JP5198168B2 - 偏心型減速機 - Google Patents

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本発明は、ピン内歯がケースの内周に配置され、クランク軸の回転に伴い外歯歯車がピン内歯に噛み合いながら偏心して回転する偏心型減速機に関する。
各種産業用機械等においては、大きい減速比を実現可能な減速機として偏心型減速機が用いられている。このような偏心型減速機として、ピン内歯がケースの内周に配置され、クランク軸の回転に伴い外歯歯車がピン内歯に噛み合いながら偏心して回転する偏心型減速機が知られている(特許文献1、2を参照)。
特許文献1に開示された偏心型減速機においては、ケース(ケーシング(158))の内周には、ピン状の部材として形成されたピン内歯(ピン(128A))が配置され、これらのピン内歯は、2つの外歯歯車(124)と噛み合うように配置されている。そして、2つの外歯歯車(124)は、偏心体(122)が設けられた偏心体軸(120)として形成されたクランク軸(48)の回転に伴い偏心して回転する。一方、特許文献2の図5に開示された偏心型減速機においては、ケース(外側ケース(12))の円筒部(13)の内周に配置されたピン内歯(内歯ピン(31))は、ピニオン(44)として形成された2つの外歯歯車の一方に噛み合う第1内歯ピン(31a)と他方に噛み合う第2内歯ピン(31b)とに分割されている。尚、この特許文献2に開示の偏心型減速機においては、2つの外歯歯車の間にはクランク軸(48)の中間部を回転自在に支持する中間軸受部材(46)が設けられ、第1内歯ピン(31a)の一端側(下端側)及び第2内歯ピン(31b)の他端側(上端側)は中間軸受部材(46)によって位置決めされている。
特開2007−100843号公報(第5頁、第1図) 特開2007−85524号公報(第8頁、第5図)
特許文献1に開示された偏心型減速機では、1本のピン内歯が、複数の外歯歯車と噛み合うように構成されている。このため、複数の外歯歯車に亘って噛み合うことができる歯の長さが必要になるため、ピン内歯の長さが長くなってしまう。このように、ピン状の部材であるピン内歯の長さが長くなると、円筒度の誤差が大きくなり易く、必要な円筒度を確保することができるようにピン内歯を加工することが難しくなってしまう。そのため、ピン内歯の加工に際して難易度の高い高度な加工作業が要求されるという問題がある。
一方、特許文献2に開示された偏心型減速機では、ピン内歯が分割されて構成されている。しかしながら、分割されたピン内歯における互いに対向する端部が、分割されたピン内歯の間に配置された中間軸受部材によって位置決めされている。このため、偏心型減速機の作動時に回転する中間軸受部材と分割されたピン内歯の端部とが常に摺動し、ピン内歯及び中間軸受部材が磨耗することになる。そして、ピン内歯と中間軸受部材との摺動により、偏心型減速機の駆動効率(駆動エネルギーの伝達効率)が低下してしまうという問題がある。
また、特許文献1の偏心型減速機のように、ピン内歯が1本の部材で構成されている場合は、偏心型減速機の組み立てにおいて、組み立て効率を良くするために、クランク軸軸受と外歯歯車とを組み付けてユニット化した状態でケースに挿入し、その後に各ピン内歯を挿入することができる。このため、外歯歯車の各外歯と合わせながら各ピン内歯を容易にケース内に配置することができる。しかしながら、特許文献2に開示された偏心型減速機においては、中間軸受部材の組み付けが必要なため、分割されたピン内歯の一方をケースに挿入して配置した後に、ユニット化された外歯歯車等をケースに挿入する必要がある。このため、ケース内に先に配置された多数(例えば、数十本程度)の各ピン内歯(分割されたピン内歯の一方)と外歯歯車の各外歯とを合わせながらユニット化された外歯歯車等をケース内に配置する困難な組み立て作業が必要となる。このため、偏心型減速機の組立性が低下してしまうという問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みることにより、複数の外歯歯車とこれに噛み合うピン内歯とが設けられる偏心型減速機において、ピン内歯の容易な加工を実現するとともに、駆動効率及び組立性の低下を防止することができる、偏心型減速機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための第1発明に係る偏心型減速機は、ケースと、前記ケースの内周に配置され、ピン状の部材として形成された複数のピン内歯と、前記ケースに収納されるとともに、前記ピン内歯に噛み合う外歯が外周に設けられた第1外歯歯車及び第2外歯歯車と、前記第1外歯歯車及び前記第2外歯歯車に形成されたクランク用孔を貫通し、回転することで前記第1外歯歯車及び前記第2外歯歯車を偏心させて回転させるクランク軸と、前記クランク軸の一端側を回転自在に保持する基部キャリアと、前記クランク軸の他端側を回転自在に保持する端部キャリアと、前記基部キャリアと前記端部キャリアとを連結する支柱と、前記基部キャリアに固定され、ピニオンが取り付けられる出力軸と、を備えている。そして、第1発明に係る偏心型減速機は、前記ピン内歯として、少なくとも前記第1外歯歯車の外歯に噛み合う第1ピン内歯と、少なくとも前記第2外歯歯車の外歯に噛み合う第2ピン内歯とが設けられ、前記第1ピン内歯はその一端側が前記ケースに対して位置決めされ、前記第2ピン内歯はその一端側が前記第1ピン内歯の他端側に対して位置決めされることを特徴とする。
この発明によると、ピン内歯として第1ピン内歯と第2ピン内歯とが設けられ、第1ピン内歯が第1外歯歯車に対して、第2ピン内歯が第2外歯歯車に対して、それぞれ噛み合うように構成されている。このため、第1外歯歯車及び第2外歯歯車に対するピン内歯の噛み合いを確保するとともに、長さの短い第1ピン内歯及び第2ピン内歯でピン内歯を構成することができる。これにより、第1ピン内歯及び第2ピン内歯の円筒度の誤差を小さくして必要な円筒度を確保することが容易になるため、複数の外歯歯車と噛み合うピン内歯が設けられる偏心型減速機であっても、容易にピン内歯を加工することができる。また、この発明によると、第1ピン内歯の一端側がケースに対して位置決めされて第2ピン内歯の一端側が第1ピン内歯に対して位置決めされる。このため、第1ピン内歯及び第2ピン内歯をその長手方向における位置ずれを抑制して強固にピン溝に取り付けることができるとともに、第1ピン内歯及び第2ピン内歯の長手方向の位置決めを容易且つ確実に行うことができる。そして、特許文献2に開示された中間軸受部材のような部材によって第1ピン内歯及び第2ピン内歯を位置決めする構造も不要となるため、部材の磨耗、及び駆動効率の低下や組立性の低下を招いてしまうことも防止できる。
従って、本発明によると、複数の外歯歯車とこれに噛み合うピン内歯とが設けられる偏心型減速機において、ピン内歯の容易な加工を実現するとともに、駆動効率及び組立性の低下を防止することができる。
更に、発明に係る偏心型減速機は、前記第1外歯歯車と前記第2外歯歯車との間に配置され、前記クランク軸の中間部を回転自在に保持する中間軸受と、前記中間軸受を保持するとともに、前記第1外歯歯車と前記第2外歯歯車との間に配置されたプレートと、をさらに備え、前記ピン内歯は、前記プレートの外周に対して空隙を介して対向していること特徴とする。
