以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《参考技術1》
参考技術1について説明する。本参考技術は、湿度調節した空気を室内へ供給する調湿装置(10)である。
〈調湿装置の全体構成〉
上記調湿装置(10)の構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。尚、ここでの説明で用いる「上」「下」「右」「左」「前」「後」「手前」「奥」は、何れも本参考技術の調湿装置(10)を前面側から見た場合のものを意味している。
上記調湿装置(10)は、箱状のケーシング(11)を備えている。このケーシング(11)は、扁平な直方体状に形成された中空の本体部(12)と、本体部(12)よりも一回り小さい扁平な直方体状に形成された中空の膨出部(13)とを備えている。この膨出部(13)は、本体部(12)の下面に取り付けられており、本体部(12)の左右幅方向の中央部に配置されている。膨出部(13)の内側は1つの空間となっており、この膨出部(13)内の空間が連通路(25)を構成している。
なお、図1では、右手前側の側面がケーシング(11)の前面となり、左奥側の側面がケーシング(11)の背面となっている。また、図2では、下側の側面がケーシング(11)の前面となり、上側の側面がケーシング(11)の背面となっている。
上記ケーシング(11)の本体部(12)では、その前面に外気吸込口(14)及び排気口(16)が形成され、その背面に内気吸込口(15)及び給気口(17)が形成されている。本体部(12)の前面では、外気吸込口(14)が左下の隅角部に開口し、排気口(16)が右下の隅角部に開口している。一方、本体部(12)の背面では、内気吸込口(15)が左上の隅角部に開口し、給気口(17)が右上の隅角部に開口している。
上記本体部(12)の内部には、本体部(12)の右側面に沿って給気通路(24)と排気通路(23)とが形成されている。給気通路(24)と排気通路(23)は上下に重なるように形成されており、給気通路(24)は給気口(17)に、排気通路(23)は排気口(16)にそれぞれ連通している。給気通路(24)及び排気通路(23)は、それぞれ本体部(12)の前面から背面に亘って形成されている。
また、本体部(12)の内部には、本体部(12)の左側面に沿って内気通路(22)と外気通路(21)とが形成されている。内気通路(22)と外気通路(21)は上下に重なるように形成されており、内気通路(22)は内気吸込口(15)に、外気通路(21)は外気吸込口(14)にそれぞれ連通している。内気通路(22)及び外気通路(21)は、それぞれ本体部(12)の前面から背面に亘って形成されている。
上記本体部(12)の内部において、右側の給気通路(24)及び排気通路(23)と左側の内気通路(22)及び外気通路(21)とに挟まれた空間は、本体部(12)の前後方向へ3つの空間に仕切られている。この3つの空間は、最も手前側の空間が第1熱交換器室(31)を、その隣の空間が第2熱交換器室(32)を、最も奥側の空間が第3熱交換器室(33)をそれぞれ構成している。各熱交換器室(31,32,33)には、吸着熱交換器(81,82,83)が1つずつ設置されている。各吸着熱交換器(81,82,83)は、厚板状もしくは扁平な直方体状に形成されており、その厚み方向へ空気が通過可能となっている。なお、吸着熱交換器(81,82,83)の詳細については、後述する。
各熱交換器室(31,32,33)において、吸着熱交換器(81,82,83)は、熱交換器室(31,32,33)の左右幅方向の中央部に立設され、熱交換器室(31,32,33)を前後方向へ横断するように設けられている。各熱交換器室(31,32,33)は、吸着熱交換器(81,82,83)によって左右に仕切られている。第1熱交換器室(31)では、第1吸着熱交換器(81)の右側が第1右側室(34)となり、その左側が第1左側室(35)となっている。第2熱交換器室(32)では、第2吸着熱交換器(82)の右側が第2右側室(36)となり、その左側が第2左側室(37)となっている。第3熱交換器室(33)では、第3吸着熱交換器(83)の右側が第3右側室(38)となり、その左側が第3左側室(39)となっている。
右側の給気通路(24)及び排気通路(23)と熱交換器室(31,32,33)とを仕切る仕切板には、6つのダンパ(41〜46)が設けられている。
