JP5211320B2 - セレン含有排水処理方法 - Google Patents
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Description
本発明は、セレン及びセレン化合物を含有する排水から、セレン及びセレン化合物を効率よく且つ低コストで且つ作業環境の安全に配慮して除去する排水処理方法に関する。
セレンは、半導体、硝子、太陽電池を含むバッテリ、赤色顔料、金属表面着色剤、医薬品等の各種製造工程、火力発電所の排煙脱硫工程、石油精製工程等において、原料、副生成物、又は除害対象物質として取り扱われている。しかし、セレン及びセレン化合物は有害物質であることから、平成5年12月27日に水質汚濁防止法施行令の一部改正(平成5年政令第401号)によりセレン及びセレン化合物は、排水基準の健康項目に追加され、排水基準値は0.1mg/リットルと定められた。
現在、排水からセレン及びセレン化合物を除去する処理方法としては、中和凝集沈澱法、水酸化鉄沈澱法、フェライト沈澱法等の凝集沈殿法、イオン交換膜法、活性炭吸着法等が知られている。ところで、排水中のセレンは、通常コロイド状のセレン、酸化数4価の亜セレン酸イオン(SeO3 2-)又は酸化数6価のセレン酸イオン(SeO4 2-)として存在することが多い。このようなセレン含有排水の処理方法としては、凝集沈殿法とイオン交換法が多く採用されている。このうち、凝集沈殿法の例として、特開2000−167572号公報は、セレン含有排水を蒸発濃縮し、濃縮水のpHを6以下に調整した上でこれを60℃以上に温めて金属鉄との接触又は鉄(II)塩を添加するようにしたセレン含有水の処理方法を開示している。また、凝集沈殿法の他の例として、特開平10−218611号公報は、セレン含有溶液の硫酸濃度が3.5乃至6Nとなるように硫酸を添加し、金属粉又は金属イオンからなる還元剤を添加して80℃以上の温度で処理することにより、セレンを還元剤金属のセレン化物として沈澱させるようにしたセレン含有溶液の処理方法を開示している。
そして、イオン交換法の例として、特開平09−239377号公報は、セレン酸イオンを含むセレン含有排水に対して、半導体光触媒及び有機環元剤の存在下で光を照射し、該セレン酸イオンを固体状セレン及び/又はガス状セレン化水素にまで還元するようにしたセレン酸イオンの除去方法を提案している。
特開2000−167572号公報
特開平10−218611号公報
特開平09−239377号公報
しかし、上記した従来の凝集沈澱処理法は、活性炭処理法を併用することによって、セレン及びセレン化合物を有効に処理可能であるものの、排水処理設備及び処理作業等に多額の出費を伴い、経済的負担が大きい等の問題点がある。
また、イオン交換法による処理方法は、半導体光触媒及び有機環元剤の存在下で光を照射する必要性があることから、排水処理に長い時間を必要とすると共に上記した凝集沈澱処理法と同様に、排水処理設備及び処理作業等に多額の出費を必要とする。
また、イオン交換法による処理方法は、半導体光触媒及び有機環元剤の存在下で光を照射する必要性があることから、排水処理に長い時間を必要とすると共に上記した凝集沈澱処理法と同様に、排水処理設備及び処理作業等に多額の出費を必要とする。
このため、本発明は、セレン及びセレン化合物を含む排水中からセレン及びセレン化合物を短時間に低コストで有効に除去する処理法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、上記排水の処理中に気化したセレン及びセレン化合物を有効に捕集してこれを排水中に戻すことにより、大気環境及び作業環境空気中にもセレン及びセレン化合物を放出させないようにした排水処理方法を提供することを目的とする。
