JP5201654B2 - 燃料電池、燃料電池システムおよび電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、小型化が可能な燃料電池、該燃料電池が組み込まれた燃料電池システム、および該燃料電池システムを搭載した電子機器に関する。
近年、情報化社会を支える携帯用電子機器の電源として、単独の発電装置として効率がよいことから、燃料電池に対する期待が高まっている。燃料電池は、燃料極において燃料を、空気極において空気中の酸素を、それぞれ電気化学的に酸化・還元し、この反応を通じて発電する。また、該反応の逆反応を利用することで純水を電気分解し、水素と酸素を発生させる電気分解装置も検討されている。
多種ある燃料電池の中でも、電解質として固体高分子イオン交換膜を用いる固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell)は、電解質膜が薄膜であり、また反応温度が100℃以下と、リン酸型や固体酸化物型などの燃料電池に比べ比較的低温である。このため、大掛かりな補機類を必要としないことから、小型な燃料電池システムの実現が可能である。
固体高分子型燃料電池の中でも、燃料極にメタノール水溶液を供給し、該メタノール水溶液から直接プロトンと電子を取り出すことにより発電を行なう、直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell)は、改質器を必要としないことから、小型電源としての実用化の可能性を秘めている。さらに、直接メタノール型燃料電池においては、常温常圧で液体であるメタノール水溶液を燃料として用いることによって、高圧ガスボンベを用いることなく高い体積エネルギー密度を有する燃料を簡易容器で取り扱うことができるため、小型電源における安全性に優れるとともに燃料容器を小さくすることが可能である。このため、携帯電子機器等の電子機器における小型電源への応用、特に、携帯電子機器用の2次電池代替用途という観点で注目が集まっている。また、液体燃料を用いた燃料電池は、たとえばエタノール、プロパノールといった、より高い体積エネルギー密度およびより高い引火点を有しかつ安全性にも優れる液体燃料を将来的に利用できる可能性を有している。
燃料電池においては、燃料極において燃料を、空気極において空気を、それぞれ電気化学的に酸化・還元することにより発電させる。燃料極にメタノール水溶液等の液体燃料を供給すると、燃料極に接触した液体燃料が酸化されて、二酸化炭素ガスなどのガスおよびプロトンに分離される。たとえばメタノール水溶液の場合では、
CH3OH+H2O→CO2↑+6H++6e-
の酸化反応により、二酸化炭素ガスが燃料極側で発生する。
プロトンは電解質膜を経て空気極側に伝達される。空気極においては、該プロトンと空気中の酸素とが反応して水が生成する。このときに、電子が外部負荷を通って燃料極から空気極に移動し、電力として取り出される。
液体燃料を用いた燃料電池は上記のような機構を有するため、燃料極はメタノール水溶液等の液体燃料と二酸化炭素ガスなどの燃料極で生成した排ガスとの気液混合状態となる。このような状況から、メタノール水溶液などの液体燃料と二酸化炭素ガスなどの排ガスとの気液混合状態から該排ガスを排出するため、撥水性の多孔質シートを用いた技術が開示されている。
また、燃料極に過剰に供給された液体燃料が電解質膜を透過して空気極に到達(すなわちクロスオーバー)することで、空気極における酸素の還元反応が阻害されたり、電力として変換できない液体燃料が増加したりし、発電効率や燃料利用効率の低下が引き起こされる。
特許文献1には、燃料極に液体燃料が過剰に供給されることを抑制する目的で、燃料極に隣接して燃料室を備え、該燃料室に液体燃料と高分子材料とを有する燃料電池が提案されている。特許文献1で提案される燃料電池においては、発生した排ガスを排出するための流通孔が設けられており、燃料極で発生した排ガスは、燃料室に排出された後、燃料電池の外部に排出される。
特開2004−206885号公報
燃料極が液体燃料と排ガスとの気液混合状態となっている部分を有する場合、該排ガスを燃料電池の外部に排出するためのガス排出孔を設ける必要がある。しかしこの場合、該ガス排出孔からメタノール水溶液等の液体燃料が漏洩するという問題がある。また、液体燃料を燃料とする燃料電池においては、燃料極で消費される単位時間あたりの液体燃料の体積よりも、燃料極で発生する単位時間あたりの排ガスの体積は大きくなる。よって排ガスが燃料室に排出される場合、燃料室の内圧は大気圧以上に上昇することになる。そのため、特許文献1に提案されるような構成の燃料電池においては、燃料室に外部から燃料を効率良く供給するためには液送ポンプや圧力素子等の加圧機構を用いることが必要であり、燃料電池の小型化が難しいという問題がある。
本発明は上記の課題を解決し、液体燃料の供給のための加圧機構を必要とせず、小型化が可能な燃料電池、さらに、該燃料電池が組み込まれた燃料電池システムおよび該燃料電池システムが搭載された電子機器を提供することを目的とする。
本発明は、電解質膜と、電解質膜の一方の表面に形成された燃料極と、電解質膜の他方の表面に形成された空気極と、燃料極を挟んで電解質膜と対向するように形成された燃料極筐体と、燃料極と燃料極筐体との間に形成された、非多孔膜からなる分離層とを少なくとも備え、分離層は、液体燃料が透過する層であり、少なくとも分離層と燃料極筐体とによって、液体燃料を充填するための液体燃料室が形成されてなる、燃料電池に関する。
本発明の燃料電池において、燃料極は、触媒と電解質とを少なくとも有し、電解質は分離層に接して形成されてなることが好ましい。
本発明はまた、上述のいずれかの燃料電池が組み込まれ、液体燃料室に液体燃料を供給するための燃料供給部をさらに備え、燃料供給部の内室と液体燃料室とを繋ぐ燃料供給孔が形成され、燃料供給部の内室を大気圧に保つための圧力調節機構が設けられてなる、燃料電池システムに関する。
本発明の燃料電池システムは、燃料供給部の内室に、液体燃料を収容するための燃料収容部をさらに備え、燃料収容部は可撓性を有する材質からなり、燃料供給孔は、燃料収容部の内室と液体燃料室とを繋ぐように形成されることが好ましい。
本発明の燃料電池システムにおいて、燃料収容部が有する開孔は燃料供給孔のみであることが好ましい。
本発明はまた、上述のいずれかの燃料電池システムが搭載され、燃料供給部が燃料電池の鉛直下部に配置されてなる電子機器に関する。
本発明の電子機器はたとえば電子掲示板であることができる。
本発明によれば、液体燃料を透過させ気体を透過させない分離層が燃料極筐体の凹部を封止するように設けられることによって、燃料極で発生した排ガスは液体燃料室に混入することなく燃料電池外部に排出されることができる。これにより、液体燃料室の内圧上昇が防止され、加圧機構を用いなくても液体燃料室から燃料極に液体燃料を効率良く供給できる。よって本発明によれば、小型化が可能な燃料電池、該燃料電池を組み込んだ燃料電池システムおよび該燃料電池システムを搭載した電子機器を提供することができる。
