JP2008147080A - 固体高分子電解質型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】大面積化したMEAにおいても、燃料電池の出力特性、特に、高電流発電時の出力を維持、向上させること。
【解決手段】燃料極触媒層12と燃料極拡散電極11からなる燃料極10と、酸化剤極触媒層22と酸化剤極拡散電極21からなる酸化剤極20と、燃料極触媒層12と酸化剤極触媒層22に挟まれた固体高分子電解質膜30と、燃料極拡散電極11と燃料2の間に配された燃料透過抑制膜40と、を備える。固体高分子電解質膜30は、燃料極10と酸化剤極20で挟まれた領域に、燃料極10で発生するCO2ガスを排出するための1つ以上の排出孔80が設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】燃料極触媒層12と燃料極拡散電極11からなる燃料極10と、酸化剤極触媒層22と酸化剤極拡散電極21からなる酸化剤極20と、燃料極触媒層12と酸化剤極触媒層22に挟まれた固体高分子電解質膜30と、燃料極拡散電極11と燃料2の間に配された燃料透過抑制膜40と、を備える。固体高分子電解質膜30は、燃料極10と酸化剤極20で挟まれた領域に、燃料極10で発生するCO2ガスを排出するための1つ以上の排出孔80が設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、固体高分子電解質型燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池は、燃料極および酸化剤極と、これらの間に設けられた固体高分子電解質膜から構成され、これを固体高分子電解質膜−電極構造体(MEA;Membrane and Electrode Assembly)と称し、燃料極には燃料が、酸化剤極には酸化剤が供給されて電気化学反応により発電する。燃料極および酸化剤極は、拡散電極と、拡散電極表面に備えられた触媒層とを含む。燃料としては、一般的には水素が用いられるが、近年、安価で取り扱いの容易なメタノールを原料として、メタノールを改質して水素を生成させるメタノール改質型や、メタノールを燃料として直接利用する直接型の燃料電池(DMFC;Direct Methanol Fuel Cell)の開発も盛んに行われている。
燃料としてメタノールを用いた場合、燃料極での反応は以下の化学式1のようになる。
[化1]
CH3OH + H2O → 6H+ + CO2 + 6e−
CH3OH + H2O → 6H+ + CO2 + 6e−
また、酸化剤極での反応は以下の化学式2のようになる。
[化2]
3/2 O2 + 6H+ + 6e− → 3H2O
3/2 O2 + 6H+ + 6e− → 3H2O
このように、DMFCでは、メタノール水溶液から水素イオンを得ることができるので、改質器などが不要になり、小型化及び軽量化を図ることができる。また、液体のメタノール水溶液を燃料とするため、エネルギー密度が非常に高いという特徴がある。
このような構成の燃料電池の特性を向上させるためには、燃料極で発生したCO2を速やかに燃料極近傍から、除去する必要がある。CO2が燃料極に停留すると、燃料の触媒への拡散が阻害されるため、化学式1の反応効率が低下する。そこで、燃料極側に流路を構成し、ポンプなどの補機を用いて燃料を流し、発生したCO2を燃料とともに速やかに燃料極から除去することにより、反応効率を維持するのが一般的である。
ところが、携帯機器用途などのパッシブ型燃料電池においては、ポンプ等の補機を使うことが難しく、このための流路を燃料極側に形成し、燃料を流して発生したCO2を燃料から効率良く除去することが難しい。
そこで、燃料極と燃料との間に、燃料の供給を制限する膜状の燃料透過抑制膜を設けることにより、必要以上の燃料を燃料極触媒層に供給しないようにして、メタノールクロスオーバー(燃料極側から酸化剤極側へメタノールが透過する現象;MCO)の低減を行うとともに、燃料極で発生したCO2が燃料に戻らないように、燃料透過抑制膜と燃料極との間から、MEAの周囲領域(燃料極と酸化剤極にはさまれない領域)を経由して、外部に排出する技術がパッシブ型の燃料電池おいて重要な技術になってきている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1に示される燃料電池においては、アノード触媒層において生成した炭酸ガスを含む生成ガスを、燃料気化層とアノード導電層(燃料極拡散電極)の間に設けられた気化燃料収容室のMEA周辺部に位置する側壁から電池外に排出するための内圧逃がし機構が設けられている。
特許文献2に示される燃料電池においては、燃料極に併設された燃料極ガス拡散層の周辺部に設けられたガス導出部を介して、CO2を排出する機構が設けられている。
パッシブ型の燃料電池においては、より高出力を得るために、MEAの大面積化が今後図られる。しかしながら、従来のパッシブ型の燃料電池においてMEAが大型化すると、MEAの中心と外周部までの距離が増大する。CO2排出孔がMEA周辺部に位置する場合には、MEA中心部で発生したCO2は燃料透過抑制膜と燃料極の細い隙間を拡散し、CO2排出のための内圧逃がし機構やガス導出部などのCO2排出孔があるMEA周辺部までの距離が大きくなる。このため、ガス排出抵抗が生じ、CO2ガスの停留が発生し、発電効率の低下が起こる。また、パッシブ型の燃料電池は薄型化する開発傾向にあるところ、燃料透過抑制膜と燃料極との隙間はさらに小さくなる傾向にあり、この傾向は今後、ますます助長され、発電効率の低下が起こると考えられる。
