しかしながら、特許文献1の調湿装置においては、吸着剤を冷却又は加熱する手段である伝熱管と、水分の吸着手段であるメッシュ容器とを別個に形成して配置していた。したがって、この調湿装置の部品点数が多くなり、装置全体の構造が複雑化すると共に、大型化するという問題があった。
また、伝熱管とメッシュ容器とを別個に形成すると、吸着剤と伝熱管との間の伝熱性が損なわれてしまうため、伝熱管で吸着剤を効率的に冷却又は加熱することが困難であった。したがって、吸着剤による水分の吸脱着性能、すなわちこの調湿装置の除湿又は加湿性能が低下してしまう恐れがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、空気の調湿に要する部品点数を低減しながら、調湿装置の除湿又は加湿性能の向上を図ることができる調湿装置を提供することである。
本発明は、冷媒回路に接続される熱交換器に吸着剤を担持するようにしたものである。
具体的に、第1の発明は、ケーシング(20)内に空気中の水分の吸脱着を行う吸着剤を備えた調湿装置を前提としている。そして、この調湿装置は、熱交換器(11,12)が接続されて冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)と、上記冷媒回路(10)の冷媒の循環方向を可逆的に切り換える冷媒切換機構(14)とを備え、上記ケーシング(20)は、天板(21)、底板(22)、及び側板(23,24)を有する箱状に形成され、熱交換器(11,12)は、上記吸着剤を担持するとともにケーシング(20)の天板(21)及び底板(22)に対して略平行な方向が厚さ方向となる略板状に形成されているものである。ここで、熱交換器(11,12)の形状を示す「略板状」とは、その全体として外縁形状が実質的に略板状ないし直方体形状であるもので、少なくともその縦寸法、横寸法、高さ寸法のうち一方向の寸法が他の寸法よりも短い形状であるものを意味する。
上記第1の発明では、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)に熱交換器(11,12)が設けられる。熱交換器(11,12)は、吸着剤が担持されるとともに、冷媒切換機構(14)で切り換えられる冷媒の循環方向によって凝縮器又は蒸発器として機能する。
ここで、例えば蒸発器となる熱交換器(11)に空気が流通すると、熱交換器(11)の吸着剤が冷却され、吸着剤に空気中の水分が吸着される。この際生じる吸着熱は、冷媒の蒸発熱として利用される。一方、例えば凝縮器となる熱交換器(12)に空気が流通すると、熱交換器(11)の吸着剤が加熱され、吸着剤から水分が脱離する。そして、この水分が空気に付与される。
また、本発明では、熱交換器(11,12)が天板(21)及び底板(22)と略平行な方向が厚さ方向となるようにケーシング(20)内に配置される。すなわち、熱交換器(11,12)は、ケーシング(20)における水平方向(天板(21)及び底板(22)の延在方向)の寸法がその鉛直方向の寸法よりも短くなるようにしてケーシング(20)内に配置される。
第2の発明は、ケーシング(20)内に空気中の水分の吸脱着を行う吸着剤を備えた調湿装置を前提としている。そして、この調湿装置は、熱交換器(11,12)が接続されて冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)と、上記冷媒回路(10)の冷媒の循環方向を可逆的に切り換える冷媒切換機構(14)とを備え、上記ケーシング(20)は、天板(21)、底板(22)、及び側板(23,24)を有する箱状に形成され、熱交換器(11,12)は、上記吸着剤を担持するとともにケーシング(20)の側板(23,24)に対して略平行な方向が厚さ方向となる略板状に形成されているものである。
上記第2の発明では、第1の発明と同様の調湿装置において、熱交換器(11,12)が側板(23,24)と略平行な方向が厚さ方向となるようにケーシング(20)内に配置される。すなわち、熱交換器(11,12)は、ケーシング(20)における鉛直方向(側板(23,24)の延在方向)の寸法がその水平方向の寸法よりも短くなるようにしてケーシング(20)内に配置される。
第3の発明は、ケーシング(20)内に空気中の水分の吸脱着を行う吸着剤を備えた調湿装置を前提としている。そして、この調湿装置は、熱交換器(11,12)が接続されて冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)と、上記冷媒回路(10)の冷媒の循環方向を可逆的に切り換える冷媒切換機構(14)とを備え、上記ケーシング(20)は、天板(21)、底板(22)、及び側板(23,24)を有する箱状に形成され、熱交換器(11,12)は、上記吸着剤を担持するとともにケーシング(20)の底板(22)及び側板(23,24)に対して傾いた方向が厚さ方向となる略板状に形成されているものである。
