JP5203888B2 - シート剥離装置及び剥離方法 - Google Patents

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本発明はシート剥離装置及び剥離方法に係り、更に詳しくは、被着体に貼付された接着シートに剥離用テープを接着し、当該剥離用テープを介して接着シートを剥離することに適したシート剥離装置及び剥離方法に関する。
半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と称する)の処理工程では、ウエハはその回路面に保護用の接着シートが貼付され、裏面研削等、種々の処理が行われ、ダイシングシートを介してリングフレームにマウントされた後、ダイシング前にこの接着シートは剥離される。このような接着シートの剥離装置としては、例えば、特許文献1に開示されている。同文献において、ウエハから接着シートを剥離する工程は、押圧ヘッドによって剥離用テープを接着シートに押圧して貼付した後、剥離用テープを掛け回すローラをウエハに対して移動することにより行われる。
特開2007−36111号公報
しかしながら、特許文献1の剥離にあっては、図7に示されるように、接着シートSの外縁近傍に剥離用テープPTを貼付するときに、剥離用テープPTの張力が小さい場合、弛みを生じることがある。このため、剥離用テープPTがダイシングシートDSに貼付されてしまい、接着シートSを剥離するときに、剥離用テープPTに引っ張られてダイシングシートDSが持ち上がり、ウエハWに割れ等の損傷が生じるという不都合を招来する。かかる不都合は、近時、ウエハの厚みが50μm以下と極薄化した場合に、剥離用テープPTとダイシングシートDSとが接近するために顕出することとなる。ここで、剥離用テープPTの張力を常時大きくすれば、前記不都合が解消されるようにも考えられるが、この場合、チャックC(図7参照)から剥離用テープPTが抜け出し易くなり、接着シートSの剥離自体が困難になる、という相反する不都合がある。
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、剥離用テープを貼付するときに、当該剥離用テープが他の部位に接着することを防止して剥離を行うことができるシート剥離装置及び剥離方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、被着体に貼付された接着シートに剥離用テープを貼付し、当該剥離用テープを介して前記接着シートを被着体から剥離するシート剥離装置において、
前記剥離用テープを支持する支持手段と、前記被着体を保持する保持手段と、前記剥離用テープを繰り出す繰出手段と、剥離用テープを接着シートに押圧して貼付する貼付手段と、前記剥離用テープを把持可能なチャックを含んで接着シートに貼付されて前記チャックに把持された剥離用テープと前記保持手段とを相対移動させて接着シートを剥離する移動手段と、前記剥離用テープを切断可能なテープ切断手段とを備え、
前記繰出手段は、前記チャックによって剥離用テープが把持されてから、前記貼付手段によって前記剥離用テープを貼付し、当該剥離用テープが前記テープ切断手段によって切断される迄の間、当該剥離用テープの張力を所定値に維持可能な張力調整手段を備え、
前記張力調整手段は、前記剥離用テープを貼付手段側に繰り出す方向と、当該繰り出す方向の反対方向とに正逆回転可能なモータと、前記モータの出力軸に連結された駆動ローラと、この駆動ローラとの間に剥離用テープを挟み込むピンチローラとからなり、前記剥離用テープの繰り出し経路上における前記支持手段と貼付手段との間に位置する、という構成を採っている。
また、本発明の剥離方法は、請求項1記載のシート剥離装置を用いたシート剥離方法において、
前記被着体を保持手段で保持する工程と、
前記剥離用テープを繰り出し、被着体に貼付された接着シートに対向する位置に剥離用テープを繰り出す工程と、
前記剥離用テープの張力を所定値に維持しつつ、チャックによる剥離用テープの把持と、前記接着シートへの剥離用テープ押圧貼付と、当該剥離用テープの切断とを行う工程と、
前記接着シートに貼付された剥離用テープと前記保持手段とを相対移動させて接着シートを剥離する工程とを行う、という方法を採っている。