本発明の課題は、大面積化したMEAにおいても、燃料極でのCO2内圧を過度に上昇させず、CO2を効率良く外部に排出して、燃料電池の出力特性、特に、高電流発電時の出力を維持、向上させることである。
本発明の第1の視点においては、固体高分子型燃料電池において、燃料極触媒層と燃料極拡散電極からなる燃料極と、酸化剤極触媒層と酸化剤極拡散電極からなる酸化剤極と、前記燃料極触媒層と前記酸化剤極触媒層に挟まれた固体高分子電解質膜と、前記燃料極拡散電極と燃料の間に配された燃料透過抑制膜と、を備え、前記固体高分子電解質膜は、前記燃料極と前記酸化剤極で挟まれた領域に、前記燃料極で発生するCO2ガスを排出するための1つ以上の排出孔が設けられていることを特徴とする。
本発明の前記固体高分子電解質型燃料電池において、前記排出孔は、前記燃料極触媒層、前記固体高分子電解質膜、ないし前記酸化剤極触媒層にかけて貫通して設けられていることが好ましい。
本発明の前記固体高分子電解質型燃料電池において、前記排出孔は、前記燃料極触媒層、前記固体高分子電解質膜、前記酸化剤極触媒層、ないし前記酸化剤拡散電極にかけて貫通して設けられていることが好ましい。
本発明の前記固体高分子電解質型燃料電池において、前記排出孔は、前記燃料極と前記酸化剤極に挟まれない領域に設けられていることが好ましい。
本発明の前記固体高分子電解質型燃料電池において、前記酸化剤極拡散電極に接するように配されるとともに、前記酸化剤極の乾燥を防止する乾燥防止層を備えることが好ましい。
本発明の前記固体高分子電解質型燃料電池において、前記排出孔の断面積をAとし、前記燃料極と前記酸化剤極にはさまれた領域の面積を前記排出孔の孔数で割った前記排出孔一個あたりの面積をBとする時、A/Bが0.001以上0.05以下であることが好ましい。
本発明の前記固体高分子電解質型燃料電池において、前記酸化剤極を覆うことが可能な酸化剤極蓋を備えることが好ましい。
本発明の前記固体高分子電解質型燃料電池において、前記酸化剤極蓋は、前記固体高分子電解質膜に設けられた前記排出孔を閉じることが可能な突起部を有することが好ましい。
本発明によれば、MEAが大面積化したとしても、パッシブ型燃料電池をむやみに大きくすることなく、発生するCO2ガスにより出力特性を低下させない技術が実現される。つまり、大面積化したMEAにおいても、燃料極でのCO2内圧を過度に上昇させず、CO2を効率良く外部に排出して、燃料電池の出力特性を維持、向上させることができる。
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係る固体高分子電解質型燃料電池について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る固体高分子電解質型燃料電池の単セル構造を模式的に示した断面図である。
本発明の実施形態1に係る固体高分子電解質型燃料電池について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る固体高分子電解質型燃料電池の単セル構造を模式的に示した断面図である。
実施形態1に係る固体高分子型燃料電池においては、単セル構造1として、燃料透過抑制膜40、燃料極10、固体高分子電解質膜30、および酸化剤極20がこの順に積層された積層体を有し、燃料2が収容された容器70を有し、燃料透過抑制膜40が燃料2側に向いた状態で前記積層体が容器70に装着されている。燃料極10、固体高分子電解質膜30、および酸化剤極20がこの順に積層されたものは、固体高分子電解質膜−電極構造体(MEA;Membrane and Electrode Assembly)となる。
燃料極10は、燃料極拡散電極11と燃料極触媒層12の2層構成となっており、燃料極触媒層12側の面が固体高分子電解質膜30と当接するように配される。燃料極10には、燃料透過抑制膜40を通じて燃料2が供給される。
燃料極拡散電極11には、例えば、カーボンペーパー、カーボンの成形体、カーボンの焼結体、焼結金属、発泡金属、金属繊維シート等の導電性多孔性材料を用いることができる。このうち、焼結金属、発泡金属、金属繊維シート等の金属を用いることにより、燃料極10の集電特性を向上させることができる。
燃料極触媒層12は、触媒を担持した炭素粒子と固体高分子電解質を含む層である。燃料極触媒層12における触媒には、例えば、白金、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、コバルト、ニッケル、レニウム、リチウム、ランタン、ストロンチウム、イットリウム、またはこれらの合金等を用いることができる。燃料極触媒層12における固体高分子電解質には、固体高分子電解質膜30と同じ材料(例えば、ナフィオン(デュポン社製;登録商標))の微粒子を用いることができるが、固体高分子電解質膜30とは異なる材料や、複数の材料を用いることもできる。
酸化剤極20は、酸化剤極拡散電極21と酸化剤極触媒層22の2層構成となっており、酸化剤極触媒層22側の面が固体高分子電解質膜30と当接するように配される。酸化剤極20には、外部から酸化剤が供給される。
酸化剤極拡散電極21には、燃料極拡散電極11と同様に、例えば、カーボンペーパー、カーボンの成形体、カーボンの焼結体、焼結金属、発泡金属、金属繊維シート等の導電性多孔性材料を用いることができる。このうち、焼結金属、発泡金属、金属繊維シート等の金属を用いることにより、酸化剤極20の集電特性を向上させることができる。
