JP5205394B2 - 光重合性フレキソ印刷エレメントおよびそれから製造される硬質フレキソ印刷フォーム - Google Patents

光重合性フレキソ印刷エレメントおよびそれから製造される硬質フレキソ印刷フォーム Download PDF

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Description

本発明は、エチレン性不飽和の脂環式モノマーを含む光重合性フレキソ印刷エレメントおよびそれから製造することができる硬質フレキソ印刷プレート、特には円柱形連続シームレスフレキソ印刷プレートに関するものである。
フレキソ印刷プレートの硬さおよび厚さは、印刷が行われる印刷媒体によって決まる。段ボール箱やカード紙箱などの柔らかい印刷媒体に印刷を行う場合には、比較的厚く柔らかいフレキソ印刷プレートが用いられるが、プラスチックフィルムや紙への印刷のように、高品質ハーフトーン印刷には、比較的薄く硬質のフレキソ印刷プレートが用いられる。高品質ハーフトーン印刷に適したフレキソ印刷プレートは特に、広いトーン値範囲と小さいトーン値上昇を有するものでなければならない。
フレキソ印刷プレートは、プレート形状または円柱形であることができる。基本的には、円柱形フレキソ印刷プレートが知られている。円柱形フレキソ印刷プレートの場合、印刷機の印刷シリンダーには、外周全体にわたって印刷層または印刷レリーフが設けられている。円柱形印刷プレートは、連続パターンの印刷に非常に重要であり、例えば壁紙、装飾紙または熨斗紙の印刷に用いられる。また一方で、それは、複数のコピーを巧みに配列することで、コスト効率ができるだけ高い印刷を行うために、非連続モチーフの印刷にも用いられる。
原理的には、印刷機用の実際の印刷シリンダー自体に、完全に被覆する印刷層を設けることができる。しかしながらこの手法には、特定の状況下において、印刷プレートを変える際に印刷シリンダー全体を交換しなければならないという欠点がある。これは非常に複雑であり、そのため費用を要する作業である。
したがって通常は、いわゆるスリーブが用いられる。スリーブは、袖とも称される円柱中空体であり、印刷層または印刷レリーフが設けられている。スリーブ技術によって、印刷プレートの変更が非常に迅速かつ簡単になる。スリーブの内径が印刷シリンダーの外径に相当することから、スリーブを単に印刷機の印刷シリンダーを覆うように押し込むだけでよい。スリーブの押し込みおよび押し出しは、実質的にエアクッション原理のみに従って機能する。スリーブ技術の場合、印刷機には、特殊な印刷シリンダー、いわゆるエアシリンダーが搭載されている。エアシリンダーには、端面に圧縮空気連結部があり、それによって圧縮空気をシリンダー内部に送り込むことができる。そこから、空気は、シリンダー外部に配置された孔から再度出てくることができる。スリーブを搭載するには、圧縮空気をエアシリンダーの中に送り、排気孔より再度排出させる。エアクッションの影響でスリーブが若干広がり、エアクッションによって摩擦が大幅に低減されることから、スリーブをエアシリンダーに被せるように押し当てることができる。圧縮空気の供給が停止されると、広がりがなくなり、スリーブがエアシリンダーの表面上でしっかりと静止する。スリーブ技術についての詳細は、例えば″Technik des Flexodrucks [フレキソ印刷技術]", page 73 et seq., Coating Verlag, St. Gallen, 1999に開示されている。
しかしながら、高品質環状印刷プレートは、すぐに印刷できるように加工されたフレキソ印刷プレートで印刷シリンダーまたはスリーブを完全に覆うだけでは作ることはできない。実際には、印刷プレートの当接している端部に微小な隙間が残り、実際の連続モチーフまたはオフセットコピーの場合には、該隙間がプレートの印刷部分を常に横切ることになる。この隙間のために、印刷された画像に明瞭に見ることができる線が生じる。この線を回避するため、この領域には印刷に関与しないウェルのみを存在させてもよいが、そうすると、どのような所望のパターンをも印刷することはできなくなる。さらにこの技術では、印刷インク中に存在する溶媒が隙間にしみ込み、印刷プレートの端部を印刷シリンダーから解放する危険性がある。それが起こると、印刷画像にさらに重大な欠陥が生じる。端部を接着剤で貼り付けたとしても、肉眼で明らかに見える痕跡が印刷画像にやはり残る。
したがって、高品質環状印刷プレートの製造においては、好適な技術により、完全に周囲を囲むレリーフを形成する光重合性層を印刷シリンダーまたはスリーブに設けることが必要である。これは例えば、溶液からのコーティングまたは環状の押出によって行うことができる。しかしながら、そのいずれの技術も極めて複雑であるため、それに応じて経費を要するものである。特に、これらの技術においては通例、新たな外径それぞれについて、別個の高精度な用具を製造および使用しなければならない。したがって、印刷シリンダーまたはスリーブを予め形成された熱可塑的に加工可能な光重合性材料の層で包み、継ぎ目とも称される光重合性層の当接する縁部を封止することが広く行われており、それもやはり好適な技術によって可能である。第2段階でのみ、円柱形光重合性フレキソ印刷エレメントを加工し、完成品の環状印刷プレートを得る。
予め形成された層を用いる光重合性フレキソ印刷エレメントの製造では、継ぎ目を完全にかつ極めて精度よく封止することが特に重要である。この加工段階の重要性は近年さらに増している。例えばデジタル画像印刷可能なフレキソ印刷エレメントなどの最新の光重合性フレキソ印刷エレメントによって、以前のものに比べてかなり高い解像度を有するフレキソ印刷プレートを製造することができる。したがって、フレキソ印刷は、以前は他の印刷方法の領分であった領域にも徐々に浸透してきている。しかしながら、解像度が高くなると、フレキソ印刷プレートの印刷表面における欠陥も、より早く見えるようになる。そのため、光重合性のレリーフ形成層を用いる際には、高精度も確保しなければならない。レリーフ形成層に層厚差があると、印刷シリンダーの同心性および印刷品質にかなりの悪影響がある。高品質フレキソ印刷プレートの場合、層厚の公差は通常、±10μm以下でなければならない。スリーブの光重合性層の層厚公差が不十分であると、スリーブ表面を再加工しなければならない。そのような手順は、当然のことながら、複雑かつ面倒で不経済なものである。
したがって、WO2004/092841には、公知の技術と比較してより良好な継ぎ目の閉鎖と非常に良好な同心性を確保する、円柱形、連続シームレス、光重合性フレキソ印刷エレメントの改良された製造方法が提案されている。その方法によると、円柱形の連続シームレス光重合性フレキソ印刷エレメントを、短時間に高品質で製造することが可能である。達成可能な継ぎ目の閉鎖は非常に良好であり、複雑な研磨工程および平滑化工程によって得られるフレキソ印刷エレメントを、再加工する必要はない。その方法は、以下の工程、
a)少なくとも光重合性材料の層およびその層から剥離可能な基材シートを有する層複合体を提供する段階、
b)マイターカットによって、接合すべき層複合体の縁部をカットして一定の大きさとする段階、
c)回転可能に取り付けられた支持シリンダーに中空シリンダーを押し当て、固定する段階、
d)中空シリンダーの外側表面に接着促進層を付与する段階、
e)前記一時的基材シートから外側に向いている規定の大きさにカットした前記層複合体を、接着促進層を取り付けた中空シリンダーに貼り付け、
前記マイターカットにより生じた端部を、一方が他方の上部に実質的に乗っているが重ならないようにする段階、
f)光重合性材料の層から基材シートを剥離する段階、
g)切り口同士が互いに接合されるまで中空シリンダー上の光重合性層の表面を、回転するカレンダーロールと接触させることで、切り口同士を光重合性層の融点以下の温度で接合する段階、ならびに
h)処理された中空シリンダーを支持シリンダーから外す段階、
を有する。
要約すると、該文献に開示の方法では、光重合性材料の層を、基材シートを用いずに、好適な接着促進層により、中空シリンダーの外側表面に貼り付け、次に層の両端を、熱の作用下にカレンダリング処理することで隙間を生じることなく接合する。
