否かを判断する(S414)。そして、未だ回胴停止ボタンが操作されずに回転中の回胴がある場合は(S414:no)、S406の処理に戻って、有効な回胴停止ボタンが操作されるまで待機し、操作されたら続く上述した一連の処理を実行する。こうした処理を繰り返すうちに、全ての回胴を停止させたと判断されたら(S414:yes)、図16の回胴回転停止処理を終了して、図7および図8に示した遊技制御処理に復帰する。
ここで、上述した回胴回転停止処理(図16)の中で回胴停止ボタンが操作された場合に、対応する回胴を適切な位置で停止させるために行われる回胴停止制御処理(S412)の内容について説明する。
図17は、回胴回転停止処理の中で実行される回胴停止制御処理の流れを示したフローチャートである。回胴停止制御処理を開始すると、先ず初めに、停止させる回胴が第1回胴であるか否かを判断する(S500)。ここで、第1回胴とは、3つの回胴20a,20b,20cの中で最初に停止する回胴をいう。すなわち、3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cは、どのような順序で操作してもよいことから、3つの回胴20a,20b,20cの停止する順序は種々の順序を取り得る。そこで、3つの回胴20a,20b,20cの中で最初に停止する回胴を「第1回胴」と呼び、2番目に停止する回胴を「第2回胴」、3番目に停止する回胴を「第3回胴」と呼んで区別する。そして、第1回胴を停止させると判断された場合は(S500:yes)、回胴回転停止処理の開始直後(図16のS400)に抽出しておいた第1停止テーブルを参照しながら、先に検出した回胴停止ボタン操作時の第1回胴の回転位置(図16のS410)に基づいて、第1回胴の停止位置を決定する(S502)。本実施例の遊技機1では、回胴の停止位置として、基準位置に停止表示させる図柄(停止図柄)を決定するようになっている。
図18は、本実施例の遊技機1に設定されている第1停止テーブルの1つを例示した説明図である。停止テーブルには、回胴停止ボタンが操作された時の回胴の回転位置と、回胴停止ボタンが操作されてからその回胴を停止するまでの時間(停止時間)との対応関係が設定されている。上述したように、本実施例では、回胴20a,20b,20cの回転位置を、基準位置に表示されていた図柄よって検出していることから、図18では、回転位置として、回胴20a,20b,20cの外周面に描かれた図柄の番号(図3の図柄配列に付された番号に対応する)が設定されている。また、前述したように、回胴停止ボタンの操作が有効化された時点では、対応する回胴は一定の速度で回転しているので(図16のS402:yes)、停止時間が決まれば、その間に回胴上に描かれた図柄にして何コマ分回転が進むかも決定される。そこで、図18に示した例では、停止時間に代えて、回胴停止ボタンが操作されてから何コマ分回転を進めて(滑らせて)その回胴を停止するかを示す「滑りコマ数」が設定されている。従って、このような停止テーブルを参照すれば、回胴停止ボタンの操作時に基準位置に表示されていた図柄に対応する滑りコマ数を読み出して、停止図柄を決定することができる。
一例として、左回胴20aを第1回胴として停止させる場合について説明する。遊技者が左側の回胴停止ボタン(左停止ボタン)38aを操作した時点で、図19に示すように、表示窓20の中段の位置(基準位置)に10番の「赤セブン」の図柄が表示されていたとする。この場合に、図18の第1停止テーブルを参照すると、10番の「赤セブン」の図柄に対して滑りコマ数が「2」と設定されている。そのため、図柄2コマ分滑らせて12番の「ベル」の図柄を、基準位置に表示させる停止図柄に決定する。図19では、白抜きの矢印によって回胴の回転方向を示しており、破線の円で囲んだ図柄が停止図柄となることを表している。
ここで、停止テーブルに設定される停止時間は、最大で190msecとなっており、この190msecの間に、回胴20a,20b,20cは図柄にして4コマ分回転する。換言すれば、回胴停止ボタンが操作されると、その時点で基準位置に表示されている図柄から最大で4コマ以内にある図柄(基準位置の図柄を含めて5つの図柄)の中から停止図柄を決定することになる。このことと対応して、停止テーブル(図18)では、基準位置の図柄に応じて、滑りコマ数として0〜4の数値が設定されている。
このように、回胴の停止位置は、停止テーブルに設定されている停止時間(滑りコマ数)によって決定される。従って、停止テーブルを予め適切に設定しておけば、内部当選した遊技役に対応する図柄組合せは、有効な入賞ライン上に比較的容易に揃うように、逆に、内部当選していない遊技役の図柄組合せは、有効な入賞ライン上に決して揃わないように、各回胴20a,20b,20cを停止することが可能となる。
以上のようにして第1回胴の停止位置を決定したら、決定した位置で第1回胴を停止させる(S504)。その後、第1回胴に停止表示された図柄に応じて第2停止テーブルを抽出すると(S506)、図17の回胴停止制御処理を一旦終了して、図16に示した回胴回転停止処理に復帰する。ここで、第1停止テーブルと第2停止テーブルとの関係について補足して説明する。
