JP2005294167A - 燃料電池用mea、およびこれを用いた燃料電池 - Google Patents

燃料電池用mea、およびこれを用いた燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】発電性能に優れた燃料電池用膜−電極接合体(MEA)を提供する。
【解決手段】固体高分子電解質膜120と、これを挟持する電極触媒層101およびガス拡散層102を含む一対のガス拡散電極とを有する燃料電池用MEAにおいて、少なくとも一方の前記ガス拡散電極は、固体高分子電解質膜との間に中間緩衝層110を有し、かつ、前記電極触媒層と前記ガス拡散層とが導電性繊維1により連通された構成を有し、前記電極触媒層は前記導電性繊維に担持された触媒粒子2とプロトン導電性電解質3とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池用MEAに関し、より詳細には内部抵抗が低減されることにより発電性能に優れた燃料電池用MEAに関する。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、常温でも作動し高出力密度が得られる固体高分子型燃料電池が電気自動車用電源、定置型電源として注目されている。固体高分子型燃料電池は、フィルム状の固体高分子電解質膜からなる電解質層を用いるのが特徴である。
固体高分子型燃料電池の構成は、一般的には、膜−電極接合体(以下、「MEA」とも記載する。)をセパレータで挟持した構造となっている。
MEAは、固体高分子電解質膜がガス拡散電極により挟持されてなるものである。ガス拡散電極は、電極触媒を高分散した電極触媒層とガス拡散層とが含まれ、前記電極触媒層の少なくとも片面が固体高分子電解質膜に接している。
従来、前記ガス拡散電極を作製するには、導電性担体に触媒粒子が担持されてなる電極触媒およびプロトン導電性電解質などを含む触媒スラリーを、スクリーンプリント法などを用いてカーボンペーパーなどからなるガス拡散層上に塗布・乾燥することにより、ガス拡散層上に電極触媒層を形成する方法が用いられていた。さらに、作製したガス拡散電極により電極触媒層を内側にして固体高分子電解質膜を挟持した後、ホットプレスすることによりMEAを作製する方法などが一般的に用いられている。
前記MEAでは、以下のような電気化学的反応が進行する。まず、燃料極(アノード)側に供給された燃料ガスに含まれる水素は、触媒粒子により酸化され、プロトンおよび電子となる。次に、生成したプロトンは、電極触媒層に含まれるプロトン導電性電解質、さらに電極触媒層と接触している固体高分子電解質膜を通り、酸素極(カソード)側電極触媒層に達する。また、アノード側電極触媒層で生成した電子は、電極触媒層を構成している導電性担体、さらに電極触媒層の固体高分子電解質膜と異なる側に接触しているガス拡散層、ガスセパレータおよび外部回路を通してカソード側電極触媒層に達する。そして、カソード側電極触媒層に達したプロトンおよび電子はカソード側に供給されている酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し水を生成する。燃料電池では、上述した電気化学的反応を通して、電気を外部に取り出すことが可能となる。
前記電気化学的反応は、主に、触媒粒子と、プロトン導電性電解質と、供給ガスとが接触する三相界面において生じる。従って、ガス拡散電極は、密度の高い三相界面を有するだけでなく、燃料ガスおよび酸化剤ガスを電極触媒層へと均一に供給することが必要とされる。
また、燃料電池の発電性能を向上させるためには、燃料電池の内部抵抗を低減することが重要となる。例えば、特許文献1には、電極触媒層とガス拡散層との間に導電性微粒子からなる層が配置された燃料電池が開示されている。該文献1によれば、密着性を向上させることにより電極触媒層とガス拡散層との間の接触抵抗が低減させ、これにより燃料電池の発電性能を向上させることが可能となり得る。
特開2000−123842号公報
しかしながら、該文献1のガス拡散電極によっても、未だ十分に高い発電性能が得られておらず、さらなる改善が所望されている。
そこで、本発明が目的とするところは、内部抵抗を低減することでより発電性能に優れたMEAを提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、固体高分子電解質膜とガス拡散電極との間に中間緩衝層を有し、かつ、触媒粒子からガス拡散層への電子伝導経路を連続した同一部材を用いた構成を有する燃料電池用MEAにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、固体高分子電解質膜と、これを挟持する電極触媒層およびガス拡散層を含む一対のガス拡散電極とを有する燃料電池用MEAにおいて、少なくとも一方の前記ガス拡散電極は、固体高分子電解質膜との間に中間緩衝層を有し、かつ、前記電極触媒層と前記ガス拡散層とが導電性繊維により連通された構成を有し、前記電極触媒層は前記導電性繊維に担持された触媒粒子とプロトン導電性電解質とを含む、ことを特徴とする燃料電池用MEAである。
本発明の燃料電池用MEAによれば、ガス拡散電極と固体高分子電解質膜との間に中間緩衝層を配置することにより、ガス拡散電極−固体高分子電解質膜間で良好なプロトン導電性を確保でき、燃料電池用MEAの内部抵抗を低減することができる。また、前記中間緩衝層によれば、ガス拡散電極を構成している導電性繊維による固体高分子電解質膜の破損を防止することができる。従って、本発明の燃料電池用MEAは、長期に亘って優れた発電性能を安定して示すことが可能となる。
本発明の第一は、固体高分子電解質膜と、これを挟持する電極触媒層およびガス拡散層を含む一対のガス拡散電極とを有する燃料電池用MEAにおいて、少なくとも一方の前記ガス拡散電極は、固体高分子電解質膜との間に中間緩衝層を有し、かつ、前記電極触媒層と前記ガス拡散層とが導電性繊維により連通された構成を有し、前記電極触媒層は前記導電性繊維に担持された触媒粒子とプロトン導電性電解質とを含む、ことを特徴とする燃料電池用MEAである。
本発明の燃料電池用MEAは、少なくとも一方のガス拡散電極と固体高分子電解質膜との間に中間緩衝層を有する。これにより、ガス拡散電極と固体高分子電解質膜との接触性を向上させることができ、燃料電池用MEAの内部抵抗の低減が図れる。また、セルアッセンブリ時や燃料電池の運転中に加わる衝撃等により、ガス拡散電極を構成する導電性繊維などによる固体高分子電解質膜の破損を防止することができる。