基材シートを用いないことは、WO2004/092841に開示の方法では必須であるが、これには、前記フレキソ印刷エレメントを用いて製造されるフレキソ印刷プレートの達成可能な硬さに関する特定の欠点が伴う。
完成印刷プレートの硬度、いわゆるプレート硬度は、実のところ、実際の硬化したエラストマー印刷層の硬度と基材シートの硬度の両方によって決まる。ここで当然のことながら、基材シートの影響はエラストマー層が薄いほど大きい。一例として、特に高品質ハーフトーン印刷に推奨されるナイロフレックス(nyloflex、登録商標)ACE(Flint Deutschland GmbH社から)を挙げることができる。6mm厚エラストマー材料に関してDIN53505に従って測定される硬化エラストマー層自体(すなわち基材なしの層)の硬度は、62°ショアAである。基材フィルム(厚さ:175μm)を含むプレート硬度は、プレート厚さ2.84mmで64°ショアAであり、1.14mmで79°ショアAであり、0.76mmで88°ショアAである。基材シートを厚さ1.14mmのプレートから外す場合、残ったエラストマー層の硬度は73.6°ショアAに過ぎない。このように硬度が低下すると、基材シート付きのプレートと比較して、印刷時のトーン値範囲が小さくなる。したがって、特に追加の基材シートを用いずにエラストマー層を円柱形基材に貼り付ける円柱形印刷プレートの場合、比較的硬いエラストマー層を用いることが強く望まれる。基材シートを使用しないことの結果としての前記の硬度低下を補償できるようにするため、DIN53505による硬度(すなわち、層厚6mmで測定した、基材シートなしの完成印刷プレートのエラストマー層の硬度)が少なくとも66°ショアAである利用可能なフレキソ印刷プレートを用いることが望まれる。
しかしながら、フレキソ印刷プレートの他の重要な特性が硬度を高めるための対策の途上で低下しないようにすることが同時に必要とされることから、硬度の増大は決して小さな問題ではない。非常に良好な印刷コピーを達成するには、印刷プレートの十分な硬度に加えて、さらなる境界条件を満たす必要がある。
(1)完成印刷プレートの等方性挙動
完成フレキソ印刷プレートは、等方性挙動を示すものでなければならない。すなわち、機械特性および印刷特性は、印刷機におけるフレキソ印刷エレメントの方向性に依存しないものでなければならない。異方性の程度の尺度は、異方性係数AFである。したがって、印刷プレートが異方性挙動に向かう傾向は、硬度が高くなるに連れて高くなることから、比較的硬く異方性のないプレートを実現することは簡単ではない。例えば、コストが高いスチレンおよびブタジエンもしくはイソプレンのブロックコポリマーを用いる場合、通常は、スチレン含有量が相対的に高い結合剤を用いることで硬度を高くすることができる。しかしながら、スチレン豊富な結合剤を有するプレートは、異方性への強い傾向を有する。これは、スチレン量が相対的に少ないブロックコポリマーでは、基本的にスチレン相が、ポリアルカジエン相中での分離した島として配置されるのに対して、相対的に多量の場合には円柱相または棒状相として配置されるためと考えられる。フレキソ印刷エレメントの製造の途中で、円柱形または棒状スチレン相は、配向状態となって、異方性挙動を生じる可能性がある。さらに、可塑化剤の含有量が小さくなると硬質プレートとなるが、やはり急速に異方性挙動を生じる。
(2)フレキソ印刷エレメントの未処理層可塑性
未処理層の可塑性が過度に高いと、フレキソ印刷エレメントに対する保存、取り扱いおよび加工性が非常に複雑になることから、まだ露光されていない光重合性フレキソ印刷エレメントの未処理層可塑性(低温フロー)は、できるだけ低いものでなければならない。未処理層の可塑性が過度に高い場合は、例えばフレキソ印刷エレメントを不適切に扱うことで生じるフレキソ印刷エレメントへのわずかな圧力でも、層に不可逆的な変形が生じるには十分となって、結果的には全く使用に適さないフレキソ印刷プレートが得られる可能性がある。特に、印刷プレートの硬度が光重合性層中の相対的に高いモノマー濃度によって得られるものである場合、未処理層可塑性における大幅な上昇を生じさせるのは、まさにこの相対的に高いモノマー濃度である。
(3)光重合性層の円形加工性
未露光の光重合性フレキソ印刷エレメントは、WO2004/092841に記載の方法によって円形加工できるものでなければならない。良好な円形加工性は、加工温度での光重合性フレキソ印刷エレメントのメルト・フロー・インデックスと相関している。これが高いほど、プレートの円形加工性は良好である。100℃の温度および荷重5kgでの光重合性層のメルト・フロー・インデックスを、円形加工性の尺度として用いた。
国際公開第2004/092841号パンフレット
"Technik des Flexodrucks", page 73 et seq., Coating Verlag, St. Gallen, 1999。
本発明の目的は、異方性フレキソ印刷エレメントを生じることなく、相対的に高い硬度を有するフレキソ印刷プレート、特には基材シートを持たない厚さ6mmの層でのDIN53505に従った測定でエラストマー層のショアA硬度が少なくとも66°ショアAであるフレキソ印刷プレートに加工することができる改良された光重合性フレキソ印刷エレメントを提供することにあった。
本発明の目的は特に、WO2004/092841に記載の方法によって製造可能であり、なおかつ非常に良好なコピーを与える光重合性で円柱形の連続シームレスフレキソ印刷エレメントを提供することにあった。特に、製造されるフレキソ印刷プレートは、印刷時におけるトーン値のわずかな上昇と大きなトーン値範囲を与えるべきであり、異方性をもってはならない。光重合性レリーフ形成層は、良好な円形加工性および許容される未処理層可塑性を有するべきである。
驚くべきことに、光重合性のレリーフ形成層に特殊なモノマーを用いることで、許容される未処理層可塑性を有しなおかつ光重合性層の良好な円形加工性を有する、相対的に硬いが実質的に異方性のないフレキソ印刷エレメントが提供されることが見出された。
したがって本発明は、少なくとも
寸法安定な基材、ならびに
各場合で光重合性レリーフ形成層の全成分の総量に基づいて、
アルケニル芳香族から形成される少なくとも一つのブロックおよび1,3−ジエンから形成される少なくとも一つのブロックを有する少なくとも一つの熱可塑性エラストマーブロックコポリマーを含む、40から90重量%の結合剤、
0.1から20重量%のエチレン性不飽和モノマーM、
0.1から5重量%の光開始剤、および
1から40重量%の可塑剤を含む前記レリーフ形成層
を有する、硬質フレキソ印刷プレート製造のための光重合性フレキソ印刷エレメントであって、
前記光重合性レリーフ形成層がモノマーMとして一般式E−Rの少なくとも一つのエチレン性不飽和モノマーM1(Eは、エチレン性不飽和基を表し、nは1から3の自然数を表し、Rは少なくとも6個の炭素原子を有し、別の脂肪族直鎖もしくは分岐炭化水素基によって置換されていてもよい脂環式の飽和または不飽和炭化水素基を表す)を含み、さらに、1以上の別のモノマーM2を含んでいてもよいことを特徴とする、前記光重合性フレキソ印刷エレメントに関するものである。
本発明による光重合性フレキソ印刷エレメントは、プレート状フレキソ印刷エレメントおよび円柱形、好ましくは連続シームレスフレキソ印刷エレメントの両方であることができる。本発明の好ましい実施形態において、フレキソ印刷エレメントは円柱形フレキソ印刷エレメントである。
本発明はさらに、円柱形フレキソ印刷エレメント製造のための剥離可能な一時的基材シート、適宜にエラストマー基材層、光重合性のレリーフ形成層および剥離可能な一時的カバーシートを含む層複合体に関するものである。
好適な寸法安定な基材は、例えばプレート、シートまたは円柱管であるフレキソ印刷プレート技術から公知の基材である。基材の材料は、例えばスチールもしくはアルミニウムなどの金属または例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートまたはポリカーボネートなどのプラスチック類であることができる。基材は、通常の接着促進層で処理されたものであってもよい。
