JPWO2008023632A1 - 膜電極接合体及びその製造方法と燃料電池 - Google Patents

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Abstract

アノード触媒層(3)と、カソード触媒層(1)と、前記アノード触媒層(3)及び前記カソード触媒層(1)の間に介在されたプロトン導電性膜(5)とを具備する膜電極接合体であって、電解質が、前記アノード触媒層(3)及び前記カソード触媒層(1)の少なくとも一方の触媒層と前記プロトン導電性膜(5)とに跨って連続的に分布している膜電極接合体。

Description

本発明は、膜電極接合体及びその製造方法と、この膜電極接合体を備えた燃料電池とに関するものである。
ナフィオン膜(デュポン社登録商標)に代表されるフッ素系樹脂を基本構造とするプロトン導電性膜は、優れたプロトン導電性を示す。この高いプロトン導電性は、含水状態のクラスターネットワークを通して発揮されるため、液体燃料としてメタノールを使用する燃料電池においては、メタノールがアノードから水に混ざってクラスタネットワークを通り、カソードに拡散して出力電圧を下げるという欠点があった。この現象が生じた場合には、供給された液体燃料と酸化剤とが直接反応してしまって、エネルギーを電力として出力することができない。したがって、安定した出力を得ることができなくなる可能性があった。
一方、架橋構造体などを導入し、膨潤抑える方法が知られている。例えば特開2001−167775には、ナフィオン膜のようなイオン導電性膜に電子線を照射することにより表面改質を行うことが開示されている。しかしながら、架橋により導電性が低下するという欠点がある。そこで、多孔質膜の空孔中に導電性ポリマーを充填する方法が提案されている。この導電性ポリマーとしてナフィオンを使用すると、製造コストが上昇する。燃料電池を普及させるためには、大幅に価格を低下させる必要があるため、ナフィオンの代わりに、多孔質膜の空孔中にスルホン酸系のポリマーを充填させることが行われている。しかしながら、膜と触媒界面との接触抵抗が高いために、抵抗が増大し、出力が低下するという欠点を生じる。
本発明は、燃料電池の出力特性を向上することが可能な膜電極接合体及びその製造方法と、この膜電極接合体を備えた燃料電池とを提供しようとするものである。
本発明に係る膜電極接合体は、アノード触媒層と、カソード触媒層と、前記アノード触媒層及び前記カソード触媒層の間に介在されたプロトン導電性膜とを具備する膜電極接合体であって、
電解質が、前記アノード触媒層及び前記カソード触媒層の少なくとも一方の触媒層と前記プロトン導電性膜とに跨って連続的に分布している。
本発明に係る膜電極接合体の製造方法は、第1の多孔膜と前記第1の多孔膜の少なくとも一方の面に積層された第2の多孔膜とからなる基材に、電解質前駆体を充填する工程と、
前記第2の多孔膜を溶解除去することにより前記第1の多孔膜の少なくとも一方の面に多孔質な電解質層を形成する工程と、
前記多孔質な電解質層に触媒含有スラリーを含浸させることにより触媒層を形成する工程と
を具備する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る膜電極接合体を示す模式的な断面図である。 図2は、図1の膜電極接合体の製造における基材作製工程を示す模式的な断面図である。 図3は、図1の膜電極接合体の製造における電解質充填工程を示す模式的な断面図である。 図4は、図1の膜電極接合体の製造における第2の多孔膜除去工程を示す模式的な断面図である。 図5は、本発明の実施形態に係る直接メタノール型燃料電池を示す模式図である。 図6は、本発明の第2の実施形態に係る直接メタノール型燃料電池を示す模式図である。
本発明の第1の実施形態を図1〜図5を参照して詳細に説明する。
図1は、膜電極接合体(MEA)のカソード触媒層1、プロトン導電性膜5及びアノード触媒層3の拡大断面図である。プロトン導電性膜5は、オープンポアが網目状に分布した多孔膜5aと、多孔膜5aの空隙に充填された電解質5bとを備える。プロトン導電性膜5の一方の面にカソード触媒層1が積層され、かつプロトン導電性膜5の反対側の面にアノード触媒層3が積層されている。
電解質5bは、プロトン導電性膜5からカソード触媒層1及びアノード触媒層3に跨って連続的に分布している。ここで、連続的に分布しているとは、カソード触媒層1中の電解質5bとプロトン導電性膜5中の電解質5bとの間に界面が存在せず、かつアノード触媒層3中の電解質5bとプロトン導電性膜5中の電解質5bとの間に界面が存在しないことを意味する。また、連続的に分布していることは、以下に説明する方法で確認可能である。
イソプロパノールからなる溶媒中に膜電極接合体を浸漬し、3時間放置する。膜電極接合体は溶媒により分解し、さらに触媒等を溶媒で洗い流す。プロトン導電性膜の表面に多孔質な電解質層が残留していれば電解質が連続であり、多孔質な電解質層がない場合には不連続なために洗い流されてしまったとみなす。
