JP2010080374A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電解質膜と電極(触媒層)との界面における密着性を高めることによって、出力特性やその維持性を向上させた燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池は、燃料極と、空気極と、これら燃料極および空気極に挟持された電解質膜11とを有する膜電極接合体を備える起電部を具備する。電解質膜11は燃料極および空気極との接触面にそれぞれ交差するように設けられた筋状傷13を有する。燃料電池は液体燃料を収容する燃料収容部と、燃料収容部から燃料極に燃料を供給する燃料供給機構とを具備する。
【選択図】図2
【解決手段】燃料電池は、燃料極と、空気極と、これら燃料極および空気極に挟持された電解質膜11とを有する膜電極接合体を備える起電部を具備する。電解質膜11は燃料極および空気極との接触面にそれぞれ交差するように設けられた筋状傷13を有する。燃料電池は液体燃料を収容する燃料収容部と、燃料収容部から燃料極に燃料を供給する燃料供給機構とを具備する。
【選択図】図2
Description
本発明は液体燃料を用いた燃料電池に関する。
直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)は小型化が可能であり、さらに燃料の取り扱いも容易であるため、携帯用電子機器の電源や充電器として有望視されている。DMFCにおいては、アノード電極(アノード触媒層:燃料極)/プロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜/カソード電極(カソード触媒層:空気極)の積層構造を有する膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)が用いられている。
MEAを備える燃料電池において、アノード電極側に供給されるメタノール等の燃料は電極中に含まれる触媒で分解されて水素イオンを生じさせる。水素イオンはプロトン伝導性電解質膜を経由してカソード電極側に移動し、カソード電極に供給される空気中の酸素と結合して水を生成する。この反応における水素イオンのアノード電極からカソード電極への移動に基づいて発電が行われる。このような電極反応において、電解質膜と各電極との界面におけるプロトン伝導性を高めると共にそのような状態を維持することが、燃料電池の出力向上、並びに出力特性の維持のために重要となる。
電解質膜とアノード電極およびカソード電極との界面におけるプロトン伝導性は、各界面の密着性を高めることで維持することができる。このような点に対して、例えば電解質膜の電極との接触面を粗面化し、電解質膜と電極(触媒層)との密着性を高めることが提案されている(特許文献1,2参照)。特許文献1には、粗面を有する金属箔を電解質膜に圧着し、金属箔の粗面を電解質膜に転写した後、金属箔を溶解除去する方法が記載されている。特許文献2にはエッチング処理、サンドブラスト処理、大気圧コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理等を適用して、電解質膜の表面を粗面化することが記載されている。
表面を粗面化した電解質膜は燃料電池の出力の向上に寄与するものの、従来の粗面化処理では燃料電池の出力特性の維持に対して必ずしも十分な効果は得られていない。すなわち、電解質膜は燃料電池の発電動作に伴って、吸収する水分の量により膨張と収縮を繰り返す。電解質膜が膨張と収縮を繰り返すと、電解質膜と電極(触媒層)との界面にはせん断応力のような密着力を低下させる力、すなわち界面を剥離させる力が発生する。従来の電解質膜の粗面化処理では継続的に付加される応力に対して界面の密着性を維持することができず、これにより燃料電池の出力特性が劣化しやすいという問題を招いている。
特開2003−068328号公報
特開2005−063832号公報
本発明の目的は、電解質膜と電極(触媒層)との界面における密着性を高めることによって、出力特性やその維持性を向上させた燃料電池を提供することにある。
本発明の態様に係る燃料電池は、燃料極と、空気極と、前記燃料極と前記空気極とに挟持された電解質膜とを有する膜電極接合体を備える起電部と、液体燃料を収容する燃料収容部と、前記燃料収容部から前記燃料極に燃料を供給する燃料供給機構とを具備し、前記電解質膜は前記燃料極および前記空気極との接触面にそれぞれ交差する筋状傷が設けられていることを特徴としている。
