以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。
本実施形態1の調湿装置(10)は、本発明に係る調湿装置(10)である。この調湿装置(10)は、吸着剤を用いて室内の湿度を調節するように構成されている。この調湿装置(10)は、室内へ供給される供給空気(SA)に吸着剤から脱離した水分を付与する加湿運転を行う。加湿運転では、室外へ排出される排出空気(EA)に含まれていた水分を吸着剤に吸着させて、その水分を供給空気(SA)に付与する。また、この調湿装置(10)は、供給空気(SA)中の水分を吸着剤に吸着させる除湿運転を行う。除湿運転では、供給空気(SA)中の水分を吸着した吸着剤を排出空気(EA)に接触させることによって、吸着剤を再生する。
〈調湿装置の構成〉
調湿装置(10)は、図1に示すように、箱状のケーシング(20)と冷媒回路(50)と熱搬送回路(15)とを備えている。冷媒回路(50)及び熱搬送回路(15)の詳細は後述する。なお、図1は、便宜上、冷媒回路(50)及び熱搬送回路(15)がケーシング(20)に収容されているように記載されていないが、実際は、冷媒回路(50)及び熱搬送回路(15)はケーシング(20)に収容されている。
ケーシング(20)は、やや扁平で高さが比較的低い直方体状に形成されている。ケーシング(20)には、室外から空気を吸い込むための外気吸込口(24)と、室内から空気を吸い込むための内気吸込口(23)と、室内へ空気を供給するための給気口(22)と、室外へ空気を排出するための排気口(21)とが形成されている。外気吸込口(24)の内側には、外気用フィルタが設置され、内気吸込口(23)の内側には、内気用フィルタが設置されている(図示省略)。
ケーシング(20)内は、複数の仕切板(71-75)によって、内気吸込口(23)を通じて室内に連通する内気側通路(32)と、外気吸込口(24)を通じて室外に連通する外気側通路(34)と、給気口(22)を通じて室内に連通する給気側通路(31)と、排気口(21)を通じて室外に連通する排気側通路(33)と、後述する第1吸着熱交換器(51)が配置された第1熱交換器室(37)と、後述する第2吸着熱交換器(52)が配置された第2熱交換器室(38)とが形成されている。
第1熱交換器室(37)は、外気側通路(34)と給気側通路(31)との間に形成されている。また、第1熱交換器室(37)は、第2熱交換器室(38)の隣りに形成されている。第1熱交換器室(37)と外気側通路(34)との間は、第1上流側仕切板(71)によって区画されている。第1熱交換器室(37)と給気側通路(31)との間は、第1下流側仕切板(72)によって区画されている。第1熱交換器室(37)と第2熱交換器室(38)との間は、中央仕切板(73)によって区画されている。第1上流側仕切板(71)には、第1対向流用ダンパ(41)と第1交叉流用ダンパ(45)とが設けられている。また、第1下流側仕切板(72)には、第2対向流用ダンパ(42)と第2交叉流用ダンパ(46)とが設けられている。
第2熱交換器室(38)は、内気側通路(32)と排気側通路(33)との間に形成されている。第2熱交換器室(38)と内気側通路(32)との間は、第2上流側仕切板(74)によって区画されている。第2熱交換器室(38)と排気側通路(33)との間は、第2下流側仕切板(75)によって区画されている。第2上流側仕切板(74)には、第3対向流用ダンパ(43)と第3交叉流用ダンパ(47)とが設けられている。また、第2下流側仕切板(75)には、第4対向流用ダンパ(44)と第4交叉流用ダンパ(48)とが設けられている。
各対向流用ダンパ(41-44)及び各交叉流用ダンパ(45-48)は、横長の長方形状の開口を有する開閉式のダンパである。第1交叉流用ダンパ(45)には、その開口を排気側通路(33)に連通させる第1交叉流ダクト(11)が接続されている。第2交叉流用ダンパ(46)には、その開口を内気側通路(32)に連通させる第2交叉流ダクト(12)が接続されている。第3交叉流用ダンパ(47)には、その開口を給気側通路(31)に連通させる第3交叉流ダクト(13)が接続されている。第4交叉流用ダンパ(48)には、その開口を外気側通路(34)に連通させる第4交叉流ダクト(14)が接続されている。
給気側通路(31)には、給気側通路(31)に流入した空気を給気口(22)から室内へ吹き出す給気ファン(26)が設けられている。また、排気側通路(33)には、排気側通路(33)に流入した空気を排気口(21)から室外へ吹き出す排気ファン(25)が設けられている。給気ファン(26)及び排気ファン(25)は、何れも遠心型の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)である。給気ファン(26)及び排気ファン(25)は、インバータ制御によってモータの回転速度を変更することによって吹出風量を変更することができるように構成されている。
本実施形態1の調湿装置(10)では、給気ファン(26)及び排気ファン(25)の運転中のケーシング(20)内の空気の流れの状態が、全ての対向流用ダンパ(41-44)を開状態に設定して全ての交叉流用ダンパ(45-48)を閉状態に設定する対向流状態と、全ての対向流用ダンパ(41-44)を閉状態に設定して全ての交叉流用ダンパ(45-48)を開状態に設定する交叉流状態とに切り換えられる。