以上説明した構成を有する膜電極接合体によれば、電解質5bが、カソード触媒層1とアノード触媒層3とプロトン導電性膜5とに跨って連続的に分布しているため、電解質の表面積を格段に大きくすることができると共に、カソード触媒層1とプロトン導電性膜5との接触抵抗並びにアノード触媒層3とプロトン導電性膜5との接触抵抗を大幅に低減することができる。その結果、膜電極接合体のインピーダンスを小さくすることができるため、燃料電池の出力特性を向上することができる。
プロトン導電性膜を燃料電池に使用する際、プロトン導電性膜の厚みに特に制限はないが、通常3〜200μm、好ましくは4〜100μm、より好ましくは5〜50μmである。薄すぎると実用に耐える膜強度が得られず、厚すぎると電気抵抗が高くなり、燃料電池の隔膜として好ましくない。膜厚は多孔膜の厚み等を適切に選択する事により制御できる。
膜電極接合体は、カソードガス拡散層あるいはアノードガス拡散層を備えることを許容する。カソードガス拡散層及びアノードガス拡散層は、集電体を兼ねるため、導電性物質から形成されていることが望ましい。導電性物質に関しては、公知の材料を用いることができる。カソードガス拡散層、アノードガス拡散層としては、多孔質性のカーボン織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
上記膜電極接合体の製造方法を図2〜図4を参照して説明する。
図2に示すように、第1の多孔膜(中心多孔膜)21の両面に第2の多孔膜22を積層し、基材23を得る。第1の多孔膜21及び第2の多孔膜22には、オープンポア21a,22aが網目状に分布している。
第1の多孔膜21の厚さは、薄いことが好まれ、1〜200μmが好ましく、特に2〜20μmが求められる。さらに酸処理及びアルカリ処理に対して劣化しないことが必要である。材質としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどがあげられる。燃料電池の出力特性を向上させるために、ポリエチレンを用いると良い。
第2の多孔膜22はある程度の厚さを有することが必要であり、20〜100μmが好ましい。この膜は最終的には溶解除去する必要があるため、アルカリもしくは酸に対して溶解する必要がある。溶解の時に熱を加えることも可能である。材質としては、ポリイミド、ポリアミドイミドなどがあげられる。燃料電池の出力特性を向上させるために、ポリイミドを用いると良い。
次いで、図3に示すように、基材23の第1の多孔膜21及び第2の多孔膜22の気孔21a,22aに電解質前駆体24を充填する。電解質前駆体モノマーとしてスルホン酸エステルを用い、多孔膜中で重合させることが好ましい。電解質は、アルカリもしくは酸に対して溶解しないことが必要である。このような電解質としては、例えば、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(α−メチルスチレン)スルホン酸、ホスホン酸基を有するポリマー等の有機電解質が挙げられる。燃料電池の出力特性向上の観点から、ポリスチレンスルホン酸を用いると良い。
ひきつづき、図4に示すように、第2の多孔膜22を溶解除去すると、第2の多孔膜22に充填されていた電解質だけが残るため、第1の多孔膜21の両面に網目状の電解質層25が形成される。溶解除去方法として、アルカリ処理もしくは酸処理を採用すると、電解質前駆体にプロトン伝導性を付与する処理を兼ねることができる。アルカリ処理としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液中での加熱処理を挙げることができる。一方、酸処理として、例えば、硫酸中での加熱処理を挙げることができる。
一方の電解質層25に、カソード触媒を含むスラリーを充填し、かつ他方の電解質層25に、アノード触媒を含むスラリーを充填した後、これらを乾燥させることにより、前述した図1に示す膜電極接合体を得る。
アノード触媒としては、水素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができ、例えば、白金族元素の単体金属(Pt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等)、白金族元素を含有する合金などを挙げることができる。アノード触媒には、メタノールや一酸化炭素に対する耐性の強いPt−RuやPt−Mo等を用いることが望ましいが、これに限定されるものでは無い。また、導電性担持体(例えば、活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状の炭素材料)を使用する担持触媒を使用しても、あるいは無担持触媒を使用しても良い。
