JP5212025B2 - 雰囲気ガス流量制御方法、これを用いた連続式熱処理炉および管 - Google Patents

雰囲気ガス流量制御方法、これを用いた連続式熱処理炉および管 Download PDF

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Description

本発明は、冷間加工された管、例えば鋼管の連続熱処理に関し、さらに詳しくは、炭化水素系の成分を含む圧延油または潤滑剤を使用して冷間加工されるステンレス鋼管等の管において、管の内面付着物からの発生ガスによる汚染を生じさせることがない連続式熱処理炉の雰囲気ガス流量制御方法、並びにこれを用いる連続式熱処理炉および熱処理された管に関するものである。
冷間仕上げ鋼管に冷間加工を行う場合には、例えば、冷間圧延時には圧延油を塗布し、冷間抽伸時には潤滑剤(金属石鹸)を被覆するなど、鋼管の内外表面に適切な表面処理を施し、所定寸法に加工する。
冷間加工された鋼管を熱処理する場合には、熱処理前に圧延油や潤滑剤を洗浄(脱脂)し、鋼管の内外表面の付着物を除去する必要がある。鋼管表面に付着物を残留させたままで熱処理を施すと、圧延油や潤滑剤は炭化水素系の成分を含み、さらに塩素等を含有するものもあるため、熱処理中にこれらの成分が蒸発して塩素その他の汚染ガスが発生し、これらのガスが特に滞留しやすい鋼管内面に汚染を発生することがある。
また、前記蒸発ガス中に塩素その他の汚染ガスが含まれていない場合でも、炭素(カーボン)源を含んだ高温気体に管の内外表面が曝されることになるため、温度条件によって浸炭が発生することがある。表面に浸炭が発生した管は、高温高圧で使用を繰り返すと、浸炭部が起点となりSCC(応力腐食割れ)を発生させるおそれがある。このため、冷間加工された管を熱処理する場合には、管の内外表面に浸炭を発生させないことが必要である。
管内面の汚染や浸炭を防止するためには、管内に発生したガスを雰囲気ガスで置換する方法が有効であり、従来から、そのための種々の対策が提案されている。
本出願人は、特許文献1として、管の連続式熱処理に際して炉の入口に(さらには炉の出口にも)その全面を覆うように吊着された耐熱性カーテンを設け、耐熱性カーテンを通して管を装入する連続式熱処理炉を提案した。ここでは、耐熱性カーテンにより炉内の雰囲気ガスを炉外に比べて陽圧にすることで、管内部に先端から後端に向かうガス流が形成され、管表面の付着物が加熱により分解されて発生する炭化水素ガスを炉外に排出でき、管内面の浸炭を防止している。
さらに、本出願人は、特許文献2および3において、加熱帯を設けた加熱室の入側に予熱帯を備えた前室を有し、前室の入側および出側にシールカーテンを設け、熱処理炉内の圧力を階段状とすることで、管の先端と後端に常時圧力差が生じるようにし、管内部にガスの流れを発生させ、管内の分解ガスの除去することが可能な連続式熱処理炉、および金属管の製造方法を提案した。
また、特許文献4には、炉の入口および出口にカーテンが設けられ、入口および出口付近の雰囲気ガスを吸気し、炉内部側へ吐気するガス循環手段が設けられた連続式熱処理炉が開示されている。具体的には、入口側を例にとると、炉の入口仕切りで区分された炉入口の圧力を監視し、被熱処理材の通過によって仕切りを通過するガス量の低下により炉入口が負圧となり炉外から大気を巻き込むのを防止するため、炉入口の圧力が低下した時は、入口側循環ブロアの能力を減少させて炉内圧力を低下させ、炉内への大気混入を防止している。さらに炉の出口側においても入口側と同様の処置を行い、熱処理炉内への大気混入を完全に防止している。
これにより、特許文献4の連続式熱処理炉では、管材の熱処理の場合には、その一部が炉内に装入されると、炉外と炉内での圧力差により管内に残存する空気がガスと置換されるので、管材すべてが炉内に入ったときに大気を炉内に持ち込むことがないとしている。
特開2004−239505号公報 特開2005−213645号公報 特開2005−307273号公報 特開昭64−36722号公報
