JP3750393B2 - 凹凸表面を有する物品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面に微細な凹凸形状を有する物品、特に微小光学素子および情報記録媒体基板の製法およびそのための調合組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CD−ROM、その他の情報記録媒体、平板マイクロレンズ(多数の微小レンズを平板上に平行配列したレンズ列)、フレネルレンズ、回折格子素子などの光学部品は、その表面に微小な凹凸を具える必要がある。この表面の微小な凹凸部は、情報記録媒体においては、ピットまたはトラッキングガイドとして機能し、光学部品においては、光の集束もしくは拡散を行いマイクロレンズもしくは回折格子として機能する。
【0003】
これら表面の凹凸部を形成させるために、紫外線硬化樹脂を基板上に均一に展開させ、凹凸部を具えた成形型で押圧しながら樹脂に紫外線を照射する方法(特開昭63−49702号公報)が知られている。
【0004】
また、特開昭62−102445号公報には、ガラス基板上にシリコンアルコキシドを含む溶液を塗布し、凹凸部を具えた成形型を押し当てながら加熱して凹凸部を形成させるいわゆるゾルゲル法による製造方法が記載されている。また特開平6−242303号公報には、ゾルゲル法を用い、数μm以上の厚さの膜を形成する場合、基板の上に複数の層を形成する方法が記載されている。この場合、各層の構成成分を溶液もしくはゾルで展開し、成形型で押圧しながら加圧加熱し、ついで、完全に固化した層の上に、さらに溶液もしくはゾルを注ぎ、上層を成形していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の技術には、以下のような問題点があった。先ず、紫外線硬化樹脂は、耐熱性が低く、250℃以上になると分解や黄変が発生する。したがって、紫外線硬化樹脂の凹凸部を有する基板は、はんだ付けなどの加熱加工ができず、装置などへの取り付けが難しかった。
【0006】
これに対し、ゾルゲル法で形成されたシリコンアルコキシドの凹凸部は、耐熱性が高く、はんだ付けなどが可能である。しかし、ゾルゲル法では、厚い膜の成形ができないという問題があった。実際にゾルゲル法により、数十μmのシリコンアルコキシドの層を成形すると、その表面に微小なひび(以下、クラックと称する)が発生する。これは、シリコンアルコキシド溶液がゲル化および固化する際に、この層の表面と内部とで重縮合反応の進行度に差ができるため、表面に大きな応力が発生するからである。さらには、この応力が原因となって、この層と基板とが剥離する場合もあった。
【0007】
また、オルガノポリシロキサン層を順次成形して多層化する方法で数十μmの膜厚の凹凸形状をもったオルガノポリシロキサン層を形成できる。しかし製造工程が長くなるので、コスト上昇の要因となり、また、下層が完全に硬化してから、次の層を注入するので、成形型と溶液もしくはゾルとの間に不要な空気が入り易く、凹凸の寸法精度が高くなかった。
【0008】
この発明は、このような従来技術に存在する問題に着目してなされたものである。その目的とするところは、耐熱性が高く、一層膜において数十〜数千μmの厚い層であってもその表面にクラックが発生せずかつ基板と剥離しない寸法精度の高い微細凹凸表面を有する物品の製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、上記膜を形成するための調合組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明および利点は、第1に、ゾルゲル材料を基材と成形型との間に密着させて膜状に配置し、ついで加熱して前記成形型の表面形状を反転させた形状の表面を有するゲル化膜が基材表面に被覆された、凹凸表面を有する物品の製造方法において、前記ゾルゲル材料が、(A)下記式(1)
R2SiX2 ・・(1)
ここでRは炭素数1〜3のアルキル基であり、そしてXは炭素数1〜4のアルコキシル基またはハロゲン原子である、で表されるシラン化合物、および(B) 下記式(2)
R'SiX'3 ・・(2)
ここでR'は炭素数6〜13のアリール基もしくは前記アリール基の水素原子が炭素数1〜3のアルキル基で置換された置換アリール基であり、そしてX'は炭素数1〜4のアルコキシル基またはハロゲン原子である、で表されるシラン化合物を含有することを特徴とする凹凸表面を有する物品の製造方法によって達成される。
【0010】
本発明によれば、さらに、
(A)含有するアルキル基の炭素数が1〜3、同じくアルコキシル基の炭素数が1〜4のジアルキルジアルコキシシラン 1モル
(B)炭素数1〜3のアリール基または前記アリール基の水素原子が炭素数1〜3のアルキル基で置換された置換アリール基を含有し、アルコキシル基の炭素数が1〜4であるトリアルコキシシラン 0.2〜4モル
(C)アルコール(モル比で表す) (A)成分+(B)成分の0.3〜3倍モル
(D)酸触媒(モル比で表す) (A)成分+(B)成分の3〜20倍モル
