JP2022141583A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダストを捕集する捕集層と、捕集層を補強する補強層とが積層されたフィルタを用いる場合に、フィルタによりダストを十分に除去できるようにした画像形成装置の提供。【解決手段】フィルタ52は保持フレーム63により定着ベルト105の回転軸線方向に沿って、捕集層52bを内側に補強層52aを外側にして、筒状に保持されている。筒状にしたフィルタ52がダクトを兼ねることから、ファン53が動作すると、定着装置103で発生したダストを含む空気がフィルタ52の外周の全面から吸引され、フィルタ52の捕集層52bによりダストが除去される。捕集層52bを内側にしてフィルタ52を筒状にすることにより、補強層52aより剛性の低い捕集層52bは、厚みが平面状の時よりも大きくなる。捕集層52bの厚みが大きくなれば、捕集層52bを通過する空気に含まれるダストの除去率は向上する。【選択図】図8
Description
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリあるいは複合機など、電子写真技術を用いた画像形成装置に関する。
画像形成装置は装置本体内に、トナー像が形成された記録材に対し熱と圧力を加えることにより、記録材にトナー像を定着させる定着装置を備えている。定着装置は、無端状の定着ベルトと、定着ベルトに当接して加圧する加圧ローラを有し、これら定着ベルトと加圧ローラとにより形成される定着ニップ部を、記録材が加熱及び加圧されながら挟持搬送されることにより、記録材にトナー像が定着される。そして、定着装置の近傍には、フィルタユニットが配置されている(特許文献1)。フィルタユニットは主に、トナーに離型剤として含まれているワックスが熱により気化することに起因して生じる、「数nm~数百nm」の微粒子状のダストを回収することを目的に設けられる。フィルタユニットは、吸気口と排気口とを有するダクトと、吸気口から排気口に向けダクト内を通過させる空気を吸引するファンと、吸気口に設けられて吸引される空気からダストを除去するフィルタとを有している。
ところで、従来では、ダクトの吸気口に、フィルタが平面状あるいはダクトの内側に湾曲した湾曲状に設けられていた。しかしながら、ダストを捕集する捕集層と、捕集層を補強する補強層とが積層されたフィルタを用いる場合に、上述のように、フィルタが平面状あるいはダクトの内側に湾曲した湾曲状に設けられていると、ダストがフィルタにより除去され難かった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、ダストを捕集する捕集層と、捕集層を補強する補強層とが積層されたフィルタを用いる場合に、フィルタによりダストを十分に除去できるようにした画像形成装置の提供を目的とする。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、離型剤を含有するトナーを用いて記録材にトナー像を形成する画像形成手段と、第一回転体と、前記第一回転体に当接して、記録材を挟持搬送しつつ熱及び圧力を加えてトナー像を定着させる定着ニップ部を形成する第二回転体と、を有する定着手段と、前記第一回転体を加熱する加熱手段と、前記定着手段の近傍に設けられ、前記定着手段において熱による離型剤の気化に伴い生じる微粒子状のダストを除去する除去手段と、を備え、前記除去手段は、ダストを捕集する捕集層と、補強層とを有するシート状のフィルタと、前記フィルタを前記第一回転体の回転軸線方向に沿って、前記捕集層を内側に前記補強層を外側にして筒状に保持する保持手段と、前記保持手段により筒状に保持された前記フィルタの一方の開口端側に接続され、外側から前記フィルタを通過して前記フィルタ内を前記開口端側に向かうエアフローを発生させるファンと、を有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、ダストを捕集する捕集層と、捕集層を補強する補強層とが積層されたフィルタを用いる場合に、フィルタにダストを十分に除去させることが容易な構成で実現できる。
<第一実施形態>
[画像形成装置]
以下、本実施形態について説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の構成について、図1を用いて説明する。図1に示す画像形成装置100は、中間転写ベルト8に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部PY、PM、PC、PKを複数備えた中間転写方式のフルカラープリンタである。
[画像形成装置]
以下、本実施形態について説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の構成について、図1を用いて説明する。図1に示す画像形成装置100は、中間転写ベルト8に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部PY、PM、PC、PKを複数備えた中間転写方式のフルカラープリンタである。
画像形成装置100は、図示を省略したが、装置本体100Aに接続された原稿読取装置あるいは装置本体100Aに通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等の外部機器からの画像情報に応じて、記録材Pに画像を形成する。記録材Pとしては、普通紙、厚紙、ラフ紙、凹凸紙、コート紙等の用紙、プラスチックフィルム、布など、といった様々な種類のシート材が挙げられる。なお、本実施形態の場合、画像形成部PY~PK、一次転写ローラ5Y~5K、中間転写ベルト8、二次転写内ローラ76、二次転写外ローラ77などにより、記録材Pにトナー像を形成する画像形成手段としての画像形成ユニット200が構成されている。
記録材Pの搬送プロセスとして、例えば記録材Pはカセット72内に積載されており、給紙ローラ73により画像形成タイミングにあわせて1枚ずつ搬送パス74に供給される。あるいは、不図示の手差しトレイに積載された記録材Pが1枚ずつ搬送パス74に供給される。記録材Pは搬送パス74の途中に配置されたレジストレーションローラ75へ搬送され、レジストレーションローラ75により記録材Pの斜行補正やタイミング補正が行われた後に二次転写ニップ部T2へと送られる。二次転写ニップ部T2は、対向する二次転写内ローラ76と二次転写外ローラ77とにより形成される転写ニップである。二次転写ニップ部T2では、二次転写外ローラ77に対し電源70により二次転写電圧が印加されて、二次転写外ローラ77と二次転写内ローラ76との間に電流が流れることで、トナー像が中間転写ベルト8から記録材Pへ二次転写される。即ち、本実施形態では、二次転写内ローラ76と二次転写外ローラ77とにより、中間転写ベルト8から記録材Pへトナー像を転写する転写部800が構成されている。