上記第3の発明では、第1,第2の発明と同様の調湿装置において、熱交換器(11,12)がケーシング(20)の鉛直方向と水平方向との間の斜め方向が厚さ方向となるようにケーシング(20)内に配置される。言い換えると、熱交換器(11,12)は、ケーシング(20)内において斜めに傾いた状態で配置される。
第4の発明は、第1から第3のいずれか1の発明の調湿装置において、熱交換器(11,12)は、空気が該熱交換器(11,12)の厚さ方向へ実質的に流通するように構成されているものである。
上記第4の発明では、空気は熱交換器(11,12)の厚さ方向に実質的に流通する。このため、熱交換器(11,12)を通過する空気の流通断面を広くとることができる一方、その線速度を遅くすることができる。
第5の発明は、第4の発明の調湿装置において、熱交換器(11,12)が、吸着剤を担持する略板状の複数の熱交換部(6,6,6)がその厚さ方向に配列されて構成されているものである。
上記第5の発明では、吸着剤が担持された熱交換部(6,6,6)が複数配列されることで、熱交換器(11,12)が構成される。そして、空気が複数の熱交換部(6,6,6)を流通すると、各熱交換部(6,6,6,)において、上述したような吸着剤による水分の吸着、あるいは吸着剤の水分の脱離が行われる。
第6の発明は、第1から第5のいずれか1の発明の調湿装置において、熱交換器が第1と第2の熱交換器(11,12)で構成され、第1空気を第2熱交換器(12)に流通させて室内に供給すると同時に第2空気を第1熱交換器(11)に流通させて室外へ排出する第1動作と、第1空気を第1熱交換器(11)に流通させて室内に供給すると同時に第2空気を第2熱交換器(12)に流通させて室外へ排出する第2動作とを冷媒切換機構(14)の切換動作に応じて交互に行う空気切換機構(61〜68)を備えているものである。
上記第6の発明では、冷媒回路(10)に第1熱交換器(11)と第2熱交換器(12)とが接続される。このため、冷媒切換機構(14)が冷媒の循環方向を切り換えることで、第1熱交換器(11)を凝縮器とする一方、第2熱交換器(12)を蒸発器とする状態と、第1熱交換器(11)を蒸発器とする一方、第2熱交換器(12)を凝縮器とする状態とを相互に切り換えることができる。ここで、空気切換機構(61〜68)は、冷媒切換機構(14)による冷媒の循環方向の切換に応じて、1動作と第2動作と交互に行う。
具体的に、例えば第2熱交換器(12)が蒸発器となり、第1熱交換器(11)が凝縮器となる状態で第1動作が行われると、第2熱交換器(12)の吸着剤で水分が吸着された第1空気が室内に供給されると同時に、第1熱交換器(11)の吸着剤から水分が付与された第2空気が室外に排出される。一方、この状態で冷媒切換機構(14)が冷媒の循環方向を切り換えると、第1熱交換器(11)が蒸発器となり、第2熱交換器(12)が凝縮器となる。これに応じて空気切換機構(61〜68)による第2動作が行われると、第1熱交換器(11)の吸着剤で水分が吸着された第1空気が室内に供給されると同時に、第2熱交換器(12)の吸着剤から水分が付与された第2空気が室外に排出される。したがって、第1,第2熱交換器(11,12)で除湿された空気を連続的に室内に供給させると同時に、第1,第2熱交換器(11,12)の吸着剤の再生を連続的に行うことができる。つまり、この調湿装置において、バッチ切換式の連続的な除湿運転を行うことができる。
また、例えば第1熱交換器(11)が蒸発器となり、第2熱交換器(11)が凝縮器となる場合に第1動作が行われると、第2熱交換器(12)の吸着剤から水分が付与された第1空気が室内に供給されると同時に、第1熱交換器(11)の吸着剤で水分が吸着された第2空気が室外に排出される。一方、この状態で冷媒切換機構(14)が冷媒の循環方向を切り換えると、第1熱交換器(11)が凝縮器となり、第2熱交換器(12)が蒸発器となる。これに応じて空気切換機構(61〜68)による第2動作が行われると、第1熱交換器(11)の吸着剤から水分が付与された第1空気が室内に供給されると同時に、第2熱交換器(12)の吸着剤で水分が吸着された第2空気が室外に排出される。したがって、第1,第2熱交換器(11,12)で加湿された空気を連続的に室内に供給させると同時に、第1,第2熱交換器(11,12)の吸着剤に連続的に水分を吸着させることができる。つまり、この調湿装置において、バッチ切換式の連続的な加湿運転を行うことができる。