本発明の燃料電池は、電解質膜と、電解質膜の一方の表面に形成された燃料極と、電解質膜の他方の表面に形成された空気極と、燃料極を挟んで電解質膜と対向するように形成された燃料極筐体と、燃料極と燃料極筐体との間に形成された、非多孔膜からなる分離層と、を少なくとも備える。分離層は、液体燃料を透過させる層であって、典型的には、液体燃料と気体とのうち液体燃料を選択的に透過させる層である。本発明においては、少なくとも分離層と燃料極筐体とによって、液体燃料を充填するための液体燃料室が形成されている。このような構成により、本発明においては、燃料極で生成した排ガスの液体燃料室内への混入が分離層に阻まれて防止され、燃料電池の発電時における液体燃料室の内圧上昇が防止される。よって、液体燃料室から燃料電池外部への液体燃料の漏洩を防止できる。
また、分離層を設けることにより、液体燃料を供給する経路と燃料極で生成した排ガスを排出する経路とを燃料極内で分離できるため、液体燃料の供給を妨げることなく排ガスを排出できる。これにより、燃料極に液体燃料を安定して供給でき、安定な燃料電池の発電特性が維持できるという効果が得られる。
また、本発明においては、分離層として非多孔膜を用いるため、液体燃料室から分離層に供給された液体燃料は分離層内部を浸透して燃料極に達する。これにより、特に加圧機構を用いなくても液体燃料室から分離層を介して燃料極への液体燃料の供給を効率良く行なうことができ、燃料電池の小型化が可能となる。
また本発明においては、液体燃料が分離層を介して燃料極に供給される構成のため、分離層の形状および構成材料を制御することにより、燃料極に供給される液体燃料の供給速度を所望の範囲に制限することもできる。これにより、高濃度の液体燃料を供給した場合にも燃料極に達する液体燃料の濃度を一定以下の低濃度に保つことができ、電解質膜を液体燃料が透過した場合に生じる発電効率および燃料利用効率の低下、すなわちクロスオーバー現象を抑制でき、燃料電池の発電特性および燃料利用効率の低下が抑制されるという効果も付与される。
さらに、上記において燃料極に供給される液体燃料の供給速度を所定の範囲に制限することにより、燃料極内の液体燃料の濃度を液体燃料室よりも低く保ちつつ液体燃料室を経由することなく排ガスを燃料電池外部に排出できるため、排ガス中の燃料の蒸気密度を低減でき、燃料の利用効率の点でも有利である。
本発明において用いる非多孔膜からなる分離層は、典型的には、液体燃料室から燃料極に液体燃料を通過させるとともに燃料極から液体燃料室への気体の移動を遮断する層である。該分離層は、典型的には、液体燃料を透過させ易くかつ排ガスを透過させ難い材料で形成されていることにより、層厚方向において液体燃料が排ガスよりも優先的に透過するように構成されている層であり、より具体的には、液体燃料および排ガスのうち実質的に液体燃料のみを透過させる層である。
以下、本発明に係る燃料電池、燃料電池システムおよび電子機器の構成について、直接メタノール型燃料電池を例にとり、図面を参照して説明するが、本発明はこれに限るものではない。なお以下の図面において同一の参照符号を付した部位は同様の機能を有し説明を繰返さない。本発明の燃料電池に使用され得る液体燃料としては、水素を含む有機燃料が好ましく挙げられ、該有機燃料は、多種液体からなる混合液体燃料とされても良い。具体的な液体燃料としては、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどの低級アルコール、DME(ジメチルエーテル)、ホルムアルデヒド、ギ酸メチル、ギ酸、アセトン、トルエンなどから選択される1種または2種以上の混合物が例示できる。なお燃料電池の層厚方向とは、燃料電池を構成する各層の厚み方向と平行をなす方向を意味し、面方向とは、該層厚方向と垂直をなす方向を意味する。
<実施の形態1>
図1は、本発明の燃料電池の好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。図1に示す燃料電池100は、電解質膜101と、電解質膜101の一方の表面に形成された燃料極102と、電解質膜101の他方の表面に形成された空気極103と、燃料極102に接して形成された非多孔膜からなる分離層104と、液体燃料を内部に充填するための凹部を有する形状とされた燃料極筐体105とを少なくとも備える。また、分離層104が燃料極筐体105の凹部を封止するように設けられることによって、分離層104と燃料極筐体105とが液体燃料室106を形成している。
図1において、燃料極側では、液体燃料室106に供給される液体燃料は分離層104に浸透し、該分離層104を透過して燃料極102に達する。燃料極は、典型的には少なくとも燃料極触媒層を有し、液体燃料として供給されたメタノール水溶液は、燃料極触媒層における酸化反応によって、電子とプロトンと、排ガスである二酸化炭素ガスとに分解される。
本発明においては、液体燃料室106と燃料極102とが分離層104によって隔てられているため、燃料極102で生じた排ガスである二酸化炭素ガスの液体燃料室106への混入が防止される。排ガスは、たとえば燃料極102の内部等を伝って燃料電池の外部に排出される。以下、燃料電池を構成する各要素の典型的な態様について説明する。
(分離層)
本発明において使用される非多孔膜からなる分離層としては、たとえば液体浸透膜のように液体燃料を浸透し拡散することにより通過させる層を例示できる。非多孔膜の具体例としては、透析や逆浸透法、浸透気化等の膜分離プロセスに用いられる膜を用いることができる。
非多孔膜は、燃料極への液体燃料の供給速度を制限する機能をも有することができるため、使用する非多孔膜の種類を選択することによって、燃料極への液体燃料の供給速度を容易に制御できる。これにより、たとえばプロトン伝導性が非常に高い電解質を含む燃料極触媒層を形成するような場合にも、分離層によって燃料極への液体燃料の供給速度を調整し、該電解質の溶解を抑制することができる。
分離層としては、柔軟性があり亀裂や破れが生じにくい点で、高分子膜、特に有機高分子膜であることが好ましい。さらに、電解質膜とプロトン伝導経路の連続性が保たれていない燃料極触媒層中の触媒の利用効率も向上させることができる点で、該有機高分子膜は固体高分子電解質膜であることが特に好ましい。
固体高分子電解質膜としては、たとえば炭化水素系固体高分子電解質膜等を例示できる。炭化水素系固体高分子電解質膜は液体燃料の透過性が高すぎないため、高濃度の液体燃料を用いた際にも、燃料極に到達する液体燃料の供給速度を所望の程度に制限することが容易である。これにより、燃料電池の電解質膜を液体燃料が透過する現象(すなわちクロスオーバー現象)を抑制することができる。
固体高分子電解質膜の具体例としては、パーフルオロスルホン酸、スチレン系グラフト重合体、トリフルオロスチレン誘導体共重合体、スルホン化ポリアリーレンエーテル、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、ホスホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリフォスファゼン等の高いプロトン伝導性を有した固体高分子電解質膜が挙げられる。
特に、スチレン系グラフト重合体、スルホン化ポリアリーレンエーテル、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリイミドからなる群から選ばれる1以上の高分子材料からなる炭化水素系固体高分子電解質膜は好ましい。