本発明によれば、張力調整手段により剥離用テープの張力を調整して維持できるので、剥離用テープ貼付時の当該テープの弛みを抑制でき、剥離用テープがダイシングシート等の意図しない部位に貼付されることを防止することが可能となる。この結果、接着シートの剥離工程においてダイシングシート等が引っ張られ、ウエハ等の被着体が破損することを回避可能となる。しかも、張力調整手段により剥離用テープの張力が大きくなり過ぎることも回避することができる。これにより、剥離用テープがチャック等から脱落することを防止でき、接着シートの剥離を難なく行えるようになる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1には、実施形態に係るシート剥離装置の概略正面図が示されている。この図において、シート剥離装置10は、被着体としてのウエハWを保持する保持手段11と、帯状の剥離用テープPTを支持する支持手段12と、剥離用テープPTを繰り出す繰出手段13と、剥離用テープPTを介してウエハWの回路面(図1中上面)に貼付された接着シートSを剥離する剥離手段15と、剥離用テープPTを接着シートSの外縁側に貼付する貼付手段16とを備えて構成されている。なお、剥離用テープPTは感熱接着性の接着テープを採用している。
前記ウエハWは、回路面の反対面(図1中下面)側からダイシングシートDSを介してリングフレームRFの開口内部に配置されて一体化されている。
前記保持手段11は、リングフレームRFと一体化されたウエハWをダイシングシートDS側から上面で吸着して保持するテーブルからなる。
前記支持手段12は、図示しないフレームに支持されて巻回された剥離用テープPTを支持する支持軸18と、この支持軸18を回転させるモータM1とを備えている。
前記繰出手段13は、モータM2を介して回転駆動可能な駆動ローラ20と、当該駆動ローラ20との間に剥離用テープPTを挟み込むピンチローラ21と、略水平方向に向けられた板状のガイド部材23と、このガイド部材23上に剥離用テープPTを押さえ付ける回転自在なプレスローラ25と、このプレスローラ25を昇降させる昇降用シリンダ26とを備えて構成されている。モータM2は、正逆回転可能なトルク感応型のサーボモータ等からなり、駆動ローラ20の出力が所定のトルク値となるように制御され、剥離用テープPTを貼付手段16側に繰り出す方向と、当該方向と反対方向すなわち剥離用テープPTを巻き取る方向とに回転可能となっている。ここにおいて、モータM2、駆動ローラ20及びピンチローラ21により張力調整手段が構成される。
前記ガイド部材23は、シリンダ27を介して図1中左右方向に移動可能に設けられている。これにより、ガイド部材23は、図2に示されるように、プレスローラ25で押え付けられる剥離用テープPTを下から支持し、そのリード端領域を後述するチャックにより把持できる位置に導くことが可能となる。
前記剥離手段15は、接着シートSに貼付される剥離用テープPTと保持手段11とを相対移動させる移動手段29と、保持手段11の上方で変位手段30を介して支持される第1のローラ31と、この第1のローラ31の図1中左側に設けられ、図示しない駆動装置を介して同図中左右方向に移動可能な第2のローラ32とを備えている。変位手段30は、直動モータからなり、第1のローラ31をウエハWに離間接近する方向すなわち図1中上下方向に変位可能に設けられている。
前記移動手段29は、保持手段11を図1中左右方向に移動させるための直動モータ34及びそのスライダ35と、貼付手段16の下方に設けられ、剥離用テープPTを把持可能なチャック37とを備えている。なお、チャック37は、図示しない駆動装置を介して図1中左右方向に移動可能に構成されている。
前記貼付手段16は、直動モータ39と、当該直動モータ39によって上下方向に進退可能に設けられた加熱手段としてのヒータ40Aを有する押圧ヘッド40とを備えている。この貼付手段16は、チャック37により接着シートSの上面側に繰り出された剥離用テープPTを押圧ヘッド40で押圧して加熱することで、剥離用テープPTを接着シートSに溶着するようになっている。
貼付手段16の図1中左側には、テープ切断手段42が設けられている。このテープ切断手段42は、カッター刃43と、このカッター刃43の下側に設けられ、凹部を上面に有するテープ受け板44と、カッター刃43を図1中紙面直交方向に移動させる切断用シリンダ45と、同カッター刃43を同図中上下方向に移動させる上下用シリンダ46とにより構成されている。