対向流状態では、室内へ供給される供給空気(SA)が、外気吸込口(24)を通じて外気側通路(34)に取り込まれ、第1対向流用ダンパ(41)を通じて第1熱交換器室(37)に流入する。そして、第1熱交換器室(37)に流入した供給空気(SA)は、第1吸着熱交換器(51)を通過した後に、第2対向流用ダンパ(42)を通じて給気側通路(31)に流入し、給気口(22)を通じて室内へ吹き出される。また、対向流状態では、室外へ排出される排出空気(EA)が、内気吸込口(23)を通じて内気側通路(32)に取り込まれ、第3対向流用ダンパ(43)を通じて第2熱交換器室(38)に流入する。そして、第2熱交換器室(38)に流入した排出空気(EA)は、第2吸着熱交換器(52)を通過した後に、第4対向流用ダンパ(44)を通じて排気側通路(33)に流入し、排気口(21)を通じて室外へ吹き出される。このように、対向流状態では、供給空気(SA)と排出空気(EA)のうち供給空気(SA)が、第1吸着熱交換器(51)を通過し、排出空気(EA)が第2吸着熱交換器(52)を通過する。
一方、交叉流状態では、室内へ供給される供給空気(SA)が、外気吸込口(24)を通じて外気側通路(34)に取り込まれ、第4交叉流ダクト(14)及び第4交叉流用ダンパ(48)を通じて、第2熱交換器室(38)に流入する。そして、第2熱交換器室(38)に流入した供給空気(SA)は、第2吸着熱交換器(52)を通過した後に、第3交叉流用ダンパ(47)及び第3交叉流ダクト(13)を通じて給気側通路(31)に流入し、給気口(22)を通じて室内へ吹き出される。また、交叉流状態では、室外へ排出される排出空気(EA)が、内気吸込口(23)を通じて内気側通路(32)に取り込まれ、第2交叉流ダクト(12)及び第2交叉流用ダンパ(46)を通じて、第1熱交換器室(37)に流入する。そして、第1熱交換器室(37)に流入した排出空気(EA)は、第1吸着熱交換器(51)を通過した後に、第1交叉流用ダンパ(45)及び第1交叉流ダクト(11)を通じて排気側通路(33)に流入し、排気口(21)を通じて室外へ吹き出される。このように、交叉流状態では、供給空気(SA)と排出空気(EA)のうち供給空気(SA)が、第2吸着熱交換器(52)を通過し、排出空気(EA)が第1吸着熱交換器(51)を通過する。
調湿装置(10)には、その運転を制御するためのコントローラが設けられている(図示省略)。コントローラは、冷媒回路(50)の制御と、各ファン(25,26)の制御と、各ダンパ(41-48)の制御を行うように構成されている。コントローラには、使用者がリモコン等によって設定した設定温度及び設定湿度が入力されている。
また、調湿装置(10)には、室内の温度を検出するための室内温度センサと、室内の湿度を検出するための室内湿度センサと、室外の温度を検出するための室外温度センサと、室外の湿度を検出するための室外湿度センサとが設けられている(図示省略)。室内温度センサは、内気吸込口(23)から内気側通路(32)に流入する排出空気(EA)の温度を検出する。室内湿度センサは、内気吸込口(23)から内気側通路(32)に流入する排出空気(EA)の湿度を検出する。室外温度センサは、外気吸込口(24)から外気側通路(34)に流入する供給空気(SA)の温度を検出する。室外湿度センサは、外気吸込口(24)から外気側通路(34)に流入する供給空気(SA)の湿度を検出する。内気湿度センサや外気湿度センサで検出される湿度は、絶対湿度と相対湿度とのいずれであっても良い。
また、調湿装置(10)には、給気側通路(31)に流入する供給空気(SA)の温度を検出する給気側温度センサが設けられている(図示省略)。給気側温度センサは、対向流状態では、第1熱交換器室(37)から給気側通路(31)に流入する供給空気(SA)の温度を検出し、交叉流状態では、第2熱交換器室(38)から給気側通路(31)に流入する供給空気(SA)の温度を検出する。給気側温度センサは、後述する給気側熱交換器(16)に流入する前の空気の温度を検出する。
〈冷媒回路の構成〉
続いて、冷媒回路(50)の構成について説明する。図1に示すように、冷媒回路(50)は、圧縮機(53)と膨張弁(55)と第1吸着熱交換器(51)と第2吸着熱交換器(52)と四路切換弁(54)とが設けられた閉回路である。この冷媒回路(50)は、充填された冷媒(例えばフロン冷媒)を循環させることによって、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。
各吸着熱交換器(51,52)は、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器の表面にゼオライト等の吸着剤を担持させたものであって、全体として長方形の厚板状あるいは扁平な直方体状に形成されている。各吸着熱交換器(51,52)は、その前面及び背面が上流側仕切板(71,74)及び下流側仕切板(72,75)と平行になる姿勢で、熱交換器室(37,38)内に立設されている。2つの吸着熱交換器(51,52)は、供給空気(SA)及び排出空気(EA)に接触する吸着剤が設けられた調湿手段(51,52)を構成している。
