JP2002301729A - 所定表面形状を有する物品の製造方法 - Google Patents

所定表面形状を有する物品の製造方法

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JP2002301729A
JP2002301729A JP2002019035A JP2002019035A JP2002301729A JP 2002301729 A JP2002301729 A JP 2002301729A JP 2002019035 A JP2002019035 A JP 2002019035A JP 2002019035 A JP2002019035 A JP 2002019035A JP 2002301729 A JP2002301729 A JP 2002301729A
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film
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molding surface
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JP2002019035A
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Masahiro Hori
雅宏 堀
Koichiro Nakamura
浩一郎 中村
Hiroaki Yamamoto
博章 山本
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
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    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29DPRODUCING PARTICULAR ARTICLES FROM PLASTICS OR FROM SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE
    • B29D11/00Producing optical elements, e.g. lenses or prisms
    • B29D11/00009Production of simple or compound lenses
    • B29D11/00365Production of microlenses

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  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
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  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 離型性に優れ、表面形状の精度が高い被覆物
品を効率的に製造する方法を提供する。 【解決手段】 成形型をその成形表面が上向きに水平に
なるように保持し、その成形表面上にゾルゲル材料液を
供給して膜状に形成し、加熱し、基材を前記膜に接触さ
せ、さらに加熱し、その後に成形型を離型し、必要に応
じてさらに加熱することにより前記成形型の成形表面形
状を反転させた形状の表面を有するゲル化膜で基材表面
が被覆された、所定表面形状を有する物品の製造方法に
おいて、前記成形型の成形表面の外周部に沿って前記成
形型の成形表面よりも低い位置にゾルゲル材料液の膜縁
部維持区域を設けそして前記ゾルゲル材料液の膜縁部が
前記成形型の成形表面を越えて前記膜縁部維持区域に達
する前記膜が形成されるように前記ゾルゲル材料液を成
形型の成形表面上に供給することからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板の表面上に所
定の微細な凹凸形状を有する物品、特に微小光学素子お
よび情報記録媒体基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】CD−ROM、その他の情報記録媒体、
平板マイクロレンズ(多数の微小レンズを基板上に平行
あるいは千鳥配列したレンズ列)、フレネルレンズ、回
折格子素子、光導波路素子などの光学部品をゾルゲル法
により製造することが知られている。特開平11−31
4927号公報には、ゾルゲル材料を基材と成形型との
間に密着させて膜状に配置し、ついで加熱して前記型の
表面形状を反転させた形状の表面を有するゲル化膜が基
材表面に被覆された、凹凸表面を有する物品の製造方法
が記載されている。同公報の例えば、図16(a)に示
されているように所定の表面形状を有し全体としてほぼ
平坦な型面40を備えた成形型41をその型面40が上
向きに水平になるように保持し、図16(b)に示すよ
うにその型面40上にゾルゲル材料液を注いで膜42を
形成し、ついで加熱し、その後に図16(c)に示すよ
うに基板43を前記膜42に接触させてさらに加熱し、
その後に成形型41を離型し、必要に応じてさらに加熱
することにより図16(d)に示すように前記成形型の
表面形状を反転させた形状の表面を有するゲル化膜44
が基板41の表面に被覆された、所定表面形状を有する
物品45が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の技術
では、ゲル化膜の一部、特に成形型の周辺部に対応する
膜部分が離型の際に成形型に付着して残り、十分な離型
性および転写性が得られないことがしばしばあり、成型
品の不良および成型品の寸法精度低下ならびに成形型の
寿命を短くする一因にもなっている。さらに、このゾル
ゲル法においては、更なる製造工程の高速化、不良率の
低下および寸法精度の向上が求められている。
【0004】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであり、その目的は離型性に優れ、表面形状
の精度が高い被覆物品を効率的に製造する方法を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、成形型をその
