JP4200716B2 - Ni基合金またはFe基合金からなる管の熱処理工程における浸炭抑制方法 - Google Patents

Ni基合金またはFe基合金からなる管の熱処理工程における浸炭抑制方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Ni基合金またはFe基合金からなる管の熱処理工程における浸炭抑制方法、より詳しくは炭化水素系の成分を含む潤滑剤を使用して冷間にて製造されたオーステナイト系ステンレス鋼管などの溶体化処理に特に好適なNi基合金またはFe基合金からなる管の熱処理工程における浸炭抑制方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
Ni基合金またはFe基合金からなる管の製造方法には種々の方法があり、その一つに次の方法がある。
【0003】
即ち、その方法は、熱間圧延法や熱間押出法により素管を製造し、この素管にコールドピルガーミルと称される冷間圧延機や鎖式または油圧式のコールドドローベンチと称される抽伸機を使用して冷間加工を施し、所望の製品寸法に仕上げる方法である。
【0004】
上記の方法における潤滑剤には、通常、前者の方法では油が使用され、後者の方法では化成処理皮膜が使用される。しかし、化成処理は工数と費用のかかる方法で、製品のコスト上昇をもたらす。このため、最近では、化成処理の簡略化または省略を図るべく、コールドピルガーミルによる冷間圧延と同様に、潤滑剤に油、即ち炭化水素系の成分を含む潤滑剤を使用した油潤滑抽伸がおこなわれている。
【0005】
冷間圧延法や油潤滑抽伸法により所定の寸法に成形されたNi基合金またはFe基合金からなる管は、アルカリや酸などによる脱脂後、さらに高圧水や蒸気などで洗浄する脱脂、洗浄処理をおこなって内外面の潤滑剤を除去した後、所定の熱処理をおこなって製品とされる。
【0006】
しかし、上記の冷間圧延法や油潤滑抽伸法により製造された熱処理後の製品には、脱脂、洗浄処理をおこなっているにもかかわらず、内面にだけ浸炭が発生し、製品がたとえばオーステナイト系ステンレス鋼管の場合、所望の耐食性が確保できないことがあり、その解決が望まれていた。
【0007】
なお、使用した潤滑剤が原因で発生する管内面の浸炭防止方法としては、たとえば特許文献1や特許文献2に示される方法がある。しかし、これらの特許文献に示される方法は、いずれも黒鉛が主成分の潤滑剤を使用した熱間圧延により製造される鋼管を対象としたものであるから、冷間成形された管には応用できない。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−182427号公報
【特許文献2】
特開平8−90043号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の実状に鑑みてなされたもので、その目的は、炭化水素系の成分を含む潤滑剤を使用して冷間にて成形され、次いで脱脂、洗浄処理されたNi基合金またはFe基合金からなる管を熱処理した際に生じる内面の浸炭深さを従来製品の1/2未満の深さにすることができるNi基合金またはFe基合金からなる管の熱処理工程における浸炭抑制方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、下記のNi基合金またはFe基合金からなる管の熱処理工程における浸炭抑制方法にある。
【0011】
炭化水素系の成分を含む潤滑剤を使用して冷間にて製造されたNi基合金またはFe基合金からなる管の熱処理工程における浸炭抑制方法であって、管の温度が400〜750℃である間に、室温での容量が管の内容積の0.4倍以上の非浸炭性ガスを供給して管内のガスをパージするNi基合金またはFe基合金からなる管の熱処理工程における浸炭抑制方法。
【0012】
