JP5205372B2 - フレキソ印刷要素を製造するための光重合可能な積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、光重合可能な円筒形の連続継目無し(endlos-nahtlosen)フレキソ印刷要素を製造するための光重合可能な積層体、ならびに中空シリンダー上に積層体を施すことによる光重合可能な円筒形の連続継目無しフレキソ印刷要素の製造方法に関する。
円筒形のフレキソ印刷版は原理的には知られている。円筒形のフレキソ印刷版の場合、印刷機のインプレッションシリンダー(圧胴)が、そのシリンダー回り全体に印刷層または印刷レリーフを備えている。円筒形の印刷版は、連続パターンの印刷のために非常に重要であり、例えば壁紙、化粧紙、またはギフト包装紙の印刷に使用される。しかしながら円筒形の印刷版は、非連続モチーフの印刷にも、複数のコピーを巧みに配置することによりできるだけ経済性の高い印刷を達成するために使用される。
原理的には、印刷機インプレッションシリンダー自体が、完全包囲印刷層を備えることができる。しかしながらこのやり方は、交換の際に、印刷版、場合によってはインプレッションシリンダー全体を取り替えなければならないという欠点を有する。これは非常に労力がかかり、かつそれに応じて高価である。このため一般的には、いわゆるスリーブを使用する。スリーブは、コアとも呼ばれる円筒形の中空体であり、印刷層または印刷レリーフを備えている。スリーブ技術は、非常に迅速で簡単な印刷版交換を可能にする。スリーブの内径は、インプレッションシリンダーの外径に相応しており、このためスリーブは簡単に印刷機のインプレッションシリンダーの表面に沿ってずらすことができる。スリーブの被せおよび取り外しは、エアクッション原理に基づいて機能し、つまりスリーブテクノロジーのために印刷機は特殊なインプレッションシリンダー、いわゆる空気シリンダーを備える。この空気シリンダーは、端面に圧縮空気接続部を備えており、この接続部によって圧縮空気をシリンダー内に導くことができる。圧縮空気は、シリンダーの外面に配置された孔を介してシリンダー内から再び外に出ることができる。スリーブを取り付けるために、圧縮空気が空気シリンダー内に通され、かつ出口孔で再び外に出る。スリーブがエアクッションの影響で僅かに膨張し、エアクッションが摩擦を実質的に減少させるので、これでスリーブをずらしながら空気シリンダー上に被せることができる。圧縮空気の供給を止めると膨張が戻り、スリーブが空気シリンダーの表面上に固定される。スリーブ技術に関する更なる詳細は、例えば「Technik des Flexodrucks」、73ページ以降、コーティング出版(Coating Verlag)、St. Gallen在、1999年に開示されている。
しかしながら、印刷の準備が整っている状態に加工済みのフレキソ印刷版でインプレッションシリンダーまたはコアを完全に包み込むだけでは、高品質のラウンド印刷版は製造できない。というのも印刷版の隣接する端部同士が接している位置に細い隙間が残っており、この隙間が、純粋な連続モチーフまたはオフセットコピーにおいては常に印刷版の印刷領域を横切るのである(用語オフセットコピーは、印刷版の幅全体にわたって複数のモチーフ(コピー)が配置されており、それらのモチーフ(コピー)が印刷方向にオフセット印刷される場合に使用される)。この隙間は、印刷画像内に明らかに目に見える線を発生させる。この線を回避するため、その位置には、印刷されない凹部しか存在できず、これにより随意のパターンを印刷することはできない。そのうえこの技術の場合、印刷インク内に含まれた溶剤がこの隙間内に入り込んで、印刷版の端部がインプレッションシリンダーから剥がれる可能性があるという危険がある。これは、印刷画像内にさらにひどい障害を発生させる。端部を接着結合しても、印刷画像内にはまだ明らかに目に見える跡が残る。
したがって高品質のラウンド印刷版を製造するためには、インプレッションシリンダーまたはコアに、適切な技術により、完全包囲型のレリーフを形成する光重合可能な層を備えさせることが必要である。これは例えば溶液から成るコーティングによって、またはリング押出成形によって行うことができる。しかしながらこの両方の技術は非常に労力がかかり、かつこのため相応に高価である。特にこの技術では通常の場合、新たな外径の度に固有の高精度な鋳型を製造して使用しなければならない。このためインプレッションシリンダーまたはコアのまわりに光重合可能な材料から成る予め作製した熱可塑的に加工可能な層を巻き付けることと、継目とも言う光重合可能な層の縁同士が接している位置を適切な技術でできるだけ上手く閉じることが広く行われている。この円筒形の光重合可能なフレキソ印刷要素は、第2のステップでようやくラウンド印刷版の作製のために加工される。円筒形のフレキソ印刷要素を加工するための機器は市販されている。
予め作製した層を使用して、光重合可能なフレキソ印刷要素を製造する場合、継目を完全かつ非常に精密に閉じることが特に重要である。この方法ステップの重要性は近年さらに増している。例えばデジタルイメージング可能なフレキソ印刷要素のような最新の光重合可能なフレキソ印刷要素は、以前より明らかに高い解像度でのフレキソ印刷版の製造を可能にする。このためフレキソ印刷は、以前は別の印刷方法に委ねられていたような領域内にも次第に入り込んでいる。しかし比較的高い解像度では、フレキソ印刷版の印刷表面における欠陥も比較的すぐに目に見えるようになる。同じ理由から、光重合可能なレリーフ形成層を施す際、同様に高い精密さが保証されなければならない。レリーフ形成層内での厚さの差異は、インプレッションシリンダーの同心性を低下させ、したがって印刷品質をかなり低下させる。高品質のフレキソ印刷版の場合、厚さの許容差は通常±10μm以下であるべきである。
光重合可能な円筒形のフレキソ印刷要素は、例えば光重合可能な材料から成る層をコア上に施し、これによりカット縁を互いに隣接させ、続いて材料が溶け始めてカット縁が互いの中に溶け込むまで、約160℃まで加熱することで製造可能である。
DE-A 29 11 980は、インプレッションシリンダーに感光性樹脂フィルムを巻き付ける方法を開示している。継目は、インプレッションシリンダーを回転させながらカレンダーロールと接触させ、カット縁を融解させて互いに結合させることによって閉じられる。