この発明によると、クランク軸の中間部を中間軸受を介してプレートによって回転自在に支持することができる。そして、プレートの外周とピン内歯との間には空隙があるため、偏心型減速機が作動して基部キャリア及び端部キャリアとともにプレートが回転した際も、プレートとピン内歯とが摺動して部材の磨耗や駆動効率の低下を招いてしまうこともない。また、偏心型減速機の組み立てに際しては、ユニット化された第1外歯歯車及び第2外歯歯車等をケース内に挿入した後に、第1外歯歯車及び第2外歯歯車の各外歯に合うように、各第1ピン内歯及び各第2ピン内歯をケース内に配置することができる。従って、この発明によると、特許文献2に開示された中間軸受部材が設けられた偏心型減速機とは異なり、クランク軸の中間部が回転自在に支持された偏心型減速機において、ピン内歯の容易な加工を実現するとともに、部材の磨耗や駆動効率及び組立性の低下を防止することができる。
更に、発明に係る偏心型減速機は、前記ケースの内周には、前記ピン内歯が配置されるピン溝と、前記プレートの外周に対向する位置において全周に亘って前記ピン溝の深さと同じ深さで凹むように又は前記ピン溝の深さよりも深く凹むように形成された凹部とが設けられ、前記第1ピン内歯の他端側の端部と前記第2ピン内歯の一端側の端部とが前記ケースの内周に対して前記凹部に対応する位置に配置されていること特徴とする。
この発明によると、ピン溝が形成されたケースの内周に、プレートの外周が対向する位置においてピン溝と同じ深さの又はピン溝の深さよりも深い凹部が全周に亘って形成されている。そして、第2ピン内歯の一端側は、凹部に対応する位置で第1ピン内歯の他端側に対して位置決めされる。このため、第1ピン内歯及び第2ピン内歯がケースの内周に対してピン溝以外の部分と干渉することなくピン溝に取り付けられるとともに第1ピン内歯に対する第2ピン内歯の位置決めも行われることになる。これにより、プレートが設けられる偏心型減速機であっても、ピン溝に第1ピン内歯と第2ピン内歯とを嵌め込むように取り付ける組立作業を行う際に、ピン溝とピン内歯とが摺動する範囲が小さくなり、組立作業の容易化と組立作業時間の短縮を図れ、組立作業の効率を向上させることができる。
第2発明に係る偏心型減速機は、第1発明の偏心型減速機において、前記第2ピン内歯の他端側が前記端部キャリアを前記ケースの内周に対して回転自在に保持する軸受の一端側に対して位置決めされることを特徴とする。
この発明によると、端部キャリアにケースを回転自在に保持する軸受を利用して第2ピン内歯の他端側の位置決めもできるため、第1ピン内歯及び第2ピン内歯の長手方向の位置決めをさらに容易にでき、組立作業のさらなる効率化を図ることもできる。
発明に係る偏心型減速機は、第1発明又は発明の偏心型減速機において、前記ピン内歯は、前記第1ピン内歯における前記第1外歯歯車が接触する部分と前記第2ピン内歯における前記第2外歯歯車が接触する部分とが前記プレートの厚み方向における中心が位置する面を介して対称に位置するように、配置されていることを特徴とする。
この発明によると、第1ピン内歯における第1外歯歯車が接触する部分と第2ピン内歯における第2外歯歯車が接触する部分とがプレートの厚み中心が位置する面を介して対称に位置するように、第1ピン内歯と第2ピン内歯とがケースの内周に配置されている。このため、偏心型減速機の作動の際に、第1ピン内歯において第1外歯歯車との噛み合いにより生じる摺動状態と、第2ピン内歯において第2外歯歯車との噛み合いにより生じる摺動状態とが、均等な状態又は均等に近い状態となる。そのため、第1ピン内歯と第2ピン内歯とにおいてほぼ均等に磨耗が進行し、第1ピン内歯及び第2ピン内歯のいずれかに偏磨耗が生じることを抑制できる。これにより、第1ピン内歯と第2ピン内歯との耐久年数をほぼ同じにでき、効率よく偏心型減速機の耐久性の向上を図ることができる。
発明に係る偏心型減速機は、第1発明乃至第発明のいずれかの偏心型減速機において、前記第1ピン内歯及び前記第2ピン内歯は、同一直線上において並んで配置されるとともに、同数設けられていることを特徴とする。
この発明によると、同数設けられる第1ピン内歯及び第2ピン内歯が同一直線上に並んで配置されるように、第1ピン内歯及び第2ピン内歯が配置される各ピン溝がそれぞれ直線上に形成される。このため、歯車の歯面を形成するピニオンカッタにて切削するギアシェーパでの加工等によりピン溝を加工するピン溝形成を容易に行うことができる。
本発明によると、複数の外歯歯車とこれに噛み合うピン内歯とが設けられる偏心型減速機において、ピン内歯の容易な加工を実現するとともに、駆動効率及び組立性の低下を防止することができる。
本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明の実施形態に係る偏心型減速機は、産業用ロボットや種々の工作機械等の各種産業用機械や建設機械等において広く適用することができる。尚、例えば、風車においては、近年、ブレード(羽根)の直径が大きくなる傾向にあることから、風向きに合わせて風車のナセルを旋回させるための首振り用の駆動装置であるヨー(Yaw)駆動装置として、寸法の大型化を抑制しつつ且つ高出力仕様の(負荷容量の大きな)減速機が要求される状況にある。このため、本実施形態に係る偏心型減速機は、このような風車用ヨー駆動装置として用いられると好適である。また、この例に限らず、ピン内歯がケースの内周に配置され、クランク軸の回転に伴い外歯歯車がピン内歯に噛み合いながら偏心して回転する偏心型減速機に関して、広く適用することができるものである。以下、本発明に係る偏心型減速機の第1実施形態と第2実施形態とについて説明する。
[第1実施形態]
(偏心型減速機の全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る偏心型減速機1を示す断面図である。偏心型減速機1は、例えば、風車のナセルを旋回させる風車用ヨー駆動装置として用いられ、上側に配置されるモータ100(図1にて一部を破線で図示)から入力された回転を減速して伝達して出力する。そして、偏心型減速機1は、ケース11、ピン内歯22、前段減速部12、後段減速部13、出力軸14等をそなえて構成されている。
図1に示すように、偏心型減速機1は、下側に配置された一端側においてケース11から突出するように位置する出力軸14に対してピニオン101が取り付けられ、上側に配置された他端側においてケース11に対してモータ100が取り付けられる。そして、偏心型減速機1においては、上側に配置されたモータ100から入力された回転力をケース11内に配置された前段減速部12及び後段減速部13を介して減速して伝達して出力軸14に取り付けられたピニオン101に出力する。偏心型減速機1が風車用ヨー駆動装置として用いられる場合であれば、偏心型減速機1は、ピニオン101が風車のタワーの上部に固定された歯車と噛み合うように配置される。そして、モータ100からの回転駆動力に伴って偏心型減速機1が作動してピニオン101が回転することで、風車のナセルが旋回することになる。尚、以下の説明においては、偏心型減速機1にて、出力軸14が配置される下側である出力側を一端側として、モータ100が配置される上側である入力側を他端側として説明する。
(ケース及びピン内歯の構成)
図1に示すように、偏心型減速機1のケース11は、筒状の第1ケース部11aと第1ケース部11aの他端側に配置される第2ケース部11bとで構成され、これらの縁部同士がボルトで連結されている。そして、ケース11の内部には、前段減速部12、後段減速部13などが収納されている。尚、第2ケース部11bの内側に前段減速部12が配置され、第1ケース部11aの内側に後段減速部13が配置されており、前段減速部12、後段減速部13、及び出力軸14は、偏心型減速機1の回転中心線P(図1において一点鎖線で図示)の方向である軸方向に沿って直列に配置されている。また、ケース11は、一端側(第1ケース部11aの端部側)が開口形成され、他端側(第2ケース部11bの端部側)には前述のようにモータ100が固定されている。