上記した二次転写ニップ部T2までの記録材Pの搬送プロセスに対して、同様のタイミングで二次転写ニップ部T2まで送られて来る画像の画像形成プロセスについて説明する。まず、画像形成部PY、PM、PC、PKについて説明する。ただし、画像形成部PY、PM、PC、PKは、現像装置4Y、4M、4C、4Kで用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外、ほぼ同一に構成される。そこで、以下では代表してイエローの画像形成部PYを例に説明し、その他の画像形成部PM、PC、PKについては説明を省略する。なお、図示の都合上、後述の現像容器41Yと現像ローラ42Yについては画像形成部PYのみに符号を付してある。
画像形成部PYは、主に感光ドラム1Y、帯電装置2Y、現像装置4Y、及び感光ドラムクリーナ6Y等から構成される。回転駆動される感光ドラム1Yの表面は、帯電装置2Yにより予め表面を一様に帯電され、その後、画像情報の信号に基づいて駆動される露光装置3によって静電潜像が形成される。次に、感光ドラム1Y上に形成された静電潜像は、現像装置4Yによるトナー現像を経て可視像化される。現像装置4Yは、現像剤を収容した現像容器41Y、現像剤を担持して回転する現像ローラ42Y(現像スリーブとも呼ぶ)を有し、現像ローラ42Yに対し現像電圧が印加されることにより、静電潜像をトナー像に現像する。その後、画像形成部PYと中間転写ベルト8を挟んで対向配置される一次転写ローラ5Yにより所定の加圧力及び一次転写バイアスが与えられ、感光ドラム1Y上に形成されたトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。一次転写後の感光ドラム1Y上に僅かに残る転写残トナーは、感光ドラムクリーナ6Yにより除去される。
像担持体としての中間転写ベルト8は、テンションローラ10、二次転写内ローラ76、及び張架ローラとしてのアイドラローラ7a、7bによって張架され、図中矢印R2方向へと移動するように駆動される。本実施形態の場合、二次転写内ローラ76は中間転写ベルト8を駆動する駆動ローラを兼ねている。上述の画像形成部PY~PKにより処理される各色の作像プロセスは、中間転写ベルト8上に一次転写された移動方向上流の色のトナー像上に順次重ね合わせるタイミングで行われる。その結果、最終的にはフルカラーのトナー像が中間転写ベルト8に担持されて二次転写ニップ部T2へと搬送される。なお、二次転写ニップ部T2を通過した後の転写残トナーは、転写クリーナ装置11によって中間転写ベルト8から除去される。
以上、それぞれ説明した搬送プロセス及び画像形成プロセスをもって、二次転写ニップ部T2において記録材Pとフルカラートナー像のタイミングが一致し、中間転写ベルト8から記録材Pにトナー像が二次転写される。その後、記録材Pは定着装置103へと搬送され、定着装置103により熱と圧力が加えられることにより、トナー像が記録材P上に溶融固着、つまり定着される。こうしてトナー像が定着された記録材Pは、排出ローラ78により排紙トレイ601上に排出される。
[定着装置]
次に、定着装置103について、図2(a)及び図2(b)を用いて説明する。本実施形態では、円筒に形成された無端状の定着ベルト105を用いてトナー像を記録材Pに定着させることが可能な、低熱容量の定着装置103を例に示した。なお、図2(a)では図示の都合上、後述するフランジ106L、106Rの図示を省略している。
次に、定着装置103について、図2(a)及び図2(b)を用いて説明する。本実施形態では、円筒に形成された無端状の定着ベルト105を用いてトナー像を記録材Pに定着させることが可能な、低熱容量の定着装置103を例に示した。なお、図2(a)では図示の都合上、後述するフランジ106L、106Rの図示を省略している。
図2(a)に示すように、定着手段としての定着装置103は、大きく分けてベルトユニット101と、加圧ローラ102と、筐体110とを備えている。ベルトユニット101と加圧ローラ102は筐体110内に収容され、筐体110には開口したシート入口400と開口したシート出口600とが形成されている。筐体110にシート入口400とシート出口600を形成して、記録材Pが筐体110内を通過可能とし、その際に、後述するように定着ベルト105と加圧ローラ102との間に形成される定着ニップ部101bで記録材Pが挟持搬送されるようにしている。
なお、本実施形態の場合、定着装置103は、シート入口400がシート出口600よりも重力方向下方に位置するように配置されているので、記録材Pは重力方向下方から上方に向けて搬送される(所謂、縦パス搬送)。また、シート出口600よりも下流側には、定着ニップ部101bを通過した記録材Pの搬送をガイドする搬送ガイド15が設けられている。
ベルトユニット101は、加圧ローラ102に当接して定着ベルト105と加圧ローラ102との間に定着ニップ部101bを形成し、定着ニップ部101bにおいてトナー像を記録材Pに定着させる。図2(b)に示すように、ベルトユニット101は、無端状の定着ベルト105と、ヒータ101aと、ヒータ101aを保持するヒータホルダ104と、ヒータホルダ104を支持する加圧ステー104aとを有する。また、ベルトユニット101は、記録材Pの搬送方向に交差する幅方向において定着ベルト105の一端側と他端側とをそれぞれ保持するフランジ106L、106Rとを有する。
第一回転体としての定着ベルト105は、定着ニップ部101b(図2(a)参照)を通過する記録材Pに接触して記録材Pに熱を加えるベルト部材であって、円筒状(エンドレス状)に形成され、全体的に可撓性を有している。回転する定着ベルト105の内周側には、ヒータ101a、ヒータホルダ104、加圧ステー104aが非回転に配置されている。