前記中間緩衝層は、少なくともプロトン導電性を有するプロトン導電性電解質からなるものが挙げられ、具体的には、有機系化合物および/または無機系化合物を含むものなどが挙げられる。プロトン導電性を有する材料で中間緩衝層を構成することにより、固体高分子電解質膜と触媒粒子とのプロトン導電性を好適に確保することができる。
前記有機系化合物としては、従来から、燃料電池用MEAなどに一般的に用いられているものであれば特に限定されないが、好ましくはスルホン酸基、またはカルボキシル基をなどの陽イオン交換基を少なくとも含むプロトン導電性電解質が挙げられ、例えばこれらの陽イオン交換基を有するパーフルオロカーボン重合体などがある。
前記無機系化合物としては、P、SiO、B、GeO、またはAsのうちいずれか1つを含むのが好ましい。なかでも、P、SiOが好ましく挙げられる。また、得られる中間緩衝層の安定性などを確保するためにアルカリ金属、アルカリ土類金属などの第二成分等が含まれてもよい。例えば、P−ZrO−SiO含水ガラスは多量の水を吸収することによって高いプロトン導電性を示し、水にも溶解することがないという特徴があり、無機系化合物特有の高温安定性が高いというメリットがある。
また、プロトン導電性だけでなく、耐久性、柔軟性なども向上させるために、中間緩衝層は、有機系化合物および無機系化合物の混合物からなってもよい。
前記混合物の形態としては、特に限定されないが、有機系化合物から構成される膜に無機系化合物が分散されている形態などが挙げられる。かような場合において、無機系化合物の形状は粉末状、板状、針状、球状、繊維状などが挙げられ、無機系化合物の分散状態は中間緩衝層中に偏在してもよく均一に分散されていてもよい。無機系化合物の表面に有機系化合物が結合した形態など、有機系化合物と無機系化合物が共有結合などにより複合化されているのが好ましい。
中間緩衝層の厚さは、0.1〜20μm、好ましくは1〜10μm程度とするのがよい。厚さが、0.1μm未満であると中間緩衝層によって期待するほどの効果が得られない恐れがあり、20μmを超えると却ってプロトン導電性を低下させる恐れがあるため、上記範囲内とするのが好ましい。
本発明の燃料電池用MEAにおいて、中間緩衝層中のプロトン導電性電解質は、電極触媒層中のプロトン導電性電解質、および固体高分子電解質膜と連続して構成されているのが好ましい。これにより、固体高分子電解質膜とガス拡散電極とのプロトン伝導経路を連続させ、MEAの内部抵抗をより低減させることができる。
また、本発明の燃料電池用MEAにおいて、中間緩衝層の大きさを、前記電極触媒層よりも大きくするのが好ましい。これにより、中間緩衝層を電極触媒層の外淵部より外側まで配置することができ、ガス拡散電極に含まれる導電性繊維、撥水性繊維などによる固体高分子電解質膜の破損をより効果的に防止することができる。従って、長期に亘って安定した発電性能を示すことが可能となる。
さらに、本発明の燃料電池用MEAにおいて、前記中間緩衝層を構成するプロトン導電性電解質は、電極触媒層を構成するプロトン導電性電解質よりも保水性を高くするのが好ましい。保水性の高いプロトン導電性電解質は、応力の吸収性に優れるため、固体高分子電解質膜の破損をより効果的に防止することが可能となる。また、電極反応により生成した水などを吸収することができ、ガス拡散電極の水分を制御することも可能となる。
前記保水性は、例えば、プロトン導電性電解質として有機系化合物を用いた場合には、有機系化合物におけるスルホン酸基などの陽イオン交換基の導入量、すなわちイオン交換基当量重量(g/mol)によって決まり、イオン交換基当量重量が低いほど保水性が高くなる。
また、前記保水性は、プロトン導電性電解質として無機系化合物を用いた場合には、ガラス転移温度、フッ酸などの溶液によるエッチングレートによって決まり、ガラス転移温度、エッチングレートが高いほど保水性が高くなる。
本発明の燃料電池用MEAにおいて、中間緩衝層は空隙を有しているのが好ましい。これにより、応力の吸収性に優れた中間緩衝層が得られ、固体高分子電解質膜の破損をより効果的に防止することが可能となる。また、前記空隙内に水などを吸収できるため、中間緩衝層に保水性を付与することができ、ガス拡散電極の水分を制御することも可能となる。
電極反応により生成した水分は、MEAに供給される燃料ガスの流れに伴って移動し易い。そのため、高電流密度や高加湿などの運転条件下では多量の生成水がガス拡散電極のガス排出部付近に停留し易く、これはフラッディング現象の要因となる恐れがある。
従って、空隙を有する中間緩衝層において、ガス導入部よりもガス排出部の方が空隙率を多くすることによって、ガス拡散電極の水の排出を効率的に行うことができる。この時、中間緩衝層の空隙率はガス導入部からガス排出部にむかって、傾斜的に多くなってもよいし、少なくとも2段以上で段階的に大きくなってもよく、特に限定されない。
本発明の燃料電池用MEAにおいて、固体高分子電解質膜とガス拡散電極の間に配置される中間緩衝層は、アノード側またはカソード側の少なくとも一方に配置されてもよく、アノード側およびカソード側の双方に配置されてもよい。これらは、得られるMEAの特性を考慮して決定すればよい。
上述した中間緩衝層の製造方法としては、有機系化合物のみからなる中間緩衝層を製造する場合には、有機系化合物を水やアルコールなどの溶媒に溶解させた溶液を、ガス拡散電極、固体高分子電解質膜上などの基材上に、塗布および乾燥させることにより得られる。
前記有機系化合物を溶解させた前記溶液としては、例えば、イソプロピルアルコールとNAFION(デュポン社登録商標)の混合液のようなスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体が1〜20質量%程度溶解された溶液などが挙げられる。
前記塗布方法としては、特に限定されず、前記溶液の濃度を適宜調整することにより、フローコーティング法、スプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法など公知の方法を用いて行えばよい。また、得られる中間緩衝層が所望の厚さを有するように、前記溶液の濃度、塗布回数、塗布スピードなどを調整するとよい。
前記乾燥方法としては、特に限定されないが、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性雰囲気下で、20〜120℃、好ましくは60〜100℃程度で行えばよい。これにより、プロトン導電性電解質の酸化劣化などを防止して、有機系化合物のみからなる中間緩衝層が得られる。