圧縮機(53)は、圧縮機モータの回転速度が可変(即ち、容量が可変)なインバータ式の圧縮機により構成されている。また、圧縮機(53)は、固定スクロールと可動スクロールとが噛み合わされて、可動スクロールが固定スクロールに対して偏心回転して冷媒を圧縮するスクロール式の圧縮機により構成されている。また、膨張弁(55)は、開度可変の電子膨張弁により構成されている。
冷媒回路(50)では、圧縮機(53)の吐出側が、四路切換弁(54)の第1のポートに接続され、圧縮機(53)の吸入側が、四路切換弁(54)の第2のポートに接続されている。また、第1吸着熱交換器(51)と膨張弁(55)と第2吸着熱交換器(52)とが、四路切換弁(54)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に接続されている。
四路切換弁(54)は、第1のポートと第3のポートが連通して第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通して第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換え可能となっている。四路切換弁(54)が切り換えられると、冷媒回路(50)では冷媒の循環方向が反転する。
冷媒回路(50)では、四路切換弁(54)が第1状態に設定されると、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器として動作して第2吸着熱交換器(52)が蒸発器として動作する。その結果、調湿手段(51,52)の一部である第1吸着熱交換器(51)の吸着剤が加熱され、調湿手段(51,52)の別の一部である第2吸着熱交換器(52)の吸着剤が冷却される。一方、四路切換弁(54)が第2状態に設定されると、第2吸着熱交換器(52)が凝縮器として動作して第1吸着熱交換器(51)が蒸発器として動作する。その結果、調湿手段(51,52)の一部である第2吸着熱交換器(52)の吸着剤が加熱され、調湿手段(51,52)の別の一部である第1吸着熱交換器(51)の吸着剤が冷却される。冷媒回路(50)は、調湿手段(51,52)に設けられた吸着剤のうちの一部の吸着剤を加熱すると共に、調湿手段(51,52)に設けられた吸着剤のうちの別の一部の吸着剤を冷却する熱源手段(50)を構成している。
〈熱搬送回路の構成〉
続いて、熱搬送回路(15)の構成について説明する。図1に示すように、熱搬送回路(15)は、給気側熱交換器(16)と排気側熱交換器(17)と制御弁(18)とが設けられた閉回路である。熱搬送回路(15)では、給気側熱交換器(16)と排気側熱交換器(17)との間を冷媒が循環する。なお、熱搬送回路(15)には、熱媒体として、熱搬送回路(15)内で相変化する冷媒が充填されている。
給気側熱交換器(16)は、給気側通路(31)に配置されている。給気側熱交換器(16)は、給気側通路(31)に流入した供給空気(SA)と熱搬送回路(15)の冷媒とを熱交換させるためのものである。給気側熱交換器(16)は、例えばクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器により構成されている。給気側通路(31)では、流入した供給空気(SA)が、給気側熱交換器(16)を通過した後に、給気ファン(26)に吸い込まれて室内へ吹き出される。
一方、排気側熱交換器(17)は、排気側通路(33)に配置されている。排気側熱交換器(17)は、排気側通路(33)に流入した排出空気(EA)と熱搬送回路(15)の冷媒とを熱交換させるためのものである。排気側熱交換器(17)は、例えばクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器により構成されている。排気側通路(33)では、流入した排出空気(EA)が、排気側熱交換器(17)を通過した後に、排気ファン(25)に吸い込まれて室外へ吹き出される。なお、排気側熱交換器(17)は、給気側熱交換器(16)と同じ高さに設置されている。
制御弁(18)は、開閉自在の電磁弁により構成されている。制御弁(18)は、後述するコントローラの指令に応じて、開閉される。なお、制御弁(18)に、開度可変の電子膨張弁を用いることも可能である。
−運転動作−
調湿装置(10)の運転動作について説明する。調湿装置(10)は、除湿運転と加湿運転とを選択的に行う。
除湿運転や加湿運転では、上記の各センサで検出した外気温度、内気温度、外気湿度、内気湿度に基づいて、調湿装置(10)の調湿能力が調節される。なお、本実施形態では、これらの外気温湿度、及び内気温湿度に基づいて圧縮機(53)の運転周波数が調節される。これにより、冷媒回路(50)での冷媒循環量が調節され、吸着熱交換器(51,52)の吸着能力や再生能力が変更される。
〈除湿運転〉
除湿運転では、第1除湿動作と第2除湿動作が所定の時間間隔(3分間隔)で交互に繰り返される。つまり、各除湿動作の1回毎の動作時間Δtは、3分に設定されている。
