図1は、本発明の一実施形態のカラータンデム方式の画像形成装置100の概略構成を示している。この画像形成装置は、スキャナ、コピー、プリンタなどの機能を備えた複合機であって、MFP(Multi Function Peripheral)と呼ばれるものである。
この画像形成装置100は、本体ケーシング101内の略中央に、2個のローラ102、106に巻回された周方向に移動する環状の中間転写体としての中間転写ベルト108を備えている。2個のローラ102、106のうち、一方のローラ102は図において左側に配置され、他方のローラ106は図において右側に配置されている。中間転写ベルト108はこれらのローラ102、106によって支持されて矢印X方向に回転駆動される。
中間転写ベルト108の下方には、図において左側から順に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーに対応する印字部としての作像ユニット110Y、110M、110C、110Kが並べて配置されている。
各作像ユニット110Y、110M、110C、110Kは、それらが取り扱うトナー色の違いを除いて全く同様に構成されている。具体的には、例えばイエローの作像ユニット110Yは、感光体ドラム190と、帯電装置191と、露光装置192と、トナーを用いて現像を行う現像装置193と、クリーナ装置195とを一体にして構成されている。中間転写ベルト108を挟んで感光体ドラム190と対向する位置に、1次転写ローラ194が設けられている。画像形成時には、まず帯電装置191によって感光体ドラム190の表面が一様に帯電され、続いて、露光装置192によって、図示されない外部装置から入力された画像信号に応じて感光体ドラム190の表面が露光されて、そこに潜像が形成される。次に、現像装置193によって、感光体ドラム190の表面上の潜像が現像されてトナー画像となる。このトナー画像は、感光体ドラム190と1次転写ローラ194との間の電圧印加によって、中間転写ベルト108に転写される。感光体ドラム190の表面上の転写残トナーは、クリーナ装置195によってクリーニングされる。
中間転写ベルト108が矢印X方向に移動するに伴って、各作像ユニット110Y、110M、110C、110Kによって中間転写ベルト108上に出力画像として4色のトナー画像が重ねて形成される。
中間転写ベルト108の左側には、中間転写ベルト108の表面から残留トナーを取り除くクリーニング装置125と、このクリーニング装置125によって取り除かれたトナーを回収するトナー回収ボックス126とが設けられている。中間転写ベルト108の右側には、用紙のための搬送路124を挟んで2次転写部材としての2次転写ローラ112が設けられている。搬送路124のうち2次転写ローラ112の上流側に相当する位置に搬送ローラ120が設けられている。中間転写ベルト108上のトナーパターンを検出するためのトナー濃度センサとしての光学式濃度センサ115が設けられている。
本体ケーシング101内の右上部には、トナーを用紙に定着させる定着部としての定着装置130が設けられている。定着装置130は、図1において紙面に対して垂直に延在する定着部材としての加熱ローラ132と加圧用部材としての加圧ローラ131とを備えている。加熱ローラ132は、加熱源としてのヒータ133によって所定の目標温度(この例では180℃〜200℃の範囲内の定着温度)に加熱される。加圧ローラ131は、図示しないばねによって加熱ローラ132へ向かって付勢されている。これにより、加圧ローラ131と加熱ローラ132とは定着のためのニップ部を形成している。トナー像が転写された用紙90がこのニップ部を通ることにより、その用紙90にトナー画像が定着される。加圧ローラ131と加熱ローラ132の温度は、それぞれこの例ではサーミスタからなる温度センサ135,136によって検出される。
また、本体ケーシング101の下部には、出力画像が形成されるべき印字媒体としての用紙90を収容した給紙口としての給紙カセット116A,116Bが2段に設けられている。給紙カセット116A,116Bにはそれぞれ、用紙を送り出すための給紙ローラ118と、送り出された用紙を検出する給紙センサ117とが設けられている。なお、簡単のため、給紙カセット116Aにのみ用紙90が収容された状態を示している。
本体ケーシング101内には、この画像形成装置全体の動作を制御するCPU(中央演算処理装置)からなる制御部200が設けられている。
画像形成時には、制御部200による制御によって、用紙90は給紙ローラ118によって例えば給紙カセット116Aから搬送路124へ1枚ずつ送り出される。搬送路124に送り出された用紙90は、レジストセンサ114によってタイミングをとって、搬送ローラ120によって中間転写ベルト108と2次転写ローラ112との間のトナー転写位置へ送り込まれる。一方、既述のように、各作像ユニット110Y、110M、110C、110Kによって中間転写ベルト108上に4色のトナー画像が重ねて形成されている。上述のトナー転写位置に送り込まれた用紙90に、この中間転写ベルト108上の4色のトナー画像が、2次転写ローラ112によって転写される。トナー像が転写された用紙90は、定着装置130の加圧ローラ131と加熱ローラ132とが作るニップ部を通して搬送され、加熱および加圧を受ける。これにより、その用紙90にトナー画像が定着される。そして、トナー画像が定着された用紙90は、排紙ローラ121によって、排紙路127を通して本体ケーシング101の上面に設けられた排紙トレイ部122へ排出される。なお、この例では、両面印刷の場合に用紙90を再びトナー転写位置へ送り込むためのスイッチバック搬送路128が設けられている。
(第1参考例)
図2は、上記画像形成装置100に含まれた定着部材としての定着ローラ132の一態様(符号10で表す)の断面構成を示している。
この定着ローラ10は、円筒状の基材としての芯金11と、この芯金11の外周面11aを覆うように設けられたゴム層12と、このゴム層12の外周面12aを覆うように設けられた表層13との3層からなっている。芯金11の内部空間には、定着ローラ10を所定の目標温度(この例では、180℃〜200℃の範囲内の定着温度)に加熱する加熱源としてのヒータ(図1中のヒータ133に相当)が設けられている。
芯金11は、アルミニウムまたは鉄等の金属材料からなる。芯金11の厚さは、この例では厚さが0.1mm〜5mm程度であるが、軽量化及びウォームアップ時間を考慮すると、0.1mm〜1.5mm程度であるのがより望ましい。芯金11の外径は、この例では10mm〜50mm程度に設定されている。
ゴム層12は、シリコーンゴム材料からなり、上記定着温度に対する耐熱性と、用紙90が圧接される領域の寸法(ニップ部の長さ)を確保するための弾性をもつ。ゴム層12の厚さは、0.05mm〜2mmの範囲内であるのが望ましく、この例では0.2mm〜0.4mm程度である。
表層13は、この例ではPFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレンテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂からなり、上記定着温度に対する耐熱性と、ニップ部を通過した用紙90の剥離を助ける離型性と、さらにゴム層12から発生した超微粒子を透過しにくい性質(ガスバリア性)とをもつ。表層13の厚さは、5μm〜100μmの範囲内であるのが望ましく、この例では30μm〜40μm程度に設定されている。
芯金11の中心軸Cに沿った方向、すなわちこの定着ローラ10に圧接されるべき用紙90の幅方向に関して、ゴム層12の端部12eと表層13の端部13eは、それぞれ芯金11の端部11eよりも内側で、互いに同じ位置に位置している。
また、芯金11上で、周方向に沿ってゴム層12の端部12eと表層13の端部13eとに直接接する位置に、フィルタ部材14が設けられている。このフィルタ部材14は、ゴム層から発生した超微粒子、特にシロキサンを捕捉可能なものである。
