JP5217269B2 - 車体下部構造 - Google Patents

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Description

本発明はプロペラシャフトのセンターベアリングを支持する車体下部構造に関する。
従来、トラックやバン型車等では、エンジンの動力を後輪に伝達するプロペラシャフトの中間にセンターベアリングが設置され、車体の左右のサイドメンバ間に架設されたクロスメンバにベアリングブラケットを設け、該ベアリングブラケットにより上記センターベアリングを支持することが行なわれている(例えば、特許文献1参照。)。
図4、図5は、小型トラックやバン型車におけるプロペラシャフトの支持構造の代表例を示すもので、車体のフロア下面1に沿って前後方向に延びる左右のサイドメンバ2,2間に車幅方向に架設されたクロスメンバ3の下面に、下方へ突出するベアリングブラケット4Aを設置して、これにプロペラシャフト5のセンターベアリング50を締結して支持している。ベアリングブラケット4Aは上部が開口する箱型で、上部開口をクロスメンバ3の下面に合わせてクロスメンバ3の下面とで閉断面を形成するように結合され、ベアリングブラケット4Aの下面にセンターベアリング50がボルト締めされている。
このようにプロペラシャフト5の中間にセンターベアリング50を設け、これを車体側に支持させることで、回転に伴うプロペラシャフト5の振動を抑制し、この振動が原因となる車内のこもり音を低減する効果を奏する。
特に、特許文献1に記載の大型トラックではプロペラシャフトの支持部に防振用ウエイトを設けることが記載されている。
特開平8−197970号公報
ところで、小型トラックやバン型車では車体の軽量化の観点から防振用ウエイト等が用いられることがあまりなく、こもり音低減効果が十分でない。そこで低減効果を向上するため、発明者らは回転時のプロペラシャフトの振動やその支持部周辺を調べたところ、プロペラシャフトの支持部の前後方向および上下方向の振動に対する支持剛性を強化することがこもり音低減効果に大きく寄与し、車幅方向の振動に対する支持剛性は寄与度が低いことが判った。
しかしながら、従来構造では、サイドメンバ2,2間を車幅方向につなぐ1本のクロスメンバ3にベアリングブラケット4Aを設けてこれにプロペラシャフト5のセンターベアリング50を支持させており、車幅方向の支持剛性および上下方向の支持剛性に比べて、前後方向の支持剛性が不十分で、こもり音の低減効果が充分に発揮されていないと言った問題があった。
また、小型トラックやバン型車では同一車種で車体全長の異なるショートボデーとロングボデーの設定があり、この場合、プロペラシャフトの全長が異なり、センターベアリングの設置位置も前後方向に異なる。従って、ショートボデーとロングボデーとでセンターベアリング50を支持するベアリングブラケット4Aおよびこれを設けるクロスメンバ3の設置位置を変えなければならず、ショートボデーとロングボデーとで車体下部の共通化が図れず生産性がよくないと言った問題があった。
そこで本発明は、プロペラシャフトの支持剛性を強化でき、こもり音の低減効果を充分に発揮することができ、かつボデー全長の長短にかかわらず車体下部を共通化でき、生産性の良好な車体下部構造を実現することを課題としてなされたものである。
本発明は、車体のほぼ水平な下面に対して前後方向かつ緩やかな後下がり傾斜姿勢で延びるプロペラシャフトの前後中間のセンターベアリングを、車体の下面に突設したベアリングブラケットにより支持せしめる車体下部構造において、
車体の下面の前後中間位置に、前後方向に間隔をおいて車幅方向に延びる前後2本のクロスメンバを設け、前後の両クロスメンバ間に、車体の下面に沿って前後方向に延び上記両クロスメンバをつなぐ縦方向メンバを設け、該縦方向メンバはその上下寸法を後端から前端に向けて漸次小さく形成して、下面部を上記プロペラシャフトと前後方向にほぼ平行な傾斜面に設定し、
上記縦方向メンバの下面部には上記プロペラシャフトのセンターベアリング設置位置に対応する位置に上記ベアリングブラケットを設け、
該ベアリングブラケットにより上記プロペラシャフトを支持せしめるようになす(請求項1)。
車体の下面に縦方向メンバを設けこれにベアリングブラケットを設置してプロペラシャフトのセンターベアリングを支持せしめることで、支持部の前後方向の支持剛性を強化でき、またベアリングブラケットはその設置位置を縦方向メンバに沿って前後方向に変えることができる。かつ縦方向メンバは前端に向けて上下寸法が漸次小さくなる形状に形成して、下面部をプロペラシャフトと平行な前後方向に傾斜面に設定することで、センターベアリングの設置位置が前後方向に異なるプロペラシャフトを共通のベアリングブラケットにより支持することができる。