熱処理炉内に雰囲気ガスを導入し、炉入口から管を軸方向に沿って装入して熱処理を施した管を炉出口から搬出する連続式熱処理炉では、大気の浸入を防止し炉内と炉外での差圧を確保するため、熱処理炉の入側および出側にその全面を覆うようにシールカーテンが設けられる。この場合に、装入される管の先端が入側のシールカーテンの内側に入り通過するとき、雰囲気ガスの流れに変動が生じ、炉内圧が著しく低下する。
図1は、炉内に雰囲気ガスを投入し炉内と炉外で差圧を発生させる連続式熱処理炉の構成、装入される管の搬送状況および炉内と炉外で生じる差圧の関係を模式的に示す図である。同図において(a)は連続熱処理炉の断面構成例を示し、同(b)は管の搬送状況、および同(c)は炉内の発生差圧の変動状況を示している。
図1(a)に示す熱処理炉1では、入側および出側にシールカーテン2が設けられ、炉中央部の加熱帯3に雰囲気ガスを投入し、炉入側から連続的に管を軸方向に沿って装入し、所定の熱処理を施した後、炉出側から搬出する構造になっている。管の搬送のため、炉入側から炉出口に亘って搬送用ローラ4が炉床に配置されている。
図1(b)に示す管の搬送状況では、(A)装入前の管の全長が炉外にある状況、(B)装入される管の先端が入側シールカーテンの内側に入り通過する状況、(C)管が入側シールカーテンを通過する状況、および(D)管の全長が入側シールカーテンを通過し加熱帯に搬送された状況を示している。ここでは、管内面の汚染や浸炭を防止するため、図1(b)に示す(B)および(C)の搬送過程において、管内発生ガスが雰囲気ガスに置換される。
図1(c)に示す発生差圧の変動では、管の搬送状況にともなって、(A)では炉内と炉外で生じる差圧により所定の圧力が確保されているが、(B)になると管の先端が入側のシールカーテンを通過するとき、雰囲気ガスの流れに変動が生じ炉内圧に影響を及ぼし、発生差圧が著しく低下する。その後(C)において管が入側シールカーテンを通過するときには、差圧の上昇が見られ、引き続き(D)で管の全長が入側シールカーテンを通過することにより、炉内の発生差圧は所定値に回復する。
上述の通り、炉内に雰囲気ガスを投入する連続式熱処理炉では、管の装入にともなって炉内圧に変動を生じる。このため、本発明者の検討によれば、特許文献1で提案の連続式熱処理炉では、耐熱性カーテン(シールカーテン)のみでは炉内と炉外で生じる差圧を確保するのに充分でなく、管の先端が炉内入ったときに炉内の雰囲気ガスの圧力が低下し、管内の分解ガスを炉外へ排出するのに必要なガス流れが得られず、管内の分解ガスが完全に炉外に排出されず、管内面に浸炭が発生するおそれがある。
また、特許文献2および3の連続式熱処理炉では、炉内圧力を少なくとも2段階とするため、特許文献1の熱処理炉のような炉内圧力を1段とする場合に比べ、分解ガスの排出をより確実に行えるが、炉内圧力や雰囲気ガスの投入量の調整は行わないため、例えば、長尺管の熱処理を行う際に、予熱帯の長さが管の長さよりも短い連続熱処理炉を用いる場合に、管の先端が加熱室に入る際に加熱室の炉圧が低下し、管内の分解ガスを炉外へ排出するのに十分な管内のガス流れが得られない。このため、炉内圧力を2段階とする場合であっても、炉内圧力を1段とする場合と同様に分解ガスによる汚染が問題となる。
さらに、特許文献2および3の連続式熱処理炉において、管の先端が炉内に入ったときに炉内圧の低下があっても、管内のガス流速が低下しないように、常時、炉内圧を高目に設定することもできるが、雰囲気ガスの消費量が増大しコストアップとなる。
特許文献4の連続式熱処理炉では、被熱処理材が仕切りを通過する際に入口循環ブロアの能力を低下させるため炉内の圧力は減少し、さらには被処理材が管の場合には、管の先端が炉内に入った時に炉内圧が低下する。このため、炉外と炉内での圧力差(差圧)を充分に確保することができず、管内を流れるガス流速は必然的に低下し、管内の分解ガスを炉外へ排出するのに必要なガス流速を得ることができないという問題がある。