図20は、第1停止テーブルと第2停止テーブルとの関係を示した説明図である。上述したように第1停止テーブルは、第1回胴を停止する際、すなわち、回胴20a,20b,20cの全てが回転しているときに参照するテーブルであり、3つの回胴の全てを対象に設定されている。これに対して、第2停止テーブルは、第2回胴および第3回胴を停止する際に参照するテーブルであり、既に停止している第1回胴が3つの回胴20a,20b,20cの中の何れであるかに応じて、第1回胴を除く残り2つの回胴を対象に設定されている。また、前述したように、内部当選した遊技役の入賞を成立させるには、対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃う必要があり、逆に、内部当選していない遊技役の図柄組合せは、入賞ラインの何れにも揃わないようにする必要がある。このことから、第2回胴あるいは第3回胴に何れの図柄を停止表示させるかは、既に停止した第1回胴に表示された図柄に影響される場合がある。従って、第2停止テーブルは、第1回胴に停止表示された図柄に応じて複数用意されており、図17のS506では、第1回胴に何れの図柄が停止表示されたかに応じて適切な第2停止テーブルを抽出する。尚、前述したように、各回胴20a,20b,20cの停止位置は、内部当選している遊技役に左右されるため、第1停止テーブルも第2停止テーブルも共に、内部当選している遊技役に応じてそれぞれ設定されている。
以上では、停止させる回胴が第1回胴であった場合(図17のS500:yes)に行われる処理について説明したが、停止させる回胴が第1回胴ではなかった場合、すなわち、既に何れかの回胴が停止している場合には(S500:no)、停止させる回胴が第2回胴であるか否かを判断する(S508)。そして、第2回胴であると判断された場合は(S508:yes)、S506で抽出した第2停止テーブルを参照しながら、先に検出した回胴停止ボタン操作時の第2回胴の回転位置(図16のS410)に基づいて、前述した第1回胴の場合と同様に、第2回胴の停止位置を決定する(S510)。その後、決定した位置で第2回胴を停止すると(S512)、図17の回胴停止制御処理を一旦終了して、図16の回胴回転停止処理に復帰する。
これに対して、停止させる図柄が第2回胴ではなかった場合は(S508:no)、既に第1回胴および第2回胴は停止しており、第3回胴を停止させると判断されるので、第2停止テーブルを参照しながら、先に検出した回胴停止ボタン操作時の第3回胴の回転位置(図16のS410)に基づいて、第3回胴の停止位置を決定する(S514)。図18に示したように、第2停止テーブル中には、第2回胴および第3回胴の両方の停止情報(停止時間)が設定されていることから、第3回胴の停止位置を決定する際にも第2停止テーブルを参照する。こうして決定した位置で第3回胴を停止したら(S516)、図17の回胴停止制御処理を終了して、図16に示した回胴回転停止処理に復帰する。
以上に説明したように、回胴回転停止処理では、内部当選している遊技役に応じて適切な停止テーブルを抽出するとともに、回胴停止ボタン38a,38b,38cの何れかが操作されると、対応する回胴のボタン操作時の回転位置に基づいて、停止テーブルを参照しながら停止位置を決定することによって、各回胴20a,20b,20cを適切な位置で停止させるようになっている。そして、全ての回胴20a,20b,20cを停止させたら、図7および図8に示した遊技制御処理に復帰した後、何れかの遊技役の入賞が成立したか否かを判断し(図7のS118)、何れかの遊技役の入賞が成立していた場合には(S118:yes)、成立した遊技役に応じて遊技状態フラグを設定したり(図8のS120〜S130)、あるいは遊技メダルを払い出したりする処理を行った後(S132〜S136)、再び先頭から、図7および図8の遊技制御処理を繰り返す。
ここで、本実施例の遊技機1では、遊技制御処理を開始すると先ず始めにフリーズ設定処理(S50)を行い、その後は、遊技者の操作に対して行う処理の直前、すなわち、メダル投入確認処理(S102)の直前と、精算処理(S106)または内部抽選処理(S110)の直前と、回胴回転停止処理(S116)の直前とで、フリーズ実行処理(S900)を行う。こうすることで、実際には、同じフリーズ実行処理(S900)を繰り返して行っているだけであるにも拘わらず、発生するタイミングや、フリーズ時間の異なる複数種類のフリーズ状態が設けられているかのような印象を、遊技者に与えることが可能となる。以下では、本実施例の遊技機1で行われるフリーズ設定処理(S50)、およびフリーズ実行処理(S900)について説明し、これらの処理を行うことで、あたかも複数種類のフリーズ状態が設けられているかのような印象を、遊技者に与えることが可能な理由について説明する。
D.フリーズ設定処理 :
図21は、遊技制御処理の中で主制御基板200のCPU201によって行われるフリーズ設定処理を示したフローチャートである。図示されるように、フリーズ設定処理(S50)を開始すると、先ず初めに、何れかのボーナス役内部当選フラグがONに設定されているか否かを判断する(S52)。図10(b)を用いて前述したように、ボーナス役内部当選フラグには、BB役(赤7)、BB役(青7)、RB役のそれぞれに対して内部当選フラグが設定されており、S52では、これらの中の何れかのフラグがONに設定されているか否かを判断する。