この仕切板のうち第1熱交換器室(31)に臨む部分では、その上部に第1右上ダンパ(41)が、その下部に第1右下ダンパ(42)がそれぞれ設置されている。第1右上ダンパ(41)を開閉すると、給気通路(24)と第1熱交換器室(31)の間が断続される。第1右下ダンパ(42)を開閉すると、排気通路(23)と第1熱交換器室(31)の間が断続される。
また、この仕切板のうち第2熱交換器室(32)に臨む部分では、その上部に第2右上ダンパ(43)が、その下部に第2右下ダンパ(44)がそれぞれ設置されている。第2右上ダンパ(43)を開閉すると、給気通路(24)と第2熱交換器室(32)の間が断続される。第2右下ダンパ(44)を開閉すると、排気通路(23)と第2熱交換器室(32)の間が断続される。
また、この仕切板のうち第3熱交換器室(33)に臨む部分では、その上部に第3右上ダンパ(45)が、その下部に第3右下ダンパ(46)がそれぞれ設置されている。第3右上ダンパ(45)を開閉すると、給気通路(24)と第3熱交換器室(33)の間が断続される。第3右下ダンパ(46)を開閉すると、排気通路(23)と第3熱交換器室(33)の間が断続される。
左側の内気通路(22)及び外気通路(21)と熱交換器室(31,32,33)とを仕切る仕切板には、6つのダンパ(51〜56)が設けられている。
この仕切板のうち第1熱交換器室(31)に臨む部分では、その上部に第1左上ダンパ(51)が、その下部に第1左下ダンパ(52)がそれぞれ設置されている。第1左上ダンパ(51)を開閉すると、内気通路(22)と第1熱交換器室(31)の間が断続される。第1左下ダンパ(52)を開閉すると、外気通路(21)と第1熱交換器室(31)の間が断続される。
また、この仕切板のうち第2熱交換器室(32)に臨む部分では、その上部に第2左上ダンパ(53)が、その下部に第2左下ダンパ(54)がそれぞれ設置されている。第2左上ダンパ(53)を開閉すると、内気通路(22)と第2熱交換器室(32)の間が断続される。第2左下ダンパ(54)を開閉すると、外気通路(21)と第2熱交換器室(32)の間が断続される。
また、この仕切板のうち第3熱交換器室(33)に臨む部分では、その上部に第3左上ダンパ(55)が、その下部に第3左下ダンパ(56)がそれぞれ設置されている。第3左上ダンパ(55)を開閉すると、内気通路(22)と第3熱交換器室(33)の間が断続される。第3左下ダンパ(56)を開閉すると、外気通路(21)と第3熱交換器室(33)の間が断続される。
上記本体部(12)の底板のうち熱交換器室(31,32,33)に臨む部分には、6つのダンパ(61〜63,66〜68)が設けられている。
この底板のうち第1熱交換器室(31)に臨む部分では、第1吸着熱交換器(81)の右側に第1右底ダンパ(61)が、その左側に第1左底ダンパ(66)がそれぞれ設置されている。第1右底ダンパ(61)を開閉すると、第1右側室(34)と連通路(25)の間が断続される。第1左底ダンパ(66)を開閉すると、第1左側室(35)と連通路(25)の間が断続される。
また、この底板のうち第2熱交換器室(32)に臨む部分では、第2吸着熱交換器(82)の右側に第2右底ダンパ(62)が、その左側に第2左底ダンパ(67)がそれぞれ設置されている。第2右底ダンパ(62)を開閉すると、第2右側室(36)と連通路(25)の間が断続される。第2左底ダンパ(67)を開閉すると、第2左側室(37)と連通路(25)の間が断続される。
また、この底板のうち第3熱交換器室(33)に臨む部分では、第3吸着熱交換器(83)の右側に第3右底ダンパ(63)が、その左側に第3左底ダンパ(68)がそれぞれ設置されている。第3右底ダンパ(63)を開閉すると、第3右側室(38)と連通路(25)の間が断続される。第3左底ダンパ(68)を開閉すると、第3左側室(39)と連通路(25)の間が断続される。
上記本体部(12)には、図示しないが、給気ファンと排気ファンとが収納されている。給気ファンは、給気通路(24)における給気口(17)の近傍に配置されている。一方、排気ファンは、排気通路(23)における排気口(16)の近傍に配置されている。
〈冷媒回路の構成〉
上記調湿装置(10)は、冷媒回路(70)を備えている。この冷媒回路(70)は、冷媒が充填された閉回路であって、ケーシング(11)内に収納されている。
図3に示すように、上記冷媒回路(70)には、3つの吸着熱交換器(81,82,83)が接続されている。また、この冷媒回路(70)には、1つずつの圧縮機(71)及び膨張弁(72)と、3つの四方切換弁(76,77,78)とが接続されている。この膨張弁(72)は、冷媒の膨張機構を構成している。