本発明は、上述した連続式熱処理炉における冷間加工された管の内外表面に残留した付着物の問題に鑑みてなされたものであり、冷間加工後の洗浄工程をアルカリ脱脂、洗浄のみとし、管表面に付着物が残留する場合であっても、熱処理にともなって、残留した付着物を簡易に除去することができ、しかも熱処理能率を低下させることなく、同時に雰囲気ガスの消費量を抑制し、コスト低減を図ることができる連続式熱処理炉の雰囲気ガス流量制御方法、並びにこれを用いる連続式熱処理炉および熱処理された管を提供することを目的としている。
冷間加工後の洗浄工程をアルカリ脱脂、洗浄のみとした場合であっても、管を熱処理炉に装入する際に、管の内外表面に残留した付着物を簡易に分解、気化させ、除去させることができる。具体的には、アルカリ脱脂、洗浄後に管表面に残留した付着物(冷間加工時の圧延油、抽伸用潤滑剤(金属石鹸)等)のほとんどは、熱処理時に200〜600℃に加熱されると、分解して炭化水素系ガス(さらには、塩素その他の汚染ガス)を発生させる。特に、400℃での加熱により炭化水素系ガス等の発生が最も顕著になる。
このため、冷間加工後の洗浄工程をアルカリ脱脂、洗浄のみとした場合であっても、熱処理にともなって残留した付着物を簡易に除去することができる。すなわち、被熱処理材である管を炉内に装入する際、先に装入された管の先端側が昇温し、表面温度が200〜600℃になると、残留付着物が分解して炭化水素系ガス等を発生する。そこで、炉内の雰囲気ガスの圧力を炉外に比べて高め、炉内と炉外で差圧を確保すると、管の先端から後端に向かうガス流れを形成することができ、発生した炭化水素系ガス等を炉外に排出できる。
通常、熱処理炉内に装入された管では、外面付着物の分解ガスは炉内のガス流れによって容易に拡散されるが、内面付着物の分解ガスは管内部に滞留し易くなる。付着物の分解ガスは塩素その他の汚染物質を含む場合があり、また、炭化水素系で浸炭性を有することから、管が800℃以上に加熱されると、管の内表面に汚染や浸炭が発生する場合がある。
このように、管内面の付着物が発生する分解ガス(汚染ガス)は管内部に滞留し易いことから、管内部におけるガス流れを顕著にするには、炉の入側および出側の全面を覆うようにシールカーテンを設けることによって、炉内と炉外での差圧を維持し、雰囲気ガスを管の先端から内部に侵入させるようにするのが有効である。
これにより、管の内表面に残留した付着物を分解、除去するとともに、管内部には先端から後端に向かう雰囲気ガスの流れが生じるので、管内部を雰囲気ガスに容易に置換することができる。
ところが、管が炉内に装入され、その先端が入側のシールカーテンの内側に入り通過するときに、雰囲気ガスの流れに変動が生じ、炉内圧が著しく低下する。これにより、管内部におけるガス流れを確保できず、管内面の付着物が発生する分解ガス(汚染ガス)は管内部に滞留し、分解ガスを管外に排出することができない。このような炉内圧の低下を防止するため、炉内の雰囲気ガスの投入量を増加させ、炉内圧を高めに設定すると、熱処理コストを増大させる要因となる。
そのため、管の先端が入側のシールカーテンを通過してから、管の後端が入側シールカーテンを通過するまでの間、すなわち、管の先端から後端までの全長が入側のシールカーテンを通過する際、管内の雰囲気ガスの流速を制御し、管の送管速度よりも大きくなるように雰囲気ガスの流量を制御することにより、管内の分解ガスを確実に炉外へ排出することができる。
実際の連続式熱処理炉の操炉において、雰囲気ガスの流量制御は、常時、炉内と炉外(大気圧)で生じる差圧(Pa)を測定することによって行う。また、管内面の付着物が発生する分解ガスを管外に排出することを目的とするものであれば、入側に設けられたシールカーテンを通過する際に、投入される雰囲気ガスの流量制御を行えばよい。出側に設けられたシールカーテンを通過する際には、大気が炉内に侵入しない程度の炉内圧を維持すればよいことによる。
本発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、下記(1)の雰囲気ガス流量制御方法、並びに(2)の連続式熱処理炉、および(3)の熱処理された管を要旨としている。