しかしながら光重合可能な層を融解する際に、感光性層の厚さが不規則に変化することはほとんど回避され得ない。このため、このような融解工程を用いて製造されたインプレッションシリンダーまたはスリーブは、適切な表面を得るため、かつ高品質の印刷を保証するために、研磨して平滑にされなければならない。このことは既にEP-A 469 375で指摘されている。そのうえ層を融解する際、層のうち例えば単量体のような高揮発性構成要素が蒸発する可能性があり、これにより層の特性が不利に変化する可能性がある。
DE-A 27 22 896には、市販のシート状の光重合可能なフレキソ印刷要素を基材フィルムと共にインプレッションシリンダーまたはコア上に接着結合させ、これによりカット縁を互いに隣接させることが提案されている。カット縁は真っ直ぐであり、その後、加圧下、昇温下で互いに溶接される。溶接は加熱されたカレンダーロールを用いて行うこともでき、インプレッションシリンダーを、カレンダーロールとの接触における圧力下で、端部が互いに結合するまで回転させる。しかしながら基材フィルムを備えた印刷版の使用は非常に問題がある。典型的な基材フィルムは0.1〜0.25mmの厚さを有している。基材フィルムがシリンダー回りを完全には覆わず、かつ小さな取付け欠陥または切断欠陥に基づき極僅かにだけでも互いから開いている場合には、フィルム端部の間にあるスペースが、カレンダー加工の際に重合性材料で満たされ、かつ光重合可能な層の表面にこの隙間の跡が残り、この跡は印刷において目に見える障害を発生させる。このためこのようなフレキソ印刷要素も、通常の場合、研磨して平滑にされなければならない。
このためWO 2004/092841では、円筒形で連続継目無しの光重合可能なフレキソ印刷要素を製造するための改善された方法が提案されており、この方法は、既知のテクノロジーの場合より優れた継目閉鎖ならびに非常に優れた同心性を保証する。この狙い通りに実現可能な継目閉鎖は非常に優れており、得られたフレキソ印刷要素は労力のかかる研磨工程および平滑化工程により後処理する必要がない。この方法は、下記のステップ:
(a) 少なくとも光重合可能な材料から成る層およびその層から剥がし得る基材フィルムを含む積層体を準備するステップ、
(b) マイターカットにより積層体の結合すべき縁を適当な形に切断するステップ、
(c) 回転可能に取り付けられた支持シリンダー上に中空シリンダーを被せて固定するステップ、
(d) 中空シリンダーの外面に接着層を施すステップ、
(e) 接着層を備えた中空シリンダー上に、適当な形に切断した積層体を、その一時的な基材フィルムに面していない側が接するように施すステップであって、その際、マイターカット部を備えた端部は、基本的に一つの端部の上にもう一つの端部が載っているが、重なり合っているのではない、ステップ、
(f) 光重合可能な材料から成る層から基材フィルムを剥がすステップ、
(g) カット縁が互いに結合されるまで、中空シリンダー上の光重合可能な層の表面を、回転するカレンダーロールと接触させることにより、カット縁を光重合可能な層の融解温度より低い温度で結合させるステップ、
(h) 加工された中空シリンダーを支持シリンダーから取り外すステップ、
を含む。
つまりWO 2004/092841の方法では、基材フィルムのない光重合可能な材料の層を、接着層を用いて中空シリンダーの外面に施し、続いて光重合可能な層の層端部をカレンダー加工によって隙間なく結合させる。これに関し基材フィルムをなくすことは、複数の理由から必要である。
(1) 基材フィルム(通常はカレンダー加工のために使用される温度で測定可能なメルトフローインデックスを示さないPETフィルム)を備えた光重合性層を使用する場合、極小さな取付け欠陥または切断欠陥が基材フィルム端部の隙間(開き)または部分的な重なりを生じさせる。開きが生じると、両方のフィルム端部の間にある空間は、カレンダー加工の際に重合性材料で満たされる可能性があるが、光重合可能な層の表面にこの隙間の跡が残り、この跡は印刷において目に見える障害を発生させる。両方のフィルム端部が部分的に重なると、これは印刷版の表面に、はっきり感じられ、かつ印刷において目に見える衝撃(stoss)を発生させる。これに対し光重合可能な材料の層を基材フィルムなしで使用する場合、取付け欠陥または切断欠陥が、加工温度での材料の流動性によって補償される。隙間も衝撃も生じない。この位置での印刷挙動は、印刷版の他の領域での挙動と違わない。
(2) 基材フィルムを備えた光重合可能な材料の層をより小さな直径の中空シリンダー上に取り付けると、硬質の基材フィルムが印刷版端部で立ち上がり、いわゆるぱっくり開いた口が生じる。これに対し、基材フィルムのない光重合可能な材料の層は、明らかにより柔軟性があり、このため極小さなスリーブ直径でも問題なく覆い被せることができる。
(3) 基材フィルムは、印刷版の変形および弾性挙動も、印刷挙動も変化させる。通常は光重合性層の下にある硬質フィルムは、色調値の増加をもたらし、かつ被覆面積を低下させる。
しかし挙げられた利点だけではなく、安定化させる基材フィルムをなくすことには欠点もあることが分かっている。
(1) WO 2004/092841に記載された接着層は両面粘着テープであり、この粘着テープは、版を取り付ける前に木製中空シリンダー上に施される。これは厚さが例えば0.1mmの単一フィルム粘着テープまたは発泡粘着テープであり得る。後者は、0.38mmまたは0.55mmの典型的な厚みを有している。しかしながら接着層として粘着テープを使用する場合、ここでも、既に極僅かな取付け欠陥または切断欠陥が、粘着テープの両縁の間に空間を発生させる。この空間は、カレンダー加工の際に光重合性材料で満たされ、光重合可能な層の表面にこの隙間の跡が残り、この跡は印刷において目に見える障害を発生させる。発泡粘着テープを使用する場合、もう1つの追加的な問題が生じる可能性があり、というのも、切断中に発泡体のセルがカット縁に沿って切られる(破壊される)からである。これは、使用する発泡体の種類に応じて、その領域での発泡の圧潰を発生させる可能性があり、これにより印刷版の他の部分とは異なる変形および弾性挙動が生じ、したがって異なる印刷挙動をも生じさせる。これに対し基材フィルムの上にある光重合性層を取り付ける場合、これらの問題は、光重合性層と粘着テープの間の硬質のポリエステル基材フィルムによって取り除かれる。