酸化剤極触媒層22は、触媒を担持した炭素粒子と固体高分子電解質を含む層である。酸化剤極触媒層22における触媒には、燃料極触媒層12と同様に、例えば、白金、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、コバルト、ニッケル、レニウム、リチウム、ランタン、ストロンチウム、イットリウム、またはこれらの合金等を用いることができる。なお、酸化剤極触媒層22における触媒は、燃料極触媒層12の触媒と同じものを用いても異なるものを用いてもどちらでもよい。酸化剤極触媒層22における固体高分子電解質には、固体高分子電解質膜30と同じ材料の微粒子を用いることができるが、固体高分子電解質膜30とは異なる材料や、複数の材料を用いることもできる。なお、酸化剤極触媒層22における固体高分子電解質は、燃料極触媒層12における固体高分子電解質と同一のものであっても異なるものであってもよい。
固体高分子電解質膜30は、燃料極10と酸化剤極20を隔てるとともに、両者の間で水素イオンを移動させる役割を有する。このため、固体高分子電解質膜30は、水素イオンの伝導性が高い膜とすることができる。また、固体高分子電解質膜30は、化学的に安定であって機械的強度が高い膜とすることができる。固体高分子電解質膜30を構成する材料としては、例えば、スルフォン基、リン酸基等の強酸基や、カルボキシル基等の弱酸基等の極性基を有する有機高分子が好ましく用いられる。こうした有機高分子として、スルフォン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、アルキルスルフォン化ポリベンゾイミダゾール等の芳香族縮合系高分子;スルフォン基含有パーフルオロカーボン(ナフィオン(デュポン社製;登録商標)、アシプレックス(旭化成社製))、カルボキシル基含有パーフルオロカーボン(フレミオンS膜(旭硝子社製;登録商標))等が例示される。固体高分子電解質膜30は、燃料極10と酸化剤極20に挟まれた領域に、燃料極10で発生したCO2を排出するための排出孔80を有する。なお、図1には排出孔80は1つしか示されていないが、複数であってもよい。排出孔80の断面積をA(cm2)とし、排出孔80一個あたりのCO2排出面積をB(cm2)とすると、A/B=0.001〜0.05の範囲内で適宜、設定できる。なお、BはMEA面積を孔数で割った値で定義される。
排出孔80は、排出孔80がCO2ガスが発生する燃料極10の近傍に配される。これにより、CO2ガスの排出抵抗を最小限に抑えることができる。また、排出孔80により、不要なCO2ガスを排出することができるとともに、燃料極10側でのCO2ガスの停留を抑えることができる。そのため、電池反応を効率よく安定的に行わせることができ、燃料電池の出力特性を維持、向上させることができる。特に、CO2ガスの発生量が多くなる高電流での発電時にその効果が大きくなる。
燃料透過抑制膜40は、燃料2の透過を抑制する膜である。燃料透過抑制膜40には、容器70内の燃料2が供給される。燃料透過抑制膜40の材料として、撥水性の多孔質材料を用いることができる。例えば、燃料2中の燃料成分がメタノールと水の混合溶液である場合、ポリテトラフルオロエチレンの多孔質膜、疎水処理したポリエチレンの多孔質膜、または疎水処理したポリイミドの多孔質膜等を用いることができる。このような膜を用いる場合には、燃料2中のメタノールを燃料極10に優先的に透過させることができる。よって、水の浪費を抑制しつつ、燃料極10における電極反応を確実に生じさせることができる。また、燃料2の透過を抑制する機能を有する非多孔質性の親水性膜を用いることもできる。燃料透過抑制膜40として、多孔質材料を用いる場合、厚さは10μm〜300μmが良く、孔径は0.1μm〜50μmが好適である。気孔率は、30%〜90%が適応可能である。親水性を有する非多孔質膜として、例えば、スルフォン酸を有する固体高分子電解質膜30を用いることもできる。
燃料2としては、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、または他のアルコール類、シクロパラフィン等の液体炭化水素等、ホルマリン、ギ酸、あるいはヒドラジン等の液体燃料を用いることができる。液体燃料は、水溶液とすることができる。また、燃料2にはアルカリを加えることもできる。
酸化剤としては、通常、空気を用いることができるが、酸素ガスを供給してもよい。
ところで、本発明は、MEA中心部で発生したCO2ガスをいかに効率良く排出するかが重要であるので、MEA内(燃料極10と酸化剤極20に挟まれた領域内)のうち周縁部分で発生するCO2ガスは技術でカバーできる領域である。そこで、燃料極10と酸化剤極20の面積を固体高分子電解質膜30の面積よりも小さくし、MEA内にCO2ガス排出用の排出孔80を設けるとともに、燃料極10と酸化剤極20にはさまれない周囲領域にもCO2ガス排出用の排出孔(図示せず)を設けることが考えられる。このようにすると、MEA内の周縁部分には、排出孔80を設けなくてよいので(MEA内では中央部分にのみ排出孔80を設ければよいので)、周囲領域での排出孔(図示せず)によって発電に寄与できなくなるMEAの面積を少なくすることができ、MEAの発電能力をむやみに落とすことがなくなる。
本発明は、以上のように燃料極10側からのCO2ガス排出を効果的に行い、燃料極10側のCO2ガス発生による燃料極触媒層12への燃料2の拡散を阻害しないようにする技術であるが、固体高分子電解質膜30に形成された排出孔80の断面積をA(cm2)とし、排出孔80一個あたりのCO2排出面積をB(cm2)とすると、このAとBにより排出できるCO2ガスの量が左右される。BはMEA面積(燃料極10と酸化剤極20にはさまれた領域の面積)を孔数で割った値で定義される。
