JP2004163491A - 光学素子及びその製造方法 - Google Patents

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輝幸 佐々木
Kenichi Yamada
健一 山田
Masahiro Hori
雅宏 堀
Hiroaki Yamamoto
博章 山本
Kenjiro Hamanaka
賢二郎 浜中
Koichiro Nakamura
浩一郎 中村
Masaatsu Kido
優敦 木戸
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Abstract

【課題】光学素子表面に微細凹凸構造を成形によって形成する際、熱収縮が小さく寸法精度の高い方法を提供し、これを用いて耐熱性が高く、所望の特性および耐久性を有する誘電体多層膜付き光学素子を提供する。
【解決手段】本発明の光学素子は、固体組成物層の表面上に所定表面形状を形成し、それを誘電体多層膜を被覆して構成される。この固体組成物層は、ガラス転移温度以下の温度で一定時間加熱した時の重量減少が1.3wt%であることが望ましい。この固体組成物層は重合性有機基を含む流動性組成物を成形硬化することによって得る。硬化は重合性有機基の光重合または熱重合によって行い、成形型から所定表面形状を転写する。硬化させた組成物を成形型から離型し、さらにその固体組成物層表面上に誘電体多層膜を形成する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は主として光通信分野で使用される光学素子及びその製造方法に関し、特に反射型あるいは透過型回折格子、フレネルレンズまたは平板状レンズアレイなどの所定表面形状を有する光学素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報通信容量の増大に伴い、光通信分野では回折格子、微小レンズ列(マイクロレンズアレイ)などの光学素子が多量に使用されるようになっている。これらの光学素子は、その表面に所定の微小凹凸構造を備えることにより光の回折あるいは屈折作用を利用する平板状光学素子である。
【0003】
これら表面の凹凸構造を形成させる方法は種々知られているが、大量にかつ低コストで生産するのに適した方法として、樹脂成形技術が知られている。紫外線硬化樹脂のモノマーを基板上に均一に展開し、凹凸構造を備えた型に接触させながら紫外線を照射する方法が例えば、特許文献1に開示されている。
【0004】
一方、光通信においては光路中からの反射戻り光を防止することが要求される。上記光学素子表面からの反射も十分に小さいことが必要である。このような反射を防止する手段としては、誘電体多層膜を光学素子表面に形成する方法がもっとも一般的である。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−49702号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の樹脂成形技術では、紫外線硬化性モノマーの光重合過程での収縮が大きく、光学素子に対して要求される設計寸法精度を満足できない場合があった。また樹脂は耐熱性に課題があり、誘電体多層膜を成膜する際の基板温度を低く抑える必要があり、誘電体多層膜の膜質、およびその耐久性に課題があった。
【0007】
本発明はこのような従来技術に存在する課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、成形の際の熱収縮が小さく寸法精度の高い微細凹凸構造を提供することにある。また他の目的は、耐熱性が高く、所望の特性および耐久性を有する誘電体多層膜付き光学素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学素子は、ガラス転移温度以下の温度で加熱した時の重量減少が1.3wt%以下である固体組成物層の表面に所定の形状を形成し、さらにその表面に誘電体多層膜を被覆して構成される。ガラス転移温度以下の温度で加熱した時の重量減少は、1.0wt%以下であればより好ましく、0.7wt%以下であればさらに好ましい。
【0009】
ガラス転移温度以下での加熱による重量減少が少ない固体組成物は、耐熱性が高く、またガラス転移温度まで安定であるため、これを使用することにより、表面を被覆する誘電体多層膜の成膜温度をガラス転移温度付近まで上げることができる。成膜温度を向上させることができれば、誘電体多層膜の膜質が緻密になり、耐熱、耐湿性が向上する。
【0010】
また本発明の光学素子の所定表面形状は成形によって形成するため、重合性有機基を含む流動性有機基を用い、これを光または熱のエネルギーにより重合硬化させる。光重合あるいは熱重合は、付加重合であり、そのため脱水縮合反応に比べ収縮が小さい。したがって光重合または熱重合を用いることにより、光学素子に要求される寸法精度を満たすことができるという効果がある。
【0011】
上記の重合性有機基はエポキシ基であり、流動性組成物は成分(A)、(B)、(C)および(D)を次に示す範囲で含有することが望ましい。
(A)非フッ素化エポキシ化合物 20〜99.9重量%
(B)重合開始剤 0.1〜7重量%
(C)フッ素化エポキシ化合物 0〜79.9重量%
(D)シランカップリング剤 0〜10重量%
また、成分(A)は脂環エポキシ化合物であることが好ましい。