上記第1の発明によれば、熱交換器(11,12)に吸着剤を担持することで、熱交換器(11,12)に吸着剤を一体的に保持させるようにしている。このため、特許文献1の調湿装置のようにメッシュ容器を設けることなく、熱交換器(11,12)で吸着剤の冷却及び加熱を行うことができる。したがって、この調湿装置の部品点数を減らすことができるとともに、装置全体の構造を単純化、小型化することができる。
また、本発明によれば、吸着剤を熱交換器(11,12)の表面に直接担持させているため、熱交換器(11,12)と吸着剤との間の伝熱性が良好となる。このため、熱交換器(11,12)が蒸発器となる状態では、吸着剤における水分の吸着熱を冷媒の蒸発熱として効率的に利用して吸着剤を冷却することができる。また、熱交換器(11,12)が凝縮器となる状態では、冷媒の熱で吸着剤を効率的に加熱して吸着剤の加熱再生を行うことができる。したがって、この吸着剤による水分の吸脱着性能の向上を図ることができ、この調湿装置の除湿あるいは加湿性能を高めることができる。
さらに、本発明によれば、熱交換器(11,12)の水平方向の幅を他方向より短くしている。このため、熱交換器(11,12)が収納されるケーシング(20)の水平方向の幅を他方向より短く設計することができる。したがって、この調湿装置の幅方向におけるコンパクト化を図ることができる。
上記第2の発明によれば、熱交換器(11,12)に吸着剤を担持することで、第1の発明と同様、この調湿装置の単純化、小型化、さらには除加湿性能の向上を図ることができる。
また、本発明によれば、熱交換器(11,12)の鉛直方向の厚さを他方向より短くしている。このため、熱交換器(11,12)が収納されるケーシング(20)の鉛直方向の厚さを他方向より短く設計することができる。したがって、調湿装置の薄型化を図ることができ、この調湿装置を例えば天井埋込式や天井吊り下げ式、あるいは天井裏に配置される調湿装置などに好適に利用することができる。
上記第3の発明によれば、熱交換器(11,12)に吸着剤を担持することで、第1及び第2の発明と同様、この調湿装置の単純化、小型化、さらには除加湿性能の向上を図ることができる。
また、本発明によれば、箱形のケーシング(20)内に熱交換器(11,12)を斜め方向(鉛直方向と水平方向との間の方向)に傾けて配置している。このため、ケーシング(20)の容積を最大限有効に利用して熱交換器(11,12)をケーシング(20)内に配置することができる。したがって、熱交換器(11,12)を流通する空気と該熱交換器(11,12)との接触面を広くとることができ、この調湿装置の除加湿性能の向上を図ることができる。
上記第4の発明によれば、空気を熱交換器(11,12)の厚さ方向に流通させることで、熱交換器(11,12)における空気に対する流通断面を広くとれる一方、熱交換器(11,12)を流通する空気の線速度を遅くできる。したがって、空気と熱交換器(11,12)との接触効率を高めることができ、この調湿装置の除加湿性能の向上を図ることができる。
上記第5の発明によれば、複数の熱交換部(6,6,6)をその厚さ方向に配列することで、空気と熱交換器(11,12)との接触時間を長くとれるようにしている。したがって、この調湿装置の除加湿性能を一層高めることができる。ここで、熱交換部(6)は、その厚さ方向に配列されているため、熱交換器(11,12)全体としての厚さ寸法が長くなってしまうことを回避できる。
上記第6の発明によれば、第1と第2の熱交換器(11,12)及び空気切換機構(61〜68)を設け、冷媒切換機構(14)の切換に応じて第1動作及び第2動作を交互に行うようにしている。したがって、この調湿装置によって、バッチ切換式の連続的な除湿運転及び加湿運転を行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1に係る調湿装置(1)について説明する。調湿装置(1)は、空気の除湿と加湿とを行う調湿装置である。この調湿装置(1)は、室外空気(OA)を調湿して室内へ供給すると同時に室内空気(RA)を室外に排出する、いわゆる換気型の調湿装置である。
<冷媒回路の構成>
まず、調湿装置(1)の冷媒回路(10)について説明する。図1に示すように、冷媒回路(10)は、圧縮機(13)、四路切換弁(14)、第1吸着熱交換器(第1熱交換器)(11)、膨張弁(15)、及び第2吸着熱交換器(第2熱交換器)(12)が接続されて閉回路を構成している。冷媒回路(10)には、冷媒が充填されている。この冷媒回路(20)は、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。