また、分離層には、たとえば、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、エーテル基、ケトン基等の官能基を有した高分子膜を用いても良い。具体的には、ハイドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルリドン、ジメチルアクリルアミド、グリセロールメタクリレート等の高分子材料を組み合わせて共重合させた膜を用いることが好ましい。
本発明の燃料電池で使用される分離層と液体燃料とは、該液体燃料に対する分離層の膨潤率が120%以下となるように組み合されることが好ましい。この場合、分離層に高濃度の液体燃料が直接接触しても、燃料極と分離層との接合部に応力差が生じにくく、接合部の剥離を抑制することができる。これにより、剥離によって燃料極と分離層との間に空間が生じることが抑制され、燃料極に対してより安定して液体燃料を供給できる。
なお、本明細書において、分離層の膨潤率とは、乾燥状態での分離層の所定の方向の長さに対する、液体燃料中での同方向の長さの比率で表される。
また、分離層の構成材料が液体燃料に対して十分な耐溶解性を持たない場合には、電子線照射、放射線照射等により高分子材料中の立体的な網目構造を増やすことで、液体燃料への溶解性を抑制することも出来る。
(電解質膜)
本発明の燃料電池における電解質膜は、燃料極から空気極へプロトンを伝達する機能と、燃料極と空気極との電気的絶縁性を保ち短絡を防止する機能を有する。
電解質膜の材質は、プロトン伝導性を有しかつ電気的絶縁性を有する材質であれば特に限定されず、高分子膜、無機膜またはコンポジット膜を用いることができる。高分子膜としては、たとえばパーフルオロスルホン酸系電解質膜である、ナフィオン(デュポン社製)、アシプレックス(旭化成社製)、フレミオン(旭硝子社製)などが挙げられ、また、スチレン系グラフト重合体、トリフルオロスチレン誘導体共重合体、スルホン化ポリアリーレンエーテル、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、ホスホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリフォスファゼンなどの炭化水素系電解質膜なども挙げられる。無機膜としては、たとえばリン酸ガラス、硫酸水素セシウム、ポリタングストリン酸、ポリリン酸アンモニウムなどが挙げられる。コンポジット膜としては、タングステン酸、硫酸水素セシウム、ポリタングストリン酸等の無機物とポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、パーフルオロスルホン酸等の有機物とのコンポジットなどが挙げられ、具体的にはゴアセレクト膜(ゴア社製)や細孔フィリング電解質膜などが挙げられる。
(燃料極)
図2は、図1に示す燃料電池の燃料極側の好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。本発明の燃料電池においては、燃料極が触媒と電解質とを少なくとも有し、該電解質が分離層に接して形成されることが好ましい。図2において、燃料極102は燃料極触媒層からなり、触媒11が導電体12に担持された触媒担持導電体と、電解質13とから構成される。触媒11は、液体燃料をプロトンと電子と排ガスとに分解し、電解質13は、生成した該プロトンを電解質膜101へ伝導し、導電体12は生成した電子を集電体に導電する。また、燃料極102で生成した排ガスは、細孔Pを面方向に通過すること等によって燃料電池の外部に排出される。
なお、本発明において、触媒11を連続状態で形成することによって燃料極102内で生成した電子を集電体まで導電する場合には、導電体12は必ずしも用いなくても良い。
電解質13は、液体燃料の分解により生成したプロトンを伝導する機能と液体燃料を含浸する機能とを有する。電解質13は分離層104に接合されていることが好ましい。この場合、分離層104に含浸された液体燃料を、細孔Pに漏洩させることなく電解質13に含浸させることが可能となり、触媒11には液体燃料が電解質13を介して供給される。
図2に示す構成においては、電解質13が液体燃料を含浸する力を推進力として、液体燃料は分離層104から電解質13に供給される。このため、液体燃料は電解質13に含浸できる許容量を超えて供給されることがなく、細孔P中に液体燃料が漏洩することはない。これにより、細孔Pが常に気相状態に保たれ、燃料極102内から燃料電池の外部まで、液相を介さない気相の連続した孔が排ガスの排気通路として形成されることができる。このため、液体燃料の燃料電池の外部への漏洩を防止しつつ、触媒11で生成する排ガスを燃料電池の外部に排出するための圧力損失を限りなく小さくすることが可能となり、燃料極102内の圧力の上昇を良好に抑制することが可能となる。
燃料極の電解質においては、一般に、プロトン伝導性と液体燃料への溶解性とがトレードオフ関係にある。このため、高い発電特性を得るためには電解質の酸性官能基濃度を増加させ、プロトン伝導性を向上させることが求められるが、酸性官能基濃度を高くした場合、トレードオフ関係にある液体燃料への溶解性が増加するため、電解質が液体燃料に溶解してしまい高い発電特性を維持できない問題がある。
分離層104が電解質13に接して形成されている場合、電解質13に含浸できる許容量を超えて液体燃料は燃料極102に供給されないため、燃料極102中の電解質13としては、液体燃料に溶解しやすい材料も選択できる。すなわち、高い発電特性を得るために酸性官能基濃度を増加させることで液体燃料への溶解性が増大してしまう材料であっても電解質として用いることが可能となる。
本発明においては、燃料極102が層厚方向および面方向の連続孔としての細孔Pを有することが好ましい。この場合、燃料極102と分離層104との界面の細孔や、燃料極102内部の細孔を伝って排ガスを燃料電池の外部に排出することが可能となる。
燃料電池の燃料極から排出される排ガスには一般に液体燃料の蒸気も含まれているが、本発明においては、排ガスが燃料極から液体燃料室に戻らずに排出されるため、該排ガスは燃料極102の電解質13に接触しながら排出されることとなる。よって、高濃度の液体燃料を使用した場合にも、液体燃料中を通って排ガスが排出される構成と比較して、燃料電池外部に排出される排ガス中の液体燃料の蒸気の濃度は著しく低減される。
触媒は、液体燃料を分解する機能を有し、たとえばPt、Ru、Au、Ag、Rh、Pd、Os、Irなどの貴金属や、Ni、V、Ti、Co、Mo、Fe、Cu、Znなどの卑金属を、単独もしくは2種類以上の組合せで好ましく用いることができる。
触媒は、触媒活性に優れ、化学的安定性に優れる点で、たとえば、材質がPtを主成分とする貴金属であり、形状が粒子径10nm以下の粒子であることが好ましい。