上記重合性有機基は、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、およびビニル基の中から選ぶこともできる。
【0012】
また誘電体多層膜は、SiO、TiO、Ta、ZrO、NbおよびMgFよりなる群から選ばれた材料を主成分とする層による少なくとも二層膜であることが望ましい。単層の膜厚は、1〜600nmであることが望ましい。また膜中に直径10nm以上の粒塊または柱状構造のないことが好ましい。
【0013】
本発明において用いられる誘電体多層膜は、主として反射防止を目的として用いられる。上記の材料から選んだ多層膜を用いることにより、光学的に安定でかつ耐久性の高い反射防止膜を形成できる。TiO/SiO、Ta/SiO、ZrO/SiO、およびTiO/MgF等の2層膜あるいはそれ以上の多層膜とし、使用波長、戻り光反射減衰量等の要求仕様により各層の膜厚や材料を設計するのが望ましい。単層の膜厚は、通常1〜600nmであることが望ましく、より好ましくは10〜400nmである。
【0014】
さらに重合硬化させた固体組成物層表面を厚さ1〜200nmのSiO膜によって被覆し、その上に前記誘電体多層膜を形成することが望ましい。
この膜を設けることにより、重合硬化させた固体組成物層表面の保護および誘電体多層膜との密着性の強化に効果がある。上記効果を発揮させるため、その膜厚は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは10〜150nmである。
【0015】
なお、基材はガラス、セラミックス、金属および樹脂から選ばれた少なくとも1種であることが望ましい。
基材を適切に選ぶことは、膜の成形過程において基板と膜が界面で剥離もしくは膜に亀裂を生じるのを防ぐのに効果がある。
【0016】
また本発明における基材は、所定の波長の光を透過するように選定することが望ましい。これにより光重合により組成物を硬化させる場合に基材を通して光を照射することが可能となる。また形成された光学素子が透過型光学素子として機能を発揮することができる。
【0017】
所定の表面形状によって透過型回折格子、フレネルレンズまたは微小レンズアレイの機能が付与された光学素子が実現できる。
【0018】
本発明の所定表面形状を有する光学素子の製造方法はつぎの通りである。
重合性有機基を含む流動性組成物を基材と成形型との間に密着させて膜状に挟持し、ついで熱および紫外線の少なくとも一方を付与してこの組成物を硬化させ、ついで硬化させた組成物を成形型から離型し、さらにその固体組成物層表面上に誘電体多層膜を形成する。この流動性組成物は光重合開始剤を含有することが望ましい。これによって光重合による組成物の硬化が行える。
このとき固体組成物層はガラス転移温度以下の温度で加熱した時の重量減少が1.3wt%以下であることが望ましい。
【0019】
さらに、光重合を行う場合には、基材および前記成形型の少なくとも一方は紫外線を透過することができる材質からなり、紫外線を基材または成形型を通過させて組成物に照射することが望ましい。
紫外線を組成物に均一に照射することができ、均一な固体組成物層を形成できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の光学素子は、加熱による重量減少の小さい固体組成物からなる膜上に誘電体多層膜を被覆して構成される。この固体組成物は重合性有機基を含み流動性を有する化合物を重合硬化させて形成する。所定の表面凹凸形状を形成するため、上記化合物を基材と成形型との間に密着させて膜状に挟持し、ついで熱および紫外線の一方あるいは両方を付与し、そのエネルギーによってこれを重合硬化させる。硬化した組成物を成形型から離型し、その後に必要に応じて加熱することにより、成形型の表面形状を反転させた形状が上記組成物表面に転写される。さらにその表面に誘電体多層膜を成膜し、本発明の光学素子が形成される。
【0021】
また上記のようにこの化合物は、その分子内に少なくとも1つの重合性有機基を有していることが必要である。光重合は、重合開始剤の光分解によって生成したラジカルまたはカチオンの重合性有機基への付加重合によって引き起こされる。そのため脱水縮合反応に比べ収縮が小さく、化学的に結合した均一な膜を瞬時に形成させることができる。熱重合の場合は、重合開始剤が熱分解による。よって重合性有機基は、光あるいは熱で重合する有機基を用いる。
【0022】
光重合性有機基としては、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、およびこれらを含有する有機基を例示することができる。また熱重合性有機基としては、エポキシ基、ビニル基、およびこれらを含有する有機基を例示することができる。重合性有機基がエポキシ基である場合は前記化合物の分子内に少なくとも1つ含まれる必要があるが、アクリロキシ基、メタクリロキシ基またはビニル基は前記化合物の分子内に少なくとも2つ含まれている必要がある。
【0023】
エポキシ基を有する重合性化合物としては、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、フッ素化エポキシ化合物などの液状エポキシ化合物を例示できる。脂環式エポキシ化合物としては、つぎの化学式(化1〜化7)で表される化合物があげられる。
【0024】