シロキサンとしては、ヘキサメチルジシロキサン(略語L2、分子式C6H18O1Si2)、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(略語D3、分子式C6H18O3Si3)、オクタメチルトリシロキサン(略語L3、分子式C8H24O2Si3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(略語D4、分子式C8H24O4Si4)、デカメチルテトラシロキサン(略語L4、分子式C10H30O3Si4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(略語D5、分子式C10H30O5Si5)、ドデカメチルペンタシロキサン(略語L5、分子式C12H36O4Si5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(略語D6、分子式C12H36O6Si6)などが挙げられる。
このフィルタ部材14としては、例えば東洋紡株式会社製の静電フィルタであるエリトロン(東洋紡株式会社の登録商標)や独フロイデンベルグ社製のmicronAir(フロイデンベルグ社の登録商標)などの市販品を用いることができる。また、フィルタ部材の耐熱性を確保する観点からカーボンまたはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を主成分とする濾材を用いてもよい。
また、この図2の例では、芯金11上で、中心軸Cに沿った方向に関してフィルタ部材14よりも芯金11の端部11eに近い位置に、2つの環状のフランジ16、17が嵌合されている。フィルタ部材14から遠い側のフランジ16は、芯金11の外周面11aに固定されている。フィルタ部材14に当接する側のフランジ17は、中心軸Cに沿った方向に関して移動可能になっている。フランジ16、17間に、蛇腹状のバネ部材15が介挿されている。このバネ部材15によって、フランジ17を介して、フィルタ部材14がゴム層12の端部12eと表層13の端部13eへ向けて付勢されている。
この定着ローラ10を備えた画像形成装置では、定着ローラ10がヒータ133によって180℃〜200℃の範囲内の定着温度に加熱される。搬送される用紙90が定着ローラ10の外周面13aに圧接されて用紙90に画像が定着される。
定着ローラ10が上記定着温度に加熱されると、定着ローラ10のゴム層12からシロキサンなどの超微粒子(100nm以下の粒径をもつ)が発生する。ゴム層12の外周面12aは表層13で覆われているので、上記超微粒子はゴム層12の端部12eから噴出しようとする。
ここで、上述のように、定着ローラ10の芯金11上で、ゴム層12の端部12eと表層13の端部13eとに直接接する位置に、ゴム層12から発生した超微粒子を捕捉可能なフィルタ部材14が設けられている。したがって、ゴム層12の端部12eから噴出しようとする超微粒子は、フィルタ部材14によって捕捉される。また、この定着ローラ10では、バネ部材15によってフィルタ部材14がゴム層12の端部12eと表層13の端部13eへ付勢される。したがって、各部材の経時変化にかかわらず、フィルタ部材14がゴム層12の端部12eと表層13とに密接する。したがって、ゴム層12の端部12eから噴出しようとする超微粒子は、フィルタ部材14によってさらに確実に捕捉される。この結果、この画像形成装置によれば、機内や周囲の環境の汚染を防止できる。
なお、フィルタ部材14の圧損が高ければ捕集効率が向上するが、フィルタ部材14の圧損特性が表層13の圧損特性よりも高ければ、ゴム層12から発生した超微粒子が表層13を透過して漏れ出てしまう可能性がある。そこで、フィルタ部材14の圧損特性が表層13の圧損特性の1/2以下であるのが望ましい。その場合、ゴム層12から発生した超微粒子が、表層13を透過するよりも、むしろフィルタ部材14を通ろうとする。したがって、超微粒子がフィルタ部材14によって捕捉され易くなる。また、ゴム層12から発生した超微粒子のガス圧によってゴム層12と表層13との間の剥離が生じるような事態を防止できる。
(第2参考例)
図3は、上記画像形成装置100に含まれた定着ローラの別の態様(符号20で表す)の断面構成を示している。
この定着ローラ20は、円筒状の基材としての芯金21と、この芯金21の外周面21aを覆うように設けられたゴム層22と、このゴム層22の外周面22aを覆うように設けられた表層23との3層からなっている。芯金21の内部空間には、定着ローラ20を所定の目標温度(この例では、180℃〜200℃の範囲内の定着温度)に加熱する加熱源としてのヒータ(図1中のヒータ133に相当)が設けられている。
芯金21、ゴム層22、表層23の材料、性質、厚さについては、第1参考例における芯金11、ゴム層12、表層13のものと同様であるため、個々の説明を省略する。
芯金21の中心軸Cに沿った方向、すなわちこの定着ローラ20に圧接されるべき用紙90の幅方向に関して、ゴム層22の端部22eと表層23の端部23eは、それぞれ芯金21の端部21eよりも内側に位置している。第1参考例におけるのとは異なり、表層23の端部23eはゴム層22の端部22eよりも芯金21の端部21eに近い位置にある。
芯金21の外周面21aと表層23の内周面23bとの間に、フィルタ部材24が挟持されている。また、フィルタ部材24は、ゴム層22の端部22eに面し、かつゴム層22の端部22eと直接接している。なお、フィルタ部材24の品名、機能については、第1参考例におけるフィルタ部材14のものと同様である。
この定着ローラ20を備えた画像形成装置では、第1参考例におけるのと同様に、定着ローラ20がヒータ133によって180℃〜200℃の範囲内の定着温度に加熱される。搬送される用紙90が定着ローラ20の外周面23aに圧接されて用紙90に画像が定着される。
定着ローラ20が上記定着温度に加熱されると、定着ローラ20のゴム層22からシロキサンなどの超微粒子(100nm以下の粒径をもつ)が発生する。ゴム層22の外周面22aは表層23で覆われているので、上記超微粒子はゴム層22の端部22eから噴出しようとする。
ここで、上述のように、芯金21の外周面21aと表層23の内周面23bとの間に、フィルタ部材24が挟持されている。したがって、ゴム層22の端部22eから噴出しようとする超微粒子は、フィルタ部材24によって捕捉される。また、フィルタ部材24は、ゴム層22の端部22eに面し、かつゴム層22の端部22eと直接接している。したがって、ゴム層22の端部22eから噴出しようとする超微粒子は、フィルタ部材24によってさらに確実に捕捉される。この結果、この画像形成装置によれば、機内や周囲の環境の汚染を防止できる。
なお、第1参考例におけるのと同様に、フィルタ部材24の圧損が高ければ捕集効率が向上するが、フィルタ部材24の圧損特性が表層23の圧損特性よりも高ければ、ゴム層22から発生した超微粒子が表層23を透過して漏れ出てしまう可能性がある。そこで、フィルタ部材24の圧損特性が表層23の圧損特性の1/2以下であるのが望ましい。その場合、ゴム層22から発生した超微粒子Gが、表層23を透過するよりも、むしろフィルタ部材24を通ろうとする。したがって、超微粒子Gがフィルタ部材24によって捕捉され易くなる。また、ゴム層22から発生した超微粒子(シロキサンなど)のガス圧によってゴム層22と表層23との間の剥離が生じるような事態を防止できる。
(第1実施形態)
図4(A)は、上記画像形成装置100に含まれた定着装置近傍の一態様を定着ローラ300の中心軸Cに対して垂直な方向(−Y方向)から見たところを示している。図4(B)は、図4(A)に示すものを右方向(+X方向)から見たところを示している。
図4(A)、図4(B)中に示す定着ローラ300(図1中の定着ローラ132に相当する)自体は、図15(A)に示した一般的なものと同じ物である。定着ローラ300を構成する芯金301、ゴム層302、表層303の材料、性質、厚さについては、第1参考例における芯金11、ゴム層12、表層13のものと同様であるため、個々の説明を省略する。芯金301の内部空間には、定着ローラ300を所定の目標温度(この例では、180℃〜200℃の範囲内の定着温度)に加熱する加熱源としてのヒータ(図1中のヒータ133に相当)が設けられている。
また、加圧部材としての加圧ローラ131は、定着ローラ300の長さと略同一の長さの円筒状の外形(中心軸C′)をもつ。加圧ローラ131は、この例では定着ローラ300と同様に、芯金と、中間層と、表層との3層構造になっている。加圧ローラ131を構成する芯金、中間層、表層の材料、性質、厚さについては、この例では定着ローラ300におけるのと同様であるため、個々の説明を省略する。
