JP5212214B2 - レンズアレイ製造用型の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、レンズアレイ製造用型の製造方法に関する。
画像形成装置としての電子写真式プリンターでは、潜像担持体である感光体の走査面に対して光を走査し、潜像を形成する光源として、ラインヘッドが用いられている。
このような光プリンターヘッドとしてのラインヘッドは、一般に、複数の発光素子群が設けられたヘッド基板と、これら発光素子群に対応したレンズからなるレンズアレイとを備えて形成されている。
従来、このようなラインヘッドとなるLEDアレイにおけるマイクロレンズアレイの製造方法として、基板上に樹脂レンズを形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、フォトリソグラフィー法と電鋳法とによって型を形成し、形成した型とガラス基板との間に光硬化性樹脂を充填し、該光硬化性樹脂に光を照射して硬化させ、その後、前記型を剥離することにより、マイクロレンズアレイを製造している。
ここで、レンズアレイを製造するための型の、従来の製造方法の一例を説明すると、この製造方法では、まず、図8(a)に示すように型原版50を用意し、この原版50に対して、製造するレンズアレイの外形に対応する凹部52を形成する。
次に、図8(b)に示すように、前記凹部52の底面に、製造するレンズアレイにおけるマイクロレンズに対応する複数の凹部54を形成する。
次いで、前記凹部52と凹部54とを形成した型原版50の雌型として、図8(c)に示す雄型56を電鋳法で形成する。
その後、前記雄型56から図8(d)に示す雌型58を電鋳法で形成し、図8(b)に示した型原版50の複製とする。これにより、この複製の雌型58をレンズアレイ製造用型とし、レンズアレイの製造に用いる。
特開2005−276849号公報
ところが、図8に示した方法では、図8(a)に示したように第1凹部52を形成し、続いてこの第1凹部52内を鏡面加工し、その後に、図8(b)に示したように第2凹部54を形成する必要がある。マイクロレンズに対応する第2凹部54については、より高精度な加工が要求されるため、その加工面である第1凹部52内については、凹凸のない鏡面にする必要があるからである。しかし、このような第1凹部52内についての鏡面加工は、処理が非常に煩雑であり、その分時間とコストも多くかかるといった課題がある。
なお、通常は型原版50として、銅等の金属からなる基材にニッケル等のメッキを施したものが用いられる。銅基材が鏡面であれば、メッキ面は鏡面となる。しかし、図8(a)に示したように型原版50に第1凹部52を形成すると、その面は機械加工面精度となるため、第1凹部52内の鏡面加工が必須となっているのである。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、加工が容易であり、したがって生産性に優れ、低コストで実施することのできる、レンズアレイ製造用型の製造方法を提供することにある。
本発明のレンズアレイ製造用型の製造方法は、レンズアレイ形成面を有し、該レンズアレイ形成面に製造するレンズアレイの外形に対応する第1凹部を有し、該第1凹部の底面に前記レンズアレイのマイクロレンズに対応する複数の第2凹部を有してなるレンズアレイ製造用型の製造方法であって、
第1型原版に、前記第1凹部と同じ開口を有し、かつ該第1凹部より深い第3凹部を形成する工程と、
前記第3凹部に嵌合する形状で、かつ、該第3凹部の深さより厚さが薄い形状の第2型原版を用意するとともに、該第2型原版の一方の面に、前記複数の第2凹部に対応する複数の第4凹部を形成する工程と、
前記第2型原版を、その第4凹部が外側に露出するようにして、前記第1型原版の前記第3凹部内に嵌合させ、これら第1型原版と第2型原版とからなる合成型原版を形成する工程と、
前記合成型原版を雌型として、前記第3凹部と該第3凹部内に露出した前記第4凹部とに対応する凸形状を有した雄型を電鋳法で形成する工程と、
前記雄型から雌型を電鋳法で複製し、レンズアレイ製造用型とする工程と、を含むことを特徴としている。