四路切替弁(14)は、第1から第4のポートを備えている。圧縮機(13)の吐出口は、四路切替弁(14)の第1ポートと接続している。四路切替弁(14)の第3ポートは、第1吸着熱交換器(11)の一端と接続している。第1吸着熱交換器(11)の他端は、膨張弁(15)を介して第2吸着熱交換器(12)の一端と接続している。第2吸着熱交換器(12)の他端は、四路切替弁(14)の第4ポートと接続している。四路切替弁(14)の第2ポートは、圧縮機(13)の吸引口と接続している。
また、四路切換弁(14)は第1ポートと第3ポートとを連通させると同時に第2ポートと第4ポートとを連通させる第1状態(図1の(A)の状態)と、第1ポートと第4ポートとを連通させると同時に第2ポートと第3ポートとを連通させる第2状態(図1の(B)の状態)とに切換可能となっている。この四路切換弁(14)は、冷媒回路(10)の冷媒の循環方向を可逆的に切り換える冷媒切換機構を構成している。
図2に示すように、第1吸着熱交換器(11)及び第2吸着熱交換器(12)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型の熱交換部(6)を備えている。熱交換部(6)は、長方形板状に形成されたアルミニウム製の多数のフィン(4)と、このフィン(4)を貫通する銅製の伝熱管(5)とを備えている。この熱交換部(6)は、その外形略板状に形成されている。そして、第1,第2吸着熱交換器(11,12)は、複数の熱交換部(6)がその厚さ方向に配列されて構成されることで、その全体としての外形が略板状ないし略直方体形状に形成されている。
上記各フィン(4)及び伝熱管(5)の外表面には、吸着剤がディップ成形(浸漬成形)により担持されている。この吸着剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、親水性または吸水性を有する有機高分子ポリマー系材料、カルボン酸基またはスルホン酸基を有するイオン交換樹脂系材料、感温性高分子等の機能性高分子材料などが挙げられる。
<調湿装置の全体構成>
次に、上記調湿装置(1)の構成について、図3及び図4を参照しながら説明する。尚、ここでの説明で用いる「上」「下」「左」「右」「前」「後」「手前」「奥」は、何れも実施形態1の調湿装置(1)を前面側から見た場合の方向性を意味している。
本実施形態の調湿装置(1)は、ケーシング(20)を備えている。このケーシング(20)は、前後方向の寸法がやや長い箱状に形成されている。具体的に、ケーシング(20)は、上面に位置する天板(21)、下面に位置する底板(22)、左右面にそれぞれ位置する側板(左面板(23)、右面板(24))、前後面にそれぞれ位置する前面板(25)及び後面板(26)で構成されている。
ケーシング(20)の前面板(25)には、左寄りの位置に排気口(31)が、右寄りの位置に給気口(32)がそれぞれ開口している。ケーシング(20)の背面板(26)には、左寄りの位置に外気吸込口(33)が、右寄りの位置に内気吸込口(34)がそれぞれ開口している。
ケーシング(20)の内部空間は、大略的に前側と後側との2つの空間に仕切られている。前側の空間は、更に左右2つの空間に仕切られている。そのうち、左側の空間は排気側流路(45)を構成し、右側の空間は給気側流路(46)を構成している。排気側流路(45)は、内部に排気ファン(35)が収納されるとともに排気口(31)を介して室外と連通している。給気側流路(46)は、内部に給気ファン(36)及び上記圧縮機(13)が収納されるとともに給気口(32)を介して室内と連通している。なお、本実施形態の給気ファン(36)及び排気ファン(35)は、吸引部が水平方向を臨むようにして底板(22)に設置される、いわゆる縦置き配置となっている。
一方、後側の空間は、左寄りの第1仕切板(27)と、右寄りの第2仕切板(28)とで3つの空間に仕切られている。そのうち、左側の空間は上下に仕切られており、上側の空間が左上流路(第1流路)(41)を、下側の空間が左下流路(第2流路)(42)をそれぞれ構成している。左上流路(41)は、排気側流路(45)と連通している。左下流路(42)は、外気吸込口(33)を介して室外と連通している。一方、右側の空間は、上下に仕切られており、上側の空間が右上流路(第3流路)(43)を、下側の空間が右下流路(第4流路)(44)をそれぞれ構成している。右上流路(43)は、給気側流路(46)と連通している。右下流路(44)は、内気吸込口(34)を介して室内と連通している。
第1仕切板(27)と第2仕切板(28)との間の空間は、更に中央仕切板(29)によって前後2つの空間に仕切られている。この前後に仕切られた空間のうち、前面側の空間は、第1吸着熱交換器(11)が収納される第1室(47)を構成し、後側の空間は、第2吸着熱交換器(12)が収納される第2室(48)を構成している。