上記冷媒回路(70)において、圧縮機(71)は、その吐出側が第1四方切換弁(76)の第1のポートに、その吸入側が第1四方切換弁(76)の第2のポートにそれぞれ接続されている。第1吸着熱交換器(81)は、その一端が第1四方切換弁(76)の第4のポートに、その他端が第2四方切換弁(77)の第2のポートにそれぞれ接続されている。第1四方切換弁(76)の第3のポートは、第2四方切換弁(77)の第1のポートに接続されている。第2吸着熱交換器(82)は、その一端が第2四方切換弁(77)の第3のポートに、その他端が第3四方切換弁(78)の第1のポートにそれぞれ接続されている。第2四方切換弁(77)の第4のポートは、第3四方切換弁(78)の第2のポートに接続されている。第3吸着熱交換器(83)は、その一端が第3四方切換弁(78)の第4のポートに、その他端が膨張弁(72)を介して第3四方切換弁(78)の第3のポートにそれぞれ接続されている。
上記3つの四方切換弁(76,77,78)は、それぞれ、第1のポートと第3のポートが連通して第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図3に実線で示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通して第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図3に破線で示す状態)とに切換可能となっている。
上記3つの吸着熱交換器(81,82,83)は、何れもいわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。つまり、これら各吸着熱交換器(81,82,83)は、銅製の伝熱管とアルミニウム製のフィンとで構成されており、伝熱管内を流れる冷媒とフィン間を通過する空気とを熱交換させる。また、各吸着熱交換器(81,82,83)では、空気側の表面であるフィン表面にゼオライト等の吸着剤が担持されている。これら各吸着熱交換器(81,82,83)は、通過する空気を吸着剤と接触させる吸着用素子を構成している。
上記冷媒回路(70)は、充填された冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う。この冷媒回路(70)は、加熱用又は冷却用の熱媒体として吸着熱交換器(81,82,83)の伝熱管へ冷媒を供給する熱媒体回路を構成している。また、この冷媒回路(70)は、吸着熱交換器(81,82,83)の表面に担持された吸着剤を加熱して再生するための再生手段を構成している。
−運転動作−
上記調湿装置(10)は、加湿運転を行う。加湿運転中の調湿装置(10)は、冷蔵倉庫から排出される庫内空気から水分を回収し、回収した水分で加湿した外気を冷蔵倉庫内へ供給する。加湿運転中の調湿装置(10)では、第1動作と第2動作と第3動作とが順に繰り返し行われる。
〈第1動作〉
第1動作中の調湿装置(10)では、第1吸着熱交換器(81)が吸着動作の対象となり、第2吸着熱交換器(82)が再生動作の対象となり、第3吸着熱交換器(83)が冷却動作の対象となる。
図4に示すように、第1動作時には、第1右下ダンパ(42)、第3右上ダンパ(45)、第1左上ダンパ(51)、第2左下ダンパ(54)、第2右底ダンパ(62)、及び第3左底ダンパ(68)が開状態となり、残りのダンパが閉状態となる。
また、図5に示すように、第1動作時の冷媒回路(70)では、全ての四方切換弁(76,77,78)が第1状態に設定される。この状態において、圧縮機(71)から吐出された冷媒は、第2吸着熱交換器(82)と、膨張弁(72)と、第3吸着熱交換器(83)と、第1吸着熱交換器(81)とを順に通過し、その後に圧縮機(71)へ吸入される。その際、冷媒回路(70)では、第2吸着熱交換器(82)が凝縮器となり、第3吸着熱交換器(83)及び第1吸着熱交換器(81)が蒸発器となる。
内気通路(22)へは、内気吸込口(15)から庫内空気が第1空気として取り込まれる。この第1空気は、第1熱交換器室(31)へ流入して第1吸着熱交換器(81)を通過する。第1吸着熱交換器(81)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に発生する吸着熱が冷媒に吸熱される。その後、第1空気は、排気通路(23)へ流入し、排気口(16)を通って庫外へ排出される。