(1)炭化水素系の成分を含む圧延油または潤滑剤を使用して冷間加工された管を対象として、炉内に雰囲気ガスを導入し、炉入口から前記管を軸方向に沿って装入して熱処理を施した前記管を炉出口から搬出する連続式熱処理炉の操炉方法であって、前記炉の入側および出側にその全面を覆うように吊着されたシールカーテンを設け、前記管表面に付着物が残留しており、装入される前記管の先端から後端までの全長が前記炉の入側に設けられたシールカーテンを通過する際に、管内を流れるガス流速Vが、前記管の送管速度Uよりも大きくなる条件において、下記(1)式で求まる炉内と炉外で生じる差圧(ΔP)を超えるように前記雰囲気ガスを投入することを特徴とする連続式熱処理炉の雰囲気ガス流量制御方法である。
V=ΔP×r2/(8×μ×L) ・・・ (1)
ここで、V:管内ガス流速(m/sec)、μ:流体粘性係数(Pa・sec)、
ΔP:炉内と炉外で生じる差圧(Pa)、r:管の内半径(m)、
L:管長さ(m)、U:送管速度(m/sec)とする
(2)炭化水素系の成分を含む圧延油または潤滑剤を使用して冷間加工された管を処理する連続式熱処理炉であって、入側および出側にその全面を覆うようにシールカーテンが設けられ、炉中央部の加熱帯に雰囲気ガスが投入され、炉入側から炉出口に亘って搬送用ローラが炉床に配置され、炉入側から連続的に前記管を軸方向に沿って装入し、炉出側から搬出する構造からなり、表面に付着物を残留させた前記管の熱処理に際し、上記(1)に記載の雰囲気ガスの流量制御を行うことを特徴とする連続式熱処理炉である。
(3)上記(1)に記載の雰囲気ガス流量制御方法を適用し、または上記(2)に記載の連続式熱処理炉により熱処理を行ったことを特徴とする管である。
本発明の雰囲気ガス流量制御方法によれば、冷間加工後の洗浄工程をアルカリ脱脂、洗浄のみとし、管表面に付着物が残留する場合であっても、連続式熱処理炉の処理にともない管内外表面の付着物を簡易に除去することができ、しかも熱処理能率を低下させることなく、同時に雰囲気ガスの消費量を抑制しコスト低減を図ることができる。
したがって、この流量制御方法を適用する連続式熱処理炉にあっては、効率的に汚染や浸炭(ここでは、特に汚染に注目して、以下「汚染」という)の発生がない冷間仕上げ管を得ることができる。
本発明の雰囲気ガス流量制御方法は、炭化水素系の成分を含む圧延油または潤滑剤を使用して冷間加工された管を対象として、炉内に雰囲気ガスを導入し、炉入口から管を軸方向に沿って装入して熱処理を施した管を炉出口から搬出する連続式熱処理炉の操炉方法であって、前記炉の入側および出側にその全面を覆うように吊着されたシールカーテンを設け、前記管表面に付着物が残留しており、装入される管の先端から後端までの全長が前記炉の入側に設けられたシールカーテンを通過する際に、管内を流れるガス流速Vが管の送管速度Uよりも大きくなる条件において、所定の差圧(ΔP)を超えるように前記雰囲気ガスを投入することを特徴としている。
管の先端が入側のシールカーテンの内側に入った時に、雰囲気ガスの流れに変動が生じ、炉内圧が著しく低下するため、分解ガスが管内部に滞留し易くなる。これを防止するため、管の先端が炉入側のシールカーテンを通過してから、管の後端が入側シールカーテンを通過するまで、炉内に投入する雰囲気ガス流量を制御し、管内を流れる雰囲気ガスの流速を管の送管速度よりも大きくすることにより、管内の分解ガスを管の後端から炉外へ排出することができる。
本発明で規定する管内のガス流速V(m/sec)は、熱処理される管の管内半径r(m)および管長さL(m)、並びに操炉条件として炉内と炉外(大気圧)との差圧ΔP(Pa)および送管速度U(m/sec)により、下記(1)式に基づき求めることができる。ただし、このときの流体粘性係数μは18.83×10-6Pa・sec)とする。
V=ΔP×r2/(8×μ×L) ・・・ (1)