また、カソード触媒としては、酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができ、例えば、白金族元素の単体金属(Pt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等)、白金族元素を含有する合金などを挙げることができる。カソード触媒には、白金やPt−Ni等を用いることが望ましいが、これに限定されるものでは無い。また、導電性担持体(例えば、活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状の炭素材料)を使用する担持触媒を使用しても、あるいは無担持触媒を使用しても良い。
以上説明した製造方法によると、低抵抗な膜電極接合体を得ることができるだけでなく、多孔膜が用いられているために膜強度及び寸法安定性を高くすることができる。
次に、上記膜電極接合体を備えた燃料電池の一実施形態を図5を参照して説明する。
図5に示すように、膜電極接合体(MEA)は、カソード触媒層1及びカソードガス拡散層2からなるカソードと、アノード触媒層3及びアノードガス拡散層4からなるアノードと、カソード触媒層1とアノード触媒層3の間に配置される電解質膜としてのプロトン導電性膜5とを備えるものである。
カソードガス拡散層2はカソード触媒層1に酸化剤を均一に供給する役割を担うものであるが、カソード触媒層1の集電体も兼ねている。一方、アノードガス拡散層4はアノード触媒層3に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に、アノード触媒層3の集電体も兼ねている。カソード導電層6及びアノード導電層7は、それぞれ、カソードガス拡散層2及びアノードガス拡散層4と接している。カソード導電層6及びアノード導電層7には、例えば、金などの金属材料からなる多孔質層(例えばメッシュ)をそれぞれ使用することが出来る。多孔質層の材質には、ニッケルなどを使用することもできる。また、カソード導電層6及びアノード導電層7には、前述した材料以外のものも使用可能である。例えば、金、ニッケルなどの金属材料からなる箔体、ステンレス鋼(SUS)などの導電性金属材料に金などの良導電性金属を被覆した複合材などを挙げることができる。
矩形枠状のカソードシール材8aは、カソード導電層6とプロトン導電性膜5との間に位置すると共に、カソード触媒層1及びカソードガス拡散層2の周囲を囲んでいる。一方、矩形枠状のアノードシール材8bは、アノード導電層7とプロトン導電性膜5との間に位置すると共に、アノード触媒層3及びアノードガス拡散層4の周囲を囲んでいる。カソードシール材8a及びアノードシール材8bは、膜電極接合体からの燃料漏れ及び酸化剤漏れを防止するためのオーリングである。
膜電極接合体の下方には、燃料貯蔵部としての液体燃料タンク9が配置されている。液体燃料タンク9内には、液体燃料10が収容されている。液体燃料10としては、例えば、メタノール水溶液、純メタノール等を挙げることができる。メタノール水溶液の濃度は50モル%を超える高濃度にすることが望ましい。また、純メタノールの純度は、95重量%以上100重量%以下にすることが望ましい。これにより、エネルギー密度が高く、かつ出力特性に優れた小型の燃料電池を実現することができる。なお、液体燃料は必ずしもメタノール燃料に限られるものではなく、例えばエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、もしくはその他の液体燃料であってもよい。いずれにしても、燃料電池に応じた液体燃料が収容される。
液体燃料タンク9とアノードとの間には、液体燃料の気化成分をアノードに供給するための気化燃料供給手段、例えば気液分離膜11が配置されている。気液分離膜11は、液体燃料の気化成分のみを透過させて、液体燃料は透過できない膜である。液体燃料のうち気化成分のみが気液分離膜11を透過し、アノードに気化燃料を供給することが可能となる。気液分離膜11には、例えば、メタノール透過性を有する撥水性膜を使用することができる。メタノール透過性を有する撥水性膜としては、例えば、シリコーンシート、ポリエチレン多孔膜、ポリプロピレン多孔膜、ポリエチレン−ポリプロピレン多孔膜、ポリテトラフルオロエチレン多孔膜等を挙げることができる。
気液分離膜11とアノード導電層7の間には、フレーム12が配置されている。フレーム12で囲まれた空間は、アノードへの気化燃料の供給量を調整するための気化燃料収容室13として機能する。
一方、膜電極接合体のカソード導電層6には、フレーム14が積層されている。フレーム14上には、カソード触媒層1において生成した水の蒸散を抑止する保湿板15が積層されている。保湿板15は、カソードで生成した水をアノードに供給するための水供給手段として機能する。すなわち、保湿板15は、カソードからの水分の蒸発を抑制するため、発電反応の進行に伴ってカソード触媒層1中の水分保持量が増加する。このため、カソード触媒層1の水分保持量がアノード触媒層3の水分保持量よりも多い状態が作り出される。その結果、浸透圧現象が促進されるため、カソード触媒層1に生成した水がプロトン導電性膜5を通過してアノード触媒層3に供給される。