加熱手段としてのヒータ101aは、定着ベルト105の内周面に当接して定着ベルト105を加熱する。本実施形態ではヒータ101aとして、通電によって発熱するプレート状のセラミックヒータを用いた。ヒータホルダ104は横断面が半円弧状となるように形成され、回転する定着ベルト105の内周面に当接させるようにヒータ101aを保持するとともに、回転する定着ベルト105の内周面に摺動して定着ベルト105の径方向の振れを規制する。
加圧ステー104aは、ヒータ101a及びヒータホルダ104を幅方向で均一に定着ベルト105に押し当てるための部材である。加圧ステー104aには、定着ベルト105の温度を検出可能にサーミスタTHが設けられている。サーミスタTHは、定着ベルト105の温度を検出する。
フランジ106L、106Rは、定着ベルト105の幅方向端部を回転可能に保持すると共に、ヒータホルダ104、加圧ステー104aを非回転に保持する一対の部材である。フランジ106L、106Rは、図2(b)に示すように、それぞれフランジ部106aとバックアップ部106bと被押圧部106cとを有する。
フランジ部106aは定着ベルト105の径よりも大きな径に形成され、回転する定着ベルト105の端面を受け止めて定着ベルト105の幅方向への移動を規制する。バックアップ部106bは、回転する定着ベルト105を内周面側から保持して定着ベルト105を円筒形状に維持する。被押圧部106cは、フランジ106L、106Rを加圧ローラ102に向けて移動させるために、不図示の加圧バネによる押圧力を受けるように設けられている。被押圧部106cが加圧バネにより押圧力を受けると、フランジ106L、106Rは加圧ステー104aとヒータホルダ104を介して、定着ベルト105を加圧ローラ102に押圧させる。こうすることにより、定着ニップ部101bが形成される。
第二回転体としての加圧ローラ102は、金属(例えば、アルミや鉄など)の芯金と、シリコンゴム等の弾性層と、弾性層を被覆する離型層を有している。芯金は、ベアリングGによって保持されている。上記のように、加圧ローラ102は定着ベルト105に押圧されて、定着ニップ部101bを形成する。そして、不図示のモータや駆動ギア等により加圧ローラ102が回転方向(図2(a)の矢印R102)に回転されると、定着ニップ部101bに生じる摩擦力によって、加圧ローラ102の回転力が定着ベルト105に伝達される。こうして、無端状の定着ベルト105は加圧ローラ102に従動して回転する(所謂、加圧ローラ駆動方式)。
上述したように、トナー像が形成された記録材Sは、回転する加圧ローラ102と定着ベルト105とにより形成される定着ニップ部101bで熱と圧力が加えられながら挟持搬送される。そして、トナー像を定着させた記録材Pが定着ベルト105から離間しやすくするために、トナーには離型剤として例えばパラフィンからなるワックスが含有されている。ワックスは熱により溶解し、溶解したワックスがトナー像の表面に染み出すことにより、記録材Pは定着ベルト105から離間しやすくなる。
ただし、トナー像の表面に染み出したワックスの一部が定着ベルト105に付着することがあった。そうした場合に、定着ベルト105に付着したワックスは、定着ベルト105の表面温度が所定温度以上になると気化(ガス化)する。そして、気化したワックスは装置本体100A内の空気により冷やされることで固形化し、粒径が数nm~数百nm程度の微粒子状のダスト(UFP:Ultra Fine Particles)となって装置本体100A内を浮遊し得る。
こうした微粒子状のダストが生じる現象は核生成と呼ばれ、核生成は熱によって気化したワックスがより低い温度環境にさらされて過冷却されることにより生じる。こうしたワックスの気化に伴い生じる微粒子状のダストは粘着性を有するが故に、装置本体100A内の各所に付着しやすい。例えば、上記のダストが搬送ガイド15や排出ローラ78(図1参照)などに付着してしまうと、記録材Pにダストが転移して記録材Pを汚してしまうので好ましくない。
そこで、上記点に鑑み、図2(a)に示すように、記録材Pの搬送方向(矢印X方向)において定着装置103の上流には、フィルタユニット50が配設されている。フィルタユニット50は、定着装置103で生じた上記のダスト(UFP)を、定着装置103近傍の空気と共に吸引し、吸引した空気からダストを除去し、ダストが除去された空気を排出する。フィルタユニット50については後述する(図3(a)乃至図3(d)参照)。
なお、本実施形態では純粋なワックスの他に、ワックスの分子構造を含んだ化合物も含めてワックスと呼んでいる。例えば、トナーの樹脂分子に炭化水素鎖等のワックス分子構造が反応した化合物などである。また、離型剤としてはそうしたワックスに限らず、離型作用を有すれば、例えばシリコンオイルなどを用いてよい。ただし、シリコンオイルなどを用いても、定着装置103におけるトナー像定着のための熱により気化して、上記した微粒子状のダストは生じ得る。
<フィルタユニット>
次に、本実施形態のフィルタユニット50について、図1、図2を参照しながら図3(a)乃至図3(d)を用いて説明する。なお、第一実施形態の説明において特に断りなく内側、外側と言う場合は、フィルタ52に対して吸気方向(矢印Z方向)の下流側を内側と呼び、吸気方向の上流側を外側と呼ぶものとする。
次に、本実施形態のフィルタユニット50について、図1、図2を参照しながら図3(a)乃至図3(d)を用いて説明する。なお、第一実施形態の説明において特に断りなく内側、外側と言う場合は、フィルタ52に対して吸気方向(矢印Z方向)の下流側を内側と呼び、吸気方向の上流側を外側と呼ぶものとする。
本実施形態のフィルタユニット50は大きく分けて、ダクト51、フィルタ52、ファン53を有する。フィルタユニット50は定着装置103の近傍に、ダクト51が記録材Pの搬送方向(矢印X方向)において転写部800と定着装置103との間で(図1参照)、吸気口51aに配設されたフィルタ52が記録材Pの搬送経路に向くように配置される。また、フィルタ52が定着ニップ部101bより定着ベルト105側(第一回転体側)に位置するように、ダクト51は装置本体100A内に配置される。これは、ヒータ101a(図2参照)による加熱により加圧ローラ102よりも相対的に高温になる定着ベルト105側で、上記したダスト(UFP)が生じやすく、生じたダストを効果的にフィルタユニット50に除去させるためである。
本実施形態の場合、ダクト51は定着ベルト105の回転軸線方向に沿うように、ファン53に延設されている。図3(c)に示すように、ダクト51には、排気のための排気口51cが形成されている。また、ダクト51には、吸気のための吸気口51aが定着ベルト105の回転軸線方向に沿うように形成されている。