これらの中でも、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート(化1)、
【化1】
Figure 2004163491
ビニルシクロヘキセンジエポキシド(化2)、
【化2】
Figure 2004163491
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート(化3)、
【化3】
Figure 2004163491
ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート(化4)、
【化4】
Figure 2004163491
ジシクロペンタジエンオキシド(化5)、
【化5】
Figure 2004163491
ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、リモネンジオキシド(化6)
【化6】
Figure 2004163491
が、耐熱性、耐薬品性、液の粘度の点で取り扱いが容易なこと、硬化性、また原料の入手のし易さの観点から好ましく用いられる。
【0025】
その他、一群の化学式(化7)で示される化合物も使用できる。
【化7】
Figure 2004163491
【0026】
芳香族エポキシ化合物としては、一般式(化8)
【化8】
Figure 2004163491
におけるXがつぎの化学式(化9〜化14)で表される化合物を例示できる。
【0027】
これらの中でも、ビスフェノールA型(化9)、
【化9】
Figure 2004163491
ビフェニル型(化10)、
【化10】
Figure 2004163491
ビスフェノールF型(化11)、
【化11】
Figure 2004163491
ジフェニルエーテル型(化12)、
【化12】
Figure 2004163491
ビスフェノールS型(化13)、
【化13】
Figure 2004163491
その他の化合物(化14)
【化14】
Figure 2004163491
などが、耐熱性、耐薬品性、液の粘度の観点で取り扱いが容易性、硬化性、また原料の入手のし易さの観点から好ましく用いられる。
【0028】
フッ素化エポキシ化合物としては一般式(化15)
【化15】
Figure 2004163491
におけるXfがつぎの化学式(化16、化17)で表される化合物群が挙げられる。ただしZはアルキル基を示す。
【化16】
Figure 2004163491
【化17】
Figure 2004163491
【0029】
またつぎの一般式(化18)におけるRがつぎの化学式(化19)で表される化合物群が挙げられる。
【化18】
Figure 2004163491
【化19】
Figure 2004163491
【0030】
これらのフッ素化エポキシ化合物は、その硬化物の屈折率を、脂環式エポキシ化合物や芳香族エポキシ化合物の硬化物に比べて、下げることができるため、屈折率調整のために、他の液状エポキシ化合物と混合して用いられる。また、フッ素化エポキシ化合物の硬化物は、撥水性、撥油性を有することから、耐湿性、耐薬品性を向上させることができる。これらのエポキシ化合物は、単独で用いて構わないし、2種類以上のエポキシ化合物を混合した組成物であってもよい。
【0031】
また、基板との密着性、耐湿性を向上させるため、シランカップリング剤を添加してもよい。シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(化20)、
【化20】
Figure 2004163491
あるいは、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン(以上、化21)を用いることができる。
【化21】
Figure 2004163491
シランカップリング剤は、流動性組成物の全重量に対して10wt%以下で添加してもよい。
【0032】
アクリロキシ基を含有する有機基としては、アクリロキシプロピル基のようなアクリロキシ基置換アルキル基、アクリロキシ基置換ヒドロキシアルキル基等を例示することができる。メタクリロキシ基を含有する有機基としては、メタクリロキシ基置換アルキル基、メタクリロキシエトキシ基、メタクリロキシポリエチレン基、等を例示することができる。
【0033】
また、ビニル基を含有する有機基としては、ビニルベンジルオキシ基、N−ビニルホルムアミド基、ビニロキシ基等を例示することができる。さらに、エポキシ基を含有する有機基としては、エポキシ基置換プロポキシ基、エポキシシクロヘキシルエチル基、エポキシエチルフェニル基等を例示することができる。また、上記有機基の水素原子をフッ素化することで、光学素子の耐水性、耐熱性を高めることができる。
【0034】