本発明者らは、上記の課題を達成するため、脱脂、洗浄処理されたNi基合金またはFe基合金からなる管、たとえばオーステナイト系ステンレス鋼管を熱処理した際に生じる内面の浸炭発生原因の究明とその防止手段について種々検討し、以下の知見を得て上記の本発明を完成させた。
【0013】
(a) 冷間成形時に使用した炭化水素系の成分を含む潤滑剤は、脱脂、洗浄処理によって100%除去され、管表面には全く残留していないものと考えられていたが、管表面を丁寧に分析した結果、極微量の油分(炭化水素系やエステル系の潤滑剤の主成分)の残存が確認された。
【0014】
(b) このため、脱脂条件と洗浄条件を種々変えて管表面に残留する油分の完全除去を試みたが、実操業においては油分の完全除去が不可能なことが判明した。
【0015】
(c) そこで、管の内面にだけ浸炭が発生する理由の究明に努めた結果、管表面に残留している油分は内外面ともに熱処理の加熱中に気化してCHやCなどの浸炭性ガスに変化するが、管内は通気性が悪いため、管内の浸炭性ガス量が微量ではあるが鋼が浸炭するのに十分な量となり、これが原因で管内面にだけ浸炭が発生することを確認した。
【0016】
(e) 即ち、管表面に残留した油分の浸炭性ガスへの気化は、昇温途中の管の温度が約200℃から約750℃の間でおこり、管の温度が約800℃以上になると浸炭が発生する。つまり、発生した浸炭性ガスは、管内の通気性が悪いためにその場に滞留し、管の温度が800℃を超えると浸炭が発生する。
【0017】
(f) 従って、管内面が浸炭するのを防止するには、気化した浸炭性ガスを管内から強制的に追い出せばよいとの結論に至り、その効率的なパージ条件を見出すべく、種々実験をおこなった。その結果、管の温度が400〜750℃である間に、室温での容積が管の内容積の0.4倍以上の非浸炭性ガスを管内に供給して管内のガスをパージすると、管内面の浸炭深さがパージしない場合の深さの1/2未満になることがわかった。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の熱処理工程における浸炭抑制方法について詳細に説明する。
【0019】
1.管について
本発明で対象とする管は、Ni基合金およびFe基合金のいずれであってもよい。また、その管は、炭化水素系の成分を含む潤滑剤を使用して冷間にて製造されたものあればよく、前述したコールドピルガーミルやコールドドローベンチによる冷間加工法に限らず、たとえば丸棒状の素材の軸心部を切削除去する、いわゆるボーリング加工法などの他の方法により製造されたものであってもよい。
【0020】
2.管内ガスのパージについて
管内ガスのパージは、管の温度が400〜750℃である間におこなう必要がある。これは次の理由による。
【0021】
図1は、脱脂、洗浄後の管表面に残留したのと同じ潤滑油(ユシロ化学工業(株)社製の商品名PL−17D)からの浸炭性ガスの発生挙動を調査した結果を示す図である。図1からわかるように、浸炭性ガスは管の温度が約100〜800℃の間に発生し、その量が最も多くなるのは管の温度が400℃前後のときである。
【0022】
このため、本発明では管内ガスをパージする際の管の温度の下限を400℃とした。つまり、管の温度が400℃になる以前にパージしても、その後に多くの浸炭性ガスが発生するためパージする意味がない。
【0023】
一方、管の温度が800℃を超えると浸炭が始まるため、それまでにパージを完了する必要があるが、本発明では浸炭の発生をできるだけ抑制するべく、管内ガスをパージする際の管の温度の上限を750℃とした。
【0024】
また、パージ用の非浸炭性ガスの供給量は、室温での容量が管の内容積の0.4倍以上とする必要がある。これは、パージ用の非浸炭性ガスの供給量が室温容量で管の内容積の0.4倍未満では発生した浸炭性ガスを十分にパージできず、目標とする浸炭深さが得られないからである。このことは、後述する実施例の結果からも明らかである。