酸化剤である空気を取り入れるための空気導入口16が複数個形成されたカバー17は、保湿板15の上に積層されている。カバー17は、膜電極接合体を含むスタックを加圧してその密着性を高める役割も果たしているため、例えば、SUS304、炭素鋼、ステンレス鋼、合金鋼、チタン合金、ニッケル合金のような金属から形成される。
保湿板15は、メタノールに対して不活性で、耐溶解性、酸素透過性及び透湿性を有する絶縁材料から形成されていることが望ましい。このような絶縁材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンを挙げることができる。
保湿板15は、JIS P−8117−1998で規定される透気度が50秒/100cm以下であることが望ましい。これは、透気度が50秒/100cmを超えると、空気導入口16からカソードへの空気拡散が阻害されて高出力を得られない恐れがあるからである。透気度のさらに好ましい範囲は、10秒/100cm以下である。
保湿板15は、JIS L−1099−1993 A−1法で規定される透湿度が6000g/m24h以下であることが望ましい。なお、上記透湿度の値は、JIS L−1099−1993 A−1法の測定方法で示されている通り、40±2℃の温度の値である。透湿度が6000g/m24hを超えると、カソードからの水分蒸発量が多くなり、カソードからアノードへの水拡散を促進する効果を十分に得られない恐れがあるからである。また、透湿度を500g/m24h未満にすると、過剰量の水がアノードへ供給されて高出力を得られない恐れがあることから、透湿度は、500〜6000g/m24hの範囲にすることが望ましい。透湿度のさらに好ましい範囲は、1000〜4000g/m24hである。
上記膜電極接合体を備えた燃料電池についての第2の実施形態を図6を参照して以下に説明する。図6は、本発明の燃料電池31の全体構成の一例を示したものである。燃料電池31は、起電部を構成する燃料電池セル32と、この燃料電池セル32に燃料を供給する燃料分配機構33と、液体燃料を収容する燃料収容部34と、これら燃料分配機構33と燃料収容部34とを接続する流路35と、この流路35中に設けられたポンプ36とを有している。
燃料電池セル32は、アノード触媒層41とアノードガス拡散層42とを有するアノード(例えば燃料極)43と、カソード触媒層44とカソードガス拡散層45とを有するカソード(例えば、空気極、酸化剤極)46と、アノード触媒層41とカソード触媒層44とで挟持されたプロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜37とから構成される膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を有している。
アノード触媒層41やカソード触媒層44に含有される触媒としては、例えばPt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等の白金属元素の単体、白金属元素を含有する合金等が挙げられる。アノード触媒層41には、メタノールや一酸化炭素に対して強い耐性を有するPt−RuやPt−Mo等を用いることが好ましい。カソード触媒層44には、PtやPt−Ni等を用いることが好ましい。
但し、触媒はこれらのものに限定されるものではなく、触媒活性を有する各種の物質を使用することができる。触媒は炭素材料のような導電性担持体を使用した担持触媒、あるいは無担持触媒のいずれであってもよい。
電解質膜37には、前述した第1の実施形態で説明したのと同様なプロトン導電性膜が使用される。プロトン導電性膜中の電解質は、プロトン導電性膜からカソード触媒層44及びアノード触媒層41に跨って連続的に分布している。
アノード触媒層41に積層されるアノードガス拡散層42は、アノード触媒層41に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に、アノード触媒層41の集電体も兼ねている。カソード触媒層44に積層されるカソードガス拡散層45は、カソード触媒層44に酸化剤を均一に供給する役割を果たすと同時に、カソード触媒層44の集電体も兼ねている。アノードガス拡散層42およびカソードガス拡散層45は多孔質基材で構成されている。
アノードガス拡散層42やカソードガス拡散層45には、必要に応じて導電層が積層される。これら導電層としては、例えばAuのような導電性金属材料からなるメッシュ、多孔質膜、薄膜等が用いられる。なお、導電層は、前述した第1の実施形態で用いるカソード導電層やアノード導電層と同様な材料から形成することが可能である。電解質膜37と燃料分配機構33およびカバープレート38との間には、それぞれゴム製のOリング39が介在されており、これらによって燃料電池セル32からの燃料漏れや酸化剤漏れが抑制されている。
カバープレート38は酸化剤である空気を取り入れるための開口(図示せず)を有している。カバープレート38とカソード46との間には、必要に応じて保湿層(図示せず)や表面層(図示せず)が配置される。