無機系化合物からなる中間緩衝層を製造する場合には、P、SiO、B、GeO、またはAs等の無機系化合物を構成する金属を少なくとも1つ含む金属アルコキシドを含有するゾル溶液を、十分に乾燥させて乾燥ゲルを得る方法などが挙げられる。
前記金属アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン(TMOS、Si(OCH)、テトラエトキシシラン(TEOS、Si(OC)、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS、(OCHSiO(CHOCHCHO)、リン酸トリエチル(PO(OC)やリン酸トリメチル(PO(OCH)などが挙げられる。
前記ゾル溶液は、金属アルコキシドを水およびアルコールなどの溶媒に添加することにより得られる。また、前記ゾル溶液には、ゲル化速度を調整するために、塩酸、アンモニアなどの、酸や塩基を触媒として添加してもよい。
前記ゾル溶液を、固体高分子電解質膜、またはガス拡散電極の基材上に上記したのと同様の塗布方法で塗布した後、常温で数週間程度放置したり、あるいは150℃程度で1〜24時間ほど放置したり、することにより乾燥ゲルとしたものを中間緩衝層として用いることができる。
これに限定されず、前記ゾル溶液を30〜80℃程度に保持して加水分解によるゲル化反応を進行させることによって得られる湿潤ゲルを、固体高分子電解質膜またはガス拡散電極の基材上に塗布した後、これを30〜50℃程度で乾燥させ乾燥ゲルとしたものを中間緩衝層として用いることなどもできる。
得られる中間緩衝層が所望する厚さとなるように、前記ゾルまたは前記湿潤ゲルを塗布および乾燥させる工程を繰り返し行うとよい。
また、前記ゾルまたは前記湿潤ゲルを用いて、別途、シート状に作製した乾燥ゲル膜を、固体高分子電解質膜およびガス拡散電極とホットプレスなどで接合することにより、中間緩衝層を作製してもよい。前記乾燥ゲル膜は、安定した高いプロトン導電性を得るために、500〜1000℃程度の温度でさらに熱処理してもよい。
無機系化合物と有機系化合物との混合物からなる中間緩衝層を製造する場合には、例えば、上述した有機系化合物のみからなる中間緩衝層の製造において用いる、水やアルコールなどの溶媒に有機系化合物を溶解させた溶液に、無機系化合物を添加して、これを塗布および乾燥させる方法などが挙げられる。
この時、前記無機系化合物の形状としては、粉末状、板状、針状、球状、繊維状などが挙げられ、特に限定されない。前記無機系化合物の添加量などは、得られる中間緩衝層の耐久性、柔軟性などを考慮して適宜決定すればよい。
塗布および乾燥方法としては、有機系化合物のみからなる中間緩衝層の製造においてした説明と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、かような方法の他に、無機系化合物からなる中間緩衝層の製造において用いるゾル溶液に、有機系化合物溶液を混合し、これを乾燥させる方法により、無機系化合物と有機系化合物との混合物からなる中間緩衝層を製造してもよい。
前記有機系化合物溶液としては、水やアルコールなどの溶媒に有機系化合物を溶解させた溶液などが挙げられる。これは、上述した有機系化合物のみからなる中間緩衝層の製造においてした説明と同様であるため、ここではその説明を省略する。
前記ゾル溶液に、前記有機系化合物溶液を混合させる以外は、上述の無機系化合物からなる中間緩衝層の製造と同様にして行えばよい。
本発明の燃料電池用MEAにおいて、中間緩衝層に含まれるプロトン導電性電解質と、電極触媒層に含まれるプロトン導電性電解質と、固体高分子電解質膜と、が連通した構成とするには、中間緩衝層または電極触媒層のどちらか一方に含まれるプロトン導電性電解質が濡れている状態で中間緩衝層および電極触媒層を接触させる方法を用いるとよい。その後、固体高分子電解質膜を接触させ、ホットプレスなどの接合法によって接合させることにより、中間緩衝層、電極触媒層、および固体高分子電解質膜に含まれるプロトン導電性電解質を連通した構成とすることができる。また、中間緩衝層と電極触媒層とを接触させる際に、電極触媒層は内部だけでなく表面までプロトン導電性電解質が塗布されているとよい。
また、中間緩衝層を電極触媒層の外淵部より外側まで配置するためには、上述した有機系化合物溶液やゾル溶液などを固体高分子電解質膜に塗布する際に、得られる中間緩衝層が電極触媒層よりも大きくなるように塗布した後、電極触媒層の外淵部より外側まで配置されるように電極触媒層と接触させる方法などを用いればよい。
本発明の燃料電池用MEAでは、電極触媒層に含まれるプロトン導電性電解質よりも、中間緩衝層に含まれるプロトン導電性電解質の方が保水性を高くするのが好ましいため、電極触媒層および中間緩衝層に含まれるプロトン導電性電解質は適宜選択して用いるとよい。
空隙を有する中間緩衝層を作製するには、好ましくは、ショウノウ、炭酸カルシウムなどの造孔材、発泡剤を、上記した有機系化合物溶液またはゾル溶液などに添加すればよい。これにより、中間緩衝層の形成とともに、造孔材や発泡剤などにより空隙を形成させることができる。
中間緩衝層において、空隙率をガス導入部よりもガス排出部の方を大きくするには、造孔材、発泡剤の混合する量などを調整することにより行えばよい。例えば、造孔材の添加量が異なる二種類のゾル溶液を用意し、中間緩衝層の前半部分には造孔材の添加量が少ないゲル溶液を塗布し、中間緩衝層の後半部分には造孔材の添加量が多いゲル溶液を塗布する方法などがある。これにより、ガス導入部よりもガス排出部の方が空隙率の大きい中間緩衝層を形成することができる。また、有機系化合物溶液を用いる場合にも同様にして行うことができる。
また、造孔材、発泡剤による方法の他、中間緩衝層の製造に用いられる有機系化合物溶液またはゲル溶液を攪拌することによりこれらの溶液中に気泡を含有させる方法、または、有機系化合物溶液またはゲル溶液に不活性ガスを強制的に流して気泡を混合させる方法などであってもよい。
次に、本発明の燃料電池用MEAに用いられるガス拡散電極について説明する。
本発明のMEAは固体高分子電解質膜を一対のガス拡散電極で挟持された構成を有し、前記ガス拡散電極は、ガス拡散層と電極触媒層とを有する。
発電性能が優れるMEAを得るためには、MEAの内部抵抗を低減させるのが望ましい。そこで、本発明のMEAにおいて、一対のガス拡散電極のうち少なくとも一方が、電極触媒層とガス拡散層とを連通する導電性繊維により構成され、前記電極触媒層は前記導電性繊維に担持された触媒粒子とプロトン導電性電解質とを含む構成を有するガス拡散電極を用いる。