このため、本発明は、亜セレン酸及びセレン酸を含有する排水を処理する排水処理方法であって、(a)無機酸を加えることにより前記排水をpH3以下の酸性にする工程と、(b)前記排水中に鉄粉を投入する工程と、(c)前記排水を常温下で攪拌する工程と、(d)前記攪拌工程(c)において発生した気化セレンを含む空気を硫酸酸性過マンガン酸カリウム液に通過させる工程と、(e)気相から捕集したセレンを含む前記硫酸酸性過マンガン酸カリウム液中の残余の過マンガン酸カリウムを還元してから、当該還元処理済液を前記排水に加える工程と、(f)前記工程(e)を経た前記液を含む排水に対して、前記工程(a)、(b)及び(c)に記載の処理を行う工程と、の各工程を有することを特徴とするセレン含有排水の処理方法を提供するものである。
これにより、排水処理中に気化したセレン及びセレン化合物を有効に捕集してこれを排水中に戻すことにより、大気環境及び作業環境中の空気中にもセレン及びセレン化合物を放出させないようにしたのである。
ここで、前記工程(a)において使用する無機酸は塩酸又は硫酸であり、前記排水に対する前記無機酸のモル濃度は0.03M以上である。
また、前記工程(b)においては、前記排水1リットル当たり3乃至5グラムの鉄粉を投入する。また、前記工程(c)の攪拌は、10分間程度の強攪拌で充分である。
また、前記工程(d)において使用する前記硫酸酸性過マンガン酸カリウム液は、モル濃度1乃至2Mの希硫酸中に重量対体積%で0.3乃至0.5%の過マンガン酸カリウムが含有するものを使用する。そして、前記工程(d)において、前記硫酸酸性過マンガン酸カリウム液の酸化吸収力の低下に伴って、当該硫酸酸性過マンガン酸カリウム液の赤色度が所定のレベルよりも低い場合には、前記工程(d)を、直列に複数連結された気中セレン除去手段に通過させることにより処理する。
そして、前記工程(c)後の排水は、アルカリ剤を投入してpH10以上にして凝集沈殿し、生じた沈殿を沈降槽で分離濃縮し、さらに濃縮沈殿を脱水処理するのである。
本発明に係る亜セレン酸及びセレン酸を含有する排水を処理する排水処理方法は、従来の処理方法のように、活性炭処理法を併用する設備や半導体光触媒及び有機環元剤の存在下で光を照射するための設備を一切必要とせず既存の排水処理施設をそのまま利用できることから、低コストで且つ排水を常温下で10分間程度強攪拌するだけで処理できるので、短時間の亜セレン酸及びセレン酸を含有する排水処理を可能にしたのである。
以下、図面を参照して、本発明に係る亜セレン酸及びセレン酸を含有する排水を処理する排水処理方法の詳細について説明する。
図1は、本発明の亜セレン酸及びセレン酸を含有する排水を処理する排水処理方法の工程の概要を示すものである。
図1において、セレンを含有する産業排水は、多くの場合、コロイド状のセレン、酸化数4価の亜セレン酸イオン(SeO3 2-、以下、適宜「Se(IV)」と表記する)及び/又は酸化数6価のセレン酸イオン(SeO4 2-、以下、適宜「Se(VI)」と表記する)として存在する。
図1において、セレンを含有する産業排水は、多くの場合、コロイド状のセレン、酸化数4価の亜セレン酸イオン(SeO3 2-、以下、適宜「Se(IV)」と表記する)及び/又は酸化数6価のセレン酸イオン(SeO4 2-、以下、適宜「Se(VI)」と表記する)として存在する。
図1に示すように、本発明に係るセレン含有排水の処理方法においては、最初にセレン含有排水に対して、塩酸又は硫酸の無機酸を加えて排水のpHを3以下に調整する(工程(a))。ここで、無機酸を塩酸とした場合、排水に対する塩酸のモル濃度は0.03M以上となる。次に、pH3以下に調整された排水中に鉄粉を投入する(工程(b))。鉄粉の投入量は、排水1リットル当たり3乃至5グラムであるが5グラム程度が望ましい。そして、鉄粉投入後の排水を強攪拌するのである(工程(c))。この攪拌時間は、8乃至10分間程度で充分である。この強攪拌により、酸化数4価の亜セレン酸イオンは、極めて短時間(強い攪拌の開始後数秒間)で赤色セレンSe(0)に変化し、酸化数6価のセレン酸イオンは、約90秒後に赤色セレンを析出して赤褐色に変化し始めることを確認したのである。この亜セレン酸及びセレン酸の還元挙動の観察から、酸化数6価のセレン酸イオンは、まず酸化数4価の亜セレン酸イオンに還元されてから、単体セレンの赤色セレンまで還元されることを確認できた。