CO2排出面積Bが大きいと、一個の排出孔80でカバーする領域が大きくなりすぎるためにCO2圧が上がりすぎ、発電効率は低下する。一方、CO2排出面積Bが小さいと、排出孔80だらけの状態になり、燃料極10側のCO2圧がうまく上がらず、外部から燃料極10側に酸素が混入したり、また、燃料2(メタノール)が燃料極触媒層12で反応する前に排出孔80を通じて外部に抜けてしまい発電効率が低下する。
断面積Aが大きすぎるとCO2排出面積Bが小さい時と同じ現象が生じ、反対に断面積Aが小さすぎるとCO2排出面積Bが大きい時と同様の現象が生ずる。
つまり、断面積AとCO2排出面積Bには適正な値があり、また、断面積AとCO2排出面積Bには相補的な依存関係が存在する。この状況を表す指標として、断面積AとCO2排出面積Bとをパラメータとして発電効率を検討したところ、A/B=0.001〜0.05程度である時に、正常に発電が維持できることがわかった。
以上の制限条件が設定されるのは、燃料極10の触媒および酸化剤極20の触媒がそれぞれ、酸化剤および燃料2により触媒活性に影響を受けるためである。将来、燃料極10および酸化剤極20の触媒が、それぞれ、燃料2および酸化剤のみに活性を示すものが発見されたときにおいては、上記制限条件は見直される。その場合においても、本発明は有効である。すなわち、MEAに形成された排出孔80は、CO2ガスのみを効率良く排出すればよく、燃料2および酸化剤の相互の流入に関しては、考慮する必要がなくなる。そこで、MEAの触媒層(燃料極触媒層12、酸化剤極触媒層22)の有効面積が、排出孔80によって阻害されない範囲で、A/Bの値は、大きく取ることが可能となる。
本発明においては、固体高分子電解質膜30の両側の燃料極10と酸化剤極20に、それぞれ燃料2と酸化剤を、それぞれの側から別々に供給することが重要である。MEAに形成された排出孔80は、運転中に発生するCO2ガスを排出する必要最小限の孔であることが重要であり、燃料2や酸化剤の相互の行き来は最小限に留める構造を実現しようとするものである。その意味で、単に多孔性の固体電解質を用いる技術とは、根本的に異なる。
上述したように、燃料電池においては、固体高分子電解質膜30内で水素イオンの移動のみが優先的に起こり、燃料極10から酸化剤極20への燃料2の流入や、酸化剤極20から燃料極10への酸化剤の流入は、出力低下の原因となると考えられている。このため、両者の混合を招く可能性のある、固体高分子電解質膜30に孔をあけることは一般的には考えられない。このため、従来技術では、この手法は想定外とされてきたと考えられる。
しかし、燃料極触媒層12は燃料2の消滅点として働くとともに、酸化剤極触媒層22は酸化剤の消滅点として働き、燃料極触媒層12でCO2ガスのみが生成することを鑑み、燃料電池の運転状況における燃料極10側での燃料2の消費速度や、CO2ガスの発生速度や、固体高分子電解質膜30内の燃料2の拡散速度や、酸化剤極20での酸化剤の消費速度や、固体高分子電解質膜30内の酸化剤の拡散速度などの物質の消費および移動のバランスにおいて、出力の向上のためにはCO2ガスの排出がもっとも重要な要因である場合がある。本発明は、固体高分子電解質膜30にCO2ガスの排出孔80を設けるという常識的でない手法により、燃料電池の出力の低下を押えることを目的としている。
次に、本発明の実施形態1に係る固体高分子電解質型燃料電池の製造方法について説明する。実施形態1に係る固体高分子電解質型燃料電池の単セル構造1の製造は、特に制限がないが、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、燃料極10および酸化剤極20を製造する。これらは、カーボンペーパーなどの拡散電極(11、21)上に、触媒物質と固体高分子電解質とを含む触媒層(12、22)を形成することにより得られる。例えば、まず、炭素粒子へ触媒を担持する。この工程は、一般的に用いられている含浸法によって行うことができる。次に、触媒を担持させた炭素粒子と固体高分子電解質を溶媒に分散させ、ペースト状とした触媒ペーストを作製し、その後、触媒ペーストを燃料極拡散電極11または酸化剤極拡散電極21に塗布、乾燥させることによって燃料極触媒層12または酸化剤極触媒層22が形成された燃料極10および酸化剤極20を製造することができる。
なお、拡散電極(11、21)への触媒ペーストの塗布方法については特に制限がないが、例えば、刷毛塗り、スプレー塗布、およびスクリーン印刷等の方法を用いることができる。触媒ペーストは、約1μm〜2mmの厚さで塗布される。触媒ペーストを塗布した後、使用する固体高分子電解質に応じた加熱温度および加熱時間で加熱して乾燥させる。
次に、固体高分子電解質膜30を製造する。固体高分子電解質膜30は、用いる材料に応じて適当な方法を採用して作製することができる。例えば、有機高分子材料を溶媒に溶解ないし分散した液体を、ポリテトラフルオロエチレン等の剥離性シート等の上にキャストして乾燥させることにより固体高分子電解質膜30を得ることができる。その後、固体高分子電解質膜30にCO2ガスの排出孔80を形成する。