この実施形態では、定着ローラ300の近傍に、本体ケーシング101に対して図示しないフレームを介して支持されて固定されたダクト30を備えている。ダクト30は、上記定着温度に対する耐熱性をもつ樹脂材料、またはアルミニウムや鉄などの金属材料のうちいずれからなっていても良い。
図4(A)によって良く分かるように、このダクト30は、芯金301の周りで、周方向に沿ってゴム層302の端部302eに面する位置に設けられた一対の取込口31,31(図4(A)では左側の取込口31のみ示す)と、これらの取込口31,31の上部にそれぞれ連通し、取込口31,31の上部から上方へ向かって鉛直方向(Z方向)に延びる一対の第1鉛直部32,32と、これらの第1鉛直部32,32の上部にそれぞれ連通し、第1鉛直部32,32の上部から水平方向(X方向)に延びて定着ローラ300の中央部に対応する箇所で合流する一対の水平部33,33と、これらの水平部33,33の合流箇所に連通し、その合流箇所から上方へ向かって鉛直方向(Z方向)に延びる第2鉛直部34とを有している。この第2鉛直部34の上部は、ダクト30の出口35になっている。
図4(B)によって良く分かるように、ダクト30の取込口31は、定着ローラ300の外周のうち加圧ローラ131と接する部分を除く略全周を取り巻いている。取込口31の周方向に関する端面(上下の端面)31a,31bは、定着ローラ300の外周面に対して若干の隙間を有して、閉じられている。
定着ローラ300の中心軸Cに沿った断面で見ると、図5に示すように、ダクト30の取込口31は、ゴム層302の端部302eよりも芯金301の端部301eに近い第1側壁31eと、ゴム層302の端部302eよりも芯金301の端部301eから遠い第2側壁31iとを有している。
芯金301の外周面301aのうちダクト30の第1側壁31eに対向する第1側壁対向部分301a1に、断熱性をもつスリーブ39が密着して被せられている。ダクト30の第1側壁31eの内周縁31e1は、スリーブ39の外周面39aから離間している。
また、第2側壁31iの内周縁31i1に、断熱性および弾性をもつシール部材38が取り付けられている。第2側壁31iの内周縁31i1は、シール部材38を介して、表層303の外周面303aのうちの第2側壁対向部分303a1に接している。表層303が離型性を有することから、動作時に定着ローラ300の中心軸Cの周りに回転するとき、表層303の第2側壁対向部分303a1は、シール部材38に対して円滑に摺動する。また、シール部材38による緩衝によって、第2側壁31iの内周縁31i1が表層303の外周面303aに対して直接接触して傷をつけるような事態が防止される。
図4(A)、図4(B)に示すように、ダクト30の第2鉛直部34の内部で出口35に面する箇所に、定着ローラ300のゴム層302(の端部302e)が発生した超微粒子Gを捕捉可能なフィルタ部材37が設けられている。なお、フィルタ部材37の品名、機能については、第1参考例におけるフィルタ部材14のものと同様である。
ダクト30の第2鉛直部34内部で、フィルタ部材37の上流側に相当する箇所に、気流発生部としての排気ファン36が設けられている。この排気ファン36によって、取込口31からダクト30の出口35へ向かう気流を確実に発生させることができる。
このような構成を備えた画像形成装置では、定着ローラ300がヒータ133によって180℃〜200℃の範囲内の定着温度に加熱される。搬送される用紙90が定着ローラ300の外周面303aに圧接されて用紙90に画像が定着される。
定着ローラ300が上記定着温度に加熱されると、定着ローラ300のゴム層302からシロキサンなどの超微粒子G(100nm以下の粒径をもつ)が発生する。ゴム層302の外周面302aは表層303で覆われているので、超微粒子Gはゴム層302の端部302eから噴出しようとする。
ここで、この画像形成装置では、ゴム層302の端部302eから噴出しようとする超微粒子Gは、芯金301の周りで、周方向に沿ってゴム層302の端部302eに面する位置に設けられた取込口31から、ダクト30内に取り込まれる。ダクト30内に取り込まれた超微粒子Gは、排気ファン36が発生させる気流に乗って、取込口31からダクト30の第1鉛直部32、水平部33、第2鉛直部34を通してダクト30の出口35へ向かって流れる。そして、ダクト30を通して流れる超微粒子Gは、ダクト30の出口35に面する箇所に設けられたフィルタ部材37によって捕捉される。この結果、この画像形成装置によれば、機内や周囲の環境の汚染を防止できる。
この画像形成装置では、図5中に示したように、ダクト30の取込口31をなす第1側壁の内周縁31e1は、スリーブ39の外周面39aから(したがって芯金301の外周面301aから)離間している。したがって、ダクトの取込口近傍の空気が、スリーブ39の外周面39aと第1側壁31eの内周縁31e1との間の隙間31e1を通してダクト30内へ流入することができる。この結果、排気ファン36は、取込口31からダクト30の出口35へ向かう気流Aを発生させ易くなる。
また、図5中に示したダクト30内へ流入する空気Aによって、芯金301の外周面301aのうち第1側壁対向部分301a1の熱が奪われて、その第1側壁対向部分301a1の温度が低下する傾向が生ずる。ここで、この画像形成装置では、第1側壁対向部分301a1に、断熱性をもつスリーブ39が被せられている。したがって、第1側壁対向部分301a1の温度が低下するのを防止できる。
一方、ダクト30の取込口31をなす第2側壁31iの内周縁31i1は、シール部材38を介して、表層303の外周面303aのうちの第2側壁対向部分303a1に接している。したがって、ダクト30の取込口31近傍の空気が、第1側壁31eとは反対の第2側壁31iの側からダクト30内へ流入することはない。この結果、定着ローラ300のうち、定着ローラ300のうち用紙90(図4(A)中に示す)が圧接される領域(ゴム層302に対応する領域内に存在する)の温度が低下するような事態を有効に防止できる。
また、ダクト30は、取込口31から、第1鉛直部32、水平部33、第2鉛直部34を通してダクト30の出口35へ連なっている。つまり、ダクト30は、取込口31から出口35まで、実質的に上方へ向かって延びている。したがって、この画像形成装置では、気流発生部として、上記定着温度に加熱された定着ローラ3000が発生させる上昇気流を利用できる。これにより、上昇気流を利用しない場合に比して、排気ファン36の回転速度を低速に抑えることができる。したがって、ダクト30の取込口31近傍の空気Aの流入によって、定着ローラ300の温度が低下するような事態をさらに有効に防止できる。
また、ゴム層302から発生した超微粒子G(シロキサンなど)のガス圧は、フィルタ部材37を通して逃げる。したがって、ゴム層302と表層303との間の剥離が生じるのを防止できる。
なお、スリーブ39の外周面39aと第1側壁31eの内周縁31e1との間の隙間31e1は、第1側壁31eの全域にわたって設けられるのではなく、周方向に関して第1側壁31eの一部(例えば最下部)にのみ設けられていても良い。
また、フィルタ部材37は、ダクト30の出口35に面する箇所ではなく、ダクト30の内部に設けられていても良い。
(第2実施形態)
図6(A)は、上記画像形成装置100に含まれた定着装置近傍の別の態様を定着ローラ300の中心軸Cに対して垂直な方向(+Y方向)から見たところを示している。図6(B)は、図6(A)に示すものを左方向(+X方向)から見たところを示している。
図6(A)、図6(B)中に示す定着ローラ300(図1中の定着ローラ132に相当する)自体は、第1実施形態におけるのと同様に、図15(A)に示した一般的なものと同じ物である。定着ローラ300を構成する芯金301、ゴム層302、表層303の材料、性質、厚さについては、第1参考例における芯金11、ゴム層12、表層13のものと同様であるため、個々の説明を省略する。芯金301の内部空間には、定着ローラ300を所定の目標温度(この例では、180℃〜200℃の範囲内の定着温度)に加熱する加熱源としてのヒータ(図1中のヒータ133に相当)が設けられている。