(2) 同様に光重合性層と接着層の間の不十分な接着も欠点であることが分かっている。不十分な接着により、接着層と光重合性層の間に気泡が閉じ込められる可能性があり、製造された継目無しで連続の印刷版はこれにより使い物にならなくなる。低接着は、印刷版を取り付ける際のより高い押圧力によって補償することができるが、より高い押圧力は、印刷版の望ましくない伸びを発生させる。このため接着層と光重合性層の間のより高い接着力が望ましいであろう。
(3) WO 2004/092841に記載の印刷版の更なる欠点は印刷において明らかになり、つまり硬質の基材フィルムが存在しないことにより、印刷において始動縁(Anlaufkanten)が現れる。
本発明の課題は、WO 2004/092841に記載の方法に、上述の欠点を有さない材料を提供することである。
驚いたことに、上記課題は、光重合可能な材料から成る少なくとも1つのレリーフ形成層およびその下にあるより硬い融解可能な基材層を含む積層体を使用することによって解決できた。これは特に当業者にとっては驚くべきことであり、というのも普通は、印刷版の表面がその下にある層より硬い場合が、印刷の際に有利だからである。
したがってこの課題は、
a) 少なくともエラストマー性結合剤、エチレン性不飽和単量体および光開始剤を含み、任意に更なる添加剤を含む、光重合可能なレリーフ形成層、
b) 少なくともエラストマー性結合剤を含み、任意にエチレン性不飽和単量体および光開始剤を含み、任意に更なる添加剤を含む、任意に光重合可能なエラストマー性基材層、
を含んでおり、
その際、それぞれ光重合された状態で、レリーフ形成層a)が30〜70°のショアA硬度(DINに基づく)を有し、エラストマー性基材層b)が75°のショアA硬度〜70°のショアD硬度(DINに基づく)を有しており、その際、層b)が、層a)より少なくとも5°大きいショアA硬度を有する、積層体によって解決される。
本発明による積層体は更なる層を有してもよい。例えば積層体は以下の組成を(1)〜(6)の順番で有し得る:
(1) 基材フィルム
(2) 剥離層
(3) 基材層b)
(4) レリーフ形成層a)
(5) 剥離層
(6) カバーシート。
本発明による積層体は基材フィルムを含むことができる。この基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN)から成ることが好ましい。基材フィルムは、より上手く剥がせるように適切なやり方で処理することができ、例えばシリコーン処理によって、または適切な剥離層によるコーティングによって処理することができる。このような剥離層は、例えばポリアミドまたはポリビニルアルコールから成ることができる。
任意に剥離層でコーティングされた基材フィルムの上に、エラストマー性基材層b)がある。この基材層b)は、レリーフ形成層a)の硬度より大きな硬度を有している。基材層b)は、加工条件下では融解性および流動性を有しており、かつ中空シリンダー上に施された接着層または粘着テープに対する十分に高い接着力を、露光または裏面事前露光の後も有している。基材層は任意に光化学的に架橋可能であってもよい。
エラストマー性基材層b)は、基材フィルムなしでも、基材フィルムの機械的特性を補う。こうして硬質の基材フィルムがなくても、印刷における始動縁(Anlaufkanten)の形成を強めることはない。しかしながら基材層b)は、基材フィルムと違い、加工条件下では融解性および流動性である。また基材層は、中空シリンダー上に施された接着層に対し、光重合可能なレリーフ形成層より高い接着力を有する。テープ隙間は、基材層の硬度および剛性に基づき橋絡される。
エラストマー性基材層b)の上に、光重合可能なレリーフ形成層a)がある。
光重合可能なレリーフ形成層a)もエラストマー性基材層b)も、少なくとも1つのエラストマー性結合剤を含む。
フレキソ印刷要素の製造のためのエラストマー性結合剤は当業者に知られている。親水性結合剤も疎水性結合剤も使用可能である。例として、エチレン-アクリル酸共重合体、ポリエチレンオキシド-ポリビニルアルコールグラフト共重合体、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレン-イソプレンゴム、スチレン-ブタジエン-イソプレンゴム、ポリノルボルネンゴム、またはエチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)が挙げられ得る。好ましくは疎水性結合剤が使用される。このような結合剤は、有機溶剤中では可溶性または少なくとも膨潤性であるが、水には実質的に不溶性であり、かつ水中では膨潤性でもないか、または少なくとも実質的に膨潤性でない。
エラストマーは、アルケニル芳香族化合物および1,3-ジエンから成る熱可塑性エラストマー性ブロック共重合体であることが好ましい。ブロック共重合体は、線状、枝分かれ状、またはラジアルのブロック共重合体であり得る。通常はA-B-A型の3ブロック共重合体であるが、A-B型の2ブロック共重合体または複数の交互のエラストマー性および熱可塑性のブロックを有するもの、例えばA-B-A-B-Aのブロック共重合体であってもよい。2種以上の異なるブロック共重合体の混合物も使用可能である。市販の3ブロック共重合体は、しばしば2ブロック共重合体をある程度の部分含んでいる。ジエン単位は、1,2-または1,4-結合であり得る。スチレン-ブタジエン型またはスチレン-イソプレン型のブロック共重合体も、スチレン-ブタジエン-イソプレン型のブロック共重合体も使用可能である。このブロック共重合体は、例えばクレイトン(Kraton)(登録商標)の名称で市販されている。さらに、スチレンから成る末端ブロックおよび統計的なスチレン-ブタジエン中間ブロックを備えた熱可塑性エラストマー性ブロック共重合体も使用可能であり、このブロック共重合体は、スチロフレックス(Styroflex)(登録商標)の名称で入手可能である。このブロック共重合体は、例えばSEBSゴムにおいてのように、完全または部分的に水素化されていてもよい。
光重合可能なレリーフ形成層a)中に含まれる非常に特に好ましいエラストマー性結合剤は、A-B-A型の3ブロック共重合体または(AB)n型のラジアルブロック共重合体であり、これにおいてAはスチレン、Bはジエンである。