外気通路(21)へは、外気吸込口(14)から庫外空気が第2空気として取り込まれる。この第2空気は、第2熱交換器室(32)へ流入して第2吸着熱交換器(82)を通過する。第2吸着熱交換器(82)では、冷媒によって加熱された吸着剤から水分が脱離し、脱離した水分によって第2空気が加湿される。その際、第2空気の温度は、冷媒との熱交換によってやや上昇する。
その後、第2空気は、第2右側室(36)から第2右底ダンパ(62)を通って連通路(25)へ流入し、第3左底ダンパ(68)を通って第3左側室(39)へ流入する。第3左側室(39)へ流入した第2空気は、第3吸着熱交換器(83)を通過する。第3吸着熱交換器(83)では、第2空気が冷媒との熱交換によって冷却される。この第3吸着熱交換器(83)は、第1動作の直前に行われた第3動作中に第1空気中の水分を吸着しており、その表面の吸着剤は概ね飽和状態となっている。なお、第3動作については後述する。このため、第3吸着熱交換器(83)を通過する第2空気は、その熱だけが奪われて水分は殆どあるいは全く奪われない。そして、第2吸着熱交換器(82)で加湿されて第3吸着熱交換器(83)で冷却された第2空気は、給気通路(24)へ流入し、給気口(17)から庫内へ供給される。
〈第2動作〉
調湿装置(10)は、第1動作を所定の時間(例えば5〜6分間)だけ行うと、第1動作を終了して第2動作を開始する。第1動作から第2動作への切り換えは、第1吸着熱交換器(81)が飽和状態となって水分を吸着できなくなったタイミングで行うのが望ましい。
第2動作中の調湿装置(10)では、第1吸着熱交換器(81)が冷却動作の対象となり、第2吸着熱交換器(82)が吸着動作の対象となり、第3吸着熱交換器(83)が再生動作の対象となる。
図6に示すように、第2動作時には、第1右上ダンパ(41)、第2右下ダンパ(44)、第2左上ダンパ(53)、第3左下ダンパ(56)、第3右底ダンパ(63)、及び第1左底ダンパ(66)が開状態となり、残りのダンパが閉状態となる。
また、図7に示すように、第2動作時の冷媒回路(70)では、第1四方切換弁(76)及び第3四方切換弁(78)が第1状態に設定され、第2四方切換弁(77)が第2状態に設定される。この状態において、圧縮機(71)から吐出された冷媒は、第3吸着熱交換器(83)と、膨張弁(72)と、第2吸着熱交換器(82)と、第1吸着熱交換器(81)とを順に通過し、その後に圧縮機(71)へ吸入される。その際、冷媒回路(70)では、第3吸着熱交換器(83)が凝縮器となり、第2吸着熱交換器(82)及び第1吸着熱交換器(81)が蒸発器となる。
内気通路(22)へは、内気吸込口(15)から庫内空気が第1空気として取り込まれる。この第1空気は、第2熱交換器室(32)へ流入して第2吸着熱交換器(82)を通過する。第2吸着熱交換器(82)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に発生する吸着熱が冷媒に吸熱される。その後、第1空気は、排気通路(23)へ流入し、排気口(16)を通って庫外へ排出される。
外気通路(21)へは、外気吸込口(14)から庫外空気が第2空気として取り込まれる。この第2空気は、第3熱交換器室(33)へ流入して第3吸着熱交換器(83)を通過する。第3吸着熱交換器(83)では、冷媒によって加熱された吸着剤から水分が脱離し、脱離した水分によって第2空気が加湿される。その際、第2空気の温度は、冷媒との熱交換によってやや上昇する。
その後、第2空気は、第3右側室(38)から第3右底ダンパ(63)を通って連通路(25)へ流入し、第1左底ダンパ(66)を通って第1左側室(35)へ流入する。第1左側室(35)へ流入した第2空気は、第1吸着熱交換器(81)を通過する。第1吸着熱交換器(81)では、第2空気が冷媒との熱交換によって冷却される。この第1吸着熱交換器(81)は、第2動作の直前に行われた第1動作中に第1空気中の水分を吸着しており、その表面の吸着剤は概ね飽和状態となっている。このため、第1吸着熱交換器(81)を通過する第2空気は、その熱だけが奪われて水分は殆どあるいは全く奪われない。そして、第3吸着熱交換器(83)で加湿されて第1吸着熱交換器(81)で冷却された第2空気は、給気通路(24)へ流入し、給気口(17)から庫内へ供給される。
〈第3動作〉
調湿装置(10)は、第2動作を所定の時間(例えば5〜6分間)だけ行うと、第2動作を終了して第3動作を開始する。第2動作から第3動作への切り換えは、第2吸着熱交換器(82)が飽和状態となって水分を吸着できなくなったタイミングで行うのが望ましい。