その結果、何れかのボーナス役内部当選フラグがONに設定されていた場合は(S52:yes)、フリーズ実行フラグをONに設定した後(S54)、図21のフリーズ設定処理(S50)を終了して、図7の遊技制御処理に復帰する。ここで、フリーズ実行フラグとは、フリーズ対象が生じていると判断された場合に「ON」に設定されるフラグである。すなわち、本実施例では、内部抽選処理(図7のS110)で何れかのボーナス役に内部当選したが、遊技役を成立させる図柄組合せを揃えることができずに(図8のS118:no)、遊技制御処理の先頭に戻ってきてしまった状態(ボーナス役の内部当選を持ち越した状態)が、フリーズ対象が生じている状態、すなわちフリーズ状態を発生させて遊技者に報知するべき状態となる。尚、図11を用いて前述したように、フリーズ実行フラグは、主制御基板200に搭載されたRAM203上の所定のビットが割り当てられており、このビットのデータを「1」にセットすることで、フリーズ実行フラグが「ON」に設定される。
これに対して、何れのボーナス役内部当選フラグもONに設定されていない場合は(S52:no)、フリーズ実行フラグをONに設定することなく、そのまま図21のフリーズ設定処理(S50)を終了して、図7の遊技制御処理に復帰する。このように、図21に示すフリーズ設定処理(S50)では、フリーズ状態を発生させて遊技者に報知するべき事柄(フリーズ対象)が生じているか否かを判断して(S52)、フリーズ対象が生じている場合は(S52:yes)、フリーズ実行フラグをONに設定する処理(S54)を行う。
尚、前述したように、フリーズ実行フラグは、フリーズ対象が生じていると判断された場合に「ON」に設定されるフラグである。そして、フリーズ実行フラグが「ON」に設定されている場合、後述するフリーズ実行処理では、所定の遊技機動作を契機として、一定時間に亘ってフリーズ状態が開始される。従って、上述したフリーズ設定処理(S50)を行う本実施例の主制御基板200のCPU201は、本発明における「無効化状態決定手段」に対応している。また、以下に説明するフリーズ実行処理(S900)を行う本実施例の主制御基板200のCPU201は、本発明における「無効化状態発生手段」にも対応している。
図7を用いて前述したように、遊技制御処理では、フリーズ設定処理(S50)から復帰すると、遊技状態設定処理(S100)を行った後、以下に説明するフリーズ実行処理(S900)を開始する。
E.フリーズ実行処理 :
図22は、遊技制御処理の中で主制御基板200のCPU201によって行われるフリーズ実行処理を示したフローチャートである。このフリーズ実行処理は、図7および図8を用いて前述したように、メダル投入確認処理(S102)の直前と、メダル投入確認処理(S102)の後に、遊技者によって精算ボタン40またはスタートレバー36の何れかが操作されるまでの間と、回胴回転停止処理(S116)の直前の3箇所で実行される処理である。
図22に示されているように、フリーズ実行処理を開始すると、主制御基板200のCPU201は、先ず初めに、フリーズ実行フラグがONに設定されているか否かを判断する(S902)。前述したようにフリーズ実行フラグとは、フリーズ状態を発生させて遊技者に報知すべき事柄(フリーズ対象)が生じている場合にONに設定されるフラグである。従って、フリーズ実行フラグがONに設定されていない場合は(S902:no)、フリーズ状態を発生させることなく、直ちにフリーズ実行処理を終了して、図7および図8の遊技制御処理に復帰する。
一方、フリーズ実行フラグがONに設定されていた場合は(S902:yes)、今度は、ウェイト時間が経過したか否かを判断する(S904)。ウェイト時間とは、前述したように、回胴20a,20b,20cの回転が一斉に開始されると、所定時間(たとえば4.1秒)の間、新たに回胴20a,20b,20cの回転を開始することが禁止される時間である。従って、遊技者がスタートレバー36を操作して、回胴20a,20b,20cを一斉に回転させた後、ウェイト時間が経過するまでの間に、それら回胴20a,20b,20cを停止させて、再びスタートレバー36を操作しても、直ぐには回胴20a,20b,20cが回転することはない。そして、ウェイト時間が経過した後、自動的に(すなわち、スタートレバー36を操作しなくても)、回胴20a,20b,20cが一斉に回転し始めるようになっている。
ウェイト時間が経過したか否かを判断した結果(S904)、ウェイト時間が経過していた場合は(S904:yes)、フリーズ状態を開始することを示すコマンド(フリーズ開始コマンド)を、サブ制御基板220に向かって送信した後(S908)、遊技者による全ての操作を無効化する(S910)。すなわち、本実施例の遊技機1では、フリーズ対象が生じている状態(フリーズ実行フラグがONに設定されている状態)で、ウェイト時間が経過していることが確認されたら、フリーズ状態が開始される。従って、ウェイト時間が経過していることは、フリーズ状態の開始条件となっている。
尚、ウェイト時間は、回胴20a,20b,20cの回転開始から計時が開始され、ウェイト時間の終了後からフリーズ状態が開始されている。従って、本実施例では、ウェイト時間の計時を行う主制御基板200のCPU201が、本発明における「ウェイト計時手段」に対応している。
これに対して、未だ、ウェイト時間が経過していないと判断された場合は(S904:no)、3つの回胴20a,20b,20cが回転中か否かを判断する(S906)。そして、回胴が回転中であれば(S906:yes)、この場合も、フリーズ開始コマンドを送信した後(S908)、フリーズ状態を開始する(S910)。上述したように、ウェイト時間が経過していなければ、フリーズ状態の開始条件が満足されていないのであるから、S904で「no」、すなわちウェイト時間が経過していないと判断されたら、回胴20a,20b,20cが回転中か否かに拘わらず、フリーズ状態は開始されないように思われる。それにも拘わらず、回胴20a,20b,20cが回転中か否かを判断して(S906)、回転中であれば(S906:yes)、フリーズ状態を発生させているのは、次のような理由によるものである。
