JP5201654B2 - 燃料電池、燃料電池システムおよび電子機器 - Google Patents
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Description
CH3OH+H2O→CO2↑+6H++6e-
の酸化反応により、二酸化炭素ガスが燃料極側で発生する。
図1は、本発明の燃料電池の好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。図1に示す燃料電池100は、電解質膜101と、電解質膜101の一方の表面に形成された燃料極102と、電解質膜101の他方の表面に形成された空気極103と、燃料極102に接して形成された非多孔膜からなる分離層104と、液体燃料を内部に充填するための凹部を有する形状とされた燃料極筐体105とを少なくとも備える。また、分離層104が燃料極筐体105の凹部を封止するように設けられることによって、分離層104と燃料極筐体105とが液体燃料室106を形成している。
本発明において使用される非多孔膜からなる分離層としては、たとえば液体浸透膜のように液体燃料を浸透し拡散することにより通過させる層を例示できる。非多孔膜の具体例としては、透析や逆浸透法、浸透気化等の膜分離プロセスに用いられる膜を用いることができる。
本発明の燃料電池における電解質膜は、燃料極から空気極へプロトンを伝達する機能と、燃料極と空気極との電気的絶縁性を保ち短絡を防止する機能を有する。
図2は、図1に示す燃料電池の燃料極側の好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。本発明の燃料電池においては、燃料極が触媒と電解質とを少なくとも有し、該電解質が分離層に接して形成されることが好ましい。図2において、燃料極102は燃料極触媒層からなり、触媒11が導電体12に担持された触媒担持導電体と、電解質13とから構成される。触媒11は、液体燃料をプロトンと電子と排ガスとに分解し、電解質13は、生成した該プロトンを電解質膜101へ伝導し、導電体12は生成した電子を集電体に導電する。また、燃料極102で生成した排ガスは、細孔Pを面方向に通過すること等によって燃料電池の外部に排出される。
燃料極筐体105は、燃料容器としての機能を有する。本発明において、分離層104は液体燃料室106の燃料極側の部分を密閉するように形成される。本発明においては、燃料極筐体105が開孔を有することによって液体燃料室106が外部と接して良いが、燃料供給および圧力調節のための開孔を除いて密閉されていることが好ましい。この場合、液体燃料の漏洩を防止して、動作方位にかかわらずより安定かつ良好な発電特性を有する燃料電池が得られる。
空気極は、典型的には少なくとも空気極触媒層を有し、空気極の構成は、燃料極で上述したのと同様の構成を好ましく採用できる。なお、燃料極触媒層と空気極触媒層との材質および形状は同一でも良いし異なっていても良い。
図3は、本発明の燃料電池の好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。図3に示す燃料電池110においては、分離層104と燃料極筐体105と封止部材111とによって液体燃料室106が形成されている。本発明においては、たとえば図3に示すような封止部材111を介して燃料極筐体105と分離層104とを部分的に接合し、分離層104と燃料極筐体105と封止部材111とによって封止された液体燃料室106を形成するような構成も採用できる。この場合、燃料極筐体105としてはたとえば平板状のもの等も使用できる。上記の封止部材11としては、たとえばシリコンラバーや、テフロン(登録商標)シート等のフッ素樹脂シートのガスケット等を用いることができる。
図4は、本発明の燃料電池システムの好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。図4に示す燃料電池システム200には、前述の燃料電池100が組み込まれている。また燃料電池システム200は、液体燃料室106に液体燃料を供給するための燃料供給部21をさらに備える。燃料供給部21には、該燃料供給部21の内部の空間である内室を大気圧に保つための圧力調節機構22が1箇所以上設けられている。なお圧力調節機構22は燃料供給部21以外に設けても良く、たとえば燃料電池100に設けることもできる。また、燃料極筐体105と燃料供給部21とに、燃料供給部21から液体燃料室106に液体燃料を供給するための燃料供給孔23が、燃料供給部21の内室と液体燃料室106とを繋ぐように1箇所以上形成されている。
図5は、本発明の燃料電池システムの好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。図5に示す燃料電池システム300は、前述の燃料電池システム200における燃料供給部21の内室に、液体燃料を収容するための燃料収容部24を備える。液体燃料室106と燃料収容部24の内室とが燃料供給孔23によって繋がるように、該燃料収容部24にも開孔が設けられることが好ましい。
図6は、本発明の燃料電池の好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。本発明においては、図6に示す燃料電池400のように、燃料極402が、燃料極触媒層402aと燃料極導電層402bとを有しても良い。燃料極導電層402bは、燃料電池の外部まで連続するように引き出されており、この場合燃料極導電層402bを集電体として用いることができる。
本実施の形態においては、液体燃料室106から分離層104を透過して供給された液体燃料が、燃料極触媒層402aに到達する。燃料極導電層402bは、燃料極触媒層402aから電子を集電する機能と、電気的配線を行なう機能とを有する。燃料極導電層402bの材質は、比抵抗が小さく、面方向に電流を取り出しても電圧の低下が抑制される点で金属が好ましく、電子伝導性を有し、酸性雰囲気下で耐腐食性を有する金属材質であればより好ましい。具体的には、Au、Pt、Pd等の貴金属、C、Ti、Ta、W、Nb、Ni、Al、Cr、Ag、Cu、Zn、Su等の金属やSiおよびこれらの金属の窒化物、炭化物等、さらにステンレス、Cu−Cr、Ni−Cr、Ti−Pt等の合金等を用いることが好ましく、Pt、Ti、Au、Ag、Cu、Ni、Wからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含むことがより好ましい。