次に、得られた固体高分子電解質膜30を、燃料極10および酸化剤極20で挟み、ホットプレスし、MEAを得る。このとき、両電極(10、12)の触媒層(12、22)が設けられた面と固体高分子電解質膜30とが対向するようにし、排出孔80を両電極(10、12)で挟み込むようにする。ホットプレスの条件は、材料に応じて選択されるが、例えば、固体高分子電解質の軟化温度やガラス転位温度を超える温度とする。具体的には、例えば、温度100〜250℃、圧力5〜100kgf/cm2、時間10〜300秒程度とする。
次に、MEAの燃料極10の表面に燃料透過抑制膜40を設ける。
こうして、得られたMEA(燃料透過抑制膜40を含む)を、燃料2側に燃料透過抑制膜40を向けて容器70に装着する。これにより、燃料極10側に燃料透過抑制膜40が設けられるとともに、MEAにCO2ガスの排出孔80を有する単セル構造1が得られる。
なお、実施形態1は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、また、そうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
実施形態1によれば、MEAが大面積化したとしても、パッシブ型燃料電池をむやみに大きくすることなく、発生するCO2ガスにより出力特性を低下させない技術が実現される。
なお、実施形態1では、燃料極10の生成ガスがCO2ガスであるとしたが、CO2ガス以外の発電に寄与しないガスが発生する燃料電池においても同様に、実施形態1の手法は有効である。
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係る固体高分子電解質型燃料電池について図面を用いて説明する。図2は、本発明の実施形態2に係る固体高分子電解質型燃料電池の単セル構造を模式的に示した断面図である。
本発明の実施形態2に係る固体高分子電解質型燃料電池について図面を用いて説明する。図2は、本発明の実施形態2に係る固体高分子電解質型燃料電池の単セル構造を模式的に示した断面図である。
実施形態2に係る固体高分子電解質型燃料電池は、触媒層(燃料極触媒層12、酸化剤極触媒層22)のガス透過性が悪い場合に対応したもので、図2のように燃料極触媒層12、固体高分子電解質膜30、酸化剤極触媒層22に同じ孔径の排出孔80を設けたものである。その他の構成は、実施形態1と同様である。
実施形態2によれば、燃料極10側のCO2を効率良く、排出できる。つまり、燃料極触媒層12で発生したCO2ガスは、速やかに燃料極拡散電極11に移動し、燃料極拡散電極11から排出孔80を通じて酸化剤極触媒層22に到達し、酸化剤極拡散電極21を抜けて外部に排出される。
(実施形態3)
本発明の実施形態3に係る固体高分子電解質型燃料電池について図面を用いて説明する。図3は、本発明の実施形態3に係る固体高分子電解質型燃料電池の単セル構造を模式的に示した断面図である。
本発明の実施形態3に係る固体高分子電解質型燃料電池について図面を用いて説明する。図3は、本発明の実施形態3に係る固体高分子電解質型燃料電池の単セル構造を模式的に示した断面図である。
本発明は、実施形態1、2に示すように、現在のDMFC用のMEAの大面積化に伴って発生すると考えられるCO2ガスの排出抵抗を低減する目的があるが、MEAに排出孔80を設けるので、CO2ガスとともに気化した燃料2(メタノール)が酸化剤極20を通じて外部に排出され、燃料2が酸化剤極20に供給される外部の空気中の酸素と混合し、酸化剤極触媒層22に燃料2が供給される可能性がある。この状態では、CO2ガスによりその混合ガス中の酸素濃度が低下する影響に加えて、CO被毒の影響により酸化剤極20の触媒活性が低下する。
この状態を避けるために、実施形態3では、図3のように酸化剤極拡散電極21から燃料極触媒層12まで同じ孔径の排出孔80を形成している。その他の構成は実施形態1と同様である。これにより、空気などの酸化剤と、排出されるCO2との混合が最小に抑えられ、また、酸化剤極触媒層22に到達するメタノール量を抑えることができ、安定した出力を得ることができる。
(実施形態4)
本発明の実施形態4に係る固体高分子電解質型燃料電池について図面を用いて説明する。図4は、本発明の実施形態4に係る固体高分子電解質型燃料電池の単セル構造を模式的に示した断面図である。
本発明の実施形態4に係る固体高分子電解質型燃料電池について図面を用いて説明する。図4は、本発明の実施形態4に係る固体高分子電解質型燃料電池の単セル構造を模式的に示した断面図である。
実施形態3のように、MEAの燃料極触媒層12、固体高分子電解質膜30、酸化剤極触媒層22、及び酸化剤極拡散電極21に同じ孔径の排出孔80を設けたセル構造においては、発電を行っていない燃料電池の保管時には、燃料極10からCO2ガスが発生しないために、酸化剤極20側の外部から酸化剤である酸素などが燃料極10に流入し、燃料極10の触媒性能を劣化させることが考えられる。そこで、実施形態4では、使用しない時には、図4に示すように、酸化剤極20側に不必要な酸化剤の流入を抑える酸化剤極蓋60を設けている。その他の構成は、実施形態3と同様である。酸化剤極蓋60を設けることにより、保管時の酸化剤の燃料極10への流入による悪影響を回避することができる。
(実施形態5)
本発明の実施形態5に係る固体高分子電解質型燃料電池について図面を用いて説明する。図5は、本発明の実施形態5に係る固体高分子電解質型燃料電池の単セル構造を模式的に示した断面図である。
本発明の実施形態5に係る固体高分子電解質型燃料電池について図面を用いて説明する。図5は、本発明の実施形態5に係る固体高分子電解質型燃料電池の単セル構造を模式的に示した断面図である。