かようなガス拡散電極を図1を用いて説明する。図1に示されるガス拡散電極100は、所定の数で一まとめに撚られた導電性繊維1を複数用意し、これらを平織りすることにより、電極触媒層101とガス拡散層102とが導電性繊維1により連通した構成となって形成されている。また、ガス拡散電極100において、前記導電性繊維1に触媒粒子2が直接担持され、プロトン導電性電解質3が含まれる部分が電極触媒層101である。また、前記ガス拡散電極100と固体高分子電解質膜120との間には、中間緩衝層110が形成されている。
従来では、触媒粒子は、カーボン粒子などの導電性担体に担持させた電極触媒として電極触媒層中に含まれていた。電極内の電気化学的反応により生じた電子は、電極触媒から複数の導電性担体およびガス拡散層などを介して外部回路へと流れる。従って、ガス拡散電極の構成部材による電気抵抗なども、MEAの発電特性を低下させる要因として挙げられる。さらに、従来では、構成部材間の接触抵抗を低減させることを目的として、電極触媒層およびガス拡散電極の間に配置された導電性微粒子からなる層などが用いられていたが、さらなる改善が所望されている。
これに対して、本発明に用いられるガス拡散電極は、電極触媒層とガス拡散層とを連通する導電性繊維により構成されており、電極触媒層においては前記導電性繊維に触媒粒子が直接担持された構成となっている。従って、前記ガス拡散電極は、触媒粒子からガス拡散層への電子伝導経路が連通した同一部材から構成されており、従来の導電性担体を介さないため構成部材による電気抵抗を低減できる。さらに、従来のようなガス拡散層と電極触媒層との接触抵抗をも低減させることができ、電極触媒層およびガス拡散層が優れた電子伝導性を発揮し、結果として発電特性に優れたガス拡散電極を得ることが可能となる。
また、前記ガス拡散電極における電極触媒層およびガス拡散層は、導電性繊維により構成されていることから、多孔質のシート状とすることができる。これにより、酸化剤ガスおよび燃料ガスを電極触媒層へ均一に分散させて供給させることができるだけでなく、電極触媒層内で生成した水分を外部へ速やかに排出することができフラッディング現象を抑制することもでき、プロトン導電性電解質と、触媒粒子と、供給ガスとの接触密度が高い良好な三相界面を形成することができるのである。
前記ガス拡散電極に用いられる導電性繊維は、電子伝導性などを有するものであればよい。例えば、アクリル繊維を原料とするPAN系炭素繊維、石油、ピッチまたはナフタレン系ピッチを原料とするピッチ系炭素繊維、フェノール樹脂を原料とするフェノール系炭素繊維、およびレーヨン系炭素繊維などのカーボン繊維が好ましく用いられる。これらの他に、ステンレスなどの金属繊維を使用することもできる。
また、前記カーボン繊維は、折れにくくしたり、耐食性の向上などを目的として、2000〜3000℃程度での熱処理、または、賦活処理などがされていてもよい。
前記導電性繊維は、直径が1〜30μm、好ましくは5〜15μmであるものが好適に用いられる。前記導電性繊維の直径が1μm未満であると得られるガス拡散電極の機械的強度低下させる恐れがあり、30μmを超えると得られるガス拡散電極の空隙率などを低下させる恐れがある。
前記導電性繊維の目付量としては、10〜500g/m、好ましくは30〜200g/m程度のものを用いるのとよい。前記目付量が、10g/m未満ではガス拡散電極の強度が低下する恐れがあり、500g/mを超えるとガス拡散電極が厚くなり発電特性の低下や燃料電池の大型化などを招く恐れがある。
導電性繊維に直接担持される触媒粒子としては、水素の酸化反応、及び酸素の還元反応に対して触媒作用を有するものであれば、特に限定されない。例えば、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、及びそれらの合金等から選択される1種以上が挙げられる。また、前記触媒粒子は、白金単独で用いてもよいが、前記触媒粒子の安定性や活性を高めるために、白金を主成分とする合金などであってもよい。
触媒粒子の平均粒径は、1〜30nmであることが好ましい。触媒粒子は、平均粒径が小さいほど比表面積が大きくなるため触媒活性も向上すると推測されるが、実際は、触媒粒子径を極めて小さくしても、比表面積の増加分に見合った触媒活性は得られない恐れがあるため、上記範囲とするのが好ましい。なお、本発明における「触媒粒子の平均粒径」は、X線回折における触媒金属の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径あるいは透過型電子顕微鏡像より調べられる触媒粒子径の平均値により測定することができる。
電極触媒層における触媒粒子の担持量は、0.001〜10mg/cm、好ましくは0.005〜1mg/cm程度とするのがよい。担持量が少なすぎるとガス拡散電極の所望する発電量が得られない恐れがあり、担持量が多すぎても製造コストを増加させる恐れがある。
電極触媒層では、プロトン導電性電解質が導電性繊維および触媒粒子の表面を被覆しているのが好ましい。これにより、高密度な三相界面を得ることが可能となる。プロトン導電性電解質が被覆する厚さは、得られるMEAの発電性能を考慮して適宜決定すればよいが、厚すぎると電極触媒層内の空隙率が低下する恐れがある。また、プロトン導電性電解質は、電極触媒層に含まれる導電性繊維および触媒粒子の表面の全てを被覆する必要はなく、少なくとも一部を被覆していればよい。
前記プロトン導電性電解質としては、従来の電極触媒層において一般的に用いられているのであれば特に限定されない。具体的には、NAFION(デュポン社登録商標)などのスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体、リン酸などの無機酸を炭化水素系高分子化合物にドープさせたもの、一部がプロトン導電性の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたプロトン伝導体などのプロトン導電性電解質が挙げられる。
前記ガス拡散電極において、導電性繊維に触媒粒子が直接担持され、プロトン導電性電解質が含まれる部分が電極触媒層であり、電極触媒層の厚さとしては、0.1〜20μm、好ましくは1〜10μmとするのがよい。電極触媒層の厚さが0.1μm未満であると所望する発電量が得られない恐れがあり、20μmを超えると高出力とすることができない恐れがある。
さらに、電極触媒層および/またはガス拡散層には、撥水材が含まれているのが好ましい。これにより、ガス拡散電極内の生成水を速やかに外部へ排出することができ、高電流密度、高加湿などの条件下においても優れた発電特性を示すことが可能となる。