光重合性のレリーフ形成層中に存在する光重合性材料は、少なくとも一つの熱可塑性エラストマーブロックコポリマー、少なくとも一つのエチレン性不飽和モノマー、少なくとも一つの光開始剤および少なくとも一つの可塑剤および適宜にさらに別の成分を含む。
熱可塑性エラストマーブロックコポリマーは、アルケニル芳香族から形成される少なくとも一つのブロックおよび1,3−アルカジエン類から形成される一つのブロックを含む。アルケニル芳香族は、例えばスチレン、α−メチルスチレンまたはビニルトルエンであることができる。スチレンが好ましい。スチレン−ブタジエン型(中間ブロック:ブタジエン相)、スチレン−イソプレン型(中間ブロック:イソプレン相)またはスチレン−ブタジエン−イソプレン型(中間ブロック:ブタジエン−イソプレン相)のブロックコポリマーを用いることが可能である。ブロックコポリマーは、直鎖、分岐またはラジアル(radial)ブロックコポリマーであることができる。通常それはA−B−A型の3ブロックコポリマーであるが、A−B型の2ブロックコポリマーまたは複数の交互のエラストマーおよび熱可塑性ブロックを有するもの、例えばA−B−A−B−Aであることもできる。2種類以上の異なるブロックコポリマーの混合物を用いることも可能である。市販の3ブロックコポリマーは、一定の割合で2ブロックコポリマーを含むことが非常に多い。ジエン単位は、1,2−または1,4−連結されていることができる。さらに、スチロフレックス(Styroflex、登録商標)の名称で入手可能なスチレンの末端ブロックおよびランダムなスチレン−ブタジエン中間ブロックを有する熱可塑性エラストマーブロックコポリマーを用いることが可能である。当然のことながら、レリーフ形成層の特性に悪影響を与えないのであれば、複数の熱可塑性エラストマー結合剤の混合物を用いることも可能である。
好ましい実施形態では、スチレン−ブタジエン型の結合剤を用いる。特に好ましい結合剤は、スチレン−ブタジエン型の直鎖、ラジアルまたは分岐のブロックコポリマーである。これらのブロックコポリマーは、平均分子量M(重量平均)が80000から250000g/mol、好ましくは80000から150000g/mol、特に好ましくは90000から130000g/molであり、スチレン含有率が20から40重量%、好ましくは20から35重量%、特に好ましくは20から30重量%である。
本発明の別の好ましい実施形態では、結合剤はスチレン−イソプレン型のものである。スチレン−イソプレン型の好ましい結合剤は、基本的には13から40重量%、好ましくは13から35重量%、特に好ましくは14から30重量%のスチレンを含む。
前記ブロックコポリマーに加えて、光重合性層はブロックコポリマーとは異なるさらなるエラストマー結合剤を含むこともできる。二次(secondary)結合剤とも称されるそのような追加の結合剤を用いると、光重合性層の特性を改変することができる。基本的に、前記二次結合剤の量は、使用される全結合剤の総量基準で25重量%を超えてはならない。好ましくは、その量は15重量%を超えず、特に好ましくは10重量%を超えず、とりわけ好ましくは前記のアルケニル芳香族および1,3−ジエンのブロックコポリマーのみが存在する。
結合剤の総量はこの場合、レリーフ形成層の全構成成分の合計に基づいて40から90重量%、好ましくは45から75重量%、特に好ましくは50から70重量%である。
光重合性レリーフ形成層はさらに、少なくとも一つのエチレン性不飽和モノマーMを含む。使用されるモノマーMは結合剤と適合性であり、少なくとも一つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する。エチレン性不飽和モノマーまたはモノマーM1に加えて、さらに別のエチレン性不飽和モノマーM2が存在してもよい。
モノマーM1は、結合剤のポリアルカジエンブロックと、すなわち3ブロックコポリマーの場合の中間ブロックと適合性である。好適なモノマーM1は、一般式E−Rを有し、Rはn価の炭化水素基を表し、Eはエチレン性不飽和基を表し、nは1から3、好ましくは1または2の自然数を表す。エチレン性不飽和基は好ましくは、アクリレート基またはメタクリレート基である。好ましくは、2個のエチレン性不飽和基E、特には2個の(メタ)アクリレート基を有する少なくとも一つのモノマーM1を用いる。
本発明によれば、炭化水素基Rは、脂環式の飽和もしくは不飽和炭化水素基であり、それは少なくとも6個の炭素原子を有し、さらに別の脂肪族の直鎖もしくは分岐の炭化水素基によって置換されていてもよい。本明細書では、脂環式という用語は、通常の意味で使用され、すなわち環状構造要素を有する飽和または不飽和脂肪族炭化水素基について使用される。したがって、これらは芳香族炭化水素基ではない。脂環式基は、単環式の基または多環式の基、特には2環式または3環式の基であることができる。飽和脂環式基が好ましい。好ましい基は、構造要素として、少なくとも一つの5員環および/または6員環を含む。
好ましいモノマーM1は、下記のモノマーからなる群から選択される。すなわち、
M1a:一般式H=CR−C(O)O−Rのモノ(メタ)アクリレート(RはHまたはメチル基を表し、Rは6から20、好ましくは6から16個の炭素原子を有する一価の脂環式炭化水素基である)、および
M1b:一般式H=CR−C(O)O−R−O(O)C=CHのジ(メタ)アクリレート(RはHまたはメチル基を表し、Rは10から20、好ましくは12から20個の炭素原子を有する二価の脂環式炭化水素基である)。
好適なモノマーM1aの例には、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸置換シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルおよび(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニルがある。
好適なモノマーM1bの例には、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートおよびトリシクロデカンジメタノールジメタクリレートがある。
モノマーM1は特に好ましくは、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートである。
ポリアルカジエン相との適合性のため、本発明に従って使用されるモノマーM1は、ポリアルカジエン相で優先的に蓄積し、したがってポリアルカジエン相の体積を増加させるようである。これは効果的に、フレキソ印刷プレートの特性を上昇させ、同時に円柱形または棒状の相を与えるスチレン相の配向性を抑制するようである。
当然のことながら、種々のモノマーM1の混合物も用いることができる。通常、モノマーM1の量は、レリーフ形成層の全構成成分の合計に基づいて0.1から20重量%、好ましくは0.5から18重量%、特に好ましくは2から15重量%、とりわけ好ましくは4から13重量%、例えば6から13重量%である。
本発明に従って使用されるモノマーM1に加えて、モノマーM1とは異なる別のコモノマーM2を用いることもできる。使用可能なコモノマーM2は特には、アクリル酸もしくはメタクリル酸の1官能性もしくは多官能性のアルコール、アミン、アミノアルコールもしくはヒドロキシエーテルとのエステルもしくはアミドがあり、ヒドロキシエステル、フマル酸もしくはマレイン酸とアリル化合物のエステル、アクリル酸もしくはメタクリル酸のエステルまたはアミドが好ましい。ジアクリル酸1,4−ブタンジオール、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジアクリル酸1,9−ノナンジオール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、フマル酸ジオクチルおよびN−ドデシルマレイミドが好ましく、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオールが特に好ましい。通常、コモノマーM2の量は、レリーフ形成層の全構成成分の合計に基づいて0から10重量%、好ましくは0から8重量%、特に好ましくは0から6重量%である。