このレンズアレイ製造用型の製造方法によれば、例えばメッキ処理によって予め表面が鏡面加工されてなる第2型原版を用い、この第2型原版の表面に、マイクロレンズに対応する複数の第4凹部を形成するので、凹部内を鏡面加工するといった煩雑な処理を要することなく、第4凹部を形成することができる。そして、この第2型原版を第1原版の第3凹部内に単に嵌合させるだけで、この第3凹部内に、製造するレンズアレイの外形に対応する第1凹部の構造を形成するとともに、その底面に、前記第4凹部からなる第2凹部の構造を形成することができる。したがって、このようにして形成した合成型原版を基に、電鋳法によって容易に複製型を形成し、レンズアレイ製造用型を得ることができる。
本発明の別のレンズアレイ製造用型の製造方法は、レンズアレイ形成面を有し、該レンズアレイ形成面に製造するレンズアレイの外形に対応する第1凹部を有し、該第1凹部の底面に前記レンズアレイのマイクロレンズに対応する複数の第2凹部を有してなるレンズアレイ製造用型の製造方法であって、
型原版の一方の面に、前記複数の第2凹部に対応する複数の第4凹部を形成する工程と、
前記型原版を雌型として、前記第4凹部に対応する第1凸部を有した雄型を電鋳法で形成する工程と、
前記雄型の、前記第1凸部を形成した領域の外側を除去し、前記第1凸部を形成した領域を、前記第1凹部の外形に対応した形状の第2凸部とする工程と、
前記第1凸部及び前記第2凸部を形成した前記雄型から雌型を電鋳法で複製し、レンズアレイ製造用型とする工程と、を含むことを特徴としている。
このレンズアレイ製造用型の製造方法によれば、例えばメッキ処理によって予め表面が鏡面加工されてなる型原版を用い、この型原版の表面に、マイクロレンズに対応する複数の第4凹部を形成するので、凹部内を鏡面加工するといった煩雑な処理を要することなく、第4凹部を形成することができる。そして、この型原版から電鋳法で形成した雄型を加工して第2凸部を形成し、さらにこの雄型を基にすることで、電鋳法によって容易に複製型を形成し、レンズアレイ製造用型を得ることができる。
本発明に係るレンズアレイの斜視図である。 図1に示したレンズアレイの主走査方向の部分断面図である。 (a)〜(g)は本発明の製造方法の第1実施形態の説明図である。 (a)〜(e)は本発明の製造方法の第2実施形態の説明図である。 レンズアレイの成型装置の概略構成図である。 (a)〜(c)はレンズアレイの製造工程説明図である。 (a)、(b)はレンズアレイの製造工程説明図である。 (a)〜(d)は従来のレンズアレイ製造用型の製造方法の説明図である。
以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
まず、本発明の型の製造方法によって製造するレンズアレイの一例について説明する。 図1は、本発明に係るレンズアレイ430aの斜視図であり、図2は、このレンズアレイ430aの部分断面図である。
図1、図2に示すようにレンズアレイ430aは、板状の基部431と該基部431の表面に形成されたレンズ層432とを備えてなるもので、これら基部431及びレンズ層432は、光硬化性樹脂によって一体に形成されたものである。なお、本発明にかかるレンズアレイとしては、図2中二点鎖線で示したように、前記基部431の裏面側(レンズ層432と反対の側)がガラス基板(透光性基板)435に一体的に接合されていてもよく、したがって、このガラス基板435を含んでこれの上に前記基部431及びレンズ層432が形成されてなるものであってもよい。
前記基部431は、図1に示すように前記レンズ層432を形成した表面側に位置する矩形板状の第1板部431aと、前記表面と反対の裏面側に位置する矩形板状の第2板部431bとを有したものである。第2板部431bは、平面視した状態で第1板部431aより一回り大きく、したがってその外側に略相似状に拡がって形成されている。また、この第2板部431bは、図2に示すようにその厚さが第1板部431aの厚さより十分に薄く、例えば第1板部431aの厚さの(1/2)〜(1/10)程度になっている。なお、この第2板部431bについては、その平面視形状が必ずしも矩形状になることなく、例えば略楕円形状や略長円形状などになっていてもよい。