以下、本発明が採用する雰囲気ガス流量制御方法を、雰囲気ガスとして水素を導入する連続式熱処理炉を用い、被処理管の寸法が直径15.9mm×内径13.9mm×肉厚1.0mm×長さ18mであり、その送管速度が2,500mm/min(0.042m/sec)である場合について、従来の制御方法と対比して説明する。
このとき、管内面の付着物が発生する分解ガスを管内部から炉外に確実に排出するため、管内のガス流速V(m/sec)は送管速度0.042m/secを超える必要があり、その場合の差圧ΔPは、上記(1)式より2.34Paを超えて確保する必要がある。
(従来の雰囲気ガス流量制御方法)
従来の流量制御方法では、上記の操炉条件において投入する水素量を90Nm3/hr一定とし、連続式熱処理炉の炉内圧を意図的に調整するものではなかった。
図2は、投入する水素量と炉内と炉外で生ずる差圧ΔPとの関係を示す図である。図中で「管なし」と表示するのは空炉状態での関係を示すものであり、水素量と発生差圧ΔPとは一定の相関関係を示している。図中で「シール部通過初期」と表示するのは装入される管(内径13.9mm×長さ18m)の先端がシールカーテンの内側に入り通過するときの関係を示すものであり、水素量が90Nm3/hrの場合に差圧ΔPが2.0Paとなり、水素量が130Nm3/hrの場合に差圧ΔPが2.4Paとなることを示している。
図3は、従来の流量制御方法における炉内と炉外で生ずる差圧ΔPの変動および水素量を示す図であり、(a)は管の搬送状況にともなう発生差圧ΔPの変動を示し、(b)は投入する水素量を示している。図3(b)より、水素量は90Nm3/hr一定の投入である。
図3(a)に示すように、(A)装入前の管の全長が炉外にある場合には差圧ΔPは8.0Paであり、(B)装入される管の先端が入側シールカーテンの内側に入り通過する場合に差圧ΔPは2.0Paまで低下し、次に(C)管が入側シールカーテンを通過する場合に差圧ΔPは3.0Paとなり、(D)管の全長が入側シールカーテンを通過し加熱帯を搬送された場合には差圧ΔPは8.0Paに回復する。
したがって、従来の流量制御方法では、(B)管の先端が入側シールカーテンの内側に入り通過するときに、管内のガス流速V(m/sec)が送管速度を超えるのに必要な差圧ΔPを確保できず、管内面に汚染を発生させるおそれがある。
(本発明の雰囲気ガス流量制御方法)
本発明の流量制御方法では、装入される管の先端から後端までの全長が炉入側のシールカーテンを通過する際に、管内を流れるガス流速Vが管の送管速度Uよりも大きくなる条件で雰囲気ガス(水素)を投入する。
図4は、本発明の流量制御方法における炉内と炉外で生ずる差圧ΔPおよび水素量の変動を示す図であり、(a)は管の搬送状況にともなう炉内の発生差圧ΔPの変動を示し、(b)は投入される水素量の制御状況を示している。図4に示すように、必要差圧ΔPを確保するため、投入する水素量を(B)管の先端が入側シールカーテンの内側に入り通過するときに130Nm3/hrに増加し、その後、管の後端がシールカーテンを通過するまでは80〜90Nm3/hrで制御する。
具体的には、本発明の流量制御方法では、(A)装入前に管の全長が炉外にある場合には水素量を80Nm3/hrで投入し、発生差圧ΔPを6.0Paとし、(B)装入される管の先端が入側シールカーテンの内側に入った時に水素量を130Nm3/hrに上げて投入し、発生差圧ΔPを2.4〜3.0Paとする。引き続き(C)管が入側シールカーテンを通過する場合に水素量を80〜90Nm3/hrで投入し、発生差圧ΔPを2.4〜3.0Paとし、(D)管の全長が入側シールカーテンを通過し加熱帯に搬送された場合には、水素量を80Nm3/hrの投入に戻し、発生差圧ΔPを6.0Paに回復させる。
上述の通り、本発明の流量制御方法では、管の全長が入側シールカーテンを通過した状況では、汚染ガスを炉外へ排出できないため、雰囲気ガスの流量制御は不要となる。また、管の先端が出側のシールカーテンを通過する場合には、炉内圧を炉外(大気圧)よりも高めているため、炉外に搬送された管の先端から大気が侵入することはない。