ダクト51の吸気口51aには、シート状のフィルタ52が配設される。フィルタ52は熱可塑性を有し、例えば熱融着により吸気口51aを隙間なく覆うように取り付けられている。本実施形態では、図3(d)に示すように、フィルタ52が吸気口51aから外側に突き出した凸形状となるように吸気口51aに配設されている。そして、図3(b)に示すように、ダクト51には、吸気口51aに配設されたフィルタ52を内側から支持して凸形状に維持する支持部材としての支持リブ51bが設けられている。吸気口51aに配設された状態におけるフィルタ52の形状については、後述する。
本実施形態で用いるファン53は吸引ファンであり、ダクト51内を通って排気口51cから排気される空気を吸引可能にダクト51に接続されている。ファン53が動作して吸気を開始すると、吸気口51aからダクト51内を排気口51cに向かうエアフローが発生する。ファン53は、画像形成ジョブの開始にあわせて動作開始し、画像形成ジョブの終了とともに動作停止する。ファン53が動作中、定着装置103で生じるダスト(UFP)を含む空気が、図3(a)に示すように、定着装置103からダクト51に向けて流れ、フィルタ52を介してダクト51内に引き込まれる。ダスト(UFP)を含む空気がフィルタ52(詳しくは、後述する捕集層)を通過する際に、空気中のダストがフィルタ52により除去される。フィルタ52を通過した空気は、ダクト51内を通って排気口51cから排出される。排気口51cから排出された空気は、ファン53により装置本体100Aに設けられた排気ダクト(不図示)へ送られて機体外へ排出される。
<フィルタ>
本実施形態で用いるシート状のフィルタ52について、図4(a)及び図4(b)を用いて説明する。図4(a)はダクト51に配設していない状態におけるフィルタ52の断面形状(平面状)を示し、図4(b)はダクト51に配設した状態におけるフィルタ52の断面形状(湾曲状)を示す。
本実施形態で用いるシート状のフィルタ52について、図4(a)及び図4(b)を用いて説明する。図4(a)はダクト51に配設していない状態におけるフィルタ52の断面形状(平面状)を示し、図4(b)はダクト51に配設した状態におけるフィルタ52の断面形状(湾曲状)を示す。
図4(a)に示すように、フィルタ52は、ダストを捕集する捕集層52bと、フィルタ52として一定の剛性を付与するための補強層52aとが積層され、シート状に形成されたものである。例えば、捕集層52bとしてはポリプロピレン繊維不織布が用いられ、補強層52aとしては捕集層52bよりも剛性が高い例えばポリエチレンテレフタレート繊維(PET繊維)不織布が用いられる。
ポリプロピレン繊維不織布はマイクロサイズのポリプロピレン繊維を高密度に絡ませ、且つ静電気力を付与したものである。ポリプロピレン繊維不織布は、ポリプロピレン繊維による物理的な遮り効果と、静電気力による静電吸着効果とにより、ダストを捕集するのに高い性能を有している。ただし、ポリプロピレン繊維不織布は剛性が小さいため、フィルタ52としてそのまま用いると、空気を通過させる際に変形してしまい、ダストを捕集し難くなる。そこで、こうした変形を抑制するために、ポリプロピレン繊維不織布の捕集層52bが、PET繊維不織布の補強層52aにより補強されている。PET繊維不織布はポリプロピレン繊維よりも太いPET繊維を低密度で絡めた不織布であり、フィルタとしての通気抵抗を抑えつつ、高い剛性を付与するのに適している。
こうしたフィルタ52の一例としては、例えば日本バイリーン社の「FM-9106、FM-9206、FM-9306、FM-9406、FM-9806」などが挙げられる。これらは型番の数値が高いほど、ポリプロピレン繊維の面密度が高い。本実施形態の場合、面密度が「50(g/m2)以上300(g/m2)以下」の範囲にある。面密度が高いほどダストの除去性能と圧損が上昇する。面密度はフィルタユニット50に求められる吸引風量とダスト除去性能、ファン53のスペックによって適宜選べばよく、本実施形態では、フィルタ52に上記の「FM-9806」相当の面密度を有する素材を用いた。
発明者らは、形状の違いによるフィルタ52のダスト除去率を調べるために実験を行った。実験ではフィルタ52に日本バイリーン社の「FM-9806」を用い、図4(a)に示した平面状のフィルタ52と、図4(b)に示した湾曲状(曲率半径「15mm」)のフィルタ52のそれぞれに、風速「0.15m/s」でダストを含む空気を通過させた。
実験の結果、平面状のフィルタ52の場合、ダスト除去率は「82%」であった。これに対し、湾曲状のフィルタ52の場合、ダスト除去率は「93%」であった。なお、ダスト除去率は、下記に示す式1に従って算出される。
ダスト除去率(%)=100×(フィルタ通過前のダスト濃度(%)-フィルタ通過後のダスト濃度(%))÷フィルタ通過前のダスト濃度(%) ・・・ 式1
ダスト除去率(%)=100×(フィルタ通過前のダスト濃度(%)-フィルタ通過後のダスト濃度(%))÷フィルタ通過前のダスト濃度(%) ・・・ 式1
上記のように、フィルタ52が湾曲状であれば、フィルタ52が平面状である場合に比べて、ダスト除去率は向上する。これは、シート状のフィルタ52を湾曲させた場合、図4(a)、図4(b)に示すように、捕集層52bの厚み(t2)が平板状のままである場合よりも大きく(t1<t2)なるからである。捕集層52bの厚みが大きくなれば、ダストを含む空気がより長い時間、捕集層52bに接することになり、上記したポリプロピレン繊維の静電気力によるダスト捕集効果が向上する。
そこで、本実施形態の場合、捕集層52bの厚みを大きくするために、図3(d)に示すように、フィルタ52が、捕集層52bを内側に補強層52aを外側にして、また吸気口51aから外側に凸形状の円弧状となるように配設される。即ち、捕集層52bを内側にしてフィルタ52を湾曲させると、高い剛性を有する補強層52aは厚みがほとんど変わらない一方、補強層52aより剛性の低い捕集層52bは、厚みが平面状の時よりも大きくなる。
ただし、フィルタ52を湾曲し過ぎると、フィルタ52を空気が通り難くなり、ダスト除去率が低下する虞がある。そこで、本実施形態では、下記に示す式2を満たすように、吸気口51aにフィルタ52を湾曲させて設けている。なお、ここでは、図3(c)、図3(d)に示すように、吸気口51aの短手方向の幅を「d1」、吸気口51aの縁部510を通る仮想面Yからのフィルタ52の最大高さを「L」としている。
