JP5217241B2 - ガスバリア性エポキシ樹脂硬化剤およびエポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Description
しかし、上述のエポキシ樹脂組成物はガスバリア性、接着性、耐薬品性は良好な性能を発現してはいるものの、使用する硬化剤は、ポリアミンを変性したものであるが、エポキシ樹脂との反応性が高いために、そのエポキシ樹脂組成物はポットライフが短く、作業性が悪いという欠点を有している。
すなわち本発明は、下記の(A)と(B)と(D)の反応生成物、または(A)と(B)と(C)と(D)の反応生成物からなるアミン系エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂と該硬化剤を形成成分とするガスバリア性エポキシ樹脂組成物、および該樹脂組成物を含む塗料に関するものである。
(A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成し、且つオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体
(D)ポリアミンとの反応により式(1)で示されるカーバメート部位を形成する、式(2)で示されるカーボネート部位を少なくとも1つ有する官能性化合物
(A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成し、且つオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体
(D)ポリアミンとの反応により式(1)で示されるカーバメート部位を形成する、式(2)で示されるカーボネート部位(以下、単に「カーボネート部位」と称す)を少なくとも1つ有する官能性化合物
アミド基形成反応の際には反応を完結させるために必要に応じて反応の最終段階において反応装置内を減圧処理することもできる。また、必要に応じて非反応性の溶剤を使用して希釈することもできる。更に脱水剤、脱アルコール剤として、亜リン酸エステル類などの触媒を添加することもできる。
一方、(B)として酸無水物、酸塩化物を使用する場合には0〜150℃、好ましくは0〜100℃の条件下で混合後、アミド基形成反応を行うことにより実施される。
アミド基形成反応の際には反応を完結させるために必要に応じて反応の最終段階において反応装置内を減圧処理することもできる。また、必要に応じて非反応性の溶剤を使用して希釈することもできる。更にピリジン、ピコリン、ルチジン、トリアルキルアミンなどの3級アミンを添加することもできる。
カーバメート部位形成反応の際には、反応を促進するために必要に応じて(D)を溶融もくしは非反応性の溶剤を使用して希釈することもできる。
具体例としては、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミノ基および/またはグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂およびレゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂が挙げられる。
この中でもメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂が特に好ましい。
生成したエポキシ樹脂の数平均分子量は各種アルコール類、フェノール類およびアミン類に対するエピハロヒドリンのモル比により異なるが、約80〜4000であり、約200〜1000であることが好ましく、約200〜500であることがより好ましい。
また、耐衝撃性などの諸性能を向上させるために、エポキシ樹脂組成物にシリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機フィラーを添加しても良い。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂組成物の全重量を基準として0.01重量%〜10.0重量%の範囲が好ましい。
尚、実施例に記載したアミン系硬化剤A〜Eは以下の方法で調整した。
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.88molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。生成するメタノールを留去しながら165℃に昇温し、2.5時間165℃を保持した。固形分濃度65%相当のメタノールを1.5時間かけて滴下し、65℃に冷却した後、溶融したエチレンカーボネート0.27molを30分かけて滴下し、5時間65℃に保持し、アミン系硬化剤Aを得た。
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.93molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。生成するメタノールを留去しながら165℃に昇温し、2.5時間165℃を保持した。固形分濃度65%相当のメタノールを1.5時間かけて滴下し、65℃に冷却した後、溶融したエチレンカーボネート0.11molを30分かけて滴下し、5時間65℃に保持し、アミン系硬化剤Bを得た。
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.93molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。生成するメタノールを留去しながら165℃に昇温し、2.5時間165℃を保持した。固形分濃度65%相当のメタノールを1.5時間かけて滴下し、65℃に冷却した後、溶融したエチレンカーボネート0.27molを30分かけて滴下し、5時間65℃に保持し、アミン系硬化剤Cを得た。
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.93molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。生成するメタノールを留去しながら165℃に昇温し、2.5時間165℃を保持した。固形分濃度65%相当のメタノールを1.5時間かけて滴下し、65℃に冷却した後、溶融したエチレンカーボネート0.55molを30分かけて滴下し、5時間65℃に保持し、アミン系硬化剤Dを得た。
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.93molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。生成するメタノールを留去しながら165℃に昇温し、2.5時間165℃を保持した。固形分濃度65%相当のメタノールを1.5時間かけて滴下し、攪拌、冷却した後、アミン系硬化剤Eを得た。
<ポットライフ (hr:min)>
エポキシ樹脂、アミン系硬化剤、溶剤を混合した溶液(塗料溶液)を25℃に保持した。ザーンカップNo.3にて粘度を30分毎に測定し、保持時間とザーンカップ粘度(秒)との関係を調べた。塗料溶液を調製してからザーンカップ粘度20秒に到達するまでの時間をポットライフとした。