実施形態4のように酸化剤極蓋60にて蓋をするだけでは、酸化剤の流入は抑えられるが、保管時に燃料2が燃料極10から酸化剤極20に流入し、充満し、酸化剤極蓋60を開けて再発電しようとする時に、酸化剤極20側の燃料2が酸化剤極触媒層22で一気に酸化されることによる発熱により、燃料電池の機能に傷害を引き起こす場合がある。この状況を回避するためには、MEAに設けられた排出孔80を、保管時には塞ぐ必要がある。そこで、実施形態5では、図5のように、排出孔80を段差形状に形成し、酸化剤極蓋60に突起部60aを形成している。その他の構成は、実施形態4と同様である。
排出孔80について、酸化剤極触媒層22および酸化剤極拡散電極21の孔径が、燃料極触媒層12および固体高分子電解質膜30の孔径よりも大きくなるように形成されている。排出孔80について、酸化剤極触媒層22と酸化剤極拡散電極21の孔は同一形状であり、固体高分子電解質膜30と燃料極触媒層12の孔は同一形状である。排出孔80では、固体高分子電解質膜30の孔を中心として、円周上に固体高分子電解質膜30が露出している。
酸化剤極蓋60は、燃料電池を運転しない時に酸化剤極20を覆う蓋である。酸化剤極蓋60には、蓋を閉じた時に固体高分子電解質膜30と接触し、燃料極10側から酸化剤極20側への燃料2の流入を最小限に抑える突起部60aが形成されている。こうすることにより、酸化剤極蓋60を閉じた時に簡便に、燃料極10側と酸化剤極20側との間の、排出孔80を経由した燃料2および酸化剤の相互の移動を抑制できる。
実施形態5によれば、発電を行わない時の燃料2と酸化剤の相互の流入を最小限にし、さらに、酸化剤極蓋60を取ると同時に発電を開始することにより、燃料極10へ酸化剤が流入することなく、燃料極10のCO2ガスの排出を行うことが可能となる。
なお、実施形態5と同様な手法として、燃料2まで貫通してCO2ガス排出用の排出孔を設ける(燃料透過抑制膜40にも排出孔を設ける)ことが考えられ、実施形態5と同様の効果をもたらすことが予想されるが、このような方法では、燃料電池の厚さをいたずらに肥大化させ、また構造が複雑となる可能性があり、薄型化が望まれるパッシブ型燃料電池には適さない。
(実施形態6)
本発明の実施形態6に係る固体高分子電解質型燃料電池について図面を用いて説明する。図6は、本発明の実施形態6に係る固体高分子電解質型燃料電池の単セル構造を模式的に示した断面図である。
本発明の実施形態6に係る固体高分子電解質型燃料電池について図面を用いて説明する。図6は、本発明の実施形態6に係る固体高分子電解質型燃料電池の単セル構造を模式的に示した断面図である。
実施形態6に係る固体高分子電解質型燃料電池では、酸化剤極拡散電極21に接するように配されるとともに、酸化剤極20の乾燥を防止する乾燥防止層50が設けられている。その他の構成は、実施形態5と同様である。
排出孔80は、乾燥防止層50にも形成されている。排出孔80について、乾燥防止層50、酸化剤極拡散電極21および酸化剤極触媒層22の孔径が、燃料極触媒層12および固体高分子電解質膜30の孔径よりも大きくなるように形成されている。排出孔80について、乾燥防止層50と酸化剤極触媒層22と酸化剤極拡散電極21の孔は同一形状であり、固体高分子電解質膜30と燃料極触媒層12の孔は同一形状である。そして、酸化剤極蓋60には、蓋を閉じた時に固体高分子電解質膜30と接触し、燃料極10側から酸化剤極20側への燃料2の流入を最小限に抑える突起部60aが形成されている。排出孔80では、固体高分子電解質膜30の孔を中心として、円周上に固体高分子電解質膜30の表面が露出している。
乾燥防止層50には、例えば、気液分離膜を用いることができる。気液分離膜は、一般的に多孔質体であり、酸化剤極20で生成される液体である水の透過を阻止し、気体である酸化剤の酸素などを取り込むことができる材料で構成することができる。気液分離膜には、たとえば撥水性の材料を用いることができ、例えば、ポリテトラフロオロエチレン(以下、PTFEとも呼ぶ。)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のパーフルオロポリマー、ポリメタクリル酸1H,1H−パーフルオロオクチル、ポリアクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル等のポリフルオロアルキルアクリレート、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化エチレンプロピレン等のフルオロオレフィンが挙げられる。また、ポリ塩化ビニリデン、ポリアセタール、ブタジエンとアクリルニトリルとの共重合体樹脂等を用いることもできる。また、気液分離膜には、多孔質体の表面を、このような材料で覆うことによって得られる部材を用いることもできる。
また、乾燥防止層50には、気液分離膜以外にも、保水性を有するシート部材を用いてもよい。また、乾燥防止層50には、酸化剤極20の表面に多孔質基材を配置し、その表面に保水性ポリマーの溶液を塗布し、乾燥させたものを用いてもよい。また、乾燥防止層50は、MEAとともに枠体の中に配置し、リベットで固定してもよい。