成形表面が上向きに水平になるように保持し、その成形
表面上にゾルゲル材料液を供給して膜状に形成し、加熱
し、基材を前記膜に接触させ、さらに加熱し、その後に
成形型を離型し、必要に応じてさらに加熱することによ
り前記成形型の成形表面形状を反転させた形状の表面を
有するゲル化膜で基材表面が被覆された、所定表面形状
を有する物品の製造方法において、前記成形型の成形表
面の外周部に沿って前記成形型の成形表面よりも低い位
置にゾルゲル材料液の膜縁部維持区域を設けそして前記
ゾルゲル材料液の膜縁部が前記成形型の成形表面を越え
て前記膜縁部維持区域に達する前記膜が形成されるよう
に前記ゾルゲル材料液を成形型の成形表面上に供給する
ことを特徴とする所定表面形状を有する物品の製造方法
である。
【0006】本発明におけるゾルゲル材料液膜縁部維持
区域(以下単に膜縁部維持区域という)について以下に
説明する。縦断面を表す図1および平面図を表す図2に
示すように、成形型1の型面2は所定の凹凸の表面形状
を有し全体としてほぼ平坦であるが、型面2の外周3に
沿って型面を囲繞するように膜縁部維持区域4が設けら
れている。膜縁部維持区域4はその底部5が成形型の型
面2の表面よりも低いことが必要である。膜縁部維持区
域の形状としては、断面でみて、図3のように垂直壁6
および水平な底7からなるもの、図4のように傾斜壁8
および水平な底9からなるもの、図5のように円弧状の
くぼみ10からなるもの、図6のように曲線状11から
なるもの、および図7のように傾斜壁12、水平壁13
および堰14からなるものを例示することができる。
【0007】もし、本発明の膜縁部維持区域を設けない
場合、ゾルゲル液を成形型上に注いで膜で覆った際に
は、表面張力により膜の中央部に比べ、膜の外周部では
膜の表面が低くなり従って膜厚みは膜中央部よりも膜周
辺部で小さくなっており、この膜厚の差は成形型の型面
の凹凸深さ(通常は10〜500μm)より大きい。こ
の膜の加熱は、成型型およびその上を覆った膜を加熱手
段例えばホットプレートの上に載置しておこなう。もし
この前処理加熱を行わなかった場合、基板設置後の加熱
の際に、成型型の表面凹凸を覆うに十分な膜厚が得られ
なかったり、膜中に泡が残る等の問題が発生する。この
膜を加熱すると膜内部から水、溶媒が蒸散するが、上記
の膜厚の差により、周辺部の膜内に残存する水、溶媒の
濃度は、膜中央部のそれに比して小さくなり、膜周辺部
は膜中央部よりも早く硬化するので、均一な硬化膜は得
られなくなり、離型不良、製品の型精度不良、成形型の
短寿命が生じる。本発明においては、上記膜縁部維持区
域を設けているので、この区域に維持される液と成形型
周辺部にある液との流通がおこなわれる。この区域の膜
厚は成形型周辺部の膜厚よりも大きく、この区域の膜内
では水、溶媒の蒸散が相対的に少ないので、上記流通に
より周辺部の膜内の上記濃度は膜縁部維持区域を設けな
い場合に比して高くなるので、液膜中央部と周辺部との
上記濃度差は生じず、したがって外周部が早く硬化する
ことがなくなり成型部分の膜が均一に硬化するようにな
る。一方で、通常の金型を用いた場合の液の厚み差以上
に、周辺部の高低差をつけると、逆に周辺部が硬化しに
くくなり、均一に硬化させることができなくなる。本発
明においては例えば膜縁部維持区域の外側を図7に示す
ような堤または堰の様な形状にすることにより成形型の
面積の増大を最小限に抑えて成形型全域での膜硬化を一
定にし、離型不良や転写不良の発生を極端に抑制するこ
とができる。膜縁部維持区域の形状や深さは成形型全面
での膜の均一な硬化を生じさせるために、成形型の型面
の凹凸深さ、成形部分の液量などを考慮して設計するこ
とが好ましい。上記の膜縁部維持区域の深さ(h)およ
び幅(L)は図3〜7で図示される。深さ(h)は成形
型の型面の凹凸の平均高さからの距離で定義する。膜縁
部維持区域の深さ(h)は成型型の型面の凹凸高さ(通
常は50〜500μm)に対して十分に大きく、すなわ
ち1.0mm以上の深さにする必要がある。しかしこの
深さが大きすぎると、ゾルゲル材料液の使用量が増大し
て製造コストが高くなるので5mm以下であることが好
ましい。周辺部に縁を設けた場合でも同様の効果が期待
されるが、その厚みに膜厚が依存し、自由に厚みを変え
られない、金型作製の都合で縁を設ける事が困難となっ
たり、離型が難しい等の理由で、周辺部は凹型の方が望
ましい。
【0008】また、膜縁部維持区域の幅(L)は1mm
以上あれば十分であるが、成形型の上に供給したゾルゲ
ル材料液が溢れてプレス時に液が成形型外へ流出するこ
とを防止するために、または撥水剤を塗布したり堰を設
けるために幅3〜7mm、深さ1〜3mmが好ましい。
塗布しない場合には、幅は2〜5mm、深さ2〜5mm
を有していることが好ましい。この幅があまり大き過ぎ
ると成形型の寸法が大きくなって、成型基板や液のコス
トが大きくなるので10mm以下であることが好まし
い。
【0009】本発明に使用する成形型は型基体の上に離
型膜を被覆したものが好ましく用いられる。そして型基
体と離型膜の間に下地層および保護層を設けることがで
きる。上記型基体の材質としては離型膜に近似した膨張
係数を有するものを選ぶことが好ましい。樹脂からなる
型基体は、微細な加工が容易にでき、所望の形状に容易
に成形しやすいという利点があり、ガラスまたは金属の
型基体は耐熱性および機械的強度が高く、耐久性に優れ
ている。
【0010】本発明における成形型はその表面(型面)
に凹部または凸部が設けられている。凹凸部としては、
例えば球状、円錐状、角錐状や断面任意形状のスリット
状等を例示できる。そして、球状、円錐状、角錐状は離
型膜の全域あるいは部分的に任意数設けられる。一方、
凹部としてスリットを設ける場合、スリットは直線状、
曲線状に任意条設けても良く、複数条設ける場合には同
心円状、格子状に設けてもよい。
【0011】上記成形型基体は例えば表面が平坦なガラ
ス基板の表面を精密にエッチングして、目的とする形状
の、例えば凹型を形成する。またこれを種型として、無
電解および電解めっき法で凸型の金属母型を作製でき
る。また上記凹型を母型として、上記めっき法で凸型の
金属種型を作製し、さらにこの種型に上記めっき法で、
凹型の金属母型を作製できる。これら凸型または凹型の
母型を、本発明における型基体として用いることができ