導電体は、触媒を担持する機能と、電子を伝導する機能とを有する。導電体の材質としては、酸性雰囲気下の所定電位で耐腐食性がある導電性を有した材質が好ましい。具体的には、たとえばアセチレンブラック、バルカン、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、フラーレン等の炭素粒子、VGCF、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の炭素繊維、導電性を有する金属酸化物、Pt、Au、Pd等の貴金属材料、Ti、Ta、W、Cr等の耐腐食性を有した金属の粒子および繊維、等を用いることができる。
電解質としては、たとえばナフィオン(デュポン社製)、アシプレックス(旭化成社製)、フレミオン(旭硝子社製)、その他、燃料電池の電解質膜に用いられる電解質材料、などを用いることができる。
燃料極に撥水性の機能を付与するためにPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を添加したり、親水性の機能を付与するために金属酸化物であるシリカ粒子やチタニア粒子、吸湿性樹脂等を添加したりしてもよい。
なお、本発明において、分離層と燃料極とは接合されていることが好ましい。この場合、燃料極での排ガスの発生によって燃料極の内圧が上昇しても、分離層と燃料極との解離を防止できる。なお、本明細書における接合とは、外部から力を加えない状態で分離しない状態に形成することをいい、具体的には化学結合やアンカー効果や粘着力により接合された状態のことをいう。接合するための方法としては、たとえば、分離層や燃料極内の電解質の軟化点以上の熱をかけてプレス(ホットプレス)する方法や、分離層や燃料極内の電解質が可塑化する溶媒を塗布して張り合わせる方法等によって3次元的なアンカー効果で接合する方法等を例示できる。この場合、ボルトやナットなどにより締め付けを行なって外部圧をかけることなく、分離層と燃料極との電気的な接触を良好に保つことができる。該外部圧をかけない方法は、面内圧力のばらつきが生じ難く安定した発電特性が付与できる点や、燃料の供給を阻害しない点でも有利である。
(燃料極筐体)
燃料極筐体105は、燃料容器としての機能を有する。本発明において、分離層104は液体燃料室106の燃料極側の部分を密閉するように形成される。本発明においては、燃料極筐体105が開孔を有することによって液体燃料室106が外部と接して良いが、燃料供給および圧力調節のための開孔を除いて密閉されていることが好ましい。この場合、液体燃料の漏洩を防止して、動作方位にかかわらずより安定かつ良好な発電特性を有する燃料電池が得られる。
燃料極筐体105の材質は、液体燃料に溶解することなく、液体燃料やその蒸気を透過させることがなければ特に限定されない。たとえば、液体燃料として、メタノールやエタノール等の低級アルコールを用いるときには、アクリル、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等のプラスチック素材を用いることが好ましい。また、液体燃料として、プラスチックの溶解性が高いアセトンやトルエン等の有機溶剤を用いる時には、チタン、ステンレス、アルミニウム等の金属素材を用いることが好ましい。
燃料電池100においては、液体燃料の消費により液体燃料室106の内圧が大気圧よりも小さくなるが、内圧の減少により変形しない所定の剛性を有した材質を用いる場合には、燃料極筐体105に少なくとも1箇所以上の気圧調整孔(図示せず)を設けることが好ましい。さらに、該気圧調整孔には、たとえばゴアテックス等に代表される気液分離膜を設けることがより好ましい。ここにおける気液分離膜は従来のような気液混合状態から排ガスを排出するための機能を有しているのではなく、液体燃料室106の内圧の低下を補完するために、液体燃料を漏洩することなく外部から空気を取り込む機能を有している。該気圧調整孔は、液体燃料の消費により液体燃料室106の内圧が大気圧よりも小さくなることで外部から空気を取り込む機能を有している。
燃料極筐体105の形状は、分離層104で外周を封止されることによって液体燃料を充填することができる凹部を形成できれば良く特に限定されない。たとえば、プラスチック板に凹部を切削加工した形状、金属板をプレス加工し凹部を設けた形状等を用いることができる。また、可撓性を有したプラスチック膜や金属箔の外周部と分離層104の外周部とを接合し、接合されていないプラスチック膜や金属箔と分離層104との隙間に液体燃料を充填することがより好ましい。このような可撓性を有した形状によれば、該気圧調整孔を設けることなく液体燃料室106が燃料極筐体105と分離層104とによって完全に密閉されても、液体燃料の消費により燃料極筐体105が変形して内部の空間の体積が減少することで、燃料極筐体105の内部は大気圧に保たれるとともに、剛性のある材質を用いた場合に比べ、燃料電池100の一層の薄型化が可能となる。
本発明において、分離層によって燃料極筐体の凹部を封止する特に好ましい態様としては、分離層と燃料極筐体との軟化点まで局所的に熱をかけて接合する融着、分離層および燃料極筐体との良好な接着性を有する化学接着剤を用いる等の態様が挙げられる。
(空気極)
空気極は、典型的には少なくとも空気極触媒層を有し、空気極の構成は、燃料極で上述したのと同様の構成を好ましく採用できる。なお、燃料極触媒層と空気極触媒層との材質および形状は同一でも良いし異なっていても良い。
なお本発明においては空気極を覆うように多孔質層を形成しても良い。これにより、空気極触媒層における水の生成によって該空気極触媒層が水膜で覆われた際の大気中の空気の供給の阻害や、水が著しく速く蒸発することによる空気極触媒層の乾燥を防止できる。
該多孔質層の材質および形状は、大気中の酸素を透過させて空気極触媒層に供給することが可能であれば特に限定されない。たとえば、カーボンペーパーに代表されるカーボン繊維や金属繊維の不織布、カーボン繊維を束ねて編み上げたクロス、ポリテトラフルオロエチレンを結着剤としカーボン粒子や金属粒子を分散させた撥水性多孔質シート等の電子導電性の材質を用いることができる。電子導電性の材質を用いた場合には、燃料極から電子を受け取り、空気極に電子を受け渡すことを促進することが可能となる。一方、燃料電池の外部との電気的短絡を抑制することを目的とする場合には、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル等の高分子繊維を束ねて編み上げた布や不織布、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミドの多孔質シート等の絶縁性の材質を用いることが好ましい。
<実施の形態2>
図3は、本発明の燃料電池の好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。図3に示す燃料電池110においては、分離層104と燃料極筐体105と封止部材111とによって液体燃料室106が形成されている。本発明においては、たとえば図3に示すような封止部材111を介して燃料極筐体105と分離層104とを部分的に接合し、分離層104と燃料極筐体105と封止部材111とによって封止された液体燃料室106を形成するような構成も採用できる。この場合、燃料極筐体105としてはたとえば平板状のもの等も使用できる。上記の封止部材11としては、たとえばシリコンラバーや、テフロン(登録商標)シート等のフッ素樹脂シートのガスケット等を用いることができる。