図2は、ケース11の他端側における軸方向の一部断面を拡大して示したものである。尚、図2は、第1ケース部11aのみの断面図(図2(a))と、図2(a)と同じ断面においてピン溝52にピン内歯22が取り付けられた状態の断面図(図2(b))とを示している。図1及び図2に示すように、ケース11の第1ケース部11aの内周には、ピン内歯22が配置されるピン溝52が設けられている。このピン溝52は、ケース11の内周に沿って複数設けられている。そして、各ピン溝52は、半円弧状の断面でその長手方向が回転中心線Pと平行に延びる溝として形成されている。
ピン内歯22は、複数設けられており、図1及び図2に示すように、ピン状の部材(丸棒状の部材)として形成され、ケース11の内周に設けられたピン溝52に配置されている。尚、図1及び図2においては、ピン内歯22については、断面でなく外形を図示している。ピン内歯22は、その長手方向が回転中心線Pと平行に位置するように配置されるとともに、ケース11の内周において等間隔でピン溝52に嵌め込まれて取り付けられた状態で配列され、後述する外歯歯車28の外歯31と噛み合うように構成されている。
また、ピン内歯22として、第1ピン内歯22aと第2ピン内歯22bとが設けられている。第1ピン内歯22aと第2ピン内歯22bとは同数設けられており、各ピン溝52に嵌め込まれて取り付けられるピン内歯22として、一対の第1ピン内歯22a及び第2ピン内歯22bが設けられている。そして、各第1ピン内歯22aと各第2ピン内歯22bとは、ピン溝52に取り付けられることで回転中心線Pと平行な同一直線上において並んで配置されている。また、第1ピン内歯22aは後述する外歯歯車28のうちの第1外歯歯車28aの外歯31に噛み合い、第2ピン内歯22bは外歯歯車28のうちの第2外歯歯車28bの外歯31に噛み合うように配設されている(図3参照)。また、第1ピン内歯22aは、その一端側がケース11の第1ケース部11aの内周に形成された段部に対してスペーサ54を介して位置決めされている。一方、第2ピン内歯22bは、その一端側が第1ピン内歯22aの他端側に対して直接当接することで位置決めされている。尚、第2ピン内歯22bの他端側は、後述する端部キャリア26をケース11の内周に対して回転自在に保持する玉軸受37の一端側に対して直接当接することで位置決めされている(即ち、玉軸受37は、本実施形態において、端部キャリア26をケース11に対して回転自在に保持するとともに第2ピン内歯22bの他端側を位置決めする軸受として設けられている)。
(前段減速部の構成)
図1に示すように、前段減速部12は、モータ100からの回転駆動力が伝達される1段の遊星歯車機構とスパーギア49とを備えて構成され、そのうちの遊星歯車機構は、太陽歯車15、キャリア16、プラネタリギア17、リングギア18等を備えて構成されている。
図1に示すように、プラネタリギア17は、ケース11の内部に向かって突出するように配置されたモータ100の回転軸100aの周囲に複数個(本実施形態では、3個)配置され、回転軸100aに対して偏心型減速機1の径方向(回転中心線Pに対して垂直な方向)に位置している。各プラネタリギア17は、回転軸100aの端部の外周に形成された歯車と噛み合うことで、回転軸100aと連結されている。キャリア16は、回転軸100aを中心とした周方向に沿った均等角度の位置に複数のプラネタリギア17を回転自在に保持するとともに公転動作を行う遊星枠として形成されている。リングギア18は、第2ケース部11bに固定されるとともに内周に歯が形成されたリング状の歯車として設けられ、プラネタリギア17に噛み合うように構成されている。太陽歯車15は、回転中心線P上に配置され、キャリア16の内周部分に対してスプライン結合により連結されている。尚、太陽歯車15は、その一端側にインプットギア部15aが形成されており、このインプットギア部15aにおいてスパーギア49と噛み合うように配置されている。
図1に示すように、スパーギア49は、太陽歯車15のインプットギア部15aと噛み合うようにその周囲に複数個(本実施形態では、4個)配置されて、太陽歯車15に対して偏心型減速機1の径方向に位置している。そして、スパーギア49は、後段減速部13のクランク軸23の他端側に固定されている。これにより、スパーギア49は、クランク軸23を回転させる回転力を伝達するように構成されている。
(後段減速部の構成)
図3は、図1における後段減速部13及びその近傍を拡大して示す断面図である。図1に示すように、後段減速部13は、モータ100から入力されて前段減速部12を介して伝達される回転駆動力により作動して出力軸14に対して回転を伝達するように構成されている。そして、図1及び図3に示すように、後段減速部13は、クランク軸23、基部キャリア25(図3では、その一部のみを図示)、端部キャリア26、支柱27、第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bで構成される外歯歯車28等を備えて構成されている。
クランク軸23は、図1及び図3に示すように、その軸方向が回転中心線Pと平行になるように配置されており、回転中心線Pを中心とした周方向に沿った均等角度の位置に複数(本実施形態では4つ)配置されている。各クランク軸23は、後述する第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bに形成されたクランク用孔30をそれぞれ貫通するように配置されており、回転することで第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bを偏心させて回転させる軸部材として設けられている。そして、クランク軸23は、自らの回転(自転)に伴う第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bの回転とともに、公転動作を行うことになる。尚、図1及び図3においては、クランク軸23については、断面でなく外形を図示している。
また、クランク軸23には、第1偏心部23a、第2偏心部23b、第1軸部23c、及び第2軸部23dが設けられており、第1軸部23c、第1偏心部23a、第2偏心部23b、第2軸部23dの順番で直列に設けられている。そして、第1偏心部23a及び第2偏心部23bは、軸方向と垂直な断面が円形断面となるように形成されており、それぞれの中心位置がクランク軸23の回転中心線(第1軸部23c及び第2軸部23dの中心位置)に対して偏心するように設けられている。また、クランク軸23の一端側に設けられた第1軸部23cは後述する基部キャリア25に対してころ軸受34を介して回転自在に保持されており、他端側に配置された第2軸部23dは後述する端部キャリア26に対してころ軸受35を介して回転自在に保持されている。また、クランク軸23の他端側の第2軸部23dには、ころ軸受35から他端側に突出するように位置するその端部において、スパーギア49がスプライン結合により連結されている。
外歯歯車28は、図1及び図3に示すように、平行に配置された状態でケース11内に収納される第1外歯歯車28aと第2外歯歯車28bとで構成されている。第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bにはそれぞれ、クランク軸23が貫通するクランク用孔30、及び、後述する支柱27が貫通する支柱貫通孔48が形成されている。第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bは、回転中心線Pと平行な方向において、クランク用孔30及び支柱貫通孔48の位置がそれぞれ対応するように配置されている。