(E)水(モル比で表す) (A)成分+(B)成分の2〜20倍モル
を含有する、凹凸表面を有する物品を製造するための膜形成用調合組成物が同様に提供される。
【0011】
本発明において、ゾルゲル材料の原料は、上記式(1)で表されるシラン化合物と上記式(2)で表されるシラン化合物(A)をともに含有する。
【0012】
上記式(1)において、Rはアルキル基であり、Xはアルコキシル基またはハロゲン原子である。Rのアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。また、Xのアルコキシル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシキル基である。Xのハロゲン原子としては例えばフッ素、塩素、臭素を挙げることができる。
【0013】
式(1)で表されるシラン化合物としては、例えば、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシランのようなジアルキルジアルコキシシラン;ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシランのようなジアルキルジクロロシラン等を好ましいものとして列挙することができる。
【0014】
上記式(2)において、R'は置換もしくは未置換のアリール基であり、X'はアルコキシル基またはハロゲン原子である。未置換のアリール基としては、炭素数6〜13のアリール基例えばフェニル、ビフェニル、ナフチルなどが好ましい。またアリール基の置換基としては、例えば炭素数1〜3のアルキル基あるいはハロゲン原子を好ましいものとして挙げることができる。このような置換基で置換されたアリール基としては例えば、トリル基、キシリル基、クロロフェニル基等を好ましいものとして挙げることができる。また、X'のアルコキシル基およびハロゲン原子としては、式(1)のXについて例示したものと同じものを挙げることができる。
【0015】
上記式(2)で表されるシラン化合物としては、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニル基の水素の一部がハロゲン原子例えば塩素原子で置換した置換フェニル基を有するトリエトキシシラン、上記と同じ置換フェニル基を有するトリメトキシシランのようなフェニル基または置換フェニル基を有するトリアルコキシシラン;フェニルトリクロロシラン、フェニル基の水素の一部がハロゲン原子例えば塩素原子で置換した置換フェニル基を有するトリクロロシラン;トリルトリメトキシシラン、トリルトリエトキシシラン;トリルトリクロロシラン;キシリルトリメトキシシラン、キシリルトリエトキシシラン;キシリルトリクロロシラン;ビフェニルトリメトキシシラン、ビフェニルトリエトキシシラン;ビフェニルトリクロロシラン;などを挙げることができる。
【0016】
上記式(1)で表される(A)成分および上記式(2)で表される(B)成分として、ともにメトキシシランまたはエトキシシランのアルコキシシランを用いた場合、加水分解反応で生じるアルコールが揮発しやすくなるので好ましい。ゾルゲル材料の原料の(A)成分と(B)成分の好ましい組み合わせとして、ジメチルジアルコキシシランおよびフェニルトリアルコキシシランをあげることができる。
【0017】
本発明において、ゾルゲル材料の原料として、(A)成分および(B)成分を使用するが、それを基材に被覆して最終的に得られた膜内にアルキル基およびアリール基が大量に残留する。アルキル基およびアリール基は膜の脆さを減少させて膜に弾性を付与する働きをするので、膜内部に生じる熱応力を抑制することができ、従って膜のクラック発生および物品基材からの膜の剥離が防止される。
【0018】
以下、(A)成分がジアルキルジアルコキシシランであり、(B)成分がアリール基または置換アリール基を含有するトリアルコキシシランである場合について説明する。
【0019】
本発明の膜構造は、ジアルコキシシランとトリアルコキシシランが混合されることにより、繊維状に伸びた直鎖状のジアルコキシシランの末端をトリアルコキシシランが三次元的に継続することにより、三次元骨格にゆとりが生じ、これが、膜に弾性を与え、膜の脆さを低減させ、厚い膜を形成できると推察される。
【0020】
ここで、本発明による膜がアリール基または置換アリール基を含むことの意味は、これらの基が他の有機基に比較し、膜中の酸化物骨格構造に、膜の脆さを抑えて弾性を与えられるだけの十分なバルキーさをもち、かつその上で他の有機基に比べ共役系を持つことによる高温での安定性を兼ね備えている点が挙げられる。例えば、アリール基または置換アリール基を、共役系をもたないシクロヘキシル基に置き換えたシクロヘキシルトリアルコキシシランとジアルキルジアルコキシシランを含有する膜では、2〜300℃で膜は変色し、亀裂を生じる。
【0021】