別のモノマーM2が光重合性レリーフ形成層に存在する場合、モノマーM1:M2の重量比は少なくとも1:1、好ましくは少なくとも1.5:1、特に好ましくは少なくとも2:1、とりわけ好ましくは少なくとも3:1でなければならない。それは好ましくは10:1以下である。前記層における全てのモノマーM1およびM2の総量は、レリーフ形成層の全構成成分の合計に基づいて0.1から20重量%、好ましくは0.5から18重量%、特に好ましくは2から15重量%、とりわけ好ましくは4から18重量%、例えば8から15重量%である。
本発明の好ましい実施形態において、光重合性のレリーフ形成層は、モノマーMとして、少なくとも一つのモノマーM1bおよび少なくとも一つのモノマーM2を含み、M1:M2の比は少なくとも3:1であり、好ましくは10:1以下である。M2は好ましくは、2個の(メタ)アクリレート基を有するモノマーである。
本発明の特に好ましい実施形態において、光重合性のレリーフ形成層は、モノマーM1として、少なくともトリシクロデカンジメタノールジアクリレートおよび別のモノマーM2を少なくとも3:1、好ましくは10:1の比率で含み、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートおよび別のモノマーM2の総量は好ましくは10から15重量%である。この実施形態において、M2は好ましくは1,6ジアクリル酸−ヘキサンジオールである。
光重合性のレリーフ形成層はさらに、少なくとも一つの光開始剤または光開始剤系を含む。好適な開始剤の例には、ベンゾインまたはメチルベンゾインもしくはベンゾインエーテルなどのベンゾイン誘導体、ベンジルケタール類などのベンジル誘導体、アシルアリールホスフィンオキサイド類、アシルアリールホスフィン酸エステル類、多核キノン類またはベンゾフェノン類がある。レリーフ形成層中の光開始剤の量は、レリーフ形成層の全構成成分の量に基づいて基本的に0.1から5重量%、好ましくは0.5から4重量%、特に好ましくは1から3重量%である。
本発明によれば、レリーフ形成層はさらに可塑剤を含む。異なる可塑剤の混合物を用いることも可能である。好適な可塑剤の例には、高沸点パラフィン系、ナフテン系または芳香族系鉱油などの変性および未変性の天然オイルおよび天然樹脂、オリゴスチレン、高沸点エステル類、オリゴマーのスチレン−ブタジエンコポリマー、オリゴマーのα−メチルスチレン/p−メチルスチレンコポリマー、液体オリゴブタジエン類、特には分子量が500から5000g/molのものなどの合成オリゴマー類または樹脂類、あるいは液体オリゴマーのアクリロニトリル−ブタジエンコポリマーまたはオリゴマーのエチレン−プロピレン−ジエンコポリマーなどがある。別の例としてはポリブタジエンオイル、高沸点脂肪族エステルおよび鉱油または液体イソプレンゴム、好ましくは分子量が500から5000g/molであって25℃での粘度が500から200000mPaであるものがある。相対的に高い架橋密度となり、したがって1,2−ビニル基含有率が低いポリブタジエンオイルと比較して硬いプレートが得られることから、特に好ましい可塑剤は、1,2−ビニル基の割合が高いポリブタジエンオイルである。通常、ビニル基の合計含有量に基づく1,2−ビニル基の割合は>10%であり、好ましくは>25%、特に好ましくは>40%である。通常、可塑剤含有率は、0から40重量%、好ましくは10から35重量%、特に好ましくは15から30重量%である。
光重合性レリーフ形成層はさらに、代表的な添加剤を含むことができる。そのような添加剤の例には、色素、熱重合阻害剤、増量剤および酸化防止剤がある。しかしながら、そのような添加剤の量は、基本的に、レリーフ形成層の全成分の量に基づいて10重量%を超えるものではなく、好ましくは5重量%を超えない。
光重合性レリーフ形成層の未処理層可塑性(光重合/現像前)は、通常は5から16であり、好ましくは8から15である。未処理層可塑性は、光重合性レリーフ形成層の初期層厚と、50gの重しを1分間負荷した後の層厚との差であり、その差は初期値の%で表す。
光重合性レリーフ形成層(光重合/現像前)のメルト・フロー・インデックス(MVR)は、通常5から50cm/10分、好ましくは8から50cm/10分である。メルト・フロー・インデックス(MVR)は、DINISO1133に記載の方法に従い、温度100℃、荷重5kgで測定する。
特殊なモノマーを使用することで、フレキソ印刷プレートのレリーフ層、すなわち重合によって光重合性層から得られる光重合レリーフ層の硬度は、本発明によれば、DIN53505に従って少なくとも66°ショアAである。測定方法は、実験の部に詳細に記載されている。通常、光重合層のショアA硬度は、66から90°ショアA、好ましくは66から85°ショアA、特に好ましくは68から85°ショアAである。
通常、フレキソ印刷プレートのレリーフ層の異方性係数は、1.2未満、好ましくは1.1未満である。異方性係数AFは以下のように定義される:
σMD(125%)>σTD(125%)の場合は、AF=σMD(125%)/σTD(125%)
σTD(125%)>σMD(125%)の場合は、AF=σTD(125%)/σMD(125%)
[上記式中、
σMD(125%)は、125%伸長での押出方向における引張応力であり、
σTD(125%)は、125%伸長での押出方向に対して横断する方向の引張応力である]。
エラストマー基材層が、非粘着性剥離層でコーティングされていてもよい基材シート上に存在していてもよい。加工条件下で、エラストマー基材層は可融性および流動性を有し、裏側からの露光または前露光後であっても、中空シリンダーに貼り付けられた接着促進層または粘着テープに対して十分に高い粘着力を有する。基材層は、光化学的に架橋可能なものであってもよい。
エラストマー基材層は、機械的特性に関して、使用されていない基材シートに代わるものとすることができる。したがって、剛性の基材シートが存在しないにも拘わらず、印刷において始動エッジ(start-up edges)の形成がない。にもかかわらず、基材シートとは対照的に、エラストマー基材層は加工条件下で可融性かつ流動性である。さらに、基材層は、光重合性レリーフ形成層より、中空シリンダーに貼り付けられた接着促進層に対して高い粘着力を有することができる。テープの隙間は、基材層の硬度および剛性によって埋められる。光重合性レリーフ形成層は、エラストマー基材層上に存在する。
光重合性レリーフ形成層と同様、エラストマー基材層も、少なくとも一つのエラストマー結合剤を含む。
とりわけ好ましくはエラストマー基材層中に存在するエラストマー結合剤は、A−B−A型の3ブロックコポリマー、(AB)型のラジアルブロックコポリマー(Aはスチレンであり、Bはジエンである)、およびスチレンおよびジエンの統計的(statistical)コポリマーおよびランダムコポリマーである。エラストマー基材層の場合、エラストマー結合剤の総量は100重量%以下であることができる。通常、それは75から100重量%、好ましくは85から100重量%、特に好ましくは90から100重量%である。
本発明による光重合性フレキソ印刷エレメントは、基本的に当業者に公知の方法、例えば溶融押出、鋳造または積層によって、1段階または多段階の製造工程で製造することができる。最初にレリーフ形成層の構成成分を、押出機内で加熱しながら互いに混和する、溶融押出による製造が好ましい。シート状フレキソ印刷エレメントの製造の場合、押出機からの光重合性材料を、スロットダイから2枚のシートの間に入れることができ、層複合体をカレンダリング処理することができ、シートの種類は所望の用途によって決まる。この場合シートは、光重合性層または容易に剥離可能な(一時的)シートに対して良好な粘着力を有するシートであることができる。シート状フレキソ印刷エレメントの製造の場合、通常は強力に接着する基材シートおよび剥離可能なカバーシートを用いる。下記に記載の工程によって層をさらに加工して円柱形フレキソ印刷エレメントを得ようとする場合、2枚の剥離可能なシートを用いる。光重合性円柱形フレキソ印刷エレメントの製造の場合、環状押出によって、シームレス層を円柱形基材に直接貼り付けることもできる。光重合性層の厚さは、通常は0.4から7mmであり、好ましくは0.5から4mm、特に好ましくは0.7から2.5mmである。