前述したように、図7および図8の遊技制御処理中では、複数箇所でフリーズ実行処理(S900)を行っており、このうちの1箇所は、回胴回転始動処理(S114)と回胴回転停止処理(S116)との間で行っている。ここで、回胴回転始動処理(S114)が行われたと言うことは、既にウェイト時間が経過した(S111:yes)と判断されたことであり、従って、回胴回転始動処理(S114)の後で行われるフリーズ実行処理(S900)は、ウェイト時間の経過後に行われていることになる。しかし、前述したように、回胴回転始動処理(S114)では、次回のゲームのためのウェイト時間を設定するので、そのウェイト時間が次回のゲームのために設定されたものか否かを判断する必要がある。そこで、図22のフリーズ実行処理(S900)では、ウェイト時間が経過していないと判断された場合には(S904:no)、回胴20a,20b,20cが回転中か否かを判断して(S906)、回転中であれば(S906:yes)、そのウェイト時間は次回のゲームのために設定された時間であり、今回のゲームのウェイト時間は既に経過している(フリーズ状態の開始条件が満足されている)ものと判断して、フリーズ状態を発生させるのである(S908、S910)。これに対して、回胴20a,20b,20cが回転していなければ(S906:no)、フリーズ状態の開始条件が満足されていないので、フリーズ状態を発生させることなく、そのままフリーズ実行処理を終了して、図7および図8を用いて前述した遊技制御処理に復帰する。
尚、S910において、遊技者の全ての操作を無効化するに際しては、主制御基板200のCPU201は、次のような動作を行う。すなわち、メダルセレクタ106に対しては、遊技メダル投入口30から投入された遊技メダルがコインシュータ108を介して遊技メダル払出口50に返却されるように、メダルセレクタ106内の通路を切り換える。また、スタートレバー36や、精算ボタン40、回胴停止ボタン38a,38b,38cからの信号を受け取っても、それらの信号を無視してしまうように、CPU201の設定状態を切り換える。尚、図16の回胴回転停止処理の中で説明したように、本実施例の遊技機1では、回胴停止ボタン38a,38b,38cについては無効化された状態が標準となっており、必要な期間だけ、回胴回転停止処理の中で操作が有効化されているに過ぎない。従って、S910でフリーズ状態を発生させるに際して、回胴停止ボタン38a,38b,38cについては、操作を無効化しないようにしてもよい。
こうしてフリーズ状態を開始したら(S910)、フリーズ時間の計時を開始する(S912)。ここで、本実施例のフリーズ時間は、固定時間(ここでは、30秒)に設定されている。続いて、フリーズ時間が経過したか否かを判断し(S914)、経過していなければ(S914:no)、同じ判断を繰り返しながら、フリーズ時間が経過するまで待機状態となる。そして、フリーズ時間が経過したと判断したら(S914:yes)、フリーズ状態を終了させることを示すコマンド(フリーズ終了コマンド)を、サブ制御基板220に向かって送信した後(S916)、遊技の進行状態に応じて遊技者の操作を有効化することによってフリーズ状態を解除する(S918)。たとえば、スタートレバー36が操作された後は、メダルセレクタ106内の通路は、遊技メダルがコインシュータ108を介して返却される側に切り換えられていることが通常である。そこで、スタートレバー36の操作後にフリーズ状態が開始されたのであれば、フリーズ状態の解除時にも、メダルセレクタ106内の通路は切り換えたままの状態としておく。
こうしてフリーズ状態を解除したら(S918)、遊技者に報知するべきフリーズ対象が無くなったものと判断して、フリーズ実行フラグをOFFに設定した後(S920)、図22のフリーズ実行処理を終了して、図7および図8を用いて前述した遊技制御処理に復帰する。
このように、フリーズ実行処理(S900)では、フリーズ状態を開始して、フリーズ時間が経過すると、フリーズ対象の存在を示すフリーズ実行フラグをOFFにしてしまう。このため、それ以降の遊技制御処理で再びフリーズ実行処理(S900)が行われても、フリーズ対象が存在していないと判断されるため(S902:no)、同じゲーム中にフリーズ状態が何度も発生することはない。そして、1回のゲームが終了して、遊技制御処理の先頭に戻ると、再びフリーズ設定処理(S50)が行われ、依然としてボーナス役の内部当選状態が継続していれば、フリーズ実行フラグがONに設定される。その結果、次のゲームにおいても、フリーズ状態の開始条件が満足された時点で、1回だけフリーズ状態が発生することになる。
本実施例の遊技機1で発生するフリーズ状態は、図22に示したフリーズ実行処理(S900)で行われる1種類のフリーズ状態だけである。それにも拘わらず、遊技者にとっては、異なるタイミングでフリーズ状態が発生し、しかも、発生する度にフリーズ状態が継続する時間が異なっているように感じられる。このため、極めて簡単な制御でありながら、たいへんにバリエーションに富んだフリーズ演出を行うことが可能となっている。以下では、このようなことが可能となる理由について説明する。