各吸着熱交換器(11,12)は、第1,第2室(47,48)の中央に設置されている。各吸着熱交換器(11,12)は、それぞれ3つの熱交換部(6,6,6)が左右方向に配列されて構成されている。各吸着熱交換器(11,12)は、その厚さ方向がケーシング(20)の底板(22)と略平行な左右方向となる状態でケーシング(20)の底板(22)に支持されている。これら各吸着熱交換器(11,12)は、各室(47,48)を概ね左右に仕切るようにして、各室(47,48)の前後方向及び上下方向の全域に跨って配置されている。また、各吸着熱交換器(11,12)は、最も面積の広い左右面が空気の流入面及び流出面を構成している。そして、各吸着熱交換器(11,12)は、この吸着熱交換器(11,12)の厚さ方向となる左右方向へ実質的に空気が流通するように構成されている。
上記第1,第2仕切板(27,28)には、それぞれに4つずつの開口(51〜58)が形成されている。第1仕切板(27)には、その前側の上部に第1開口(51)が、その後側の上部に第2開口(52)が、その前側の下部に第3開口(53)が、その後側の下部に第4開口(54)がそれぞれ形成されている。一方、第2仕切板(28)には、その前側の上部に第5開口(55)が、その後側の上部に第6開口(56)が、その前側の下部に第7開口(57)が、その後側の下部に第8開口(58)がそれぞれ形成されている。
第1開口(51)は、左上流路(41)と第1室(47)とを連通させる。第2開口(52)は、左上流路(41)と第2室(48)とを連通させる。第3開口(53)は、左下流路(42)と第1室(47)とを連通させる。第4開口(54)は、左下流路(42)と第2室(48)とを連通させる。第5開口(55)は、右上流路(43)と第1室(47)とを連通させる。第6開口(56)は、右上流路(43)と第2室(48)とを連通させる。第7開口(57)は、右下流路(44)と第1室(47)とを連通させる。第8開口(58)は、右下流路(44)と第2室(48)とを連通させる。
各開口(51〜58)には、それぞれの開口に対応する第1から第8までのダンパ(61〜68)が設けられている。各ダンパ(61〜68)は、それぞれ開閉することで隣接する空間同士の連通と遮断とを切り換える。これらのダンパ(61〜68)は、四路切換弁(14)の切換動作に応じて第1動作と第2動作とを交互に行い空気の流れ方向を切り換える空気切換機構を構成している。
−運転動作−
本実施形態の調湿装置(1)では、除湿運転と加湿運転とが行われる。また、この調湿装置(10)は、室外空気(OA)を取り込んで調湿した後、この空気を供給空気(SA)として室内へ供給するとともに、室内空気(RA)を取り込んで、この空気を排出空気(EA)として室外へ排出する。以下に、調湿装置(1)の除湿運転と加湿運転について順に説明する。
〈除湿運転〉
除湿運転中における調湿装置(1)の動作を説明する。
除湿運転中の調湿装置(10)では、給気ファン(36)及び排気ファン(35)が運転される。給気ファン(36)を運転すると、室外空気が外気吸込口(33)からケーシング(20)内へ第1空気として取り込まれる。排気ファン(35)を運転すると、室内空気が内気吸込口(34)からケーシング(20)内へ第2空気として取り込まれる。また、除湿運転中の調湿装置(1)では、第1動作と第2動作とが交互に繰り返される。
除湿運転時の第1動作について説明する。この第1動作では、第1吸着熱交換器(11)についての再生動作と、第2吸着熱交換器(12)についての吸着動作とが行われる。
この第1動作中の冷媒回路(10)では、図1(A)に示すように、四方切換弁(14)が第1状態に設定され、第1吸着熱交換器(11)が凝縮器となる一方、第2吸着熱交換器(12)が蒸発器となる。
また、この第1動作中には、図5に示すように、第1,第4,第6,第7ダンパ(61,64,66,67)が開状態となり、第2,第3,第5,第8ダンパ(62,63,65,68)が閉状態となる。
外気吸込口(33)から左下流路(42)へ流入した第1空気は、第4開口(54)を通過して第2室(48)に流入する。第2室(48)では、第1空気が第2吸着熱交換器(12)を左から右に向かって流通する。そして、第2吸着熱交換器(12)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着されて第1空気が除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(12)で除湿された第1空気は、第6開口(56)を通って右上流路(43)へ流入し、給気側流路(46)を通過後に給気口(32)から室内へ供給される。