第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bのクランク用孔30は、円形孔として形成され、クランク軸23に対応して第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bの周方向に沿って均等角度の位置に複数(本実施形態では4つ)配置されている。このクランク用孔30は、第1外歯歯車28aにおいては第1偏心部23aを、第2外歯歯車28bにおいては第2偏心部23bを、ニードルころ又は円筒ころを有するころ軸受38を介してそれぞれ保持している。支柱貫通孔48は、後述する支柱27に対応して外歯歯車28の周方向に沿った均等角度の位置に複数(本実施形態では4つ)配置されている。また、支柱貫通孔48は、第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bの周方向において、クランク用孔30と交互に形成されている。尚、支柱貫通孔48には、支柱27が遊嵌状態で貫通している。
また、第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bのそれぞれの外周には、ピン内歯22に噛み合う外歯31が設けられている。そして、前述したように、第1外歯歯車28aの外歯31は第1ピン内歯22aと噛み合っており、第2外歯歯車28bの外歯31は第2ピン内歯22bと噛み合っている。また、本実施形態では、第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bにおけるそれぞれの外歯31の歯数は、第1ピン内歯22a及び第2ピン内歯22bのそれぞれの歯数よりも1個少なくなるように設けられている。このため、クランク軸23が回転するごとに、噛み合う外歯31とピン内歯22との噛み合いがずれ、第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bが偏心して揺動回転するように構成されている。尚、外歯31とピン内歯22との歯数差は、1個に限らず、複数個であってもよい。
基部キャリア25は、図1及び図3に示すように、その一端側において出力軸14と一体に形成され、ケース11内に配置されている。この基部キャリア25には、その他端側において、クランク軸23の第1軸部23cがころ軸受34を介して配置されるクランク保持穴50が形成されている。このクランク保持穴50は、回転中心線Pを中心とした周方向に沿った均等角度の位置に形成されている。このクランク保持穴50により、基部キャリア25は、各クランク軸23の一端側をその第1軸部23cにてころ軸受34を介して回転自在に保持している。
また、基部キャリア25は、その外周側において、ころ軸受36を介してケース11における第1ケース部11aの内周側に対して回転自在に保持されている。この基部キャリア25に対しては、図1に示すように、基部キャリア25の外周に沿って配置されるリング状の部材として設けられた位置決め部材44が固定されている。そして、ころ軸受36は、その一端側が位置決め部材44に係合し、その他端側が第1ケース部11aの一端側に係合した状態で配置されている。この位置決め部材44により、ころ軸受36の基部キャリア25に対する位置が規定される。尚、本実施形態では、出力軸14は、基部キャリア25に一体に形成されることで、基部キャリア25に対して固定されている。
端部キャリア26は、図1及び図3に示すように、支柱27を介して基部キャリア25と連結されており、円板状の部材として設けられている。この端部キャリア26は、その外周側において、玉軸受37を介してケース11の内周に対して回転自在に保持されている。尚、玉軸受37は、その一端側がケース11の第2ケース部11aの他端側に係合するとともに、第2ピン内歯22bの他端側を位置決めするように配置されている。そして、玉軸受37の他端側は、端部キャリア26の他端側においてフランジ状に張り出した縁部26aに係合するように配置されている。また、端部キャリア26には、回転中心線Pを中心とした周方向に沿った均等角度の位置にクランク軸23の他端側の第2軸部23dが配置されるクランク貫通孔43が形成されている。このクランク貫通孔43において、クランク軸23の他端側がその第2軸部23dにてころ軸受35を介して回転自在に保持されている。
尚、外歯歯車28やクランク軸23等が上述のように配設されているため、スパーギア49から回転駆動力が伝達されてスパーギア49とともにクランク軸23が回転すると、このクランク軸23の回転に伴い第1偏心部23a及び第2偏心部23bから第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bに対して荷重が作用する。この荷重により、第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bが揺動するように偏心して回転し、この第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bの偏心回転に対応してクランク軸23が自転しながら公転動作を行うことになる。
支柱27は、図1及び図3に示すように、基部キャリア25と端部キャリア26とを連結する柱状部分として設けられている。この支柱27は、回転中心線Pを中心とした周方向に沿った均等角度の位置に複数(本実施形態では、4つ)配置されており、その軸方向が回転中心線Pと平行となるように配置されている。尚、支柱27とクランク軸23とは、回転中心線Pを中心とした周方向に沿って交互に配置されている。
また、各支柱27は、基部キャリア25に一体に形成されており、基部キャリア25の他端側において他端側に向かって突出するように設けられている。そして、支柱27には、支柱ピン40が圧入される支柱ピン穴51が形成されている。この支柱ピン穴51は、端部キャリア26の他端側に開口するとともに、端部キャリア26から支柱27へと延びる穴として形成されている。また、支柱ピン40は、支柱ピン穴51に圧入される丸棒状(円柱状)の部材として形成されている。この支柱ピン40が支柱ピン穴51に圧入されることにより、基部キャリア25及び端部キャリア26における周方向の位置が合わされることになる。尚、本実施形態においては、各支柱27に対して支柱ピン40が2つ配設されている。
また、支柱27には、図中破線で示す支柱ボルト29が挿入される支柱ボルト穴47が形成されている。支柱ボルト穴47は、端部キャリア26の他端側に開口する穴として設けられ、一端側に向かって端部キャリア26及び支柱27を貫通して基部キャリア25にまで延びる穴として形成されている。支柱ボルト穴47における基部キャリア25と支柱27の根元部分とに配置された部分の内周には、雌ネジ部分が形成されている。