【0025】
パージ用の非浸炭性ガスの供給量の上限は規定しない。これは、管内のガスを確実にパージするという観点からは多ければ多いほどよいからである。ただし、あまり多すぎると、管の昇温を妨げて熱処理温度の低下を招くので、多くても室温容量で管の内容積の20倍程度に留めるのが望ましい。
【0026】
パージ用の非浸炭性ガスとしては、浸炭性ガス以外のガスであればどのようなガスでもよく、たとえば、空気、N、Ar、CO、O、水蒸気および水素ガスなどを挙げることができるが、経済性を考慮すると空気や水蒸気、安全性を考慮するとNやArなどの不活性ガスを使用するのが望ましい。
【0027】
なお、水素の爆発限界は4〜75%である。言い換えれば、水素は96〜25%の酸素と混ざると爆発する。従って、次項で述べる熱処理炉の炉内雰囲気が水素雰囲気の場合のパージ用ガスとしてはO2以外のガスを使用する必要があり、空気を用いる場合でもO2の割合が前記の96〜25%にならないように管理することが肝要である。また、前記とは逆に、大気雰囲気の熱処理炉を使用する場合のパージ用ガスは水素ガス以外のガスを使用する必要があることはいうまでもない。
3.管内ガスの具体的なパージの実施態様について
熱処理は種々の熱処理炉を用いておこなわれるが、多くの場合、管をその軸長方向に次々と連続的に搬送しながら熱処理する縦送り式の熱処理炉が用いられる。このため、縦送り式の熱処理炉を用いて本発明の熱処理工程における浸炭抑制方法を実施する場合を例にとり、次々と連続的に搬送される管の管内ガスのパージ方法の一例を詳述するが、管内ガスのパージ方法はこれに制限されない。
【0028】
図2は、縦送り式の熱処理炉を用いた本発明の熱処理工程における浸炭抑制方法の一実施態様を示す平面図(炉内部分は炉中の平面図)である。同図(a)は先行の熱処理中の被処理管群1aと後続の被処理管群1bに対する管の内部へのパージ用ガスの供給態様を示す。同図(b)は熱処理中の先行被処理管群1aと後続被処理管群1bに対する管の内部へのパージ用ガスの供給態様を示す。同図(c)は熱処理中の後続被処理管群1bに対する管の内部へのパージ用ガスの供給切り替え態様を示す。
【0029】
図2において、縦送り式の熱処理炉(以下、単に熱処理炉という)5は、加熱帯5aと冷却帯5bとを備えている。この熱処理炉5の炉内圧は大気が流入しないように大気圧よりも若干高い圧力に設定されている。なお、炉内雰囲気が水素雰囲気の場合、炉の出入口では、圧力差により外部に漏れる水素ガスを積極的に燃焼させることによって爆発防止が図られる。
【0030】
熱処理炉5の出側(図中の右方)には、2基のパージ用ガス供給装置4a、4bが設けられている。このパージ用ガス供給装置4a、4bは、いずれも、白抜き矢印の方向に搬送される被処理管群1a、1bと同じ方向へ進退可能に設けられている。なお、図示例のパージ用ガス供給装置4aと4bは、干渉しないように、紙面に対して垂直な方向に位置をずらして配置されている。
【0031】
先行の被処理管群1aと後続の被処理管群1bは、いずれも、図3にその拡大図を示すように、ガス導入管3が並設されたヘッダー2の先細のノズル2aにその先端部が差し込まれている。ここで、ヘッダー2とガス導入管3は導通していない。
【0032】
図2に示す方法においては、室温のパージ用ガスを、熱処理中の先行の被処理管群1aの管の内部には管の温度が400〜750℃である間にパージ用ガス供給装置4aから供給し、後続の被処理管群1bの管の内部にはこの被処理管群1bの先端部が加熱帯5aに達してその温度が400℃になった時点以降から先行の被処理管群1aのヘッダー2に併設されたガス導入管3を介してパージ用ガス供給装置4bから供給できるようになっている(同図(a)参照)。
【0033】