冷間加工後の洗浄工程を「アルカリ脱脂→温水洗浄」のみとし、内外表面に塩素を含有する潤滑剤が付着した種々の寸法の管を準備し、送管送度などの操炉条件を変化させて熱処理を行い、塩素による汚染の有無を調査した。熱処理炉内の雰囲気ガスには水素ガスを使用した。
準備した管は、管内径および管長さ並びに送管速度ごとに供試管A〜Eに区分し、それぞれの供試管毎に汚染ガスを炉外へ排出するために必要とされる差圧ΔPを前記(1)式により決定した。供試管A〜Eの熱処理に際して、ガス流量制御する場合と制御しない場合に区分した。
具体的には、供試管Aの熱処理では、ガス流量制御する場合には前記図4(a)に示す発生差圧の変動、および同(b)に示す水素量の制御とし、制御しない場合には前記図3(b)に示すように水素量は90Nm3/hr一定の投入とした。
供試管Bの熱処理では、ガス流量制御する場合には、図5(a)に示す炉内の発生差圧ΔPの変動、および同(b)に示す水素量の制御とし、制御しない場合には水素量は95Nm3/hr一定の投入とした。
供試管Cの熱処理では、ガス流量制御する場合には図6(a)に示す炉内の発生差圧ΔPの変動、および同(b)に示す水素量の制御とし、制御しない場合には水素量は95Nm3/hr一定の投入とした。
供試管Dの熱処理では、ガス流量制御する場合には図7(a)に示す炉内の発生差圧ΔPの変動、および同(b)に示す水素量の制御とし、制御しない場合には水素量は95Nm3/hr一定の投入とした。
供試管Eの熱処理では、ガス流量制御する場合には図8(a)に示す炉内の発生差圧ΔPの変動、および同(b)に示す水素量の制御とし、制御しない場合には水素量は95Nm3/hr一定の投入とした。
供試管A〜Eの熱処理における管内径および管長さ並びに送管速度、さらにこれらを変化させることによって決定される差圧ΔP、並びにガス流量制御する場合の操炉状況(差圧ΔPおよび水素量の変動)を表1に示す。
Figure 0005212025
上記表1に示す供試管A〜Eを用い、ガス流量制御する場合と制御しない場合に区分して試験No.1〜8の熱処理を行った。なお、図4〜図8は、各々試験No.1、試験No.3、試験No.4、試験No.6および試験No.7のガス流量制御結果に対応する。ガス流量制御する場合には、上記図4〜図8に示す操炉条件に替えて、管の先端がシールカーテンの通過時に発生差圧が必要差圧以下のとなる操炉条件でも熱処理を行った(試験No.2、5、8)。これらの熱処理後に汚染の有無を調査した。
汚染の有無調査は、熱処理後の管から特に塩素が残留しやすい後端部(管の進行方向に対して後端になる部分)を切り出し、管内に純水を封入し、内面の付着物を溶出させた後、封入水中のClイオン、SO4イオンの濃度をイオンクロマトグラフィーにより求め、封入水量と管内の表面積から単位表面積当たりの塩化物量(mg/m2)、および硫化物量(mg/m2)を算出した。
品質評価では、汚染の有無調査結果に基づき、塩化物および硫化物の合計量が1mg/m2以下であれば「○印(良好)」、1mg/m2超えであれば「×印(不良)」とした。
試験No.1〜8の熱処理における、ガス流量制御する場合と制御しない場合でのガス流量および差圧ΔP、さらに熱処理後の品質評価を表2に示す。
Figure 0005212025
表2の結果から、ガス流量制御する場合と制御しない場合に拘わらず、管の先端がシールカーテンの通過時に炉内圧が低下する挙動を示すが、ガス流量制御する場合には、制御しない場合に比べ、炉内圧の低下を抑えることができることが分かる。
雰囲気ガスの流量制御しない場合には、試験No.1〜8のいずれにおいても、管の先端がシールカーテンの通過時に発生差圧が必要差圧以下となるため、分解ガスが管内面に残存し、品質評価が悪化した。
雰囲気ガスの流量制御する場合であっても、管の先端がシールカーテンの通過時に発生差圧が必要差圧以下のとなる操炉条件(試験No.2、5、8)では、分解ガスが管内面に残存し、品質評価が悪化した。
本発明で規定する条件を満たして雰囲気ガスの流量制御する場合には、管の先端がシールカーテンの通過時に発生差圧が必要差圧以上となるため、分解ガスが管内から排出され、品質評価は良好であった。