一方、図6(A)中に示すように、加圧部材としての加圧ローラ131′は、定着ローラ300の長さよりも短い長さの円筒状の外形(中心軸C′)をもつ。詳しくは、定着ローラ300の中心軸Cに沿った方向(X方向)に関して、加圧ローラ131′の寸法は、用紙90(図6(A)中に示す)の寸法よりも大きく、かつ、ゴム層302および表層303の寸法よりも小さい。加圧ローラ131′は、この例では定着ローラ300と同様に、芯金と、中間層と、表層との3層構造になっている。加圧ローラ131′を構成する芯金、中間層、表層の材料、性質、厚さについては、この例では定着ローラ300におけるのと同様であるため、個々の説明を省略する。
この実施形態では、定着ローラ300の近傍に、本体ケーシング101に対して図示しないフレームを介して支持されて固定されたダクト40を備えている。ダクト40は、上記定着温度に対する耐熱性をもつ樹脂材料、またはアルミニウムや鉄などの金属材料のうちいずれからなっていても良い。
このダクト40は、芯金301の周りで、周方向に沿ってゴム層302の端部302eに面する位置に設けられた一対の取込口41,41(図6(A)では左側の取込口41のみ示す)と、これらの取込口41,41の上部にそれぞれ連通し、取込口41,41の上部から上方へ向かって鉛直方向(Z方向)に延びる一対の第1鉛直部42,42と、これらの第1鉛直部42,42の上部にそれぞれ連通し、第1鉛直部42,42の上部から水平方向(X方向)に延びて定着ローラ300の中央部に対応する箇所で合流する一対の水平部43,43と、これらの水平部43,43の合流箇所に連通し、その合流箇所から上方へ向かって鉛直方向(Z方向)に延びる第2鉛直部44とを有している。この第2鉛直部44の上部は、ダクト40の出口45になっている。
図6(B)によって良く分かるように、ダクト40の取込口41は、定着ローラ300のゴム層302の端部302e(および表層303の端部303e)の全周を取り巻いて覆っている。この実施形態では、この点が第1実施形態と異なっている。
定着ローラ300の中心軸Cに沿った断面で見たとき、この実施形態におけるダクト40の取込口41近傍の態様、つまり定着ローラ300と取込口41の第1側壁、第2側壁との関係は、図5に示した第1実施形態におけるダクト30の取込口31近傍の態様と全く同様に構成されている。
図6(A)、図6(B)に示すように、ダクト40の第2鉛直部44の内部で出口45に面する箇所に、定着ローラ300のゴム層302(の端部302e)が発生した超微粒子Gを捕捉可能なフィルタ部材47が設けられている。なお、フィルタ部材47の品名、機能については、第1参考例におけるフィルタ部材14のものと同様である。
ダクト40の第2鉛直部44内部で、フィルタ部材47の上流側に相当する箇所に、気流発生部としての排気ファン46が設けられている。この排気ファン46によって、取込口41からダクト40の出口45へ向かう気流を確実に発生させることができる。
この画像形成装置では、動作時に、定着ローラ300が上記定着温度に加熱されると、定着ローラ300のゴム層302からシロキサンなどの超微粒子G(100nm以下の粒径をもつ)が発生する。ゴム層302の外周面302aは表層303で覆われているので、超微粒子Gはゴム層302の端部302eから噴出しようとする。ゴム層302の端部302eから噴出しようとする超微粒子Gは、芯金301の周りで、周方向に沿ってゴム層302の端部302eに面する位置に設けられた取込口41から、ダクト40内に取り込まれる。ダクト40内に取り込まれた超微粒子Gは、排気ファン46が発生させる気流に乗って、取込口41からダクト40の第1鉛直部42、水平部43、第2鉛直部44を通してダクト40の出口45へ向かって流れる。そして、ダクト40を通して流れる超微粒子Gは、ダクト40の出口45に面する箇所に設けられたフィルタ部材47によって捕捉される。この結果、この画像形成装置によれば、機内や周囲の環境の汚染を防止できる。
また、この画像形成装置では、ダクト40の取込口41は、ゴム層302の端部302e(および表層303の端部303e)の全周を覆っているので、定着ローラ300のゴム層302の端部302eから噴出した超微粒子を、取込口41を通してダクト40内に確実に取り込むことができる。
(第3実施形態)
図7は、上記画像形成装置100に含まれた定着装置近傍のさらに別の態様を定着ローラ300の中心軸Cに沿った方向(+X方向)から見たところを示している。
図7中に示す定着ローラ300(図1中の定着ローラ132に相当する)自体は、第1実施形態におけるのと同様に、図15(A)に示した一般的なものと同じ物である。定着ローラ300を構成する芯金301、ゴム層302、表層303の材料、性質、厚さについては、第1参考例における芯金11、ゴム層12、表層13のものと同様であるため、個々の説明を省略する。芯金301の内部空間には、定着ローラ300を所定の目標温度(この例では、180℃〜200℃の範囲内の定着温度)に加熱する加熱源としてのヒータ(図1中のヒータ133に相当)が設けられている。
また、加圧部材としての加圧ローラ131は、第1実施形態におけるのと同様に、定着ローラ300の長さと略同一の長さの円筒状の外形(中心軸C′)をもつ。詳しくは、定着ローラ300の中心軸Cに沿った方向(X方向)に関して、加圧ローラ131の寸法は、定着ローラ300の寸法と実質的に等しい。加圧ローラ131は、この例では定着ローラ300と同様に、芯金と、中間層と、表層との3層構造になっている。加圧ローラ131を構成する芯金、中間層、表層の材料、性質、厚さについては、この例では定着ローラ300におけるのと同様であるため、個々の説明を省略する。
この実施形態では、定着ローラ300の近傍に、本体ケーシング101に対して図示しないフレームを介して支持されて固定されたダクト40′を備えている。ダクト40′は、上記定着温度に対する耐熱性をもつ樹脂材料、またはアルミニウムや鉄などの金属材料のうちいずれからなっていても良い。
このダクト40′は、図6(A)、図6(B)中に示したダクト40と同様に、芯金301の周りで、周方向に沿ってゴム層302の端部302eに面する位置に設けられた一対の取込口41′,41′(図7では手前の取込口41′のみ示す)と、これらの取込口41′,41′の上部にそれぞれ連通し、取込口41′,41′の上部から上方へ向かって鉛直方向(Z方向)に延びる一対の第1鉛直部42′,42′(図7では手前の第1鉛直部42′のみ示す)と、これらの第1鉛直部42′,42′の上部にそれぞれ連通し、第1鉛直部42′,42′の上部から水平方向(X方向)に延びて定着ローラ300の中央部に対応する箇所で合流する一対の水平部43′,43′(図7では手前の水平部43′のみ示す)と、これらの水平部43′,43′の合流箇所に連通し、その合流箇所から上方へ向かって鉛直方向(Z方向)に延びる第2鉛直部44′とを有している。この第2鉛直部44′の上部は、ダクト40′の出口45′になっている。
図7によって良く分かるように、ダクト40′の取込口41′は、定着ローラ300のうち定着ローラ300のゴム層302の端部302e(および表層303の端部303e)と、加圧ローラ131のうちゴム層302の端部302eに対応する部分とを一括して全周を取り巻いて覆っている。この実施形態では、この点が第1実施形態と異なっている。
定着ローラ300の中心軸Cに沿った断面で見たとき、この実施形態におけるダクト40′の取込口41′近傍の態様、つまり定着ローラ300と取込口41′の第1側壁、第2側壁との関係は、図5に示した第1実施形態におけるダクト30の取込口31近傍の態様と全く同様に構成されている。このため、詳細な説明を省略する。
図7に示すように、ダクト40′の第2鉛直部44′の内部で出口45′に面する箇所に、定着ローラ300のゴム層302(の端部302e)が発生した超微粒子Gを捕捉可能なフィルタ部材47′が設けられている。なお、フィルタ部材47′の品名、機能については、第1参考例におけるフィルタ部材14のものと同様である。
ダクト40′の第2鉛直部44′内部で、フィルタ部材47′の上流側に相当する箇所に、気流発生部としての排気ファン46′が設けられている。この排気ファン46′によって、取込口41′からダクト40′の出口45′へ向かう気流を確実に発生させることができる。