保湿層は、カソード触媒層44で生成された水の一部が含浸されることにより水の蒸散を抑制すると共に、カソード触媒層44への空気の均一拡散を促進するものである。保湿層には、前述の第1の実施形態で用いた保湿板15を使用することが可能である。表面層は空気の取り入れ量を調整するものである。また、表面層は、空気の取り入れ量に応じて個数や大きさ等が調整された複数の空気導入口を有している。
燃料収容部34には、燃料電池セル32に応じた液体燃料が収容されている。液体燃料としては、各種濃度のメタノール水溶液や純メタノール等のメタノール燃料が挙げられる。液体燃料は、必ずしもメタノール燃料に限られるものではない。液体燃料は、例えばエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、その他の液体燃料であってもよい。いずれにしても、燃料収容部34には燃料電池セル32に応じた液体燃料が収容される。
燃料電池セル32のアノード43側には、燃料分配機構33が配置されている。燃料分配機構33は流路35を介して燃料収容部34と接続されている。燃料分配機構33には、燃料収容部34から流路35を介して燃料が導入される。
ここで、流路35は燃料分配機構33及び燃料収容部34と独立した配管に限られるものではない。例えば、燃料分配機構33と燃料収容部34とを積層して一体化する場合、これらを繋ぐ燃料の流路であってもよい。燃料分配機構33は流路35を介して燃料収容部34と接続されていればよい。この燃料電池31では、燃料収容部34から燃料電池セル32に供給された燃料は発電反応に使用され、その後に循環して燃料収容部に戻されることはない。このように燃料を循環させないことから、従来のアクティブ方式とは異なるもので、セミパッシブ型と呼称され、装置の小型化等を損なうものではない。
燃料分配機構33は、燃料が流路35を介して流入する少なくとも1個の注入口51と、燃料やその気化成分を燃料電池セル32に排出する複数個の排出口52とを有する燃料分配板53を備えている。
燃料分配板53の内部には、注入口51から導かれた液体燃料の通路となる細管54が設けられている。細管54は例えば内径が0.05mm以上5mm以下の貫通孔であることが好ましい。複数の排出口52は、燃料通路として機能する細管54にそれぞれ直接接続されている。
注入口51から燃料分配機構33に導入された液体燃料は細管54に入り、この燃料通路として機能する細管54を介して複数の排出口52にそれぞれ導かれる。複数の排出口52には、例えば燃料の気化成分のみを透過し、液体成分は透過させない気液分離体(図示せず)が配置されていてもよい。これによって、燃料電池セル32のアノード43には燃料の気化成分が供給される。なお、気液分離体には気液分離膜を使用することができる。気液分離膜は、燃料分配機構33とアノード43との間に配置することができる。液体燃料の気化成分は複数の排出口52からアノード43の複数箇所に向けて排出される。
燃料分配機構33から放出された燃料は、上述したように燃料電池セル32のアノード43に供給される。燃料電池セル32内において、燃料はアノードガス拡散層42を拡散してアノード触媒層41に供給される。燃料としてメタノール燃料を用いた場合、アノード触媒層41で下記(1)式に示すメタノールの内部改質反応が生じる。なお、メタノール燃料として純メタノールを使用した場合には、カソード触媒層44で生成した水や電解質膜37中の水をメタノールと反応させて(1)式の内部改質反応を生起させる。あるいは、水を必要としない他の反応機構により内部改質反応を生じさせる。
CHOH+HO → CO+6H+6e …(1)
この反応で生成した電子(e)は集電体を経由して外部に導かれ、いわゆる電気として携帯用電子機器等を動作させた後、カソード46に導かれる。また、(1)式の内部改質反応で生成したプロトン(H)は電解質膜37を経てカソード46に導かれる。カソード46には酸化剤として空気が供給される。カソード46に到達した電子(e)とプロトン(H)はカソード触媒層44で空気中の酸素と下記(2)式に従って反応し、この反応に伴って水が生成する。
6e+6H+(3/2)O → 3HO …(2)
さらに、燃料分配機構33とアノード43との間には多孔体40を挿入することが有効である。多孔体40の構成材料としては各種樹脂が使用され、多孔質状体の樹脂フィルム等が多孔体40として用いられる。
このような多孔体40を配置することによって、アノード43に対する燃料供給量をより一層平均化することができる。すなわち、燃料分配機構33の排出口52から噴出した燃料は一旦多孔体40に吸収され、多孔体40の内部で面内方向に拡散する。この後、多孔体40からアノード43に燃料が供給されるため、燃料供給量をより一層平均化することができる。
例えば、このセミパッシブ型の燃料電池では、燃料収容部から膜電極接合体への燃料供給が行われる構成を有していれば、ポンプに代えて燃料遮断バルブを配置する構成とすることも可能である。この場合には、燃料遮断バルブは、流路による液体燃料の供給を制御するために設けられるものである。