<酸素透過係数 (ml・mm/m2・day・MPa)>
酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製、OX-TRAN2/21)を使用して、塗料溶液(エポキシ樹脂組成物)を基材に塗布して硬化させて得たコートフィルム、および基材そのものの酸素透過率を23℃、相対湿度60%の条件下で測定し、塗膜の酸素透過係数を以下の式を用いて計算した:
1/R1= 1/R2 + DFT/P
ここで、
R1 = コートフィルムの酸素透過率(ml/m2・day・MPa)
R2 = 基材の酸素透過率(ml/m2・day・MPa)
DFT = 塗膜の厚み(mm)
P = 塗膜の酸素透過係数
以下に塗料溶液および基材の条件を示す。
基材:ポリエチレンテレフタレートフィルム(100μm)(東レ(株)製;ルミラー)
塗装:バーコーターNo.24使用
塗料溶液の固形分濃度:40%
<耐薬品性>
塗料溶液を基材に塗布して硬化させて得た塗板の非塗装部分をパラフィンで被覆して蒸留水、メタノール、トルエン中に23℃で浸漬、または塩水噴霧を行い、一週間後の変化を観察し、薬液浸漬前後の塗膜外観を目視判定により4段階で評価した。
Ex:全く変化無し、G:初期外観をほぼ維持、F:わずかに変化、P:変化
以下に塗料溶液および基材の条件を示す。
基材:冷間圧延鋼板(JIS G 3141、70×150×0.6mm)
サンディング(#240)処理し、キシレン洗浄後使用
塗装:200μドクターブレード使用
塗料溶液の固形分濃度:75%
アミン系硬化剤Aを222重量部およびメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製;TETRAD−X)を50重量部、メタノール247重量部、酢酸エチル36重量部を含む溶液を作製し、そこにシリコン系消泡剤(ビック・ケミー社製;BYK065)を0.1重量部加え、よく攪拌することにより、塗料溶液を得た。この塗料溶液のポットライフを評価した。
この塗料溶液を基材に塗布し、40℃で2日間硬化反応させることにより塗膜を作製した。得られた塗膜について酸素透過係数と耐薬品性を評価した。結果を表1に示す。
アミン系硬化剤Aの代わりにアミン系硬化剤Bを189重量部用い、メタノールを223重量部、酢酸エチルを32重量部とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。結果を表1に示す。
アミン系硬化剤Aの代わりにアミン系硬化剤Cを162重量部用い、メタノールを203重量部、酢酸エチルを29重量部とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。結果を表1に示す。
アミン系硬化剤Cを244重量部、メタノールを263重量部、酢酸エチルを39重量部とした以外は実施例3と同様の方法で作製した。結果を表1に示す。
アミン系硬化剤Cを325重量部、メタノールを322重量部、酢酸エチルを49重量部とした以外は実施例3と同様の方法で作製した。結果を表1に示す。
アミン系硬化剤Cを406重量部、メタノールを383重量部、酢酸エチルを58重量部、シリコン系消泡剤(ビック・ケミー社製;BYK065)を0.2重量部とした以外は実施例3と同様の方法で作製した。結果を表1に示す。
アミン系硬化剤Aの代わりにアミン系硬化剤Dを407重量部用い、メタノールを384重量部、酢酸エチルを58重量部、シリコン系消泡剤(ビック・ケミー社製;BYK065)を0.2重量部用いた以外は実施例1と同様の方法で作製した。結果を表1に示す。
アミン系硬化剤Aの代わりにアミン系硬化剤Eを160重量部用い、メタノールを201重量部、酢酸エチルを29重量部とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。結果を表1に示す。
アミン系硬化剤Aの代わりにメタキシリレンジアミンとエピクロルヒドリンのモル比が約2:1のメタキシリレンジアミンとエピクロルヒドリンとの付加体であるアミン系硬化剤(三菱ガス化学(株)製;ガスカミン328)を65重量部用いた以外は実施例1と同様の方法で作製した。結果を表1に示す。
アミン系硬化剤としてダイマー酸により変性された汎用のポリアミド変性ポリアミン(富士化成工業(株)製;トーマイド225−X)を30重量部、およびエポキシ樹脂としてビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製;エピコート828)を50重量部用い、希釈溶剤にMFG(プロピレングリコールモノメチルエーテル)を用いた以外は実施例1と同様の方法で作製した。結果を表1に示す。
Claims (10)
- 前記(A)が、メタキシリレンジアミンである請求項1に記載のアミン系エポキシ樹脂硬化剤。
- 前記(B)多官能性化合物が、アクリル酸、メタクリル酸および/またはそれらの誘導体である請求項1に記載の請求項1に記載のアミン系エポキシ樹脂硬化剤。
- 前記(C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体が、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、グリコール酸、安息香酸および/またはその誘導体である請求項1に記載のアミン系エポキシ樹脂硬化剤。
- 前記(D)が、エチレンカーボネートおよび/またはプロピレンカーボネートである請求項1に記載のアミン系エポキシ樹脂硬化剤。
- エポキシ樹脂と請求項1〜5のいずれかに記載のアミン系エポキシ樹脂硬化剤を含むガスバリア性エポキシ樹脂組成物。
- 硬化させて得られる硬化物の酸素透過係数が1.0ml・mm/m2・day・MPa(23℃60%RH)以下の酸素バリア性を有する請求項6に記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂が、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミノ基および/またはグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂およびレゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂である請求項6に記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂が、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂である請求項6に記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物。
- 請求項6〜9のいずれかに記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物を含む塗料。
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