本発明に係るセレン含有排水の処理方法は、さらに、上記した強攪拌工程において気相に移行したセレン及びセレン化合物を回収する工程を含む。すなわち、攪拌工程において気相に移行したセレン及びセレン化合物を含む空気を硫酸酸性過マンガン酸カリウム液に通過させるのである(工程(d))。これにより、気相に移行したセレン及びセレン化合物は、硫酸酸性過マンガン酸カリウム液中に捕集されるのである。そして、このようにしてセレン及びセレン化合物を捕集した硫酸酸性過マンガン酸カリウム液は汎用の還元剤により残余の過マンガン酸カリウムを還元してから、セレン含有排水に戻されて、上記工程(a)乃至(c)を経て、確実に回収されるのである。ここで、上記工程(d)において使用する硫酸酸性過マンガン酸カリウム液は、モル濃度1乃至2Mの希硫酸中に重量対体積%で0.3乃至0.5%の過マンガン酸カリウムを含有するものである。
ところで、前記工程(d)によって生じた前記硫酸酸性過マンガン酸カリウム液の赤色の退色が所定のレベルよりも低い場合には、直列に複数連結された気中セレン除去手段に通過させることにより処理するようにしてもよい。しかし、後述するように通常は、一段の通過処理で充分である。
尚、上記工程(c)後の排水は、公知技術のアルカリ剤投入による凝集沈殿処理及び沈殿の分離濃縮、そして脱水処理により、水分は下水等に放出され、固形物は汚泥処理することとなる。
図2は、図1で示した本発明に係るセレン含有排水の処理方法を構成する工程を図式的に示したものである。図2に図示された工程は、本処理方法の必須の工程以外に、必要に応じて追加されるべき工程を記載しているが、本発明に係るセレン含有排水の処理方法を構成する必須の工程に関する記載は、上記のとおりである。また、排水中に、本発明が除去の対象としたセレン以外の、砒素、水銀、シアン又はフッ素等の排水規制に係る有害物質が含まれている場合、これらの有害物質を本発明を構成する鉄粉投入及び強攪拌により同時に除去することも可能であることは言うまでもない。
図2に記載したように、本発明の排水処理においては、亜セレン酸、セレン酸を含有する排水を吸気管と排気管を備えた密閉構造の反応槽に薬液注入口より塩酸を入れてこれをpH3以下にしてから鉄粉を鉄粉フィーダーより入れ、直ちに攪拌機により反応槽内のセレン含有排水を強攪拌する。この強攪拌による鉄粉反応の開始後直ちに塩酸と鉄粉が反応して反応活性な発生期の水素が発生し、亜セレン酸、セレン酸は単体セレンにまで常温化学還元される。更に、生成した当該単体セレンの一部はセレン化水素まで常温化学還元されて気化される。また、当該鉄粉反応に伴う発泡及び当該反応槽内のセレン含有排水の強攪拌により亜セレン酸及びセレン酸を含むミストが発生する。当該鉄粉反応開始とともに鉄粉反応槽内の上部の空気相へは当該セレン化水素及びセレン含有ミストが移行する。
そして、この鉄粉反応の常温化学還元作用によりセレン系含有排水中の大部分の亜セレン酸、セレン酸は単体セレンの沈殿にまで還元され、後段処理としてアルカリ凝集反応槽でアルカリ添加により生成する水酸化鉄沈殿内に捕集され、セレン含有排水中の大部分の亜セレン酸、セレン酸は高分子凝集剤槽によるフロック生成を経て沈降槽において沈殿分離されるのである。
さらに、鉄粉反応開始とともに鉄粉反応槽内の上部の空気相へはセレン含有排水より発生するセレン化水素ガス及びセレン含有ミストが移行するが、鉄粉反応開始とともに反応槽内上部のセレン化水素ガス及びセレン含有ミストを含む空気を常時、排気管より排気ポンプにより、空気洗浄槽に当該セレン化水素ガス及びセレン含有ミストを含む空気を排気し、低濃度硫酸酸性過マンガン酸カリウムからなる空気洗浄液に吹き込み、セレン化水素ガスの酸化吸収、セレン含有ミストの液体捕集により、空気を浄化する。さらに、当該空気洗浄槽で浄化された空気は水洗浄槽で更に浄化して大気環境又は作業環境へ安全に放出するのである。
さらに、セレン化水素ガス及びセレン含有ミストを含む空気の洗浄槽内の洗浄液に酸化力があり、しかも酸化力に応じて変色する硫酸酸性過マンガン酸カリウム液を用いることにより、微量のセレン化水素ガスを酸化吸収し、更に排気空気を水洗浄して安全に大気環境又は作業環境に排出することとなる。長期の使用条件又は高濃度のセレン含有排水を処理する条件下では、硫酸酸性過マンガン酸カリウム液を用いることにより、当該洗浄液の赤色の退色の程度により容易に洗浄能力を検出するとよい。