ゾルゲル材料の原料は、(A)成分1モルに対して、(B)成分が0.2〜4モルの割合で両成分を含有することが好ましい。(B)成分が0.2モルより 少ない場合、膜は硬化し難く、ほとんどの成分が最終加熱時(焼成時)に揮発して、最終的には膜が形成され難い。また、(B)成分が4モルより多い場合、膜の柔軟性が損なわれ、20μm以上の厚さの膜は その最終加熱時または最終加熱後の冷却時に亀裂(クラック)が生じやすくなる。(A)成分1モルに対して、(B)成分が0.4〜1.0モルの割合で両成分を含有することがより好ましい。
【0022】
もしゾルゲル材料の原料として上記以外の有機基をもつアルコキシシラン、例えばジメチルジメトキシシランとビニルトリエトキシシランの混合物を用いた場合、得られる膜は300℃以下で熱分解をおこし、膜の耐熱性が著しく低下する。また、例えばテトラアルコキシシランのみを原料として用いた場合、アルキルトリアルコキシシランのみを原料として用いた場合、およびジアルキルジアルコキシシランとアルキルトリアルコキシシランとの混合物を原料として用いた場合は、いずれも、最終加熱後の膜応力が増大し、20μm以上の厚膜を形成した場合、クラックが生じる。
【0023】
本発明におけるゾルゲル材料の原料としては、(A)成分および(B)成分の混合液に溶媒としてアルコールを加える。加えるアルコールとしては、炭素数1〜4の低級アルコール、特に沸点が小さなメタノール、エタノールが好適に用いられる。その理由は加水分解後に、比較的に低い温度の熱処理で速やかに溶液中からアルコールを除去できるからである。加えるアルコールの量は、モル比で表して、(A)成分と(B)成分の合計に対して0.3〜3倍が好ましく、より好ましくは0.5〜1.5倍である。
【0024】
この溶液にはアルコキシシランを加水分解するための触媒を添加されている。触媒としては酸触媒が好ましく用いられ、酸触媒には、ギ酸、塩酸、硝酸、硫酸のうち少なくとも一つの酸触媒を水溶液の形で用いることが好ましい。添加する酸触媒の量は、モル比で表して、(A)成分と(B)成分の合計に対して3〜20倍が好ましく、より好ましくは5〜15倍である。また、水は加水分解に必要な化学量論比以上加えることが好ましい。水の添加量が化学量論比より少ないとゲル化のための熱処理時に未反応のアルコキシシランが揮発しやすくなるからである。通常、水の添加量は、触媒水溶液の水も含めて、必要な化学量論比の1.1〜3倍であり、モル比で表して、(A)成分と(B)成分の合計に対して2〜20倍が好ましく、より好ましくは4〜10倍である。
【0025】
本発明において、ゾルゲル材料の原料である、(A)成分、(B)成分、アルコール溶媒、水および触媒からなる溶液を、例えば室温で、90〜120分間、攪拌しながら保持して両アルコキシシランを加水分解させて調製される。その後、さらに室温〜140℃、より好ましくは70〜100℃で、6〜30時間保持して脱水・重縮合反応を進行させるとともに、溶液中の溶媒、水、および脱水・重縮合反応生成物であるアルコールおよび水を気化・蒸散させることが好ましい。その結果、溶液の質量および体積は当初の調合時の25〜35重量%および容積%に減少する。これにより、成膜後の収縮をできるだけ抑制して膜のクラック発生を防止するとともに、最終加熱時に膜中に気泡を生じさせることなく硬化膜を形成できる。この脱水・重縮合反応を進めすぎると、溶液の粘度が高くなり過ぎて成形型または基材表面への被覆が困難となる。また逆に脱水・重縮合反応を進め方が不足すると、最終加熱時の膜中の気泡発生を防止できなくなる。溶液の粘度が103ポイズ以下になるように温度、保持時間を選択することにより脱水・重縮合反応の進め方を調節することが好ましい。
【0026】
本発明において、上記脱水・重縮合反応を進めた溶液に、新たに、テトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシランまたはアルキルハイドロジェンジアルコキシシラン、テトラアルコキシシランのアルコキシル基の一部または全部がハロゲン、例えば、塩素で置換されたハロゲン化シラン、前記アルキルトリアルコキシシランのアルコキシル基の一部または全部がハロゲン、例えば塩素、で置換されたハロゲン化シラン、または前記アルキルハイドロジェンジアルコキシシランのアルコキシル基の一部または全部がハロゲン、例えば塩素、で置換されたハロゲン化シランを、(A)(B)成分の合計モル数に対し、モル比で10%以下、好ましくは0.001〜10%、更に好ましくは0.001〜0.1%、添加し、そして再び室温〜140℃、好ましくは70〜100℃で6〜30時間保持することが好ましい。上記添加により、弾性を持つオリゴマーの末端を活性にすることができ、上記溶液がさらにゲル化しやすい液となるので、成形型で型どられた凹凸表面をもつ膜の硬化のための加熱温度を低くすることができる。その結果、成形型で型どられた凹凸表面をもつ膜の硬化のための加熱の温度を低くしたり加熱時間が短縮できて、作業が効率的におこなえたり、成形型の寿命がのばすことができるとともに、成形型表面の凹凸と基材に被覆された最終の膜表面の凹凸との基材面方向の寸法ズレがさらに極めて小さくなる。上記の、添加するアルコキシシラン等が10%を越える場合、得られた膜は亀裂が生じやすくなる。