この画像形成装置では、動作時に、定着ローラ300が上記定着温度に加熱されると、定着ローラ300のゴム層302からシロキサンなどの超微粒子G(100nm以下の粒径をもつ)が発生する。ゴム層302の外周面302aは表層303で覆われているので、超微粒子Gはゴム層302の端部302eから噴出しようとする。ゴム層302の端部302eから噴出しようとする超微粒子Gは、芯金301の周りで、周方向に沿ってゴム層302の端部302eに面する位置に設けられた取込口41′から、ダクト40′内に取り込まれる。ダクト40′内に取り込まれた超微粒子Gは、排気ファン46′が発生させる気流に乗って、取込口41′からダクト40′の第1鉛直部42′、水平部43′、第2鉛直部44′を通してダクト40′の出口45′へ向かって流れる。そして、ダクト40′を通して流れる超微粒子Gは、ダクト40′の出口45′に面する箇所に設けられたフィルタ部材47′によって捕捉される。この結果、この画像形成装置によれば、機内や周囲の環境の汚染を防止できる。
また、この画像形成装置では、ダクト40′の取込口41′は、定着ローラ300のゴム層302の端部302e(および表層303の端部303e)と、加圧ローラ131のうちゴム層302の端部302eに対応する部分とを一括して全周を取り巻いて覆っている。したがって、定着ローラ300のゴム層302の端部302eから噴出した超微粒子だけでなく、加圧ローラ131のゴム層の端部から噴出した超微粒子をも、取込口41′を通してダクト40′内に確実に取り込むことができる。
なお、上述の第1〜第3の実施形態において、それぞれダクト30,40,40′の内部で、フィルタ部材37,47,47′の上流側に相当する箇所に排気ファン36,46,46′を配置したが、これに限られるものではない。フィルタ部材37,47,47′の圧損と定着ローラの温度上昇による上昇気流とを考慮して、フィルタ部材37,47,47′の下流側に排気ファン36,46,46′を配置しても良い。
(第4実施形態)
図8(A)は、上記画像形成装置100に含まれた定着装置近傍のさらに別の態様を定着ローラ300の中心軸Cに対して垂直な方向(+Y方向)から見たところを示している。図8(B)は、図8(A)に示すものを左方向(+X方向)から見たところを示している。なお、理解の容易のため、図8(A)では、加圧ローラ131の図示を省略している。
図8(A)、図8(B)中に示す定着ローラ300(図1中の定着ローラ132に相当する)自体は、第1実施形態におけるのと同様に、図15(A)に示した一般的なものと同じ物である。定着ローラ300を構成する芯金301、ゴム層302、表層303の材料、性質、厚さについては、第1参考例における芯金11、ゴム層12、表層13のものと同様であるため、個々の説明を省略する。芯金301の内部空間には、定着ローラ300を所定の目標温度(この例では、180℃〜200℃の範囲内の定着温度)に加熱する加熱源としてのヒータ(図1中のヒータ133に相当)が設けられている。
また、加圧部材としての加圧ローラ131は、第1実施形態におけるのと同様に、定着ローラ300の長さと略同一の長さの円筒状の外形(中心軸C′)をもつ。詳しくは、定着ローラ300の中心軸Cに沿った方向(X方向)に関して、加圧ローラ131の寸法は、定着ローラ300の寸法と実質的に等しい。加圧ローラ131は、この例では定着ローラ300と同様に、芯金と、中間層と、表層との3層構造になっている。加圧ローラ131を構成する芯金、中間層、表層の材料、性質、厚さについては、この例では定着ローラ300におけるのと同様であるため、個々の説明を省略する。
この実施形態では、定着ローラ300の近傍に、本体ケーシング101に対して図示しないフレームを介して支持されて固定された一対のダクト50,50を備えている。各ダクト50は、上記定着温度に対する耐熱性をもつ樹脂材料、またはアルミニウムや鉄などの金属材料のうちいずれからなっていても良い。
図8(A)、図8(B)に示すように、各ダクト50は、芯金301の周りで、周方向に沿ってゴム層302の端部302eに面する位置に設けられた取込口51と、これらの取込口51から上方へ向かって鉛直方向(Z方向)に延びる鉛直部52とを有している。この鉛直部52の上部は、ダクト50の出口55になっている。
図8(B)によって良く分かるように、ダクト50の取込口51は、定着ローラ300のゴム層302の端部302e(および表層303の端部303e)と、加圧ローラ131のうちゴム層302の端部302eに対応する部分との上方に、それらをまたがって設けられている。ダクト50の取込口51は、定着ローラ300のゴム層302の端部302e(および表層303の端部303e)と、加圧ローラ131のうちゴム層302の端部302eに対応する部分とを覆うように、上に凸に湾曲している。
図8(A)、図8(B)に示すように、ダクト50の鉛直部52の内部で出口55に面する箇所に、定着ローラ300のゴム層302(の端部302e)が発生した超微粒子Gを捕捉可能なフィルタ部材57が設けられている。なお、フィルタ部材57の品名、機能については、第1参考例におけるフィルタ部材14のものと同様である。
この実施形態では、上記気流発生部は、動作時に上記定着温度に加熱されて上昇気流Aを発生させる定着ローラ300と、定着ローラ300の温度上昇に伴って或る程度温度上昇する加圧ローラ131とからなっている。
この画像形成装置では、動作時に、定着ローラ300が上記定着温度に加熱されると、定着ローラ300のゴム層302からシロキサンなどの超微粒子G(100nm以下の粒径をもつ)が発生する。ゴム層302の外周面302aは表層303で覆われているので、超微粒子Gはゴム層302の端部302eから噴出しようとする。ゴム層302の端部302eから噴出しようとする超微粒子Gは、芯金301の周りで、周方向に沿ってゴム層302の端部302eに面する位置に設けられた取込口51から、定着ローラ300が発生する上昇気流Aに乗って、ダクト50内に取り込まれる。ダクト50内に取り込まれた超微粒子Gは、上昇気流Aに乗って、取込口51からダクト50の鉛直部52を通してダクト50の出口55へ向かって流れる。そして、ダクト50を通して流れる超微粒子Gは、ダクト50の出口55に面する箇所に設けられたフィルタ部材57によって捕捉される。この結果、この画像形成装置によれば、機内や周囲の環境の汚染を防止できる。
この画像形成装置では、上記気流発生部が既存の定着ローラ300と加圧ローラ131とによって構成されている。したがって、超微粒子対策のためのコストアップを抑制することができる。また、例えば第1実施形態におけるダクト30に比して、ダクト50,50の大きさ(体積)を小さくできる。この結果、画像形成装置を小型に構成できるとともに、コストアップをさらに抑制することができる。
(第5実施形態)
図9(A)は、上記画像形成装置100に含まれた定着装置近傍のさらに別の態様を定着ローラ300の中心軸Cに対して垂直な方向(+Y方向)から見たところを示している。図9(B)は、図9(A)に示すものを左方向(+X方向)から見たところを示している。なお、理解の容易のため、図9(A)では、加圧ローラ131の図示を省略している。
図9(A)、図9(B)中に示す定着ローラ300(図1中の定着ローラ132に相当する)自体は、第1実施形態におけるのと同様に、図15(A)に示した一般的なものと同じ物である。定着ローラ300を構成する芯金301、ゴム層302、表層303の材料、性質、厚さについては、第1参考例における芯金11、ゴム層12、表層13のものと同様であるため、個々の説明を省略する。芯金301の内部空間には、定着ローラ300を所定の目標温度(この例では、180℃〜200℃の範囲内の定着温度)に加熱する加熱源としてのヒータ(図1中のヒータ133に相当)が設けられている。
また、加圧部材としての加圧ローラ131は、第1実施形態におけるのと同様に、定着ローラ300の長さと略同一の長さの円筒状の外形(中心軸C′)をもつ。詳しくは、定着ローラ300の中心軸Cに沿った方向(X方向)に関して、加圧ローラ131の寸法は、定着ローラ300の寸法と実質的に等しい。加圧ローラ131は、この例では定着ローラ300と同様に、芯金と、中間層と、表層との3層構造になっている。加圧ローラ131を構成する芯金、中間層、表層の材料、性質、厚さについては、この例では定着ローラ300におけるのと同様であるため、個々の説明を省略する。