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではなくその要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
(実施例1)
第1の多孔膜としての旭化成社製ポリエチレン多孔膜(厚さ20μm)の上下に、第2の多孔膜としての宇部興産社製ポリイミド多孔膜(厚さ50μm)を積層し、基材を得た。得られた基材に、スチレンスルホン酸エステル、ジビニルベンゼン及び過酸化ベンゾイルの混合物を含浸させ、プレスで圧力をかけながら120℃、15分加熱し、モノマーを重合させた。次に、ポリスチレンスルホン酸エステルを加水分解してポリスチレンスルホン酸ナトリウムにするために、30wt%の水酸化ナトリウム水溶液中で3時間煮沸した。その後、膜を30wt%の硫酸中で3時間煮沸してスルホン酸基を生成させた。これにより、基材中に充填した混合物は電解質(ポリスチレンスルホン酸)として機能する。また、上記加水分解と酸処理によりポリイミド多孔膜は完全に溶解するため、ポリイミド多孔膜に充填されていた電解質が露出し、ポリエチレン多孔膜の両面に網目状の電解質層が形成された。
PtRu合金(Pt:Ru=1:1)粒子が担持されたカーボンブラックからなるアノード触媒に、水及びメトキシプロパノールを添加し、これらを混合することによりペーストを調製した。得られたペーストをポリエチレン多孔膜の一方の面の電解質層に含浸させた後、乾燥することによりアノード触媒層を形成した。
Pt粒子が担持されたカーボンブラックからなるカソード触媒に、水及びメトキシプロパノールを加え、これらを混合することによりペーストを調製した。得られたペーストをポリエチレン多孔膜の他方の面の電解質層に含浸させた後、乾燥することによりカソード触媒層を形成した。
アノード触媒層にアノードガス拡散層としての多孔質カーボンペーパを配置し、カソード触媒層にカソードガス拡散層としての多孔質カーボンペーパを配置し、これらにホットプレスを施すことにより、MEAを得た。
(実施例2)
第1の多孔膜としてポリスチレン多孔膜(厚さ50μm)の上下に、第2の多孔膜として宇部興産社製ポリイミド多孔膜(厚さ50μm)を積層し、基材を得た。得られた基材にスチレンスルホン酸エステル、ジビニルベンゼン及び過酸化ベンゾイルの混合物を含浸し、プレスで圧力をかけながら120℃、15分加熱しモノマーを重合した。次にスルホン酸エステルを加水分解するために、30wt%の水酸化ナトリウム水溶液中で3時間煮沸した。その後、膜を30wt%の硫酸中で3時間煮沸した。その結果、基材中の混合物は電解質として機能すると共に、加水分解と酸処理によりポリイミド多孔膜は完全に溶解し、ポリイミド多孔膜に充填されていた電解質が露出し、ポリスチレン多孔膜の両面に網目状の電解質層が形成された。
実施例1で説明したのと同様にしてアノード及びカソードの触媒層とガス拡散層を形成することにより、MEAを得た。
(実施例3)
第1の多孔膜としてセルガード社製ポリプロピレン多孔膜(厚さ25μm)の上下に、第2の多孔膜として宇部興産社製ポリイミド多孔膜(厚さ50μm)を積層し、基材を得た。得られた基材にスチレンスルホン酸エステル、ジビニルベンゼン及び過酸化ベンゾイルの混合物を含浸させ、プレスで圧力をかけながら120℃、15分加熱しモノマーを重合した。次にスルホン酸エステルを加水分解するために、30wt%の水酸化ナトリウム水溶液中で3時間煮沸した。その後、膜を30wt%の硫酸中で3時間煮沸した。その結果、基材中の混合物は電解質として機能すると共に、加水分解と酸処理によりポリイミド多孔膜は完全に溶解し、ポリイミド多孔膜に充填されていた電解質が露出し、ポリプロピレン多孔膜の両面に網目状の電解質層が形成された。
実施例1で説明したのと同様にしてアノード及びカソードの触媒層とガス拡散層を形成することにより、MEAを得た。
(実施例4)
第1の多孔膜としてポリエチレン多孔膜(厚さ20μm)の上下に、第2の多孔膜としてポリアミドイミド多孔膜(厚さ40μm)を積層し、基材を得た。得られた基材にスチレンスルホン酸エステル、ジビニルベンゼン、過酸化ベンゾイルの混合物を含浸し、プレスで圧力をかけながら120℃、15分加熱しモノマーを重合した。次にスルホン酸エステルを加水分解するために、30wt%の水酸化ナトリウム水溶液中で3時間煮沸した。その後、膜を30wt%の硫酸中で3時間煮沸した。その結果、基材中の混合物は電解質として機能すると共に、加水分解と酸処理によりポリアミドイミド多孔膜は完全に溶解し、ポリアミドイミド多孔膜に充填されていた電解質が露出し、ポリエチレン多孔膜の両面に網目状の電解質層が形成された。
実施例1で説明したのと同様にしてアノード及びカソードの触媒層とガス拡散層を形成することにより、MEAを得た。
(実施例5)