前記撥水材としては、ガス拡散電極に従来から一般的に用いられているものであれば特に限定されず、フッ素を含有するものが好ましく用いられる。より具体的には、PTFE、PFA、FEP、PVDF等からなる撥水性繊維、撥水性粒子などが挙げられる。前記撥水材としては、任意の割合で混合・編み込みが可能となるため、撥水性繊維を用いるのが好ましい。
なお、図1において、ガス拡散電極100を構成する導電性繊維1に、電極触媒層101では撥水性繊維4が編み込まれており、ガス拡散層102では撥水性粒子5が分散混合されている。
前記ガス拡散電極の製造方法としては、まず、一定間隔に触媒粒子を担持させた導電性繊維を所定の数で一まとめに撚って束にした後、電極触媒層に触媒粒子が含まれるようにシート状に成形してガス拡散電極前駆体を作製し、この際、触媒粒子が担持された部位が、ガス拡散電極前駆体の表面に近傍に配置されるようにする。次に、前記ガス拡散電極前駆体に、プロトン導電性電解質を所望する深さまで含浸させる方法などが挙げられる。
まず、導電性繊維に触媒粒子を担持させるには、例えば、触媒粒子化合物溶液に、導電性繊維の所望する部位のみを浸漬させた後、還元剤などを添加することにより触媒粒子を担持させる方法が挙げられる。かような方法によれば、触媒粒子を導電性繊維表面に高分散担持することができ、触媒粒子の凝集を抑制することができる。
前記触媒粒子化合物としては、触媒粒子としてPtを用いる場合には、例えば、塩化白金酸、塩化アンミン白金、ジニトロジアンミン白金などの触媒粒子化合物を含有する溶液を用いることができる。白金合金とするには、前記溶液に白金の他に所望する触媒粒子の硝酸塩、塩化物、硫酸塩などの化合物を分散させればよい。また、触媒粒子化合物を添加する溶媒としては、水、アルコール系溶媒などを用いることができる。また、触媒粒子化合物溶液における触媒粒子濃度などは、所望する触媒粒子担持量が得られるように適宜決定すればよい。
還元剤としては、触媒粒子化合物を還元できるものであれば特に限定されず、チオ硫酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、メタノール、エタノール、水素、エチレン、一酸化炭素などを用いることができる。前記還元剤を添加することにより、導電性繊維上に触媒粒子化合物を触媒粒子として担持させることができる。上述の触媒粒子化合物溶液に導電性繊維を浸漬させた後、前記還元剤を適量加え、60〜100℃に加熱し、その後、室温まで放冷することにより触媒粒子の還元担持を行う。
上述の通りにして、触媒粒子が担持された導電性繊維を乾燥させる。また、必要に応じて焼成を行ってもよい。
乾燥方法としては、真空乾燥、自然乾燥、ロータリーエバポレーター、沿送風乾燥機による乾燥など、公知の方法を用いればよく特に限定されない。乾燥時間などは、使用する方法に応じて適宜決定すればよい。
焼成方法としては、空気雰囲気中、好ましくは、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性雰囲気中で、焼成温度300〜1000℃、好ましくは300〜600℃の範囲で、1〜6時間程度、行えばよい。
導電性繊維に触媒粒子を担持させる方法として、還元剤を用いる上述した方法の他、含浸法、共沈法、競争吸着法、マイクロエマルジョン(逆ミセル法)などの方法を適用することができる。また、スパッタ、蒸着などのPVD法を用いることもできる。
次に、前記導電性繊維を所定の数で一まとめに撚って束にした後、これをシート状に成形してガス拡散電極前駆体とする。
前記導電性繊維を一まとめに撚る本数としては、得られるガス拡散電極の厚さ、空隙率などを考慮して適宜決定すればよい。また、所望する太さが得られるように、一まとめに撚った2本以上の前記導電性繊維束をさらに束ねてもよい。
前記導電性繊維を一まとめに撚る本数として、具体的には、好ましくは20〜100本、より好ましくは40〜60本程度の導電性繊維を用いて一まとめに撚って束とするのがよい。20本未満の導電性繊維からなる束であると得られるガス拡散電極の強度が低下する恐れがあり、100本を越える導電性繊維からなる束であるとガス拡散電極の空隙率が減少してガス透過性、生成水の排出性能などを低下させる恐れがある。
このようにして前記導電性繊維束を複数用意しこれをシート状に成形するには、前記導電性繊維束を経糸および緯糸として互いに交差させて織り込む平織りなどの方法を用いて行えばよい。図1では、前記導電性繊維束を交差させて平織りに織り込んでいるため、緯糸として用いた導電性繊維1は波型にうねった形状を模式的に示し、経糸として用いた導電性繊維1は断面のみを模式的に示している。
また、所望するガス拡散電極前駆体が得られるのであれば特に限定されず、平織りの他に、綾織り、繻子織りなど、公知の方法を用いてシート状に成形すればよい。得られたガス拡散電極前駆体は、ローラー、プレス装置などを用いて表面を平滑にしてもよい。
上述した方法では、まず触媒粒子を導電性繊維の所望する部位に担持させた後、シート状に成形する方法であったが、かような方法に限定されない。導電性繊維をシート状に成形した後、触媒粒子を所望する部位に担持させる方法であってもよい。前記方法として、例えば、先に所定数の導電性繊維を束ねてシート状に成形してガス拡散電極前駆体を得た後に、前記ガス拡散電極前駆体の所望する部分のみを触媒粒子化合物溶液に浸漬させて還元剤などを添加することにより導電性繊維の所望する部位に触媒粒子を担持させる方法などである。
電極触媒層において、プロトン導電性電解質が導電性繊維および触媒粒子の表面を被覆させるには、プロトン導電性電解質を含むスラリーを、フローコーティング法、スプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法などを用いて、ガス拡散電極前駆体の導電性繊維に触媒粒子が直接担持されている面に塗布した後、所望する深さまで含浸させ、乾燥すればよい。
プロトン導電性電解質が、電極触媒層の内部や表面を被覆する厚さや、ガス拡散電極前駆体に含浸させる深さ、などが所望の値となるようにするには、前記スラリーを塗布・乾燥させる作業を繰り返したり、前記スラリーの濃度を調整したり、することにより行えばよい。また、前記スラリーを塗布した後に、アスピレータ等を用いてガス拡散電極前駆体背面から前記スラリーを吸引するのが好ましい。
塗布した前記スラリーを乾燥させるには、特に限定されないが、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性雰囲気下で、20〜120℃、好ましくは60〜100℃で行えばよい。