先ず、第1除湿動作について説明する。第1除湿動作では、図2に示すように、四路切換弁(54)が第1状態に設定される。また、第1除湿動作では、ケーシング(20)内の空気の流れの状態が交叉流状態になるように、全ての対向流用ダンパ(41-44)が閉状態に設定されて全ての交叉流用ダンパ(45-48)が開状態に設定される。
第1除湿動作中は、室内へ供給される供給空気(SA)が、外気吸込口(24)を通じて外気側通路(34)に取り込まれ、蒸発器として動作している第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、供給空気(SA)中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(52)では、供給空気(SA)が除湿されると共に冷却される。第2吸着熱交換器(52)を通過した供給空気(SA)は、給気側通路(31)へ流入し、給気口(22)から室内へ供給される。一方、室外へ排出される排出空気(EA)は、内気吸込口(23)を通じて内気側通路(32)に取り込まれ、凝縮器として動作している第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が排出空気(EA)に付与される。第1吸着熱交換器(51)では、排出空気(EA)が加湿されると共に加熱される。第1吸着熱交換器(51)を通過した排出空気(EA)は、排気側通路(33)へ流入し、排気口(21)から室外へ排出される。
次に、第2除湿動作について説明する。図3に示すように、四路切換弁(54)が第2状態に設定される。また、第2除湿動作では、ケーシング(20)内の空気の流れの状態が対向流状態になるように、全ての対向流用ダンパ(41-44)が開状態に設定されて全ての交叉流用ダンパ(45-48)が閉状態に設定される。
第2除湿動作中は、供給空気(SA)が、外気吸込口(24)を通じて外気側通路(34)に取り込まれ、蒸発器として動作している第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、供給空気(SA)中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(51)では、供給空気(SA)が除湿されると共に冷却される。第1吸着熱交換器(51)を通過した供給空気(SA)は、給気側通路(31)へ流入し、給気口(22)から室内へ供給される。一方、排出空気(EA)は、内気吸込口(23)を通じて内気側通路(32)に取り込まれ、凝縮器として動作している第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が排出空気(EA)に付与される。第2吸着熱交換器(52)では、排出空気(EA)が加湿されると共に加熱される。第2吸着熱交換器(52)を通過した排出空気(EA)は、排気側通路(33)へ流入し、排気口(21)から室外へ排出される。
このように、第1除湿動作と第2除湿動作の何れにおいても、調湿手段(51,52)の吸着剤のうち冷媒回路(50)によって冷却された吸着剤に供給空気(SA)中の水分が吸着されると同時に、調湿手段(51,52)の吸着剤のうち冷媒回路(50)によって加熱された吸着剤から脱離した水分が排出空気(EA)に付与される。第1除湿動作中であっても第2除湿動作中であっても、調湿手段(51,52)によって除湿された空気が室内へ供給される。
〈加湿運転〉
加湿運転では、第1加湿動作と第2加湿動作が所定の時間間隔(4分間隔)で交互に繰り返される。つまり、各加湿動作の1回毎の動作時間Δtは、4分に設定されている。
先ず、第1加湿動作について説明する。第1加湿動作では、図4に示すように、四路切換弁(54)が第1状態に設定される。また、第1加湿動作では、ケーシング(20)内の空気の流れの状態が対向流状態になるように、全ての対向流用ダンパ(41-44)が開状態に設定されて全ての交叉流用ダンパ(45-48)が閉状態に設定される。
第1加湿動作中は、供給空気(SA)が、外気吸込口(24)を通じて外気側通路(34)に取り込まれ、凝縮器として動作している第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が供給空気(SA)に付与される。第1吸着熱交換器(51)では、供給空気(SA)が加湿されると共に加熱される。第1吸着熱交換器(51)を通過した供給空気(SA)は、給気側通路(31)へ流入し、給気口(22)から室内へ供給される。一方、排出空気(EA)は、内気吸込口(23)を通じて内気側通路(32)に取り込まれ、蒸発器として動作している第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、排出空気(EA)中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(52)では、排出空気(EA)が除湿されると共に冷却される。第2吸着熱交換器(52)を通過した排出空気(EA)は、排気側通路(33)へ流入し、排気口(21)から室外へ排出される。