上記縦方向メンバは断面ほぼ逆ハット形で車体の下面とで閉断面構造をなす。上記ベアリングブラケットは断面ほぼハット形に形成し、その上面部を上記縦方向メンバの下面部に重ね合わせて結合するとともに、上記縦方向メンバの左右の側壁部とベアリングブラケットの左右の側面部とをそれぞれ上下につなぐ左右の補強板を設け、各補強板の上半部を上記縦方向メンバの側壁部に重ね合わせて結合するとともに補強板の下半部を上記ベアリングブラケットの側面部に重ね合わせて結合する。 上記ベアリングブラケットの開口部に上記プロペラシャフトのセンターベアリングを結合せしめる(請求項2)。
断面逆ハット型で車体の下面とで閉断面をなす縦方向メンバに断面ハット形のベアリングブラケットを設置し、ベアリングブラケットをその両側から補強板で補強したのでプロペラシャフトのセンターベアリングの結合部の剛性を一層強化できる。
図1ないし図3に基づいて小型トラックやバン型車の車体下部に本発明を適用した実施形態を説明する。車体下部の前後中間位置では、車体の下面をなすフロアパネル1の下面の左右両側位置に沿って前後方向に延びる左右一対のサイドメンバ2,2が設置してある。各サイドメンバ2,2は断面ほぼ逆ハット形で、左右両側の側壁部の上縁をフロアパネル1の下面に結合してフロアパネル1とで閉断面構造をなす。
フロアパネル1の下面には左右のサイドメンバ2,2間に、車幅方向に延びる2本のクロスメンバ3a,3bが前後に互いに間隔をおいて配設してある。両クロスメンバ3a,3bは断面ほぼ逆ハット形をなし、前後両側の壁部の上縁をフロアパネル1の下面に結合してフロアパネル1とで閉断面構造をなす。両クロスメンバ3a,3bの左右両端は、左右のサイドメンバ2,2の車内側の側壁部に結合して閉じてある。
前方のクロスメンバ3aは上下寸法が低くしてあり、その下面はサイドメンバ2,2の下面よりも高い位置に形成してある。後方のクロスメンバ3bは上下寸法がサイドメンバ2,2とほぼ同じにしてある。
そして前後のクロスメンバ3a,3b間には、フロアパネル1の車幅方向ほぼ中央位置で、フロアパネル1の下方位置に前後方向に設置されたプロペラシャフト5に対応して前後方向に縦方向メンバ6が設置してある。
縦方向メンバ6は断面ほぼ逆ハット形で、左右の側壁部の上縁フランジをフロアパネル1の下面に結合してフロアパネル1とで閉断面をなす。
縦方向メンバ6はその上下寸法を後端から前端へ向けて漸次小さく形成してあり、縦方向メンバ6の下面部61は、水平なフロアパネル1に対して後方かつ下方へ向けて緩やかな傾斜姿勢をなすプロペラシャフト5と平行面をなす傾斜面としてある。
縦方向メンバ6の後端はその上下寸法が後方のクロスメンバ3bの上下寸法とほぼ同じに形成してあり、後端縁を後方のクロスメンバ3bの前壁部の車幅方向中央位置に結合して閉じてある。
縦方向メンバ6の前端はその上下寸法が前方のクロスメンバ3aよりも大きくしてあり、前端を前方のクロスメンバ3aの車幅方向中央部にその下方から直交するように重ね合わせて結合してある。尚、縦方向メンバ6の前端縁は前壁部で閉じてある。
縦方向メンバ6の下面部61には、プロペラシャフト5の中間位置に設けられたセンターベアリング50に対応する位置にベアリングブラケット4が設置してある。
ベアリングブラケット4は金属板からなるプレス成形品で、下方へ向けて開口するほぼハット形に形成してある。ベアリングブラケット4は両側の側面部を車幅方向に配し、ブラケット上面部を縦方向メンバ6の下面61に下方から重ね合わせて溶接結合してある。
またベアリングブラケット4はその左右の側面部と縦方向メンバ6の左右の側壁部とを上下方向に一連につなぐ補強板40,40で補強してある。左右の補強板40,40は上半部を縦方向メンバ6の側壁部に重ね合わせて溶接接合するとともに、下半部をベアリングブラケット4の側面部に重ね合わせて溶接結合してある。
ベアリングブラケット4はその左右の側面部の下端にプロペラシャフト5のセンターベアリング50を結合してこれを支持する。
ベアリングブラケット4の左右の側面部には下縁フランジにボルト部材を締結するネジ孔が形成してある。
センターベアリング50は予めプロペラシャフト5の所定の前後位置に組付けてあり、プロペラシャフト5を回転可能に貫通せしめるリング状本体の左右両側に横方向に突出する突起501を備えている。
センターベアリング50は下方からベアリングブラケット4の下端開口に上部を嵌入するように配し、左右両側の突起501をベアリングブラケット4の左右の両側面部の下縁フランジに重ね合わせて、下方から突起501を貫通するボルト部材をベアリングブラケットの下縁フランジのネジ孔にて締結して固定してある。