【0027】
上記アルキルハイドロジェンジアルコキシシランとしては、下記式、R1HSi(OR2)2ここで、R1はアルキル基、好ましくはメチル基またはエチル基であり、R2はアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である、で表される化合物が好ましく用いられる。
【0028】
また上記の攪拌しながら保持して両アルコキシシランを加水分解させた溶液に、上記脱水・重縮合反応を進める前に、同様に上記テトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシランまたはアルキルハイドロジェンジアルコキシシラン等を(A)(B)成分の合計モル数に対し、モル比で10%以下、好ましくは0.001〜10%、添加することが好ましく、上記と同様に成形が容易になるとともに、成形型表面の凹凸と基材に被覆された膜表面の凹凸との基材面方向の寸法ズレが極めて小さくなる。上記加水分解反応と脱水・重縮合反応とが引き続き室温で行われる場合には、上記アルコキシシランの添加は、加水分解の撹拌終了後の時点からある程度重合が進み、オリゴマーができた時点までの間ならいつでも差し支えない。
【0029】
また上記脱水・重縮合反応を進めた溶液にホルムアミドを重合触媒として添加することができる。ホルムアミドは沸点が210℃と高くて膜硬化のための高温加熱の際にも気化することなく有効に働き、また脱水触媒としても作用するため、液を硬化させる際の反応性を高めることができ、最終加熱に有効に作用し、かつ脱水による気泡発生を抑制し気泡のない膜を形成できる。ホルムアミドの好ましい添加量は、上記(A)(B)成分の合計モル数に対し、モル比で1〜10%である。
【0030】
以上のようにして得られたゾルゲル材料を物品基材と成形型との間に密着させて膜状に配置し、加熱して、前記成形型の表面形状を反転させた形状の表面を有するゲル膜が被覆された、凹凸表面を有する物品を製造する。この微小凹凸膜を成形するプロセスとしては、代表的に下記2つの方法を挙げることができる。
【0031】
第1の方法(以下型注ぎ法という)は成形型にゾルゲル材料の液を注ぎ加熱し、物品基材を接触させてさらに加熱することで基材と成形膜を接合し、離型後に最終加熱する方法である。すなわち微小な凹凸形状を有する成形型を水平に保ち、粘度が103ポイズ以下の液状のゾルゲル材料をその成形型の上に注いでゾルゲル材料が成形型の凹みを埋め尽くすように満たす。なお、注ぐ代わりに、その成形型をゾルゲル材料の浴に浸漬したり、刷毛でゾルゲル材料の液をその成形型表面に塗布する等の方法でもよい。その状態で、成形型上に満たされたゾルゲル材料の粘度が104〜108ポイズになるまで、140〜180℃で20〜120分間保持して、脱水・重縮合反応を進ませる。
【0032】
ついで基材を成形型の上に密着するように接触させて、ゾルゲル材料を基材表面に、その間に空隙を生じないように接触させ、その状態でさらに140〜180℃で10〜120分間保持して、ゾルゲル材料の脱水・重縮合反応をほぼ完了させてゲル化させる。つぎに、成形型を引き剥がして離型することにより、成形型の凹凸形状を反転させた凹凸形状を表面に有する、柔らかいゲル化膜であるポリシロキサン膜が基材の表面に接合された状態で形成される。あまり早期に前記離型を行うと、ポリシロキサン膜が柔らか過ぎて自重でその表面の凹凸形状が変形してしまうので、この変形が生じなくなるまで上記加熱をおこなう。
【0033】
ついでこれを最終的に180〜350℃で10〜150分間加熱することにより、ポリシロキサン膜の残留シラノール基を重縮合させるとともに、重縮合で発生した水分を気化させて、膜は厚み方向にわずかに体積収縮して緻密な膜となる。このようにして成形型の表面形状を反転させた形状の表面を有する膜が被覆された、凹凸表面を有する物品が得られる。
【0034】
第2の成形方法(以下、基材注ぎ法という)はゾルゲル材料の液を基板表面に直接に注ぎ加熱してその液膜が可塑性を持った時(液の粘度が104〜108ポイズになったとき)に成形型を物品基板表面の膜に押し当て、そのままの状態で加熱し、転写成形後、成形型を離型し、最終加熱を実施する方法である。すなわち、物品基材の被覆すべき表面を水平に保ち、粘度が103 ポイズ以下の液状のゾルゲル材料をその基材の上に注いで所定の厚みになるようにゾルゲル材料を基材上に膜状に広げる。その状態で、注がれたゾルゲル材料の粘度が104〜108ポイズになるまで、140〜180℃で20〜120分間保持して、脱水・重縮合反応を進ませる。ついで微小な凹凸形状を有する成形型を膜状のゾルゲル材料の上に押し当てて圧力0.5〜120kg/cm2、温度160℃〜350℃で60秒〜60分間、保持して、ゾルゲル材料の脱水・重縮合反応をほぼ完了させてゲル化させる。そして成形型を引き剥がすことにより、成形型の凹凸形状を反転させた凹凸形状を表面に有するゲル化膜であるポリシロキサン膜が基材の表面に接合された状態で形成される。ついでこれを例えば180〜350℃で10〜150分間最終加熱することにより、ポリシロキサン膜の残留シラノール基を重縮合させるとともに、この重縮合で発生した水分を気化させて、膜は厚み方向にわずかに体積収縮して緻密な膜となる。このようにして成形型の表面形状を反転させた形状の表面を有する膜が被覆された、凹凸表面を有する物品が得られる。