この実施形態では、定着ローラ300の近傍に、本体ケーシング101に対して図示しないフレームを介して支持されて固定されたダクト60を備えている。ダクト60は、上記定着温度に対する耐熱性をもつ樹脂材料、またはアルミニウムや鉄などの金属材料のうちいずれからなっていても良い。
このダクト60は、芯金301の周りで、周方向に沿ってゴム層302の端部302eに面する位置に設けられた一対の取込口61,61と、これらの取込口61,61から上方へ向かって鉛直方向(Z方向)に延びる一対の第1鉛直部62,62と、これらの第1鉛直部62,62の上部にそれぞれ連通し、第1鉛直部62,62の上部から水平方向(X方向)に延びて定着ローラ300の中央部に対応する箇所で合流する一対の水平部63,63と、これらの水平部63,63の合流箇所に連通し、その合流箇所から上方へ向かって鉛直方向(Z方向)に延びる第2鉛直部64とを有している。この第2鉛直部64の上部は、ダクト60の出口65になっている。
図9(B)によって良く分かるように、ダクト60の取込口61は、定着ローラ300のゴム層302の端部302e(および表層303の端部303e)と、加圧ローラ131のうちゴム層302の端部302eに対応する部分との上方に、それらをまたがって設けられている。ダクト60の取込口61は、定着ローラ300のゴム層302の端部302e(および表層303の端部303e)と、加圧ローラ131のうちゴム層302の端部302eに対応する部分とを覆うように、上に凸に湾曲している。
図9(A)、図9(B)に示すように、ダクト60の鉛直部62の内部で出口65に面する箇所に、定着ローラ300のゴム層302(の端部302e)が発生した超微粒子Gを捕捉可能なフィルタ部材67が設けられている。なお、フィルタ部材67の品名、機能については、第1参考例におけるフィルタ部材14のものと同様である。
ダクト60の第2鉛直部64内部で、フィルタ部材67の上流側に相当する箇所に、取込口61からダクト60の出口65へ向かう気流を発生させる排気ファン66が設けられている。
この実施形態では、上記気流発生部は、動作時に上記定着温度に加熱されて上昇気流Aを発生させる定着ローラ300と、定着ローラ300の温度上昇に伴って或る程度温度上昇する加圧ローラ131と、排気ファン66とからなっている。
この画像形成装置では、動作時に、定着ローラ300が上記定着温度に加熱されると、定着ローラ300のゴム層302からシロキサンなどの超微粒子G(100nm以下の粒径をもつ)が発生する。ゴム層302の外周面302aは表層303で覆われているので、超微粒子Gはゴム層302の端部302eから噴出しようとする。ゴム層302の端部302eから噴出しようとする超微粒子Gは、芯金301の周りで、周方向に沿ってゴム層302の端部302eに面する位置に設けられた取込口61から、定着ローラ300が発生する上昇気流Aに乗って、ダクト60内に取り込まれる。ダクト60内に取り込まれた超微粒子Gは、上昇気流Aに乗って、取込口61からダクト60の第1鉛直部62、水平部63、第2鉛直部64を通してダクト60の出口65へ向かって流れる。そして、ダクト60を通して流れる超微粒子Gは、ダクト60の出口65に面する箇所に設けられたフィルタ部材67によって捕捉される。この結果、この画像形成装置によれば、機内や周囲の環境の汚染を防止できる。
この画像形成装置では、上記気流発生部が既存の定着ローラ300および加圧ローラ131と、排気ファン66とからなっている。したがって、取込口61からダクト60の出口65へ向かう気流Aを確実に発生させることができる。
なお、上述の第1〜第3の実施形態において述べたのと同様に、フィルタ部材の圧損と定着ローラの温度上昇による上昇気流とを考慮して、フィルタ部材67の下流側に排気ファン66を配置しても良い。
(第6実施形態)
図10(A)は既述の一般的な定着ローラ300の完成形態を斜めから見たところを示している。一般的な定着ローラ300は、芯金301とチューブ状の表層303を金型にセットし、芯金301と表層303の間にゴム層302を射出成形した後、2次加硫を行って作製される。図10(B)は、芯金71の中心軸に沿った方向に関して、定着ローラ300の芯金301のうち、表層303(およびゴム層302)が占める領域Lと対応する全域に分布して、芯金301の外周面と内周面とを貫通する複数の貫通孔T,T,…を設けた態様を示している。このように、芯金301のうちゴム層302が占める領域Lの全域に分布して複数の貫通孔T,T,…を設けた場合、上記2次加硫の工程で、不要な超微粒子(シロキサン等)等の物質を貫通孔T,T,…を通して逃がしやすくなる。したがって、定着ローラ300の完成後に、超微粒子の放散量を減らすことができる。図10(C)は、芯金71の中心軸に沿った方向に関して、定着ローラ300の芯金301のうち、表層303(および既述のゴム層302)が占める領域Lの端部Leにのみ、そのような複数の貫通孔T′,T′,…を設けた態様を示している。次に述べる実施形態では、図10(B)に示した芯金301と同様に、複数の貫通孔を有する芯金を用いる。
図11は、上記画像形成装置100に含まれた定着装置近傍のさらに別の態様の断面構成を示している。
この実施形態では、定着ローラ70は、円筒状の基材としての芯金71と、この芯金71の外周面71a(特に後述する71c)を覆うように設けられたゴム層72と、このゴム層72の外周面72aを覆うように設けられた表層73との3層からなっている。芯金71の内部空間には、定着ローラ70を所定の目標温度(この例では、180℃〜200℃の範囲内の定着温度)に加熱する加熱源としてのヒータ75(図1中のヒータ133に相当)が設けられている。
芯金71の材料、性質、端部近傍の厚さ、また、ゴム層72、表層73の材料、性質、厚さについては、第1参考例における芯金11、ゴム層12、表層13のものと同様であるため、個々の説明を省略する。
芯金71の端部71eは、本体ケーシング101に対して軸受け76を介して支持されている。これにより、フレーム芯金71が中心軸Cの周りに回転することができる。また、芯金71の端部71eに対して、ヒータ75の端部(図11における右端)は軸受け77によって支持されている。これにより、芯金71が中心軸Cの周りに回転するとき、ヒータ75は静止状態を維持することができる。
芯金71の中心軸Cに沿った方向、すなわちこの定着ローラ70に圧接されるべき用紙90の幅方向に関して、ゴム層72の端部72eと表層73の端部73eは、それぞれ芯金71の端部71eよりも内側に位置している。第1参考例におけるのとは異なり、表層73の端部73eはゴム層72の端部72eよりも芯金71の端部71eに近い位置にある。
しかも、この実施形態では、中心軸Cに沿った方向に関して表層73が平坦になるように、芯金71の外周面71aのうちゴム層72に対応する領域は、ゴム層72の厚さ分だけ窪んでいる。このように表層73が平坦になっている(しわ等が無い)ので、芯金71の端部71e近傍の外周面71aに表層73の端部73eは良好に密着している。この結果、芯金71の端部71e近傍の外周面71aに密着した表層73の端部73eによって、ゴム層72の端部72eを覆う封止部が構成されている。これにより、超微粒子対策のためのコストアップを抑制することができる。
また、芯金71の中心軸Cに沿った方向、すなわちこの定着ローラ70に圧接されるべき用紙90の幅方向に関して、芯金71のうち、ゴム層72に対応する領域(図10(B)中の領域Lに相当する)の全域に分布して、芯金71の外周面71aと内周面71bとを貫通する複数の貫通孔71T,71T′,…が形成されている。複数の貫通孔71T,71T′,…がゴム層72に対応する領域Lの全域に分布して形成されているので、ゴム層72から発生した超微粒子Gを、複数の貫通孔71T,71T′,…を通して、芯金71の内部空間71iへ容易に噴出させることができる。また、定着ローラ70の作製段階の2次加硫の工程(既述)で、不要な超微粒子(シロキサン等)等の物質を貫通孔71T,71T′,…を通して逃がしやすくなる。したがって、完成した定着ローラ70について、超微粒子Gの放散量を減らすことができる。