0.003<L/d1<5 ・・・ 式2
0.003<L/d1<5 ・・・ 式2
本実施形態の場合、フィルタ52の最大高さを「L」と吸気口51aの短手方向の幅「d1」の比率は例えば「1:5」とした。フィルタ52によるダスト除去を向上させるには、フィルタ52の最大高さを「L」と吸気口51aの短手方向の幅「d1」の比率を上記式2の範囲内にすることが望ましい。
なお、上記した式2の下限値「0.003」は、捕集層52bを膨らませるために最低限必要な値である。他方、上記した式2の上限値「5」は、フィルタ52同士の接触を防ぐために規定している。即ち、ファン53が動作する間、フィルタ52はダクト51の内側に向かって負圧を受ける。上記の比率が「5」を超えると、余剰になったフィルタ52が負圧によって互いに接触し始める。接触部分は、フィルタ52としての機能を果たさない。これを避けるため、上記の比率の上限値を「5」としている。
以上のように、本実施形態では、フィルタ52が、捕集層52bを内側に補強層52aを外側にして、また吸気口51aから外側に凸形状の円弧状となるように配設される。捕集層52bを内側にしてフィルタ52を湾曲させると、補強層52aより剛性の低い捕集層52bは、厚みが平面状の時よりも大きくなる。捕集層52bの厚みが大きくなれば、捕集層52bを通過する空気に含まれるダストの除去率は向上する。このように、ダストを捕集する捕集層52bと捕集層52bを補強する補強層52aとが積層されたフィルタ52をダクト51の吸気口51aに設け、フィルタ52にダストを十分に除去させることが容易な構成で実現できる。また、補強層52aが外側になっているため、組み立てやメンテナンス交換する時に、フィルタ52の破損を防ぐこともできる。
なお、フィルタ52は、上述したように、吸気口51aに対し短手方向の両端部(記録材Pの搬送方向の上流側と下流側)に亘って湾曲するように、吸気口51aに配設されることに限らない。例えば、フィルタ52は、吸気口51aに対し長手方向(幅方向)の両端部に亘って湾曲するように、吸気口51aに配設されていてもよい。
また、フィルタ52のダスト除去率は、捕集層52bと補強層52aの接着状況にも左右される。図5に、捕集層52bと補強層52aとの接着面積を示す。図5に示すように、フィルタ52において、捕集層52bと補強層52aの二つの層は接着部56において熱融着によって互いに接着されている。接着部56では熱融着によって繊維が溶けて固まった状態であるため、通気性がない。通気性がない接着部56は、空気に含まれるダストを捕集し難い。また、上記のようにフィルタ52を湾曲させた場合に、接着部56においては捕集層52bが補強層52aに拘束されるため、捕集層52bの厚みが大きくなり難い。そうなると、フィルタ52のダスト除去率の向上を実現し難くなる。以上述べた理由から、接着部56の合計面積つまりは捕集層52bと補強層52aの接着面積は極力小さくするのが好ましい。そこで、本実施形態では、捕集層52bの面積と、捕集層52bと補強層52aとの接着面積とが、「1/120<接着面積/捕集層の面積<1/3」を満たすように、捕集層52bと補強層52aとが接着されたフィルタ52を用いる。
なお、ダクト51に配設された状態において、フィルタ52の断面形状は図3(d)に示したような円弧状に限らない。図6に、フィルタ形状の変形例を示す。図6(a)に示すように、吸気口51aの短手方向において、両端から中央に向かって外側が階段状に突出した階段形状となるように、フィルタ52は吸気口51aに配設されてもよい。あるいは、図6(b)に示すように、図3(d)に示した円弧状よりも曲率半径がより大きい釣鐘形状となるように、フィルタ52は吸気口51aに配設されてもよい。また、ダクト51における吸気口51aの形成状態によっては、図6(c)に示すような、ダクト51の下面にフィルタ52を延ばしたような形状であってもよい。この場合でも、吸気口51aに配設されたフィルタ52が記録材Pの搬送経路に向くのが好ましい。
上記した変形例においても、上述した式2を満たすようにして、フィルタ52は吸気口51aに配設される。図6(a)乃至図6(c)には、それぞれの変形例における、吸気口51aの短手方向の幅「d1」、吸気口51aの縁部510を通る仮想面Yからのフィルタ52の最大高さ「L」を記した。こうすることにより、いずれの変形例においても、上述したように、捕集層52bの厚さが増してフィルタ52のダスト除去率を向上させることができる。
なお、フィルタユニット50は、上述した図3(a)に示したような位置に配置することに限らず、例えば、定着装置103の幅方向端部に配置されていてもよい。例えば、上述した図3(a)に示したような位置に配置するのが、スペース的に困難な場合に適している。図7に、フィルタユニット50が定着装置103の幅方向端部に配置された場合を示す。
図7に示すように、フィルタユニット50は、フィルタ52を定着装置103側に向けて、定着装置103の幅方向端部に配置されている。フィルタ52は上述したように捕集層52bと補強層52aを積層してシート状に形成されたものであり(図4(a)参照)、捕集層52bを内側にして湾曲状に吸気口51aに配設されている。ワックスが定着装置103におけるトナー像定着のための熱により気化して生じるダストは、ファン53の動作に応じて生じる定着ベルト105の幅方向(回転軸線方向)に流れる空気と共にフィルタ52へと運ばれて、フィルタ52により除去される。
この場合においても、上述した式2を満たすようにして、フィルタ52は吸気口51aに配設される。ここで、吸気口51aが正方形に形成されていると、吸気口51aの短手方向の幅「d1」と長手方向の幅「d2」は等しい。その場合は、「0.003<L/d1<5」を満たせばよい。こうすることにより、上述したように、フィルタ52のダスト除去率を向上させることができる。なお、吸気口51aの長手方向の幅が「d2(>d1)」である場合には、「0.003<L/d1<5」と「0.003<L/d2<5」の少なくともいずれか一方を満たせばよい。また、フィルタ52は、吸気口51aに対し図7に示した状態から90度回転させた、記録材Pの搬送方向(矢印X方向)の上流側と下流側に亘って湾曲するように、吸気口51aに配設されていてもよい。
<第二実施形態>