流動性組成物に含有される重合性有機基が光重合性である場合には、光重合開始剤を添加する。ラジカル光重合開始剤としては、[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン](S1と略称する。以下同様)、[1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン](S2)、[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン](S3)、[2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン](S4)、[1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン](S5)、[2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン](S6)、[ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド](S7)、[2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1](S8)を例示することができる。
【0035】
また、カチオン光重合開始剤としては、フェニル−[m−(2−ヒドロキシテトラデシクロ)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(S9)、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(S10)等が例示できる。光重合開始剤の量は、液組成物の全重量に対して、0.1〜7重量%が好ましい。
【0036】
本発明の光学素子の所定表面形状は成形によって形成するため、上記重合性有機基を含む化合物は流動性を有する必要があり、その粘度は3〜2500mPa・mの範囲に調整するのが好ましく、100〜1500mPa・mがより好ましく、100〜1000mPa・mが最も好ましい。
【0037】
本発明において用いる誘電体多層膜の主要な目的は、光学素子表面からの反射防止である。要求される反射防止特性を実現するため、TiO/SiO、Ta/SiO、ZrO/SiO、およびTiO/MgF等の2層膜あるいはそれ以上の多層膜を用い、使用波長、戻り光反射減衰量等の要求仕様により各層の膜厚や材料を設計する。単層の膜厚は、通常1〜600nmであることが望ましく、より好ましくは10〜400nmである。
【0038】
膜が緻密である程、耐久性が高いことから、スパッタ法、真空蒸着法、などにより均一、かつ、緻密に成膜することが好ましい。その上で、耐湿性の観点から、誘電体多層膜の成膜温度は50〜250℃とするのが望ましく、より望ましくは80℃〜250℃である。
【0039】
なお、固体組成物層表面に形成した形状の保護およびその上層に形成する反射防止膜との密着性を強化するため、固体組成物層表面と誘電体多層膜の間にSiO層を設けるのが望ましい。材料はSiO以外を選ぶこともできる。その膜厚は、1〜300nmであることが好ましく、より好ましくは10〜150nmである。
【0040】
所定表面形状を有する光学素子を成形するプロセスとしては、代表的に下記2つの方法を挙げることができる。
第1の方法(以下型注ぎ法という)では、成形型に流動性組成物を注ぎ脱気する。つぎに成形型と基材とを接合し、加熱または紫外線照射を行う。これによって組成物は硬化する。硬化した基材上の組成物を成形型から離型し、その後に必要に応じて加熱する。
【0041】
以上の方法を図1により詳細に説明する。表面に所定の微小な凹凸形状を有する成形型10を型面を上に向けて水平に保ち、粘度が100〜1000mPa・mの流動性組成物30をその成形型10の上に注いで成形型の窪みを埋め尽くすように満たす(図1(a))。なお、注ぐ代わりに、その成形型を流動性組成物の浴に浸漬したり、刷毛で成形型表面に塗布する等の方法でもよい。
【0042】
その状態で、成形型10上に満たされた流動性組成物30が空気を含まないように、室温から100℃程度の温度で、2〜5Paに減圧した状態で5〜10分間保持し、液中の泡や溶解酸素を脱気しても良い。
【0043】
ついで基材20を流動性組成物30と基材表面との間に空隙を生じないように成形型10上の流動性組成物30に接触させ、流動性組成物30を基材20と成形型10との間で層状になるように挟持する(図1(b))。その状態で紫外線を照射しながら20〜100℃で1〜30分間保持するか、または140〜180℃に加熱して10〜120分間保持して、流動性組成物を重合硬化させる。
【0044】
紫外線を照射する場合には、基材20および成形型10の少なくとも一方が紫外線を透過することができる材質からなるものを使用する。つぎに、成形型10を引き剥がして離型することにより、成形型10の表面凹凸形状を反転させた凹凸形状を表面に有し、加熱による重量減少が小さい固体組成物層32が基体20の表面に接合された状態で形成される(図1(c))。
【0045】
ついで必要に応じて、これを最終的に、常圧または2〜5Paの減圧下で、100〜200℃で15〜250分間加熱することにより、固体組成物層に残留する重合開始剤、未重合物を気化させる。これにより固体組成物層は厚み方向にわずかに体積収縮して緻密な膜となる。このようにして形成した所定表面形状を有する固体組成物層32上に、図1(d)に示すように誘電体多層膜40を被覆することにより、本発明の光学素子100が得られる。
【0046】
第2の成形方法(以下、基材注ぎ法という)は流動性組成物を基材表面に直接注ぎ、脱気した後、成形型を基材表面の流動性組成物に押し当て、そのままの状態で紫外線照射あるいは加熱し、転写成形する。その後、成形型を離型し、必要に応じて最終加熱を実施する方法である。
【0047】