第3動作中の調湿装置(10)では、第1吸着熱交換器(81)が再生動作の対象となり、第2吸着熱交換器(82)が冷却動作の対象となり、第3吸着熱交換器(83)が吸着動作の対象となる。
図8に示すように、第3動作時には、第2右上ダンパ(43)、第3右下ダンパ(46)、第1左下ダンパ(52)、第3左上ダンパ(55)、第1右底ダンパ(61)、及び第2左底ダンパ(67)が開状態となり、残りのダンパが閉状態となる。
また、図9に示すように、第3動作時の冷媒回路(70)では、第2四方切換弁(77)が第1状態に設定され、第1四方切換弁(76)及び第3四方切換弁(78)が第2状態に設定される。この状態において、圧縮機(71)から吐出された冷媒は、第1吸着熱交換器(81)と、膨張弁(72)と、第3吸着熱交換器(83)と、第2吸着熱交換器(82)とを順に通過し、その後に圧縮機(71)へ吸入される。その際、冷媒回路(70)では、第1吸着熱交換器(81)が凝縮器となり、第3吸着熱交換器(83)及び第2吸着熱交換器(82)が蒸発器となる。
内気通路(22)へは、内気吸込口(15)から庫内空気が第1空気として取り込まれる。この第1空気は、第3熱交換器室(33)へ流入して第3吸着熱交換器(83)を通過する。第3吸着熱交換器(83)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に発生する吸着熱が冷媒に吸熱される。その後、第1空気は、排気通路(23)へ流入し、排気口(16)を通って庫外へ排出される。
外気通路(21)へは、外気吸込口(14)から庫外空気が第2空気として取り込まれる。この第2空気は、第1熱交換器室(31)へ流入して第1吸着熱交換器(81)を通過する。第1吸着熱交換器(81)では、冷媒によって加熱された吸着剤から水分が脱離し、脱離した水分によって第2空気が加湿される。その際、第2空気の温度は、冷媒との熱交換によってやや上昇する。
その後、第2空気は、第1右側室(34)から第1右底ダンパ(61)を通って連通路(25)へ流入し、第2左底ダンパ(67)を通って第2左側室(37)へ流入する。第2左側室(37)へ流入した第2空気は、第2吸着熱交換器(82)を通過する。第2吸着熱交換器(82)では、第2空気が冷媒との熱交換によって冷却される。この第2吸着熱交換器(82)は、第3動作の直前に行われた第2動作中に第1空気中の水分を吸着しており、その表面の吸着剤は概ね飽和状態となっている。このため、第2吸着熱交換器(82)を通過する第2空気は、その熱だけが奪われて水分は殆どあるいは全く奪われない。そして、第1吸着熱交換器(81)で加湿されて第2吸着熱交換器(82)で冷却された第2空気は、給気通路(24)へ流入し、給気口(17)から庫内へ供給される。
調湿装置(10)は、第3動作を所定の時間(例えば5〜6分間)だけ行うと、第3動作を終了して第1動作を開始する。第3動作から第1動作への切り換えは、第3吸着熱交換器(83)が飽和状態となって水分を吸着できなくなったタイミングで行うのが望ましい。
−参考技術1の効果−
本参考技術の調湿装置(10)では、再生動作の対象となっている吸着熱交換器で水分と熱を付与された第2空気を、吸着剤が既に比較的多くの水分を吸着している吸着熱交換器へ送っている。このため、既に水分を吸着している吸着熱交換器(81,82,83)を利用することで、水分と熱の両方を付与されてしまった第2空気から熱だけを奪い取ることができる。従って、本参考技術によれば、水分と熱を供給された空気をそのまま室内へ供給する従来の場合に比べ、加湿運転中の調湿装置(10)が室内へ供給する第2空気の温度を低下させることができる。そして、例えば冷蔵倉庫内を調湿装置(10)で加湿するような場合であっても、加湿に伴う冷却負荷の増大を抑制することができる。
また、本参考技術の調湿装置(10)では、加湿運転中に行われる第1動作、第2動作、及び第3動作のそれぞれにおいて、冷却動作の対象となる吸着熱交換器が蒸発器となっている。このため、凝縮器となっている吸着熱交換器で加湿された第2空気を充分に冷却することが可能となる。そして、例えば第2空気の供給先の庫内温度と同じ温度にまで第2空気を冷却する事も可能となり、加湿に伴う冷蔵庫内の冷却負荷の増大を充分に抑制することができる。
−参考技術1の変形例−
上記調湿装置(10)の加湿運転では、庫外空気から水分を奪い取り、奪い取った水分で加湿した庫内空気を庫内へ送り返すようにしてもよい。ここでは、この加湿運転を行う場合の調湿装置(10)の動作について、庫内の換気を行う加湿運転中の動作と異なる点を説明する。