本発明の態様に係る燃料電池においては、電解質膜の燃料極および空気極との接触面に設けられた交差状の筋状傷によって、電解質膜と電極(燃料極および空気極)との界面の密着性を高めている。これによって、電解質膜の膨張と収縮に伴う界面での剥離が抑制され、出力特性やその維持性を向上させた燃料電池を提供することが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態による燃料電池の構成を示す断面図である。図1に示す燃料電池1は、膜電極接合体(MEA)を備える起電部2と、起電部2に燃料を供給する燃料供給機構3と、液体燃料を収容する燃料収容部4とから主として構成されている。
起電部2は、アノード触媒層5とアノードガス拡散層6とを有するアノード(燃料極)7と、カソード触媒層8とカソードガス拡散層9とを有するカソード(空気極/酸化剤極)10と、アノード触媒層5とカソード触媒層8とで挟持されたプロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜11とから構成される膜電極接合体(MEA)12とを有している。電解質膜11はアノード触媒層5およびカソード触媒層8と接触している。電解質膜11はアノード触媒層5およびカソード触媒層8との接触面を有している。
電解質膜11は例えばプロトン(水素イオン)伝導性の高分子膜により構成される。プロトン伝導性の高分子材料としては、例えばスルホン酸基を有するパーフルオロスルホン酸重合体のようなフッ素系樹脂(ナフィオン(商品名、デュポン社製)やフレミオン(商品名、旭硝子社製)等)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂等の有機系材料が挙げられる。プロトン伝導性の高分子膜は例えば20〜130μmの範囲の厚さを有する。
アノード触媒層5やカソード触媒層8に含有される触媒としては、Pt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等の白金族元素の単体、白金族元素を含有する合金等が挙げられる。アノード触媒層5にはメタノールや一酸化炭素等に対して強い耐性を有し、かつメタノールから水素を引き抜く脱水素反応を生じさせやすいPt−RuやPt−Mo等のPt合金を用いることが好ましい。カソード触媒層8にはPt、Pt−Ni等のPt合金、Pd、Pd−Pt等のPd合金を用いることが好ましい。触媒は炭素材料等の導電性担持体を使用した担持触媒、あるいは無担持触媒のいずれであってもよい。
アノード触媒層5に積層されるアノードガス拡散層6は、アノード触媒層5に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に、アノード触媒層5の集電機能を有するものである。カソード触媒層8に積層されるカソードガス拡散層9は、カソード触媒層8に酸化剤を均一に供給する役割を果たすと同時に、カソード触媒層8の集電機能を有するものである。アノードガス拡散層6やカソードガス拡散層9は、例えばカーボンペーパーやカーボンクロス等の導電性を有する多孔質基材で構成されている。
アノード7/電解質膜11/カソード10の積層構造を有する膜電極接合体(MEA)12は、例えば以下のようにして作製される。まず、導電性多孔質基材からなるアノードガス拡散層6上に、アノード7用の電極成形用塗料(貴金属触媒やそれを担持した担持体を溶媒中に分散させたもの、必要に応じてプロトン伝導性の樹脂溶液等を含む)を塗布してアノード触媒層5を形成する。同様に、導電性多孔質基材からなるカソードガス拡散層9上に、カソード10用の電極成形用塗料を塗布してカソード触媒層8を形成する。
次に、上記した工程で作製したアノード7とカソード10とで、プロトン伝導性の高分子膜等からなる電解質膜11を挟持する。アノード7およびカソード10はそれぞれ各触媒層5、8が電解質膜11と接するように積層される。このようなアノード7とカソード10とで電解質膜11を挟持した積層体をホットプレスし、各界面を接合することによってMEA12を作製する。ここで、燃料電池1の出力特性やその維持性は、MEA12の各界面における密着性、すなわちアノード触媒層5と電解質膜11との界面およびカソード触媒層8と電解質膜11との界面の密着性に影響される。
この実施形態では図2に示すように、電解質膜11の表裏面(アノード触媒層5およびカソード触媒層8との接触面)に、アノード触媒層5およびカソード触媒層8との密着性を向上させる筋状傷13を設けている。筋状傷13は一方向に形成された筋状傷13Aとそれと交差する方向に形成された筋状傷13Bとを有している。筋状傷13Bは例えば筋状傷13Aと直交もしくはそれに近い方向に形成される。筋状傷13Aおよび筋状傷13Bの形成方向はこれ限られるものではなく、交差する方向に形成されていればよい。
筋状傷13は0.5〜20μmの範囲の深さと0.05〜0.5mmの範囲の間隔とを有することが好ましい。筋状傷13の長さや形成範囲は電解質膜11のアノード触媒層5やカソード触媒層8との接触面を覆うように形成されていればよいが、電解質膜11の膜強度等を低下させない範囲で、電解質膜11の表裏面全面に筋状傷13を形成してもよい。筋状傷13の断面形状は凹部状となっていれば特に限定されるものではなく、V字状、U字状、角溝状等、種々の断面形状を有する筋状傷13を適用することができる。