内気吸込口(34)から右下流路(44)へ流入した第2空気は、第7開口(57)を通過して第1室(47)に流入する。第1室(47)では、第2空気が第1吸着熱交換器(11)を右から左に向かって流通する。そして、第1吸着熱交換器(11)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(11)から脱離した水分は、第2空気と共に第1開口(51)を通って右上流路(41)へ流入し、排気側流路(45)を通過後に排気口(31)から室外へ排出される。
除湿運転時の第2動作について説明する。この第2動作では、第1吸着熱交換器(11)についての吸着動作と、第2吸着熱交換器(12)についての再生動作とが行われる。
この第2動作中の冷媒回路(10)では、図1(B)に示すように、四方切換弁(14)が第2状態に設定され、第1吸着熱交換器(11)が蒸発器となり、第2吸着熱交換器(12)が凝縮器となる。
また、この第2動作中には、図6に示すように、第2,第3,第5,第8ダンパ(62,63,65,68)が開状態となり、第1,第4,第6,第7ダンパ(61,64,66,67)が閉状態となる。
外気吸込口(33)から左下流路(42)へ流入した第1空気は、第3開口(53)を通過して第1室(47)に流入する。第1室(47)では、第1空気が第1吸着熱交換器(11)を左から右に向かって流通する。そして、第1吸着熱交換器(11)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着されて第1空気が除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(11)で除湿された第1空気は、第5開口(55)を通って右上流路(43)へ流入し、給気側流路(46)を通過後に給気口(32)から室内へ供給される。
内気吸込口(34)から左下流路(44)へ流入した第2空気は、第8開口(58)を通過して第2室(48)に流入する。第2室(48)では、第2空気が第2吸着熱交換器(12)を右から左に向かって流通する。そして、第2吸着熱交換器(12)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(12)から脱離した水分は、第2空気と共に第2開口(52)を通って右上流路(41)へ流入し、排気口(31)から室外へ排出される。
〈加湿運転〉
加湿運転中における調湿装置(10)の動作を説明する。
加湿運転中の調湿装置(1)では、給気ファン(36)及び排気ファン(35)が運転される。給気ファン(36)を運転すると、室外空気が外気吸込口(33)からケーシング(20)内へ第1空気として取り込まれる。排気ファン(36)を運転すると、室内空気が内気吸込口(34)からケーシング(20)内へ第2空気として取り込まれる。また、加湿運転中の調湿装置(10)では、第1動作と第2動作とが交互に繰り返される。
加湿運転時の第1動作について説明する。この第1動作では、第2吸着熱交換器(12)についての再生動作と、第1吸着熱交換器(11)についての吸着動作とが行われる。
この第1動作中の冷媒回路(10)では、図1(B)に示すように、四方切換弁(14)が第2状態に設定され、第1吸着熱交換器(11)が蒸発器となり、第2吸着熱交換器(12)が凝縮器となる。
また、この第1動作中には、図5に示すように、第1,第4,第6,第7ダンパ(61,64,66,67)が開状態となり、第2,第3,第5,第8ダンパ(62,63,65,68)が閉状態となる。
外気吸込口(33)から左下流路(42)へ流入した第1空気は、第4開口(54)を通過して第2室(48)に流入する。第2室(48)では、第1空気が第2吸着熱交換器(12)を左から右へ向かって通過する。第2吸着熱交換器(12)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が空気に付与される。第2吸着熱交換器(12)で加湿された第1空気は、第6開口(56)を通って右上流路(43)へ流入し、給気側流路(46)を通過後に給気口(32)から室内へ供給される。
内気吸込口(34)から右下流路(44)へ流入した第2空気は、第7開口(57)を通過して第1室(47)に流入する。第1室(47)では、第2空気が第1吸着熱交換器(11)を右から左へ向かって通過する。第1吸着熱交換器(11)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着されて第1空気が除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(11)で水分を奪われた第2空気は、第1開口(51)を通って左上流路(41)へ流入し、排気側流路(45)を通過後に排気口(31)から室外へ排出される。