次に、第二実施形態のフィルタユニット60について、図1を参照しながら図8(a)乃至図10を用いて説明する。なお、第二実施形態のフィルタユニット60において、上述した第一実施形態のフィルタユニット50と同じ構成には同じ符号を付し、説明を簡略または省略する。
次に、第二実施形態のフィルタユニット60について、図1を参照しながら図8(a)乃至図10を用いて説明する。なお、第二実施形態のフィルタユニット60において、上述した第一実施形態のフィルタユニット50と同じ構成には同じ符号を付し、説明を簡略または省略する。
第二実施形態のフィルタユニット60は、装置本体100A内において上述した第一実施形態のフィルタユニット50と同様の位置に配置される。除去手段としてのフィルタユニット60は定着装置103の近傍に設けられ、定着装置103において熱による離型剤の気化に伴い生じる微粒子状のダストを除去する。詳しくは、フィルタユニット60は記録材Pの搬送方向において転写部800と定着装置103との間に、フィルタ52が定着ニップ部101bより定着ベルト105側に位置するように、装置本体100A内に配置される(図1参照)。
図8(a)及び図8(b)に示すように、フィルタユニット60は大きく分けて、ケージ61、シート状のフィルタ52、保持フレーム63、ファン53を有する。本実施形態の場合、フィルタ52は保持フレーム63により定着ベルト105の回転軸線方向に沿って、捕集層52bを内側に補強層52aを外側にして(図4(a)参照)、筒状に保持されている。ファン53は、保持フレーム63により筒状に保持されたフィルタ52の幅方向の一方の開口端側に接続され、外側からフィルタ52を通過してフィルタ52内(フィルタ内)を開口端側に向かうエアフローを発生させる。言い換えるならば、本実施形態では、筒状にしたフィルタ52がファン53により吸気された空気を通すダクトを兼ねる。なお、フィルタ52が筒状にされた状態で、捕集層52bの面密度は「50(g/m2)以上300(g/m2)以下」である。
保持手段としての保持フレーム63は、図8(b)に示すように、ファン53から定着ベルト105の回転軸線方向(幅方向)に沿うように延設された梁部63bと、梁部63bの両端部に設けられた端部保持部63a、63cとを有する。梁部63bは、図8(c)に示すようにして、シート状のフィルタ52の一端と他端とが熱融着により固定されることで、フィルタ52を筒状に保持する。なお、フィルタ52によるダスト除去率に鑑み、梁部63bは、定着ベルト105の回転軸線方向(幅方向)に交差する方向且つ記録材Pの搬送方向に交差する方向において、定着ニップ部101bから遠い側に設けられるのが好ましい。これは、梁部63bではフィルタ52が熱融着されることから、熱融着によって繊維が溶けて固まった状態となり、通気性が低下するので、空気に含まれるダストを捕集し難くなるからである。
端部保持部63a、63cは、シート状のフィルタ52を梁部63bに固定する際に、フィルタ52の端部を熱融着により隙間なく固定するものである。この端部保持部63a、63cにより、筒状にしたフィルタ52の断面形状(ここでは略水滴形状)が決まり、フィルタ52の形状が維持される。図8(b)に示すように、ファン53に近い側の端部保持部63aには、空気を通すためにファン53に連通した排気口63dが形成されている。他方、ファン53から遠い側の遮蔽部としての端部保持部63cは、空気が端部からフィルタ52内に入らないようにフィルタ52の端部を遮蔽している。これは、フィルタ52の端部を遮蔽していないと、空気がフィルタ52を通過しないで端部からフィルタ52内に侵入しやすくなり、フィルタ52によるダスト除去率が低下するからである。フィルタ52の端部を遮蔽することで、空気が端部からフィルタ52内に侵入せず、フィルタ52の補強層52a及び捕集層52bを通過してからフィルタ52内を通る。
そして、図8(c)に示すように、保持フレーム63により筒状に保持されたフィルタ52の外周は、通気性のあるケージ61によって覆われている。ケージ61は、保持フレーム63を固定するフレーム固定部61cを有している。また、ケージ61は、フィルタ52の外周を固定してフィルタ52を筒状に維持すると共に、外部からの衝撃でフィルタ52の形状が変わらないようにフィルタ52を保護する。そのため、ケージ61は、記録材Pの搬送方向(矢印X方向)において上流側で固定する上流固定部61aと、下流側で固定する下流固定部61bとを有している。なお、ケージ61は、通気性があって一定の剛性を有する部材であればよく、金網やパンチングメタルなどにより筒状に形成されたものであってもよい。
以上の構成において、ファン53が動作すると、定着装置103で発生したダストを含む空気がフィルタ52の外周の全面から吸引され、フィルタ52(詳しくは捕集層52b)によりダストが除去される。本実施形態においては、筒状にしたフィルタ52がダクトを兼ねることから、言い換えればダクトの全周に亘ってフィルタ52を配置したのと同様であることから、フィルタ面積を大きくすることができる。また、フィルタ52が捕集層52bを内側に湾曲して筒状にされることから、捕集層52bの厚さを大きくできる。したがって、フィルタ52のダスト除去率を向上させることができる。
<第三実施形態>
なお、図9(a)に示すように、保持フレーム63(図8(c)参照)を用いずに、断面形状が楕円や円などの筒状になるように、フィルタ52をケージ61の固定部(61a、61b、61c、61d)に熱融着して、フィルタ52を保持するようにしてよい。即ち、ケージ61は、予め筒状にされたフィルタ52を囲むように設けられ、フィルタ52の外周を固定してフィルタ52を筒状に保持する。
なお、図9(a)に示すように、保持フレーム63(図8(c)参照)を用いずに、断面形状が楕円や円などの筒状になるように、フィルタ52をケージ61の固定部(61a、61b、61c、61d)に熱融着して、フィルタ52を保持するようにしてよい。即ち、ケージ61は、予め筒状にされたフィルタ52を囲むように設けられ、フィルタ52の外周を固定してフィルタ52を筒状に保持する。
また、図9(b)に示すように、保持フレーム63やケージ61を用いずに、筒状にした状態でフィルタ52を内側から保持する内側フレーム69を用いてもよい。即ち、内側フレーム69は、予め筒状にされたフィルタ52内に設けられ、フィルタ52を内側から固定して筒状に保持する。図9(b)に示した例では、断面形状が楕円状の筒状にしたフィルタ52の内側に十字型の内側フレーム69を配置している。
