JP5202377B2 - カバーレイフィルムおよびフレキシブルプリント配線板 - Google Patents
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(1)耐熱プラスチックフィルム表面の銅箔配線回路上に、アンダーコート層、金属粉を含む導電ペーストを塗布したシールド層、オーバーコート層を順次設け、銅箔配線回路のグランドパターンとシールド層とが適宜の間隔でアンダーコート層を貫通して電気的に接続しているフレキシブルプリント配線板(特許文献1)。
(2)カバーレイフィルムの片面に金属薄膜層と金属フィラーを含む導電性接着剤層とを順次設けた電磁波シールドフィルムを、プリント回路のうちグランド回路の一部を除いて絶縁する絶縁層が設けられた基体フィルム上に、導電性接着剤層が絶縁層およびグランド回路の一部と接着するように載置したフレキシブルプリント配線板(特許文献2)。
(i)金属粉を含むシールド層は、多くの異種材料界面を有しているため脆く、フレキシブル配線板の屈曲繰り返しに対し、十分な強度を有していない。
(ii)グランドパターンの一部を除く銅箔配線回路とシールド層との絶縁を保つためにアンダーコート層が必要であり、フレキシブルプリント配線板が厚くなる。
(iii)グランドパターンの一部とシールド層とを電気的に接続するために、アンダーコート層の一部に透孔を形成する必要があり、透孔の加工に手間がかかる。
(i)金属フィラーを含む導電性接着剤層は、多くの異種材料界面を有しているため脆く、フレキシブル配線板の屈曲繰り返しに対し、十分な強度を有していない。
(ii)グランド回路の一部を除くプリント回路と導電性接着剤層との絶縁を保つために絶縁層が必要であり、フレキシブルプリント配線板が厚くなる。
(iii)グランド回路の一部と導電性接着剤層とを電気的に接続するために、絶縁層の一部に貫通孔を形成する必要があり、貫通孔の加工に手間がかかる。
前記電磁波シールド層の表面抵抗は、0.01〜5Ωであることが好ましく、前記抵抗体層の表面抵抗は、前記電磁波シールド層の表面抵抗の2〜100倍であることが好ましい。
前記第2の絶縁性樹脂層は、ゴム弾性体からなることが好ましい。
前記カバーレイフィルム本体の厚さは、5〜50μmであることが好ましい。
本発明のフレキシブルプリント配線板は、電磁波シールド機能を有し、屈曲性に優れ、薄肉化が可能であり、かつ電磁波シールド層をグランド回路に接続させる必要がない。
さらには、配線導体上を絶縁層(電磁波シールド機能のない、通常のカバーレイフィルム等)で絶縁隔置する必要がないため、部材を低減すことができ、また工程を省力化できるという効果を有するものである。
図1は、本発明のカバーレイフィルムの一例を示す断面図である。カバーレイフィルム10は、第1の絶縁性樹脂層22と電磁波シールド層24と抵抗体層26とを順に有するカバーレイフィルム本体20と、カバーレイフィルム本体20の抵抗体層26側の面に設けられた絶縁性接着剤層30とを有する。
第1の絶縁性樹脂層22は、樹脂またはゴム弾性体からなる層である。第1の絶縁性樹脂層22の表面抵抗は、1×106Ω以上が好ましい。
第1の絶縁性樹脂層22としては、フィルムからなる層が好ましい。
フィルムの厚さは、可とう性の点から、3〜25μmが好ましい。
電磁波シールド層24は、導電性材料からなる層である。電磁波シールド層24の表面抵抗は、0.01〜5Ωが好ましく、0.01〜1Ωがより好ましい。電磁波シールド層24の透過減衰特性は、−10dB以下が好ましく、−40dB以下がより好ましい。透過減衰特性は、例えば、ASTM D4935に準拠した、シールド効果を平面波で測定する同軸管タイプシールド効果測定システム(キーコム社製)を用いて測定することがでる。
電磁波シールド層24の形態としては、金属蒸着膜、金属箔、導電性樹脂または導電性高分子からなるフィルムまたは塗膜等が挙げられ、屈曲性、薄肉化、耐久性、導電性の点から、金属蒸着膜が特に好ましい。
金属蒸着膜の厚さは、表面抵抗値、耐屈曲特性の点から、50〜200nmが好ましい。