円柱形連続シームレスフレキソ印刷エレメントの製造およびそれのさらなる加工による連続シームレス印刷プレートの提供は、WO2004/092841に記載の方法に基づいて行うことができる。
したがって、円柱形連続シームレス光重合性フレキソ印刷エレメントは、
a)剥離可能な一時的基材シート、適宜にエラストマー基材層、特許請求の範囲に記載の光重合性レリーフ形成層および剥離可能な一時的カバーシートを有している層複合体を提供する段階、
b)接合すべき層複合体の縁部をカットして一定の大きさとする段階、
c)回転可能に取り付けられた支持シリンダーに中空シリンダーを押し当て、固定する段階、
d)中空シリンダーの外側表面に接着促進層を付与する段階、
e)カットして一定の大きさとなった、前記光重合性レリーフ形成層、適宜に前記エラストマー基材層および前記剥離可能なカバーシートを有する層複合体を、前記光重合性レリーフ形成層または前記エラストマー基材シートと共にあった前記一時的基材シートを剥離した後に、前記接着促進層が設けられた前記中空シリンダーに貼り付ける段階、
f)光重合性材料の層から前記カバーシートを剥離する段階、
g)切り口同士が互いに接合されるまで、中空シリンダー上の光重合性層の表面を、回転するカレンダーロールと接触させることで、切り口同士を光重合性層の融点以下の温度で接合する段階、ならびに
h)処理された中空シリンダーを前記支持シリンダーから外す段階、
によって製造される。
しかしながら、円柱形フレキソ印刷エレメントは、他の技術によっても製造可能である。
事前作製の光重合性材料の層を、WO2004/092841による方法用の出発材料として製造する。その光重合性層は、中空シリンダーに貼り付ける前に裏からの化学光に前露光してもよい。前露光は、原則として、段階(b)で層複合体をカットして一定の大きさとする前に行うことで、縁領域であっても均質かつ均一な前露光が確保されるようにすべきである。UVに対して透明なスリーブを用いたとしたら、前露光は、層のスリーブへの付与後にスリーブ内部から行うこともできる。次に、接合すべく提供される層複合体の縁部をカットして一定の大きさとする。
接合すべき縁部の一定の大きさへのカットは、好ましくはマイターカットによって行う。
基材として使用される中空シリンダーは、エアシリンダーに搭載するのに好適な、すなわち圧縮空気の影響下で若干拡張することができる一般的な中空シリンダーである。そのような中空シリンダーは、スリーブ、ベーシック(basic)スリーブなどとも称される。
次に、使用される中空シリンダーを回転可能に取り付けられた支持シリンダーの上に押し当て、中空シリンダーが支持シリンダーとしっかりと合体するように固定する。支持シリンダーは、次のカレンダリング処理工程のために中空シリンダーをじっかりと保持する。
その後、接着促進層を中空シリンダーの外側表面に貼り付ける。接着促進層は、カレンダリング処理工程中は支配的な高温であっても良好な接着力を与えるものでなければならない。それは特に、非常に良好な剪断強度を与えることで、カレンダリング処理工程時に光重合性層が中空シリンダーの表面上で滑らないようにするものでなければならない。接着促進層は、中空シリンダーの表面に設けられた好適な接着促進コーティングであることができる。また一方、接着促進層は好ましくは、両面接着シートである。特に、接着シートは、さらに減衰フォーム層を有するフォーム接着シートであることができる。
次に、接着促進層が設けられた中空シリンダーに光重合性層を貼り付ける。接合させるべき層複合体の縁部がマイターカットによってカットされ一定サイズとされていれば、マイターカットを施した端部は、重複せずに実質的に順に重なった状態となる。層を貼り付けた後、非粘着性剥離層がある場合はそれを含めた一時的カバーシートを、光重合性材料の層から剥離する。
次に、切り口同士を接合する。切り口を接合するには、中空シリンダー上の光重合性層の表面を、切り口同士が互いに接合するまで、回転するカレンダーロールと接触させる。支持シリンダーとカレンダーロールは、反対方向に回転させる。必要なカレンダー圧は、支持シリンダーとカレンダーロールの間の距離を調節することにより、光重合性層の種類に応じて当業者が決定する。カレンダリング処理の温度は、光重合性層の種類および所望の特性によって決まる。しかしながら本発明によれば、カレンダリング処理ロールの温度を調節して、光重合性層の温度が常にそれの融点以下となるようにする。内部から加熱されるカレンダーロール、IRラジエータまたは加熱ガス流を用いることで、熱を供給することが便利である。当然のことながら、熱源を組み合わせることもできる。基本的に、カレンダリング処理時の温度は、各場合において光重合性層の表面で測定して80から140℃、好ましくは90から130℃である。基本的に、隙間を完全に閉じるには約15分が必要であり、この時間も当然のことながら、選択した温度および圧力によって決まる。
継ぎ目を密閉し、適宜に冷却を行った後、加工中空シリンダー/完成スリーブを、支持シリンダーから再度取り外す。
光重合性フレキソ印刷エレメントをさらに加工して完成品のフレキソ印刷プレートを得る工程は、各種技術によって行うことができる。フレキソ印刷エレメントは、例えば原則として公知の方法で画像通りに露光することができ、次にレリーフ形成層の未露光部分を、好適な現像工程によって除去することができる。画像通りの露光は、基本的に、光重合性フレキソ印刷エレメントを写真用マスクで覆い、そのマスクを介して露光することで実施することができる。
しかしながら好ましくは、画像形成は、デジタルマスクによっては行わない。そのようなマスクは、イン・サイツ(in situ)マスクとも称される。これに関しては、最初に、デジタル画像形成可能層を光重合性レリーフ形成層に貼り付ける。そのデジタル画像形成可能層は、好ましくはIR−アブレーション層、インクジェット層またはサーモグラフィーで描出可能な層である。
IRアブレーション層またはマスクは、化学光の波長に対して不透明であり、通常は結合剤および例えばカーボンブラックなどの少なくとも一つのIR吸収剤を含む。カーボンブラックは、層の不透明性を確保するものでもある。IRレーザーによって、IRアブレーション層にマスクを書き込むことができる。すなわち、層にレーザー光を当てた箇所で層が分解および除去される。IRアブレーションマスクを用いるフレキソ印刷エレメントの画像形成の例は、例えばEP−A654150またはEP−A1069475に開示されている。
インクジェット層の場合、インクジェットインクで描出可能であって化学光に対して透明である層、例えばゼラチン層を用いる。不透明インクを用いるインクジェットプリンターによって、その層の上にマスクを設ける。EP−A1072953に例が開示されている。
サーモグラフィー層は、熱の影響下に黒色となる物質を含む層である。そのような層は、例えば結合剤および有機銀塩を含み、感熱プリントヘッドを有するプリンダーによって画像化することができる。EP−A1070989に例が開示されている。
デジタル画像形成可能層は、個々の層の全ての構成成分を好適な溶媒に溶解または分散させ、その溶液を円柱形フレキソ印刷エレメントの光重合性層に塗布し、次に溶媒を蒸発させることで製造することができる。デジタル画像形成可能層の形成は、例えば吹き付けまたはEP−A1158365に記載の技術によって行うことができる。
デジタル画像形成可能層を形成した後、個々の好適な技術によって後者を画像形成し、基本的に公知の方法で、得られたマスクからの化学光で光重合性層を露光する。好適な化学光、すなわち化学的に「活性な」光は、特にはUVAまたはUV/VIS光である。プレート形状フレキソ印刷エレメント用の露光ユニットおよび円柱形フレキソ印刷エレメントの均一露光用の回転円柱露光ユニットが市販されている。