さらには、図9(c)に示すように、上記したケージ61(第一保持手段)と内側フレーム69(第二保持手段)とを組み合わせて、筒状にしたフィルタ52を保持するようにしてもよい。この場合、フィルタ52を熱融着したケージ61の固定部(61a、61b、61c、61d)において、ケージ61との間でフィルタ52を内側から挟んで保持するように、内側フレーム69は形成されている。
なお、上記した図9(a)乃至図9(c)に示した構成の場合、図示を省略したが、空気が端部からフィルタ52内に入らないようにフィルタ52の端部を遮蔽して、フィルタ52によるダスト除去率の低下を抑制するのが好ましい。
なお、図10に示すように、定着ベルト105の回転軸線方向(幅方向)に交差する方向且つ記録材Pの搬送方向に交差する方向において、定着ニップ部101bから遠い側に、カバー部材65が設けられていてもよい。カバー部材65を設けることで、ファン53により吸引される空気がフィルタ52を通過しやすくなる。
<第四実施形態>
次に、上述した第一~第三実施形態のフィルタ52において、ダストを捕集する捕集層52bをガラス繊維フィルタとした例について説明する。ガラス繊維フィルタは、マイクロガラスファイバーをアクリルやPET、シリコン樹脂等のバインダーによって接合/積層してシート状にしたものである。ガラス繊維フィルタは、上述の第一実施形態に示したポリプロピレン繊維不織布と異なり静電気力を付与されておらず、マイクロガラスファイバーの物理的な遮り効果によってダストを捕集する。
次に、上述した第一~第三実施形態のフィルタ52において、ダストを捕集する捕集層52bをガラス繊維フィルタとした例について説明する。ガラス繊維フィルタは、マイクロガラスファイバーをアクリルやPET、シリコン樹脂等のバインダーによって接合/積層してシート状にしたものである。ガラス繊維フィルタは、上述の第一実施形態に示したポリプロピレン繊維不織布と異なり静電気力を付与されておらず、マイクロガラスファイバーの物理的な遮り効果によってダストを捕集する。
ガラス繊維フィルタは単体で十分な剛性を有するため、本実施形態において補強層52aは形状を保つためのものではなく、ガラス繊維フィルタを傷つけないように保護する役目を果たす。補強層52aとして、例えば金網やPET不織布等が用いられる。
ガラス繊維フィルタは外径が異なるマイクロガラスファイバーを組み合わせることができ、その構成比によって性能を調整できる。また、ガラス繊維フィルタは熱に強く、例えば温度が120℃以上の高温の環境下でも使用することができる。それ故、上述の第一実施形態に示したポリプロピレン繊維不織布では80℃以上の高温に晒されると静電気力を徐々に失って性能を低下させるが、静電気力を用いないガラス繊維フィルタは高温化でも性能を低下させることがない。例えば、フィルタ52を定着ベルト105に近接させて配置した場合などのように、フィルタ52が高温に晒される場合は本実施形態のガラス繊維フィルタを用いるとよい。
なお、ガラス繊維フィルタは熱可塑性を有していないため、フィルタ52をダクト51の吸気口51aに取り付ける際は接着剤を用いる。接着剤に特段の制限はないが、フィルタ52が高温に晒される場合はシリコン接着剤を用いるとよい。
<第五実施形態>
次に、上述した第一~第三実施形態のフィルタ52をPTFEフィルタとした例について説明する。PTFEは、ポリテトラフルオロエチレンの略語である。PTFEフィルタにおいて、ダストを捕集する捕集層52bはPTFEメンブレンフィルタにより構成される。PTFEメンブレンフィルタは、サブミクロンサイズの微細孔を有し、微細孔を通じて空気を通過させるとともに膜部によってダストを遮る。微細孔はPTFE膜を延伸加工して、膜上に微細な欠損を生じさせることにより形成される。PTFEメンブレンフィルタは厚さが数十ミクロン前後と薄いため、その形状を保持しつつPTFEメンブレンフィルタを保護する補強層52aとして補強シートを必要とする。
次に、上述した第一~第三実施形態のフィルタ52をPTFEフィルタとした例について説明する。PTFEは、ポリテトラフルオロエチレンの略語である。PTFEフィルタにおいて、ダストを捕集する捕集層52bはPTFEメンブレンフィルタにより構成される。PTFEメンブレンフィルタは、サブミクロンサイズの微細孔を有し、微細孔を通じて空気を通過させるとともに膜部によってダストを遮る。微細孔はPTFE膜を延伸加工して、膜上に微細な欠損を生じさせることにより形成される。PTFEメンブレンフィルタは厚さが数十ミクロン前後と薄いため、その形状を保持しつつPTFEメンブレンフィルタを保護する補強層52aとして補強シートを必要とする。
補強シートは、多孔質フィルムを用いることもあるが、通気性の高い不織布を用いることが多い。不織布は、用途に応じてPET不織布、アクリル不織布、PPS(ポリフェニレンサルファイド)不織布、アラミド不織布、PTFE不織布を用いる。PTFEメンブレンフィルタと補強シートを接着積層したものが、PTFEフィルタである。なお、PTFEメンブレンフィルタは、人の手や加工機等から発する静電気によって欠損を生じやすい。そこで、欠損が生じた欠損部の影響を減ずるために、PTFEメンブレンフィルタと補強シートを交互に複数層重ねる場合がある。
PTFEフィルタは上述のポリプロピレン繊維不織布と異なり静電気力を利用しないため、ガラス繊維フィルタと同様に高温の環境下で使用できる。補強シートにアラミド不織布等の高耐熱素材を用いた場合は、例えば200℃以上で使用可能である。PTFEフィルタは構造上、ガラス繊維フィルタよりもダスト保持量(詳しくは、捕集性能を低下させることなく保持できるダスト量)が少ないが、ガラス繊維フィルタよりも低圧損である。そのため、要求されるダスト保持量が少なくてよい場合は、ガラス繊維フィルタよりもPTFEフィルタを用いるとよい。低圧損のPTFEフィルタを用いることで、フィルタにエアを通過させるファンのパワーを抑制できるので、ファンの騒音を低減できる。なお、ダスト保持量を確保しつつ圧損を抑制するため、ガラス繊維フィルタとPTFEフィルタを積層する場合がある。
PTFEフィルタのダクト51への固定方法について述べる。補強シートに熱可塑性樹脂を用いた場合は、フィルタ52をダクト51の吸気口51aに取り付ける際に熱融着することができる。他方、熱融着が困難な場合は、上述したガラス繊維フィルタと同様に、シリコン接着剤等を用いる。