また、上述した方法の他、プロトン導電性電解質を含む前記スラリーに、ガス拡散電極前駆体を触媒粒子が担持された部分のみを浸漬させた後に所定の速度で引き上げ、これを乾燥させる方法、前記スラリーをガス拡散電極前駆体の導電性繊維に触媒粒子が直接担持されている面に塗布した後、ローラーなどにより電極触媒層内に含浸させる方法、などを用いることもできる。
このように、触媒粒子を所望する部位のみに担持させた導電性繊維をシート状に成形した後、プロトン導電性電解質を塗布することにより、導電性繊維と触媒粒子との間にプロトン導電性電解質が介在しない好適な接触状態を維持することができ、導電性繊維および触媒粒子の表面をプロトン導電性電解質が被覆することにより、高密度の三相界面を形成することが可能となる。
上述したガス拡散電極に撥水性繊維を含ませるには、所定数の導電性繊維の束と所定数の撥水性繊維の束を用意し、これらを平織りなどによりシート状に成形すればよい。
また、かような方法に限定されず、所定数の導電性繊維を束にする際に、これに前記撥水性繊維を含める方法の他、撥水性繊維を含む導電性繊維の束と、撥水性繊維を含まない導電性繊維の束とを用いる方法などが挙げられる。
撥水性粒子をガス拡散電極に含めるには、ガス拡散電極の所望する部位を撥水性粒子の分散液に浸漬した後、オーブン等で加熱乾燥させる公知の撥水処理法を用いて行えばよい。また、前記撥水処理法は、ガス拡散電極にプロトン導電性電解質を含浸させる工程の前に行っても、後に行ってもよい。しかしながら、ガス拡散電極に適度な撥水性を付与することにより、プロトン導電性電解質を均一に被覆させることができる観点から、プロトン導電性電解質を含浸させる工程の前に撥水処理を行うのが好ましい。
さらに、撥水性粒子をガス拡散電極に含めるための他の方法としては、プロトン導電性電解質でガス拡散電極を被覆する際に用いるプロトン導電性電解質を含むスラリーに、撥水性粒子を分散混合させる方法を用いれば、ガス拡散電極を、プロトン導電性電解質で被覆するのと同時に撥水性粒子を含浸させることができ、製造工程を簡易にすることができる。
ガス拡散電極では、外部から供給されたガスを均一に拡散させて電極触媒層へ供給することが必要とされる。従って、ガス拡散層内では生成水が局在化せずに、かつ、速やかに排出させる機能を備えているのが好ましい。
そのため、ガス拡散電極内に含まれる撥水材は、電極触媒層側から厚さ方向に向かって含有量を低下させるのがよい。これにより、ガス拡散層内の生成水を速やかに排出させることができるだけでなく、ガス拡散層のセパレータなどの外部回路と接触する面では導電性繊維の密度が高くなることで電子伝導性を向上させることができ、特に高電流条件下などにおいても発電性能に優れるガス拡散電極が得られる。
ガス拡散層において、電極触媒層側から厚さ方向に向かって撥水材の含有量を低下させるには、撥水材として撥水性繊維を用いた場合には、撥水性繊維を含む導電性繊維の束と、撥水性繊維を含まない導電性繊維の束とを用い、編み込む密度などを適宜変化させて、これをシート状に成形した際に、撥水材の含有量が電極触媒層側から厚さ方向に向かって低下するようにすればよい。
また、撥水材として撥水性粒子を用いる場合には、異なる濃度の撥水性粒子の分散液を複数用いて行えばよい。例えば、撥水性粒子濃度が低い分散液1にガス拡散電極の所望する部位を浸漬させ乾燥させた後、撥水性粒子濃度がより高い分散液2に、前記ガス拡散電極を分散液1に浸漬させた部位よりも浅く浸漬させ、かような工程を繰り返すことにより、ガス拡散層内の撥水材の含有量を変化させることができる。
さらに、酸化剤ガスなどの流れに沿ってガス拡散層内でも生成水が局在化し易く、これにより、ガス拡散性能が低下し、電極触媒層に酸化剤ガスなどを均一に供給することが困難となり、発電性能の低下を招く恐れがある。
従って、ガス拡散層において、ガス上流方向からからガス下流方向に向かって撥水材の含有量を増加させてもよい。これにより、長期に亘って、所望する発電性能を発揮することができるガス拡散電極が得られる。
撥水性繊維を用いて、ガス上流方向からからガス下流方向に向かって撥水材の含有量を増加させるには、電極触媒層側から厚さ方向にむかって撥水性繊維の含有量を低下させる上述した方法と同様にして、撥水性繊維を編み込む密度を適宜調整すればよい。
撥水性粒子を用いて、ガス上流方向からからガス下流方向に向かって撥水性粒子の含有量を増加させるには、例えばガス流上から下流へと該当する部位の撥水処理を行う際にスプレー法等を用いて撥水性粒子の塗布濃度を変える方法などを用いればよい。
本発明のガス拡散層は、電極触媒層側から厚さ方向に向かって撥水材の含有量を低下させる構成、または、ガス上流方向からからガス下流方向に向かって撥水材の含有量を増加させる構成の、いずれか構成を有していればよいが、双方の構成を有していてもよく、得られるガス拡散電極の特性を考慮して適宜決定すればよい。
本発明のMEAにおいて、上述したガス拡散電極は、アノードおよびカソードの少なくとも一方に用いられればよいが、電極触媒層の撥水性確保のためカソードとして用いるのが好ましい。カソードに上述したガス拡散電極を用いた場合、アノードには上述した電極の他、MEAに用いられる従来公知のアノード用電極を適用すればよい。しかし、電気伝導性およびガス透過性などに優れることからアノードおよびカソードの双方に、上述したガス拡散電極が用いられるのが好ましい。
MEAに用いる固体高分子電解質膜としては、特に限定されず、電極触媒層に用いたものと同様のプロトン導電性電解質からなる膜が挙げられる。また、デュポン社製の各種のナフィオン(デュポン社登録商標:Nafion)やフレミオンに代表されるパーフルオロスルホン酸膜、ダウケミカル社製のイオン交換樹脂、エチレン-四フッ化エチレン共重合体樹脂膜、トリフルオロスチレンをベースポリマーとする樹脂膜などのフッ素系高分子電解質や、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂系膜など、一般的に市販されている固体高分子型電解質膜、高分子微多孔膜に液体電解質を含浸させた膜、多孔質体に高分子電解質を充填させた膜などを用いてもよい。前記固体高分子電解質膜に用いられるプロトン導電性電解質と、電極触媒層に用いられるプロトン導電性電解質とは、同じであっても異なっていてもよいが、電極触媒層と固体高分子電解質膜との密着性を向上させる観点から、同じものを用いるのが好ましい。