また、乾燥防止層50は、保水性のセルロース繊維シートと酸化剤供給孔を有する板から構成されたものを用いることもできる。ここで、酸化剤供給孔を有する板には、アルミニウム板、ステンレス板等の金属板や、酸化剤供給孔を有するPTFE板等のプラスチック板を用いてもよい。酸化剤供給孔の孔径は、例えば1μm以上、好ましくは、10μm以上とすることができる。こうすることにより、酸化剤を確実に酸化剤極20に供給することができる。また、酸化剤供給孔の孔径は、例えば、5000μm以下、好ましくは100μm以下とすることができる。また、乾燥防止層50の酸化剤供給孔を有する板の開口率を、例えば、10%以上、好ましくは30%以上とすることができる。こうすることにより、酸化剤を酸化剤極20に確実に供給する構成とすることができる。また、乾燥防止層50のセルロース繊維シートの開口率は、たとえば90%以下、好ましくは70%以下とすることができる。こうすることにより、セルロース繊維シートにおいて水を外部に流出させないことができる。
なお、実施形態1〜6は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、また、そうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
次に、本発明の実施例に係る固体高分子電解質型燃料電池の出力特性の評価について説明する。
実施例(比較例を含む)では、構成要素の異なる4種類の燃料電池を作製し、その出力特性の評価を行った。
(燃料電池の作製)
ルテニウム−白金合金を担持したケッチェンブラック100mgを水で失活させた後、デュポン社製5%ナフィオン溶液3mlを加え、超音波混合器で50℃にて3時間攪拌して触媒ペースト(燃料極触媒層12、酸化剤極触媒層22に対応)とした。ここで、ルテニウム−白金合金の組成は、50atom%Ruで、合金と炭素微粉末の重量比は1:1とした。この触媒ペーストを1cm×1cmのカーボンペーパー(TGP−H−120、東レ社製;燃料極拡散電極11に対応)上に2mg/cm2塗布し、80℃で乾燥させ、燃料極10とした。また、触媒金属として白金を用い、燃料極10と同様の方法を用いて酸化剤極20を作製した。
ルテニウム−白金合金を担持したケッチェンブラック100mgを水で失活させた後、デュポン社製5%ナフィオン溶液3mlを加え、超音波混合器で50℃にて3時間攪拌して触媒ペースト(燃料極触媒層12、酸化剤極触媒層22に対応)とした。ここで、ルテニウム−白金合金の組成は、50atom%Ruで、合金と炭素微粉末の重量比は1:1とした。この触媒ペーストを1cm×1cmのカーボンペーパー(TGP−H−120、東レ社製;燃料極拡散電極11に対応)上に2mg/cm2塗布し、80℃で乾燥させ、燃料極10とした。また、触媒金属として白金を用い、燃料極10と同様の方法を用いて酸化剤極20を作製した。
得られた電極(燃料極10、酸化剤極20)を、ナフィオン112膜(デュポン社製、登録商標;固体高分子電解質膜30に対応)の両面に温度150℃、圧力10kgf/cm2(10秒間)の条件でホットプレスし、得られた膜−触媒電極接合体(MEA)を得た。
乾燥防止層50には、セルロース繊維シートと穴あき金属板を張り合わせたものを用いた。セルロース繊維シートとして、膜厚200μm、細孔サイズ1μm、空隙率80%のセルロース繊維シートを用いた。また、穴あき金属板として、直径1000μmの孔を表面全面に設け、開口率80%としたステンレス板を用いた。
また、燃料透過抑制膜40としては、PTFE膜を用い、そのPTFEシートとして、膜厚80μm、細孔サイズ300nmの多孔質PTFEシートを用いた。
(電池特性の評価)
得られた燃料電池の燃料極に10v/v%メタノール水溶液を、酸化剤極は空気(1気圧)に暴露し、セル温度40℃に設定した。それぞれの電池を電池性能評価装置にセットして、50mA/cm2での定電流出力時の電池電圧を測定した。
得られた燃料電池の燃料極に10v/v%メタノール水溶液を、酸化剤極は空気(1気圧)に暴露し、セル温度40℃に設定した。それぞれの電池を電池性能評価装置にセットして、50mA/cm2での定電流出力時の電池電圧を測定した。
(評価結果)
表1には、参考サンプル1、2、比較サンプル1〜3、サンプル1〜4の単セル構造の構成と、平均発電電圧と発電継続時間(最大120分とした)の測定結果を示す。
表1には、参考サンプル1、2、比較サンプル1〜3、サンプル1〜4の単セル構造の構成と、平均発電電圧と発電継続時間(最大120分とした)の測定結果を示す。
参考サンプル1は、MEA面積25cm2で排出孔がない場合のサンプルである。参考サンプル2は、MEA面積25cm2で排出孔を周囲領域(燃料極と酸化剤極にはさまれない領域)に12個所設けた場合のサンプルである。排出孔の断面積は、1孔あたり、平均0.004cm2(0.2cm×0.02cm)である。
比較サンプル1は、MEA面積を100cm2(10cm×10cm)に拡大し、排出孔を、周囲領域(燃料極と酸化剤極にはさまれない領域)に設け、かつ、面積比率で参考サンプル2と同じになるように48個所に増やしたサンプルである。
サンプル1〜3に関しては、MEAに排出孔80を比較サンプルと同じ48個所、均一に配したサンプルである。孔1個は、断面積を0.004cm2とした。サンプル1は、図1(実施形態1)に対応し、固体高分子電解質膜30のみに排出孔80を設けた場合のサンプルである。サンプル2は、図2(実施形態2)に対応し、燃料極触媒層12、固体高分子電解質膜30および酸化剤極触媒層22に排出孔80を設けた場合のサンプルである。サンプル3は、図3(実施形態3)に対応し、燃料極触媒層12、固体高分子電解質膜30、酸化剤極触媒層22、および酸化剤極拡散電極21に排出孔80を開けた場合のサンプルである。サンプル4は、図6(実施形態6)に対応するサンプルである。サンプル1〜4の排出孔80は、半径0.036cmの円形とした。排出孔80の配置は、10cm角のMEAに7×7のグリッド上に排出孔80を開け、中央の1箇所は孔を開けていない配置とした。