そして、当該長期使用条件及び高濃度セレン含有排水処理条件下の処理を安全に確実にするために、当該洗浄槽を並列配置し、洗浄液の過マンガン酸カリウム液の赤色の退色の程度に応じて排気空気の導入を未使用洗浄液の入っているもう一つの空気洗浄槽に切り替えることにより、低濃度から高濃度のセレン含有排水の処理に対応できる。また、当該洗浄液の赤色が退色し、捕集性能の劣化したセレンを含有する使用済み洗浄液は反応槽に返送して、残留する過マンガン酸カリウムを亜硫酸ナトリウムなどの汎用の水処理用還元剤で還元後に、当該鉄粉処理法による常温化学還元作用による気化したセレンの除去能力をも有するのである。
図3は、上記した本発明に係るセレン含有排水の処理方法を実施した場合の排水中の全セレン残留濃度を示すグラフである。グラフの横軸の単位は、排水中のセレン濃度[Se(IV)、Se(VI)の各々の濃度、mg/リットル]を示し、グラフの縦軸は、本セレン含有排水の処理方法を実施した後の処理水中における全セレン残留濃度(Se(IV)、Se(VI)の各々の濃度の和を定量、mg/リットル)を示す。そして、図3の示したグラフの処理条件は、セレン含有排水に塩酸を加えてこれをpH0.4とし(工程(a))、これに鉄粉を排水1リットル当たり5グラムを投入した(工程(b))。そして、10分間強攪拌した(工程(c))のである。
図3に示すように、処理前の原液中に亜セレン酸、セレン酸が1乃至100(mg/リットル、ppm)含まれていた場合、本発明のセレン含有排水の処理方法を実施した後においては、本発明の処理後において平成5年度の水質汚濁防止法施行令の改正に基づき定められた排水基準値である0.1mg/リットルを完全にクリアーしたのである。
図4は、本セレン含有排水の処理方法を構成する排水の酸性化処理(工程(a))における無機酸(塩酸)濃度による排水処理後のセレン酸の残留濃度及び反応液のpHへの影響度を示すグラフである。他の条件は、図1の説明記載と同じである。
図4に示すグラフの条件は、無機酸として塩酸を使用し、原液におけるセレン酸(6価セレン)の濃度を50(mg/リットル)とした。グラフの横軸は、原液における塩酸のモル濃度を示し、グラフの左縦軸は、本セレン含有排水の処理方法を実施した後の処理水におけるセレン酸(6価セレン)残留濃度(mg/リットル)を示し、グラフの右縦軸は反応液のpH値を示す。
図4に示すように、排水の塩酸モル濃度を0.03M程度にすることにより、排水のpH値は3以下になり、本発明の処理後において平成5年度の水質汚濁防止法施行令の改正に基づき定められた排水基準値である0.1mg/リットルをクリアーすることがわかる。
図5は、本セレン含有排水の処理方法において、セレン含有排水に鉄粉を投入し強攪拌をした際(工程(c))に、排水中の亜セレン酸、セレン酸が気相に移行する割合(%)を示したものである。他の条件は、図1の説明記載と同じである。
図5は、4価セレン及び6価セレン共に、0.3乃至4%が気相に移行することを示している。尚、攪拌時間は、10分間とした。この場合、原液におけるセレン含有量が多いほど気相に移行するセレンの割合(%)は低下する傾向にあった。しかし、気相中の平均セレン濃度は、0.59乃至23.2mg/m3であり、セレンの人への暴露限界0.2mg/m3を超えていた。また、気相に移行する4価セレン及び6価セレンの割合は決して無視できるものではなく、これを捕集する必要性を示している。
上記したように、本発明に係るセレン含有排水の処理方法は、さらに、鉄粉投入工程及び強攪拌工程において気相に移行した4価セレン及び6価セレンを回収する工程(工程(d))を含む。すなわち、攪拌工程において気体状物質含有の空気を硫酸酸性過マンガン酸カリウム液に通過させるのである。これにより、気相に移行した4価セレン及び6価セレンは、硫酸酸性過マンガン酸カリウム液中に捕集されるのである。そして、このようにして4価セレン及び6価セレンを捕集した硫酸酸性過マンガン酸カリウム液は残余の過マンガン酸カリウムを還元してから、セレン含有排水に戻されて、確実に回収されるのである。ここで、当該工程(d)において使用する硫酸酸性過マンガン酸カリウム液は、モル濃度1乃至2Mの希硫酸中に重量対体積%で0.3乃至0.5%の過マンガン酸カリウムを含有するものである。