る。なお上記のめっき法ではニッケル、クロム等の金属
が好ましく用いられる。また上記の方法で作製した種型
を用いて、紫外線硬化性樹脂で2P成型法により樹脂製
母型を作製し、これを本発明における型基体として用い
ることもできる。
【0012】成形型基体としては、少なくとも表面がチ
タン(Ti)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、およびこれ
らの酸化物からなる群より選ばれた少なくとも一種の材
質からなることが好ましく、そしてその成形型基体の表
面に、白金(Pt)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、および銀(A
g)からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属からな
る付着強化層、およびその付着強化層の上に金(Au)から
なる離型層が被覆されていることが好ましい。
【0013】本発明により製造される所定表面形状を有
する物品は、その表面に、前記成形型の表面形状を反転
させた形状の表面を有するゲル化膜を有する。従って前
記成形型の成形表面を所望の形状にしておくことによ
り、寸法精度の高い読みとり専用光学式情報記録媒体
(CD-ROM)、平板マイクロレンズあるいは、グレーティ
ング素子等の各種光学部品などの所定表面形状を有する
物品を製造できることになる。
【0014】本発明に製造方法において、ゾルゲル材料
の原料としては、ジアルキルジアルコキシシラン、アル
キルトリアルコキシシラン、アリール基またはアリール
基置換体を含有するトリアルコキシシラン、アリール基
またはアリール基置換体を2個含有するジアルコキシシ
ラン、アリール基またはアリール基置換体を含有するト
リハロゲン化シラン、アリール基またはアリール基置換
体を2個含有するジハロゲン化シラン、フッ素含有アル
キルトリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、
テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシジルコニウ
ム、トリアルコキシアルミニウム、テトラハロゲン化シ
ラン、テトラハロゲン化チタニウム、テトラハロゲン化
ジルコニウム、トリラハロゲン化アルミニウム、などが
用いられる。これらの中の好ましい組み合わせの一例と
して、(A) 下記式(1)で表されるシラン化合物、
【化1】R1 mSiX4-m ・・(1) ここでR1はアルキル基であり、そしてXはアルコキシ
ル基またはハロゲン原子であり、mは1または2であ
る、(B) 下記式(2)で表されるシラン化合物、
【化2】R2SiY3 ・・(2) ここでR2はアリール基または置換アリール基であり、
Yはアルコキシル基またはハロゲン原子である、および
(C) 下記式(3)で表されるシラン化合物、
【化3】R3SiZ3 ・・(3) ここでR3はフッ素含有アルキル基であり、そしてZは
アルコキシル基またはハロゲン原子である、を、上記
(A)成分を0〜95モル%、(B)成分を0〜95モ
ル%、ただし(A)成分と(B)成分の合計は30〜1
00モル%(好ましくは30〜95モル%)、(C)成
分を0〜70モル%(好ましくは5〜70モル%)含有
するゾルゲル材料の原料を挙げることができる。以下こ
のゾルゲル材料について詳述する。
【0015】本発明におけるゾルゲル材料の原料として
は、(A)成分および(B)成分の少なくとも一方なら
びに(C)成分の混合液に溶媒としてアルコールを加え
る。加えるアルコールとしては、炭素数1〜4の低級ア
ルコール、特に沸点が小さなメタノール、エタノールが
好適に用いられる。その理由は加水分解後に、比較的に
低い温度の熱処理で速やかに溶液中からアルコールを除
去できるからである。加えるアルコールの量は、モル比
で表して、(A)成分、(B)成分および(C)成分の
合計に対して0.3〜3倍が好ましく、より好ましくは
0.5〜1.5倍である。
【0016】このゾルゲル材料の原料には(A)成分、
(B)成分および(C)成分を加水分解するための触媒
が添加される。触媒としては酸触媒が好ましく用いられ
る。酸触媒としては、例えば蟻酸、酢酸、テトラフロロ
酢酸、プロピオン酸、しゅう酸、塩酸、硝酸、硫酸のう
ち少なくとも一つの酸触媒を水溶液の形で用いることが
好ましい。添加する酸触媒の量は、酸の種類およびプロ
トン酸としての強さ(弱酸、強酸)によって異なるが、
少なすぎると加水分解・脱水縮合反応の進行が遅くな
り、多すぎると縮合反応が進みすぎて分子量が大きくな
りすぎ、沈殿物や塗布液のゲル化を生じやすくなるので
好ましくない。前記膜形成用液が、その中に未加水分解
物の形の前記シラン化合物(A)、(B)および(C)
を、前記原料溶液中の前記シラン化合物(A)、(B)
および(C)の含有量に対して、0.5〜40%および
0.5〜60%の量それぞれ含有させることを容易にす
るためには、これらの酸触媒の中で、弱酸である有機酸
が好ましく用いられる。有機酸の中で、特に蟻酸が、分
子量が小さく蒸発しやすいので好ましく用いられる。添
加する酸触媒の量は、例えば、酸触媒として蟻酸を用い
る場合については、モル比で表して、(A)、(B)お
よび(C)成分の合計を1モルとした場合、0.5ミリ
モル〜5ミリモルが好ましく、より好ましくは0.7ミ
リモル〜2ミリモルである。
【0017】また、水は加水分解に必要な化学量論比以
上加えることが好ましい。水の添加量が化学量論比より
少ないとゲル化のための熱処理時に未反応のシラン化合
物(A)、(B)および(C)が揮発しやすくなるから
である。通常、水の添加量は、触媒水溶液の水も含め
て、必要な化学量論比の1.1〜30モル倍であり、
(A)、(B)および(C)成分の合計に対して2〜2
0モル倍が好ましく、より好ましくは3〜10モル倍で
ある。なお、本発明により製造される物品、例えば光学
素子が各種メモリーその他の電子回路に近接して用いら
れる場合には、光学素子中に塩素が含有しているとこれ
ら電子回路の寿命を低下させるおそれがあるので、上記
酸触媒として塩素を含まないものを使用することが好ま
しい。
【0018】本発明において、ゾルゲル材料の原料であ
る、(A)成分および(B)成分の少なくとも一方、