図1及び図3にて破線で示す支柱ボルト29は、雄ネジ部分として形成されたネジ部が一端側に設けられ、六角レンチ等で締め付けるための六角穴が設けられた頭部が他端側に設けられている。この支柱ボルト29は、端部キャリア26と基部キャリア25とを支柱27を介して螺合により結合するボルト部材として設けられている。尚、本実施形態においては、各支柱27に対して1つの支柱ボルト29が偏心型減速機1の径方向に沿って並んで配設されている。支柱ボルト29での結合によって基部キャリア25と端部キャリア26とを連結する際には、まず、前述のように支柱ピン穴51に支柱ピン40が圧入されて基部キャリア25及び端部キャリア26の周方向の位置合わせが行われる。この位置合わせが行われた状態で、支柱ボルト29が端部キャリア26の他端側から支柱ボルト穴47に挿入される。そして、支柱ボルト穴47における基部キャリア25や支柱27の根元部分に形成された前述の雌ネジ部分に対して、支柱ボルト29の一端側における前述のネジ部が螺合するようにねじ込まれる。このとき、支柱ボルト29の頭部は、支柱ボルト孔47が開口する端部キャリア26の他端側と係合する。この支柱ボルト29による結合により、基部キャリア25と端部キャリア26とが連結されることになる。
また、支柱ボルト29が基部キャリア25及び支柱27の根元部分に螺合し、基部キャリア25と端部キャリア26とを連結する締め付け力が発生することにより、基部キャリア25に固定された位置決め部材44と端部キャリア26とがころ軸受36及び玉軸受37を介してケース11を挟持することになる。そして、端部キャリア26と位置決め部材44とがころ軸受36及び玉軸受37を介してケース11を挟持することで、基部キャリア25及び端部キャリア26がケース11に対して回転自在に保持されることになる。また、このとき、ケース11と玉軸受37との間で第1ピン内歯22a及び第2ピン内歯22bの位置決めも行われることになる。
(偏心型減速機の作動)
次に、上述した偏心型減速機1の作動について説明する。偏心型減速機1は、モータ100の運転が行われることにより、作動する。モータ100の運転が開始されると、モータ100の回転軸100aが回転する。回転軸100aが回転すると、これに連結されたプラネタリギア17がリングギア18と噛み合いながら回転して公転し、これにより、キャリア16が回転し、キャリア16に連結された太陽歯車15が回転する。そして、太陽歯車15のインプットギア部15aに噛み合う各スパーギア49が回転する。
各スパーギア49が回転すると、各スパーギア49が他端側の端部で固定された各クランク軸23が回転し、各クランク軸23とともに第1偏心部23a及び第2偏心部23bが回転する。この回転に伴って、前述のように、第1外歯歯車28aが第1ピン内歯22aに対して、第2外歯歯車28bが第2ピン内歯22bに対して、それぞれ外歯31の噛み合いをずらしながら偏心して回転する。そして、第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bの偏心回転に伴って、ころ軸受38で第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bに回転保持されたクランク軸23が回転中心線Pを中心として公転動作を行う。これにより、支柱27で連結されてクランク軸23を回転自在に保持する基部キャリア25及び端部キャリア26とともに、出力軸14が回転し、大きなトルクがピニオン101から出力されることになる。
(偏心型減速機の効果)
以上説明した偏心型減速機1によると、ピン内歯22として第1ピン内歯22aと第2ピン内歯22bとが設けられ、第1ピン内歯22aが第1外歯歯車28aに対して、第2ピン内歯22bが第2外歯歯車28bに対して、それぞれ噛み合うように構成されている。このため、第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bに対するピン内歯22の噛み合いを確保するとともに、長さの短い第1ピン内歯22a及び第2ピン内歯22bでピン内歯22を構成することができる。これにより、第1ピン内歯22a及び第2ピン内歯22bの円筒度の誤差を小さくして必要な円筒度を確保することが容易になるため、複数の外歯歯車28(第1外歯歯車28a、第2外歯歯車28b)と噛み合うピン内歯22が設けられる偏心型減速機1であっても、容易にピン内歯22を加工することができる。
また、偏心型減速機1によると、第1ピン内歯22aの一端側がケース11に対して位置決めされて第2ピン内歯22bの一端側が第1ピン内歯22aに対して位置決めされる。このため、第1ピン内歯22a及び第2ピン内歯22bをその長手方向における位置ずれを抑制して強固にピン溝52に取り付けることができるとともに、第1ピン内歯22a及び第2ピン内歯22bの長手方向の位置決めを容易且つ確実に行うことができる。そして、特許文献2に開示された中間軸受部材のような部材によって第1ピン内歯22a及び第2ピン内歯22bを位置決めする構造も不要となるため、部材の磨耗、及び駆動効率の低下や組立性の低下を招いてしまうことも防止できる。
従って、本実施形態によると、複数の外歯歯車28(第1外歯歯車28a、第2外歯歯車28b)とこれに噛み合うピン内歯22とが設けられる偏心型減速機1において、ピン内歯22の容易な加工を実現するとともに、部材の磨耗、及び駆動効率及び組立性の低下を防止することができる。
また、偏心型減速機1によると、端部キャリア26にケース11を回転自在に保持する玉軸受37を利用して第2ピン内歯22bの他端側の位置決めもできるため、第1ピン内歯22a及び第2ピン内歯22bの長手方向の位置決めをさらに容易にでき、組立作業のさらなる効率化を図ることもできる。
また、偏心型減速機1によると、同数設けられる第1ピン内歯22a及び第2ピン内歯22bが同一直線上に並んで配置されるように、第1ピン内歯22a及び第2ピン内歯22bが配置される各ピン溝52がそれぞれ直線上に形成される。このため、歯車の歯面を形成するピニオンカッタにて切削するギアシェーパでの加工等によりピン溝52を加工するピン溝形成を容易に行うことができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る偏心型減速機2について説明する。偏心型減速機2は、第1実施形態の偏心型減速機1と同様に、各種産業用機械や建設機械等において広く適用することができ、例えば、風車用ヨー駆動装置として用いることができる。尚、以下の説明においては、第1実施形態と同様の構成要素については、図面において同一の符号を付して適宜説明を省略する。
(偏心型減速機の全体構成)
図4は、偏心型減速機2を示す断面図である。偏心型減速機2は、ケース61、ピン内歯22、前段減速部12、後段減速部60、出力軸14等をそなえて構成されている。そして、偏心型減速機2は、ケース61に取り付けられたモータ100(図4にて一部を破線で図示)から入力された回転をケース61内に配置された前段減速部12及び後段減速部60を介して減速して伝達して出力軸14に取り付けられたピニオン101に出力する。尚、以下の説明においては、第1実施形態と同様に、出力軸14が配置される下側である出力側を一端側として、モータ100が配置される上側である入力側を他端側として説明する。
(ケース及びピン内歯の構成)
図4に示す偏心型減速機2のケース61は、第1実施形態のケース11と同様に、縁部同士が連結された第1ケース部61aと第2ケース部61bとを備えて構成されている。但し、第2実施形態のケース61は、第1ケース部61aの内周の構成において第1実施形態と異なっている。図5は第2実施形態のケース61の他端側における軸方向の一部断面を拡大して示したものである。尚、図5は、第1ケース部61aのみの断面図(図5(a))と、図5(a)と同じ断面においてピン溝55にピン内歯22が取り付けられた状態の断面図(図5(b))とを示している。図4及び図5に示すように、ケース61の第1ケース部61aの内周には、ピン内歯22が配置されるピン溝55と、凹部53とが設けられている。