以上の方法は第1の方法と図1の(b)以降は同様である。基材の被覆すべき表面を水平に保ち、粘度が100〜1000mPa・mの流動性組成物をその基材の上に注いで所定の厚みになるように層状に広げる。その状態で、流動性組成物が空気を含まないように、室温〜100℃で、2〜5Paに減圧しながら5〜10分間保持して、液中の泡や溶解酸素を脱気してもよい。
【0048】
ついで表面に所定の微小凹凸形状を有する成形型を層状の流動性組成物の上に押し当てて圧力0.5〜120kg/cm、温度20℃〜150℃で60秒〜60分間保持するか、または上記圧力で押し当て、その状態で紫外線を被照射位置での照射強度が1.0〜120mW/cmになるように照射しながら、温度20〜100℃で60秒〜30分間保持して、流動性組成物の重合反応をほぼ完了させて硬化させる。
【0049】
紫外線を照射する場合には、基材および成形型の少なくとも一方が紫外線を透過することができる材質からなるものを使用する。そして成形型を引き剥がして離型することにより、成形型の凹凸形状を反転させた凹凸形状を表面に有する固体組成物層が基材の表面に接合された状態で形成される。
【0050】
ついで必要に応じてこれを例えば、常圧または2〜5Paの減圧下で、180〜250℃で15〜350分間加熱することにより、層内に残留する光重合開始剤、未重合物を気化させる。これにより固体組成物層は厚み方向にわずかに体積収縮して緻密な膜となる。
【0051】
このようにして形成した所定表面形状を有する固体組成物層上に、誘電体多層膜を被覆することにより、本発明の光学素子が得られる。
【0052】
本発明において用いられる成形型の最表面にはフッ素樹脂、あるいは金(Au)からなる離型膜を設けることが好ましい。フッ素樹脂は、スピンまたはディップ法により、成型型に均一に成膜される。また金は、成型材料に対する良好な離型性、押圧に耐えうる機械的強度、耐熱性、耐腐食性、および耐酸化性を有するので離型膜として優れた材料である。このような離型膜の厚みは200〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは400〜600nmである。離型膜は、表面が平滑であるほど離型性が高いことから、スパッタ法、真空蒸着法、無電解メッキ法、電解メッキ法、箔張り付け法などにより均一、かつ、平滑に成膜されていることが好ましい。
【0053】
上記型芯材の材質としては離型膜に近似した膨張係数を有するものを選ぶことが好ましい。樹脂からなる型芯材は、微細な加工が容易にでき、所望の形状に容易に成形しやすいという利点があり、ガラスまたは金属の型芯材は耐熱性および機械的強度が高く、耐久性に優れている。
【0054】
本発明における成形型はその表面に凹部または凸部が設けられている。凹凸部としては、例えば球状、円錐状、角錐状や断面任意形状のスリット状等を例示できる。そして、球状、円錐状、角錐状は離型膜の全域あるいは部分的に任意数設けられる。一方、凹部としてスリットを設ける場合、スリットは直線状、曲線状に任意条設けてもよく、複数条設ける場合には同心円状、格子状に設けてもよい。
【0055】
このようにして、本発明によれば、ガラス転移温度以下での加熱による重量減少が1.3wt%以下であり、最大厚み(表面の凹凸の凸部で測った膜厚)が1μm〜1mm、好ましくは20〜150μmで、微細な凹凸形状、例えば、1μm〜500μmの範囲内の所定値の幅(凹凸ピッチ)および5〜500μmの範囲内の所定値の高さを有する表面凹凸が形成された膜が平坦板状または曲面板状の基材上に形成される。
【0056】
この膜は弾力性に富み(脆性が少なく)、膜の強度が高く膜に亀裂が発生し難い。そして膜の内部には成型時の発泡は認められず、また成型時の膜の収縮が小さいため、膜表面の微細凹凸形状の寸法精度が極めて高い優れた転写性が実現できる。具体的には、例えば高さが20〜100μmの凸部を多数形成する場合、膜表面凸部の高さのばらつきは1μm以下である。また膜表面の凸部間隔の成形型からのズレは測定精度(0.2μm)以下である。
【0057】
この発明に用いる基材としては、平板状、曲板状などの形状のものが用いられる。基材として200℃と20℃における基材表面の反り量(基材の表面方向の単位長さあたりのその表面に垂直な方向の熱変形長さ)が1cmあたり±5μm以内であることが望ましい。反り量がこの範囲を越えると膜の成形過程において基板と膜が界面で剥離もしくは膜に亀裂を生じるおそれがあるので、基材の材料、寸法、形状を選ぶことが好ましい。
【0058】
また、この基材は1.5×10−7−1以下の線膨張率を有することが好ましい。基材の線膨張率が1.55×10−7−1を超えると、例えばポリプロピレン(9〜15×10−7−1)のような大きい熱膨張係数を有するプラスチックス基材の場合、組成物の成形過程において基材と膜が界面で剥離したり、膜に亀裂を生じるからである。
【0059】
通常の無機ガラスは1.5×10−7−1以下の線膨張率を有する。また基材の少なくとも表面は酸化物であることが好ましい。もし組成物と接する基材表面が酸化物でない場合、膜の成形過程において付着強度が下がり、場合によっては基材と膜が界面で剥離を生じるからである。
【0060】
好ましい基材の材質の例として、珪酸塩系ガラス、ホウ酸系ガラス、リン酸系ガラス等の酸化物ガラス、石英、セラミックス、シリコン、アルミニウムその他の金属、エポキシ樹脂、ガラス繊維強化ポリスチレンなどを挙げることができる。金属はそのままでは組成物層が接合しないが、予め金属の表面を酸化剤で処理しておけば基材として使用することができる。