(C)成分、アルコール溶媒、水および触媒からなる溶
液を、例えば室温で、90〜120分間、攪拌しながら
保持して各アルコキシシランを加水分解させてゾルゲル
材料が調製される。その後、さらに室温〜140℃、より
好ましくは70〜100℃で、6〜30時間保持して脱水・
重縮合反応を進行させるとともに、溶液中の溶媒、水、
および脱水・重縮合反応生成物であるアルコールおよび
水を気化・蒸発させることが好ましい。その結果、溶液
の質量および体積は当初の調合時の25〜35重量%お
よび容積%に減少する。これにより、成膜後の収縮をで
きるだけ抑制して膜のクラック発生を防止するととも
に、最終加熱時に膜中に気泡を生じさせることなく硬化
膜を形成できる。この脱水・重縮合反応を進めすぎる
と、溶液の粘度が高くなり過ぎて成形型または基材表面
への被覆が困難となる。また逆に脱水・重縮合反応を進
め方が不足すると、最終加熱時の膜中の気泡発生を防止
できなくなる。溶液の粘度が103ポイズ以下になるよ
うに温度、保持時間を選択することにより脱水・重縮合
反応の進め方を調節することが好ましい。
【0019】上述したゾルゲル材料を用いて次のように
して所定の表面形状を有するゲル膜が被覆された光学素
子その他の物品を成形される。すなわち型面に微小な凹
凸形状を有し型面全体としてほぼ平坦な形状の成形型を
その型面が上向きに水平になるように保ち、そして粘度
が103ポイズ以下の液状のゾルゲル材料をその成形型
の上に注いで、ゾルゲル材料液が成形型の型面を覆う膜
となり、しかもその膜の縁部がゾルゲル材料液膜縁部維
持区域に達するように満たす。なお、注ぐ代わりに、水
平に保った成形型をゾルゲル材料の浴に浸漬してからそ
のまま引き上げたり、刷毛でゾルゲル材料の液を水平に
保った成形型表面に塗布する等の方法でもよい。その状
態で、成形型上に満たされたゾルゲル材料の粘度が10
4〜108ポイズになるまで、100〜180℃で3〜1
20分間保持して、脱水・重縮合反応を進ませる。
【0020】ついで基材を成形型上の膜に密着するよう
に接触させて、その状態でさらに140〜250℃で1
0〜120分間保持して、ゾルゲル材料の脱水・重縮合
反応をほぼ完了させてゲル化させる。つぎに、成形型を
引き剥がして離型することにより、成形型の凹凸形状を
反転させた凹凸形状を表面に有する、柔らかいゲル化膜
であるポリシロキサン膜が基材の表面に接合された状態
で形成される。あまり早期に前記離型を行うと、ポリシ
ロキサン膜が柔らか過ぎて自重でその表面の凹凸形状が
変形してしまうので、この変形が生じなくなるまで上記
加熱をおこなう。成形型を離型させた後、成形型の外周
部のゾルゲル材料液膜縁部維持区域にあった膜の周辺部
分を基材表面に接合された膜からナイフで切断分離させ
て除去する。
【0021】ついでこれを最終的に180〜380℃で
10〜150分間加熱することにより、ポリシロキサン
膜の残留シラノール基を重縮合させるとともに、重縮合
で発生した水分を気化させて、膜は厚み方向にわずかに
体積収縮して緻密な膜となる。このようにして成形型の
表面形状が反転した形状の表面を有する膜が被覆された
光学素子その他の物品が得られる。
【0022】このようにして、本発明によれば、350
℃に耐える耐熱性に優れ、最大厚み(表面の凹凸の凸部
で測った膜厚)が1μm〜1mm、好ましくは20〜1
50μmで、一般のガラスの屈折率に近い例えば1.5
0〜1.54の屈折率を有し、微細な凹凸形状、例え
ば、1μm〜500μmの範囲内の所定値の幅(凹凸ピ
ッチ)および5〜500μmの範囲内の所定値の高さを
有する表面凹凸を、主表面に沿ってまたは主表面に垂直
な方向に沿って形成されたオルガノポリシロキサンから
なる膜が平坦板状の基材上に形成される。
【0023】この発明に用いる基材としては、平板状の
ものが好ましく用いられる。基材として200℃と20
℃における基材表面の反り量(基材の表面方向の単位長
さあたりのその表面に垂直な方向の熱変形長さ)が1c
mあたり±5μm以内であることが望ましい。反り量が
この範囲を越えると膜の成形過程において基板と膜が界
面で剥離もしくは膜に亀裂を生じるおそれがあるので、
基材の材料、寸法、形状を選ぶことが好ましい。
【0024】また、この基材は1.5×10-5/℃以下
の線膨張率を有することが好ましい。基材の線膨張率が
1.5×10-5/℃を超えると、例えばポリプロピレン
(9〜15×10-5/℃)のような高い熱膨張係数を有す
るプラスチックス基材の場合、オルガノポリシロキサン
膜の成形過程において基材と膜が界面で剥離したり、膜
に亀裂を生じることがあるからである。通常の無機ガラ
スは1.5×10-5/℃以下の線膨張率を有する。また
基材の少なくとも表面は酸化物であることが好ましい。
もしオルガノポリシロキサン膜と接する基材表面が酸化
物でない場合、膜の成形過程において付着強度が下が
り、場合によっては基材と膜が界面で剥離を生じるから
である。好ましい基材の材質の例として、珪酸塩系ガラ
ス、ホウ酸系ガラス、リン酸系ガラス等の酸化物ガラ
ス、石英、セラミックス、シリコン、金属、エポキシ樹
脂、ガラス繊維強化ポリスチレンなどを挙げることがで
きる。金属はそのままではオルガノポリシロキサン膜が
接合しないが、予め金属の表面を酸化剤で処理しておけ
ば基材として使用することができる。
【0025】また本発明における基材として、所望の波
長の光、例えば可視域、紫外域、または赤外域の光に対
して透明な物体が用いられる場合、本発明の所定表面形
状を有する物品は、レンズ、回折格子、プリズムなどの
透過型光学素子として機能を発揮することができる。ま
た、基材として透明体または不透明体を使用する場合
は、オルガノポリシロキサン膜の上に金属(アルミニウ
ム、銀、等)や誘電体膜(フッ化マグネシウム、酸化チ
タン等)を形成するなどして反射型回折格子、フレネル
レフレクタ等の反射型光学素子、CD-ROMその他の情報記
録媒体としての利用が適当である。
【0026】また上記ゾルゲル材料として、比較的反応
性に乏しいメチル基、エチル基、イソプロピル基、3,
3,3−トリフルオロプロピル基、フェニル基のような
官能基を有するものを用いて成型された所定表面形状を
有する物品の表面は、ゾルゲル材料に対して良好な離型
性を示す。従ってこの所定表面形状を有する物品は、金
の離型膜等を必要とせず、そのままゾルゲル材料の成形