エラストマー性基材層b)中に含まれている非常に特に好ましいエラストマー性結合剤は、A-B-A型の3ブロック共重合体、(AB)n型のラジアルブロック共重合体(これにおいてAはスチレン、Bはジエンである)、ならびにスチレンおよびジエンから成る統計共重合体およびランダム共重合体である。
もちろん、レリーフ形成層の特性に不都合な影響を及ぼさないという前提条件の下、複数の結合剤の混合物も使用可能である。
結合剤の総量は、レリーフ形成層a)の場合、通常はレリーフ形成層の全構成要素の総和に対して40〜90重量%、好ましくは40〜80重量%、および特に好ましくは45〜75重量%である。エラストマー性基材層b)の場合、エラストマー性結合剤の総量は最大100重量%であり得る。通常は75〜100重量%、好ましくは85〜100重量%、および特に好ましくは90〜100重量%である。
さらに、光重合可能なレリーフ形成層a)は、既知の方法でエチレン性不飽和単量体を含んでいる。この単量体は、結合剤と相溶性であり、かつ少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する。特に好ましいのは、アクリル酸もしくはメタクリル酸と、単官能性もしくは多官能性のアルコール、アミン、アミノアルコールもしくはヒドロキシエーテルとのエステルまたはアミド、およびフマル酸もしくはマレイン酸またはアリル化合物のヒドロキシエステル、エステルであることが分かっている。適切な単量体の例は、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、トリメチルオルプロパントリ(メタ)アクリレート、フマル酸ジオクチル、N-ドデシルマレイミドである。非常に特に好ましい単量体は、モノアクリレート、ジアクリレート、およびトリアクリレート、ならびにモノメタクリレート、ジメタクリレート、およびトリメタクリレートである。もちろん複数の様々な単量体の混合物を使用してもよい。単量体の種類および量は、層の所望の特性に応じて当業者によって選択される。通常の場合、光重合可能なレリーフ形成層a)中の単量体の量は、全構成要素の量に対して20重量%以下であり、一般的には3〜15重量%である。
さらに、光重合可能なレリーフ形成層は、原理的に既知の方法において少なくとも1つの光開始剤または光開始剤系を含んでいる。適切な開始剤の例は、ベンゾイン、またはメチルベンゾインもしくはベンゾインエーテルのようなベンゾイン誘導体、ベンジルケタールのようなベンジル誘導体、アシルアリールホスフィンオキシド、アシルアリールホスフィン酸エステル、多核キノン、またはベンゾフェノンである。レリーフ形成層中の光開始剤の量は、通常はレリーフ形成層の全構成要素の量に対して0.1〜5重量%である。
エラストマー性基材層b)も同様に、挙げられたエチレン性不飽和単量体および挙げられた光開始剤を含むことができ、好ましくはそれらを含み、つまりレリーフ形成層のように光重合可能である。基材層中のエチレン性不飽和単量体の量は一般的に0〜15重量%である。基材層中の光開始剤の量は一般的に0〜5重量%である。
レリーフ形成層a)および/またはエラストマー性基材層b)は、任意に可塑剤を含むことができる。様々な可塑剤の混合物も使用可能である。適切な可塑剤の例は、高沸点のパラフィン系、ナフテン系、または芳香族系の鉱油のような変性および非変性の天然油および天然樹脂、またはオリゴスチレン、高沸点のエステル、オリゴマー系スチレン-ブタジエン共重合体、オリゴマー系α-メチルスチレン/p-メチルスチレン共重合体、液状オリゴブタジエン、特に500〜5000g/molの分子量の液状オリゴブタジエン、または液状オリゴマー系アクリルニトリル-ブタジエン共重合体、またはオリゴマー系エチレン-プロピレン-ジエン共重合体のような合成オリゴマーまたは合成樹脂を含む。好ましくは、ポリブタジエン油(液状オリゴブタジエン)、特に500〜5000g/molの分子量のポリブタジエン油(液状オリゴブタジエン)、特にアルキルモノカルボン酸エステルおよびジカルボン酸エステルのような高沸点の脂肪族エステル、例えばステアリン酸エステルまたはアジピン酸エステル、および鉱油である。特に好ましくは、高沸点の基本的にパラフィン系および/またはナフテン系の鉱油である。例えば、いわゆるパラフィン系溶媒和物および特殊油が、シェル カテネックス(Shell Catenex)(登録商標)Sおよびシェル カテネックス(Shell Catenex)(登録商標)PHの名称で市販されている。鉱油の場合、当業者は、非常に僅かな芳香族化合物を依然として含有し得る工業用ホワイトオイルと、実質的に芳香族化合物を含まない医療用ホワイトオイルとを区別する。これらのホワイトオイルは市販されており、かつ同じ様に良く適している。任意に存在する可塑剤の量は、層の所望の特性に応じて当業者によって決定される。その量は、通常の場合、光重合可能なレリーフ形成層の全構成要素の総和の50重量%を超えず、一般的には0〜50重量%、好ましくは0〜40重量%である。
基材層中の可塑剤含有率は、通常は30重量%を超えず、かつ一般的には0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%である。
層a)および層b)の硬度は様々な方法で調整することができる。特に、
1. エラストマー性結合剤の種類および量
2. 使用する可塑剤の種類および量
3. エチレン性不飽和単量体の種類および量
によって調整することができる。
厳密な組成の選択により、層a)および層b)の硬度を上に定義した範囲内で選択することができる。一般的にはエラストマー性基材層b)はレリーフ形成層a)よりもショアAが少なくとも5°、好ましくはショアAが少なくとも10°硬い。
更なる添加剤としてエラストマー性基材層b)中に含まれ得るのは、接着促進剤、色素、顔料、充填剤、レオロジー添加剤、IR吸収剤、およびIR反射物質である。
レリーフ形成層a)の厚さは、一般的に0.3〜7mm、好ましくは0.5〜4mmである。エラストマー性基材層b)の厚さは、一般的に0.05〜0.25mm、好ましくは0.075〜0.2mmである。
光重合可能なレリーフ形成層a)の上には、上述の基材フィルムと同様に、(任意に)剥離層でコーティングされたカバーシートが存在し得る。このカバーシートは、PETまたはPENから成ることが好ましく、かつより上手く剥がせるように、適切な方法で、例えばシリコーン処理によって処理されていてもよい。ポリアミドまたはポリビニルアルコールから成る剥離層も企図され得る。