【0035】
上記成形型は例えば表面が平坦なガラス基板の表面を精密にエッチングして、目的とする形状の、例えば凹型を形成する。これを種型として、無電解および電解めっき法で凸型の金属母型を作製できる。また上記凹型を母型として、上記めっき法で凸型の金属種型を作製し、さらにこの種型に上記めっき法で、凹型の金属母型を作製できる。これら凸型または凹型の母型を、成形型として用いることができる。なお上記のめっき法ではニッケル、クロム等の金属が好ましく用いられる。また上記の方法で作製した種型を用いて、紫外線硬化性樹脂で2P成型法により樹脂製母型を作製し、これを成形型として用いることもできる。
【0036】
本発明におけるポリシロキサン膜はその断面において、1個または複数の円弧、楕円弧、または山形等の形状を有するものである。この凸部の形状を変えることにより、基材に様々な機能を付与することができる。例えば微細凹凸形状の変更により平板マイクロレンズアレイとしての機能やグレーティングとしての機能やプリズムアレイとしての機能を付与することができる。
【0037】
このポリシロキサン膜の厚み(最終加熱後)は膜の凸部と凹部の平均高さで表して1μm〜1mmである。 膜厚が20μm以上の場合、その膜厚の最小値(膜の凹部表面の高さ)と最大値(膜の凸部表面の高さ)の比が0.25以上、すなわち最小値/最大値≧0.25であることが、基材と膜との剥離防止および、膜の亀裂防止のために、望ましい。膜厚の最小値と最大値の比(最小値/最大値)が0.25未満の場合には、膜の成形過程にお いて、膜厚が最小の部分で基板と膜が界面で剥離したり、膜に亀裂を生じやすいからである。
【0038】
このようにして、本発明によれば、350℃に耐える耐熱性に優れ、膜厚が1μm〜1mmで、一般のガラスの屈折率に近い1.50〜1.54の屈折率を有し、微細な凹凸形状を持つオルガノポリシロキサンからなる単一層の膜が物品基材に形成される。この膜を構成するオルガノポリシロキサンはアルキル基例えばメチル基を5〜25重量%、好ましくは15〜22重量%、アリール基例えばフェニル基を5〜40重量%、好ましくは26〜37重量%含有している。この膜は弾力性に富み(脆性が少なく)、膜の強度が高く膜に亀裂が発生し難い。そして膜の内部には成型時の発泡は認められず、膜表面の微細凹凸形状の寸法精度が極めて高い優れた転写性が実現できる。具体的には、例えば高さが20〜100μmの凸部を多数形成する場合、膜表面凸部の高さのばらつきは、1μm以下である。また膜表面の凸部間隔の成形型からのズレは測定精度(0.2μm)以下である。
【0039】
この発明に用いる物品基材としては、平板状、曲板状、棒状等の任意の形状のものが用いられる。基材として200℃と20℃における基材表面の反り量(基材の表面方向の単位長さあたりのその表面に垂直な方向の熱変形長さ)が1cmあたり±5μm以内であることが望ましい。反り量がこの範囲を越えると膜の成形過程において基板と膜が界面で剥離もしくは膜に亀裂を生じるおそれがあるので、基材の材料、寸法、形状を選ぶことが好ましい。
【0040】
また、この基材は1.5×10-5/℃以下の線膨張率を有することが好ましい。基材の線膨張率が1.5×10-5/℃を超えると、例えばポリプロピレン(9〜15×10-5/℃)のような高い熱膨張係数を有するプラスチックス基材の場合、オルガノポリシロキサン膜の成形過程において基材と膜が界面で剥離したり、膜に亀裂を生じるからである。通常の無機ガラスは1.5×10-5/℃以下の線膨張率を有する。また基材の少なくとも表面は酸化物であることが好ましい。もしオルガノポリシロキサン膜と接する基材表面が酸化物でない場合、膜の成形過程において付着強度が下がり、場合によっては基材と膜が界面で剥離を生じるからである。好ましい基材の材質の例として、珪酸塩系ガラス、ホウ酸系ガラス、リン酸系ガラス等の酸化物ガラス、石英、セラミックス、金属、エポキシ樹脂、ガラス繊維強化ポリスチレンなどを挙げることができる。金属はそのままではオルガノポリシロキサン膜が接合しないが、予め金属の表面を酸化剤で処理しておけば基材として使用することができる。
【0041】
また本発明における基材として、所望の波長の光、例えば可視域、紫外域、または赤外域の光に対して透明な物体が用いられる場合、本発明の凹凸表面を有する物品は、レンズ、回折格子、プリズムなどの透過型光学素子としての機能を発揮することができる。また、基材として透明体または不透明体を使用する場合は、オルガノポリシロキサン膜の上に金属(アルミニウム、銀、等)や誘電体膜(フッ化マグネシウム、酸化チタン等)を形成するなどして反射型回折格子、フレネルリフレクタ等の反射型光学素子、CD−ROMその他の情報記録媒体としての利用が適当である。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。微細凹凸物品の製造方法は、概略以下の手順で行われる。(1)オルガノポリシロキサン溶液の調製→(2)成形型または基材への溶液の塗布・熱処理→(3)接合・熱処理・離型→(4)最終加熱(焼成)。