図6は、当該処理工程(d)により、気相に移行した4価セレン、6価セレンの補集率を示すグラフである。図6に示すように、4価セレン、6価セレン共に、98%以上を補集することができる。当該処理工程(d)においては、気相に移行した4価セレン、6価セレンを含む空気の硫酸酸性過マンガン酸カリウム液への一段の通過により、硫酸酸性過マンガン酸カリウム液の赤色の退色の程度が著しい場合には、直列にさらに複数段連結された複数段の気中セレン除去手段に通過させることにより処理するようにするとよい。尚、図6における処理の条件は、図1の説明記載と同じである。
ところで、本本発明に係るセレン含有排水の処理方法においては、回分方式の反応槽によるバッチ処理のみならず、連続流れ方式の反応槽による連続フロー処理も可能である。また、既存排水処理設備、特に後段処理のアルカリ凝集沈殿処理、高分子凝集剤添加による凝集処理、沈降槽による固液分離、濃縮汚泥(沈殿)の加圧ろ過及び脱水処理など既設のものの転用が可能であり、極めて有利である。鉄粉反応槽も吸気及び排気設備による反応槽内への空気の吸気、反応槽からの排気が確実に行える構造で十分であり、本発明の実用性は非常に高いと言えよう。
本発明は、セレン及びセレン化合物を含有する排水から、セレン及びセレン化合物を効率よく且つ低コスト且つ作業環境の安全を配慮して除去する排水処理方法に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
(a):酸性化処理工程
(b):鉄粉投入工程
(c):攪拌工程
(d):気相に移行した亜セレン酸、セレン酸の捕集工程
(b):鉄粉投入工程
(c):攪拌工程
(d):気相に移行した亜セレン酸、セレン酸の捕集工程
Claims (7)
- 亜セレン酸及びセレン酸を含有する排水を処理する排水処理方法であって、
(a)無機酸を加えることにより前記排水をpH3以下の酸性にする工程と、
(b)前記排水中に鉄粉を投入する工程と、
(c)前記排水を常温下で攪拌する工程と、
(d)前記攪拌工程(c)において発生した気化セレンを含む空気を硫酸酸性過マンガン酸カリウム液に通過させる工程と、
(e)気相から捕集したセレンを含む前記硫酸酸性過マンガン酸カリウム液中の残余の過マンガン酸カリウムを還元してから、当該還元処理済液を前記排水に加える工程と、
(f)前記工程(e)を経た前記液を含む排水に対して、前記工程(a)、(b)及び(c)に記載の処理を行う工程と、
の各工程を有することを特徴とするセレン含有排水の処理方法。 - 前記工程(a)において使用する無機酸は塩酸又は硫酸であり、前記排水に対する無機酸のモル濃度は0.03M以上であることを特徴とする請求項1に記載のセレン含有排水の処理方法。
- 前記工程(b)においては、前記排水1リットル当たり3乃至5グラムの鉄粉を投入することを特徴とする請求項1に記載のセレン含有排水の処理方法。
- 前記工程(c)の攪拌時間は、8乃至10分間であることを特徴とする請求項1に記載のセレン含有排水の処理方法。
- 前記工程(d)において使用する前記硫酸酸性過マンガン酸カリウム液は、1乃至2Mの希硫酸に対して重量対体積%で0.3乃至0.5%の過マンガン酸カリウムを含有するものであることを特徴とする請求項1に記載のセレン含有排水の処理方法。
- 前記工程(d)において、前記硫酸酸性過マンガン酸カリウム液の酸化吸収力の低下に伴って、当該硫酸酸性過マンガン酸カリウム液の赤色度が所定のレベルよりも低い場合には、前記工程(d)を、直列に複数連結された気中セレン除去手段に通過させることにより処理することを特徴とする請求項5に記載のセレン含有排水の処理方法。
- 前記工程(c)後の排水は、アルカリ剤を投入してpH10以上にして凝集沈殿し、生じた沈殿を沈降槽で分離濃縮し、さらに濃縮沈殿を脱水処理することを特徴とする請求項1に記載のセレン含有排水の処理方法。
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