次に、第2加湿動作について説明する。図5に示すように、四路切換弁(54)が第2状態に設定される。また、第2加湿動作では、ケーシング(20)内の空気の流れの状態が交叉流状態になるように、全ての対向流用ダンパ(41-44)が閉状態に設定されて全ての交叉流用ダンパ(45-48)が開状態に設定される。
第2加湿動作中は、供給空気(SA)が、外気吸込口(24)を通じて外気側通路(34)に取り込まれ、凝縮器として動作している第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が供給空気(SA)に付与される。第2吸着熱交換器(52)では、供給空気(SA)が加湿されると共に加熱される。第2吸着熱交換器(52)を通過した供給空気(SA)は、給気側通路(31)へ流入し、給気口(22)から室内へ供給される。一方、排出空気(EA)は、内気吸込口(23)を通じて内気側通路(32)に取り込まれ、蒸発器として動作している第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、排出空気(EA)中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(51)では、排出空気(EA)が除湿されると共に冷却される。第1吸着熱交換器(51)を通過した排出空気(EA)は、排気側通路(33)へ流入し、排気口(21)から室外へ排出される。
このように、第1加湿動作と第2加湿動作の何れにおいても、調湿手段(51,52)の吸着剤のうち冷媒回路(50)によって加熱された吸着剤から脱離した水分が供給空気(SA)に付与されると同時に、調湿手段(51,52)の吸着剤のうち冷媒回路(50)によって冷却された吸着剤に排出空気(EA)中の水分が吸着される。第1加湿動作中であっても第2加湿動作中であっても、調湿手段(51,52)によって加湿された空気が室内へ供給される。
ここで、供給空気(SA)は、冷媒によって加熱された吸着熱交換器(51,52)を通過する際に、湿度だけでなく温度も上昇する。このため、吸着熱交換器(51,52)で加熱された供給空気(SA)がそのまま室内へ供給されると、室内の温度が必要以上に高くなる場合がある。例えば、冬場の内部負荷の高い室内に、吸着熱交換器(51,52)で加熱された供給空気(SA)がそのまま室内へ供給されると、室内の温度が設定温度を超えて上昇する場合がある。
本実施形態では、室内の温度が必要以上に高くなることを抑制するために、熱搬送回路(15)が熱搬送動作を実行可能になっている。熱搬送動作は、吸着熱交換器(51,52)で加熱された供給空気(SA)の温度が室内の設定温度よりも高くなる場合に行われる。コントローラは、給気側温度センサの検出値が設定温度よりも高くなる場合に、制御弁(18)を閉状態から開状態へ切り換えて、熱搬送回路(15)に熱搬送動作を行わせる。コントローラは、給気側温度センサの検出値が設定温度以下の場合には、制御弁(18)を閉状態に設定している。
加湿運転中の熱搬送回路(15)では、吸着熱交換器(51,52)で加熱された約25℃の供給空気(SA)が通過する給気側熱交換器(16)と、吸着熱交換器(51,52)で冷却された約10℃の排出空気(EA)が通過する排気側熱交換器(17)との間に、冷媒の温度差が生じている状態になっている。凝縮した冷媒が溜まっている排気側熱交換器(17)と、多く冷媒が蒸発している給気側熱交換器(16)との間には、ヘッド差が生じている。このため、制御弁(18)が開状態に設定されると、排気側熱交換器(17)の下部から流出した液冷媒が給気側熱交換器(16)に流入し、給気側熱交換器(16)の上部から流出したガス冷媒が排気側熱交換器(17)に流入する。つまり、熱搬送回路(15)では、排気側熱交換器(17)で凝縮した冷媒が重力によって給気側熱交換器(16)へ流入し、給気側熱交換器(16)で蒸発したガス冷媒が排気側熱交換器(17)へ流入することによって、給気側熱交換器(16)と排気側熱交換器(17)との間を冷媒が自然循環する。
これにより、熱搬送回路(15)では、冷媒が給気側熱交換器(16)で供給空気(SA)から吸熱して排気側熱交換器(17)で排出空気(EA)に放熱するサイクルが行われる。給気側熱交換器(16)では、加湿に伴って加熱された供給空気(SA)が冷媒によって冷却される。供給空気(SA)の温度は、室内へ供給される前に低下する。一方、排気側熱交換器(17)では、除湿に伴って冷却された排出空気(EA)によって冷媒が冷却される。除湿に伴って冷却された排出空気(EA)の冷熱は、排気側熱交換器(17)を流通する冷媒に伝達されて回収される。熱搬送動作では、除湿に伴って冷却された排出空気(EA)から回収した冷熱によって、供給空気(SA)が冷却される。
−実施形態1の効果−
上記実施形態1では、室内へ供給される前の供給空気(SA)を冷却する熱搬送動作の際に、熱搬送回路(15)において、冷媒が供給空気(SA)を冷却して排出空気(EA)の冷熱を回収するサイクルが行われる。このため、供給空気(SA)を冷却するのに必要な冷熱を別途に作り出す場合に比べて、少ないエネルギーで供給空気(SA)を冷却することができる。従って、加湿運転中に室内の温度が必要以上に高くなることを少ないエネルギーで抑制することができる。