抵抗体層26は、電磁波シールド層24より高い表面抵抗を有する層である。抵抗体層26の表面抵抗は、電磁波シールド層24の表面抵抗の2〜100倍が好ましい。
抵抗体層26の材料としては、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。材料の固有抵抗が低い場合は、抵抗体層26を薄くすることで、表面抵抗を高く調整できるが、厚さのコントロールが難しくなるため、抵抗体層26の材料としては、比較的高い固有抵抗を有する材料が好ましい。
強磁性金属としては、鉄、カルボニル鉄、鉄合金(Fe−Ni、Fe−Co、Fe−Cr、Fe−Si、Fe−Al、Fe−Cr−Si、Fe−Cr−Al、Fe−Al−Si、Fe−Pt等)、コバルト、ニッケル、これらの合金等が挙げられる。
常磁性金属としては、金、銀、銅、錫、鉛、タングステン、ケイ素、アルミニウム、チタン、クロム、タンタル、モリブデン、それらの合金、アモルファス合金、強磁性金属との合金等が挙げられる。
金属としては、酸化に対して抵抗力のある点から、ニッケル、鉄クロム合金、タングステン、クロム、タンタルが好ましく、実用的には、ニッケル、ニッケルクロム合金、鉄クロム合金、タングステン、クロム、タンタルがより好ましく、ニッケルまたはニッケル合金が特に好ましい。
導電性セラミックスは、物理的蒸着法における反応性ガスとして、窒素、炭素、ケイ素、ホウ素、リンおよび硫黄からなる群から選ばれる1種以上の元素を含むガスを用いることによって容易に得られる。
抵抗体層26の厚さは、5〜50nmが好ましい。
電磁波シールド層24および抵抗体層26は、フレキシブルプリント配線板の配線導体、外部の導体等に触れないように、第1の絶縁性樹脂層22と第2の絶縁性樹脂層28との間に存在することが好ましい。
また、電磁波シールド層24が絶縁性接着剤層30に隣接している場合、絶縁性接着剤が流動して電磁波シールド層24とフレキシブルプリント配線板の配線導体とが接触する可能性があるため、電磁波シールド層24と絶縁性接着剤層30との間に、第2の絶縁性樹脂層28を存在させることが好ましい。
また、カバーレイフィルム10表層に電磁波シールド層24がある場合、電磁波シールド層24と外部の導体とが接触する可能性があるため、電磁波シールド層24の表面にコーティング等により第2の絶縁性樹脂層28を設けてもよい。
第2の絶縁性樹脂層28としては、ゴム弾性体が好ましく、耐熱性、可とう性を有するゴム弾性体がより好ましい。ゴム弾性体としては、DMA法による貯蔵弾性率が1×106Pa以下のものが好ましい。該ゴム弾性体としては、ポリウレタン、ニトリルゴム、これらの混合物、変性物等が挙げられる。
ハイブリッド体は、加水分解性アルコキシシラン(例えばテトラエトキシシラン)の加水分解および重縮合を利用して、いわゆるフィラー効果によりポリウレタンにシリカ粒子を分散させたものである。ハイブリッド体は、高分子鎖とシリカ粒子とのネットワークが形成されることにより300℃でも低粘度化することはない。また、シリカ粒子と湿式めっきや物理的蒸着で形成された金属膜との親和性が高く、密着性が高くなる。
第2の絶縁性樹脂層28は、ゴム弾性体の溶剤溶液をコーティングすることによって形成される。
第2の絶縁性樹脂層28の厚さは、2〜10μmが好ましい。
カバーレイフィルム本体20の厚さは、屈曲性の点から、5〜50μmが好ましい。カバーレイフィルム本体20の厚さが5μm以上であれば、カバーレイフィルム10が十分な強度を有し、絶縁信頼性が高くなる。カバーレイフィルム本体20の厚さが50μm以下であれば、フレキシブルプリント配線板の屈曲性が良好となり、繰り返しの折り曲げによっても配線導体にクラックが生じにくく、断線しにくい。
絶縁性接着剤層30は、カバーレイフィルム本体20をフレキシブルプリント配線板に貼着させるものである。
絶縁性接着剤としては、エポキシ樹脂に可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシル変性ニトリルゴム等)を含有させた半硬化状態のものが好ましい。該絶縁性接着剤は、熱プレス等の加熱により流動状態となり、再活性化することにより接着性を発現する。