なお、本実施の形態において上記した以外については実施の形態1と同様の構成を採用できここでは説明を繰返さない。
<実施の形態3>
図4は、本発明の燃料電池システムの好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。図4に示す燃料電池システム200には、前述の燃料電池100が組み込まれている。また燃料電池システム200は、液体燃料室106に液体燃料を供給するための燃料供給部21をさらに備える。燃料供給部21には、該燃料供給部21の内部の空間である内室を大気圧に保つための圧力調節機構22が1箇所以上設けられている。なお圧力調節機構22は燃料供給部21以外に設けても良く、たとえば燃料電池100に設けることもできる。また、燃料極筐体105と燃料供給部21とに、燃料供給部21から液体燃料室106に液体燃料を供給するための燃料供給孔23が、燃料供給部21の内室と液体燃料室106とを繋ぐように1箇所以上形成されている。
本発明においては、分離層104が設けられることによって、燃料電池の発電時に燃料極102で液体燃料が消費されるにつれて燃料極102の電解質に含浸している液体燃料の吸収率が低下する。これによって、特に加圧機構を用いなくても、電解質が液体燃料を含浸する力を推進力として、分離層104から燃料極102に液体燃料が供給される。また、分離層104が液体燃料を含浸させる力を推進力として、同様に液体燃料室106から分離層104に液体燃料が供給される。このとき、液体燃料の消費に伴って液体燃料室106の内圧が低下するため、図4に示すように、燃料供給孔23を介して燃料極筐体105と連結された燃料供給部21を設けることによって、燃料供給部21内の液体燃料を液体燃料室106に供給できる。圧力調節機構22によって燃料供給部21の内圧低下を防止することにより、液体燃料を効率良く燃料供給室106に供給できる。また、上記のように大気圧以下の圧力勾配で液体燃料を供給することによって、加圧機構を不要とすることができるため、燃料供給部21および燃料極筐体105の体積の大部分を液体燃料で満たすことができ、液体燃料の充填率を顕著に高くすることができる。
本発明の燃料電池がたとえばセパレータを介して複数スタックされた状態で使用される場合、燃料供給部21は該セパレータが兼ねることもできる。燃料供給部21の材質は、液体燃料に溶解することなく、液体燃料やその蒸気を透過させることがなければ特に限定されない。たとえば、液体燃料として、メタノール等の低級アルコールを用いるときには、アクリル、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等のプラスチック素材を用いることが好ましい。また、液体燃料として、プラスチックの溶解性が高いアセトンやトルエン等の有機溶剤を用いる時には、チタン、ステンレス、アルミニウム等の金属素材を用いることが好ましい。
本発明の燃料電池システム200においては、上述の燃料供給部21等の、液体燃料を供給するための機構は、燃料電池100と着脱可能であるように構成されることが好ましい。この場合、燃料供給部21を燃料カートリッジとし、液体燃料が消費された後に該燃料カートリッジを燃料電池100から取り外し、液体燃料が充填された新しい燃料カートリッジと交換することが出来る。このような構成によれば、燃料電池システム200の発電を停止させることなく長時間動作させることが可能となる。
なお、本実施の形態において上記した以外については実施の形態1と同様の構成を採用できここでは説明を繰返さない。
<実施の形態4>
図5は、本発明の燃料電池システムの好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。図5に示す燃料電池システム300は、前述の燃料電池システム200における燃料供給部21の内室に、液体燃料を収容するための燃料収容部24を備える。液体燃料室106と燃料収容部24の内室とが燃料供給孔23によって繋がるように、該燃料収容部24にも開孔が設けられることが好ましい。
燃料収容部24は、液体燃料の揮発を防止する機能を有する。該燃料収容部24は、可撓性を有する材質からなることが好ましい。この場合、液体燃料が消費されて該燃料収容部24の内圧が低下すると該燃料収容部24がつぶれるため、燃料収容部24の内圧を常に大気圧に保ち、液体燃料の供給効率を良好に維持することができる。
燃料収容部24の材質は、たとえば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等のプラスチック素材であることが好ましい。さらには、液体燃料の揮発をさらに抑制するため、アルミニウム箔を該プラスチック素材によりコーティングした素材を用いることがより好ましい。
可撓性を有する材質からなる燃料収容部24が設けられる場合、燃料供給部21は、該燃料収容部24を保護する機能も有する。この場合の燃料供給部21の材質は、たとえば、アクリル、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックや、ステンレス、アルミニウム等の金属のように、燃料収容部24が外的な要因により押しつぶされることのない所定の剛性を有した材質が好ましい。
本発明の燃料電池システムにおいて、燃料収容部24が有する開孔は、たとえば図5に示すように燃料極筐体105との間の燃料供給孔23のみであることが好ましい。この場合、燃料収容部内の液体燃料の消費に伴って該燃料収容部の体積が確実に減少することによって、燃料極筐体105を大気圧に保つ効果を良好に得ることができる。
なお、本実施の形態において上記した以外については実施の形態1と同様の構成を採用できここでは説明を繰返さない。
<実施の形態5>
図6は、本発明の燃料電池の好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。本発明においては、図6に示す燃料電池400のように、燃料極402が、燃料極触媒層402aと燃料極導電層402bとを有しても良い。燃料極導電層402bは、燃料電池の外部まで連続するように引き出されており、この場合燃料極導電層402bを集電体として用いることができる。
(燃料極導電層)
本実施の形態においては、液体燃料室106から分離層104を透過して供給された液体燃料が、燃料極触媒層402aに到達する。燃料極導電層402bは、燃料極触媒層402aから電子を集電する機能と、電気的配線を行なう機能とを有する。燃料極導電層402bの材質は、比抵抗が小さく、面方向に電流を取り出しても電圧の低下が抑制される点で金属が好ましく、電子伝導性を有し、酸性雰囲気下で耐腐食性を有する金属材質であればより好ましい。具体的には、Au、Pt、Pd等の貴金属、C、Ti、Ta、W、Nb、Ni、Al、Cr、Ag、Cu、Zn、Su等の金属やSiおよびこれらの金属の窒化物、炭化物等、さらにステンレス、Cu−Cr、Ni−Cr、Ti−Pt等の合金等を用いることが好ましく、Pt、Ti、Au、Ag、Cu、Ni、Wからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含むことがより好ましい。