本発明の燃料電池における空気極は、空気極導電層を有しても良い。この場合、一般的に燃料電池の発電時においては、燃料極導電層よりも空気極導電層は高い電位に保たれるため、空気極導電層の材質は、燃料極導電層と同等かそれ以上に耐腐食性に優れていることが好ましい。
図8は、本発明の燃料電池の好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。本発明において、燃料極502は排ガス排出促進層502cをさらに有しても良い。図8に示す燃料電池500においては、燃料極502が、燃料極触媒層502a、燃料極導電層502b、排ガス排出促進層502cからなる。排ガス排出促進層502cを設けることにより、燃料極触媒層502a中の排ガスは燃料極導電層502bの排気通路に集められて、燃料電池の外部へ排出することを促進できる。
図9は、本発明の電子機器の好ましい例としての電子掲示板を模式的に示す断面図である。本発明の燃料電池を組み込んだ燃料電池システムは、たとえばモバイル機器等の携帯電子機器や電子掲示板等、種々の電子機器に搭載されることができる。図9に示す電子機器600は電子掲示板であって、燃料電池61と燃料供給部62とを備える燃料電池システム63が搭載されたものである。燃料電池61としては、前述したような本発明の燃料電池の単位セルを複数スタックした構造の燃料電池を適宜使用できる。本発明の燃料電池には非多孔膜からなる分離層が形成されているため、たとえば図9に示すように燃料供給部62を燃料電池61の鉛直下方に配置することも可能であり、この場合でも該分離層への液体燃料の拡散浸透によって燃料供給室が大気圧以下になるため燃料供給部62から燃料電池61の燃料極に液体燃料を供給することができる。
これまで、電解質膜としてカチオン交換膜を用いた燃料電池に関して言及してきたが、本発明はアニオン交換膜を用いた燃料電池、特にアルカリ型ダイレクトアルコール燃料電池においても同様の作用を及ぼす。たとえば、アニオン交換膜を使用したアルカリ型燃料電池において燃料としてメタノールを使用した時には、下記に示す反応、
燃料極:CH3OH+6OH-→CO2+5H2O+6e-
空気極:3/2O2+3H2O+6e-→6OH-
により発電を行なう。
反応1:CO2+2OH-→CO3 2-+H2O
を経て炭酸イオンが生成する。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
電解質膜として、40×40mm、厚さ約175μmのナフィオン(登録商標)117(デュポン社製)を用いた。
上記分離層のサイズを20mm×20mmとして燃料極筐体の上記凹部の中に収容した他は燃料電池1の作製と同様の方法で、比較例のための燃料電池2を作製した。
燃料電池1のアノードアクリルセルとカソードアクリルセルとの界面より、燃料電池の外部に引き出されたアノード金メッシュとカソード金メッシュとを負荷装置に電気的に接続した。次に、アノードアクリルセルに形成した直径1mmの穴から、注射器を用いて濃度3mol/Lのメタノール水溶液を約2.5ml注入し、10分後に、室温中で発電特性を評価した。
燃料電池2を用いた他は実施例1と同様の方法で発電特性を評価した。
Claims (8)
- 電解質膜と、
前記電解質膜の一方の表面に形成された燃料極と、
前記電解質膜の他方の表面に形成された空気極と、
前記燃料極を挟んで前記電解質膜と対向するように形成された燃料極筐体と、
前記燃料極と前記燃料極筐体との間に形成された、非多孔膜からなる分離層と、
を少なくとも備え、
少なくとも前記分離層と前記燃料極筐体とによって液体燃料を充填するための液体燃料室が形成されてなり、
前記分離層は、前記液体燃料を浸透により透過させ、前記燃料極から前記液体燃料室へ気体を透過させない層であり、
前記分離層は、高分子膜であり、
前記液体燃料室は気圧調整孔を備える、燃料電池。 - 前記燃料極は、触媒と電解質とを少なくとも有し、
前記電解質は前記分離層に接して形成されてなる、請求項1に記載の燃料電池。 - 請求項1または2に記載の燃料電池が組み込まれ、
前記液体燃料室に前記液体燃料を供給するための燃料供給部をさらに備え、
前記燃料供給部の内室と前記液体燃料室とを繋ぐ燃料供給孔が形成され、
前記燃料供給部の内室を大気圧に保つための圧力調節機構が設けられてなる、燃料電池システム。 - 電解質膜と、
前記電解質膜の一方の表面に形成された燃料極と、
前記電解質膜の他方の表面に形成された空気極と、
前記燃料極を挟んで前記電解質膜と対向するように形成された燃料極筐体と、
前記燃料極と前記燃料極筐体との間に形成された、非多孔膜からなる分離層と、
を少なくとも備え、
少なくとも前記分離層と前記燃料極筐体とによって液体燃料を充填するための液体燃料室が形成されてなり、
前記分離層は、前記液体燃料を浸透により透過させ、前記燃料極から前記液体燃料室へ気体を透過させない層であり、
前記分離層は、高分子膜であり、
前記液体燃料室に前記液体燃料を供給するための燃料供給部をさらに備え、
前記燃料供給部の内室と前記液体燃料室とを繋ぐ燃料供給孔が形成され、
前記燃料供給部の内室を大気圧に保つための圧力調節機構が設けられてなる、燃料電池システム。 - 前記燃料供給部の内室に、前記液体燃料を収容するための燃料収容部をさらに備え、
前記燃料収容部は可撓性を有する材質からなり、
前記燃料供給孔は、前記燃料収容部の内室と前記液体燃料室とを繋ぐように形成されてなる、請求項3または4に記載の燃料電池システム。 - 前記燃料収容部が有する開孔は前記燃料供給孔のみである、請求項5に記載の燃料電池システム。
- 請求項3〜6のいずれかに記載の燃料電池システムが搭載され、
前記燃料供給部が前記燃料電池の鉛直下部に配置されてなる、電子機器。 - 電子掲示板である、請求項7に記載の電子機器。
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