加湿運転時の第2動作について説明する。この第2動作では、第1吸着熱交換器(11)についての再生動作と、第2吸着熱交換器(12)についての吸着動作とが行われる。
この第2動作中の冷媒回路(10)では、図1(A)に示すように、四方切換弁(14)が第1状態に設定され、第1吸着熱交換器(11)が凝縮器となり、第2吸着熱交換器(12)が蒸発器となる。
また、この第2動作中には、図6に示すように、第2,第3,第5,第8ダンパ(62,63,65,68)が開状態となり、第1,第4,第6,第7ダンパ(61,64,66,67)が閉状態となる。
外気吸込口(33)から左下流路(42)へ流入した第1空気は、第3開口(53)を通過して第1室(47)に流入する。第1室(47)では、第1空気が第1吸着熱交換器(11)を左から右へ向かって通過する。第1吸着熱交換器(11)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が空気に付与される。第1吸着熱交換器(11)で加湿された第1空気は、第5開口(55)を通って右上流路(43)へ流入し、給気側流路(46)を通過後に給気口(32)から室内へ供給される。
内気吸込口(34)から右下流路(44)へ流入した第2空気は、第8開口(58)を通過して第2室(48)に流入する。第2室(48)では、第2空気が第2吸着熱交換器(12)を右から左へ向かって通過する。第2吸着熱交換器(12)では、第2空気中の水分が吸着剤に吸着されて第2空気が除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(12)で水分を奪われた第1空気は、第2開口(52)を通って左上流路(41)へ流入し、排気側流路(45)を通過後に排気口(31)から室外へ排出される。
−実施形態1の効果−
上記実施形態1によれば、吸着熱交換器(11,12)に吸着剤を担持することで、吸着熱交換器(11,12)に吸着剤を一体的に保持させるようにしている。このため、例えば特許文献1の調湿装置のようにメッシュ容器を設けることなく、吸着熱交換器(11,12)で吸着剤の冷却及び加熱を行うことができる。したがって、この調湿装置(1)の部品点数を減らすことができ、装置構造の単純化、小型化を図ることができる。
また、上記実施形態1によれば、吸着剤を吸着熱交換器(11,12)の表面に直接担持させているため、吸着熱交換器(11,12)と吸着剤との間の伝熱性が良好となる。このため、吸着熱交換器(11,12)が蒸発器となる状態では、吸着剤における水分の吸着熱を冷媒の蒸発熱として効率的に利用して吸着剤を冷却することができる。また、吸着熱交換器(11,12)が凝縮器となる状態では、冷媒の熱で吸着剤を効率的に加熱して吸着剤の加熱再生を行うことができる。したがって、吸着剤の吸脱着性能の向上を図ることができ、この調湿装置(1)の除湿あるいは加湿性能を高めることができる。
さらに、上記実施形態1によれば、吸着熱交換器(11,12)の水平方向(左右方向)の幅を他方向によりも短くしている。このため、熱交換器(11,12)が収納されるケーシング(20)の水平方向(左右方向)の幅を他方向よりも短く設計できる。したがって、この調湿装置(1)の幅方向におけるコンパクト化を図ることができる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。以下に上記実施形態1と異なる点を説明する。
実施形態2の調湿装置(10)は、図7及び図8に示すように、上記実施形態1よりも上下方向の長さが短い扁平なケーシング(20)を備えている。また、上記実施形態1では、給気ファン(35)及び排気ファン(36)が、いわゆる縦置き配置となっているのに対し、本実施形態の給気ファン(35)及び排気ファン(36)は、その吸引口が鉛直上方を臨むようにして底板(22)に設置された、いわゆる横置き配置となっている。
また、第1,第2室(47,48)に収納される第1,第2吸着熱交換器(11,12)は、それぞれ図2に示す1つの熱交換部(6)によって構成されている。各吸着熱交換器(11,12)は、その厚さ方向がケーシング(20)の側板(23,24)と略平行な上下方向となるように支持されている。具体的に、各吸着熱交換器(11,12)は、各室(47,48)の上下方向における中間位置において、各室(47,48)の前後内壁に狭持されている(図7参照)。そして、各吸着熱交換器(11,12)は、各室(47,48)を概ね上下に仕切るようにして、各室(47,48)の前後方向及び左右方向の全域に跨って配置されている。また、各吸着熱交換器(11,12)は、最も面積の広い上下面が空気の流入面及び流出面を構成している。そして、各吸着熱交換器(11,12)は、この吸着熱交換器(11,12)の厚さ方向となる上下方向へ実質的に空気が流通するように構成されている。