本実施形態によれば、プロペラシャフト5に沿って前後方向に延び、前後端が前後のクロスメンバ3a,3bと結合する縦方向メンバ6を車体の下面(フロアパネル)1に設け、これにベアリングブラケット4を設置してプロペラシャフト5のセンターベアリング50を結合支持せしめるようにしたので、前後方向に延びる縦方向メンバ6が支えとなってプロペラシャフト5の回転時の前後方向の振動に対する支持剛性を強化することができる。
またベアリングブラケット4には左右の補強板40を設けたので、縦方向メンバ6との結合部の剛性が強化される。
従って、縦方向メンバ6とベアリングブラケット4との組み合わせにより効率よくプロペラシャフト5の前後方向の振動を抑制することができ、プロペラシャフト5の振動が車体側に伝達されて発生するこもり音を低減することができる。
また小型トラックやバン型車では同一車種でショートボデーとロングボデーとの設定があり、両者ではプロペラシャフト5の全長が異なる。そしてプロペラシャフト5のセンターベアリング50はプロペラシャフト5の全長の所定割合の位置に設置されるためショートボデーとロングボデーとではセンターベアリング50の設置位置が異なる。
本実施形態では前後方向に延びる縦方向メンバ6にベアリングブラケット4を設けたので、ベアリングブラケット4の設置位置に前後方向の自由度があり、図3(B)の仮想線で示すようにベアリングブラケット4の設置位置を変えることで、センターベアリング50の設置位置の異なるシュートボデーおよびロングボデーのいずれのプロペラシャフトにも対応できる。
従って、ショートボデーとロングボデーとで、従来構造のようにクロスメンバを設置位置を変更するといった手間が要らず、前後のクロスメンバ3a,3bおよびこれらの間に前後方向に縦方向メンバ6を架設した基本構造を有する共通のボデーでよく、ショートボデーおよびロングボデーのいずれの生産性も良好である。
また、本実施形態のように縦方向メンバ6の下面部61をプロペラシャフト5と平行な傾斜状としたので、プロペラシャフト5におけるセンターベアリング50の前後位置が変ってもセンターベアリング50と縦方向メンバ6の下面部61との上下の距離は変らないのでショートボデーとロングボデーとで共通のベアリングブラケット4および補助板40を用いることができる。
尚、本発明は小型トラックやバン型車に限らず、プロペラシャフトのセンターベアリングを車体下面に設けたベアリンブラケットにより支持せしめる構造の車両に広く適用され得る。
本発明の車体下部構造を示す要部斜視図である。 上記車体下部構造の下面図である。 図3(A)は図2のIIIA−IIIA線に沿う左右方向の断面図で、図3(B)は図2のIIIB−IIIB線に沿う前後方向の断面図である。 従来の車体下部構造の下面図である。 図4のV−V線に沿う左右方向の断面図である。
符号の説明
1 フロアパネル(車体の下面)
2 サイドメンバ
3a,3b クロスメンバ
4 ベアリングブラケット
40 補助板
5 プロペラシャフト
50 センターベアリング
6 縦方向メンバ
61 下面部

Claims (2)

  1. 車体のほぼ水平な下面に対して前後方向かつ緩やかな後下がり傾斜姿勢で延びるプロペラシャフトの前後中間のセンターベアリングを、車体の下面に突設したベアリングブラケットにより支持せしめる車体下部構造において、
    車体の下面の前後中間位置に、前後方向に間隔をおいて車幅方向に延びる前後2本のクロスメンバを設け、前後の両クロスメンバ間に、車体の下面に沿って前後方向に延び上記両クロスメンバをつなぐ縦方向メンバを設け、該縦方向メンバはその上下寸法を後端から前端に向けて漸次小さく形成して、下面部を上記プロペラシャフトと前後方向にほぼ平行な傾斜面に設定し、
    上記縦方向メンバの下面部には上記プロペラシャフトのセンターベアリング設置位置に対応する位置に上記ベアリングブラケットを設け、
    該ベアリングブラケットにより上記プロペラシャフトを支持せしめるようになした車体下部構造。
  2. 上記縦方向メンバは断面ほぼ逆ハット形で車体の下面とで閉断面構造をなし、
    上記ベアリングブラケットは断面ほぼハット形に形成し、その上面部を上記縦方向メンバの下面部に重ね合わせて結合するとともに、
    上記縦方向メンバの左右の側壁部とベアリングブラケットの左右の側面部とをそれぞれ上下につなぐ左右の補強板を設け、各補強板の上半部を上記縦方向メンバの側壁部に重ね合わせて結合するとともに補強板の下半部を上記ベアリングブラケットの側面部に重ね合わせて結合し、
    上記ベアリングブラケットの開口部に上記プロペラシャフトのセンターベアリングを結合せしめた請求項1に記載の車体下部構造。
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