また、上記実施形態1では、排気側熱交換器(17)と給気側熱交換器(16)との間を冷媒が自然循環するので、冷媒を循環させるためにエネルギーが必要とならない。このため、さらに少ないエネルギーで供給空気を冷却することができる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。以下では、実施形態1と異なる点について説明する。
本実施形態2では、熱源手段(50)となる冷媒回路(50)が、熱搬送回路(15)を兼ねている。冷媒回路(50)は、図6に示すように、第1回路(61)と第2回路(62)とを備えている。
第1回路(61)には、圧縮機(53)と第1膨張弁(55)と第1吸着熱交換器(51)と第2吸着熱交換器(52)と四路切換弁(54)とが設けられた回路である。第1回路(61)は、上記実施形態1の冷媒回路(50)と同じ構成になっている。第1回路(61)では、2つの吸着熱交換器(51,52)のうち一方が凝縮器となって他方が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。本実施形態2では、第1膨張弁(55)が、放熱器(51,52)から蒸発器(51,52)へ向かう冷媒を減圧する減圧機構(55)を構成している。
第2回路(62)は、第1吸着熱交換器(51)と第1膨張弁(55)の間と、第1膨張弁(55)と第2吸着熱交換器(52)の間とを接続している。第2回路(62)には、給気側熱交換器(16)及び排気側熱交換器(17)が接続されている。第2回路(62)は、第1回路(61)の一部と共に、給気側熱交換器(16)と排気側熱交換器(17)との間を冷媒が循環する回路を構成している。この回路では、熱搬送動作の際に冷媒が供給空気(SA)を冷却して排出空気(EA)の冷熱を回収するサイクルが行われる。
具体的に、第2回路(62)には、4つの逆止弁(CV-1,CV-2,CV-3,CV-4)がブリッジ状に接続されたブリッジ回路(65)が設けられている。ブリッジ回路(65)では、第1逆止弁(CV-1)の流入側及び第2逆止弁(CV-2)の流出側となる第1接続部(65a)に、第1回路(61)における第1吸着熱交換器(51)と第1膨張弁(55)との間から延びる第1配管(62a)が接続されている。第3逆止弁(CV-3)の流入側及び第4逆止弁(CV-4)の流出側となる第2接続部(65b)には、第1回路(61)における第2吸着熱交換器(52)と第1膨張弁(55)との間から延びる第2配管(62b)が接続されている。第1逆止弁(CV-1)の流出側及び第3逆止弁(CV-3)の流出側となる第3接続部(65c)と、第2逆止弁(CV-2)の流入側及び第4逆止弁(CV-4)の流入側となる第4接続部(65d)との間は、第3配管(62c)によって接続されている。第3配管(62c)には、第3接続部(65c)から第4接続部(65d)へ向かって、給気側熱交換器(16)と排気側熱交換器(17)とが順番に接続されている。
第1配管(62a)には、開度可変の電子膨張弁により構成された第2膨張弁(63)が設けられている。また、第2配管(62b)には、開度可変の電子膨張弁により構成された第3膨張弁(64)が設けられている。
−運転動作−
本実施形態2の調湿装置(10)は、上記実施形態1と同様に、除湿運転と加湿運転とを選択的に行う。除湿運転時の調湿装置(10)の動作と、加湿運転時の調湿装置(10)の動作とは、基本的には、上記実施形態1と同じである。但し、加湿運転中の熱搬送動作が、上記実施形態1とは異なっている。以下では、熱搬送動作について説明する。
コントローラは、給気側温度センサの検出値が設定温度よりも高くなる場合に、第2膨張弁(63)及び第3膨張弁(64)を共に閉状態から開状態へ切り換えて、冷媒回路(50)に熱搬送動作を行わせる。コントローラは、給気側温度センサの検出値が設定温度以下の場合には、第2膨張弁(63)及び第3膨張弁(64)を共に制御弁(18)を閉状態に設定している。
第2膨張弁(63)及び第3膨張弁(64)が開状態に設定されると、第2回路(62)には、第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)のうち凝縮器として動作している方の吸着熱交換器(51,52)で放熱した冷媒の一部が流入する。第2回路(62)では、第2膨張弁(63)及び第3膨張弁(64)の一方で減圧された冷媒が、給気側熱交換器(16)で供給空気(SA)から吸熱した後に、排気側熱交換器(17)で排出空気(EA)に放熱し、第2膨張弁(63)及び第3膨張弁(64)の他方で減圧される。第2回路(62)を通過した冷媒は、第1回路(61)に戻って、第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)のうち蒸発器として動作している方の吸着熱交換器(51,52)を通過し、圧縮機(53)に吸入される。そして、圧縮機(53)から吐出された冷媒は、凝縮器として動作している吸着熱交換器(51,52)を再び通過して、その一部が第2回路(62)に流入する。
このように、冷媒回路(50)では、第1回路(61)の一部と第2回路(62)により、給気側熱交換器(16)と排気側熱交換器(17)の間を冷媒が循環する回路が構成される。そして、この回路では、冷媒が給気側熱交換器(16)で供給空気(SA)から吸熱して排気側熱交換器(17)で排出空気(EA)に放熱するサイクルが行われる。