この加湿運転の第1動作時には、図10に示すように、第1左上ダンパ(51)の代わりに第1左下ダンパ(52)が、第2左下ダンパ(54)の代わりに第2左上ダンパ(53)がそれぞれ開状態となる。この状態で、外気通路(21)へは、庫外空気が第1空気として取り込まれる。取り込まれた第1空気は、第1熱交換器室(31)へ流入して第1吸着熱交換器(81)を通過する。一方、内気通路(22)へは、庫内空気が第2空気として取り込まれる。取り込まれた第2空気は、第2熱交換器室(32)へ流入して第2吸着熱交換器(82)を通過する。
また、この加湿運転の第2動作時には、図11に示すように、第2左上ダンパ(53)の代わりに第2左下ダンパ(54)が、第3左下ダンパ(56)の代わりに第3左上ダンパ(55)がそれぞれ開状態となる。この状態で、外気通路(21)へは、庫外空気が第1空気として取り込まれる。取り込まれた第1空気は、第2熱交換器室(32)へ流入して第2吸着熱交換器(82)を通過する。一方、内気通路(22)へは、庫内空気が第2空気として取り込まれる。取り込まれた第2空気は、第3熱交換器室(33)へ流入して第3吸着熱交換器(83)を通過する。
また、この加湿運転の第3動作時には、図12に示すように、第3左上ダンパ(55)の代わりに第3左下ダンパ(56)が、第1左下ダンパ(52)の代わりに第1左上ダンパ(51)がそれぞれ開状態となる。この状態で、外気通路(21)へは、庫外空気が第1空気として取り込まれる。取り込まれた第1空気は、第3熱交換器室(33)へ流入して第3吸着熱交換器(83)を通過する。一方、内気通路(22)へは、庫内空気が第2空気として取り込まれる。取り込まれた第2空気は、第1熱交換器室(31)へ流入して第1吸着熱交換器(81)を通過する。
《参考技術2》
参考技術2について説明する。本参考技術は、上記参考技術1の調湿装置(10)において、冷媒回路(70)の構成を変更したものである。
図13に示すように、上記冷媒回路(70)には、3つの吸着熱交換器(81,82,83)が接続されている。各吸着熱交換器(81,82,83)の構成は、上記参考技術1のものと同様である。また、この冷媒回路(70)には、1つの圧縮機(71)と、2つの膨張弁(73,74)と、2つの四方切換弁(76,77)とが接続されている。これら2つの膨張弁(73,74)は、それぞれが冷媒の膨張機構を構成している。
上記冷媒回路(70)において、圧縮機(71)は、その吐出側が第1四方切換弁(76)の第1のポートに、その吸入側が第1四方切換弁(76)の第2のポートにそれぞれ接続されている。第1吸着熱交換器(81)は、その一端が第1四方切換弁(76)の第4のポートに、その他端が第2四方切換弁(77)の第2のポートにそれぞれ接続されている。第1四方切換弁(76)の第3のポートは、第2四方切換弁(77)の第1のポートに接続されている。また、この冷媒回路(70)では、第2吸着熱交換器(82)と、第2膨張弁(74)と、第3吸着熱交換器(83)と、第1膨張弁(73)とが、第2四方切換弁(77)の第3のポートから第2四方切換弁(77)の第4のポートへ向かって順に配置されている。
上記2つの四方切換弁(76,77)は、それぞれ、第1のポートと第3のポートが連通して第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図13に実線で示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通して第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図13に破線で示す状態)とに切換可能となっている。
−運転動作−
本参考技術の調湿装置(10)においても、加湿運転中には、第1動作と第2動作と第3動作とが順に繰り返し行われる。ここでは、各動作時における冷媒回路(70)の動作について説明する。なお、各動作時における空気の流れは、上記参考技術1の場合と同様である。
〈第1動作〉
第1動作中の調湿装置(10)では、第1吸着熱交換器(81)が吸着動作の対象となり、第2吸着熱交換器(82)が再生動作の対象となり、第3吸着熱交換器(83)が冷却動作の対象となる。