図4及び図5に示すピン溝55は、ケース61の内周に沿って複数設けられ、各ピン溝55は、半円弧状の断面でその長手方向が回転中心線Pと平行に延びる溝として形成されている。また、ピン溝55としては、ケース61の内周において、一端側に形成された第1ピン溝55aと、他端側に形成された第2ピン溝55bとが設けられている。第1ピン溝55aは、ケース61の内周において周方向に沿って等間隔で配置され、第2ピン溝55bも、ケース61の内周において周方向に沿って等間隔で配置されている。そして、各第1ピン溝55aと各第2ピン溝55bとは、回転中心線Pと平行な同一直線上に配置されている。
凹部53は、図4及び図5に示すように、ケース61の内周においてその内周の全周に亘って形成されており、第1ピン溝55aと第2ピン溝55bとの間であって、後述するプレート39の外周に対向する位置において設けられている。そして、凹部53は、ピン溝55の深さよりも深く凹むように形成されている。尚、ピン溝55の深さとは、ケース61の内周についての径方向における深さであり、ピン溝55を形成しているケース61の内周部分における最も径方向内側に位置している部分から最も径方向外側に位置している部分までの深さをいう。また、ピン溝55を形成しているケース61の内周部分における最も径方向内側に位置している部分から凹部53を形成しているケース61の内周部分における最も径方向外側に位置している部分までの径方向における深さがピン溝55の深さよりも深く形成されることで、凹部53は、ピン溝55の深さよりも深く凹むように形成されている。尚、図5では、ピン溝55の深さよりも少し深さが深い凹部53を例示しているが、この形態に限らず、さらに深く形成された凹部を設けてもよく、また、ピン溝55の深さと同じ深さで凹むように形成された凹部を設けてもよい。
ピン内歯22は、複数設けられており、図4及び図5に示すように、ピン状の部材(丸棒状の部材)として形成され、ケース61の内周に設けられたピン溝55に配置されている。尚、図4及び図5においては、ピン内歯22については、断面でなく外形を図示している。ピン内歯22は、その長手方向が回転中心線Pと平行に位置するように配置されるとともに、ケース61の内周において等間隔でピン溝55に嵌め込まれて取り付けられた状態で配列され、外歯歯車28の外歯31と噛み合うように構成されている。
また、ピン内歯22としては、第1ピン溝55aに対して嵌め込まれて取り付けられる第1ピン内歯22aと、第2ピン溝55bに対して嵌め込まれて取り付けられる第2ピン内歯22bとが設けられている。第1ピン内歯22aと第2ピン内歯22bとは、同数設けられており、ピン溝55に取り付けられることで回転中心線Pと平行な同一直線上において並んで配置されている。また、第1ピン内歯22aは第1外歯歯車28aの外歯31に噛み合い、第2ピン内歯22bは第2外歯歯車28bの外歯31に噛み合うように配設されている(図6参照)。また、第1ピン内歯22aは、その一端側がケース61の第1ケース部61aの内周に形成された段部に対してスペーサ54を介して位置決めされている。一方、第2ピン内歯22bは、その一端側が第1ピン内歯22aの他端側に対して直接当接することで位置決めされている。また、第2ピン内歯22bの他端側は、端部キャリア26をケース61の内周に対して回転自在に保持する玉軸受37の一端側に対して直接当接することで位置決めされている(図6参照)。尚、第1ピン内歯22aの他端側の端部と第2ピン内歯22bの一端側の端部とは、ケース61の内周に対して凹部53に対応する位置に配置されている。
(前段減速部の構成)
図4に示す前段減速部12は、第1実施形態と同様に、モータ100からの回転駆動力が伝達される1段の遊星歯車機構とスパーギア49とを備えて構成されている。そして、そのうちの遊星歯車機構は、遊星枠として設けられたキャリア16と、キャリア16に回転保持されて出力軸100aの外周の歯車と噛み合う複数のプラネタリギア17と、プラネタリギア17と噛み合うリングギア18と、キャリア16が連結された太陽歯車62とを備えて構成されている。スパーギア49は、太陽歯車62の一端側に噛み合うとともにクランク軸56の他端側の端部に固定されている。
(後段減速部の構成)
図6は、図4における後段減速部60及びその近傍を拡大して示す断面図である。図4及び図6に示す後段減速部60は、第1実施形態の後段減速部13と同様に、モータ100から入力されて前段減速部12を介して伝達される回転駆動力により作動して出力軸14に対して回転を伝達するように構成されている。そして、後段減速部60は、後段減速部13と同様に、クランク軸56、基部キャリア25、端部キャリア26、支柱57、第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bで構成される外歯歯車28、支柱ボルト58、支柱ピン59等を備えて構成されている。但し、後段減速部60は、クランク軸56、支柱57、支柱ボルト58及び支柱ピン59の構成と、プレート39及び中間軸受41が更に備えられている点とにおいて、第1実施形態とは異なっている。
図4及び図6に示すクランク軸56は、第1実施形態と同様に、回転中心線Pを中心とした周方向に沿った均等角度の位置に複数(本実施形態では3つ)配置されており、その軸方向が回転中心線Pと平行になるように配置されている。そして、各クランク軸56は、第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bに形成されたクランク用孔30をそれぞれ貫通するように配置されており、回転することで第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bを偏心させて回転させる軸部材として設けられている。また、各クランク軸56は、後述するプレート39に形成されたクランク用プレート孔42もそれぞれ貫通するように配置されている。尚、図4及び図6においては、クランク軸56については、断面でなく外形を図示している。
また、クランク軸56には、第1偏心部56a、第2偏心部56b、第1軸部56c、第2軸部56d、及び中間部56eが設けられており、第1軸部56c、第1偏心部56a、中間部56e、第2偏心部56b、第2軸部56dの順番で直列に設けられている。第1偏心部56a及び第2偏心部56bは、軸方向と垂直な断面が円形断面となるように形成されており、それぞれの中心位置がクランク軸56の回転中心線(第1軸部56c及び第2軸部56dの中心位置)に対して偏心するように設けられている。第1偏心部56aは第1外歯歯車28aに対して、第2偏心部56bは第1外歯歯車28aと平行に配置された第2外歯歯車28bに対して、それぞれクランク用孔30にてころ軸受38を介して回転自在に保持されている。また、第1軸部56cは基部キャリア25に対してころ軸受34を介して、第2軸部56dは端部キャリア26に対してころ軸受35を介して、それぞれ回転自在に保持されている。また、クランク軸56において第1偏心部56a及び第2偏心部56bの間に配置されている中間部56eは、軸方向と垂直な断面が円形断面となるように形成されており、その中心位置がクランク軸56の回転中心線と一致するように設けられている。
図4及び図6に示すように、中間軸受41は、第1外歯歯車28aと第2外歯歯車28bとの間に配置され、クランク軸56に対しては第1偏心部56aと第2偏心部56bとの間に配置されている。この中間軸受41は、ニードルころ又は円筒ころを有するころ軸受として設けられており、円筒状の部材として形成された外輪63を介して、後述するプレート39に形成されたクランク用プレート孔42に保持されている。そして、中間軸受41は、その内側においてクランク軸56の中間部56eを回転自在に保持している。