具体的に、第1加湿動作中は、図6に示すように、凝縮器として動作している第1吸着熱交換器(51)で放熱した冷媒の一部が、第2回路(62)に流入し、上流側減圧機構(63)を構成する第2膨張弁(63)で冷凍サイクルにおける高圧圧力と低圧圧力との間の中間圧力に減圧される。第2膨張弁(63)で減圧された冷媒は、第1逆止弁(CV-1)を通過して、給気側熱交換器(16)に流入する。給気側熱交換器(16)では、流入した冷媒が供給空気(SA)から吸熱し、加湿に伴って加熱された供給空気(SA)が冷媒によって冷却される。その結果、供給空気(SA)の温度は、室内へ供給される前に低下する。
給気側熱交換器(16)を通過した冷媒は、排気側熱交換器(17)に流入する。排気側熱交換器(17)では、冷媒が排出空気(EA)に放熱する。冷媒は、除湿に伴って冷却された排出空気(EA)によって冷却される。その結果、除湿に伴って冷却された排出空気(EA)の冷熱が、排気側熱交換器(17)を流通する冷媒に伝達されて回収される。排気側熱交換器(17)を通過した冷媒は、第4逆止弁(CV-4)を通過した後に、下流側減圧機構(64)を構成する第3膨張弁(64)で冷凍サイクルにおける低圧圧力に減圧され、第1回路(61)に流入する。第1回路(61)では、第2回路(62)を通過した冷媒と、第1膨張弁(55)で減圧された冷媒とが合流する。合流した冷媒は、蒸発器として動作している第2吸着熱交換器(52)で蒸発する。
一方、第2加湿動作中は、図7に示すように、凝縮器として動作している第2吸着熱交換器(52)で放熱した冷媒の一部が、第2回路(62)に流入し、上流側減圧機構(64)を構成する第3膨張弁(64)で冷凍サイクルにおける中間圧力に減圧される。第3膨張弁(64)で減圧された冷媒は、第3逆止弁(CV-3)を通過して、給気側熱交換器(16)に流入する。給気側熱交換器(16)では、流入した冷媒が供給空気(SA)から吸熱し、加湿に伴って加熱された供給空気(SA)が冷媒によって冷却される。その結果、供給空気(SA)の温度は、室内へ供給される前に低下する。
給気側熱交換器(16)を通過した冷媒は、排気側熱交換器(17)に流入する。排気側熱交換器(17)では、冷媒が排出空気(EA)に放熱する。冷媒は、除湿に伴って冷却された排出空気(EA)によって冷却される。その結果、除湿に伴って冷却された排出空気(EA)の冷熱が、排気側熱交換器(17)を流通する冷媒に伝達されて回収される。排気側熱交換器(17)を通過した冷媒は、第2逆止弁(CV-2)を通過した後に、下流側減圧機構(63)を構成する第2膨張弁(63)で冷凍サイクルにおける低圧圧力に減圧され、第1回路(61)に流入する。第1回路(61)では、第2回路(62)を通過した冷媒と、第1膨張弁(55)で減圧された冷媒とが合流する。合流した冷媒は、蒸発器として動作している第1吸着熱交換器(51)で蒸発する。
−実施形態2の効果−
上記実施形態2では、室内へ供給される前の供給空気(SA)を冷却する熱搬送動作の際に、冷媒回路(50)において、冷媒が供給空気(SA)を冷却して排出空気(EA)の冷熱を回収するサイクルが行われる。このため、供給空気(SA)を冷却するのに必要な冷熱を別途に作り出す場合に比べて、少ないエネルギーで供給空気(SA)を冷却することができる。従って、加湿運転中に室内の温度が必要以上に高くなることを少ないエネルギーで抑制することができる。
また、上記実施形態2では、吸着剤において水分の吸着と脱離を行わせるための第1回路(61)と、熱搬送動作の際に冷媒が供給空気(SA)を冷却して排出空気(EA)の冷熱を回収するサイクルを行うための第2回路(62)とが、1つの冷媒回路(50)に設けられている。上記実施形態2によれば、吸着剤において水分の吸着と脱離を行わせるための回路と、熱搬送動作の際に冷媒が供給空気(SA)を冷却して排出空気(EA)の冷熱を回収するサイクルを行うための回路とを別々に設けることなく、加湿運転中の供給空気(SA)の冷却を少ないエネルギーで行うことができる調湿装置(10)を構成することができる。
また、上記実施形態2では、第2回路(62)に流入した冷媒の温度が給気側熱交換器(16)で上昇して排気側熱交換器(17)で低下するので、第2回路(62)を通過した冷媒と、減圧機構(55)を通過した第1回路(61)の冷媒との温度差が、比較的小さくなる。ここで、仮に、第2回路(62)に排気側熱交換器(17)が設けられていない場合、つまり、排出空気(EA)から冷熱を回収しない場合には、第2回路(62)を通過した冷媒の温度が、減圧機構(55)を通過した第1回路(61)の冷媒よりも高くなる。このため、熱搬送動作の開始に伴って、蒸発器として動作している方の吸着熱交換器(51,52)へ流入する冷媒の温度が上昇する。その結果、吸着熱交換器(51,52)の吸着剤に吸着される水分量が低下し、供給空気への加湿量が減少してしまう。これに対して、上記実施形態2では、第2回路(62)を通過した冷媒と、減圧機構(55)を通過した第1回路(61)の冷媒との温度差が比較的小さくなるので、熱搬送動作の開始に伴って、蒸発器として動作している方の吸着熱交換器(51,52)へ流入する冷媒の温度がそれほど変化しない。従って、供給空気への加湿量を保ちつつ、室内へ供給される前に供給空気を冷却することができる。