第1の多孔膜としてポリエチレン多孔膜(厚さ20μm)の上下に、第2の多孔膜としてポリイミド多孔膜(厚さ50μm)を積層し、基材を得た。得られた基材にビニルスルホン酸エステル、ジビニルベンゼン及び過酸化ベンゾイルの混合物を含浸し、プレスで圧力をかけながら120℃、40分加熱しモノマーを重合した。次にスルホン酸エステルを加水分解するために、30wt%の水酸化ナトリウム水溶液中で3時間煮沸した。その後、膜を30wt%の硫酸中で3時間煮沸した。その結果、基材中の混合物は電解質(ポリビニルスルホン酸)として機能すると共に、加水分解と酸処理によりポリイミド多孔膜は完全に溶解し、ポリイミド多孔膜に充填されていた電解質が露出し、ポリエチレン多孔膜の両面に網目状の電解質層が形成された。
実施例1で説明したのと同様にしてアノード及びカソードの触媒層とガス拡散層を形成することにより、MEAを得た。
(実施例6)
第1の多孔膜としてポリエチレン多孔膜(厚さ20μm)の上下に、第2の多孔膜としてポリイミド多孔膜(厚さ50μm)を積層し、基材を得た。得られた基材にα−メチルスチレンスルホン酸エステル、ジビニルベンゼン及び過酸化ベンゾイルの混合物を含浸し、プレスで圧力をかけながら120℃、45分加熱しモノマーを重合した。次にスルホン酸エステルを加水分解するために、30wt%の水酸化ナトリウム水溶液中で3時間煮沸した。その後、膜を30wt%の硫酸中で3時間煮沸した。その結果、基材中の混合物は電解質(ポリ(α−メチルスチレン)スルホン酸)として機能すると共に、加水分解と酸処理によりポリイミド多孔膜は完全に溶解し、ポリイミド多孔膜に充填されていた電解質が露出し、ポリエチレン多孔膜の両面に網目状の電解質層が形成された。
実施例1で説明したのと同様にしてアノード及びカソードの触媒層とガス拡散層を形成することにより、MEAを得た。
(実施例7)
第1の多孔膜としてポリエチレン多孔膜(厚さ20μm)の片面に、第2の多孔膜として宇部興産社製ポリイミド多孔膜(厚さ50μm)を重ねたものを基材にした。得られた基材にスチレンスルホン酸エステル、ジビニルベンゼン及び過酸化ベンゾイルの混合物を含浸し、プレスで圧力をかけながら120℃、15分加熱しモノマーを重合した。次にスルホン酸エステルを加水分解するために、30wt%の水酸化ナトリウム水溶液中で3時間煮沸した。その後、膜を30wt%の硫酸中で3時間煮沸した。これにより、基材中に充填した混合物は電解質(ポリスチレンスルホン酸)として機能する。また、上記加水分解と酸処理によりポリイミド多孔膜は完全に溶解するため、ポリイミド多孔膜に充填されていた電解質が露出し、ポリエチレン多孔膜の片面に網目状の電解質層が形成された。
Pt粒子が担持されたカーボンブラックからなるカソード触媒に、水及びメトキシプロパノールを加え、これらを混合することによりペーストを調製した。得られたペーストをポリエチレン多孔膜上の電解質層に含浸させた後、乾燥することによりカソード触媒層を形成した。
PtRu合金(Pt:Ru=1:1)粒子が担持されたカーボンブラックからなるアノード触媒に、パーフルオロカーボンスルホン酸溶液、水及びメトキシプロパノールを添加し、これらを混合することによりペーストを調製した。得られたペーストをポリエチレン多孔膜の反対側の面に塗布した後、乾燥することによりアノード触媒層を形成した。
アノード触媒層にアノードガス拡散層としての多孔質カーボンペーパを配置し、カソード触媒層にカソードガス拡散層としての多孔質カーボンペーパを配置し、これらにホットプレスを施すことにより、MEAを得た。
(比較例1)
ポリエチレン多孔膜(厚さ20μm)に、スチレンスルホン酸エステル、ジビニルベンゼン及び過酸化ベンゾイルの混合物を含浸させ、プレスで圧力をかけながら120℃、15分加熱しモノマーを重合した。次に、スルホン酸エステルを加水分解するために、30wt%の水酸化ナトリウム水溶液中で3時間煮沸し、多孔膜に電解質(ポリスチレンスルホン酸)が充填されたプロトン導電性膜を得た。
Pt粒子が担持されたカーボンブラックからなるカソード触媒に、パーフルオロカーボンスルホン酸溶液、水及びメトキシプロパノールを加え、これらを混合することによりペーストを調製した。得られたペーストをプロトン導電性膜上に塗布した後、乾燥することによりカソード触媒層を形成した。
PtRu合金(Pt:Ru=1:1)粒子が担持されたカーボンブラックからなるアノード触媒に、パーフルオロカーボンスルホン酸溶液、水及びメトキシプロパノールを添加し、これらを混合することによりペーストを調製した。得られたペーストをプロトン導電性膜の反対側の面に塗布した後、乾燥することによりアノード触媒層を形成した。
アノード触媒層にアノードガス拡散層としての多孔質カーボンペーパを配置し、カソード触媒層にカソードガス拡散層としての多孔質カーボンペーパを配置し、これらにホットプレスを施すことにより、MEAを得た。
(比較例2)
ポリエチレン多孔膜(厚さ20μm)に、スチレンスルホン酸エステル、ジビニルベンゼン及び過酸化ベンゾイルの混合物を含浸させ、プレスで圧力をかけながら120℃、15分加熱しモノマーを重合した。次にスルホン酸エステルを加水分解するために、30wt%の水酸化ナトリウム水溶液中で3時間煮沸し、30wt%の硫酸中で3時間煮沸し、中心電解質膜を得た。