プレート39は、図4及び図6に示すように、外周が円形に形成された平らな板状の部材として設けられ、第1外歯歯車28aと第2外歯歯車28bと間に配置されている。このプレート39は、前述のように、その外周がケース61の内周に対して、ピン溝55よりも深く凹むように形成された凹部53において対向するように、配置されている。また、プレート39は、その外周とピン内歯22との間に空隙が形成された状態で配置されている(即ち、ピン内歯22は、プレート39の外周に対して空隙を介して対向している)。そして、プレート39には、回転中心線Pを中心とした周方向に沿った均等角度の位置に円形孔として形成されたクランク用プレート孔42が設けられている。プレート39は、このクランク用プレート孔42において中間軸受41を保持している。これにより、クランク軸56は、その中間部56eにおいて、プレート39に対して中間軸受41を介して回転自在に保持されている。
尚、ピン内歯22は、このプレート39の厚み方向(回転中心線Pと平行な方向)における中心が位置する面Q(図6にて二点鎖線で示す仮想の平面)を介して外歯歯車28が接触する部分が対称に位置するように、配置されている。即ち、第1ピン内歯22aにおける第1外歯歯車28aの外歯31が接触する部分と第2ピン内歯22bにおける第2外歯歯車28bの外歯31が接触する部分とがプレート39の厚み方向の中心が位置する面Qを介して対称に位置するように、ピン内歯22が配置されている。ここで、第1ピン内歯22a及び第2ピン内歯22bにおいて第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bがそれぞれ接触する部分とは、第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bが回転中心線Pを中心として1回転分回転する間に接触する部分のことである。
基部キャリア25及び端部キャリア26は、図4及び図6に示すように、第1実施形態と同様に構成されている。即ち、出力軸14と一体に形成された基部キャリア25は、クランク軸56の第1軸部56cをころ軸受34を介して回転自在に保持し、端部キャリア26は、クランク軸56の第2軸部56dをころ軸受35を介して回転自在に保持している。そして、ケース61に対して、基部キャリア25はころ軸受36を介して、端部キャリア26は玉軸受37を介して、回転自在に保持されている。
支柱57は、図4及び図6に示すように、基部キャリア25と端部キャリア26とをプレート39を介して連結する柱状部分として設けられている。この支柱57は、回転中心線Pを中心とした周方向に沿った均等角度の位置に複数(本実施形態では、3つ)配置されており、その軸方向が回転中心線Pと平行となるように配置されている。また、支柱57とクランク軸56とは、回転中心線Pを中心とした周方向に沿って交互に配置されている。
また、各支柱57は、基部キャリア25に一体に形成される基部側支柱部分57aと、端部キャリア26に一体に形成される端部側支柱部分57bとを備えて構成されている。基部側支柱部分57aは、基部キャリア25の他端側において他端側に向かって突出するように設けられている。一方、端部側支柱部分57bは、端部キャリア26の一端側において一端側に向かって突出するように設けられている。また、基部側支柱部分57a及び端部側支柱部分57bは、プレート39において径方向外側に配置されて他の部分よりも少し厚肉に盛り上がった部分として形成された厚肉部分39aを挟持する(挟むように保持する)ように配設されている。尚、基部側支柱部分57aの他端側及び端部側支柱部分57bの一端側には段状に凹んだ部分が形成されており、この段状に凹んだ部分に対して係合する出っ張り部分が、プレート39の厚肉部分39aの一端側及び他端側にそれぞれ突起状に形成されている。
図4及び図6に示すように、支柱57及びプレート39の厚肉部分39aには、支柱ピン59が圧入される支柱ピン穴64が形成されている。この支柱ピン穴64は、端部キャリア26の他端側に開口するとともに、端部キャリア26から支柱57及びプレート39を経て基部キャリア25へと延びる穴として形成されている。支柱ピン59は、支柱ピン穴64に圧入される丸棒状(円柱状)の部材として形成されている。この支柱ピン59が支柱ピン穴64に圧入されることにより、基部キャリア25及び端部キャリア26における周方向の位置が合わされることになる。尚、本実施形態においては、各支柱57に対して2つの支柱ピン59が偏心型減速機2の径方向に沿って並んで配設されている。
また、支柱57及びプレート39の厚肉部分39aには、支柱ボルト58が挿入される支柱ボルト穴65が形成されている。支柱ボルト穴65は、端部キャリア26の他端側に開口する穴として設けられ、一端側に向かって端部キャリア26及び端部側支柱部分57bを貫通し、さらにプレート39及び基部側支柱部分57aを貫通して基部キャリア25にまで延びる穴として形成されている。支柱ボルト穴65における基部キャリア25及び基部側支柱部分57aに配置された部分の内周には、雌ネジ部分が形成されている。
支柱ボルト58は、図4及び図6に示すように、雄ネジ部分として形成されたネジ部58aが一端側に設けられ、六角レンチ等で締め付けるための六角穴が設けられた頭部が他端側に設けられている。この支柱ボルト58は、第1実施形態の支柱ボルト29と同様に、支柱27と基部キャリア25とを螺合により結合するボルト部材として設けられている。尚、本実施形態においては、各支柱57に対して支柱ボルト58が1つ配設されている。支柱ボルト58での結合によって基部キャリア25と端部キャリア26とを連結する際には、まず、支柱ピン穴64に支柱ピン59が圧入されてプレート39を介した基部キャリア25及び端部キャリア26の周方向の位置合わせが行われる。この位置合わせが行われた状態で、支柱ボルト58が端部キャリア26の他端側から支柱ボルト穴65に挿入される。そして、支柱ボルト穴65における基部キャリア25及び基部側支柱部分57aに形成された前述の雌ネジ部分に対して、支柱ボルト58の一端側のネジ部58aが螺合するようにねじ込まれる。このとき、支柱ボルト58の頭部は、支柱ボルト孔65が開口する端部キャリア26の他端側と係合する。この支柱ボルト58による結合により、基部キャリア25、プレート39、及び端部キャリア26が連結されることになる。
また、支柱ボルト58が基部キャリア25及び基部側支柱部分57aに螺合し、基部キャリア25と端部キャリア26とを連結する締め付け力が発生することにより、基部キャリア25に固定された位置決め部材44と端部キャリア26とがころ軸受36及び玉軸受37を介してケース61を挟持することになる。そして、端部キャリア26と位置決め部材44とがころ軸受36及び玉軸受37を介してケース61を挟持することで、基部キャリア25及び端部キャリア26がケース61に対して回転自在に保持されることになる。また、このとき、ケース61と玉軸受37との間で第1ピン内歯22a及び第2ピン内歯22bの位置決めも行われることになる。
(偏心型減速機の作動)
次に、上述した偏心型減速機2の作動について説明する。偏心型減速機2は、モータ100の運転が行われることにより、作動する。モータ100の運転が開始され、モータ100の回転軸100aが回転すると、これに連結されたプラネタリギア17がリングギア18と噛み合いながら回転して公転し、これにより、キャリア16が回転し、キャリア16に連結された太陽歯車62が回転する。そして、太陽歯車62に噛み合う各スパーギア49が回転する。