第1動作時の冷媒回路(70)では、全ての四方切換弁(76,77)が第1状態に設定される。この状態において、圧縮機(71)から吐出された冷媒は、第2吸着熱交換器(82)と、第2膨張弁(74)と、第3吸着熱交換器(83)と、第1膨張弁(73)と、第1吸着熱交換器(81)とを順に通過し、その後に圧縮機(71)へ吸入される。その際、冷媒回路(70)では、第2吸着熱交換器(82)が凝縮器となり、第3吸着熱交換器(83)及び第1吸着熱交換器(81)が蒸発器となる。
また、第1膨張弁(73)を全開状態に設定すれば、第3吸着熱交換器(83)と第1吸着熱交換器(81)における冷媒蒸発温度が互いに概ね等しくなり、第1膨張弁(73)をやや絞った状態に設定すれば、第3吸着熱交換器(83)での冷媒蒸発温度に比べて第1吸着熱交換器(81)での冷媒蒸発温度が低くなる。
そして、第1吸着熱交換器(81)では第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、第2吸着熱交換器(82)では吸着剤から脱離した水分によって第2空気が加湿され、第3吸着熱交換器(83)では第2吸着熱交換器(82)で加湿された第2空気が冷却される。
〈第2動作〉
第2動作中の調湿装置(10)では、第1吸着熱交換器(81)が冷却動作の対象となり、第2吸着熱交換器(82)が吸着動作の対象となり、第3吸着熱交換器(83)が再生動作の対象となる。
第2動作時の冷媒回路(70)では、第1四方切換弁(76)が第1状態に設定され、第2四方切換弁(77)が第2状態に設定されると共に、第1膨張弁(73)が全開状態に設定される。この状態において、圧縮機(71)から吐出された冷媒は、第1膨張弁(73)と、第3吸着熱交換器(83)と、第2膨張弁(74)と、第2吸着熱交換器(82)と、第1吸着熱交換器(81)とを順に通過し、その後に圧縮機(71)へ吸入される。その際、冷媒回路(70)では、第3吸着熱交換器(83)が凝縮器となり、第2吸着熱交換器(82)及び第1吸着熱交換器(81)が蒸発器となる。
そして、第2吸着熱交換器(82)では第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、第3吸着熱交換器(83)では吸着剤から脱離した水分によって第2空気が加湿され、第1吸着熱交換器(81)では第3吸着熱交換器(83)で加湿された第2空気が冷却される。
〈第3動作〉
第3動作中の調湿装置(10)では、第1吸着熱交換器(81)が再生動作の対象となり、第2吸着熱交換器(82)が冷却動作の対象となり、第3吸着熱交換器(83)が吸着動作の対象となる。
第3動作時の冷媒回路(70)では、第1四方切換弁(76)が第2状態に設定され、第2四方切換弁(77)が第1状態に設定される。この状態において、圧縮機(71)から吐出された冷媒は、第1吸着熱交換器(81)と、第1膨張弁(73)と、第3吸着熱交換器(83)と、第2膨張弁(74)と、第3吸着熱交換器(83)とを順に通過し、その後に圧縮機(71)へ吸入される。その際、冷媒回路(70)では、第1吸着熱交換器(81)が凝縮器となり、第3吸着熱交換器(83)及び第2吸着熱交換器(82)が蒸発器となる。
また、第2膨張弁(74)を全開状態に設定すれば、第3吸着熱交換器(83)と第2吸着熱交換器(82)における冷媒蒸発温度が互いに概ね等しくなり、第2膨張弁(74)をやや絞った状態に設定すれば、第3吸着熱交換器(83)での冷媒蒸発温度に比べて第2吸着熱交換器(82)での冷媒蒸発温度が低くなる。
そして、第3吸着熱交換器(83)では第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、第1吸着熱交換器(81)では吸着剤から脱離した水分によって第2空気が加湿され、第2吸着熱交換器(82)では第1吸着熱交換器(81)で加湿された第2空気が冷却される。
《発明の実施形態》
本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、湿度調節した空気を室内へ供給する調湿装置(10)である。
図17に示すように、本実施形態の調湿装置(10)は、吸着用素子として1つの吸着ロータ(90)を備えている。また、この調湿装置(10)には、吸着側通路(91)と、再生側通路(92)と、冷却側通路(93)とが設けられている。吸着側通路(91)は、その始端と終端とがそれぞれ庫外空間に連通している。再生側通路(92)は、その始端が庫外空間に連通し、その終端が冷却側通路(93)の始端に接続されている。冷却側通路(93)の終端は、室内空間に連通している。