【0061】
また本発明における基材として、光学素子が使用する波長の光、例えば可視域、紫外域、または赤外域の光に対して透明な物質を用いれば、本発明による光学素子は、レンズアレイ、回折格子(例えばエシェレット回折格子、エシェロン回折格子、エシェル回折格子など)、フレネルレンズなどの透過型光学素子として機能を発揮することができる。
本発明による所定表面形状を有する光学素子製造の各工程についてさらに具体的に説明する。
【0062】
[成形型または基材への溶液の塗布]
光または熱硬化性の流動性組成物を、型注ぎ法では、透明な成形型の表面に注いで50μm〜1mmの厚みの層(粘度:200mPa・m)を得た。基材注ぎ法でも同様である。
【0063】
[接合・照射処理・離型]
型注ぎ法の場合には、上記流動性組成物の上に基材の表面を接触させた後、型と基材との間で流動性組成物を加圧展開させ、その状態で0.5〜30分間紫外線を照射して基材と接合させる。そして組成物が完全に硬化した後、成形型を基材から引き離して離型する。
基材注ぎ法の場合には、上記塗布膜に透明な成形型を押し当て、同様に0.5〜30分間紫外線を照射して基材と接合させ、その後、離型する。
上記いずれの方法によっても、成形型の形状を転写した微細凹凸形状を有する固体状の組成物層が基材表面に付着した状態で得られた。
【0064】
[最終加熱]
離型して得られた固体組成物層の緻密さを向上させるための加熱条件は、150℃で60分間とした。
【0065】
[誘電体多層膜の成膜]
SiOおよびTiOを誘電体膜の材料とし、これを真空蒸着法により成膜した。基板(固体組成物層)温度は150℃とした。
【0066】
[凸部高さのばらつき測定]
最外層の凸部高さのばらつき測定は、レーザ顕微鏡による高さ測定により実施した。
【0067】
[耐熱性および耐湿性の評価、光学特性測定]
製造した光学素子は、85℃、85%、500hの耐熱・耐湿試験を行った後、それぞれ室温に戻して、亀裂(クラック)の発生の有無を観察して耐熱・耐湿性を評価した。また、微小レンズについては、干渉計(He−Neレーザ、λ=633nm)を用いて、球面収差、および基板表面への入射角12°での絶対反射スペクトルを分光光度計を用いて測定し、その極小値の波長シフト量を、耐熱・耐湿試験前後で測定し、特性劣化を評価した。また、アッべ屈折率計を用いて、膜部分のd線の屈折率を測定した。
【0068】
〔加熱による重量減少度の評価〕
加熱処理後の組成物の重量減少はつぎのように評価した。ガラス基板上に流動性組成物を滴下、展開した後、紫外線照射または加熱により組成物を完全に硬化させ、その重量を室温で測定する。つぎにその組成物のガラス転移温度以下の処理温度(上記耐熱性試験同様に85℃とした)まで加熱し、一定時間(上記耐熱耐湿性試験の2倍の1000時間とした)大気中で保持し、その後、室温で再度重量を測定する。加熱処理前後の重量変化を固体組成物重量に対する質量損失比として重量減少度(wt%)を算出した。
以下に本発明の光学素子の実施例について説明する。
【0069】
〔成形用組成物の説明〕
〔成形用組成物A〕非フッ素化エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物(化1)を94重量部、重合開始剤としてカチオン系開始剤を1重量部(S9)、シランカップリング剤(化20)を5重量部混合して成形用組成物Aを得た。
【0070】
〔成形用組成物B〕非フッ素化エポキシ化合物として脂環族エポキシ化合物(化2)を50重量部、芳香族エポキシ(化9)を38重量部、フッ素化エポキシ化合物(化16)を10重量部、重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を2重量部混合して成形用組成物Bを得た。
【0071】
〔成形用組成物C〕非フッ素化エポキシ化合物として脂環族エポキシ化合物(化2)を48重量部、フッ素化エポキシ化合物(化16)を49重量部、重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を2重量部、シランカップリング剤(化20)を1重量部混合して成形用組成物Cを得た。
【0072】
[実施例1]
図2に示すような、ガラス基板22上に反射防止膜付き樹脂製凸レンズアレイ120を形成する。ガラス基板22として厚み3.0mmで50mm角の石英ガラスの基板(線膨張率:5.5×10−7−1)を超音波アルカリ洗浄および純水洗浄した。成形樹脂として成形用組成物Aを用い、型注ぎ法により、この石英ガラス基板の片側表面に膜を形成して微細凹凸板を形成した。硬化させたこの樹脂を85℃で1000時間保持した後の重量減少度を予め評価したところ、0.6wt%であった。
【0073】
成形型として、曲率半径1.75mm、レンズ直径1.00mm、凹部の深さ73μmをもつ球面弧形状の凹部を縦方向に密接して50個、横方向に密接して50個、合計約2500個有するガラス製成形型(厚み5mm、寸法50mm×50mm)を用いた。この型には離型性を向上させるため、表面にフッ素樹脂をスピンコート法により成膜した。
【0074】
成形用組成物Aは厚さ約100μmとなるように塗布した。紫外線は基板側から強度120mW/cm、室温で3分間の条件で照射した。離型後の最終加熱条件は150℃、60分であった。