レンズ層432は、図1に示すように、第1板部431aの表面に、その長辺方向に沿って多数(複数)のマイクロレンズ433が配列させられた形成されたものである。また、本実施形態では、このようなマイクロレンズ433の列が複数列(図1では3列)設けられている。
なお、このような構成からなるレンズアレイ430a(430b)については、例えばこれが設けられるラインヘッド(図示せず)に対して、第1板部431aより外側に拡がって形成された第2板部431bを利用して取り付け固定してもよく、また、図2中の二点鎖線で示したガラス基板435が一体化されている場合には、このガラス基板435を利用して取り付け固定してもよい。
このような形状のレンズアレイ430a(430b)を製造するための型としては、図8(d)に示したように、レンズアレイ形成面361を有し、このレンズアレイ形成面361に、製造するレンズアレイ430a(430b)の外形に対応する第1凹部362を有し、該第1凹部362の底面363に、前記レンズアレイ430a(430b)のマイクロレンズ433に対応する複数の第2凹部364を有した、レンズアレイ製造用型360(58)が用いられる。
次に、このような型360の製造方法に基づき、本発明のレンズアレイ製造用型の製造方法の、第1実施形態を説明する。
まず、図3(a)に示すように直方体状の第1型原版10を用意する。この第1型原版10としては、例えば鉄、ステンレス、銅、ニッケル等からなるものが用いられ、特に、基材が銅からなり、その表面がニッケルメッキされたものが好適に用いられる。したがって、本実施形態において第1型原版10は、銅からなる基材の表面にニッケルメッキが施され、したがって、このニッケルメッキされた表面が鏡面に形成されているものとする。なお、この第1型原版10としては、その大きさが、図8(d)に示した第1凹部362より十分に大きいものとする。
次に、図3(b)に示すようにこの第1型原版10の一方の面11に、前記型360の第1凹部362と同じ形状・大きさの開口を有し、かつ該第1凹部362より深い第3凹部12を形成する。
また、これとは別に、図3(c)に示すように直方体状の第2型原版14を用意する。この第2型原版14も、第1型原版10と同様に、銅からなる基材の表面にニッケルメッキが施され、したがってニッケルメッキされた表面が鏡面に形成されているものとする。また、この第2型原版14については、その形状が前記第3凹部12に嵌合する形状とされ、さらに、この第3凹部12の深さより薄い厚さに形成されたものが用いられる。
次いで、図3(d)に示すようにこの第2型原版14の一方の面15に、前記型360の第2凹部364に対応する複数の第4凹部16を、自由曲面加工機等によって形成する。このとき、第2型原版14の表面は鏡面になっているので、マイクロレンズに対応する第4凹部16を十分に高い精度で形成することができる。
次いで、この第4凹部16を形成した第2型原版14を、図3(e)に示すように第4凹部16が外側に露出するようにして、前記第1型原版10の前記第3凹部12内に嵌合させる。すると、第2型原版14については、その厚さを第3凹部12の深さより薄く形成しているので、第4凹部16を形成した面15は、第3凹部12内に位置するようになる。すなわち、第3凹部12はその底面が新たに第2型原版14の面15によって構成されるようになり、したがって、第3凹部12はその深さが浅くなり、その底面(面15)に第4凹部16を形成したものとなる。これにより、第1型原版10に第2型原版14を嵌合させてなる合成型原版18は、深さが浅くなった新たな第3凹部12を有し、この第3凹部12の底面(面15)に第4凹部16を有したものとなる。
次いで、この合成型原版18を雌型として、図3(f)に示すように、前記第3凹部12と該第3凹部12内に露出した前記第4凹部16とに対応する凸形状20を有した雄型22を、電鋳法により例えばニッケルで形成する。電鋳法としては、従来公知の一般的な処理が採用される。
その後、この雄型22から図3(g)に示すように雌型24を電鋳法で複製する。これにより、図8(d)に示したアレイ製造用型360と同様に、レンズアレイ形成面361を有し、このレンズアレイ形成面361に、製造するレンズアレイ430a(430b)の外形に対応する第1凹部362を有し、該第1凹部362の底面363に、レンズアレイ430a(430b)のマイクロレンズ433に対応する複数の第2凹部364を有した、レンズアレイ製造用型24(360)が得られる。