絶縁性接着剤中には、絶縁性接着剤が流動して電磁波シールド層24とフレキシブルプリント配線板の配線導体とが接触することを防ぐために、粒径が1〜10μm程度のスペーサー粒子を含むことも可能であり、該粒子が、流動性調整あるいは難燃性等の別の機能を有していても構わない。
グランド回路に接続していない電磁波シールド層24はアンテナとして働き、電磁波ノイズは電磁波シールド層24内を高周波電流となって流れ、その縁端部から再度放出される。再放出時には、電磁波シールド層24の縁端部に電磁界の変動が生まれ、そのうち磁界変動に伴う渦電流が抵抗体層26に流れて、熱損失するため、電磁波ノイズのエネルギーが減衰するものと考えられる。
図8は、本発明のフレキシブルプリント配線板の一例を示す断面図であり、図9は、斜視図である。フレキシブルプリント配線板50は、絶縁性フィルム62上に配線導体64が形成されたフレキシブルプリント配線板本体60と、フレキシブルプリント配線板本体60の両面に絶縁性接着剤層30によって貼着された2つのカバーレイフィルム10とを有する。
フレキシブルプリント配線板50の端部は、ハンダ接続、コネクター接続、部品搭載等のため、カバーレイフィルム10に覆われていない。該端部以外は折り曲げられる部位であって、通常、折り曲げ外径1〜3mmで180度ほど折り曲げられる。
抵抗体層26は、電磁波シールド層24内を流れる高周波電流を熱損失させると同時に、配線導体内を流れる高周波の電磁波ノイズをも熱損失させる。すなわち、上述した理由と同様に、配線導体に電磁波ノイズ流れると、配線導体の縁端部に電磁界の変動が生まれ、そのうち磁界変動に伴う渦電流が抵抗体層26に流れて、熱損失するため、電磁波ノイズのエネルギーが減衰するものと考えられる。
よって、抵抗体層26に欠落部27を形成し、高周波電流を抑制したくない配線導体に抵抗体層26を対向させないようにし、電磁波ノイズを抑制したい配線導体に抵抗体層26を対向させるようにする。図10のフレキシブルプリント配線板50の場合、配線導体64の高速信号等の高周波電流を抑制することなく、配線導体66を流れる電磁波ノイズを抑制できる。
フレキシブルプリント配線板本体60は、銅張積層板の銅箔を既存のエッチング手法により所望の形状のパターンに形成したものである。
銅張積層板としては、絶縁性フィルムの少なくとも片面側に銅箔を接着剤で貼り合わせた2〜3層構造のもの;銅箔上にフィルムを形成する樹脂溶液等をキャストした2層構造のもの等が挙げられる。
絶縁性フィルム62の表面抵抗は、1×106Ω以上が好ましい。
絶縁性フィルム62は、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルム等がより好ましい。
絶縁性フィルム62の厚さは、5〜50μmが好ましく、屈曲性の点から、6〜25μmがより好ましく、10〜25μmが特に好ましい。
銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられ、屈曲性の点から、圧延銅箔が好ましい。
銅箔の厚さは、3〜18μmが好ましい。
透過型電子顕微鏡(日立製作所社製、H9000NAR)を用いてカバーレイフィルムの断面を観察し、各層の5箇所の厚さを測定し、平均した。
石英ガラス上に金を蒸着して形成した、2本の薄膜金属電極(長さ10mm、幅5mm、電極間距離10mm)を用い、該電極上に被測定物を置き、被測定物上から、被測定物の10mm×20mmの領域を50gの荷重で押し付け、1mA以下の測定電流で電極間の抵抗を測定し、この値を持って表面抵抗とした。
カバーレイフィルム10の電磁波シールド機能を評価した。図11に示すシステムを用い、スペクトラムアナライザ72を内蔵したトラッキングジェネレータに同軸ケーブルで接続したシールドループアンテナ74(ループ径:8mm、ループ中心からマイクロストリップライン76までの距離:10mm)から発信した電磁波ノイズ(1MHzから2GHz)をライン長55mmのマイクロストリップライン76(Z:50Ω、基板サイズ:50mm×80mm、背面:全面グランド)で受け、カバーレイフィルム10でマイクロストリップライン76を覆うか否かの状態で受信特性をスペクトラムアナライザ72で測定した。