積層体は、既知の方法において、様々な方法に基づき、例えば押出、キャスティング、またはラミネート加工によって、1段階または多段階の製造プロセスにおいて製造することができる。1段階の製造プロセスの例は、任意に剥離層も含む基材フィルム間またはカバーシート間での、光重合性層および基材層の共押出であろう。多段階プロセスには例えば、基材層および光重合性層の押出のための2段押出ステップ、基材層および光重合性層のキャスティングのための2段キャスティングステップ、または押出ステップ(基材層または光重合性層)およびキャスティングステップ(基材層または光重合性層)の組合せが含まれ得る。積層体の厚さは、通常は0.3〜7mm、好ましくは0.5〜4mm、および特に好ましくは0.7〜2.5mmである。
製造された積層体の、継目無しで連続の印刷版への更なる加工は、WO 2004/092841に詳細に記載されており、その手順は基本的には以下のとおりである。
継目無しで連続の印刷版の製造
基材層b)は、中空シリンダー上に取り付ける前に、任意に化学光(Aktinischem Licht)により裏面から事前露光することができる。この事前露光は、通常の場合、カット縁の問題のない結合を保証するため、積層体を適当な形に切断する前に行われるべきである。続いて、準備された積層体の結合すべき縁を適当な形に切断するが、これは通常はマイターカットによって行われる。UV透過性のコアを使用する場合、事前露光はもちろんコア上に積層体を取り付けた後にコアの内側から行ってもよい。
使用する中空シリンダーは、通常は空気シリンダー上への取付けに適した、つまり圧縮空気の影響下で僅かに膨張し得る中空シリンダーである。このような中空シリンダーは、コアとも、または時にはスリーブ、ベーススリーブ等とも呼ばれる。本発明の目的のため以下では、支持体として使用される中空シリンダーをコアと呼ぶこととし、一方で「スリーブ」という用語は、全体としての、つまり光重合可能な層と、接着層と、場合によっては更なる層とを含めたフレキソ印刷要素のために取っておくこととする。
続いて本発明による方法を実施するため、使用される中空シリンダーを、回転可能に取り付けられた支持シリンダー上に被せて固定し、これにより中空シリンダーは支持シリンダーとしっかり接続され、かつ互いに対して動くことは不可能である。支持シリンダーは後に続くカレンダー加工プロセスのために固定的な保持を提供する。
その後、中空シリンダーの外面に接着層が施される。この接着層は、カレンダー加工工程中にほぼそうであるような上昇された温度の際にも、まだ優れた接着力を実現しているべきである。この接着層は特に、積層体がカレンダー加工工程中に中空シリンダーの表面ですべって位置ずれしないように、非常に優れたせん断強度を与えるべきである。接着層は、中空シリンダーの表面に塗布される接着形成成分の適当な混合物であってもよい。しかし接着層は両面粘着フィルムであることが好ましい。特に、粘着フィルムはさらに減衰発泡体層を備えた発泡粘着フィルムであり得る。
続いて、接着層を備えた中空シリンダー上への光重合可能な積層体の取り付けが行われる。積層体を取り付けた後、場合によっては存在するカバーシート(場合によっては存在する剥離層を含む)が、レリーフ形成層a)から剥がされる。
その後、カット縁が結合される。カット縁を結合するため、カット縁が互いに結合するまで、中空シリンダー上の積層体の表面を、回転するカレンダーロールと接触させる。支持シリンダーおよびカレンダーロールは反対方向に回転する。必要なカレンダー圧力は、光重合可能な層の種類に応じて支持シリンダーとカレンダーロールの間隔を調整することにより当業者によって決定される。カレンダー加工温度は、光重合可能な層の種類および所望の特性に基づいて決定される。ただし本発明によれば、カレンダーロールの温度は、光重合可能な層の温度がいかなる場合もその融解温度より低くあるように調整される。熱供給は、内側から加熱されたカレンダーロール、IRランプ、または温ガス流の使用によって行われることが都合がよい。もちろん熱源を組み合わせてもよい。通常の場合、カレンダー加工時の温度は、それぞれ光重合可能な層の表面での測定で80〜130℃、好ましくは90〜120℃である。通常の場合、完全な隙間閉鎖まで約15分を要し、当然この時間は選択した温度および圧力にも依存する。
継目の閉鎖および任意の冷却の後、加工された中空シリンダー/作製したスリーブは再び支持シリンダーから取り外される。
よって、本発明は、
光重合可能な円筒形の連続継目無しフレキソ印刷要素の製造方法であって、出発材料として、少なくとも
a) 少なくともエラストマー性結合剤、エチレン性不飽和単量体および光開始剤を含み、任意に更なる添加剤を含む、光重合可能なレリーフ形成層、
b) 少なくともエラストマー性結合剤を含み、任意にエチレン性不飽和単量体および光開始剤を含み、任意に更なる添加剤を含む、任意に光重合可能なエラストマー性基材層、
を含んでおり、
その際、それぞれ光重合された状態で、レリーフ形成層a)が30〜70°のショアA硬度(DINに基づく)を有し、エラストマー性基材層b)が75°のショアA硬度〜70°のショアD硬度(DINに基づく)を有しており、その際、層b)が、レリーフ形成層a)より少なくとも5°大きいショアA硬度を有する積層体を使用し、
下記ステップ:
(i) マイターカットにより積層体の結合すべき縁を適当な形に切断するステップ、
(ii) 回転可能に取り付けられた支持シリンダー上に中空シリンダーを被せて固定するステップ、
(iii) 中空シリンダーの外面に接着層を施すステップ、
(iv) 接着層を備えた中空シリンダー上に、適当な形に切断した積層体を(必要に応じて基材フィルムを剥がした後に)そのエラストマー性基材層b)の側が接するように取り付けるステップであって、その際、マイターカット部を備えた端部は、基本的に一つの端部の上にもう一つの端部が載っているが、重なり合っているのではないステップ、
(v) 任意に、光重合可能なレリーフ形成層a)からカバーシートを剥がすステップ、
(vi) カット縁が互いに結合されるまで、中空シリンダー上の光重合可能な層の表面を、加熱下で、回転するカレンダーロールと接触させることにより、カット縁を結合させるステップ、
(vii) 加工された中空シリンダーを支持シリンダーから取り外すステップ、