型として利用することができ、その成形型の表面を反転
した表面形状を有する物品を製造することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て図面に基づいて詳細に説明する。本発明の製造方法
は、(1)例えば読みとり専用光学式情報記録媒体(CD
-ROM)、平板マイクロレンズあるいはグレーティング素
子等の各種光学部品に適用される。
【0028】本発明に使用する成形型(基体)は、例え
ば樹脂、シリコンウエハー、ガラス、金属およびこれら
の結合物のうちのいずれかであり、具体的には、離型膜
およびゾルゲル材料に近似した膨張係数が得られるよう
なエポキシ樹脂、シリコンウエハー(Si)、石英ガラス、
アルミニウム(Al)、銀(Ag)、クロム鋼(SUS)、真鍮を含
む銅(Cu)系合金、ニッケル(Ni)系合金等が採用されてい
る。
【0029】型基体として例えばエポキシ樹脂等の樹脂
を採用した場合、ガラス製あるいは金属製の型基体を用
いた場合に比較して加工成形が容易である。一方、型基
体として例えばシリコンウエハー(Si)、石英ガラス、ア
ルミニウム(Al)、銀(Ag)、クロム鋼(SUS)、真鍮を含む
(Cu)系合金、ニッケル(Ni)系合金等のガラスや金属等を
採用した場合、樹脂製の型基体を用いた場合に比較して
良好な強度および耐熱性が得られる。なお、成形型がエ
ポキシ樹脂の場合、ゾルゲル材料の加熱成形時の熱およ
び圧力に耐えられるように、ガラスあるいは金属等の保
持体を備えることが好ましい。
【0030】成形型の型面の外周部で、型面表面よりも
低い位置に設けるゾルゲル材料液膜縁部維持区域は図3
〜図7の様な形状をしている。供給する液の粘性が低い
場合には、その液液が膜縁部維持区域を超えてあふれ出
るのを防止するため、液膜縁部維持区域の底部に撥水剤
を塗布したり、図7に示すように成型型の型面と同じ高
さの堰を設けることが好ましい。撥水剤の塗布を行う
と、表面張力の効果により接触角が大きくなるため、周
辺凹部の高さが低くてすみ、また膜の離型の際の周辺部
の膜残りも低減される。また、この液膜縁部維持区域は
成形型を離型する際にも平坦な金型に比較して、作業性
が良好である。
【0031】成形型の型面の表面にチタン(Ti)、アルミ
ニウム(Al)、ケイ素(Si)およびこれらの酸化物からなる
群より選ばれた1種の材質からなる下地層が成膜され、
その上に付着強化層として、白金(Pt)、銅(Cu)、パラジ
ウム(Pd)、および銀(Ag)からなる群より選ばれた少なく
とも1種類が成膜され、その上に離型層として金(Au)
が成膜されている。
【0032】ゾルゲル材料としては、前述の(A)成
分、(B)成分および(C)成分を含むものでもよく、
また下記式(4)および(5)に示す有機無機複合体のうち
の少なくともいずれか一方を含むものでもよい。
【化4】RnSiX'4-n ・・・(4) ここで、Rは炭素数1ないし4の炭化水素基あるいは、
置換もしくは未置換のアリール基であり、X'はアルコ
キシル基またはハロゲン原子、nは1または2の整数で
ある。
【化5】MX''p ・・・(5) ここで、MはSi,Ti,Zr,Alのうちのいずれか
の金属原子、X'’はアルコキシル基またはハロゲン原
子、pは3または4の整数である。
【0033】そして、このようなゾルゲル材料として
は、シラン系は特に好ましい。その理由は、シラン系の
ゾルゲル材料を採用すれば、原料の加水分解、縮重合反
応が比較的穏やかに進行するため、プレス成形する際に
必要な低粘度の状態を長く維持できる利点を有するから
であり、また、低粘度を維持するために有効な有機鎖を
置換した式(4)で表される原料は、一般的で入手しやす
く、安価である点等の利点が得られる。
【0034】また、この実施形態におけるゾルゲル材料
は、成形固化後に他のゾルゲル材料に対して良好な離型
性を示す官能基を有していることが好ましい。具体的な
官能基としては、比較的反応性に乏しいメチル基、エチ
ル基、イソプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロ
ピル基、フェニル基等を例示できる。
【0035】
【発明の効果】以上に説明したように本発明によれば、
成形型の外周部にゾルゲル材料液の膜縁部維持区域を設
けているので膜が均一に硬化し、ゾルゲル材料に対する
良好な離型性が得られ、また優れた耐久性を有する成形
型が得られる。さらに従来に比較して、所定表面形状を
有する物品の製造工程を高速化できるとともに不良発生
率を低下でき、作業性が向上し、かつ、寸法精度を向上
でき、1枚の成形型からの採取数を増大させることが出
来る。
【0036】そして、この成形型によれば、成形面に凹
部溝その他の凹凸が設けられているため、この成形型を
用いて読み取り専用光学式情報記録媒体(CD-ROM)、平板
マイクロレンズあるいはグレーティング素子等の各種光
学部品を製造できることになる。
【0037】[実施例]成形型を試作し、これらの成形型
により所定表面形状を有する物品を製造した。そして、
これらの成形型における離型性の評価、転写性の評価、
耐用回数および総合評価を次の基準により評価した。
【0038】離型性の評価は、成形型をゾルゲル材料に
対して一定の圧力で一定時間押圧させた後、成形型を離
型し、ゾルゲル材料から成形型が容易かつ迅速に離型で
きるかを調査し、ゾルゲル材料が成形型に付着せずに離
型される面積割合を測定して、「◎……100%(極め
て良好)、○……90%以上100%未満(良好)、△
……70%以上90%未満(やや不良)、×……70%
未満(不良)」の4段階に評価した。更に、転写性の評
価は、得られた回折格子の回折効率およびマイクロレン
ズの焦点距離のばらつきを測定し、「◎……回折効率6
0%以上、焦点距離のばらつき10%以下(極めて良
好)、○……回折効率50%以上60%未満、焦点距離
のばらつき10%を超え25%以下(良好)、△……回
折効率30%以上50%未満、焦点距離のばらつき25
%を超え50%以下(やや不良)、×……回折効率30
%未満、焦点距離のばらつき50%を超える(不良)」
の4段階に評価した。また耐用回数は、成形型の離型膜
が剥がれることなく成形型を繰り返して使用できる最大
回数を示している。そして、総合評価は、離型性、転写