次いで、上記の状態を保持したまま、先行の被処理管群1aと後続の被処理管群1bを白抜き矢印の方向に搬送して両群の被処理管を熱処理する(同図(b)参照)。
【0034】
その後、後続の被処理管群1bの先端が熱処理炉5の出側に到達した後、次の操作を行う。(1) 先行の被処理管群1aのヘッダー2とパージ用ガス供給装置4aの接続を解除する。(2) 先行の被処理管群1aのガス導入管3と後続の被処理管群1bのヘッダー2の接続を解除する。(3) 先行の被処理管群1aのガス導入管3とパージ用ガス供給装置4bの接続を解除する。(4) 後続の被処理管群1bのヘッダー2とパージ用ガス供給装置4aを接続する。即ち、後続の被処理管群1bの接続をパージ用ガス供給装置4bからパージ用ガス供給装置4aに切り替える。(5) パージ用ガス供給装置4bを次の後続の被処理管群1cの管内部へパージ用ガスが供給できるようにするために、被処理管群1bのガス導入管3に接続すべく待機させる(同図(c)参照)。
【0035】
上記のようにすれば、軸長方向に次々と搬送されてくる各被処理管群の管内にパージ用ガスを確実に供給することができる。その際、各被処理管群の管内へのパージ用ガスの供給は、管の温度が400〜750℃である間に所定の量を供給することはいうまでもない。
【0036】
ここで、縦送り式の熱処理炉の場合には、その搬送態様から当然に、各被処理管群の先端部と後端部で温度差が生じる。このため、パージ用ガスの供給は、先端部の管の温度が所定の温度(この好ましいのは400℃)になった時点から供給を開始し、後端部の管の温度が所定の温度(この好ましいのは750℃)になるまでの間連続して供給するのが最も望ましいが、必ずしもその必要はなく、400〜750℃の範囲内のある一定の温度範囲内において連続的に供給するようにしてもよい。また、連続供給に代えて、たとえば、先端部の温度が所定の温度(400℃)になった時点で一度パージし、後端部の温度が所定の温度(750℃)になるまでの間はパージを中断し、後端部の温度が所定の温度(750℃)になった時点で再度パージするなど、複数回に分けて断続的にパージするようにしてもよい。
【0037】
管をその軸長方向と直交する方向に連続的に搬送しながら熱処理をおこなう横送り式の熱処理炉の場合には、管の軸長方向の温度はほぼ均一に昇温する。このため、横送り式の熱処理炉で熱処理をおこなう場合は、管の温度が400〜750℃となる炉内領域に、管の一方端にその供給口が位置するようにパージ用ガス供給ノズルを配置し、これによって管内ガスをパージすればよい。
【0038】
主たる成分のうちFeを除いた含有量が表1に示す値のオーステナイト系ステンレス鋼からなる外径46mm、肉厚5.0mmの素管を、ユシロ化学工業(株)社製の商品名PL−17Dを使用して冷間抽伸することで、外径22mm、肉厚1.5mm、切断後の長さ10mの製品寸法に仕上げたままの鋼管を準備した。
【0039】
【表1】
Figure 0004200716
【0040】
準備した鋼管は、NaOH濃度が5体積%の水溶液に30分間浸漬して脱脂処理し、次いで弗酸濃度が5体積%、硝酸濃度が8体積%の弗硝酸水溶液に10分間浸漬して酸洗した後、高圧水で洗浄した。
【0041】
脱脂、洗浄した鋼管は、図2に示したのと同様の縦送り式の炉内雰囲気が重油燃焼雰囲気(体積%で、O:3%、HO:10%、CO:5%、残:実質的にNの熱処理炉を使用して溶体化熱処理することとし、その際、加熱帯5aの昇温ゾーンにおいて鋼管の温度が100〜850℃になった時点で、鋼管の内容積の0.33〜6.66倍の室温容量の空気、N、Ar、CO、Oおよび水蒸気のうちのいずれかを管内に供給して管内ガスをパージした。
【0042】
なお、溶体化熱処理の最終到達温度は1060℃、この温度での保持時間は5分とした。また、パージ用ガスの供給量は2リットル/分とし、一部の鋼管についてはパージ用ガスの供給を二度に分けておこなった。