また、Cu、Ag、Zn等の、酸性雰囲気下で耐腐食性に乏しい金属を用いる場合には、Au、Pt、Pdなどの耐腐食性を有する貴金属および金属材質に加え、導電性高分子、導電性窒化物、導電性炭化物、導電性酸化物等を表面コーティングとして用いることができる。この場合燃料電池の寿命を延ばすことができる。
本発明において、燃料極導電層402bの形状は、液体燃料を燃料極触媒層402aに効率良く供給できるとともに燃料極402で生成した排ガスの排出効率が良好である点で、層厚方向に貫通する複数の開孔部を有する多孔質金属層であることが好ましく、具体的には、板や箔に複数の穴を開けた多孔質金属層等を例示できる。
また、該多孔質金属層は、燃料極で生成した排ガスの排出を促進させるために、面方向、すなわち層厚方向と垂直をなす方向に連続孔を有することが好ましい。また、発泡体、焼結体、不織布、線を編んだメッシュ等の多孔質金属層はより好ましい。特に、メッシュ、発泡体および焼結体のいずれかである多孔質金属層が好ましい。
また、燃料極導電層402bが多孔質金属層である場合、該多孔質金属層の表面は凹凸形状を形成することがより好ましい。図7は、図6に示す燃料電池の燃料極側の好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。図7に示すように燃料極導電層402bの表面に凹凸形状を形成することによって、燃料電池の作製工程において、分離層104や燃料極触媒層402aにより、該凹凸形状の凹部を完全に埋め尽くされないようにすることが好ましい。たとえば、ホットプレス処理により燃料電池を作製する場合においては、凹凸形状の平均深さを10μm以上とすることが好ましい。
燃料極導電層402bが燃料電池400の外部まで面方向に引き出されている場合、分離層104や燃料極触媒層402aにより該凹凸形状が完全に埋められずに細孔Pが形成されると、該細孔Pから排ガスを燃料電池外部に効率良く排出できる点で有利である。
さらに燃料極導電層402bが面方向に連続した細孔を有する場合には、燃料極導電層402b内の該細孔の内部を排ガスが移動することによっても、排ガスが燃料電池外部に排出され得る。
この場合、燃料極導電層402bは層厚方向および面方向に連続した空隙を有しており、燃料極導電層402b内部の空隙も排ガスの排気通路となり得るため、排ガスの排出をさらに促進させることが可能となる。
燃料極触媒層402aと燃料極導電層402bとは接合されていることが好ましい。燃料極触媒層402aでの反応により得られた電子は燃料極導電層402aにおいて集電され外部に取り出される。燃料極触媒層402aと燃料極導電層402bとが接合される場合、外部圧力がない状態においても燃料極触媒層402aと燃料極導電層402bとの電気的な接続が良好に実現されるため、電圧低下を低減できる。また、面方向での圧力のばらつきが生じ難いため安定した発電特性が付与される点でも有利である。また、該外部圧力をかけない方法は燃料の供給を阻害しない点でも有利である。
燃料極導電層402bは分離層104とも接合していることがより好ましい。分離層104が燃料極導電層402bに接合されている場合、燃料極402で生成した排ガスによって燃料極402の内圧が上昇しても、燃料極導電層402bが分離層104を支えているため、燃料極触媒層402aと分離層104との解離を抑制でき、燃料極触媒層402aへの液体燃料の供給が阻害されず、安定な燃料電池の発電特性が維持できる。
(空気極導電層)
本発明の燃料電池における空気極は、空気極導電層を有しても良い。この場合、一般的に燃料電池の発電時においては、燃料極導電層よりも空気極導電層は高い電位に保たれるため、空気極導電層の材質は、燃料極導電層と同等かそれ以上に耐腐食性に優れていることが好ましい。
空気極導電層の材質は、燃料極導電層と同様の材質とされても良いが、特に、たとえば、Au、Pt、Pd等の貴金属、C、Ti、Ta、W、Nb、Cr等の金属およびこれらの金属の窒化物、炭化物等、ステンレス、Cu−Cr、Ni−Cr、Ti−Ptの合金等を用いることが好ましい。また、Cu、Ag、Zn、Ni等の酸性雰囲気下で耐腐食性に乏しい金属を用いる場合には、耐腐食性を有する貴金属および金属材質に加え、導電性高分子、導電性酸化物、導電性窒化物、導電性炭化物等を表面コーティングとして用いることができる。
空気極導電層の形状は、燃料極導電層について前述したのと同様の形状をそのまま採用することができるが、空気極導電層においては面方向へ排ガスの排出をする必要はないため、たとえば板や箔に複数の穴を開けた形状を好ましく用いることができる。
なお、燃料極導電層および空気極導電層は、従来公知の薄膜形成技術により形成されたものを用いることが可能である。燃料極導電層および空気極導電層の形成方法としては、下地となる層の上にそれぞれパターニングマスクを作製した後、薄膜を生成し、マスクを剥離することにより電極パターンを形成する方法が挙げられる。マスク作製技術としては、たとえばフォトリソグラフィー法などが挙げられる。薄膜形成技術としては、たとえばMOCVD法、スパッタ法、真空蒸着法、表面重合法、ゾルゲル法、鍍金法などの手法が挙げられる。これらの方法を用いると、線幅約十μm以下という精細な電極パターンを形成することができる。よって、高開孔率かつ高アスペクト比の導電層を形成することで、液体燃料の拡散性および集電性、導電性の高い燃料電池を提供することが可能となる。また、別の方法としてインクジェット印刷法も使用できる。この場合マスクを用いる必要がないため、工程が簡略化し、かつ高精細の電極パターンを形成することが可能であるため好適である。
なお、本実施の形態において上記した以外の燃料電池の構成については実施の形態1と、また上記した以外の燃料電池システムの構成については実施の形態3,4と、それぞれ同様の構成を適宜採用でき、ここでは説明を繰返さない。
<実施の形態6>
図8は、本発明の燃料電池の好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。本発明において、燃料極502は排ガス排出促進層502cをさらに有しても良い。図8に示す燃料電池500においては、燃料極502が、燃料極触媒層502a、燃料極導電層502b、排ガス排出促進層502cからなる。排ガス排出促進層502cを設けることにより、燃料極触媒層502a中の排ガスは燃料極導電層502bの排気通路に集められて、燃料電池の外部へ排出することを促進できる。
また、排ガス排出促進層502cの一部は、燃料電池500の外部にまで連続していることが好ましい。排ガス排出促進層502cが燃料電池500の外部にまで連続していることにより、排ガス排出促進層502cを介して燃料極触媒層502aで発生する排ガスの排出を促進することができる。
なお、図8に示すように、排ガス排出促進層502cおよび燃料極導電層502bが層厚方向に貫通する開孔を有する場合、分離層104と燃料極触媒層502aとを接合することにより、液体燃料を効率良く燃料極触媒層502aに供給でき好ましい。
排ガス排出促進層502cは燃料極触媒層502aに接するように設けられることが好ましい。また、排ガス排出促進層502cは分離層104に接するように設けられることが好ましい。これらの態様は、それぞれ、液体燃料を燃料極触媒層502aへ安定した供給を可能にする。