固体高分子電解質膜の厚さや大きさなどについては、特に限定されず、得られる燃料電池の出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。
MEAの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、中間緩衝層、ガス拡散電極を用いて固体高分子電解質膜を挟持した後、これをホットプレス法など公知の接合方法を用いて接合する方法などを適宜用いればよい。
上述した本発明の燃料電池用MEAを用いた燃料電池の構成としては、特に限定されず、従来公知の技術を適宜利用すればよいが、一般的にはMEAをセパレータで挟持した構造を有する。
MEAを挟持するセパレータとしては、カーボンペーパー、カーボンクロスなど公知のものを用いればよい。セパレータは、空気と燃料ガスとを分離する機能を有するものであり、それらの流路を確保するための流通溝が形成されてもよい。セパレータなどの厚さや大きさ、流路溝の形状などについては、特に限定されず、得られる燃料電池の出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。
さらに、燃料電池が所望する電圧等を得られるように、セパレータを介してMEAを複数積層して直列に繋いだスタックを形成してもよい。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
本発明の燃料電池用MEAは、内部抵抗が低減され、ガス透過性などが優れるため、高電流密度や高加湿などの運転条件下においても優れた特性を示すことが可能となる。従って、かようなMEAを用いた燃料電池は、従来のものと比較して、より優れた発電性能を発揮することができる。よって、燃料電池システムの高効率化、小型化、軽量化を図ることができ、定置用電源の他、搭載スペースが限定される車両などの移動体用電源などとして有用である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されることはない。
<実施例1>
1.ガス拡散電極の作製
まず、前記カーボン繊維(直径7〜8μm)を約0.8mmの間隔で、ジニトロジアンミン白金水溶液(Pt濃度1.0質量%)に浸漬させ、前記溶液に還元剤としてエタノール50mlを混合して1時間攪拌した。その後、30分で85℃まで加温し、さらに、85℃で6時間撹拌・混合した後、1時間で室温まで降温した。次いで、前記カーボン繊維を引き上げた後、減圧下85℃において12時間乾燥することにより、白金粒子(Pt粒子の平均粒径2.5nm)が直接担持された前記カーボン繊維を得た。
次に、このカーボン繊維50本を一まとめに撚り、更に、この撚り糸2本をひとまとめに撚り込んだ繊維束を用いて平織りする事により、片側側面に偏って触媒粒子が直接担持された部位を有するカーボンクロスを作製した。この作製したカーボンクロスを50mm×50mmに打ち抜いてガス拡散電極基材とした。
前記カーボンクロスの白金粒子が担持された部分に撥水性を付与する為に、撥水性繊維としてポリテトラフルオロエチレン繊維(直径7〜8μm)を準備し、カーボンクロスの触媒が担持された部分のみに、カーボン繊維に対して20wt%の割合で編みこむ事により撥水性繊維を配置した。
また、前記カーボンクロスの白金粒子が担持されていない部分、すなわちガス拡散層に撥水性を付与するために、前記カーボンクロスのガス拡散層側からポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液(ダイキン工業社製ポリフロンD−1E、60wt%)をスプレー法で塗布した後、オーブン内にて80℃、1時間乾燥させることにより、カーボンクロスのガス拡散層中にPTFE粒子を分散させた。このとき、PTFE含有量は25wt%であった。
前記カーボンクロスを構成している導電性繊維に直接担持させた白金粒子にプロトン導電性電解質を接触させるために、ナフィオン/イソプロピルアルコール溶液(デュポン社製、ナフィオン5wt%含有、イオン交換基当量重量1100g/mol)をイソプロピルアルコールにより濃度3wt%に調整した電解質溶液を、カーボンクロスの触媒粒子が担持された側より窒素雰囲気下でフローコーティング法により塗布・含浸させ、さらに、窒素雰囲気中で60℃、60分間乾燥させることにより、カーボンクロスの片面に電極触媒層を作製した。
2.中間緩衝層の作製
ナフィオン/イソプロピルアルコール溶液(デュポン社製、ナフィオン5wt%含有、イオン交換基当量重量900g/mol)を、先に作製したガス拡散電極の電極触媒層側表面にフローコーティング法により所定の厚さに塗布した後、窒素雰囲気中で60℃、60分間乾燥させた。これにより、ガス拡散電極上に中間緩衝層を作製した。
3.評価用単セルの作製
固体高分子電解質膜としてNafion112(100mm×100mm、厚さ約50μm)を用い、これを先に作製したガス拡散電極2枚を用いて、中間緩衝層が内側となるようにして挟持した後、ホットプレス法により150℃、圧力20kgf/cmで300秒間プレスして、固体高分子電解質膜の両面に電極触媒層、ガス拡散層を接合一体化し、膜−電極接合体(MEA)を形成した。
その後、作製したMEAにガス流路付きガスセパレータ、シール材を配置し所定の面圧になるように締め付け、さらに金メッキしたステンレス製集電板で挟持して、図1に模式的に示す固体高分子型燃料電池とした。
<実施例2>
以下に従って作製した空隙を有する中間緩衝層を用いた以外は、実施例1と同様にして行った。
ナフィオン/イソプロピルアルコール溶液(デュポン社製、ナフィオン5wt%含有、イオン交換基当量重量1100g/mol)に、造孔材としてショウノウをナフィオン固形分に対し10倍、混合し、これを実施例1において作製したガス拡散電極の電極触媒層側表面にフローコーティング法により所定の厚さに塗布した後、窒素雰囲気中で60℃、60分間乾燥させた。この塗布及び乾燥の操作を数回繰り返すことにより、ガス拡散電極上に空隙を有する中間緩衝層を作製した。なお、これを用いて作製した固体高分子型燃料電池の模式図を図2に示す。
<実施例3>
以下に従って作製した空隙を有する中間緩衝層を用いた以外は、実施例1と同様にして行った。
ガス流入部用中間緩衝層溶液を、ナフィオン/イソプロピルアルコール溶液(デュポン社製、ナフィオン5wt%含有、イオン交換基当量重量1100g/mol)に、造孔材としてショウノウをナフィオン固形分に対し7.5倍、混合することにより調整した。
次に、ガス排出部用中間緩衝層溶液を、ナフィオン/エタノール溶液(デュポン社製、ナフィオン5wt%含有、イオン交換基当量重量1100g/mol)に、造孔材としてショウノウをナフィオン固形分に対し12.5倍、混合することにより調整した。