画像通りに露光された層の現像は、溶媒または溶媒混合物によって従来法で行うことができる。レリーフ層の露光されていない部分、すなわちマスクによって覆われている部分は現像液での溶解によって除去されるが、露光部分、すなわち架橋した部分は残る。マスクまたはマスクの残り部分も、成分が現像液に可溶である場合は現像液から同様に除去される。マスクが現像液に可溶でない場合、適宜に現像の前に、第2の溶媒を用いてそれを除去する。
現像は、熱で行うこともできる。熱現像では、溶媒を使用しない。代わりに、画像通りの露光後に、レリーフ形成層を吸収性材料と接触させ、加熱する。吸収性材料は例えば、例えばナイロン、ポリエステル、セルロースまたは無機材料を含む多孔性不織布である。レリーフ形成層の重合していない部分が液体となり、不織布によって吸収されるような温度まで、それを加熱する。次に、飽和した不織布を除去する。熱現像の詳細は、例えばUS3264103、US5175072、WO96/14603またはWO01/88615によって開示されている。マスクは、前もって好適な溶媒によって除去するか、熱で除去してもよい。
印刷準備の整ったフレキソ印刷プレート、すなわち光重合した層のレリーフ層は、本発明によれば、DIN53505に従って少なくとも66°ショアAの硬度を有する。通常、光重合した層のショアA硬度は、66から90°ショアA、好ましくは66から85ショアA、とりわけ好ましくは68から85°ショアAである。
光重合性フレキソ印刷エレメントからのフレキソ印刷プレートの製造は、直接レーザー彫刻によって行うこともできる。この方法では、最初に光重合性層の全容積を、マスクを用いずに、化学光、電子ビームまたはγ線で完全に架橋する。その後、1以上のレーザーを用いて、架橋された層に印刷レリーフを彫刻する。
均一な架橋は、上記のように、一般的なフレキソ印刷プレート用露光ユニットを用いて行うことができる。また一方で特に有利にはそれは、特に円柱形の連続シームレスフレキソ印刷プレートの場合に、WO01/39897に記載の方法と同様にして行うこともできる。ここで、露光は空気より重い不活性ガス、例えばCOまたはArの存在下に行う。そのためには、光重合性円柱形フレキソ印刷エレメントを、不活性ガスが充填されており、壁面には好ましくは反射性材料、例えばアルミニウムホイルの裏張りが施されている浸漬(emersion)槽中に入れる。そのためには、基本的に、化学光の一般的なUVまたはUV/VIS源を用いることが可能である。実質的に可視光を発し、UV光を出さないかUV光の発生がごくわずかである線源を用いることが好ましい。300nmを超える波長を有する光を発する光源が好ましい。例えば、一般的なハロゲンランプまたはUVA管を用いることができる。
直接レーザー彫刻では、レリーフ層は、十分な強度のレーザービームに曝露される領域では、除去または少なくとも剥離される程度にレーザー光を吸収する。その層は好ましくは、事前に溶融することなく、蒸発または熱的もしくは酸化的に分解することで、それの分解生成物は高温のガス、蒸気、煙または微粒子の形で層から除去される。
特に、波長9000nmから12000nmを有するレーザーは、本発明に従って使用されるレリーフ形成層の彫刻に好適である。ここでは、COレーザーを特に挙げることができる。レリーフ形成層で使用される結合剤は、彫刻を可能とする上で十分な程度までそのようなレーザーを吸収する。
有利には、次に、得られるフレキソ印刷プレートを、レーザー彫刻後のさらなる加工段階でクリーニングすることができる。場合によってはこれは、簡単に圧縮空気による吹き飛ばしまたはブラシによる払い落としによって行うことができる。しかしながら、その後のクリーニングにおいて、液体洗浄剤を用いて、ポリマー断面を完全に除去できるようにすることも好ましい。例えば、実質的に水および適宜に少量のアルコールを含み、クリーニングプロセスを行いやすくするための例えば界面活性剤、乳化剤、分散剤または塩基などの補助剤を含むことができる水性クリーニング剤が好適である。EP−A463016に開示のような油中水系乳濁液も好適である。好ましく使用される洗浄剤は、クリーニング工程中にレリーフ層を実質的に膨潤させずに、レーザー彫刻の途中でフレキソ印刷エレメントのレリーフ上に蓄積している分解生成物を除去することができる少なくとも一つの有機成分を有するものである。そのような洗浄剤は、例えばWO2005/113240に開示されている。
モノマーM1を本発明に従って使用することで、より硬質であるにも拘わらず異方性のないフレキソ印刷プレートを得ることが可能となる。特性に関するさらなる詳細を、下記の実施例で説明する。
驚くべきことに、フレキソ印刷プレートの耐膨潤性も高くなる。印刷工程途中に印刷インク中に存在する溶媒によってフレキソ印刷プレートが過度に膨潤しないようにするため、高品質印刷には良好な耐膨潤性が重要である。印刷プレートが膨潤すると、印刷プレートの硬度が低下し、印刷操作が増えるに連れて印刷される画像に望ましくない変化が生じ、個々の画像要素または印刷プレート、特には個々のドットが広がることから、トーン値範囲が大きくなる。本発明によるフレキソ印刷エレメントにより、膨潤性が低い、すなわちより高い耐膨潤性を有するフレキソ印刷プレートが得られる。
以下の実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。
実施例および比較例において、光重合性層が各場合で異なる組成を有する各種の円柱形連続シームレスフレキソ印刷エレメントを製造する。次に、フレキソ印刷エレメントを加工して円柱形連続シームレス印刷プレートを得て、それを調べる。
1)使用される光重合性レリーフ形成層の一般的製造方法
以下の実施例では、各場合で光重合性材料を押し出し、スロットダイから排出し、
(1)一方で、厚さ5μmの非粘着性剥離層としてのエラストマーポリアミド(マクロメルト(Makromelt、登録商標)6900)の層でコーティングされた剥離可能なPET基材シートおよび別の厚さ125μmの94重量%のスチレン、5重量%のヘキサンジオールジメタクリレートおよび1%のベンジルジメチルケタールを含む基材層からなる基材エレメント、および
(2)他方で、剥離可能なカバーシートとしての、マクロメルト(登録商標)6900の非粘着性剥離層でコーティングされたPETシート
の間でカレンダリング処理する。
基材層および光重合性層の複合材は、PETシートを除いて、合計の厚さ1.14mmであった。
2)シームレス連続光重合性フレキソ印刷エレメントの一般的製造方法
シームレス/連続印刷プレートの製造の場合、最初に、覆うべきスリーブを、取り付け装置のエアシリンダーに押し当てる。その後、接着シートを取り付け台上でカットして一定の大きさとし、エアシリンダーを回転させ、シートを補助ロールとスリーブを設けたエアシリンダーの間の隙間にゆっくり挿入する。接着シートを回転によって送ることで、補助ロールがシートをスリーブ上に均一に押圧して、接着シートがスリーブにしっかりと気泡を含まずに貼り付く。その後、保護シートを接着シートから剥離させる。このようにすることで、スリーブには接着促進層が設けられる。次の段階で、基材シートを除去した後、カットして一定の大きさとすべき光重合性材料を、隙間に挿入し、送り、補助ロールを介してしっかりと押圧する。光重合性材料上に存在する基材層はいずれも光重合性材料上に残り、スリーブの方向に向けられる。光重合性材料を取り付けた後、覆われたスリーブを、カレンダリング処理ユニットのエアシリンダー上に押し当てる。カバーシートが剥離された後、カレンダーロールならびにスリーブ、接着促進層および光重合性層が設けられたエアシリンダーを互いに接触させ、回転させ、隙間を圧力および熱の作用下にカレンダリング処理することで閉じる。
3)シームレス連続光重合性フレキソ印刷エレメントをさらに加工して完成シームレス/連続印刷プレートを得る一般的方法