【0043】
[オルガノポリシロキサン溶液(溶液AおよびB)の調製]フェニルトリエトキシシラン0.1モルとジメチルジエトキシシラン0.15モルをビーカーに入れ撹拌した。この液にエタノール0.25モルを加え撹拌し、水1.75モル(31.5g)にギ酸を0.1重量%になるように溶解した水溶液を、さらにこれに加え、2時間撹拌した。撹拌初期には液は2層に分離したが、2時間撹拌すると透明均質な溶液となった。この溶液をオーブン内にて80℃で12時間、加熱したところ、エタノール、ギ酸水溶液、および重縮合反応で生じた水などが揮発した。その結果、当初約91.2gの重量および約100cm3の体積を有していた溶液はその重量および体積は約30%に減少して重量約27g、体積約30cm3になっていた。こうして得られた液を溶液Aとする。溶液Aの中にはエタノールおよび水は殆ど含んでおらず、フェニルトリエトキシシランおよびジメチルジエトキシシラン中に当初含まれていたエトキシ基はその約50%がOH基として残っていた。この溶液Aにメチルハイドロジェンジエトキシシラン0.001モル加え撹拌した。これを溶液Bとする。
【0044】
[成形型または基材への溶液の塗布・熱処理]上記溶液AまたはBを、型注ぎ法では模式的に図1、図2に示すように成形型2の表面に注いで、また基材注ぎ法では模式的に図5に示すように基材7の表面に注いで、50μm以上で1mm以下の厚みの層1、5を形成し、140〜180℃の温度に20〜120分間、加熱した。熱処理の温度は溶液の種類により異なり、溶液Aでは140〜160℃から熱処理を開始し、20分間かけて徐々に180℃まで昇温し40分間保持した。また溶液Bでは160℃で20分間熱処理した。これらの熱処理によって成形型2または基材7の上に塑性変形可能なゲル膜(粘度:104〜108ポイズ)が形成できた。
【0045】
[接合・熱処理・離型]型注ぎ法の場合には、その後、図3に示すように上記塗布面(ゲル膜)に基材3の表面を接触させ、その状態で160℃〜250℃で20〜60分間加熱して基材と接合させた。そして塗布膜が完全にゲル化した後、成形型2を基材3から引き離して離型した。その結果、図4に示すような成形型の形状を転写した膜が付着した微細凹凸板4が得られた。
【0046】
基材注ぎ法の場合には、図6に示すように上記ゲル膜5に成形型6を押し当て、2kg/cm2のプレス圧力でプレスしながら、250℃で20分、加熱処理を実施した。その後、離型した。その結果、図7に示すような成形型の形状を転写した微細凹凸板8が得られた。
【0047】
[最終加熱]離型して得られた微細凹凸板4,8を350℃で15分間加熱して、凹凸表面を有する物品が得られた。得られた凹凸表面を有する物品を下記の方法で性能・特性を評価した。
【0048】
[凸部高さのばらつき測定]最外層の凸部高さのばらつき測定は、レーザ顕微鏡による高さ測定により実施した。
【0049】
[耐熱性、光学特性測定]実施例および比較例で製造した凹凸表面を有する物品について、300℃で2時間保持する耐熱試験を行った後、室温に戻して、亀裂(クラック)の発生の有無を観察して耐熱性を評価した。また、He−Neレーザを用いて、回折格子の回折パターン、マイクロレンズの集光性能、および基板表面への入射角約6ーでの基板内部での反射量を、耐熱試験の前後で測定し、評価した。また、アッベ屈折率計を用いて、膜部分のd線の屈折率を測定した。
【0050】
[実施例1]ガラス基板として厚み1.1mmで10cm角のソーダライムガラスの基板(線膨張率:1.0×10-5/℃)を準備した。また成形型として平行な8万本の直線状のV溝(溝幅1μm、溝深さ1μm、溝断面:正三角形、溝の長さ9cm、隣接する溝の間隔(溝の中央で測定)約2μm)を有するニッケル(Ni)製の成形型(以下「V溝Ni成形型」という)を準備した。上記基板、上記成形型および、溶液Aを用いて、平坦領域(線状突部が設けられていない部分)の膜厚が約40μmとなるように、基材注ぎ法に従って、回折格子である微細凹凸板を形成した。なお、溶液の塗布の厚みは約60μmであり、塗布後の熱処理は160℃で加熱を開始し、20分間かけて徐々に180℃まで昇温し40分間保持した。プレス圧、加熱条件は圧力2kg/cm2、250℃で20分間であり、最終加熱条件は350℃、15分であった。
【0051】
以上のようにして作製したオルガノポリシロキサン膜は透明であり、平坦部分の厚さ約40μm、屈折率は1.51であった。膜中にはメチル基およびフェニル基がそれぞれ18重量%および31重量%含まれていた。この基板の線状凸部の高さは、8万本からランダムに選んだ10本の各線状凸部の長さ方向9mm間隔で合計100点測定したところ、平均高さ1.0μm、標準偏差0.05μmであっ た。この基板の耐熱性評価を行った結果、膜中に亀裂は発生せず、外観、および、膜の凸部の高さ、その標準偏差、および回折パターンは耐熱試験前の値に比して変化は見られなかった。