図12に示すように、スライドする2枚の基板82および基板84にフレキシブルプリント配線板50を固定し、端部電極間の抵抗値をモニタリングした。基板82と基板84との間隔Dが折り曲げ外径(=折り曲げ半径×2)となる。スライド条件は、ストローク40mmで、往復回数は60回/分で行い、初期抵抗値が2倍になった回数を破断回数とした。
80mm×80mm×厚さ12.5μmのポリイミドフィルムの表面の中央に、開口部が50mm×45mmのマスクを被せた。該開口部に、マグネトロンスパッタ法にてアルミニウムを物理的に蒸着させ、50mm×45mm×厚さ120nmのアルミニウム蒸着膜(表面抵抗:2Ω)を形成した。
アルミニウム蒸着膜側の表面に、マグネトロンスパッタ法にてニッケルを物理的に蒸着させ、80mm×80mm×厚さ20nmのニッケル蒸着膜(表面抵抗:20Ω)を形成した。
ニッケル蒸着膜の表面に、ニトリルゴム変性エポキシ樹脂からなる絶縁性接着剤を、乾燥膜厚が20μmになるように塗布し、図1に示すカバーレイフィルム10を得た。
図11に示すマイクロストリップ基板に該サンプルの絶縁性接着剤層30側を押し当て、マイクロストリップライン76をカバーレイフィルム10で覆った。シールドループアンテナ74から1MHzから2GHzの掃引された高周波信号を出力し、受信特性を測定した。受信特性を図13に示す。また、マイクロストリップライン76がカバーレイフィルム10で覆われていない状態での受信特性も図13に示す。マイクロストリップライン76がカバーレイフィルム10で覆われていない状態に比べ、マイクロストリップライン76がカバーレイフィルム10で覆われた状態では、受信特性は数dBから最大40dBほど減衰した。
フレキシブルプリント配線板50を、図12に示す基板82および基板84にハンダ接続し、間隔Dを1mm(折り曲げ半径は0.5mm)とし、ストローク:40mmで基板をスライドさせ、往復回数:60回/分で破断回数を測定した。破断回数は68万回であった。
80mm×80mm×厚さ3μmのポリフェニレンサルファイドフィルムの表面の中央に、開口部が40mm×45mmのマスクを被せた。該開口部に、イオンビーム蒸着法にてアルミニウムを物理的に蒸着させ、40mm×45mm×厚さ100nmのアルミニウム蒸着膜(表面抵抗:2.5Ω)を形成した。
ポリフェニレンサルファイドフィルムの裏面に、マグネトロンスパッタ法にて鉄コバルト合金を物理的に蒸着させ、80mm×80mm×厚さ5nmの鉄コバルト合金蒸着膜(表面抵抗:250Ω)を形成した。
アルミニウム蒸着膜側の表面に、ポリウレタンにナノサイズのシリカ粒子を分散させたハイブリッド体(貯蔵弾性率:1×106Pa)の溶剤溶液を塗布し、厚さ10μmのハイブリッド体層を形成した。
ハイブリッド体層の表面に、ニトリルゴム変性エポキシ樹脂からなる絶縁性接着剤を、乾燥膜厚が12μmになるように塗布し、図2に示すカバーレイフィルム10を得た。
実施例1と同様にして電磁波シールド機能を評価した。受信特性を図14に示す。マイクロストリップライン76がカバーレイフィルム10で覆われていない状態に比べ、マイクロストリップライン76がカバーレイフィルム10で覆われた状態では、受信特性は数dBから最大35dBほど減衰した。
図15に示す構造を有するフレキシブルプリント配線板150を作製した。
まず、厚さ12.5μmのポリイミドフィルム120の表面に、ニトリルゴム変性エポキシ樹脂からなる絶縁性接着剤を、乾燥膜厚が20μmになるように塗布し、絶縁性接着剤層130を形成し、カバーレイフィルム110を得た。カバーレイフィルム110には接地のための透孔112を形成した。
フレキシブルプリント配線板本体160に、端部電極を除いてカバーレイフィルム110(20mm×100mm)を熱プレスにより貼着した。