このような細かな筋状傷13を電解質膜11の表裏面それぞれに形成し、アノード触媒層5やカソード触媒層8との接触面積(電解質膜11の表面積)を拡大することによって、電解質膜11と各触媒層5、8との密着性を向上させることができる。さらに、電解質膜11とアノード触媒層5およびカソード触媒層8との界面の面積を拡大することで、各電極7、10における触媒反応の効率を高めることができる。これらによって、燃料電池1の出力特性やその維持性を向上させることが可能となる。
特に、筋状傷13は交差するように設けられているため、筋状傷13の模様が升目模様のようになる。すなわち、交差する筋状傷13による模様はその一つ一つの形がブロックのようになるため、電解質膜11の膨張と収縮に伴って発生する応力、すなわち界面の密着力を低下させるせん断応力等を適度に分散させることができる。これによって、燃料電池1の出力特性、特に出力劣化の要因となる電解質膜11と各触媒層5、8との界面剥離を抑制することができる。従って、各界面におけるプロトン伝導性が安定に維持され、燃料電池1の出力特性やその維持性を向上させることが可能となる。
筋状傷13は電解質膜11の表面にラビング布のような繊維状の表面処理体を擦りつけることにより形成される。ラビング布は、例えば地布とそれに起毛状態で織り込まれたパイルとを有するベルベット織物(もしくはそれ以外の織物)からなり、主として起毛部分でラビング処理がなされる。このようなラビング布の起毛部分(パイル)の太さや長さ、さらにラビング処理時の圧力等を調整することによって、所望の深さや間隔を有する筋状傷13を電解質膜11の表面に形成することができる。
図3および図4はラビング布を適用した筋状傷の形成装置100を示している。これらの図に示す筋状傷の形成装置100は、第1の形成部101Aと第2の形成部101Bとを有している。これら筋状傷の形成部101A、101Bはそれぞれ上下一対のローラ102A、103A、102B、103Bで構成されている。上ローラ102A、102Bの表面にはそれぞれ電解質膜11に筋状傷を形成するラビング布が取り付けられている。下ローラ103A、103Bは電解質膜11を押圧しつつ進行させる送りローラである。
電解質膜11は上ローラ102A、102Bと下ローラ103A、103Bとに挟持された状態で矢印X方向に送られる。第1および第2の形成部101A、101Bにおいて、ラビング布を有する上ローラ102A、102Bを電解質膜11の表面に擦りつけることによって、電解質膜11の表面に筋状傷が形成される。ここで、上ローラ102A、102Bはそれぞれ電解質膜11の送り方向に対して所定の角度(30°程度)で配置されている。さらに、上ローラ102A、102Bは電解質膜11の送り方向に揺動可能とされている。矢印Yは上ローラ102A、102Bの揺動方向である。
さらに、第1の形成部101Aの上ローラ102Aと第2の形成部101Bの上ローラ102Bとは電解質膜11の送り方向に対する角度が異なっている。例えば第1の形成部101Aのローラ角度を+30°としたとき、第2の形成部101Bのローラ角度は−30°とされている。従って、第2の形成部101Bで形成される筋状傷の角度(電解質膜11の長手方向に対する角度)は、第1の形成部101Aで形成される筋状傷の角度と異なることになる。その結果として、第1の形成部101Aと第2の形成部101Bを順に通過した電解質膜11の表面には交差する筋状傷13が形成される。
電解質膜11の表面に形成される筋状傷13は一定の深さを有するものであってもよいが、例えば図5および図6に示すように、深さが深い第1の筋状傷131と深さが浅い第2の筋状傷132とを有することが好ましい。第2の筋状傷132は第1の筋状傷131より深さが浅ければよいが、これら筋状傷131、132をより有効に機能させる上で、第1の筋状傷131の深さは1〜10μmの範囲、第2の筋状傷132の深さは1μm以下とすることが好ましい。第1の筋状傷131と第2の筋状傷132の深さに差をつけることで、各界面における触媒層5、8のくい付き状態を高めることができる。
第1の筋状傷(深傷)131と第2の筋状傷(浅傷)132はそれぞれ交差するように設けられている。交差する第1の筋状傷131をおおよそ等間隔で形成すると、第1の筋状傷131が格子状に形成され、全体として升目模様のようになる。第1の筋状傷131が交差する部分ではその一つ一つがブロックのようになる。このようなブロックの中に浅い第2の筋状傷132を交差するように形成する。第1の筋状傷131による大きなブロック内に、第2の筋状傷132による小さなブロックが多数形成された状態となる。