このレンズアレイ製造用型の製造方法にあっては、メッキによって予め表面が鏡面加工されてなる第2型原版14を用い、この第2型原版の表面15に、マイクロレンズに対応する複数の第4凹部16を形成するので、従来のように凹部内を鏡面加工するといった煩雑な処理を要することなく、第4凹部16を容易に形成することができる。そして、この第2型原版14を第1原版10の第3凹部12内に単に嵌合させるだけで、この第3凹部12内に、製造するレンズアレイの外形に対応する第1凹部362の構造を形成するとともに、その底面(面15)に、前記第4凹部16からなる第2凹部364の構造を形成することができる。したがって、このようにして形成した合成型原版18を基に、電鋳法によって容易に複製型を形成し、レンズアレイ製造用型24(360)を得ることができる。
また、後述するように得られたレンズアレイ製造用型24(360)を用いてレンズアレイの製造を繰り返すことにより、このレンズアレイ製造用型24(360)が消耗し破損した場合には、図3(f)に示した雄型22を用いることにより、再度レンズアレイ製造用型24(360)を複製することができる。さらに、雄型22も消耗し破損した場合には、図3(e)に示した合成型原版18を用いて雄型22を形成し、これからレンズアレイ製造用型24(360)を複製することができる。したがって、レンズアレイ製造用型24(360)を低コストで製造することができる。
次に、本発明のレンズアレイ製造用型の製造方法の、第2実施形態を説明する。
まず、図4(a)に示すように直方体状の型原版30を用意する。この型原版30としては、前記第1型原版10、第2型原版14と同じものが用いられる。したがって、この型原版30も、ニッケルメッキされた表面が鏡面に形成されているものとする。
次に、図4(b)に示すようにこの型原版30の一方の面31に、前記型360の第2凹部364に対応する複数の第4凹部32を、自由曲面加工機等によって形成する。このとき、型原版30の表面も鏡面になっているので、マイクロレンズに対応する第4凹部32を十分に高い精度で形成することができる。
次いで、この型原版30を雌型として、図4(c)に示すように前記第4凹部32に対応する第1凸部34を有した雄型36を、電鋳法により例えばニッケルで形成する。電鋳法としては、従来公知の一般的な処理が採用される。
次いで、この雄型36の、前記第1凸部34を形成した領域の外側を切削加工等によって除去する。これにより、前記第1凸部34を形成した領域を、図4(d)に示すように前記型360の第1凹部362の外形に対応した形状の第2凸部38とする。
その後、第1凸部34及び第2凸部38を形成した雄型36から、図4(e)に示すように雌型40を電鋳法により例えばニッケルで複製する。これにより、図8(d)に示したアレイ製造用型360と同様に、レンズアレイ形成面361を有し、このレンズアレイ形成面361に、製造するレンズアレイ430a(430b)の外形に対応する第1凹部362を有し、該第1凹部362の底面363に、レンズアレイ430a(430b)のマイクロレンズ433に対応する複数の第2凹部364を有した、レンズアレイ製造用型40(360)が得られる。
このレンズアレイ製造用型の製造方法にあっては、メッキによって予め表面が鏡面加工されてなる型原版30を用い、この型原版30の表面に、マイクロレンズに対応する複数の第4凹部32を形成するので、凹部内を鏡面加工するといった煩雑な処理を要することなく、第4凹部32を容易に形成することができる。そして、この型原版30から電鋳法で形成した雄型36を加工して第2凸部38を形成し、さらにこの雄型36を基にすることで、電鋳法によって容易に複製型を形成し、レンズアレイ製造用型40(360)を得ることができる。
また、後述するように得られたレンズアレイ製造用型40(360)を用いてレンズアレイの製造を繰り返すことにより、このレンズアレイ製造用型40(360)が消耗し破損した場合には、図4(d)に示した雄型36を用いることにより、再度レンズアレイ製造用型40(360)を複製することができる。さらに、雄型36も消耗し破損した場合には、図4(b)に示した型原版30を用いて雄型36を形成し、さらに図4(d)に示したようにこれを加工することにより、得られた雄型36からレンズアレイ製造用型40(360)を複製することができる。したがって、レンズアレイ製造用型40(360)を低コストで製造することができる。