性以外にも、例えば離型膜の成膜容易性や耐久性、耐腐
食性、耐熱性等を考慮し、「◎……極めて良好、○……
良好、△……やや不良、×……不良」の4段階に評価し
た。
【0039】各成形型基体としては、次に述べるように
第1、第2および第3の型基体を準備した。 第1の型基体 フォトレジスト法により、シリコンウェーハーの表面に
約1000個の直線状のV溝(溝幅25μm、溝深さ1
5μm、溝断面:三角形、隣接する溝の間隔(溝の中央
で測定)約25μm)を形成した、平均厚み2.0mm
で25mm×25mmのシリコン製回折格子を第1の型
基体として準備した。
【0040】第2の型基体 2mm×38mm×38mmの寸法を有する透明な石英
ガラス板の全表面に、耐フッ酸性が高い金属クロム(C
r)の膜(厚み1μm)をスパッタ法で成膜被覆したも
のを用意し、この石英ガラス板の片側表面に金属膜の中
央部36mm×36mmに対してフォトレジスト工程に
より、縦方向および横方向にそれぞれ240μmのピッ
チで約1μmの直径の穴を開ける加工を施した後、フッ
酸水溶液内にこの石英ガラス板を所定時間浸漬して上記
穴の部分のガラスをエッチングし、次いで金属膜を除去
した。それにより、120μmの曲率半径をもつ略半球
面弧形状の凹部を縦方向に密接して150個、横方向に
密接して150個、合計約22,500個有する石英ガ
ラスの成形型基体が得られた。これを第2の型基体とす
る。
【0041】第3の型基体 厚み3.0mmで60mm×60mmの石英ガラスの基
板(線膨張率:5.5×10-7/℃)を超音波アルカリ
洗浄および純水洗浄した。前記第2の型基体と同様にし
てCr膜全面被覆、フォトレジスト工程による孔明け、
エッチング、金属膜除去を行い、この石英ガラス基板の
片側表面の中央部50mm×50mmに微細凹凸板を形
成した。このようにして曲率半径=1750μm、レン
ズ直径=1000μm、凹部の深さ=73μmをもつ球
面弧形状の凹部を縦方向に密接して50個、横方向に密
接して50個、合計約2,500個有する石英ガラス製
成形型が得られた。これを第3の型基体とする。
【0042】[実施例1]図8に示すように第1の型基
体(シリコン製回折格子)15の裏面に厚さ5mmで3
5mm×35mmのガラス板16を、成形型の四周部に
ガラス板が距離(L)=5mmずつ突出するように陽極
接合により接合させた。その後、型基体15の表面17
に、下地層として膜厚80nmのチタン(Ti)を真空蒸
着法で成膜し、引き続いて、チタン膜の上に保護層とし
て膜厚170nmの白金(Pt)を真空蒸着法で成膜し
た。次に、これを真空スパッター装置の中に入れて、こ
の白金層の上に離型膜として膜厚53nmの金(Au)を
スパッタ法により成膜して成形型18を得た。この成形
型は、表面が金色であり、蛍光灯の反射が干渉して見え
た。これにより、成形型の型面15の周りに深さ(h)
が2.0mmで巾(L)が5mmの液膜縁部維持区域が
形成された。この区域の底には離型膜を同様に成膜し
た。
【0043】フェニルトリエトキシシラン0.19モ
ル、ジメチルジエトキシシラン0.04モルおよび(3,
3,3トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン0.04
モルをビーカーに入れ撹拌した。この液にエタノール
0.25モルを加え撹拌し、水1.75モル(31.5
g)にギ酸を0.1重量%になるように溶解したギ酸水
溶液をさらにこれに加え、2時間撹拌した。撹拌初期に
は液は2層に分離したが、2時間撹拌すると透明均質な
溶液となった。この溶液をオーブン内にて80℃で12
時間、加熱したところ、エタノール、ギ酸水溶液、およ
び重縮合反応で生じた水などが揮発した。その結果、当
初約103.3gの重量および約100cm 3の体積を
有していた溶液はその重量および体積はいずれも約30
%に減少して重量約27g、体積約30cm3になって
いた。こうして得られた液をゾルゲル材料液とする。
【0044】図9に示すように型面が上向きで水平にな
るように上記成形型18を保持し、その型面の表面上に
上記ゾルゲル材料液(粘度:103ポイズ以下)を注い
で、厚み(t)が約60μmの膜19が形成され、膜の
縁部20が成形型の表面を越えて前記液膜縁部維持区域
の外端部から2〜3mmの距離(d)のところに達する
ようにした。この状態で140℃で7分間加熱した。こ
の加熱処理によって成形型の上に塑性変形可能なゲル膜
(粘度:104〜108ポイズ、膜厚は約45μm)が形
成できた。その後、厚み3.0mmで40mm×40m
mの石英ガラス基板(線膨張率:1.0×10-5/℃)
21を上記塗布面(ゲル膜)の上に乗せて圧力2kg/
cm2で押圧しながら200℃で30分間加熱して塗布
膜を石英ガラス基板と接合させた。そして塗布膜が完全
にゲル化した後、自然空冷させ、その後に成形型を石英
ガラス基板から引き離して離型した。その後、成形型の
外周部のゾルゲル材料液膜縁部維持区域にあった膜周辺
部分を基材表面に接合された膜からナイフで切断分離さ
せて除去した。膜付き石英ガラス基板をさらに350℃
で15分間加熱した。その結果、成形型の型面の形状を
転写した膜(平均膜厚30μm)が石英ガラス基板表面
に付着した回折格子が得られた。上記成形型1個を用い
て上記の製造工程を30回繰り返して、30個の回折格
子を作製した。
【0045】成形型の表面をその1回目の使用の前後で
顕微鏡により観察して、成形型から離型膜が剥離するこ
とがないかどうかを調べたところ、成形型からの離型膜
の剥離は全くなかった。また上記製造工程においてゾル
ゲル材料からの成形型の離型は容易かつ、迅速におこな
うことができた。そして上記のように30回製作を繰り
返しても成形型からの離型膜の剥離は全くなく、成形型
の離型性も変わらなかった。
【0046】得られた回折格子の表面に反射率60%
(波長1550nm)の金(Au)反射コートをスパッタ法
により成膜した後、回折効率の測定をおこなった。波長
可変レーザー光源より得た1550nmのレーザー光を
回折格子に入射させ、その回折光強度をフォトディテク
ターにより測定すると共に、回折格子への入射光量を同
じフォトディテクターにより測定し、両者を比較するこ
とで回折効率を評価した。
【0047】その結果、成形型の26次回折光の回折効
率が60%(1550nm)であるのに対して、得られた