次に、前記シート剥離装置10による接着シートSの剥離方法について説明する。
初めに、支持軸18から剥離用テープPTを引き出し、駆動ローラ20及びピンチローラ21の間を通過させた後、剥離用テープPTのリード端側がガイド部材23の先端からはみ出た状態としつつ、プレスローラ25によりガイド部材23上に剥離用テープPTを押さえ付けた状態とする。
そして、図示しない搬送手段を介して、保持手段11の上面にリングフレームRFと一体化されたウエハWを保持させる。次いで、直動モータ34及びスライダ35を介して保持手段11を移動させつつ、図示しないセンサを介して接着シートSの図1中右側外縁を検知し、当該外縁位置が前記押圧ヘッド40の直下で停止するように直動モータ34を制御する。
次いで、図2に示されるように、シリンダ27を介してガイド部材23を同図中右方向に進行させると同時に、モータM2を作動して駆動ローラ20を回転させて所定長さの剥離用テープPTを繰り出す。これにより、チャック37間にガイド部材23及び剥離用テープPTのリード端側が位置する。そして、プレスローラ25が上方へ退避し、ガイド部材23を後退させると、チャック37間に剥離用テープPTが残されてチャック37によって把持される(図3参照)。その後、チャック37を図3の二点鎖線で示される位置に移動させて剥離用テープPTを引き出し、押圧ヘッド40の下方で接着シートSに対向するように剥離用テープPTを位置させる。このとき、剥離用テープPTのリード端側領域が、ダイシングシートDSの上方に重なるように位置する。
次に、図4に示されるように、ヒータ40Aにより加熱された押圧ヘッド40を直動モータ39によって下方へ移動させ、剥離用テープPTを接着シートSに加熱し溶着する。その後、プレスローラ25によりガイド部材23上に剥離用テープPTを押さえ付け、シリンダ45、46を作動することで、テープ受け板44上でカッター刃43により剥離用テープPTが切断される。
ここで、チャック37により剥離用テープPTが把持されてから、剥離用テープPTが切断される迄の間、モータM2による駆動ローラ20の回転により、チャック37と駆動ローラ20との間に繰り出された剥離用テープPTの張力が所定値に維持される。すなわち、図3から図4に示される状態において、剥離用テープPTに弛みが生じることなく、且つ、チャック37による剥離用テープPTの把持が解除されないような張力となるように、モータM2を介して制御される。
その後、図5に示されるように、第2のローラ32を同図中右側に移動して第1のローラ31とで剥離用テープPTを挟み込む。次に、変位手段30を介して第1のローラ31を上下方向に変位し、当該第1のローラ31とウエハWとの距離が調整される。次いで、接着シートSに貼付された剥離用テープPTと保持手段11とが反対方向に相対移動するように、直動モータ34等を介して、チャック37及び保持手段11を移動させる。これにより、剥離用テープPTがウエハW上の接着シートSと対向するように折り曲げられ、更に前記相対移動を行うことで、図6(A)及び(B)に示されるように、剥離された接着シートSと、未剥離の接着シートSとが対向するように剥離角度αで折り曲げられて剥離される。
ここで、前記変位手段30による第1のローラ31を変位させるときに、第1のローラ31がウエハWに貼付された接着シートSに接近する程、剥離角度αが大きくなる。図6(A)では、第1のローラ31の変位量は、ウエハWに対する第1のローラ31の最接近部(図中下部)を折り曲げ位置に隣接させ、且つ、剥離された接着シートSを第1のローラ31でウエハW側に押圧するように設定される。これにより、剥離直前の未剥離の接着シートSと、剥離直後の接着シートSとが微小の間隔を隔てて対向し、剥離角度αが約180°となるように折り曲げられた状態で接着シートSが剥離される。また、図6(B)に示されるように、同図(A)に比べてウエハWから第1のローラ31の距離を大きくすると、前記剥離角度αを小さく設定することができる。
接着シートSの剥離を終えると、図示しない搬送手段によりウエハWが次工程に搬送され、接着シートSとそれに貼付された剥離用テープPTは図示しない回収手段によって回収され、その後、保持手段11、第1、第2のローラ31、32及びチャック37が初期位置に復帰した後、上記同様の動作が繰り返されることとなる。