複数の貫通孔71T,71T′,…のうち幾つかの貫通孔71T′(図10(C)中のT′に相当する。)は、芯金71の中心軸Cに沿った方向に関してゴム層72の端部72eにまたがる位置Le(図10(C)中のLeに相当する)に設けられている。したがって、ゴム層72の端部72eからゴム層72の外部へ噴出しようとする超微粒子Gは、ゴム層72の端部72eにまたがる貫通孔71T′を通して、芯金71の内部空間71iへ円滑に噴出される。したがって、ゴム層72の端部72eからゴム層72の外部へ噴出しようとする超微粒子Gよって、ゴム層72の端部72eを覆う上記封止部(つまり、芯金71の端部71e近傍の外周面71aと表層73の端部73eとの密着)が損なわれることがない。
なお、仮にゴム層72の端部72eのところに閉じた空間(隙間)が生じた場合、定着ローラ70の昇温、降温の繰り返しに伴って、ゴム層72と表層73とが、互いの膨張率の相違に起因して剥がれるおそれがある。ここで、この画像形成装置では、幾つかの貫通孔71T′がゴム層72の端部72eにまたがる位置Leに設けられている。したがって、ゴム層72と表層73との剥がれが生じるのを防止できる。
芯金71の内部空間71iのうち、芯金71の中心軸Cに沿った方向に関して複数の貫通孔71T,71T′,…よりも外側に相当する領域に、ゴム層72から発生した超微粒子Gを捕捉可能なフィルタ部材74が設けられている。フィルタ部材74は、芯金71の端部71e近傍の内周面71bと軸受け77との間に挟持されている。このようにフィルタ部材74を配置した場合、フィルタ部材74の体積を容易に確保でき、その結果、超微粒子Gを長期間にわたって捕捉することが可能となる。
フィルタ部材74の濾材としては、第1参考例におけるフィルタ部材14のものと同様のものを用いることができる。この実施形態ではフィルタ部材74の体積を容易に確保できることから、フィルタ部材74の濾材として、カーボンまたはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を主成分とするものを用いることができる。カーボンを主成分とした場合、フィルタ部材74の耐熱性を確保し易い。また、フィルタ部材74を比較的簡単に構成できる。また、フィルタ部材74の表面積を確保し易く、その結果、超微粒子Gをさらに長期間にわたって捕捉することが可能となる。PTFEを主成分とした場合、フィルタ部材74の耐熱性を確保し易い。
この定着ローラ70を備えた画像形成装置では、第1参考例におけるのと同様に、定着ローラ70がヒータ75によって180℃〜200℃の範囲内の定着温度に加熱される。搬送される用紙90が定着ローラ70の外周面73aに圧接されて用紙90に画像が定着される。
定着ローラ70が定着温度に加熱されると、定着ローラ70のゴム層72からシロキサンなどの超微粒子(100nm以下の粒径をもつ)が発生する。ここで、上述のように、ゴム層72の外周面72aは表層73で覆われている。また、ゴム層72の端部72eは上記封止部(つまり、芯金71の端部71e近傍の外周面71aと表層73の端部73eとの密着)で覆われている。このため、この画像形成装置では、定着ローラ70のゴム層72から発生した超微粒子Gは、芯金71に設けられた複数の貫通孔71T,71T′,…を通して、芯金71の内部空間71iへ噴出し、さらに芯金71の内部空間71iを中心軸Cに沿った方向に沿って移動して、芯金71の外部へ出ようとする。そして、芯金71の外部へ出ようとする超微粒子Gは、フィルタ部材74によって捕捉される。この結果、この画像形成装置によれば、機内や周囲の環境の汚染を防止できる。
(第7実施形態)
図12は、上記画像形成装置100に含まれた定着装置近傍のさらに別の態様の断面構成を示している。
この実施形態でも、図10(B)に示した芯金301と同様に、複数の貫通孔を有する芯金を用いる。
この実施形態では、定着ローラ80は、円筒状の基材としての芯金81と、この芯金81の外周面81aを覆うように設けられたゴム層82と、このゴム層82の外周面82aを覆うように設けられた表層83との3層からなっている。芯金81の内部空間には、定着ローラ80を所定の目標温度(この例では、180℃〜200℃の範囲内の定着温度)に加熱する加熱源としてのヒータ85(図1中のヒータ133に相当)が設けられている。
芯金81、ゴム層82、表層83の材料、性質、厚さについては、第1参考例における芯金11、ゴム層12、表層13のものと同様であるため、個々の説明を省略する。
芯金81の端部81eは、本体ケーシング101に対して軸受け86を介して支持されている。これにより、フレーム芯金81が中心軸Cの周りに回転することができる。また、芯金81の端部81eに対して、ヒータ85の端部(図11における右端)は軸受け87によって支持されている。これにより、芯金81が中心軸Cの周りに回転するとき、ヒータ85は静止状態を維持することができる。
芯金81の中心軸Cに沿った方向、すなわちこの定着ローラ80に圧接されるべき用紙90の幅方向に関して、ゴム層82の端部82eと表層83の端部83eは、それぞれ芯金81の端部81eよりも内側で、互いに同じ位置に位置している。
この実施形態では、芯金81上に、周方向に沿って、表層83の端部83eとともにゴム層82の端部82eを封じる封止部としてのシール材88が設けられている。このシール材88はフッ素系接着剤からなる。したがって、シール材88がシロキサンを発生することがなく、超微粒子の発生源になることがない。また、このシール材88によって、ゴム層82の端部82eを確実に覆うことができる。また、第6実施形態とは異なり、芯金81の外周面81aに対してゴム層の厚さ分だけ窪みを形成するような特殊な加工を行う必要がない。
また、芯金81の中心軸Cに沿った方向、すなわちこの定着ローラ80に圧接されるべき用紙90の幅方向に関して、芯金81のうち、ゴム層82に対応する領域(図10(B)中の領域Lに相当する)の全域に分布して、芯金81の外周面81aと内周面81bとを貫通する複数の貫通孔81T,81T′,…が形成されている。複数の貫通孔81T,81T′,…がゴム層82に対応する領域Lの全域に分布して形成されているので、ゴム層82から発生した超微粒子Gを、複数の貫通孔81T,81T′,…を通して、芯金81の内部空間81iへ容易に噴出させることができる。また、定着ローラ80の作製段階の2次加硫の工程(既述)で、不要な超微粒子(シロキサン等)等の物質を貫通孔81T,81T′,…を通して逃がしやすくなる。したがって、完成した定着ローラ80について、超微粒子Gの放散量を減らすことができる。
また、複数の貫通孔81T,81T′,…のうち幾つかの貫通孔81T′(図10(C)中のT′に相当する。)は、芯金81の中心軸Cに沿った方向に関してゴム層82の端部82eにまたがる位置Le(図10(C)中のLeに相当する)に設けられている。したがって、ゴム層82の端部82eからゴム層82の外部へ噴出しようとする超微粒子Gは、ゴム層82の端部82eにまたがる貫通孔81T′を通して、芯金81の内部空間81iへ円滑に噴出される。したがって、ゴム層82の端部82eからゴム層82の外部へ噴出しようとする超微粒子Gよって、ゴム層82の端部82eを覆うシール材88が損なわれることがない。
なお、仮にゴム層82の端部82eのところに閉じた空間(隙間)が生じた場合、定着ローラ80の昇温、降温の繰り返しに伴って、ゴム層82と表層83とが、互いの膨張率の相違に起因して剥がれるおそれがある。ここで、この画像形成装置では、幾つかの貫通孔81T′がゴム層82の端部82eにまたがる位置Leに設けられている。したがって、ゴム層82と表層83との剥がれが生じるのを防止できる。
芯金81の内部空間81iのうち、芯金81の中心軸Cに沿った方向に関して複数の貫通孔81T,81T′,…よりも外側に相当する領域に、ゴム層82から発生した超微粒子Gを捕捉可能なフィルタ部材84が設けられている。フィルタ部材84は、芯金81の端部81e近傍の内周面81bと軸受け87との間に挟持されている。フィルタ部材84は、芯金81の端部81e近傍の内周面81bと軸受け87との間に挟持されている。このようにフィルタ部材84を配置した場合、フィルタ部材84の体積を容易に確保でき、その結果、超微粒子Gを長期間にわたって捕捉することが可能となる。