図23は、遊技中にフリーズ状態が発生する一態様を例示したタイムチャートである。図中の上段は、遊技を進行させるために遊技者によって各種の操作(遊技者操作)が行われるタイミングを表しており、図中の下段は、遊技者操作に対応して、遊技機1で各種の動作(遊技機動作)が行われる様子を表している。以下では、図23のタイムチャートに従って、フリーズ状態が発生する1つの態様について説明する。
図23中に「ベット」と表示された遊技者操作は、遊技者によって投入ボタン34が操作されたり、遊技メダル投入口30から遊技メダルが投入されたりして、遊技メダルがベットされることを表している。そして、「ベット」が行われたことに対応して、遊技機1では、ベットされた遊技メダルを受け付けて、ベット枚数表示パネル22bにベット枚数を表示する(図7のS102に対応)。図23中に「投入受付」と表示された遊技機動作は、遊技機1で行われるこのような動作を表している。
投入した遊技メダルが受け付けられたことを受けて、遊技者はスタートレバー36を操作して、回胴20a,20b,20cを回転させる。図23中に「レバーON」と表示された遊技者操作は、遊技者によって行われるスタートレバー36を表している。また、この例では、遊技者が行ったスタートレバー36の操作に対応して、3つの回胴20a,20b,20cが一斉に回転し始めるとともに(前回のウェイト時間の計時は既に経過していると仮定)、新たなウェイト時間の計時が開始される(図7のS112に対応)。その後、遊技者が回胴停止ボタン38a,38b,38cの何れかを押すと、対応する回胴が停止する(図8のS114に対応)。図23中に「第1停止」と表示された遊技者操作は、3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cの中で、最初のボタンを押す操作を表している。また、「第2停止」と表示された遊技者操作は、2つめのボタンを押す操作を表しており、「第3停止」と表示された遊技者操作は、3つめのボタンを押す操作を表している。これら遊技者操作に対応して、遊技機1では、押された回胴停止ボタンに対応する回胴を停止する操作が行われ、そして全ての回胴が停止したら、続いて、何れかの遊技役の入賞が成立したか否かの判断が行われる(図8のS118に対応)。図23中に「入賞判断」と表示された遊技機動作は、3つの回胴20a,20b,20cが停止した後、何れかの遊技役の入賞が成立したか否かを判断する動作を表している。なお、この例では、回動の回転開始時に計時開始されたウェイト時間は、「第2停止」と「第3停止」の間の時点で計時を終了していることを示している。
その後、何れかのボーナス役に内部当選していた場合には、そのボーナス役の入賞が成立していない限り、遊技制御処理の先頭に戻って、フリーズ設定処理(図7のS50)が行われ、フリーズ実行フラグがONに設定され、続いてフリーズ実行処理(図7のS900)が開始される。図23に示した例では、この段階で既にウェイト時間が経過しているので、フリーズ実行処理(S900)が開始されると直ちにフリーズ状態となる。その結果、フリーズ期間が終了するまでの間は、遊技者によって行われるベット操作が受け付けられない状態となる。従って、図23に示した例では、遊技者はベット操作(投入ボタン34の操作や、遊技メダル投入口30から遊技メダルを投入する操作)を行った段階で、フリーズ状態になっていることに気が付くことになる。しかも、フリーズ期間の開始後、遊技者が直ちにベット操作を行っていた場合は、長い間、フリーズ期間が続くように感じられるが、フリーズ期間の終了間際にベット操作を行った場合は、フリーズ期間が短い様に感じられる。すなわち、3つの回胴20a,20b,20cが停止して入賞判断が行われて、次のゲームが開始されてから、遊技者がベット操作を行うタイミングはまちまちであるため、実際のフリーズ時間は固定時間(30秒)であるにも拘わらず、遊技者にとっては、フリーズ状態が発生する度に、フリーズ期間の長さが異なっているように感じされることになる。
更に、上述した例では、遊技者がベット操作を行った段階で、フリーズ状態が発生していることに気が付くことになる(逆に言えば、それまではフリーズ状態になっていることには気が付かない)が、スタートレバー36を操作した段階で、あるいは回胴停止ボタンを操作した段階でフリーズ状態になっていることに気が付いたりする場合も発生させることができる。そのような場合の例を、図24を用いて説明する。
図24は、遊技者操作が比較的素早く行われた場合に、フリーズ状態が発生する一態様を例示したタイムチャートである。先ず、遊技者によって「ベット」操作が行われると、遊技機1では、その操作が受け付けられて、ベット枚数表示パネル22bにベット枚数が表示される(図7のS102に対応)。続いて、遊技者がスタートレバー36を操作すると(図中の「レバーON」)、遊技機1は、3つの回胴20a,20b,20cを回転させるとともに、ウェイト時間の計時を開始する(図7のS112に対応)。
ここまでは、図23に例示した場合と同様である。しかし、図24に示した場合では、3つの回胴20a,20b,20cの回転開始後、ウェイト期間が終了するまでの間に、遊技者が、3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cを全て操作し(図中の「第1停止」、「第2停止」、「第3停止」)、更に次遊技のためのベット操作も行っている(図中の「ベット」)。従って、何れかのボーナス役に内部当選している場合は、ウェイト期間中にフリーズ設定処理(図7のS50)が行われて、フリーズ実行フラグがONに設定されることになる。図22を用いて前述したように、フリーズ実行処理ではウェイト時間が経過するまでの間は、たとえフリーズ実行フラグがONになっていても、フリーズ状態を開始しない。このため、遊技機1の側では、遊技者の操作に対応して、3つの回胴20a,20b,20cを停止させると共に、ベット枚数表示パネル22bにベット枚数を表示する。