一方、ポリイミド多孔膜(厚さ50μm)に、スチレンスルホン酸エステル、ジビニルベンゼン及び過酸化ベンゾイルの混合物を含浸し、プレスで圧力をかけながら120℃、15分加熱しモノマーを重合した。次にスルホン酸エステルを加水分解するために、30wt%の水酸化ナトリウム水溶液中で3時間煮沸した。その後、膜を30wt%の硫酸中で3時間煮沸した。その結果、加水分解と酸処理によりポリイミド多孔膜が完全に溶解し、この多孔膜に充填されていた電解質が露出し、多孔電解質層を得た。
中心電解質膜の上下に多孔電解質層を重ねた。実施例1で説明したのと同様なアノードペーストを一方の多孔電解質層に含浸させ、乾燥することによりアノード触媒層を形成した。他方の電解質層に実施例1で説明したのと同様なカソードペーストを含浸させた後、乾燥することによりカソード触媒層を形成した。
アノード触媒層にアノードガス拡散層としての多孔質カーボンペーパを配置し、カソード触媒層にカソードガス拡散層としての多孔質カーボンペーパを配置し、これらにホットプレスを施すことにより、MEAを得た。
実施例および比較例のMEAにおいて、アノードおよびカソードの間で1kHzの交流インピーダンスを測定し、その結果を下記表1に示す。
Figure 2008023632
表1から明らかな通りに、電解質がプロトン導電性膜と触媒層に跨って連続的に分布している実施例1〜7では比較的低いインピーダンスであるのに対し、触媒層中の電解質とプロトン導電性膜中の電解質との間に界面が存在する比較例1,2ではインピーダンスが大きくなった。
第1の多孔膜の種類については、実施例1〜3の比較により、ポリエチレン多孔膜を使用した実施例1の交流インピーダンスが最も低く、ポリエチレン多孔膜が望ましいことがわかった。
第2の多孔膜の種類については、実施例1,4の比較により、ポリイミド多孔膜を使用した実施例1の交流インピーダンスが最も低く、ポリイミド多孔膜が望ましいことがわかった。
電解質の種類については、実施例1,5,6の比較により、ポリスチレンスルホン酸を使用した実施例1の交流インピーダンスが最も低く、ポリスチレンスルホン酸が望ましいことがわかった。
また、実施例7に示す通りに、第1の多孔膜の片面のみに電解質を析出させると、交流インピーダンスが実施例1(第1の多孔膜の両面に電解質が析出)に比して大きくなった。
以上説明したように、本発明によれば、電解質を膜の表面まで露出することで触媒との接触面積を格段に増やすことができ、抵抗を大幅に下げることができる。さらに中央部の多孔膜を薄くすることで、さらに低抵抗化に効果がある。したがって高強度、低抵抗の複合プロトン導電性膜を提供することができる。また、本発明によれば、安定した出力を供給できる燃料電池が提供される。本発明を用いることにより、小型で性能が高く、しかも安定した出力を供給可能な燃料電池を得ることが可能となり、その工業的価値は絶大である。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
上記した説明では、MEAに液体燃料の気化成分を供給したが、液体燃料のそのもの及び液体燃料の気化成分の双方をMEAに供給する場合であっても本発明を適用することができる。
本発明によれば、燃料電池の出力特性を向上することが可能な膜電極接合体及びその製造方法と、この膜電極接合体を備えた燃料電池とを提供することができる。

Claims (6)

  1. アノード触媒層と、カソード触媒層と、前記アノード触媒層及び前記カソード触媒層の間に介在されたプロトン導電性膜とを具備する膜電極接合体であって、
    電解質が、前記アノード触媒層及び前記カソード触媒層の少なくとも一方の触媒層と前記プロトン導電性膜とに跨って連続的に分布している膜電極接合体。
  2. 前記電解質は、スルホン酸基またはホスホン酸基を有するポリマーである請求項1記載の膜電極接合体。
  3. 請求項1記載の膜電極接合体を具備する燃料電池。
  4. 第1の多孔膜と前記第1の多孔膜の少なくとも一方の面に積層された第2の多孔膜とからなる基材に、電解質前駆体を充填する工程と、
    前記第2の多孔膜を溶解除去することにより前記第1の多孔膜の少なくとも一方の面に多孔質な電解質層を形成する工程と、
    前記多孔質な電解質層に触媒含有スラリーを含浸させることにより触媒層を形成する工程と
    を具備する膜電極接合体の製造方法。
  5. 前記第2の多孔膜は、アルカリもしくは酸に溶解可能な材料から形成されている請求項4記載の膜電極接合体の製造方法。
  6. 前記第2の多孔膜の溶解除去は、前記電解質前駆体が充填された基材にアルカリ処理もしくは酸処理を施すことによりなされる請求項5記載の膜電極接合体の製造方法。
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