回折格子の26次回折光の回折効率は60%であり、再
現良く転写されていることが判った。繰り返して製造し
た30個の回折格子についても同じ結果が得られた。
【0048】また、成形型を顕微鏡により観察した結
果、型面の溝の深さは15μm、溝ピッチは25μmで
あるのに対して、得られた回折格子では、溝深さは1
4.7〜15.3μm、溝ピッチは24.2〜25.1
μmであり、精度良く転写されていることが判った。繰
り返して製造した30個の回折格子についても精度良く
転写されていた。この実施例1の結果は、離型性の評
価、転写性の評価がともに“◎”、耐用回数は30回以
上であり、総合評価が“◎”となっている。
【0049】[比較例1]第1の型基体(シリコン製回
折格子)に、液膜縁部維持区域を設けないで、表面に下
地層(チタン)、保護層(白金)および離型膜(金)を
実施例1と同様に被覆して成形型として使用したこと、
およびゾルゲル材料液を注いで成形型の型面の表面の全
体に厚み約60μmの膜を形成したことの他は、図10
に示すように、実施例1と同様に塗布膜の加熱、プレス
成型、離型、加熱の各作業を実施した。プレス成型後に
液が型基体からはみ出していた。ゲル膜の中央部は良好
な離型性および転写性を維持できたが、膜の周辺部は離
型せずに成形型に付着して残り、その結果、石英ガラス
基板表面に形成された回折格子の面積は成形型の回折格
子の面積の70%以上90%未満にすぎなかった。この
ことから、ゾルゲル膜が均一に硬化していないことが分
かった。この比較例1の結果は、離型性の評価が
“△”、転写性の評価が“○”(回折効率55%)、耐
用回数は30回以上であり、総合評価が“○”であっ
た。
【0050】[比較例2]第1の型基体に液膜縁部維持
区域を設けないで、図11に示すように成形型の外周部
を平坦状に距離(L)を5mm、10mm、15mmと
延長して、比較例2と同様に成型を行った。5mmでは
周辺部の硬化が遅く、成形部分が早く硬化してしまうた
め、離型性は“△”、転写性は“○”、総合評価は
“△”であった。10mmの場合は離型性は“○”、転
写性“○”、総合評価は“○。15mmの幅を設けて初
めて総合評価が“◎”の成型品ができるが、金型が非常
に大きくなり、また必要液量も非常に大きくなる。
【0051】[実施例2]図12に示すように前記第2
の型基体の外周部を深さ(h)=1mm、幅(L)=1
mmになるように切削しその後、型基体の表面に対し
て、実施例1と同様に、チタンの下地層、白金の保護層
および金の離型膜を成膜して、液膜縁部維持区域22を
外周部に設けた成形型23を得た。
【0052】厚み3.0mmで38mm×38mmの石
英ガラス板(線膨張率:1.0×10-5/℃)を超音波
アルカリ洗浄および純水洗浄して基板とした。
【0053】図13に示すように上記成形型23の型面
24の表面を水平に保ち、実施例1で用いたものと同じ
ゾルゲル溶液をその成形型の表面上に注いで、約200
μmの厚みの層25が形成され、膜の縁部26が成形型
の表面を越えて前記液膜縁部維持区域22の外端部27
にまで達するようにした。そして、160℃で加熱を開
始し、20分間かけて徐々に180℃まで昇温しそのま
ま40分間保持した。この熱処理によって成形型の上に
塑性変形可能なゲル膜(粘度:104〜108ポイズ)が
形成できた。ついで上記ゲル膜に上記石英ガラス板28
を押し当て、2kg/cm2のプレス圧力でプレスしな
がら250℃で20分間加熱した。その後、離型した。
ついで成形型の外周部のゾルゲル材料液膜縁部維持区域
22にあった膜の周辺部分を基材表面に接合された膜か
らナイフで切断分離させて除去する。その結果、成形型
の形状を転写した膜が石英ガラス基板表面に付着した微
細凹凸板が得られた。離型して得られた微細凹凸板を3
50℃で15分間加熱して、最終加熱後平坦領域の膜厚
が約50μm、半円頂上からの最大膜厚が170μmで
ある22,500個の微小な凸レンズが配列された平板
マイクロレンズが得られた。そして、上記の製造工程を
30回繰り返して、30個の平板マイクロレンズを作製
した。
【0054】成形型の表面をその1回目の使用の前後で
顕微鏡により観察して、成形型から離型膜が剥離するこ
とはないかどうかを調べたところ、成形型からの離型膜
の剥離は全くなく、また上記製造工程においてもゾルゲ
ル材料からの成形型の離型は容易かつ、迅速におこなう
ことができた。そして上記のように30回製作を繰り返
しても成形型からの離型膜の剥離は全くなく、成形型の
離型性も変わらなかった。
【0055】また、1〜30回目のいずれの場合も平板
マイクロレンズに形成された球面は、それぞれ曲率半径
が約110μm、焦点距離が約1800μm(波長15
50nm)で一定であり、1〜30回目の平板マイクロ
レンズは、その形状に違いが認められなかった。従っ
て、離型性の評価、転写性の評価がともに“◎”、耐用
回数は30回以上であり、総合評価が“◎”であった。
【0056】[実施例3]図14に示すように第3の型
基体の外周部を実施例2と同様に深さ(h1)1mm、
幅(L1)5mmになるように切削しその後、表面に対
して、実施例1と同様に、チタンの下地層、白金の保護
層および金の離型膜を成膜した。第3の型基体は、第
1,2の型基体と異なり凹凸深さが大きく1段の切削の
みでは膜厚を確保できない。必要な膜厚を確保するには
1段の切削のみでは液膜縁部維持区域の幅L1を15m
m以上とする必要があり、この場合には液が非常に多く
必要となる。そこで表面張力を大きくし成形部分の膜厚
を十分に確保するため、第2段の切削と撥水剤の塗布を
行った。すなわちこの型基体の外周から距離(L2)4
mmの部分をさらに深さ(h2)0.5mm切削し、そ
の部分に撥水剤(ポリジメチルシロキサン)を500n
mの厚みで塗布し、成形型29とした。なお、上記の2
段の切削に代えて、1段の切削(h1またはh1+h2)を行
って撥水剤を塗布してもよい。このようにして成形型2
9の外周部にはゾルゲル材料液膜縁部維持区域30が設
けられ、型面31、液膜縁部維持区域の第1縦壁32お
よび 液膜縁部維持区域の第1底33の表面には上記の
チタン−白金−金の膜が被覆され、そして液膜縁部維持
区域の第2縦壁34および 液膜縁部維持区域の第2底
35の表面には上記の撥水剤の層が被覆されている。撥