前段階で製造されたシームレス/連続印刷プレートを、デジタル画像形成可能層(DSLII80溶液、Flint Group Printing Plates)でリングコーターを用いてコーティングし、レーザー(ESKO CDI COMPAKT)によって画像形成する。その後、画像形成した印刷プレートを回転円柱形露光ユニット(Flint Group Printing Plates)で露光し、洗浄液(ニロソルブ(nylosolv、登録商標)、Flint Group Printing Plates)によって回転洗浄機(Flint Group Printing Plates)で洗い、乾燥機(Flint Group Printing Plates)で45℃にて1時間乾燥させ、回転円柱形露光ユニットで後露光する。
4)使用する原材料
クレイトン(Kraton、登録商標)D−1102:スチレン含有量29.5重量%および硬度70°ショアAを有するSBSブロックコポリマー(Kraton Polymers)(2ブロックの割合17%)、
クレイトン(登録商標)D−1192:スチレン含有量30重量%および硬度70°ショアAを有するSBSブロックコポリマー(Kraton Polymers)(2ブロックの割合<1%)、
クレイトン(登録商標)D−1101:スチレン含有量31重量%および硬度72°ショアAを有するSBSブロックコポリマー(Kraton Polymers)(2ブロックの割合16%)、
ポリオール(Polyoel、登録商標)130:分子量約3000g/mol、20℃での粘度2700から3300mPa・sおよび1,2−ビニル基の割合約1%を有するポリブタジエンオイル(Degussa)、
ニッソ(Nisso、登録商標)PBB−1000:分子量約900から1300g/molであり、1,2−ビニル基の割合>85%および45℃での粘度5から15ポアズを有するポリブタジエンオイル(日本曹達)、
ラロマー(Laromer、登録商標)HDDA:1,6−ヘキサンジオール・ジアクリレート(BASF)、
サルトマー(Sartomer、登録商標)833S:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(Sartomer)。
5)測定値の取得
5.1)メルト・フロー・インデックスの測定
未露光光重合性層のメルト・フロー・インデックス(MVR)を、DINISO1133に記載の方法に従って、温度100℃および荷重5kgで測定した。
5.2)ショア硬度の測定
ショア硬度の測定は、DIN53505に従って実施した。そのために、実施例に相当する層を、厚さ1mmで製造し、15分間にわたるUVA光への均一露光によって架橋した(露光ユニットFIII、Flint Group Germany GmbH)。各場合で、各層型の厚さ1mmの層6個を、順に重ねて、合計層厚6mmとした。厚さ6mmの積層物の硬度を、DIN53505に従い硬度測定装置(U72/80E型、Heinrich Bareiss Prufgeraetebau GmbH)を用いて測定した。
5.3)未処理層可塑性の測定
未処理層の可塑性の測定のため、未露光プレート1個に50gの重り(直径4mm)を1分間乗せた。未処理層可塑性は、初期層厚と50g重り1分間の荷重後の層厚の差であり、その差は初期重量の%で示す。
5.4)異方性係数の測定
σMD(125%)>σTD(125%)の場合はAF=σMD(125%)/σTD(125%)およびσTD(125%)>σMD(125%)の場合はAF=σTD(125%)/σMD(125%)、(ここでσMD(125%)=押出方向に125%伸長にて、また、σTD(125%)=押出方向に対して横断する方向に125%伸長にて)に従って等方性係数AFを計算する上で必要な引張応力を、ZwickZ2.5/TN1S型の引張強度試験器(Zwick GmbH & Co. KG)を用いて測定した。
異方性係数が条件AF≦1.2を満たす場合、フレキソ印刷エレメントは実用上は、実質的に等方性であると見なされる。
一般法に従って、下記の光重合性フレキソ印刷エレメントを製造し、各場合においてさらに加工してフレキソ印刷プレートを得た。層の組成および得られた測定値を、表1および2に挙げてある。
比較例C1
高品質ハーフトーン印刷用の代表的な硬質フレキソ印刷プレートの製造
一般法に記載の方法で、PETシートを除いて厚さ1.14mmのフレキソ印刷エレメントを製造した。製造したプレートの硬度は、DINに従って62°ショアAであった。異方性係数は1であり、未処理層の可塑性は10.7%であった。
比較例C2およびC3
比較例C2およびC3では、比較例C1から始めて、結合剤を変えることでフレキソ印刷エレメントの硬度を得る試みを行った。クレイトンD−1192(スチレン含有量:30%)およびクレイトンD−1101(スチレン含有量:31%)では、クレイトンD−1102(スチレン含有量:29.5%)と比較してスチレン含有量の高い2種類のゴムを用いた。
比較例C4からC6
比較例C4からC6では、モノマー含有量を変えることで、レリーフ形成層の硬度を得る試みを行った。比較例C1から始めて、モノマー含有量を8%から15%に段階的に上昇させた。
比較例C7からC10
比較例C7からC10では、比較例C4から始めて、可塑剤含有量を低下させるか(比較例C7およびC8)、ビニル基含有量の高い可塑剤を用いることでフレキソ印刷エレメントの硬度を上昇させる試みを行った。
実施例1から4
実施例1から4では、モノマーとしてのHDDA(いずれの場合も2重量%)に加えて、第2のモノマーであるサルトマー833S(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)を、8重量%または13重量%の量で用いた。
Figure 0005205394
Figure 0005205394
表2の結果から、実施例1から4で製造したレリーフ形成層が、比較例C1の層と比較してかなり硬いことがわかる。製造されたプレートには異方性がなく、許容される未処理層可塑性を示す。5cm/10分というメルト・フロー・インデックスのため、光重合性層はWO2004/092841に記載の方法による円形加工性を有する。
それとは対照的に、より高いスチレン含有量を有する結合剤を含む製剤(C2−C3、表1参照)からは硬い光重合層が得られるが、異方性挙動のために、それらは使用することができない。
より高いモノマー含有量によって光重合層の硬度を実現しようとすると(C4からC6、表1)、モノマーの割合が増大するにつれてプレートの未処理層可塑性が不均一に上昇する。10重量%のモノマー含有量だと、未処理層可塑性が14%で、かろうじて許容できる未処理層可塑性となるが、この光重合層の硬度は63.5°ショアAでごくわずかしか高くなっていない。より高いモノマー量では、未処理層可塑性、したがって未露光光重合性層の低温フローが大きくなり過ぎる。まとめると、これらの実験からは、有意に硬さが大きい層をもたらす組成は得られない。
可塑剤含有量を低下させることでより硬いプレートを得ようとする試み(C7からC10、表1)では、より硬い光重合層が得られるが、それらは可塑性含有量がわずかに低下しても異方性である。ビニル基の含有量が高い可塑剤を用いると、やや硬度の高い光重合層が得られるが、この可塑剤の割合を低下させるとここでは異方性の層が得られる。まとめると、これらの実験からは、有意に硬さが大きい層をもたらす組成は得られない。
印刷試験
比較例C11
一般法に記載の方法に従って、比較例C4で製造される光重合性層を加工して、連続シームレス印刷プレートを得た。使用した接着促進層は、フォーム接着テープのロジャーズ(Rogers)SA2520(Rogers Corporation社より)であった。製造した印刷プレートを用いる下刷りを、プリマフレックス・プレス(Primaflex press)(Windmoeller & Hoelscher社より)で実施した。
実施例5および6
実施例1および3で製造した光重合性層を、一般法に記載の方法に従って加工して、連続シームレス印刷プレートを得た。使用した接着促進層は、フォーム接着テープのロジャーズSA2520(Rogers Corporation社より)であった。製造した印刷プレートを用いる下刷りを、プリマフレックス・プレス(Windmoeller & Hoelscher社より)で実施した。