を含む方法にも関する。
フレキソ印刷版への更なる加工は、様々な技術に基づき行うことができる。フレキソ印刷要素は、例えば原理的に既知の方法で画像様に露光し、続いてレリーフ形成層a)の未露光領域を適切な現像プロセスによって除去する。画像様露光は原則的に、フォトマスクでスリーブを包み込み、マスクを通して露光することによって行われ得る。
しかしイメージングは、デジタルマスクによって行われることが好ましい。このようなマスクはin-situマスクとしても知られている。この目的のために、まずデジタルイメージング可能な層をスリーブの光重合可能なレリーフ形成層a)の上に施す。
デジタルイメージング可能な層は、IRアブレーション層、インクジェット層、またはサーモグラフィ記述可能な層(thermografisch beschreibbaren Schichten)からなる群から選択された層であることが好ましい。
IRアブレーション層またはマスクは、化学光の波長を通さず、通常は結合剤および少なくとも1つの、例えばカーボンブラックのようなIR吸収剤を含んでいる。カーボンブラックも確実に層を不透過性にする。IRアブレーション層内には、IRレーザーによってマスクを書き込むことができ、つまり層は、レーザービームに当たった領域では分解されて除去される。IRアブレーションマスクによるフレキソ印刷要素のイメージングの例は、例えばEP-A 654 150またはEP-A 1 069 475に開示されている。
インクジェット層の場合、インクジェットのインクで記述可能で、化学光に対して透過性の層、例えばゼラチン層が施される。その上に、マスクがインクジェットプリンタによって不透明なインクを用いて施される。例はEP-A 1 072 953に開示されている。
サーモグラフィ層は、熱の影響下で黒く着色する物質を含む層である。このような層は、例えば結合剤および有機銀塩を含んでおり、かつ熱印刷ヘッドを備えたプリンタによってイメージングすることができる。例はEP-A 1 070 989に開示されている。
デジタルイメージング可能な層は、それぞれの層の全構成要素を適切な溶剤中に溶解または分散させ、この溶液を円筒形のフレキソ印刷要素の光重合可能な層の上に塗布し、次いで溶剤を蒸発させることによって製造することができる。デジタルイメージング可能な層の付与は、例えば吹きつけによって、またはEP-A 1 158 365に記載の技術によって行うことができる。
デジタルイメージング可能な層を施した後、この層を、それぞれ適切な技術によってイメージングし、続いてスリーブを、原理的に既知のやり方で、形成されたマスクを通して化学光により照射する。好適な化学線、つまり化学的に「活性な」光は、特にUVA線またはUV/VIS線であることが知られている。スリーブの均一な露光のための円筒形露光ユニットが市販されている。
画像様に露光されたレリーフ形成層a)の現像は、従来のやり方で、溶剤または溶剤混合物により行うことができる。その際、レリーフ層のうち露光されていない領域、つまりマスクによって覆われた領域は、現像剤で溶解させることにより除去され、一方で露光された、つまり架橋された領域は維持されて残る。マスクまたはマスク残部は、成分が可溶性である場合、同様に現像剤によって除去される。マスクが現像剤に不溶性である場合、必要に応じて現像前に第2の溶剤によってマスクを除去する。
現像は熱によって行うこともできる。熱現像の場合は溶剤を使用しない。その代わり、レリーフ形成層を画像様露光の後で吸収性材料と接触させて加熱する。この吸収性材料は、例えばナイロン、ポリエステル、セルロース、または無機材料から成る多孔性不織布などである。レリーフ形成層の重合されなかった部分が液化して不織布に吸収され得るような温度まで加熱する。続いて、たっぷり吸い込んだ不織布を取り除く。熱現像に関する詳細は、例えば米国特許第3,264,103号、米国特許第5,175,072号、WO 96/14603、またはWO 01/88615によって開示されている。マスクは必要に応じて予め適切な溶剤または同様に熱によって除去することができる。
光重合可能な連続継目無しフレキソ印刷要素からの、円筒形のフレキソ印刷版の製造は、ダイレクトレーザー彫刻によって行うこともできる。この方法の場合、光重合可能な層を、まずマスクを上に載せずに全容積において化学光、電子ビーム、またはγ線によって架橋する。続いて架橋された層内に1つまたは複数のレーザーによって印刷レリーフを彫り込む。
均一な架橋は、スリーブ用の通常の円筒形露光ユニットによって上述のように行うことができる。しかし特に有利には、WO 01/39897に記載の方法に倣って架橋を行うことも可能である。この場合、空気より重いCO2またはArなどの不活性ガスの存在下で露光を行う。これに関し、光重合可能な円筒形のフレキソ印刷要素は、不活性ガスで満たされた浸漬槽内に沈められ、この浸漬槽の壁は、好ましくは反射性材料、例えばアルミホイルで内張りされている。不活性ガスによる浸漬槽の充填は、例えば、蒸発する際に空気中の酸素に取って代わるドライアイスを浸漬槽内に入れることによって行うことができ、あるいは空気より高密度のガス、例えば二酸化炭素またはアルゴンを浸漬槽内に導いて酸素を追い出す。次に上から化学光で露光する。これに関し原理的には、化学光のための通常のUV源またはUV/VIS源を使用することができる。好ましくは、実質的に可視光を放出し、UV光を放出しないかほんのごくわずかしか放出しない放射源を使用する。300nmより大きい波長の光を放出する光源が好ましい。例えば通常のハロゲンランプを使用することができる。この方法は、短波のUVランプで一般的なオゾン汚染がほぼ完全に起きず、強いUV線に対する保護措置が通常は不要となり、かつ複雑な装置が必要ないという利点を有する。したがってこの方法ステップは、特に経済的に実施することができる。
ダイレクトレーザー彫刻の場合、レリーフ層は、十分な強度のレーザービームに曝された領域内で層が除去され、または少なくとも剥がされる程度までレーザービームを吸収する。その際、好ましくは層が、事前に融解することなく蒸発するか、あるいは熱的または酸化的に分解され、これにより層の分解生成物が、熱いガス、蒸気、煙、または小さな粒子の形で層から除去される。
本発明により使用されたレリーフ形成層を彫刻するためには、特に9000〜12000nmの波長を有するレーザーが適している。ここでは特にCO2レーザーを挙げることができる。レリーフ形成層内で使用される結合剤は、このようなレーザーの放射を、彫刻され得るに十分な程度で吸収する。