ニトリルゴム変性エポキシ樹脂からなる絶縁性接着剤に、平均粒径が10μmのニッケル粒子を5体積%分散させた導電性接着剤を用意した。
アルミニウム蒸着膜174の表面に、導電性接着剤を、乾燥膜厚が12μmになるように塗布し、導電性接着剤層176を形成し、電磁波シールドフィルム170を得た。電磁波シールドフィルム170を50mm×45mmの大きさに切り出した。
該フレキシブルプリント配線板の屈曲性を実施例2と同様に評価した。破断回数は30万回であり、実施例2に比べ劣っていた。
50mm×80mm×厚さ10μmのポリイミドフィルムの表面に、マグネトロンスパッタ法にてニッケルクロム合金を物理的に蒸着させ、50mm×80mm×厚さ30nmのニッケルクロム合金蒸着膜(表面抵抗:50Ω)を形成した。
ニッケルクロム合金蒸着膜の表面に、銀フレーク粉を混合した導電ペーストをコーティングして、50mm×45mm×厚さ7μmの導電塗膜(表面抵抗:5Ω)を形成した。
さらにその表面に、ニトリル変性エポキシ樹脂からなる絶縁性接着剤を、乾燥膜厚が10μmになるように塗布し、図3に示すカバーレイフィルム10を得た。
ついで、実施例1と同様にしてカバーレイフィルム10が両面に貼着されたフレキシブルプリント配線板を作製した。電磁波シールド層は配線導体を覆うように設けられているが、配線導体には接地されていない。該フレキシブルプリント配線板の屈曲性を評価した。破断回数は32万回であった。
50mm×80mm×厚さ10μmのポリイミドフィルムの表面に、銀フレーク粉を混合した導電ペーストをコーティングして、50mm×45mm×厚さ7μmの導電塗膜(表面抵抗:5Ω)を形成した。
ポリイミドフィルムの裏面に、マグネトロンスパッタ法にてニッケルクロム合金を物理的に蒸着させ、50mm×80mm×厚さ30nmのニッケルクロム合金蒸着膜(表面抵抗:50Ω)を形成した。
ニッケルクロム合金蒸着膜の表面に、ニトリル変性エポキシ樹脂からなる絶縁性接着剤を、乾燥膜厚が10μmになるように塗布し、図4に示すカバーレイフィルム10を得た。
ついで、実施例1と同様にしてカバーレイフィルム10が両面に貼着されたフレキシブルプリント配線板を作製した。電磁波シールド層は配線導体を覆うように設けられているが、配線導体には接地されていない。該フレキシブルプリント配線板の屈曲性を評価した。破断回数は35万回であった。
50mm×80mm×厚さ12.5μmのポリイミドフィルムの表面に、EB蒸着法にてアルミニウムを物理的に蒸着させ、50mm×45mm×厚さ100nmのアルミニウム蒸着膜(表面抵抗:2.5Ω)を形成し、縁端部をエッチングして、50mm×45mmの大きさとした。
アルミニウム蒸着膜側の表面に、EB蒸着法にてニッケルを物理的に蒸着させ、50mm×80mm×厚さ25nmのニッケル蒸着膜(表面抵抗:15Ω)を形成した。
ニッケル蒸着膜の表面に、ポリウレタンにナノサイズのシリカ粒子を分散させたハイブリッド体(貯蔵弾性率:1×106Pa)の溶剤溶液を塗布し、厚さ4μmのハイブリッド体層を形成した。
ハイブリッド体層の表面に、ニトリルゴム変性エポキシ樹脂からなる絶縁性接着剤を、乾燥膜厚が10μmになるように塗布し、図5に示すカバーレイフィルム10を得た。
ついで、実施例1と同様にしてカバーレイフィルム10が両面に貼着されたフレキシブルプリント配線板を作製した。電磁波シールド層は配線導体を覆うように設けられているが、配線導体には接地されていない。該フレキシブルプリント配線板の屈曲性を評価した。破断回数は40万回であった。
50mm×80mm×厚さ50μmのポリエステルフィルムからなる離型性のキャリアフィルムに、ポリウレタンにナノサイズのシリカ粒子を分散させたハイブリッド体(貯蔵弾性率:1×106Pa)の溶剤溶液を塗布し、厚さ15μmのハイブリッド体層を形成した。
ハイブリッド体層の表面に、EB蒸着法にて銅を物理的に蒸着させ、50mm×80mm×厚さ100nmの銅蒸着膜(表面抵抗:1.5Ω)を形成し、縁端部をエッチングして、50mm×45mmの大きさとした。