結果:下刷り時に得た印刷パターン(トーン値を変動させての試験パターン)を評価し、ドット面積パーセントに関する結果(=フルトーン密度=印刷基材への印刷インクの転写の完全性に関する尺度、DIN16600に従った密度計による測定)、トーン値範囲および30%スクリーンでのトーン値における上昇を、表3に挙げてある。
Figure 0005205394
表3からわかるように、実施例(E5およびE6)および比較例(C11)の印刷プレートで、トーン値における同程度の小さい上昇が得られた。トーン値の上昇は一貫して小さいが、しかしながら、実施例E5およびE6ではドット面積パーセントは大幅に高くなっている。実施例E5およびE6のトーン値範囲はまた、比較例C11のそれより高い。
膨潤実験
膨潤実験のため、各場合で基材および基材シートを持たない完成レリーフ層の2×2cm片(すなわち、コーティング層)を、膨潤液10mL中に入れた。膨潤時間は、各場合で60分であった。各場合において、膨潤前および60分間の膨潤後に層厚を測定した。使用した膨潤液(1)は、エタノール、エトキシプロパノールおよび酢酸エチルの混合物(50/45/5)であった。これらの混合物は、フレキソ印刷インクで用いられる代表的な溶媒である。使用した膨潤液(2)は、ヘキサンジオール・ジアクリレートであった。これは、UV硬化性印刷インクの代表的な成分である。結果を表4に示す。
Figure 0005205394
結果から、本発明および実施例1によるフレキソ印刷プレートが、膨潤媒体1および膨潤媒体2の両方で、比較例4によるフレキソ印刷プレートより低い程度に膨潤することがわかる。

Claims (16)

  1. 少なくとも
    寸法安定な基材、ならびに
    各場合で光重合性レリーフ形成層の全成分の総量に基づいて、
    アルケニル芳香族から形成される少なくとも一つのブロックおよび1,3−ジエンから形成される少なくとも一つのブロックを有する少なくとも一つの熱可塑性エラストマーブロックコポリマーを含む、40から90重量%の結合剤、
    0.1から20重量%のエチレン性不飽和モノマーM、
    0.1から5重量%の光開始剤、および
    1から40重量%の可塑剤を含む前記レリーフ形成層、
    を有する硬質フレキソ印刷プレート製造のための光重合性フレキソ印刷エレメントであって、
    前記光重合性レリーフ形成層が、モノマーMとして、一般式=CR−C(O)O−RO(O)C=CHで表される少なくとも1つのジ(メタ)アクリレートM1[式中、RはHまたはメチル基を表し、Rは10から20の炭素原子を有する二価の脂環式の炭化水素基である]を含み、かつ
    露光された光重合レリーフ形成層が少なくとも66°ショアAの硬度を有することを特徴とする、前記の光重合性フレキソ印刷エレメント。
  2. 露光された前記光重合レリーフ形成層の異方性係数が1.2を超えない、請求項1に記載の光重合性フレキソ印刷エレメント。
  3. 前記光重合性レリーフ形成層が、ジ(メタ)アクリレートM1として、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の光重合性フレキソ印刷エレメント。
  4. 前記レリーフ形成層が2から15重量%のジ(メタ)アクリレートM1を含有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の光重合性フレキソ印刷エレメント。
  5. 前記光重合性レリーフ形成層が、さらなるモノマーM2を含有し、モノマー同士の重量比M1:M2が少なくとも1:1であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の光重合性フレキソ印刷エレメント。
  6. 前記光重合性レリーフ形成層が、熱可塑性エラストマーブロックコポリマーとして
    スチレン−ブタジエンブロックコポリマーを含有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の光重合性フレキソ印刷エレメント。
  7. 前記光重合性レリーフ形成層が、熱可塑性エラストマーブロックコポリマーとしてスチレン−イソプレンブロックコポリマーを含有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の光重合性フレキソ印刷エレメント。
  8. 未露光の前記光重合性レリーフ形成層の未処理層可塑性が5から16%の範囲であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の光重合性フレキソ印刷エレメント。
  9. 未露光の前記光重合性レリーフ形成層のメルト・フロー・インデックスが、100℃および荷重5kgで、5から50cm/10分の範囲であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の光重合性フレキソ印刷エレメント。
  10. 中空シリンダー、前記中空シリンダー上の接着促進層、適宜にエラストマー基材層および請求項1から9のいずれか1項に記載の光重合性レリーフ形成層を含む、光重合性円柱形連続シームレスフレキソ印刷エレメント。
  11. 剥離可能な一時的基材シート、適宜にエラストマー基材層、請求項1から9のいずれか1項に記載の光重合性レリーフ形成層および剥離可能な一時的カバーシートを含む、光重合性円柱形連続シームレスフレキソ印刷エレメントの製造のための層複合体。
  12. 光重合性円柱形連続シームレスフレキソ印刷エレメントまたは円柱形連続シームレスフレキソ印刷プレートの製造における、請求項11に記載の層複合体の使用。
  13. 請求項10に記載の円柱形連続シームレス光重合性フレキソ印刷エレメントの製造方法であって、以下の工程、
    a)剥離可能な一時的基材シート、適宜にエラストマー基材層、請求項1から10のいずれか1項に記載の光重合性レリーフ形成層および剥離可能な一時的カバーシートを有している層複合体を提供する段階、
    b)接合すべき層複合体の縁部をカットして一定の大きさとする段階、
    c)回転可能に取り付けられた支持シリンダーに中空シリンダーを押し当て、固定する段階、
    d)中空シリンダーの外側表面に接着促進層を付与する段階、
    e)一定の大きさにカットされ、かつ前記光重合性レリーフ形成層、適宜に前記エラストマー基材層および前記剥離可能なカバーシートを有する層複合体を、前記光重合性レリーフ形成層または前記エラストマー基材シートと共にあった前記一時的基材シートを剥離した後に、前記接着促進層が設けられた前記中空シリンダーに貼り付ける段階、
    f)光重合性材料の層から前記カバーシートを剥離する段階、
    g)切り口同士が互いに接合されるまで中空シリンダー上の光重合性層の表面を、回転するカレンダーロールと接触させることで、切り口同士を光重合性層の融点以下の温度で接合する段階、ならびに
    h)加工された中空シリンダーを前記支持シリンダーから外す段階
    を含む前記方法。
  14. 前記使用される接着促進層が両面接着テープである、請求項13に記載の方法。
  15. 請求項1から9のいずれか1項に記載の光重合性フレキソ印刷エレメントまたは請求項11に記載の層複合体の製造方法であって、以下の工程、
    I 押出機中で加熱しながら前記光重合性レリーフ形成層の成分を十分に混和して、溶融した光重合性材料を得る段階、
    II 前記溶融光重合性材料を、エラストマー基材層でコーティングされていてもよい基材シートとカバーシートとの間にスロットダイを通して放出する段階、および
    III 前記形成された層複合体のカレンダリング処理を行う段階、
    を有する前記方法。
  16. i)前記光重合性レリーフ形成層の画像通りの露光を行い、該露光されたレリーフ形成層の現像を行う段階、または前記光重合性レリーフ形成層の均一な露光を行い、前記露光されたレリーフ形成層にレーザーを用いて印刷レリーフを刻み込む段階、
    をさらに有する、請求項13または14に記載の段階a)からh)によって円柱形連続シームレスフレキソ印刷プレートを製造する方法。
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