次に、このようにして得られたレンズアレイ製造用型24、40(360)を用いた、レンズアレイの製造方法の一例について説明する。
まず、本例で用いられるレンズアレイの成型装置について説明する。図5は、レンズアレイの成型装置の概略構成図である。レンズアレイの成型装置900は、密閉容器902と、この密閉容器902に配管(図示せず)を介して接続されたロータリーポンプなどの真空ポンプ(図示せず)とを備えたもので、真空ポンプによって密閉容器902内が排気され、密閉容器902内が所望の減圧度(真空度)に減圧されるように構成されたものである。
密閉容器902の上部には保持孔(図示せず)が形成されており、この保持孔には、軸状の上プレス可動部保持部901が摺動可能かつ気密に内挿されている。上プレス可動部保持部901には、密閉容器902内に位置する下端部に、上プレス可動部903が取り付けられている。上プレス可動部903の下部には型保持部904が儲けられ、型保持部904の下部には、図3(g)に示したレンズアレイ製造用型24(360)、あるいは図4(e)に示したアレイ製造用型40(360)が備えられている。
上プレス可動部保持部901は、図示しない昇降装置によって上下に移動(摺動)するようになっており、これによってアレイ製造用型360は、上プレス可動部903、型保持部904とともに上下動するようになっている。なお、上プレス可動部保持部901と前記保持孔との間には、Oリングなどのシール部材(図示せず)が儲けられており、これによって上プレス可動部保持部901は、前述したように保持孔に対して気密に摺動するようになっている。密閉容器902の下部には、下プレス台906が設けられており、この下プレス台906には、例えば石英ガラスなどの光を透過する透光性部材905が保持されている。透光性部材905の下方には、紫外線(光)を照射する紫外線照射ランプ907が設けられている。
このようなレンズアレイの成型装置900、及び本発明に係るレンズアレイ製造用型360を用いてレンズアレイ430a(430b)を製造するには、まず、図3(g)あるいは図4(e)に示したアレイ製造用型360を用意するとともに、このアレイ製造用型360のアレイ形成面361、すなわち第1凹部362の内面及び第2凹部364の内面を含むアレイ製造用型360の底面全体を、撥液処理する。撥液水処理としては、特に限定されることなく、従来の一般的な手法(例えば離型処理)が用いられる。
そして、図6(a)に示すようにこのアレイ製造用型360をレンズアレイの成型装置900の型保持部904に固定し、密閉容器902内にセットする。また、下プレス台906の透光性部材905上に、ガラス基板(透光性基板)435を載置する。ガラス基板435については、図2に示したようにこれを基部431に一体に接合してレンズアレイとする場合には、親液処理を行ってもよく、また、表面処理を行うことなく用いてもよい。一方、図1に示したようにレンズアレイ430aに一体的に設けない場合には、アレイ形成面361と同様に、撥液処理を行っておくのが好ましい。
続いて、このガラス基板435上に、光硬化性樹脂JSを配する。この光硬化性樹脂JSとしては、本例では紫外線照射硬化型のものが用いられ、特に、硬化前に対する硬化後の収縮率が、3%以下であるものが好適に用いられる。また、この光硬化性樹脂JSとしては、前記第1凹部362の容積と第2凹部364の容積との合計量より大きい体積(量)を、ガラス基板435上に配する。その際、アレイ製造用型360の第1凹部362の開口形状に近い状態で、かつこの開口の直下に位置するようにして、光硬化性樹脂JSをガラス基板435上に配する。
そして、このように密閉容器902内においてアレイ製造用型361と、ガラス基板435とを用意し、さらにこのガラス基板435上に所定量の光硬化性樹脂JSを配したら、これらの環境である密閉容器902内を、真空ポンプによって所望の減圧度(真空度)にまで(真空引き)減圧する。すると、密閉容器902内は十分に減圧されることで、アレイ製造用型361の第1凹部362内や第2凹部364内に存在していた空気等の気体(気泡)が排出され、また、ガラス基板435と光硬化性樹脂JSとの間や光硬化性樹脂JS内に存在していた空気等の気体(気泡)も排出される。