フィルタ部材84の濾材としては、第1参考例におけるフィルタ部材14のものと同様のものを用いることができる。第6実施形態におけるのと同様にカーボンまたはPTFEを主成分とするものを用いることができる。
この定着ローラ80を備えた画像形成装置では、第1参考例におけるのと同様に、定着ローラ80がヒータ85によって180℃〜200℃の範囲内の定着温度に加熱される。搬送される用紙90が定着ローラ80の外周面83aに圧接されて用紙90に画像が定着される。
定着ローラ80が定着温度に加熱されると、定着ローラ80のゴム層82からシロキサンなどの超微粒子(100nm以下の粒径をもつ)が発生する。ここで、上述のように、ゴム層82の外周面82aは表層83で覆われている。また、表層83の端部83eとともにゴム層82の端部82eはシール材88で覆われている。このため、この画像形成装置では、定着ローラ80のゴム層82から発生した超微粒子Gは、芯金81に設けられた複数の貫通孔81T,81T′,…を通して、芯金81の内部空間81iへ噴出し、さらに芯金81の内部空間81iを中心軸Cに沿った方向に沿って移動して、芯金81の外部へ出ようとする。そして、芯金81の外部へ出ようとする超微粒子Gは、フィルタ部材84によって捕捉される。この結果、この画像形成装置によれば、機内や周囲の環境の汚染を防止できる。
(第8実施形態)
図13は、上記画像形成装置100に含まれた定着装置近傍のさらに別の態様の断面構成を示している。
この実施形態では、第7実施形態(図12)で芯金81の内部空間81iにフィルタ部材84を設けたのに代えて、芯金81の端部にダクト90を接続した態様になっている。図13では、図12中の構成要素と同じ構成要素に同じ符号を付して、個々の構成要素についての重複する説明を省略する。
図13に示すように、この実施形態では、定着ローラ80の芯金81の端部81eにダクト90が嵌合して設けられている。
このダクト90は、芯金81の端部81eの外周に嵌合された短円筒状の取込口91と、この取込口91に連通する箱部92と、箱部92の上部から上方へ向かって鉛直方向に延びる鉛直部93とを有している。この鉛直部93の上部は、ダクト90の出口(図示せず)になっている。定着ローラ80(の芯金81)の中心軸Cの周りの回転を許容するように、芯金81の端部81eの外周と取込口91の内周との間には若干の隙間が設けられている。なお、ヒータ85の端部(図13における右端)は、軸受け87を介してダクト90の箱部92の側壁によって支持されている。
例えば第1実施形態(図4(A)、図4(B)参照)におけるのと同様に、ダクト90の鉛直部93の内部でダクト出口に面する箇所に、定着ローラ80のゴム層82が発生した超微粒子Gを捕捉可能なフィルタ部材(図示せず)が設けられている。同様に、ダクト90の鉛直部93内部で、上記フィルタ部材の上流側に相当する箇所に、気流発生部としての排気ファン(図示せず)が設けられている。なお、フィルタ部材の圧損と定着ローラの温度上昇による上昇気流とを考慮して、フィルタ部材の下流側に排気ファンを配置しても良い。
この画像形成装置では、第7実施形態におけるのと同様に、定着ローラ80がヒータ85によって180℃〜200℃の範囲内の定着温度に加熱される。搬送される用紙90が定着ローラ80の外周面83aに圧接されて用紙90に画像が定着される。
定着ローラ80が定着温度に加熱されると、定着ローラ80のゴム層82からシロキサンなどの超微粒子(100nm以下の粒径をもつ)が発生する。ここで、ゴム層82の外周面82aは表層83で覆われている。また、表層83の端部83eとともにゴム層82の端部82eはシール材88で覆われている。このため、この画像形成装置では、定着ローラ80のゴム層82から発生した超微粒子Gは、芯金81に設けられた複数の貫通孔81T,81T′,…を通して、芯金81の内部空間81iへ噴出し、さらに芯金81の内部空間81iを中心軸Cに沿った方向に沿って移動して、芯金81の外部へ出ようとする。芯金81の外部へ出ようとする超微粒子Gは、芯金81の端部81eの外周に嵌合された取込口91から、ダクト90内に取り込まれる。ダクト90内に取り込まれた超微粒子Gは、上記排気ファンが発生させる気流に乗って、取込口91からダクト90の箱部92、鉛直部93を通してダクト出口へ向かって流れる。そして、ダクト90を通して流れる超微粒子Gは、上記フィルタ部材によって捕捉される。この結果、この画像形成装置によれば、機内や周囲の環境の汚染を防止できる。
なお、上記排気ファンが芯金81の内部空間81iに気流を発生させ易いように、芯金81の図13における左側の端部(図示せず)に、微少な開口を設けても良い。
ただし、芯金81の内部空間81iでの気流があまり速くなり過ぎると、定着ローラ80の温度低下を招き、温度分布を不安定にする。そこで、芯金81の内部空間81iでの気流の速さは0.1m/s以下であるのが望ましい。これにより、定着ローラ80の温度低下が比較的少なくなる。また、上記フィルタ部材が超微粒子を捕捉する効率が上がる。
上述の第6、第7および第8実施形態では、芯金71,81のうち、ゴム層72,82に対応する領域Lの全域に分布して複数の貫通孔71T,71T′,…;81T,81T′,…が形成されているものとした。しかしながら、これに限られるものではなく、上記複数の貫通孔は、芯金のうち中心軸に沿った方向に関して、ゴム層に対応する領域L内であって、かつ用紙90が圧接されるべき領域の外側に相当する部分に限定して設けられていても良い。例えば図10(C)に示したように、芯金の中心軸に沿った方向に関して、表層およびゴム層が占める領域の端部Leにのみ、そのような複数の貫通孔T′,T′,…を設けても良い。そのようにした場合、複数の貫通孔T′,T′,…の存在が、定着ローラのうち用紙90が圧接されるべき領域の温度分布に悪影響を与えることがない。
また、上述の第6、第7および第8実施形態では、各貫通孔71T,71T′,…;81T,81T′,…の直径はゴム層72,82の厚さ以下であるのが望ましい。例えば、図14に示すように、貫通孔81Tの直径Dは、ゴム層82の厚さE以下であるのが望ましい。その場合、例えば芯金81のうち貫通孔81Tの周囲の部分からの熱H1,H1が、ゴム層82と表層83のうちその貫通孔81Tを覆う部分82T、83Tの表面へ、比較的容易に伝わる。したがって、複数の貫通孔の存在が、定着ローラ80の温度分布(表層83の温度分布)に与える影響が比較的少なくなる。この結果、温度分布のムラを、画像に影響のないレベルまで低減させることができる。
例えば、芯金81の厚さが0.5mm、ゴム層82の厚さがE=0.5mmである場合、芯金81に直径D=0.5mm以下の貫通孔を形成する。このような貫通孔の形成は、レーザ加工により容易に行うことができる。
また、上述の第6〜第8の実施形態において、フィルタ部材74,84,…の圧損が高ければ捕集効率が向上するが、フィルタ部材74,84,…の圧損特性が表層73,83の圧損特性よりも高ければ、ゴム層72,82から発生した超微粒子Gが表層73,83を透過して漏れ出てしまう可能性がある。そこで、フィルタ部材74,84,…の圧損特性が表層73,83の圧損特性の1/2以下であるのが望ましい。その場合、ゴム層72,82から発生した超微粒子Gが、表層73,83を透過するよりも、むしろフィルタ部材74,84,…を通ろうとする。したがって、超微粒子Gがフィルタ部材74,84,…によって捕捉され易くなる。
上述の各実施形態では、定着部材は円筒状の定着ローラであるものとした。当然ながら、これに限られるものではなく、本発明は、定着部材が環状の定着ベルトである場合にも好ましく適用される。
また、上述の各実施形態における加圧ローラも、定着部材として考えることもできる。定着ローラだけでなく、加圧ローラにもヒータを内蔵しても良い。
また、この実施形態では、タンデム型のカラー画像形成装置に対して本発明を適用したが、これに限られるものではない。感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、定着手段の構成や配置は、本実施形態に限定されず、他の構成や配置であっても良い。本発明は、ロータリー配置型、直接転写方式など、他の方式の画像形成装置にも、広く適用することができる。
また、本発明は、プリンタ、複写機、FAX、およびこれらの複合機や、データを加工・編集して印刷するハードコピーシステムにも適用できる。