成形後の有機重合性樹脂硬化膜34の最も薄い領域の膜厚dは約20μm、球面状凸部頂上からの最大膜厚Dは91.5μmであった。膜は透明であり、屈折率は1.50であった。膜中にはエポキシ基重合部分[−(CHOCO(CHCOO(CH−]が含まれていた。
【0075】
その後基板温度200℃昇温させた後、蒸着法により密着強化層42としてSiO(100nm)を成膜した。連続して反射防止膜45として、TiO(74.8nm)/SiO(64.8nm)/TiO(189.7nm)/SiO(266.5nm)を成膜した。
この微小凸レンズ(マイクロレンズ)50の焦点距離は、3.297〜3.300mmであった。
【0076】
この凸レンズアレイ基板内からランダムに選んだ100点の球面凸部について測定したところ、平均高さ71.5μm、標準偏差0.12μmであった。これから計算される硬化膜の収縮率は約2%であり、このマイクロレンズ50のHe−Neレーザ(λ=633nm)により測定した球面収差のRSM値は0.05λ、標準偏差0.001λであった。
【0077】
この凸レンズアレイ基板の耐熱・耐湿性評価を行った結果、膜に亀裂や剥離は生じず、すべての凸部の焦点距離は3.297〜3.300mmの範囲にあって試験前と変わらなかった。また膜の反対側から垂直に平行光を入射させて集光スポットの直径を測定したところ、すべての凸部レンズについて集光スポットの直径は3μm以内であり、耐熱・耐湿試験前の値と変わらなかった。
【0078】
また反射防止膜の特性を評価するため、分光光度計により反射スペクトルを測定したところ、その極小値は全く変動していなかった。走査電子顕微鏡での無反射膜の断面観察においても、膜中に10nm以上の粒塊や、柱状構造の無い緻密な膜の形成が確認された。
【0079】
[実施例2]
成型材料として、成形用組成物Bを用いて、実施例1と同様に凸レンズアレイ基板を形成したところ、最も薄い領域の膜厚は約50μmであった。この樹脂は、85℃で1000時間保持による重量減少度は0.4wt%であった。また、実施例1同様の構成で、基板温度150℃で成膜した反射防止膜にはクラック等の異常は認められなかった。
【0080】
凸レンズ(マイクロレンズ)の焦点距離は、3.297〜3.300mmであった。この凸レンズ基板の凸部の高さは、ランダムに選んだ100点の球面凸部について測定したところ、平均高さ71.5μm、標準偏差0.12μmであった。これから計算される硬化膜の収縮率は約2%であり、このマイクロレンズのHe−Neレーザ(λ=633nm)により測定した平均の球面収差のRMS値は0.05λ、標準偏差0.001λであった。
【0081】
この凸レンズ基板の耐熱・耐湿性評価を行った結果、膜に亀裂や剥離は生じず、すべての凸部の焦点距離は3.297〜3.300mmの範囲にあって試験前と変わらず、また膜の反対側から垂直に平行光を入射させて集光スポットの直径を測定したところ、すべての凸部レンズについて集光スポットの直径は3μm以内であり、耐熱・耐湿試験前の値と変わらなかった。
反射防止膜の特性を評価するため、分光光度計により反射スペクトルを測定したところ、その極小値が20nm変動していた。
【0082】
[実施例3]
成型材料として、成形用組成物Cを用いて、実施例1と同様に凸レンズアレイ基板を形成したところ、最も薄い領域の膜厚は約50μmであった。この樹脂は、85℃で1000時間保持による重量減少度は0.1wt%であった。また、実施例1同様の構成で、基板温度120℃で成膜した反射防止膜にはクラック等の異常は認められなかった。
【0083】
凸レンズ(マイクロレンズ)の焦点距離は、3.300〜3.303mmであった。この凸レンズ基板の凸部の高さは、ランダムに選んだ100点の球面凸部について測定したところ、平均高さ72.3μm、標準偏差0.13であった。これから計算される硬化膜の収縮率は約2%であり、このマイクロレンズのHe−Neレーザ(λ=633nm)により測定した平均の球面収差のRMS値は0.05λ、標準偏差0.001λであった。
【0084】
この凸レンズ基板の耐熱耐湿性評価を行った結果、膜に亀裂や剥離は生じず、すべての凸部の焦点距離は3.300〜3.303mmの範囲にあって試験前と変わらず、また膜の反対側から垂直に平行光を入射させて集光スポットの直径を測定したところ、すべての凸部レンズについて集光スポットの直径は3μm以内であり、耐湿試験前の値と変わらなかった。
反射防止膜の特性を評価するため、分光光度計により反射スペクトルを測定したところ、その極小値が20nm変動していた。
【0085】
[比較例1]
実施例1で用いた成形用組成物Aの代わりに、アクリル系化合物を97重量部とラジカル光重合開始剤を3重量部混合した組成物を用い、その他は実施例1と同じ基板および成形型を用いて実施例1に記載の方法で凸レンズアレイ基板を形成した。なお、この樹脂の85℃、1000時間保持による重量減少度は5.9wt%であった。
【0086】
得られた膜は最も薄い領域の膜厚が約35μmであった。この膜上に成膜した反射防止膜にはクラックが認められた。このレンズアレイ基板の凸部の高さは、ランダムに選んだ100点の球面凸部について測定したところ、平均の収縮率6%であり、実施例1に比べ大きくなっている。
【0087】
また、同様に100点測定による球面収差のRMS値は、0.3λ、標準偏差0.01λであり、実施例1に比して、球面収差の値が大きく(6倍)、その標準偏差も約10倍大きかった。