図7を用いて説明したように、遊技制御処理では、遊技者によるベット操作を受け付けると(S102)、精算ボタン40が操作されるか(S104:yes)、スタートレバー36が操作されるまで(S108:yes)、フリーズ実行処理(S900)を繰り返し実行する。そして、図22を用いて前述したようにフリーズ実行処理(S900)では、ウェイト期間中はフリーズ状態を発生させないが、ウェイト期間が終了するとフリーズ状態を開始するようになっている。このため、ウェイト期間中に(すなわち、フリーズ状態が開始される前に)、遊技者が精算ボタン40やスタートレバー36を操作した場合には、これらの操作が受け付けられて、精算処理(図7のS106)が開始されたり、あるいは内部抽選処理(図7のS110)が行われ、更にウェイト期間の終了後には回胴20a,20b,20cが回転し始める。しかし、ウェイト期間中に、遊技者が精算ボタン40やスタートレバー36を操作しなかった場合には、フリーズ状態が開始されて、精算ボタン40やスタートレバー36の操作が受け付けられなくなる。
図24では、ウェイト期間中には、スタートレバー36も精算ボタン40も操作されなかったためにフリーズ状態が開始された様子が示されている。こうしてフリーズ状態が開始されると、フリーズ期間が終了するまでの間は、スタートレバー36や精算ボタン40を何度操作しても操作が受け付けられないため、遊技者はフリーズ状態が発生したことを認識することになる。
また、この場合も、図23を用いて前述した場合と同様に、フリーズ期間は、遊技者が何らかの操作を行った時点から開始されるのではなく、遊技者の操作に対応して遊技機1が何らかの動作を行ったタイミング(あるいは動作を完了したタイミング)から開始されている。すなわち、図23を用いて前述した場合では、遊技者が回胴を停止させたことを受けて、遊技機1が入賞判断などの処理を終了したタイミング(換言すれば、次のゲームを開始したタイミング)でフリーズ状態を発生させている。また、図24に示した例では、遊技者がスタートレバー36を操作したことを受けて、遊技機1がウェイト時間の計時を開始し、ウェイト期間が終了したタイミングでフリーズ状態を発生させている。従って、遊技者が感知しないタイミングでフリーズ状態が開始され、その後、遊技者が何らかの操作を行った段階で初めて、フリーズ状態になっていることを認識する。当然ながら、フリーズ状態の開始後、遊技者が何らかの操作を行うタイミングは毎回異なっているから、遊技者がフリーズ状態を初めて認識してからフリーズ状態が終了するまでのフリーズ継続時間も、毎回異なった時間となる。その結果、遊技者にとっては、フリーズ状態が発生する度に、フリーズ期間の長さが異なっているように感じされることになる。
図24に示した例では、遊技者が比較的素早く操作を行ったために、スタートレバー36の操作(あるいは精算ボタン40の操作)で、フリーズ状態の発生に気が付くこととなったが、更に素早く操作を行った場合には、回胴20a,20b,20cを停止させる段階で、フリーズ状態の発生に気が付くようになる。
図25は、遊技者操作がたいへん素早く行われた場合に、フリーズ状態が発生する一態様を例示したタイムチャートである。図24を用いて前述した例では、ウェイト期間中に、遊技者が、回胴の停止操作、およびベット操作を行っていたが、図25では、回胴の停止操作およびベット操作に加えて、スタートレバー36の操作もウェイト期間中に行っている。このような場合は、図7を用いて前述した遊技制御処理の中で、精算ボタン40あるいはスタートレバー36の操作の有無を判断しながら(S104,S108)、フリーズ実行処理(S900)を繰り返しているうちに、スタートレバー36が操作されるので(S108:yes)、フリーズ状態を開始しないままフリーズ実行処理(S900)を抜ける。その後、内部抽選処理(S110)や回胴回転始動処理(S112)が行われた後、再びフリーズ実行処理(図8のS900)が開始されて、フリーズ状態が発生する。つまり、回胴回転始動処理(S112)により回動の回転が開始された直後にフリーズ状態が発生する。従って、図25に示した例では、回転している回胴20a,20b,20cを停止させようと、遊技者が回胴停止ボタン38a,38b,38cを押した時点で、フリーズ状態が発生していることに気づくことになる。
しかも、この場合も、フリーズ期間は、ウェイト期間が終了したタイミングで開始されており、通常通りに、回胴20a,20b,20cの回転が開始されただけのように見えるため、遊技者が回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すまでは、フリーズ状態になっていることに気づかない。そして、ウェイト期間が終了してから、遊技者によって回胴停止ボタン38a,38b,38cが押されるまでの経過時間は一定ではないから、遊技者にとっては、フリーズ状態が発生する度に、フリーズ状態の継続時間が異なっているように感じされることになる。