得られた円筒形のフレキソ印刷版は、レーザー彫刻の後に更なる方法ステップにおいてクリーニングされ得ることが有利である。たいていの場合、これは圧縮空気での簡単な吹飛ばし、またはブラシがけによって行うことができる。しかしポリマー断片が完全に除去され得るように、クリーニングに液体クリーニング剤を使用することが好ましい。例えば、基本的に水および任意で少量アルコールを含み、かつクリーニング工程を促進するために例えば界面活性剤、乳化剤、分散剤、または塩基のような補助剤を含み得る水性クリーニング剤が適している。EP-A 463 016に記載されているような「油中水型乳剤」も適している。
本発明を以下の例によってさらに詳しく説明する。
使用する基材層の一般的な製造方法:
使用する基材層は、剥離層としてポリアミドであるマクロメルト(Makromelt)6900から成る層を厚さ5μmでコーティングした基材フィルムとしてのPETフィルム上に、トルエン溶液からキャスティングすることによって製造した。
使用する積層体の一般的な製造方法:
本発明により使用される積層体は、光重合可能な材料を押出し、それをスリットダイを通して排出させ、基材層とカバーシートの間でカレンダー加工することによって製造される。押出方法はEP-B 084 851に詳細に記載されている。基材層としては、以下のA)で記載する基材層を使用し、カバーシートとしては、5μmのマクロメルト(Makromelt)6900でコーティングしたPETフィルムを使用する。基材層および光重合性層を含む積層体の総厚は1.14mmである。
継目無/連続の印刷版の一般的な製造方法:
この方法ステップを実施するためにまず、積層体で覆い被せられるべきコアを、取付け機器の空気シリンダー上に被せる。その後、取付け台の上で粘着フィルムを適当な形に切断し、空気シリンダーを回転させ、かつフィルムを、補助ロールと、コアを備えた空気シリンダーとの間の隙間内にゆっくり押し込む。回転によって粘着フィルムが運ばれ、その際、粘着フィルムが気泡を生じることなくコアにしっかりと接着するように補助ロールが粘着フィルムをコア上に一様に押し付ける。その後、粘着フィルムから保護フィルムを剥がす。こうしてコアは接着層を備えることとなる。次のステップでは、(任意で剥離層を含む)基材フィルムを除去した後、適当な形に切断された光重合可能な積層体を隙間内に押し込み、補助ロールによって運ばせ、かつしっかりと押し付ける。その際、基材層をコアの方に向ける。カレンダーロールと、コア、接着層、基材層、および光重合可能な層を備えた空気シリンダーとを互いに接触させ、回転させ、かつ入熱下でのカレンダー加工によって隙間を閉鎖する。
継目無/連続の印刷版の一般的な更なる加工方法:
継目無/連続の印刷版に、デジタルイメージング可能な層をリングコーターによって付与する。コーティングはリングコーターで行い、コーティング溶液としてはDSL II 80溶液(Flint Group Germany GmbH)を使用する。デジタルイメージング可能な層を施した後、この層を、それぞれ適切な技術によってイメージングし、続いてスリーブを、原理的に既知のやり方で、形成されたマスクを通して化学光により照射する。好適な化学線、つまり化学的に「活性な」光は、特にUVA線またはUV/VIS線が知られている。スリーブを一様に露光するための円筒形の露光ユニットが市販されている。
画像様に露光された層の現像は、溶出剤のナイロソルブ(nylosolv)(登録商標)A(Flint Group Germany GmbH)を使用して従来のやり方で行われる。
使用する材料:
スチロフレックス(Styroflex)(登録商標)2G66:
SBSブロック共重合体(BASF AG)
スチロルクス(Styrolux)(登録商標)3G55:
SBSブロック共重合体(BASF AG)
クレイトン(Kraton)(登録商標)D-1102:
SBSブロック共重合体(Kraton Polymers)
クレイトン(Kraton)(登録商標)D-4150:
33%の鉱油を含むSBSブロック共重合体(Kraton Polymers)
ポリエール(Polyoel)(登録商標)130:
オリゴブタジエン、可塑剤(Degussa)
ラロマー(Laromer)(登録商標)HDDA:
1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(BASF)
HDDMA:
1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート(Roehm GmbH & Co. KG)
ルシリン(Lucirin)(登録商標)BDK:
ベンジルジメチルケタール(BASF)
ケロビット(Kerobit)(登録商標)TBK:
2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(Raschig)
A) 基材層の製造
例1: 基材層1(TS-1)の製造
基材層1(TS-1)を、表1に提示した組成で、一般的な方法に記載のように製造した。乾燥した基材層の厚さは75μmであった。
Figure 0005205372
例2: 基材層2(TS-2)の製造
基材層2(TS-2)を、一般的な方法に記載のように製造した。基材層の組成は基材層1の組成に一致しているが、乾燥した基材層の厚さは125μmであった。
例3: 基材層3(TS-3)の製造
基材層3(TS-3)を、表2に提示した組成で、一般的な方法に記載のように製造した。乾燥した基材層の厚さは125μmであった。
Figure 0005205372
比較例1: 基材層4(TS-4)
基材層4として、市販されている厚さ175μmのPETフィルムを使用した。
比較例2: 基材層5(TS-5)
基材層5は、表3に提示した組成で、一般的な方法に記載のように製造した。乾燥した基材層の厚さは125μmであった。
Figure 0005205372
例6: 製造した基材層のメルトフローインデックスおよび硬度の測定
製造した基材層のメルトフローインデックスおよび硬度を決定するため、基材層1、2、3および5を、その基材フィルムから剥がした。基材層4は購入した状態で使用した。メルトフローインデックス(MVR)は、DIN ISO 1133に基づき温度80℃および荷重5 kgで測定した。