排ガス排出促進層としては、カーボンペーパーに代表されるカーボン繊維や金属繊維の不織布、カーボン繊維を束ねて編み上げたクロス、ポリテトラフルオロエチレンを結着剤としカーボン粒子や金属粒子を分散させた撥水性多孔質シート等の電子導電性の材質を用いることができる。電子導電性の材質を用いた場合には、燃料極導電層の集電する機能を補助することが可能となる。一方、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル等の高分子繊維を束ねて編み上げた布や不織布、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミドの多孔質シート等の絶縁性の材質を用いる等の材質からなるものを好ましく使用できる。
なお、本実施の形態において上記した以外の燃料電池の構成については実施の形態1と、また上記した以外の燃料電池システムの構成については実施の形態3,4と、それぞれ同様の構成を適宜採用でき、ここでは説明を繰返さない。
<実施の形態7>
図9は、本発明の電子機器の好ましい例としての電子掲示板を模式的に示す断面図である。本発明の燃料電池を組み込んだ燃料電池システムは、たとえばモバイル機器等の携帯電子機器や電子掲示板等、種々の電子機器に搭載されることができる。図9に示す電子機器600は電子掲示板であって、燃料電池61と燃料供給部62とを備える燃料電池システム63が搭載されたものである。燃料電池61としては、前述したような本発明の燃料電池の単位セルを複数スタックした構造の燃料電池を適宜使用できる。本発明の燃料電池には非多孔膜からなる分離層が形成されているため、たとえば図9に示すように燃料供給部62を燃料電池61の鉛直下方に配置することも可能であり、この場合でも該分離層への液体燃料の拡散浸透によって燃料供給室が大気圧以下になるため燃料供給部62から燃料電池61の燃料極に液体燃料を供給することができる。
<実施の形態8>
これまで、電解質膜としてカチオン交換膜を用いた燃料電池に関して言及してきたが、本発明はアニオン交換膜を用いた燃料電池、特にアルカリ型ダイレクトアルコール燃料電池においても同様の作用を及ぼす。たとえば、アニオン交換膜を使用したアルカリ型燃料電池において燃料としてメタノールを使用した時には、下記に示す反応、
燃料極:CH3OH+6OH-→CO2+5H2O+6e-
空気極:3/2O2+3H2O+6e-→6OH-
により発電を行なう。
アニオン交換膜を用いたメタノール燃料電池においては、燃料極に接触した液体燃料は水酸化物イオンと反応して、二酸化炭素と水とを生成する。また空気極において、酸素と水とが反応して水酸化物イオンを生成し、アニオン交換膜を経て燃料極へ伝達される。このときに、電子が外部負荷を通って燃料極から空気極に移動し電力として取り出される。
このとき、燃料極で生成した二酸化炭素からは、水酸化物イオンとの下記の反応、
反応1:CO2+2OH-→CO3 2-+H2
を経て炭酸イオンが生成する。
アニオン交換膜を用いた燃料電池においては、上記の反応において燃料極のpHが下がり、燃料極のアルコール酸化活性を低下させることや、生成した炭酸イオンが電解質膜を劣化させることが課題となっている。本発明においては、燃料極で生成した排ガスは高濃度の液体燃料中を通過せずに排出されるため、高濃度の液体燃料に触れている距離を短くし、二酸化炭素が液体燃料に溶け込む量を減らす事が可能であるため、上記の劣化を緩和することが可能である。
[実施例]
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<燃料電池1の作製>
電解質膜として、40×40mm、厚さ約175μmのナフィオン(登録商標)117(デュポン社製)を用いた。
触媒ペーストは以下の手順で作成した。Pt粒子とRu粒子とカーボン粒子とからなる、Pt担持量が32.5wt%、Ru担持量が16.9wt%の触媒担持カーボン粒子(TEC66E50、田中貴金属社製)と、20wt%のナフィオンのアルコール溶液(アルドリッチ社製)と、イソプロパノールと、ジルコニアボールとを、所定の割合でPTFE製の容器に入れ、攪拌機を用いて500rpmで50分間の混合を行なうことにより、燃料極用の触媒ペーストを作製した。また、Pt粒子とカーボン粒子とからなるPt担持量が46.8wt%の触媒担持カーボン粒子(TEC10E50E、田中貴金属社製)を用いて、燃料極用の触媒ペーストの作製条件と同様に、空気極用の触媒ペーストを作製した。
上記の燃料極用の触媒ペーストを、電解質膜であるナフィオン117の一方の面に、触媒担持量が2mg/cm2となるように、23×23mmのウィンドウを有したスクリーン印刷版を用いて、該ナフィオン117の中心に燃料極用の触媒ペーストを塗布した。その後、室温にて乾燥させることで、約30μmの厚みの燃料極触媒層を形成した。
同様に、該ナフィオン117のもう一方の面の中心に、燃料極触媒層と重なる位置に、触媒担持量が1mg/cm2となるように、上記と同様の方法でスクリーン印刷を行なって、該空気極用の触媒ペーストを塗布し、室温にて乾燥させることで、約20μmの厚さの空気極触媒層を形成した。以後、ナフィオン117に燃料極触媒層および空気極触媒層を形成したものを、CCM(Catalyst Cuated Membrean)と記載する。
本発明における燃料極導電層および空気極導電層として、線径70μmφ、100meshの金メッシュ(ニラコ社製)を23×50mmのサイズに切り出して用いた。以後、燃料極導電層用の金メッシュをアノード金メッシュ、空気極導電層用の金メッシュをカソード金メッシュと記載する。
また、多孔質層として、片面に撥水処理層を形成したカーボンペーパー(SGL社製BC31)を23×23mmのサイズに切り出して用いた。
本発明における分離層として、40×40mm、厚さ約175μmのナフィオン117(デュポン社製)を用いた。
カソード金メッシュと上記のカーボンペーパーの撥水処理層面とが重なりあうように、カソード金メッシュの端部と該カーボンペーパーの端部とを合わせて、プレス機を用いて、荷重1tで1分間圧着し、カソード金メッシュにカーボンペーパーを仮止めした。
カソード金メッシュに仮止めしたカーボンペーパーを下面とし、CCMの空気極触媒層面とカソード金メッシュの端部とを合わせ重ね、その上からCCMの燃料極触媒層とアノード金メッシュの端部とを合わせて重ねた。さらにその上から、CCMの端部とナフィオン117の端部とを合わせて重ねた。このとき、カソード金メッシュとアノード金メッシュとは、互いに異なる方向にCCMからはみ出すように重ね合わせた。
各部材を位置あわせして重ね合わせたまま、CCMの外周に600μmのステンレスのスペーサを配置し、130℃、8kNで2分間のホットプレス処理をすることにより、各部材を一体形成し、膜電極複合体を作製した。