次いで、図7(a)に示したように真空ポンプによって密閉容器902内を減圧しつつ、上プレス可動部保持部901を下降し、図6(b)、図7(b)に示すようにアレイ製造用型360をガラス基板435側に相対的に加圧する。これにより、アレイ製造用型360とガラス基板435との間を狭め、光硬化性樹脂JSをアレイ製造用型360の第1凹部362及び第2凹部364内に圧入する。
このようにして圧入すると、前述したように光硬化性樹脂JSの体積量を、第1凹部362の容積と第2凹部364の容積との合計量より大きくしているので、図7(b)に示すように光硬化性樹脂JSはその全量が第1凹部362及び第2凹部364内に充填されることなく、その一部(過半部)のみが第1凹部362及び第2凹部364内に充填され、残部は第1凹部362の外側のアレイ形成面361とガラス基板435との間に挟持される。その際、上プレス可動部保持部901の下降によるアレイ製造用型360の加圧力を調整することにより、光硬化性樹脂JSが、アレイ形成面361とガラス基板435との間からはみ出さないようにする。
これは、例えば図6(b)中二点鎖線で示すように、光硬化性樹脂JSがアレイ形成面361とガラス基板435との間からはみ出てしまうと、第1凹部362及び第2凹部364内に充填された光硬化性樹脂JSが減圧状態にあるアレイ製造用型360の外側に引っ張られ、これら凹部362、364内に空隙が形成されてしまうおそれがあるからである。すなわち、このように空隙が形成されると、得られるレンズアレイにボイドが形成され、所望のレンズ特性が得られなくなってしまうからである。
なお、光硬化性樹脂JSの体積量を第1凹部362の容積と第2凹部364の容積との合計量より大きくし、この光硬化性樹脂JSの一部(残部)を第1凹部362の外側のアレイ形成面361とガラス基板435との間に挟持させるようにしたので、第1凹部362及び第2凹部364内に充填された樹脂が少ないことでこれら凹部362、364内に空隙が形成されるといったことが防止されている。
次いで、図6(b)、図7(b)に示したように、アレイ製造用型360による加圧状態のもとで、つまり圧入工程の状態に保持したままで、光硬化性樹脂JSに対して紫外線照射ランプ907から光を照射し、該光硬化性樹脂JSを硬化させる(硬化工程)。紫外線照射ランプ907から光(紫外線)を照射すると、透光性部材905、ガラス基板435を透過して光(紫外線)が光硬化性樹脂JSに照射され、これによって光硬化性樹脂JSは硬化し、レンズアレイ430a(430b)が形成される。
その後、図6(c)に示すように上プレス可動部保持部901を上昇させ、アレイ製造用型360による加圧を解除する。すると、アレイ製造用型360のアレイ形成面361には撥液処理を施しているので、形成されたレンズアレイ430a(430b)はアレイ製造用型360から容易に離型し、透光性部材905上に残る。したがって、真空ポンプを止めて密閉容器902内を大気圧に戻し、レンズアレイ430a(430b)を取り出すことにより、図1、図2に示した構造のレンズアレイ430a(430b)を得ることができる。
なお、製造するレンズアレイ430a(430b)を、図2に示したように基部431にガラス基板435を一体に接合したものとする場合には、前述したようにガラス基板435に撥液処理を施していないことから、このガラス基板435が一体に設けられた状態で製造される。一方、図1に示したようにレンズアレイ430a(430b)に一体的に設けない場合には、ガラス基板435に撥液処理を施していることから、このガラス基板435が基部431の底面から容易に剥離し、したがってガラス基板435のない状態に製造される。
このような製造方法にあっては、減圧環境下において光硬化性樹脂JSをアレイ製造用型360の第1凹部362及び第2凹部364内に圧入するので、特に第2凹部364内に気泡が残留するのを抑制することができる。また、光硬化性樹脂JSを圧入工程の状態に保持したままで光硬化性樹脂JSを硬化させるので、特に第2凹部364内に気泡が入り込むことがなく、したがってボイドを形成することなく、マイクロレンズ433を形成することができる。