ショアA硬度の測定はDIN 53 505にしたがって行った。このために、例に対応する層を厚さ1mmで製造し、かつUVA光への15分間の均一な露光(露光ユニットF III、Flint Group Germany GmbH)により架橋させた。総層厚を6mmにするため、各タイプの厚さ1mmの層6つを順に積み重ねた。6mm厚に積み重なった層の硬度を、DIN 53 505に基づき硬度測定器(U72/80E型、Heinrich Bareiss Pruefgeraetebau GmbH)で測定した。
結果を表4にまとめる。比較のため、光重合性層のメルトフローインデックスおよび硬度も同様に示している。
Figure 0005205372
B) 積層体の製造
例7a〜例7f:
積層体を、一般的な方法に記載のように製造した。その際、光重合性層は表5に提示した調合を基礎とした。
Figure 0005205372
光重合性層を、A)に基づき製造された基材層とそれぞれカバーシートとの間でカレンダー加工した。カバーシートとしては、それぞれ5μmのマクロメルト(Makromelt)6900でコーティングされたPETフィルムを使用した。基材層および光重合性層から成る積層体は、カバーシートおよび基材フィルムなしでの総厚が1.14mmであった。表6は作製した積層体についての概観を示している。
Figure 0005205372
比較例は、例7a (基材層なし)、7e (基材層としてPETフィルム)、および7f (軟らかい光重合性層)である。表7には、製造した積層体の発泡粘着テープ(ロジャース(Rogers)SA2520)上での粘着力が対比されている。
Figure 0005205372
表7の結果は、製造した積層体の機械的特性が、基材層によって明らかに改善されること示している。さらに、粘着発泡テープに対する粘着力が明らかに改善されたことを強調することができる。
継目無/連続の印刷版の製造
例7a〜例7fで製造された積層体から、継目無/連続の印刷版を、一般的な方法に記載のように製造した。支持体としてはポリウェスト(Polywest)社のオニキスコア(Onyxcore)を使用し、コア上での積層体の固定には両面発泡粘着テープ(ロジャース(Rogers)SA 2520)を使用した。この積層体はデジタルイメージング可能な層を備えており、これをイメージングし、露光し、溶出し、乾燥し、かつ後処理した。
印刷試験
印刷版の校正刷をW&H印刷機で行い、被印刷物としてPEフィルムを使用し、印刷速度は150m/minであった。表8に、テープ隙間および印刷版隙間の発生、および印刷画像内での始動縁の発生に関する印刷版の品質を示す。
Figure 0005205372

Claims (6)

  1. a) 少なくともエラストマー性結合剤、エチレン性不飽和単量体および光開始剤を含み、任意に更なる添加剤を含む、光重合可能なレリーフ形成層、
    b) 少なくともエラストマー性結合剤を含み、任意にエチレン性不飽和単量体および光開始剤を含み、任意に更なる添加剤を含む、任意に光重合可能なエラストマー性基材層、
    を含んでおり、
    レリーフ形成層a)とエラストマー性基材層b)とは互いに隣接しており、
    その際、それぞれ光重合された状態で、レリーフ形成層a)が30〜70°のショアA硬度を有し、エラストマー性基材層b)が75°のショアA硬度〜70°のショアD硬度を有しており、その際、層b)が、層a)より少なくとも5°大きいショアA硬度を有する、積層体。
  2. (1) 基材フィルム
    (2) 任意に剥離層
    (3) エラストマー性基材層b)
    (4) レリーフ形成層a)
    (5) 任意に剥離層
    (6) カバーシート
    を(1)〜(6)の順番で有する、請求項1に記載の積層体。
  3. 請求項1に記載の積層体を備えた中空シリンダー。
  4. 光重合可能な円筒形の連続継目無しフレキソ印刷要素の製造方法であって、出発材料として、少なくとも
    a) 少なくともエラストマー性結合剤、エチレン性不飽和単量体および光開始剤を含み、任意に更なる添加剤を含む、光重合可能なレリーフ形成層、
    b) 少なくともエラストマー性結合剤を含み、任意にエチレン性不飽和単量体および光開始剤を含み、任意に更なる添加剤を含む、任意に光重合可能なエラストマー性基材層、
    を含んでおり、
    その際、それぞれ光重合された状態で、レリーフ形成層a)が30〜70°のショアA硬度を有し、エラストマー性基材層b)が75°のショアA硬度〜70°のショアD硬度を有しており、その際、層b)が、層a)より少なくとも5°大きいショアA硬度を有する積層体を使用し、
    下記ステップ:
    (i) マイターカットにより積層体の結合すべき縁を適当な形に切断するステップ、
    (ii) 回転可能に取り付けられた支持シリンダー上に中空シリンダーを被せて固定するステップ、
    (iii) 中空シリンダーの外面に接着層を施すステップ、
    (iv) 接着層を備えた中空シリンダー上に、適当な形に切断した積層体をそのエラストマー性基材層b)の側が接するように取り付けるステップであって、その際、マイターカット部を備えた端部は、基本的に一つの端部の上にもう一つの端部が載っているが、重なり合っているのではないステップ、
    (v) 任意に、光重合可能なレリーフ形成層a)からカバーシートを剥がすステップ、
    (vi) カット縁が互いに結合されるまで、中空シリンダー上の光重合可能な層の表面を、加熱下で、回転するカレンダーロールと接触させることにより、カット縁を結合させるステップ、
    (vii) 加工された中空シリンダーを支持シリンダーから取り外すステップ、
    を含む方法。
  5. 前記基材層を、方法ステップ(iii)の前に、前記カバーシートに面していない側から、直接または基材フィルムを通して、化学光にさらすことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 前記接着層が、両面粘着テープであることを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
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