次に、燃料極筐体として、60×60mm、厚さ10mmのアクリル板を用い、中心に23×23mm、深さ5mmの切削加工を施して液体燃料を充填するための凹部を形成したアクリルセルを用いた。また、アクリル板の中心に、上記切削加工で形成した凹部に通じるように直径1mmの穴をドリル加工により形成して、燃料供給孔とした。また、空気極筐体として、60×60mm、厚さ5mmのアクリル板の中心を切削加工により23×23mmで完全にくり抜いたアクリルセルを用いた。以後、燃料極筐体用のアクリルセルをアノードアクリルセル、空気極筐体用のアクリルセルをカソードアクリルセルと記載する。
分離層としての上記ナフィオン117がアノードアクリルセルと接するように配置し、中心を合わせるようにカソードアクリルセルをその上から重ね合わせた後、外周部を押さえつけることで、アノードアクリルセルの凹部が燃料供給孔を除いて分離層で密閉されるようにし、本発明の燃料電池である燃料電池1を作製した。
<燃料電池2の作製>
上記分離層のサイズを20mm×20mmとして燃料極筐体の上記凹部の中に収容した他は燃料電池1の作製と同様の方法で、比較例のための燃料電池2を作製した。
<実施例1>
燃料電池1のアノードアクリルセルとカソードアクリルセルとの界面より、燃料電池の外部に引き出されたアノード金メッシュとカソード金メッシュとを負荷装置に電気的に接続した。次に、アノードアクリルセルに形成した直径1mmの穴から、注射器を用いて濃度3mol/Lのメタノール水溶液を約2.5ml注入し、10分後に、室温中で発電特性を評価した。
<比較例1>
燃料電池2を用いた他は実施例1と同様の方法で発電特性を評価した。
実施例1においては、発電時間中、液体燃料室での排ガスによる気泡の発生は認められず、燃料供給孔から空気が液体燃料室に取り込まれた。すなわち実施例1においては、分離層であるナフィオン117で液体燃料室が燃料供給孔を除いて密閉されていることより、液体燃料室内のメタノール水溶液が燃料極で消費されるのに伴って液体燃料室の内圧が低下したことが分かる。
一方、比較例1においては、発電時間中、液体燃料室内のメタノール水溶液への気泡の混入が認められ、燃料供給孔からはメタノール水溶液の漏洩が確認された。
上記の結果から、本発明によれば、加圧機構を用いることなく液体燃料を効率良く燃料極に供給でき、かつ液体燃料の燃料電池外部への漏洩を防止できることが分かる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
小型化が可能な本発明の燃料電池および該燃料電池を組み込んだ燃料電池システムは、モバイル機器等の携帯電子機器や電子掲示板等の電子機器に対して好適に適用され得る。
本発明の燃料電池の好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。 図1に示す燃料電池の燃料極側の好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。 本発明の燃料電池の好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。 本発明の燃料電池システムの好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。 本発明の燃料電池システムの好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。 本発明の燃料電池の好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。 図6に示す燃料電池の燃料極側の好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。 本発明の燃料電池の好ましい構成の例を模式的に示す断面図である。 本発明の電子機器の好ましい例としての電子掲示板を模式的に示す断面図である。
符号の説明
100,110,400,500,61 燃料電池、101 電解質膜、102,402,502 燃料極、103 空気極、104 分離層、105 燃料極筐体、106 液体燃料室、111 封止部材、200,300,63 燃料電池システム、402a,502a 燃料極触媒層、402b,502b 燃料極導電層、502c 排ガス排出促進層、600 電子機器、11 触媒、12 導電体、13 電解質、21,62 燃料供給部、22 圧力調節機構、23 燃料供給孔、24 燃料収容部。

Claims (8)

  1. 電解質膜と、
    前記電解質膜の一方の表面に形成された燃料極と、
    前記電解質膜の他方の表面に形成された空気極と、
    前記燃料極を挟んで前記電解質膜と対向するように形成された燃料極筐体と、
    前記燃料極と前記燃料極筐体との間に形成された、非多孔膜からなる分離層と、
    を少なくとも備え、
    少なくとも前記分離層と前記燃料極筐体とによって液体燃料を充填するための液体燃料室が形成されてなり、
    前記分離層は、前記液体燃料を浸透により透過させ、前記燃料極から前記液体燃料室へ気体を透過させない層であり、
    前記分離層は、高分子膜であり、
    前記液体燃料室は気圧調整孔を備える、燃料電池。
  2. 前記燃料極は、触媒と電解質とを少なくとも有し、
    前記電解質は前記分離層に接して形成されてなる、請求項1に記載の燃料電池。
  3. 請求項1または2に記載の燃料電池が組み込まれ、
    前記液体燃料室に前記液体燃料を供給するための燃料供給部をさらに備え、
    前記燃料供給部の内室と前記液体燃料室とを繋ぐ燃料供給孔が形成され、
    前記燃料供給部の内室を大気圧に保つための圧力調節機構が設けられてなる、燃料電池システム。
  4. 電解質膜と、
    前記電解質膜の一方の表面に形成された燃料極と、
    前記電解質膜の他方の表面に形成された空気極と、
    前記燃料極を挟んで前記電解質膜と対向するように形成された燃料極筐体と、
    前記燃料極と前記燃料極筐体との間に形成された、非多孔膜からなる分離層と、
    を少なくとも備え、
    少なくとも前記分離層と前記燃料極筐体とによって液体燃料を充填するための液体燃料室が形成されてなり、
    前記分離層は、前記液体燃料を浸透により透過させ、前記燃料極から前記液体燃料室へ気体を透過させない層であり、
    前記分離層は、高分子膜であり、
    前記液体燃料室に前記液体燃料を供給するための燃料供給部をさらに備え、
    前記燃料供給部の内室と前記液体燃料室とを繋ぐ燃料供給孔が形成され、
    前記燃料供給部の内室を大気圧に保つための圧力調節機構が設けられてなる、燃料電池システム。
  5. 前記燃料供給部の内室に、前記液体燃料を収容するための燃料収容部をさらに備え、
    前記燃料収容部は可撓性を有する材質からなり、
    前記燃料供給孔は、前記燃料収容部の内室と前記液体燃料室とを繋ぐように形成されてなる、請求項3または4に記載の燃料電池システム。
  6. 前記燃料収容部が有する開孔は前記燃料供給孔のみである、請求項5に記載の燃料電池システム。
  7. 請求項3〜6のいずれかに記載の燃料電池システムが搭載され、
    前記燃料供給部が前記燃料電池の鉛直下部に配置されてなる、電子機器。
  8. 電子掲示板である、請求項7に記載の電子機器。
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