【0052】
[比較例1]メチルトリエトキシシランとエタノールおよび水をそれぞれモル濃度比で1:1:4で混合し、これに触媒として塩酸を0.01モル加えて、室温で約30分間攪拌してゾル状溶液を調製した。実施例1で用いた溶液Aの代わりに上記ゾル状溶液を用いる他は実施例1と同じ基板および成形型を用いて実施例1に記載の方法で微細凹凸基板を形成した。しかし、350℃の最終加熱後の冷却中に膜内に亀裂が発生し、膜の一部が剥離し、寸法の評価を行うことはできなかった。この基板の耐熱性評価を行った結果、膜中の亀裂がさらに大きくなって膜が部分的にさらに剥離した。従って耐熱試験後の膜の凸部の高さ、その標準偏差は測定できない程度であり、回折パターンは耐熱試験前に比して大きな変化を示した。
【0053】
[比較例2]フェニルトリエトキシシランとエタノールおよび水をそれぞれモル濃度比で1:1:4で混合し、これに触媒として塩酸を0.01モル加えて、室温で約30分間攪拌してゾル状溶液を調製した。実施例1で用いた溶液Aの代わりに上記ゾル状溶液を用いる他は実施例1と同じ基板、成形型を用いて実施例1に記載の方法で微細凹凸基板を形成した。しかし、350℃の最終加熱後の冷却中に膜内に亀裂が発生し、比較例1のメチルトリエトキシ シランと同様、膜の一部が剥離し評価できなかった。この基板の回折パターンは耐熱試験前に比して大きな変化を示した。
【0054】
[実施例2]ガラス基板に実施例1と同じガラス基板を用い、溶液Aを用いて型注ぎ法に従い、微細凹凸基板を形成した。成形型として30μmの曲率半径をもつ略半球面弧形状の凹部を縦方向に密接して約150ケ、横方向に密接して150ケ、合計約22,500ケ有するNi成形型を用いた。最終加熱後平坦領域の膜厚が約15μm、半球の頂上からの最大膜厚が40μmとなるように、マイクロレンズである微細凹凸基板を形成した。なお、Ni成形型への溶液の塗布の厚みは約60μmであり、塗布後の熱処理条件は160℃から出発して180℃まで20分間で昇温し、180℃で40分間保持した。基板接合後の加熱条件は250℃で20分間であり、最終加熱条件は350℃、15分であった。
【0055】
以上のようにして作製したオルガノポリシロキサン膜は透明であり、最大膜厚約40μm、1.51の屈折率を有するオルガノポリシロキサン膜がガラス基板の表面に接着されていた。また、作製したマイクロレンズの焦点距離は、95〜98μmであった。膜中にはメチル基およびフェニル基がそれぞれ18重量%および31重量%含まれていた。この基板の凸部の高さ(膜の平坦面(凸部とは逆の面)から測定)は、ランダムに選んだ100点の半球状凸部について測定したところ、平均高さ40.0μm、標準偏差0.12μmであった。この基板の耐熱性評価を行った結果、膜に亀裂や剥離は生じず、すべての凸部の焦点距離はすべて95〜98μmの範囲内にあって耐熱試験前と変わらず、また膜の反対側から垂直に平行光を入射させて集光スポットの直径を測定したところ、すべての凸部レンズについて集光スポットの直径は3μm以内であり、耐熱試験前の値と変わらなかった。
【0056】
[実施例3]ガラス基板に石英基板を用い、成形型には実施例1で用いたV溝Ni成形型を用い、溶液Bを用いて基材注ぎ法に従い、平坦領域の膜厚が約100μmとなるよう微細凹凸基板を形成した。なお、溶液の塗布後の熱処理は160℃で20分間熱処理を実施した。プレス圧、加熱条件は圧力2kg/cm2、250℃で20分間であり、最終加熱条件は350℃、15分であった。
【0057】
以上のようにして作製したオルガノポリシロキサン膜は透明であり、最大膜厚約100μm、屈折率は、1.50であった。膜中にはメチル基およびフェニル基 がそれぞれ18重量%および31重量%含まれていた。この基板の耐熱性評価を行った結果、膜中に亀裂は発生せず、外観、および、回折パターンに変化は見られなかった。
【0058】
この実施例および比較例の結果より、この発明によるオルガノポリシロキサンの層は、耐熱性が高く、変色および層剥離などが発生しないことが判る。
【0059】
[実施例4]ガラス基板として厚み3mmで25mm角のソーダライムガラス基板を準備した。また成形型としては、20μmの曲率半径をもつ半分の円柱形状の凹部を50本並列に表面に並べたガラス型に離型コートを施したものを用いた。この基板に溶液Aにホルムアミドを溶液A中の金属アルコキシドに対し、5%混合し、30分間撹拌した溶液Cを液厚さ約50μm、となるように基材注ぎ法にしたがってレンチキュラーレンズを形成した。なお、塗布後の熱処理は、160℃にて60分間加熱した。プレス圧は2kg/cm2であり、離型後、350℃で15分間、最終加熱した。以上のようにして作製したオルガノポリシロキサン膜は透明であった。この基板の円柱状凸部の高さは、ランダムに20本測定したが、基板面からの平均高さが30μm、標準偏差0.10μmであった。この基板の耐熱性評価を行った結果、膜中に亀裂は発生せず、外観、および膜の凸部の高さ、その標準偏差、凸部のピッチに変化はみられなかった。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリシロキサン膜硬化時の体積収縮が小さく、しかも膜の中にアルキル基例えばメチル基およびアリール基例えばフェニル基が多量に残存して膜の弾力性に富む(脆性が少ない)ので、膜の強度が高く膜に亀裂が発生し難い。従って厚いオルガノポリシロキサン膜構成で高い耐熱性の光学素子その他の物品を低コストで得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による成形型を示す断面図。