【0043】
また、鋼管の先端部と後端部の温度差は、およそ200℃であった。このため、後述する表2では、鋼管温度が200℃の幅を持つような記載になっており、高い方が先端部の温度、低い方が後端部の温度である。
【0044】
溶体化熱処理した鋼管は、両管端部および管端から2.5mごとの部位を650℃に2時間加熱して鋭敏化処理した後、その部分から断面が肉厚方向のミクロ観察用試験片を採取した。採取した各試験片は、その表面をエメリー紙を用いて研磨した後、蓚酸濃度が10体積%の水溶液で約150秒間エッチング処理した後、100倍率の光学顕微鏡を用いて観察し、エッチングによって腐食された結晶粒界の内表面からの深さを測定し、この深さを各部位の浸炭深さとし、5箇所の合計浸炭深さを求めた。
【0045】
結果は、表2に、パージ時の鋼管温度、パージガスの種類およびパージガスの室温容量と併せて示す。なお、上記5箇所の合計浸炭深さは、管内ガスをパージしなかった以外は上記と同じ条件で溶体化熱処理し、次いで鋭敏化熱処理した場合における上記5カ所の合計浸炭深さを1とし、これに対する倍率で示した。
【0046】
【表2】
Figure 0004200716
【0047】
表2に示すように、本発明で規定する条件で溶体化熱処理した鋼管(番号6、7、9〜11、13〜15、17〜19および22〜27)の浸炭深さは、いずれもパージしない場合の浸炭深さの0.50倍未満である。
【0048】
なお、番号22の鋼管の浸炭深さが浅いのは二度目のパージ時の鋼管温度が適切なためであり、番号26および27の鋼管の浸炭深さが浅いのは一度目のパージ時の鋼管温度が適切なためである。
【0049】
これに対し、パージ時の鋼管温度またはパージ用ガスの供給量が本発明で規定する範囲を外れる条件で溶体化熱処理した鋼管(番号1〜5、8、12、16、20および21)の浸炭深さは、いずれもパージしない場合の浸炭深さの0.50倍以上である。
【0050】
なお、番号3および4の鋼管の浸炭深さが深いのは後端部の温度が低く、この部分の浸炭深さが他の部分に比べて著しく深くなるためであり、番号20および21の鋼管の浸炭深さが深いのは先端部の温度が低く、管内ガスのパージが不十分の間に先端部とその近傍の鋼管温度が800℃を超え、これらの部位の浸炭深さが深くなるだけでなく、その他の部位の浸炭深さも全体的に深くなるためである。
【0051】
【発明の効果】
本発明の熱処理工程における浸炭抑制方法によれば、内面の浸炭深さが従来製品の1/2未満と浅い製品が安定して得られ、たとえば管がオーステナイト系ステンレス鋼管の場合は内面の耐食性が良好な製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 脱脂、洗浄後の管表面に残留している油分からの浸炭性ガスの発生挙動を示す図である。
【図2】 縦送り式の熱処理炉を用いて本発明の熱処理工程における浸炭抑制方法を実施する場合における管内ガスの具体的なパージ態様の一例を示す平面図である。
【図3】 ヘッダーとガス導入管の拡大平面図である。
【符号の説明】
1a:先行の被処理管群、
1b:後行の被処理管群、
1c:次の後行の被処理管群、
2:ヘッダー、
3:ガス導入管、
4a、4b:パージ用ガス供給装置、
5:縦送り式の熱処理炉、
5a:加熱帯
5b:冷却帯。

Claims (1)

  1. 炭化水素系の成分を含む潤滑剤を使用して冷間にて製造されたNi基合金またはFe基合金からなる管の熱処理工程における浸炭抑制方法であって、管の温度が400〜750℃である間に、室温での容量が管の内容積の0.4倍以上の非浸炭性ガスを供給して管内のガスをパージすることを特徴とするNi基合金またはFe基合金からなる管の熱処理工程における浸炭抑制方法。
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