従って、このような実施形態によれば、押圧ヘッド40により剥離用テープPTを接着シートSに押圧するときに、駆動ローラ20の回転により剥離用テープPTに弛みがないような張力に維持することができる。これにより、ウエハWが薄厚となっても、接着シートSがダイシングシートDSに接着することを回避でき、接着シートSの剥離時にウエハWが破損することを防止することが可能となる。
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
例えば、変位手段30及び各直動モータ34、39は、エアシリンダ、油圧シリンダ等の駆動手段に代えてもよい。
また、本発明における被着体としては、半導体ウエハに限定されるものではなく、ガラス板、鋼板、または、樹脂板等、その他の被着体も対象とすることができ、半導体ウエハは、シリコンウエハや化合物ウエハであってもよい。
更に、剥離用テープPTは、感熱接着性の接着テープ以外に感圧接着性の接着テープを採用してもよい。
また、剥離角度αは180°に限定されることなく、適宜変更が可能である。
また、接着シートSの剥離動作は、チャック37の動作を停止させ、保持手段11のみを移動させてもよいし、逆に直動モータ34による保持手段11の動作を停止させ、チャック37のみを移動させてもよい。
更に、前記実施形態では、張力調整手段としてモータM2を例示したが、エアシリンダ、油圧シリンダ、ばね等によって構成してもよく、剥離用テープPTに所定の張力を付与できるものであれば、どのような構成であってもよい。
実施形態に係るシート剥離装置の概略正面図。 図1から剥離用テープを繰り出した状態の説明用正面図。 図2から剥離用テープを更に繰り出す準備状態の説明用正面図。 剥離用テープを接着シートに貼付した状態の説明用正面図。 剥離用テープを第1及び第2のローラで挟み込んだ状態の説明用正面図。 (A)及び(B)は、接着シートの剥離中の説明用部分正面図。 従来例に係るシート剥離装置の部分概略正面図。
符号の説明
10 シート剥離装置
11 保持手段
13 繰出手段
16 貼付手段
20 駆動ローラ(張力調整手段)
21 ピンチローラ(張力調整手段)
29 移動手段
PT 剥離用テープ
S 接着シート
M2 モータ(張力調整手段)
W 半導体ウエハ(被着体)

Claims (2)

  1. 被着体に貼付された接着シートに剥離用テープを貼付し、当該剥離用テープを介して前記接着シートを被着体から剥離するシート剥離装置において、
    前記剥離用テープを支持する支持手段と、前記被着体を保持する保持手段と、前記剥離用テープを繰り出す繰出手段と、剥離用テープを接着シートに押圧して貼付する貼付手段と、前記剥離用テープを把持可能なチャックを含んで接着シートに貼付されて前記チャックに把持された剥離用テープと前記保持手段とを相対移動させて接着シートを剥離する移動手段と、前記剥離用テープを切断可能なテープ切断手段とを備え、
    前記繰出手段は、前記チャックによって剥離用テープが把持されてから、前記貼付手段によって前記剥離用テープを貼付し、当該剥離用テープが前記テープ切断手段によって切断される迄の間、当該剥離用テープの張力を所定値に維持可能な張力調整手段を備え、
    前記張力調整手段は、前記剥離用テープを貼付手段側に繰り出す方向と、当該繰り出す方向の反対方向とに正逆回転可能なモータと、前記モータの出力軸に連結された駆動ローラと、この駆動ローラとの間に剥離用テープを挟み込むピンチローラとからなり、前記剥離用テープの繰り出し経路上における前記支持手段と貼付手段との間に位置することを特徴とするシート剥離装置。
  2. 請求項1記載のシート剥離装置を用いたシート剥離方法において、
    前記被着体を保持手段で保持する工程と、
    前記剥離用テープを繰り出し、被着体に貼付された接着シートに対向する位置に剥離用テープを繰り出す工程と、
    前記剥離用テープの張力を所定値に維持しつつ、チャックによる剥離用テープの把持と、前記接着シートへの剥離用テープの押圧貼付と、当該剥離用テープの切断とを行う工程と、
    前記接着シートに貼付された剥離用テープと前記保持手段とを相対移動させて接着シートを剥離する工程とを行うことを特徴とするシート剥離方法。
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