比較サンプル2および比較サンプル3は、排出孔の断面積について、A/B=0.001〜0.05から逸脱した場合である。比較サンプル2は、A/B値を小さく設定(A/B<0.001)したサンプルである。比較サンプル3は、A/B値を大きく設定(A/B>0.05)したサンプルである。
(考察)
参考サンプル1は、排出孔がないために、発電は5分で継続不可能となった。参考サンプル2は、MEA面積が、あまり大きくないために、周囲領域(燃料極と酸化剤極にはさまれない領域)に排出孔を設けた場合においても発電を規定時間の120分継続することができた。
参考サンプル1は、排出孔がないために、発電は5分で継続不可能となった。参考サンプル2は、MEA面積が、あまり大きくないために、周囲領域(燃料極と酸化剤極にはさまれない領域)に排出孔を設けた場合においても発電を規定時間の120分継続することができた。
比較サンプル1では、MEA面積が大きくなったために、周囲領域(燃料極と酸化剤極にはさまれない領域)の排出孔からのCO2の排出が効率良く行えないために、規定時間発電を続けることができたが、発電電圧は、参考サンプル2より低くなった。
サンプル1では、MEA内に断面積0.00416cm2の排出孔80を48個設けることにより、参考サンプル2と同等の発電が可能となった。サンプル2、サンプル3、サンプル4も、サンプル1と同等か、それ以上の発電性能を示すことが確認された。サンプル4に関しては、10時間後再び発電を試験し、一回目と同等の結果が得られることを確認した。
比較サンプル2では、排出孔の有効面積が少ないために、また、比較サンプル3においては、CO2排出面積が大きすぎるために、安定した発電の継続は実現できなかった。
以上より、一定の条件でMEAに排出孔80を設けるという簡素な構成で、燃料極側のCO2を効果的に排出し、燃料電池の出力低下を抑制することができた。
1 単セル構造
2 燃料
10 燃料極
11 燃料極拡散電極
12 燃料極触媒層
20 酸化剤極
21 酸化剤極拡散電極
22 酸化剤極触媒層
30 固体高分子電解質膜
40 燃料透過抑制膜
50 乾燥防止層
60 酸化剤極蓋
60a 突起部
70 容器
80 排出孔
2 燃料
10 燃料極
11 燃料極拡散電極
12 燃料極触媒層
20 酸化剤極
21 酸化剤極拡散電極
22 酸化剤極触媒層
30 固体高分子電解質膜
40 燃料透過抑制膜
50 乾燥防止層
60 酸化剤極蓋
60a 突起部
70 容器
80 排出孔
Claims (8)
- 燃料極触媒層と燃料極拡散電極からなる燃料極と、
酸化剤極触媒層と酸化剤極拡散電極からなる酸化剤極と、
前記燃料極触媒層と前記酸化剤極触媒層に挟まれた固体高分子電解質膜と、
前記燃料極拡散電極と燃料の間に配された燃料透過抑制膜と、
を備え、
前記固体高分子電解質膜は、前記燃料極と前記酸化剤極で挟まれた領域に、前記燃料極で発生するCO2ガスを排出するための1つ以上の排出孔が設けられていることを特徴とする固体高分子電解質型燃料電池。 - 前記排出孔は、前記燃料極触媒層、前記固体高分子電解質膜、ないし前記酸化剤極触媒層にかけて貫通して設けられていることを特徴とする請求項1記載の固体高分子電解質型燃料電池。
- 前記排出孔は、前記燃料極触媒層、前記固体高分子電解質膜、前記酸化剤極触媒層、ないし前記酸化剤拡散電極にかけて貫通して設けられていることを特徴とする請求項1記載の固体高分子電解質型燃料電池。
- 前記排出孔は、前記燃料極と前記酸化剤極に挟まれない領域に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の固体高分子電解質型燃料電池。
- 前記酸化剤極拡散電極に接するように配されるとともに、前記酸化剤極の乾燥を防止する乾燥防止層を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の固体高分子電解質型燃料電池。
- 前記排出孔の断面積をAとし、前記燃料極と前記酸化剤極にはさまれた領域の面積を前記排出孔の孔数で割った前記排出孔一個あたりの面積をBとする時、A/Bが0.001以上0.05以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の固体高分子電解質型燃料電池。
- 前記酸化剤極を覆うことが可能な酸化剤極蓋を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の固体高分子電解質型燃料電池。
- 前記酸化剤極蓋は、前記固体高分子電解質膜に設けられた前記排出孔を閉じることが可能な突起部を有することを特徴とする請求項7記載の固体高分子電解質型燃料電池。
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---|---|---|---|---|
JP2008305709A (ja) * | 2007-06-08 | 2008-12-18 | Sharp Corp | 燃料電池、燃料電池システムおよび電子機器 |
WO2010084800A1 (ja) * | 2009-01-26 | 2010-07-29 | 株式会社 東芝 | 燃料電池 |
-
2006
- 2006-12-12 JP JP2006334646A patent/JP2008147080A/ja not_active Withdrawn
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