雰囲気ガスの流量低減に関し、管全長が炉内にあるときのガス流量を比較すると、ガス流量制御しない場合には、流量制御する場合に比べ、必要以上の雰囲気ガスを投入しており、熱処理コストが増加することが分かる。
本発明の雰囲気ガス流量制御方法によれば、冷間加工後の洗浄工程をアルカリ脱脂、洗浄のみとし、管表面に付着物が残留する場合であっても、連続式熱処理炉の処理にともない管内外表面の付着物を簡易に除去することができ、しかも熱処理能率を低下させることなく、同時に雰囲気ガスの消費量を抑制しコスト低減を図ることができる。
したがって、この流量制御方法を適用する連続式熱処理炉にあっては、炭化水素系の成分を含む圧延油または潤滑剤が使用され冷間加工されるステンレス管をはじめとする管の製造に広範囲に適用できる。
炉内に雰囲気ガスを投入し炉内と炉外で差圧を発生させる連続式熱処理炉の構成、装入される管の搬送状況および炉内と炉外で生じる差圧の関係を模式的に示す図である。 投入する水素量と炉内と炉外で生ずる差圧ΔPとの関係を示す図である。 従来の流量制御方法における炉内と炉外で生ずる差圧ΔPの変動および水素量を示す図であり、(a)は管の搬送状況にともなう発生差圧ΔPの変動を示し、(b)は投入する水素量を示している。 本発明の流量制御方法における炉内と炉外で生ずる差圧ΔPおよび水素量の変動を示す図であり、(a)は管の搬送状況にともなう炉内の発生差圧ΔPの変動を示し、(b)は投入される水素量の制御状況を示している。 供試管Bの熱処理における炉内の発生差圧ΔPの変動、および投入される水素量の制御状況を示す図である。 供試管Cの熱処理における炉内の発生差圧ΔPの変動、および投入される水素量の制御状況を示す図である。 供試管Dの熱処理における炉内の発生差圧ΔPの変動、および投入される水素量の制御状況を示す図である。 供試管Eの熱処理における炉内の発生差圧ΔPの変動、および投入される水素量の制御状況を示す図である。
符号の説明
1:熱処理炉、 2:シールカーテン
3:加熱帯、 4:搬送ローラ

Claims (3)

  1. 炭化水素系の成分を含む圧延油または潤滑剤を使用して冷間加工された管を対象として、炉内に雰囲気ガスを導入し、炉入口から前記管を軸方向に沿って装入して熱処理を施した前記管を炉出口から搬出する連続式熱処理炉の操炉方法であって、
    前記炉の入側および出側にその全面を覆うように吊着されたシールカーテンを設け、
    前記管表面に付着物が残留しており、装入される前記管の先端から後端までの全長が前記炉の入側に設けられたシールカーテンを通過する際に、管内を流れるガス流速Vが、前記管の送管速度Uよりも大きくなる条件において、下記(1)式で求まる炉内と炉外で生じる差圧(ΔP)を超えるように前記雰囲気ガスを投入することを特徴とする連続式熱処理炉の雰囲気ガス流量制御方法。
    V=ΔP×r2/(8×μ×L) ・・・ (1)
    ここで、V:管内ガス流速(m/sec)、μ:流体粘性係数(Pa・sec)、
    ΔP:炉内と炉外で生じる差圧(Pa)、r:管の内半径(m)、
    L:管長さ(m)、U:送管速度(m/sec)とする
  2. 炭化水素系の成分を含む圧延油または潤滑剤を使用して冷間加工された管を処理する連続式熱処理炉であって、
    入側および出側にその全面を覆うようにシールカーテンが設けられ、
    炉中央部の加熱帯に雰囲気ガスが投入され、
    炉入側から炉出口に亘って搬送用ローラが炉床に配置され、炉入側から連続的に前記管を軸方向に沿って装入し、炉出側から搬出する構造からなり、
    表面に付着物を残留させた前記管の熱処理に際し、請求項1に記載の雰囲気ガスの流量制御を行うことを特徴とする連続式熱処理炉。
  3. 請求項1に記載の雰囲気ガス流量制御方法を適用し、または請求項2に記載の連続式熱処理炉により熱処理を行ったことを特徴とする管。
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