形状が球面状でなく、ばらつきも大きいため、集光状態が悪く集光スポットの直径は、10μmであった。また焦点距離が2.900〜3.600mmと大きくばらついていた。さらに実施例1同様の耐湿性評価を行った結果、硬化膜にもクラック、剥離等が生じ、形状が大きく変形し焦点距離や球面収差を評価できなかった。
【0088】
上記実施例からガラス転移温度以下の温度による加熱処理による重量減少が0.7wt%以下の樹脂を用いて成形したレンズであれば、反射防止膜を含めて十分な耐候性を有することがわかる。この重量減少は1.0wt%以下であれば上記とほぼ同等な特性が得られ、1.3wt%以下であれば、実用的に十分な特性が得られる。もちろん、所定の表面形状によって凸レンズだけでなく、耐候性が十分な透過型回折格子、フレネルレンズ光学素子なども実現できる。
【0089】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、加熱による重量減少が小さく、膜成形の際の熱収縮が小さくて寸法精度の高い微細凹凸表面を有する光学素子が形成できる。具体的には高い耐湿性を有する誘電体多層膜付き微小レンズアレイ、透過型回折格子、フレネルレンズなどの光学素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学素子の製造工程を示す図である。
【図2】本発明の実施例の微小レンズアレイの構成を示す模式図である。
【符号の説明】
10 成形型
20 基材
22 ガラス基板
30 流動性組成物
32 固体組成物層
34 樹脂硬化膜
40 誘電体多層膜
42 密着強化層
45 反射防止膜
50 微小レンズ
100 光学素子
120 凸レンズアレイ

Claims (17)

  1. 所定表面形状を形成した固体組成物層からなり、その表面を誘電体多層膜によって被覆した光学素子において、前記固体組成物層は、ガラス転移温度以下の温度で加熱した時の重量減少が1.3wt%以下であることを特徴とする光学素子。
  2. 前記重量減少が1.0wt%以下である請求項1に記載の所定表面形状を有する光学素子。
  3. 前記重量減少が0.7wt%以下である請求項2に記載の所定表面形状を有する光学素子。
  4. 前記固体組成物層は、基材上に展開した重合性有機基を含む流動性組成物に対して、熱及び紫外線の少なくとも一方を付与して重合硬化させた組成物層であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  5. 前記重合性有機基がエポキシ基よりなる請求項4に記載の光学素子。
  6. 前記流動性組成物が、成分(A)、(B)、(C)および(D)を次に示す範囲で含有する組成物を用いてなる請求項5に記載の光学素子。
    (A)非フッ素化エポキシ化合物 20〜99.9重量%
    (B)重合開始剤 0.1〜7重量%
    (C)フッ素化エポキシ化合物 0〜79.9重量%
    (D)シランカップリング剤 0〜10重量%
  7. 前記成分(A)が脂環エポキシ化合物である請求項6に記載の光学素子。
  8. 前記重合性有機基は、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、およびビニル基よりなる群から選ばれた少なくとも一つの基である請求項4に記載の光学素子。
  9. 前記誘電体多層膜は、SiO、TiO、Ta、ZrO、NbおよびMgFよりなる群から選ばれた材料を主成分とする少なくとも二層膜である請求項1に記載の光学素子。
  10. 前記誘電体多層膜の各層の厚さが、1〜600nmの範囲である請求項9に記載の光学素子。
  11. 前記誘電体多層膜中に存在する粒塊または柱状構造物の直径が10nm未満である請求項9または10に記載の光学素子。
  12. 前記重合硬化させた固体組成物層表面が厚さ1〜200nmのSiO膜によって被覆され、その上に前記誘電体多層膜を形成した請求項1に記載の光学素子。
  13. 前記基材はガラス、セラミックス、金属および樹脂から選ばれた少なくとも1種である請求項4に記載の光学素子。
  14. 前記所定の表面形状によって透過型回折格子、フレネルレンズまたは微小レンズアレイの機能が付与されたことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の光学素子。
  15. 重合性有機基を含む流動性組成物を 基材と成形型との間に密着させて膜状に挟持し、ついで熱および紫外線の少なくとも一方を付与して該組成物を硬化させ、ついで硬化させた固体組成物層を前記成形型から離型し、さらに前記固体組成物層の表面上に誘電体多層膜を形成することを特徴とする光学素子の製造方法であって、
    前記固体組成物層は、ガラス転移温度以下の温度で加熱した時の重量減少が1.3wt%以下であることを特徴とする光学素子の製造方法。
  16. 前記流動性組成物が光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項12に記載の光学素子の製造方法。
  17. 前記基材および前記成形型の少なくとも一方は紫外線を透過することができる材質からなり、紫外線を基材または成形型を通過させて前記組成物に照射することを特徴とする請求項15に記載の光学素子の製造方法。
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