−実施形態2の効果−
上記実施形態2によれば、実施形態1と同様、吸着熱交換器(11,12)に吸着剤を担持することで、調湿装置(1)の単純化、小型化、さらには除加湿性能の向上を図ることができる。
また、上記実施形態2によれば、吸着熱交換器(11,12)の鉛直方向の厚さを他方向よりも短くしている。このため、熱交換器(11,12)が収納されるケーシング(20)の鉛直方向の厚さを他の方向よりも短く設計することができる。したがって、この調湿装置(1)の薄型化を図ることができ、例えば天井埋込式や天井吊り下げ式、あるいは天井裏に配置される調湿装置として好適に利用することができる。
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3について説明する。以下に上記実施形態1と異なる点を説明する。
実施形態3の調湿装置(10)は、図9に示すように、第1,第2吸着熱交換器(11,12)の構成及び配置が実施形態1と異なるものである。
本実施形態では、上記実施形態2と同様、第1,第2室(47,48)に収納される第1,第2吸着熱交換器(11,12)は、それぞれ図2に示す1つの熱交換部(6)によって構成されている。各吸着熱交換器(11,12)は、その厚さ方向がケーシング(20)の底板(22)及び側板(23,24)に対して傾いた方向となっている。つまり、各吸着熱交換器(11,12)は、水平方向と鉛直方向との間の斜め方向に傾いた姿勢で各室(47,48)に収納されている。具体的に、各吸着熱交換器(11,12)は、各室(47,48)における右内壁の上縁部と、左内壁の下縁部とで狭持されている(図8参照)。そして、各吸着熱交換器(11,12)は、各室(47,48)を概ね左上部の空間と右下部の空間とに仕切るようにして、各室(47,48)の前後方向及び斜め方向の全域に跨って配置されている。また、各吸着熱交換器(11,12)では、最も広い面となる左上方を向いた面と右下方を向いた面とが、空気の流入面及び流出面を構成している。
−実施形態3の効果−
上記実施形態3によれば、実施形態1と同様、吸着熱交換器(11,12)に吸着剤を担持することで、調湿装置(1)の単純化、小型化、さらには除加湿性能の向上を図ることができる。
また、上記実施形態3によれば、箱形のケーシング(20)内に熱交換器(11,12)を斜め方向(鉛直方向と水平方向との間の方向)に傾けて配置している。このため、ケーシング(20)の容積を最大限有効に利用して吸着熱交換器(11,12)をケーシング(20)内に配置することができる。したがって、吸着熱交換器(11,12)を流通する空気と該熱交換器(11,12)との接触面とを広くとることができ、この調湿装置の除加湿性能を一層向上させることができる。
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態1では、外気吸込口(33)及び内気吸込口(34)をケーシング(20)の後面板(26)に設けるようにしている。しかしながら、図10に示すように、外気吸込口(33)を左側板(23)に形成して左下流路(42)と連通させる一方、内気吸込口(34)を右側板(24)に形成して右下流路(44)と連通させるようにしてもよい。また、この構成に加え、図11に示すように、排気口(31)及び給気口(32)をそれぞれ側板(23,24)に形成するようにしてもよい。すなわち、空気の流入口及び流出口を、調湿装置が設置される周囲環境やダクト位置に応じてケーシング(20)の如何なる位置に設けてもよい。
さらに、上記実施形態1では、第1,第2吸着熱交換器(11,12)をその長手方向が前後方向となるように各室(47,48)に配置しているが、例えば図12に示すように、第1,第2吸着熱交換器(11,12)の長手方向が左右方向となるように各室(47,48)に配置してもよい。この場合には、空気が第1,第2吸着熱交換器(11,12)を前後方向に流通するようにケーシング内にダンパや空気通路を形成すればよい。
また、上記実施形態の調湿装置は、室外空気を取り込んで調湿した空気を室内へ供給する一方、室内空気を取り込んで室外へ排出する、いわゆる換気型の調湿装置である。しかし、これ以外に、室内空気を取り込んで調湿した空気を室内へ再び供給する一方、室外空気を取り込んで再び室外へ排出する、いわゆる循環型の調湿装置であってもよいし、室外空気のみを取り込んで、一部の空気を調湿して室内へ供給するとともに、残りの空気を室外へ排出する、いわゆる給気扇式(第2種換気)の調湿装置であってもよいし、さらには、室内空気のみを取り込んで、一部の空気を調湿して室内へ供給するとともに、残りの空気を室外へ排出する、いわゆる排気扇式(第3種換気)の調湿装置であってもよい。