このように、深い第1の筋状傷131のブロックと浅い第2の筋状傷132のブロックとを組合せることによって、電解質膜11の膨張と収縮に伴って発生する応力(せん断応力等)をより良好に分散させることができる。さらに、各触媒層5、8は電解質膜11に深く入り込む部分と浅い部分とが形成されるため、各触媒層5、8の電解質膜11に対するくい付き状態が良好になる。これらによって、電解質膜11と各触媒層5、8との密着性をより一層高めることができる。従って、各界面におけるプロトン伝導性が安定して維持され、燃料電池1の出力特性やその維持性を向上させることが可能となる。
第1および第2の筋状傷131、132は、図7に示すような筋状傷の形成装置110を用いることにより形成することができる。筋状傷の形成装置110は図3や図4に示した形成装置100と同様に、ラビング布を有する上ローラ102を電解質膜11に擦りつけて筋状傷13を形成するものである。筋状傷の形成装置110は深傷形成部111と浅傷形成部112とを備えている。これら傷形成部111、112は、それぞれ形成装置100と同様な第1の形成部101Aと第2の形成部101Bとを有している。
深傷形成部111の上ローラ102A、102Bには、第1の筋状傷131の深さや間隔に応じて起毛部分(パイル)の太さや長さを調整したラビング布が取り付けられている。同様に、浅傷形成部112の上ローラ102A、102Bには、第2の筋状傷132の深さや間隔に応じて起毛部分(パイル)の太さや長さを調整したラビング布が取り付けられている。従って、深傷形成部111Aと浅傷形成部112を順に通過した電解質膜11の表面には、交差する第1および第2の筋状傷131、132が形成される。
上述した筋状傷13を有する電解質膜11を用いたMEA12を、アノード集電体14とカソード集電体15とで挟み込むことによって、燃料電池1の起電部2が構成される。アノードガス拡散層6はアノード集電体14と積層され、カソードガス拡散層9はカソード集電体15と積層される。集電体14、15にはAuやNi等の導電性金属材料からなる多孔質層(例えばメッシュ)や箔体、ステンレス鋼のような導電性金属材料にAu等の良導電性金属を被覆した複合材等が用いられる。集電体14、15は燃料や酸化剤(空気)を流通させる貫通孔を有している。起電部2はOリング等のシール部材16でシールされており、これによりMEA12からの燃料漏れや酸化剤漏れが防止されている。
起電部2は燃料拡散室17を形成する容器18上に配置されている。容器18は上部が開口された箱状の形状を有している。このような容器18の開口部側にMEA12のアノード7が位置するように起電部2が配置されている。容器18内には燃料拡散材19が配置されている。燃料拡散材19は板状の多孔質材料等で形成されており、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等からなる樹脂製多孔質板が用いられる。燃料拡散材19と燃料拡散室17とは、アノード7の面方向に燃料を分散並びに拡散させつつ供給する燃料供給部20を構成するものである。
そして、燃料拡散材19が配置された容器18上に起電部2と保湿層21とを積層し、さらにその上から例えばステンレス製のカバープレート22を被せて全体を保持することによって、実施形態の燃料電池(DMFC)1の発電ユニットが構成されている。保湿層21はカソード触媒層8で生成された水の一部が含浸されて水の蒸散を抑制すると共に、カソード触媒層8への空気の均一拡散を促進するものである。カバープレート22は空気導入用の開口部を有している。なお、保湿層21とカバープレート22との間には必要に応じて表面層が配置される。表面層は空気の取入れ量を調整するものであり、空気の取入れ量に応じて個数や大きさが調整された複数の空気導入口を有する。
燃料拡散材19は容器18に設けられた燃料注入部23と接している。燃料注入部23は配管のような液体燃料の流路24を介して燃料収容部4と接続されている。燃料収容部4にはMEA12に応じた液体燃料が収容されている。液体燃料としては、各種濃度のメタノール水溶液や純メタノール等のメタノール燃料が挙げられる。液体燃料はこれに限られるものではない。液体燃料はエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、その他の液体燃料であってもよい。
流路24にはポンプ25が介在されている。ポンプ25は燃料を循環させる循環ポンプではなく、あくまでも燃料収容部4から燃料供給部20に液体燃料を送液する燃料供給ポンプである。燃料供給部20からMEA12に供給された燃料は発電反応に使用され、その後に循環して燃料収容部4に戻されることはない。燃料電池1は燃料を循環しないことから、従来のアクティブ方式とは異なるものであり、装置の小型化等を損なうものではない。液体燃料の供給にポンプ25を使用しており、従来の内部気化型のような純パッシブ方式とも異なる。燃料電池1はセミパッシブ型と呼称される方式を適用したものである。