【図2】図1の成形型の上にゾルゲル材料を塗布した状態を示す断面図。
【図3】図2のゾルゲル材料の上に基板を接触させた状態を示す断面図。
【図4】図3の状態から離型した後の微細凹凸基板を示す断面図。
【図5】本発明の他の実施例による、基板の上にゾルゲル材料を塗布した状態を示す断面図。
【図6】図5のゾルゲル材料の上に成形型を押しあてた状態を示す断面図。
【図7】図6の状態から離型した後の微細凹凸基板を示す断面図。
【符号の説明】
1、5 ゾルゲル材料
2、6 成形型
3、7 基材
4、8 微細凹凸基板
Claims (8)
- ゾルゲル材料を基材と成形型との間に密着させて膜状に配置し、ついで加熱して前記成形型の表面形状を反転させた形状の表面を有するゲル化膜が基材表面に被覆された、凹凸表面を有する物品の製造方法において、前記ゾルゲル材料が、(A) 下記式(1)
R2SiX2 ・・(1)
ここでRは炭素数1〜3のアルキル基であり、そしてXは炭素数1〜4のアルコキシル基またはハロゲン原子である、で表されるシラン化合物、および(B) 下記式(2)
R'SiX'3 ・・(2)
ここでR'は炭素数6〜13のアリール基もしくは前記アリール基が炭素数1〜3のアルキル基で置換された置換アリール基であり、X'は炭素数1〜4のアルコキシル基またはハロゲン原子である、で表されるシラン化合物を含有することを特徴とする凹凸表面を有する物品の製造方法。 - 前記ゾルゲル材料が前記(A)成分および(B)成分を、(A)成分1モルに対して(B)成分を0.2〜4モルの割合で含有する請求項1記載の凹凸表面を有する物品の製造方法。
- 前記(A)成分はジメチルジエトキシシランであり、前記(B)成分はフェニルトリエトキシシランである請求項1または2記載の凹凸表面を有する物品の製造方法。
- 前記ゾルゲル材料は、前記(A)成分、(B)成分、アルコール、水および触媒を含む溶液を攪拌しながら加水分解させ、そして加熱して、その中の揮発成分を気化させてその溶液の質量を加熱前質量の25〜35%に減少させたものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の凹凸表面を有する物品の製造方法。
- 前記ゾルゲル材料は、前記(A)成分、(B)成分、アルコール、水および触媒を含む溶液を攪拌しながら加水分解させ、そして加熱して、前記溶液中の水およびアルコールが実質的にゼロになるようにしたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の凹凸表面を有する物品の製造方法。
- 前記ゾルゲル材料は、前記加水分解させた後の溶液、または質量を減少させた前記溶液にテトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシランまたはアルキルハイドロジェンジアルコキシシラン、テトラアルコキシシランのアルコキシル基の一部または全部がハロゲンで置換されたハロゲン化シラン、前記アルキルトリアルコキシシランのアルコキシル基の一部または全部がハロゲンで置換されたハロゲン化シラン、または前記アルキルハイドロジェンジアルコキシシランのアルコキシル基の一部または全部がハロゲンで置換されたハロゲン化シランを、(A)成分と(B)成分の合計モルに対して、モル比で10%以下添加されたものである請求項4に記載の凹凸表面を有する物品の製造方法。
- 前記ゾルゲル材料は、質量を減少させた前記溶液にホルムアミドを、(A)成分と(B)成分の合計モルに対して、モル比で10%以下添加されたものである請求項4または6に記載の凹凸表面を有する物品の製造方法。
- (A)含有するアルキル基の炭素数が1〜3、同じくアルコキシル基の炭素数が1〜4のジアルキルジアルコキシシラン 1モル
(B)炭素数1〜3のアリール基または前記アリール基が炭素数1〜3のアルキル基で置換された置換アリール基を含有し、アルコキシル基の炭素数が1〜4であるトリアルコキシシラン 0.2〜4モル
(C)アルコール(モル比で表す) (A)成分+(B)成分の0.3〜3倍モル
(D)酸触媒(モル比で表す) (A)成分+(B)成分の3〜20倍モル
(E)水(モル比で表す) (A)成分+(B)成分の2〜20倍モル
を含有する、凹凸表面を有する物品を製造するための膜形成用調合組成物。
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