上記吸着ロータ(90)は、円板状に形成されており、その厚み方向へ空気が通過可能となっている。また、吸着ロータ(90)の表面にはゼオライト等の吸着剤が担持されており、吸着ロータ(90)を通過する空気が吸着剤と接触する。吸着ロータ(90)は、吸着側通路(91)と再生側通路(92)と冷却側通路(93)の全てを横断するように配置されている。この吸着ロータ(90)は、それぞれが扇形の3つの領域に区分されており、第1の領域が吸着側通路(91)を、第2の領域が再生側通路(92)を、第3の領域が冷却側通路(93)をそれぞれ横断している。また、吸着ロータ(90)は、その中心軸周りに回転駆動される。吸着ロータ(90)の回転方向において、吸着側通路(91)の隣には冷却側通路(93)が、冷却側通路(93)の隣には再生側通路(92)が、再生側通路(92)の隣には吸着側通路(91)がそれぞれ配置されている。
上記調湿装置(10)には、再生手段として加熱用熱交換器(94)が設けられている。加熱用熱交換器(94)は、再生側通路(92)における吸着ロータ(90)の上流側に配置されている。この加熱用熱交換器(94)には、図示しないが、温水が循環する温水回路が接続されている。そして、加熱用熱交換器(94)は、再生側通路(92)を吸着ロータ(90)へ向かって流れる空気を温水と熱交換させ、この空気を加熱するように構成されている。
−運転動作−
加湿運転中の調湿装置(10)において、吸着側通路(91)へは第1空気としての庫外空気が取り込まれ、再生側通路(92)へは第2空気としての庫外空気が取り込まれる。
吸着側通路(91)へ取り込まれた第1空気は、吸着ロータ(90)のうち吸着側通路(91)を横断する部分を通過する際に吸着剤と接触し、そこに含まれる水分が吸着剤に吸着される。吸着材に水分を奪われた第1空気は、吸着側通路(91)を流れて庫外へ排出される。
再生側通路(92)へ取り込まれた第2空気は、加熱用熱交換器(94)を通過する際に加熱され、その後に吸着ロータ(90)のうち再生側通路(92)を横断する部分を通過する。その際、吸着ロータ(90)の吸着剤が加熱された第2空気と接触し、加熱された吸着剤から脱離した水分が第2空気に付与される。加熱用熱交換器(94)を通過する際に加熱されて吸着ロータ(90)を通過する際に加湿された第2空気は、冷却側通路(93)へ流入する。一方、再生側通路(92)を横断する際に吸着剤が再生された吸着ロータ(90)の部分は、吸着ロータ(90)の回転に伴って吸着側通路(91)へと移動してゆく。
上述したように、冷却側通路(93)へは、再生側通路(92)から第2空気が流入する。また、この冷却側通路(93)へは、吸着側通路(91)を横断する間に水分を吸着した吸着ロータ(90)の部分が、吸着ロータ(90)の回転に伴って移動してくる。冷却側通路(93)を流れる第2空気は、吸着ロータ(90)のうち冷却側通路(93)を横断する部分を通過する。吸着ロータ(90)のうち冷却側通路(93)を横断する部分は、吸着ロータ(90)のうち再生側通路(92)を横断する部分よりも低温となっており、しかも吸着側通路(91)において既に比較的多くの水分を吸着した状態となっている。このため、吸着ロータ(90)のうち冷却側通路(93)を横断する部分を第2空気が通過する際には、第2空気の熱だけが吸着ロータ(90)によって奪われ、第2空気中の水分は殆どあるいは全く奪われない。
−実施形態の効果−
本実施形態の調湿装置(10)では、再生側通路(92)を流れる間に水分と熱を付与された第2空気を、吸着ロータ(90)のうち吸着側通路(91)で水分を吸着した部分が移動してくる冷却側通路(93)へ送り、吸着ロータ(90)のうち冷却側通路(93)を横断する部分を通過させている。このため、吸着ロータ(90)のうち既に水分を吸着している部分を利用することで、水分と熱を付与された第2空気から熱だけを奪い取ることができる。従って、本実施形態によれば、水分と熱を供給された空気をそのまま室内へ供給する従来の場合に比べ、加湿運転中の調湿装置(10)が室内へ供給する第2空気の温度を低下させることができ、調湿装置(10)が第2空気を供給する冷蔵倉庫内の冷却負荷の増大を抑制できる。
《その他の参考技術》
上記参考技術1及び2の調湿装置(10)には、顕熱交換器を追加してもよい。この顕熱交換器は、第1空気として取り込まれた直後の庫内空気と、加湿され冷却されて庫内へ供給される直前の第2空気とを熱交換させる。このような顕熱交換器を追加すれば、換気のために庫内から排出される庫内空気をも第2空気の冷却に利用できる。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。