ポンプ25の種類は特に限定されるものではないが、少量の液体燃料を制御性よく送液することができ、さらに小型軽量化が可能という観点から、ロータリーベーンポンプ、電気浸透流ポンプ、ダイアフラムポンプ、しごきポンプ等を使用することが好ましい。ロータリーベーンポンプはモータで羽を回転させて送液するものである。電気浸透流ポンプは電気浸透流現象を起こすシリカ等の焼結多孔体を用いたものである。ダイアフラムポンプは電磁石や圧電セラミックスによりダイアフラムを駆動して送液するものである。しごきポンプは柔軟性を有する燃料流路の一部を圧迫し、燃料をしごき送るものである。
燃料供給部20から放出された燃料はMEA12のアノード(燃料極)7に供給される。MEA12内において、燃料はアノードガス拡散層6を拡散してアノード触媒層5に供給される。液体燃料としてメタノール燃料を用いた場合、アノード触媒層5で下記の式(1)に示すメタノールの内部改質反応が生じる。なお、メタノール燃料として純メタノールを使用した場合には、カソード触媒層8で生成した水や電解質膜11中の水をメタノールと反応させて式(1)の内部改質反応を生起させる。あるいは、水を必要としない他の反応機構により内部改質反応を生じさせる。
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- …(1)
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- …(1)
この反応で生成した電子(e-)は集電体14を経由して外部に導かれ、いわゆる電気として携帯用電子機器等を動作させた後、集電体15を経由してカソード(空気極)10に導かれる。式(1)の内部改質反応で生成したプロトン(H+)は電解質膜11を経てカソード10に導かれる。カソード10には酸化剤として空気が供給される。カソード10に到達した電子(e-)とプロトン(H+)は、カソード触媒層8で空気中の酸素と下記の式(2)にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成する。
6e-+6H++(3/2)O2 → 3H2O …(2)
6e-+6H++(3/2)O2 → 3H2O …(2)
上述した実施形態では燃料を面方向に分散させつつ供給する燃料供給部20として、燃料拡散室17内に配置した燃料拡散材19を適用しているが、燃料供給部20の構成はこれに限られるものではない。燃料供給部20は例えば図8および図9に示すように、燃料注入口31と複数の燃料排出口32とを細管33のような燃料通路で接続した燃料分配板34で構成することも可能である。
図8および図9に示す燃料供給部20は、液体燃料が流入する少なくとも1個の燃料注入口31と、液体燃料もしくはその気化成分を排出する複数個の燃料排出口32とを有する燃料分配板34を備えている。燃料分配板34の内部には、液体燃料の通路として機能する細管33が形成されている。細管33の一端(始端部)には燃料注入口31が設けられている。細管33は途中で複数に分岐しており、これら分岐した細管33の各終端部に燃料排出口32がそれぞれ設けられている。
さらに、上述した実施形態は本発明をセミパッシブ型の燃料電池に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。筋状傷13を有する電解質膜11を用いたMEA12は、純パッシブ型やアクティブ型の燃料電池に対しても適用可能である。本発明はパッシブ型、セミパッシブ型、アクティブ型の燃料電池に適用することができる。これらの燃料電池において、MEA12の各界面における剥離を抑制し、プロトン伝導性を良好に維持することが可能である。
次に、本発明の燃料電池の具体例およびその評価結果について述べる。
(実施例)
まず、厚さ60μmのプロトン伝導性高分子膜(ナフィオン膜(デュポン社製))からなる電解質膜の表裏両面に筋状傷を形成した。得られた筋状傷は深さが0.5〜20μm、間隔が0.05〜0.5mmであった。このような電解質膜をカーボンペーパー上に触媒層を塗布して形成したアノードとカソードとで挟持した。アノードおよびカソードは触媒層が筋状傷を有する電解質膜の表面と接するように配置した。これらを150℃×5分間の条件下で、40kg/cm2の圧力でホットプレスすることによって、12cm2のMEAを2個作製した。
まず、厚さ60μmのプロトン伝導性高分子膜(ナフィオン膜(デュポン社製))からなる電解質膜の表裏両面に筋状傷を形成した。得られた筋状傷は深さが0.5〜20μm、間隔が0.05〜0.5mmであった。このような電解質膜をカーボンペーパー上に触媒層を塗布して形成したアノードとカソードとで挟持した。アノードおよびカソードは触媒層が筋状傷を有する電解質膜の表面と接するように配置した。これらを150℃×5分間の条件下で、40kg/cm2の圧力でホットプレスすることによって、12cm2のMEAを2個作製した。