以上に説明したように、本実施例の遊技機1では、実際には、フリーズ実行処理(S900)という1つの処理を行っているに過ぎず、しかもフリーズ状態の継続時間も固定時間であるにも拘わらず、遊技者にとっては、ベット操作時にフリーズ状態になったり(図23参照)、スタートレバー36の操作時にフリーズ状態になったり(図24参照)、あるいは回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作時にフリーズ状態になったり(図25参照)と、発生タイミングの異なる複数種類のフリーズが存在しているかのように感じさせることができる。加えて、遊技者の感知しないタイミングでフリーズ状態を開始し、遊技者が何らかの操作を行った段階で初めて、フリーズ状態になっていることに気づくので、発生タイミングだけでなく、フリーズ状態の継続時間についても、フリーズ状態が発生する度に異なっているかのように感じさせることが可能となる。
また、抽選等でランダムにフリーズ時間を設定するものではないので、単位時間当たりの遊技進行時間にバラツキが出ることを防ぎ、複数種類のフリーズ時間を有する遊技機と比べて遊技機の設計を容易に行うことができる。
このように本実施例の遊技機1では、1つのフリーズ状態を、遊技者には、異なる種類のフリーズ状態であるかのように感じさせることが可能であり、そのことをより一層、強く遊技者に印象付けるために、次のような演出を行っている。
F.フリーズ演出制御処理 :
図26は、本実施例の遊技機1でフリーズ状態が発生したときに行われるフリーズ演出制御処理を示すフローチャートである。この処理は、主制御基板200から受け取ったコマンドや、扉基板240から受け取った各種信号に基づいて、サブ制御基板220のCPU221によって実行される処理である。
フリーズ演出制御処理(S1000)を開始すると、サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からのフリーズ開始コマンドを受け取ったか否かを判断する(S1002)。フリーズ開始コマンドとは、図22を用いて前述したフリーズ実行処理(S900)の中でフリーズ状態を発生させる際に、主制御基板200からサブ制御基板220に向かって送信されるコマンドである(S908参照)。サブ制御基板220のCPU221は、フリーズ開始コマンドを受け取っていない場合は(S1002:no)、フリーズ状態であることを遊技者に報知する演出(フリーズ演出)を行う必要はないので、そのままフリーズ演出制御処理を終了する。
一方、主制御基板200からフリーズ開始コマンドを受け取った場合は(S1002:yes)、フリーズ時間の計時を開始する(S1004)。図22に示したフリーズ実行処理においても、フリーズ開始コマンドを送信すると(S908)、フリーズ時間の計時を開始するが(S912)、主制御基板200で行われる計時に並行して、サブ制御基板220の側でもフリーズ時間の計時を開始するのである。
続いて、サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からフリーズ終了コマンドを受け取ったか否かを判断する(S1006)。フリーズ終了コマンドとは、図22に示したフリーズ実行処理(S900)の中でフリーズ状態を終了する際に、主制御基板200からサブ制御基板220に向かって送信されるコマンドである(S916参照)。フリーズ終了コマンドを受け取っていない場合は(S1006:no)、遊技者からの何らかの操作があったか否かを判断する(S1008)。
ここで、フリーズ状態中の遊技者操作の検出について説明する。本実施例では、前述したように、図12に示したフリーズ実行処理の中でフリーズ状態の開始に伴い遊技者の行う全ての操作を無効化している(図12のS910)。したがって、フリーズ状態の間に遊技者が遊技メダルを投入したり、スタートレバー36や精算ボタン40、回胴停止ボタンを操作するなど、何らかの操作を行うと、それらの操作に伴う信号は主制御基板200には送信されず、扉基板240からサブ制御基板220のみに出力される。このため、サブ制御基板220のCPU221は、フリーズ状態の間であっても、扉基板240からの信号を受け取ったか否かに基づいて、遊技者が何らかの操作を行ったか否かを容易に判断することができる。そして、遊技者の操作が無い場合は(S1010:no)、再び、主制御基板200からのフリーズ終了コマンドを受け取ったか否かを判断する(S1006)。
このように、フリーズ演出制御処理では、主制御基板200からフリーズ開始コマンドを受け取ることによって、フリーズ状態が開始されたことを検知した場合でも、直ちにフリーズ演出を開始することはなく、フリーズ終了コマンドを受け取ったか(S1006)、あるいは遊技者が何らかの操作を行ったか(S1008)という判断を繰り返す。その結果、遊技者が何らかの操作をする前に、主制御基板200からのフリーズ終了コマンドを受け取った場合には(S1006:yes)、フリーズ演出を行うことなく、図26のフリーズ演出制御処理を終了してしまう。
一方、主制御基板200からのフリーズ終了コマンドを受け取る前に、遊技者が何らかの操作を行ったと判断した場合は(S1008:yes)、サブ制御基板220のCPU221は、計時していたフリーズ時間の残り時間(残りフリーズ時間)を取得して、残りフリーズ時間に応じて、フリーズ演出の演出内容を選択する(S1010)。サブ制御基板220に搭載されたROM222には、残りフリーズ時間に応じてフリーズ演出の演出内容が設定された演出内容テーブルが予め記憶されている。