銅蒸着膜およびハイブリッド体層の表面に、窒素ガスを含む反応性ガスを用いた反応性スパッタ法によりニッケルを物理的に蒸着させ、50mm×80mm×厚さ40nmの窒化ニッケル蒸着膜(表面抵抗:18Ω)を形成した。
窒化ニッケル蒸着膜の表面に、ポリウレタンにナノサイズのシリカ粒子を分散させたハイブリッド体(貯蔵弾性率:1×106Pa)の溶剤溶液を塗布し、厚さ5μmのハイブリッド体層を形成した。
ハイブリッド体層の表面に、ニトリルゴム変性エポキシ樹脂からなる絶縁性接着剤を、乾燥膜厚が10μmになるように塗布し、図6に示すカバーレイフィルム10を得た。キャリアフィルム40は、カバーレイフィルム10をフレキシブルプリント配線板本体に貼着した後、剥離した。
ついで、実施例1と同様にしてカバーレイフィルム10が両面に貼着されたフレキシブルプリント配線板を作製した。電磁波シールド層は配線導体を覆うように設けられているが、配線導体には接地されていない。該フレキシブルプリント配線板の屈曲性を評価した。破断回数は47万回であった。
50mm×80mm×厚さ10μmのポリイミドフィルムの表面に、酸素プラズマ処理により親水化処理を施した後、マスクを被せ、銀を抵抗加熱蒸着して、50mm×45mm×厚さ7μmの導電塗膜(表面抵抗:0.3Ω)を形成した。
ポリイミドフィルムの裏面に、マグネトロンスパッタ法にて窒素存在下でニッケルを反応性スパッタで蒸着させ、50mm×80mm×厚さ30nmの窒化ニッケル蒸着膜(表面抵抗:50Ω)を形成した。ついで、窒化ニッケル蒸着膜の一部を酸によりエッチングし、20mm×80mmの欠落部を形成した。
窒化ニッケル蒸着膜の表面に、ニトリル変性エポキシ樹脂からなる絶縁性接着剤を、乾燥膜厚が20μmになるように塗布し、図7に示すカバーレイフィルム10を得た。
配線導体66および配線導体64の端部をネットワークアナライザに接続し、各配線導体の伝送特性を測定した。結果を図16に示す。抵抗体層26の効果により、配線導体66を流れる高周波の電磁波ノイズは抑制され、また、欠落部27により、配線導体64においては良好な高周波信号の透過特性を示した。
20 カバーレイフィルム本体
22 第1の絶縁性樹脂層
24 電磁波シールド層
26 抵抗体層
28 第2の絶縁性樹脂層
30 絶縁性接着剤層
50 フレキシブルプリント配線板
60 フレキシブルプリント配線板本体
62 絶縁性フィルム
64 配線導体
66 配線導体
68 グランド層
Claims (7)
- カバーレイフィルム本体と、
該カバーレイフィルム本体の片面に設けられた絶縁性接着剤層と
を有し、
前記カバーレイフィルム本体が、第1の絶縁性樹脂層と電磁波シールド層と抵抗体層とを有し、
前記抵抗体層の面積が、前記電磁波シールド層の面積より大きく、
該抵抗体層が、前記電磁波シールド層と対向している領域(I)および前記電磁波シールド層と対向していない領域(II)を有する、カバーレイフィルム。 - 前記電磁波シールド層が、金属蒸着膜であり、該金属蒸着膜の厚さが、50〜200nmである、請求項1に記載のカバーレイフィルム。
- 前記電磁波シールド層の表面抵抗が、0.01〜5Ωであり、
前記抵抗体層の表面抵抗が、前記電磁波シールド層の表面抵抗の2〜100倍である、請求項1または2に記載のカバーレイフィルム。 - 前記カバーレイフィルム本体が、さらに第2の絶縁性樹脂層を有し、
前記第1の絶縁性樹脂層と前記第2の絶縁性樹脂層との間に、前記電磁波シールド層および前記抵抗体層が存在する、請求項1〜3のいずれかに記載のカバーレイフィルム。 - 前記第2の絶縁性樹脂層が、ゴム弾性体からなる、請求項4に記載のカバーレイフィルム。
- 前記カバーレイフィルム本体の厚さが、5〜50μmである、請求項1〜5のいずれかに記載のカバーレイフィルム。
- 絶縁性フィルム上に配線導体が形成されたフレキシブルプリント配線板本体と、
該フレキシブルプリント配線板本体に前記絶縁性接着剤層によって貼着された請求項1〜6のいずれかに記載のカバーレイフィルムと
を有する、フレキシブルプリント配線板。
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