水剤の塗布部分は外周部にあるため、金型との離型時に
作業性を上げる効果がある。
【0057】図15に示すように上記成形型29の型面
31の表面を水平に保ち、実施例2で用いたものと同じ
ゾルゲル溶液をその成形型の表面上に注いで、約200
μmの厚みの層36が形成され、膜の縁部37が成形型
の型面31の表面を越えて前記液膜縁部維持区域30の
外端部38から内側に測った距離(s)約2mmのとこ
ろまで達するようにした。
【0058】そして、実施例2と同様に加熱した後、実
施例2で用いたのと同種の石英ガラス板39を押し当
て、実施例2と同様にプレス加熱、離型、加熱をおこな
って、平坦領域の膜厚が約50μm、半円頂上からの最
大膜厚が170μmである22,500個の微小な凸レ
ンズが配列された平板マイクロレンズが得られた。そし
て、上記の製造工程を30回繰り返して、30個の平板
マイクロレンズを作製した。
【0059】成形型の表面をその1回目の使用の前後で
顕微鏡により観察して、成形型から離型膜が剥離するこ
とはないかどうかを調べたところ、成形型からの離型膜
の剥離は全くなく、また上記製造工程においてもゾルゲ
ル材料からの成形型の離型は容易かつ、迅速におこなう
ことができた。そして上記のように30回製作を繰り返
しても成形型からの離型膜の剥離は全くなく、成形型の
離型性も変わらなかった。撥水剤の効果も30回使用し
ても変化は見られなかった。
【0060】また、1〜30回目のいずれの場合も平板
マイクロレンズに形成された球面は、それぞれ曲率半径
が約110μm、焦点距離が約1800μm(波長15
50nm)で一定であり、1〜30回目の平板マイクロ
レンズは、その形状に違いが認められなかった。従っ
て、離型性の評価、転写性の評価がともに“◎”、耐用
回数は30回以上であり、総合評価が“◎”であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる成形型の1実施例を示す断面図
【図2】図1の成形型の平面図
【図3】本発明に用いる成形型の他の実施例を示す部分
側面図
【図4】本発明に用いる成形型の他の実施例を示す部分
側面図
【図5】本発明に用いる成形型の他の実施例を示す部分
側面図
【図6】本発明に用いる成形型の他の実施例を示す部分
側面図
【図7】本発明に用いる成形型の他の実施例を示す部分
側面図
【図8】本発明に用いる成形型の他の実施例を示す断面
【図9】図8の成形型を用いて製造工程を示す断面図
【図10】比較例の成形型を用いて製造工程を示す断面
【図11】他の比較例の成形型を用いて製造工程を示す
断面図
【図12】本発明に用いる成形型の他の実施例を示す部
分側面図
【図13】図12の成形型を用いて製造工程を示す断面
【図14】本発明に用いる成形型の他の実施例を示す部
分側面図
【図15】図14の成形型を用いて製造工程を示す断面
【図16】従来技術による製造工程を示す断面図
【符号の説明】
1 成形型、4 ゾルゲル材料液膜縁部維持区域、19
前記ゾルゲル材料液の膜、20 ゾルゲル材料液の膜
の縁部、21 基材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 5/18 G02B 5/18 G11B 7/26 531 G11B 7/26 531 (72)発明者 山本 博章 大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板 硝子株式会社内 Fターム(参考) 2H049 AA03 AA13 AA31 AA40 AA43 AA57 AA59 4F204 AA33 AD04 AH73 EA03 EA04 EB01 EF01 EF05 EF27 EW01 EW02 EW06 4G059 AA09 AA11 AC01 FA05 FA22 FB06 5D121 AA06 DD02 DD18 EE26 EE29

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形型をその成形表面が上向きに水平に
    なるように保持し、その成形表面上にゾルゲル材料液を
    供給して膜状に形成し、加熱し、基材を前記膜に接触さ
    せ、さらに加熱し、その後に成形型を離型し、必要に応
    じてさらに加熱することにより前記成形型の成形表面形
    状を反転させた形状の表面を有するゲル化膜で基材表面
    が被覆された、所定表面形状を有する物品の製造方法に
    おいて、前記成形型の成形表面の外周部に沿って前記成
    形型の成形表面よりも低い位置にゾルゲル材料液の膜縁
    部維持区域を設けそして前記ゾルゲル材料液の膜縁部が
    前記成形型の成形表面を越えて前記膜縁部維持区域に達
    する前記膜が形成されるように前記ゾルゲル材料液を成
    形型の成形表面上に供給することを特徴とする所定表面
    形状を有する物品の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記区域は1mm〜5mmの深さおよび
    1mm〜10mmの幅を有する請求項1記載の所定表面
    形状を有する物品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記成形型は、少なくとも表面がチタン
    (Ti)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)およびこれらの酸
    化物からなる群より選ばれた少なくとも一種の材質から
    なる成形型基体、その基体の表面に被覆した白金(Pt)、
    銅(Cu)、パラジウム(Pd)および銀(Ag)からなる群より選
    ばれた少なくとも1種の金属からなる付着強化層、なら
    びにその付着強化層の上に被覆した金(Au)からなる離型
    層からなる請求項1または2記載の所定表面形状を有す
    る物品の製造方法。
JP2002019035A 2001-02-01 2002-01-28 所定表面形状を有する物品の製造方法 Pending JP2002301729A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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