図27は、残りフリーズ時間に応じてフリーズ演出内容が設定された演出内容テーブルを概念的に例示した説明図である。本実施例では、フリーズ時間は30秒に設定されており、このことに対応して残りフリーズ時間は、0秒〜30秒までの値を取り得る。そこで、これを5秒間ずつの6つに分けて、それぞれに演出内容が設定されている。たとえば、残りフリーズ時間が、25秒よりも長く(超過)、30秒以下であった場合には、演出時間が24.5秒の動画を再生する「演出パターンA」という演出内容が設定されている。同様に、残りフリーズ時間が、20秒よりも長く、25秒以下であった場合には、演出時間が19.5秒の動画を再生する「演出パターンB」という演出内容が設定されている。また、残りフリーズ時間が5秒以下であった場合には、動画を再生するためには短すぎるので、1秒間の告知音だけを再生する「演出パターンF」という演出内容が設定されている。
図26に示したフリーズ演出制御処理のS1010では、ROM222に記憶されている演出内容テーブルを参照することによって、残りフリーズ時間に応じた演出内容を選択する。そして、選択した内容でフリーズ演出を開始した後(S1012)、フリーズ演出を終了したら、主制御基板200からのフリーズ終了コマンドを受け取ったか否かを判断する(S1014)。たとえば、残りフリーズ時間が26秒であった場合は、図27に示すように「演出パターンA」が選択されて、24.5秒の動画が再生される。そして、動画の再生が終了した後、フリーズ時間が終了してフリーズ終了コマンドを受け取るまでの1.5秒間は、再生した動画の最後の場面が保持された状態となる。この場面は、たとえば、遊技者にボーナス役の内部当選を知らせる画面としておくことができる。
あるいは、フリーズ状態が発生してから遊技者の操作までに時間がかかったために、残りフリーズ時間が、たとえば0.5秒であったとする。この場合は、図27に示すように「演出パターンF」が選択されて、1秒間の告知音が再生される。そして、告知音を再生している途中で、主制御基板200からフリーズ終了コマンドが送信されてくるので、フリーズ終了コマンドを受け取ったと判断して(S1014:yes)、図26のフリーズ演出制御処理を終了する。
このように、本実施例の遊技機1では、主制御基板200から受け取ったフリーズ開始コマンドによって、フリーズ状態の発生を検知した場合でも、遊技者が何らかの操作を行うまではフリーズ演出を開始せず、遊技者の操作を検出して初めて、フリーズ演出を開始する。このため、遊技者は、自らが操作を行ったタイミングでフリーズ状態が開始されたような印象を持つようになり、その結果、(実際にはフリーズ時間は固定であるにも拘わらず)フリーズ時間の異なる複数のフリーズ状態が存在するかのように感じさせることが可能となる。そして、フリーズ状態が発生すると、遊技者は何か特別なことが発生したと考えるものであるから、フリーズ状態の種類が異なるように感じれば、当然、別な種類の何か特別なことが発生したと考える。このため、本実施例の遊技機1では、制御内容は簡単に保ったまま、遊技に変化を付けて、遊技者の興味を強く遊技に引き付けておくことが可能となる。
尚、上述したフリーズ演出は、フリーズ状態が開始されていることを遊技者に報知するために行われる演出であることから、本発明における「無効化動作報知演出」に対応している。そして、このようなフリーズ演出は、サブ制御基板220のCPU221が、図26に示すフリーズ演出制御処理を実行することによって行われることから、本実施例のサブ制御基板220に搭載されたCPU221は、本発明における「演出実行手段」に対応するものとなっている。
尚、図26に示したフリーズ演出制御処理では、扉基板240からの信号に基づいて遊技者の操作があったことを検出してから、フリーズ演出の内容を決定している。従って、扉基板240から受け取った信号に基づいて、遊技者が行った操作の種類を判別し、それに応じて演出内容を決定するようにしても良い。
たとえば、遊技者の操作が、遊技メダルの投入操作、スタートレバー36による回胴回転操作、精算ボタン40による精算操作、回胴停止ボタン38a,38b,38cによる回胴停止操作の何れであるかを、扉基板240からの信号によって判別する。そして、遊技者が行った操作毎に、図27に示すような演出内容テーブルを設定しておき、対応するテーブルを参照して、演出内容を決定するようにしても良い。
こうすれば、フリーズ状態の開始後に遊技者が行った操作によって、異なる態様のフリーズ演出を行うことができるので、あたかも異なるフリーズ状態が存在するかのような印象を、遊技者に与えることができる。そして、異なる種類のフリーズ状態が発生すると、遊技者は、当然、別の種類の特別なことが発生したと考えるので、制御内容を簡単に保ったまま、遊技に変化を付けることが可能となる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上記実施例では、フリーズ状態の開始契機をウェイト時間の経過時としたが
、フリーズ状態の開始契機はウェイト時間経過時に限らず、ベット操作が行われてから所定時間(例えば3秒)経過後であったり、メダル投入確認処理が行われてから所定時間(例えば3秒)経過後であったり、スタートレバー操作が行われてから所定時間(例えば3秒)経過後であったり、回動の回転が開始されてから所定時間(例えば3秒)経過後であったりと、遊技者が認知し難い契機であれば様々な態様で実施することができる。また、所定時間の計時中は、ウェイト期間と同様に各種遊技者操作を受け付け可能な状態で遊技機を制御することで、上記実施例と同様の効果を奏することができる。