フローコーティング法により、実施例1において作製したガス拡散電極の前半部分(50×25mm)にガス流入部用中間緩衝層溶液を塗布し、前記ガス拡散電極の後半部分(50×25mm)にガス排出部用中間緩衝層溶液を塗布した後、窒素雰囲気中で60℃、60分間乾燥させた。これにより、ガス拡散電極上に、後半部分の空隙率が前半部分の空隙率より高い中間緩衝層を作製した。なお、これを用いて作製した固体高分子型燃料電池の模式図を図3に示す。
<実施例4>
以下に従って作製した中間緩衝層を用いた以外は、実施例1と同様にして行った。
ナフィオン/イソプロピルアルコール溶液(デュポン社製、ナフィオン5wt%含有、イオン交換基当量重量1100g/mol)46.68gに、テトラエトキシシラン、トリメチルリン酸、エタノール、水、および塩酸を、モル比で1:1:4:4:0.4で混合し、室温で加水分解を行った。これにより得られた混合ゾルを室温で一昼夜保持してゲル化させた後、これを実施例1において作製したガス拡散電極の電極触媒層側表面にドクターブレード法により所定の厚さに塗布した後、窒素雰囲気中で60℃、1時間乾燥させた。この塗布及び乾燥の操作を数回繰り返すことにより、ガス拡散電極上に中間緩衝層を作製した。
<比較例>
1.ガス拡散層作製
厚さ約270μmのカーボンペーパー(東レ社製TGP−H−090)を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液(ダイキン工業社製ポリフロンD−1E、60wt%)を純水で所定の濃度に調整した溶液中に浸漬後、オーブン内にて60℃、1時間乾燥させることにより、カーボンペーパー中にPTFEを分散させた。このとき、PTFE含有量は25wt%であった。
炭素粒子としてカーボンブラック(CABOT社製VULCAN XC−72R)5.4g、上記で用いたのと同じPTFE分散液1.0g、水29.6gをホモジナイザーにて3時間混合分散し、スラリー化した。このスラリーを先に撥水処理化したカーボンペーパーの片面上にバーコーターを用いて塗布後、オーブン内にて60℃、1時間乾燥させ、さらにマッフル炉にて350℃、1時間熱処理を行いガス拡散層表面に導電性撥水層を形成した。この後、このガス拡散層を60mm×60mmに切り出した。
2.MEA作製
白金担持カーボン(田中貴金属工業社製 TEC10E50E、白金含量46.5wt%)10g、ナフィオン/イソプロピルアルコール溶液(デュポン社製、ナフィオン5wt%含有、イオン交換基当量重量1100g/mol)90g、純水25g、イソプロピルアルコール(和光純薬工業社製 特級試薬)10gを、20℃で保持するよう設定したウォーターバス中のガラス容器にて、ホモジナイザーを用いて3時間混合分散することで、電極触媒層インクとした。
ガス拡散層の導電性撥水層が形成された面上に、スクリーンプリンターを用いて先に調製した電極触媒層インクを塗布し、オーブン中で100℃、30分間乾燥させた後、50mm×50mmの正方形に切り出しガス拡散電極とした。
固体高分子電解質膜としてNafion112(100mm×100mm、厚さ約50μm)を用い、これを先に作製したガス拡散電極2枚を用いて、触媒インクを塗布した側が内側となるようにして挟持した後、ホットプレス法により150℃、圧力20kgf/cmで300秒間プレスして、固体高分子電解質膜の両面にガス拡散電極を接合一体化し、膜−電極接合体(MEA)を形成した。
このようにして作製したMEAを用いた以外は、実施例1と同様にして固体高分子型燃料電池を作製した。
実施例1において作製した固体高分子型燃料電池の模式図を示す。 実施例2において作製した固体高分子型燃料電池の模式図を示す。 実施例3において作製した固体高分子型燃料電池の模式図を示す。
符号の説明
1…導電性繊維、
2…触媒粒子、
3…プロトン導電性電解質、
4…撥水性繊維、
5…撥水性粒子、
6…空隙
7…ガス流路
100…ガス拡散電極、
101…電極触媒層、
102…ガス拡散層、
110…中間緩衝層、
120…固体高分子電解質膜、
130…セパレータ、
140…シール材。

Claims (9)

  1. 固体高分子電解質膜と、これを挟持する電極触媒層およびガス拡散層を含む一対のガス拡散電極とを有する燃料電池用MEAにおいて、
    少なくとも一方の前記ガス拡散電極は、固体高分子電解質膜との間に中間緩衝層を有し、かつ、前記電極触媒層と前記ガス拡散層とが導電性繊維により連通された構成を有し、前記電極触媒層は前記導電性繊維に担持された触媒粒子とプロトン導電性電解質とを含む、ことを特徴とする燃料電池用MEA。
  2. 前記中間緩衝層は、有機系化合物および/または無機系化合物を含むプロトン導電性電解質からなることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用MEA。
  3. 前記有機系化合物がスルホン酸基またはカルボキシル基を少なくとも含み、前記無機系化合物がP、SiO、B、GeO、またはAsのうちいずれか1つを含むことを特徴とする請求項2記載の燃料電池用MEA。
  4. 前記中間緩衝層中の前記プロトン導電性電解質は、電極触媒層中の前記プロトン導電性電解質、および固体高分子電解質膜と連続して構成されていることを特徴とする請求項2または3記載の燃料電池用MEA。
  5. 前記中間緩衝層は、電極触媒層の外淵部より外側まで配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池用MEA。
  6. 前記中間緩衝層を構成する前記プロトン導電性電解質は、電極触媒層を構成する前記プロトン導電性電解質よりも保水性が高いことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池用MEA。
  7. 前記中間緩衝層は、空隙を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池用MEA。
  8. 前記中間緩衝層の空隙率は、ガス導入部よりもガス排出部の方が大きいことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の燃料電池用MEA。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の燃料電池用MEAを用いたことを特徴とする燃料電池。
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