なお、上述した各実施形態は、定着ベルト105の代わりにローラ状の定着ローラを用いた構成にも適用可能である。また、定着ベルト105を加熱する構成に限らず、加圧ローラ102を加熱する構成にも適用可能である。さらに、加圧ローラ102はベルト状の加圧ベルトであってもよい。
なお、上述した各実施形態では、感光ドラム1Y~1Kから中間転写ベルト8にトナー像を一次転写した後に、中間転写ベルト8から記録材Pにトナー像を二次転写する中間転写方式の画像形成装置100を例に説明したが、これに限らない。上述した各実施形態は、トナー像を担持して回転する感光ドラム1Y~1K(像担持体に相当)から記録材Pにトナー像を直接転写する直接転写方式の画像形成装置にも適用可能である。
8…像担持体(中間転写ベルト)、52…フィルタ、52a…補強層、52b…捕集層、53…ファン、60…除去手段(フィルタユニット)、61…保持手段(第一保持手段、ケージ)、63…保持手段(保持フレーム)、63c…遮蔽部(端部保持部)、69…保持手段(第二保持手段、内側フレーム)、100…画像形成装置、101a…加熱手段(ヒータ)、101b…定着ニップ部、102…第二回転体(加圧ローラ)、103…定着手段(定着装置)、105…第一回転体(定着ベルト)、200…画像形成手段(画像形成ユニット)、800…転写部、P…記録材
Claims (15)
- 離型剤を含有するトナーを用いて記録材にトナー像を形成する画像形成手段と、
第一回転体と、前記第一回転体に当接して、記録材を挟持搬送しつつ熱及び圧力を加えてトナー像を定着させる定着ニップ部を形成する第二回転体と、を有する定着手段と、
前記第一回転体を加熱する加熱手段と、
前記定着手段の近傍に設けられ、前記定着手段において熱による離型剤の気化に伴い生じる微粒子状のダストを除去する除去手段と、を備え、
前記除去手段は、
ダストを捕集する捕集層と、補強層とを有するシート状のフィルタと、
前記フィルタを前記第一回転体の回転軸線方向に沿って、前記捕集層を内側に前記補強層を外側にして筒状に保持する保持手段と、
前記保持手段により筒状に保持された前記フィルタの一方の開口端側に接続され、外側から前記フィルタを通過して前記フィルタ内を前記開口端側に向かうエアフローを発生させるファンと、を有する、
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記画像形成手段は、トナー像を担持して回転する像担持体と、前記像担持体から記録材へトナー像を転写する転写部とを有し、
前記保持手段により筒状に保持された前記フィルタは、記録材の搬送方向において前記転写部と前記定着手段との間に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記保持手段により筒状に保持された前記フィルタは、前記定着ニップ部よりも前記第一回転体側に位置するように配置されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。 - 前記保持手段は、前記ファンから前記回転軸線方向に延設され、前記フィルタの一端と他端とを固定して筒状に保持する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記保持手段は、前記回転軸線方向に交差する方向且つ記録材の搬送方向に交差する方向において、前記定着ニップ部から遠い側に設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。 - 前記保持手段は、前記回転軸線方向において前記フィルタの前記ファンから遠い側の端部に、前記フィルタを筒状に維持するとともに、エアが侵入しないように前記端部を遮蔽する遮蔽部を有する、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。 - 前記除去手段は、前記保持手段により筒状に保持された前記フィルタの外周を囲むように設けられ、前記フィルタの外周を固定して前記フィルタを筒状に維持するケージを有する、
ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記保持手段は、予め筒状にされた前記フィルタを囲むように設けられ、前記フィルタの外周を固定して前記フィルタを筒状に保持する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記保持手段は、第一保持手段であって、
前記除去手段は、前記第一保持手段により筒状に保持された前記フィルタの内側に設けられ、前記第一保持手段との間で前記フィルタを内側から挟んで保持する第二保持手段を有する、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。 - 前記保持手段は、予め筒状にされた前記フィルタ内に設けられ、前記フィルタを内側から固定して前記フィルタを筒状に保持する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記捕集層は、面密度が50(g/m2)以上300(g/m2)以下である、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記捕集層は、ポリプロピレン繊維の不織布により形成され、
前記補強層は、ポリエチレンテレフタレート繊維の不織布により形成されている、
ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。 - 前記捕集層は、前記補強層に接着されており、
前記捕集層の面積と、前記捕集層と前記補強層との接着面積とが、「1/120<接着面積/捕集層の面積<1/3」を満たす、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記捕集層は、ガラス繊維フィルタにより構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記フィルタは、前記捕集層がPTFEメンブレンフィルタにより構成され、前記補強層が補強シートにより構成され、それらPTFEメンブレンフィルタと補強シートとが積層されたPTFEフィルタである、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A761 | Written withdrawal of application |
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