また、上記実施形態2では、第2回路(62)に流入した冷媒が、給気側熱交換器(16)と排気側熱交換器(17)のうち給気側熱交換器(16)から流通する。ここで、第2回路(62)に流入した冷媒が排気側熱交換器(17)から流通する場合は、給気側熱交換器(16)に供給される冷媒の温度が、排気側熱交換器(17)で低下する。このため、給気側熱交換器(16)で冷却された供給空気(SA)の温度が必要以上に低くなり、放熱器として動作している方の吸着熱交換器(51,52)によって加湿された供給空気(SA)中の水分の多くが給気側熱交換器(16)で結露するおそれがある。このような場合、室内の加湿を十分に行うことができなくなってしまう。これに対して、上記実施形態2では、第2回路(62)に流入した冷媒が、排気側熱交換器(17)で冷却される前に給気側熱交換器(16)に流入する。従って、熱搬送動作の際に、放熱器として動作している方の吸着熱交換器(51,52)によって加湿された供給空気(SA)中の水分が給気側熱交換器(16)で結露することを抑制することができる。
また、上記実施形態2では、給気側熱交換器(16)に流入する冷媒の流量や温度が、上流側減圧機構(63,64)によって調節される。つまり、給気側熱交換器(16)で発揮される冷媒の冷却能力は、上流側減圧機構(63,64)によって調節される。給気側熱交換器(16)で発揮される冷媒の冷却能力が変化すると、給気側熱交換器(16)で冷却された供給空気(SA)の温度が変化する。従って、熱搬送動作の際に上流側減圧機構(63,64)を調節することで、給気側熱交換器(16)で冷却された供給空気(SA)の温度が必要以上に低くなることを抑制することができる。
また、上記実施形態2では、給気側熱交換器(16)及び排気側熱交換器(17)を流通する冷媒の圧力が、冷凍サイクルにおける高圧圧力と低圧圧力との間の中間圧力になるようにしている。このため、給気側熱交換器(16)及び排気側熱交換器(17)を流通する冷媒の圧力が低圧圧力になる場合に比べて、給気側熱交換器(16)及び排気側熱交換器(17)を流通する冷媒の温度が高くなるので、給気側熱交換器(16)で冷却された供給空気(SA)の温度が必要以上に低くなることを抑制することができる。
−実施形態2の変形例−
上記実施形態2について、コントローラが、熱搬送動作中に、給気側熱交換器(16)で供給空気(SA)中の水分が結露することを防止又は抑制するために、第2膨張弁(63)及び第3膨張弁(64)の少なくとも一方の開度を調節することによって、第2回路(62)の冷媒流量を制御するように構成されていてもよい。また、コントローラが、熱搬送動作中に、給気側熱交換器(16)で供給空気(SA)中の水分が結露することを防止又は抑制するために、第2膨張弁(63)の開度を調節することによって、給気側熱交換器(16)に流入する冷媒の温度を制御するように構成されていてもよい。
《その他の実施形態》
上記各実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態について、調湿手段が、表面に吸着剤が担持された吸着ロータにより構成されていてもよい。吸着ロータは、円板状に形成され、その厚み方向へ空気が通過可能になっている。吸着ロータは、供給空気(SA)が流通する給気通路と、排出空気(EA)が流通する排気通路とに跨って設けられている。加湿運転中は、吸着ロータを回転させる。加湿運転中の吸着ロータでは、給気通路を通過する部分を、熱源手段(50)となる冷媒回路(50)の凝縮器によって加熱された供給空気(SA)が通過し、排気通路を通過する部分を、冷媒回路(50)の蒸発器によって冷却された排出空気(EA)が通過する。
また、上記実施形態について、調湿手段を構成する2つの吸着素子が、熱源手段(50)となる冷媒回路(50)の凝縮器及び蒸発器と別体であってもよい。2つの吸着素子は、共に、吸着剤が表面に担持されて、その厚み方向へ空気が通過可能な板状の部材により構成されている。加湿運転中は、第1吸着素子を凝縮器で加熱された供給空気(SA)が通過すると同時に、第2吸着素子を蒸発器で冷却された排出空気(EA)が通過する第1加湿動作と、第2吸着素子を凝縮器で加熱された供給空気(SA)が通過すると同時に、第1吸着素子を蒸発器で冷却された排出空気(EA)が通過する第2加湿動作とが交互に繰り返される。
また、上記実施形態について、冷媒回路(50)が、冷凍サイクルの高圧が冷媒の臨界圧力よりも高い値に設定される超臨界サイクルを行うように構成されていてもよい。この場合、冷凍サイクルの高圧が冷媒の臨界圧力よりも低い値に設定される通常の冷凍サイクルでは凝縮器となる熱交換器が、ガスクーラとして動作する。冷媒としては、例えば二酸化炭素が用いられる。
また、上記実施形態について、熱源手段(50)が、調湿手段(51,52)に設けられた吸着剤のうちの一部の吸着剤を加熱する加熱装置と、調湿手段(51,52)に設けられた吸着剤のうちの別の一部の吸着剤を冷却する冷却装置とを備え、加熱装置と冷却装置とが別体になっていてもよい。