(比較例)
電解質膜に筋状傷を形成しない以外は実施例1と同様にしてMEAを1個作製した。
電解質膜に筋状傷を形成しない以外は実施例1と同様にしてMEAを1個作製した。
上述した実施例のMEA(筋状傷を有する)と比較例のMEA(筋状傷を有しない)とを40℃の純水中に水没保管し、1日毎にMEAを集電体で挟み込んで起電部を形成し、この起電部と燃料拡散材とを容器に組み込んで発電ユニットを作製した。発電ユニットと燃料収容部とを燃料供給ポンプを介して接続し、燃料電池を作製して発電試験を行った。発電試験は1日毎に計4回(日)行った。各燃料電池のMEAの水没保管日数と出力密度(発電試験による測定結果)との関係を図10に示す。
図10から明らかなように、実施例の燃料電池は比較例に比べて水没保管後の出力密度の低下が少ないことが分かる。このことから、実施例の燃料電池は各触媒層と電解質膜との界面接合状態が安定して優れていることが理解できる。従って、実施例の燃料電池によれば出力特性やその維持性を向上させることが可能である。
なお、本発明は液体燃料を使用した各種の燃料電池に適用することができる。また、燃料電池の具体的な構成や燃料の供給状態も特に限定されるものではなく、MEAに供給される燃料の全てが液体燃料の蒸気、全てが液体燃料、または一部が液体状態で供給される液体燃料の蒸気等、種々形態に本発明を適用することができる。実施段階では本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。さらに、上記実施形態に示される複数の構成要素を適宜に組合せたり、また実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除する等、種々の変形が可能である。
1…燃料電池、2…起電部、3…燃料供給機構、4…燃料収容部、5…アノード触媒層、6…アノードガス拡散層、7…アノード(燃料極)、8…カソード触媒層、9…カソードガス拡散層、10…カソード(空気極)、11…電解質膜、12…MEA、13,13A,13B…筋状傷、131…第1の筋状傷(深傷)、132…第2の筋状傷(浅傷)、14…アノード集電体、15…カソード集電体、17…燃料拡散室、18…容器、19…燃料拡散材、20…燃料供給部、21…保湿層。
Claims (6)
- 燃料極と、空気極と、前記燃料極と前記空気極とに挟持された電解質膜とを有する膜電極接合体を備える起電部と、
液体燃料を収容する燃料収容部と、
前記燃料収容部から前記燃料極に燃料を供給する燃料供給機構とを具備し、
前記電解質膜は前記燃料極および前記空気極との接触面にそれぞれ交差する筋状傷が設けられていることを特徴とする燃料電池。 - 請求項1記載の燃料電池において、
前記電解質膜はプロトン伝導性の高分子膜からなることを特徴とする燃料電池。 - 請求項1または請求項2記載の燃料電池において、
前記筋状傷13は0.5〜20μmの範囲の深さを有することを特徴とする燃料電池。 - 請求項1または請求項2記載の燃料電池において、
前記電解質膜に設けられた前記筋状傷は、第1の筋状傷と、前記第1の筋状傷より深さが浅い第2の筋状傷とを有し、かつ前記第1の筋状傷および前記第2の筋状傷はそれぞれ交差するように設けられていることを特徴とする燃料電池。 - 請求項4記載の燃料電池において、
前記第1の筋状傷は1〜10μmの範囲の深さを有し、前記第2の筋状傷は1μm以下の深さを有することを特徴とする燃料電池。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の燃料電池において、
前記電解質膜の前記接触面には繊維状の表面処理体を擦りつけることにより前記筋状傷が設けられていることを特徴とする燃料電池。
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JP2008249894A JP2010080374A (ja) | 2008-09-29 | 2008-09-29 | 燃料電池 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019513164A (ja) * | 2016-03-31 | 2019-05-23 | コーロン インダストリーズ インク | イオン交換膜、この製造方法、及びこれを含むエネルギー貯蔵装置 |
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2008
- 2008-09-29 JP JP2008249894A patent/JP2010080374A/ja not_active Withdrawn
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