また、圧入工程において、光硬化性樹脂JSの残部をアレイ製造用型360のアレイ形成面361とガラス基板435との間からはみ出させることなく、第1凹部362の外側のアレイ形成面361とガラス基板435との間に挟持するようにしたので、この圧入工程の状態に保持したままで硬化工程を行うことにより、前述したようにボイドの形成をより確実に防止することができる。
また、このようにして得られた本実施形態のレンズアレイ430a(430b)は、前述したようにボイドの形成が確実に防止されているので、ボイドがない良好なものとなる。また、第1板部431aの外側に拡がって形成された第2板部431bを有しているので、例えばこのレンズアレイ430a(430b)を前記ラインヘッド29のケース420に組み付ける際、この第2板部431bを利用することで容易に組み付けることができる。さらに、この第2板部431bを利用することにより、ハンドリングも容易になる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、前記実施形態ではレンズアレイにおけるマイクロレンズ433の列を複数列配列させるように、第2凹部364を複数列配列したレンズアレイ製造用型360を形成するようにしたが、マイクロレンズ433の列を1列とするように、第2凹部364を1列のみ配列したレンズアレイ製造用型360を製造するようにしてもよい。
10…第1型原版、12…第3凹部。14…第2原版、16…第4凹部、18…合成型原版、20…凸形状、22…雄型、24…雌型、30…型原版、32…第4凹部、34…第1凸部、36…雄型、38…第2凸部、40…雌型、360…アレイ製造用型、361…アレイ形成面、362…第1凹部、363…底面、364…第2凹部、410…発光素子群、430a,430b…レンズアレイ、431…基部、431a…第1板部、431b…第2板部、432…レンズ層、433…マイクロレンズ、435…ガラス基板、902…密閉容器、907…紫外線照射ランプ、JS…光硬化性樹脂

Claims (2)

  1. レンズアレイ形成面を有し、該レンズアレイ形成面に製造するレンズアレイの外形に対応する第1凹部を有し、該第1凹部の底面に前記レンズアレイのマイクロレンズに対応する複数の第2凹部を有してなるレンズアレイ製造用型の製造方法であって、
    第1型原版に、前記第1凹部と同じ開口を有し、かつ該第1凹部より深い第3凹部を形成する工程と、
    前記第3凹部に嵌合する形状で、かつ、該第3凹部の深さより厚さが薄い形状の第2型原版を用意するとともに、該第2型原版の一方の面に、前記複数の第2凹部に対応する複数の第4凹部を形成する工程と、
    前記第2型原版を、その第4凹部が外側に露出するようにして、前記第1型原版の前記第3凹部内に嵌合させ、これら第1型原版と第2型原版とからなる合成型原版を形成する工程と、
    前記合成型原版を雌型として、前記第3凹部と該第3凹部内に露出した前記第4凹部とに対応する凸形状を有した雄型を電鋳法で形成する工程と、
    前記雄型から雌型を電鋳法で複製し、レンズアレイ製造用型とする工程と、を含むことを特徴とするレンズアレイ製造用型の製造方法。
  2. レンズアレイ形成面を有し、該レンズアレイ形成面に製造するレンズアレイの外形に対応する第1凹部を有し、該第1凹部の底面に前記レンズアレイのマイクロレンズに対応する複数の第2凹部を有してなるレンズアレイ製造用型の製造方法であって、
    型原版の一方の面に、前記複数の第2凹部に対応する複数の第4凹部を形成する工程と、
    前記型原版を雌型として、前記第4凹部に対応する第1凸部を有した雄型を電鋳法で形成する工程と、
    前記雄型の、前記第1凸部を形成した領域の外側を除去し、前記第1凸部を形成した領域を、前記第1凹部の外形に対応した形状の第2凸部とする工程と、
    前記第1凸部及び前記第2凸部を形成した前記雄型から雌型を電鋳法で複製し、レンズアレイ製造用型とする工程と、を含むことを特徴とするレンズアレイ製造用型の製造方法。
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