各スパーギア49が回転すると、各スパーギア49が他端側の端部で固定された各クランク軸56が回転し、各クランク軸56とともに回転する第1偏心部56a及び第2偏心部56bから第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bに対して荷重が作用する。この荷重により揺動する第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bが、第1ピン溝52aに取り付けられた第1ピン内歯22a及び第2ピン溝52bに取り付けられた第2ピン内歯22bに対して、外歯31の噛み合いをずらしながら偏心して回転する。そして、第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bの偏心回転に伴って、ころ軸受38で第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bに回転保持されるとともに中間軸受41でプレート39に中間部56eが回転保持されたクランク軸56が回転中心線Pを中心として公転動作を行う。これにより、支柱57及び支柱ボルト58で連結され、クランク軸56を回転自在に保持する基部キャリア25、プレート39及び端部キャリア26とともに、出力軸14が回転し、大きなトルクがピニオン101から出力されることになる。
(偏心型減速機の効果)
以上説明した第2実施形態によると、第1実施形態と同様に、複数の外歯歯車28(第1外歯歯車28a、第2外歯歯車28b)とこれに噛み合うピン内歯22とが設けられる偏心型減速機2において、ピン内歯22の容易な加工を実現することができる。また、偏心型減速機2によると、クランク軸56の中間部56eを中間軸受41を介してプレート39によって回転自在に支持することができる。そして、プレート39の外周とピン内歯22との間には空隙があるため、偏心型減速機2が作動して基部キャリア25及び端部キャリア26とともにプレート39が回転した際も、プレート39とピン内歯22とが摺動して部材の磨耗や駆動効率の低下を招いてしまうこともない。また、偏心型減速機2の組み立てに際しては、ユニット化された第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28b等をケース61内に挿入した後に、第1外歯歯車28a及び第2外歯歯車28bの各外歯31に合うように、各第1ピン内歯22a及び各第2ピン内歯22bをケース61内に配置することができる。従って、本実施形態によると、特許文献2に開示された中間軸受部材が設けられた偏心型減速機とは異なり、クランク軸56の中間部56eが回転自在に支持された偏心型減速機2において、ピン内歯22の容易な加工を実現するとともに、部材の磨耗や駆動効率及び組立性の低下を防止することができる。
また、偏心型減速機2によると、第1ピン内歯22aにおける第1外歯歯車28aが接触する部分と第2ピン内歯22bにおける第2外歯歯車28bが接触する部分とがプレート39の厚み中心が位置する面Qを介して対称に位置するように、第1ピン内歯22aと第2ピン内歯22bとがケース61の内周に配置されている。このため、偏心型減速機2の作動の際に、第1ピン内歯22aにおいて第1外歯歯車28aとの噛み合いにより生じる摺動状態と、第2ピン内歯22bにおいて第2外歯歯車28bとの噛み合いにより生じる摺動状態とが、均等な状態又は均等に近い状態となる。そのため、第1ピン内歯22aと第2ピン内歯22bとにおいてほぼ均等に磨耗が進行し、第1ピン内歯22a及び第2ピン内歯22bのいずれかに偏磨耗が生じることを抑制できる。これにより、第1ピン内歯22aと第2ピン内歯22bとの耐久年数をほぼ同じにでき、効率よく偏心型減速機2の耐久性の保持及び向上を図ることができる。
また、偏心型減速機2によると、ピン溝55が形成されたケース61の内周に、プレート39の外周が対向する位置においてピン溝55と同じ深さの又はピン溝55の深さよりも深い凹部53が全周に亘って形成されている。そして、第2ピン内歯22bの一端側は、凹部53に対応する位置で第1ピン内歯22aの他端側に対して位置決めされる。このため、第1ピン内歯22a及び第2ピン内歯22bがケース61の内周に対してピン溝55以外の部分と干渉することなくピン溝55に取り付けられるとともに第1ピン内歯22aに対する第2ピン内歯22bの位置決めも行われることになる。これにより、プレート39が設けられる偏心型減速機2であっても、ピン溝55に第1ピン内歯22aと第2ピン内歯22bとを嵌め込むように取り付ける組立作業を行う際に、ピン溝55とピン内歯22とが摺動する範囲が小さくなり、組立作業の容易化と組立作業時間の短縮を図れ、組立作業の効率を向上させることができる。
[変形例]
以上、本発明に係る偏心型減速機の第1及び第2実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。例えば、次のような変形例を実施することができる。
(1)第1及び第2実施形態においては、クランク軸が回転中心線を中心とする周方向に沿って配置された偏心型減速機を例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、クランク軸が回転中心線上に配置されたセンタクランクタイプの偏心型減速機であっても本発明を適用することができる。この場合、クランク軸が配置される回転中心線を中心とする周方向に沿って複数のガイドクランク軸を配置し、このガイドクランク軸がクランク軸の回転に伴う外歯歯車の回転とともに回転(自転)しながら公転動作を行うことで、基部キャリア及び端部キャリアを回転させる偏心型減速機を構成することができる。
(2)第1及び第2実施形態においては、出力軸が基部キャリアに対して一体に設けられることで固定されている偏心型減速機を例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、出力軸が基部キャリアとは別部材として設けられて基部キャリアに対して固定されている偏心型減速機であっても本発明を適用することができる。
(3)第1及び第2実施形態においては、支柱が基部キャリアと一体に又は基部キャリア及び端部キャリアと一体に形成されたものを例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、基部キャリア及び端部キャリアとは別部材として形成されて、基部キャリアと端部キャリアとを連結する支柱が設けられた偏心型減速機であってもよい。
(4)第1及び第2実施形態においては、外歯歯車として、第1外歯歯車及び第2外歯歯車の2つの外歯歯車のみが設けられているものを例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、外歯歯車が3つ以上設けられている偏心型減速機であってもよい。また、外歯歯車が3つ以上設けられる場合には、第1ピン内歯及び第2ピン内歯が複数の外歯歯車に亘って噛み合うように設けられていてもよい。また、外歯歯車が3つ以上設けられる場合には、中間軸受及びプレートが2つ以上設けられる偏心型減速機を構成することもでき、この場合、ピン溝よりも深さの深い凹部も複数のプレートに対応して複数設けることができる。
(5)また、クランク軸及び支柱が5つ以上設けられる偏心型減速機であってもよい。また、第1及び第2実施形態においては、第1ピン内歯の一端側がスペーサを介してケースに対して位置決めされる場合を例にとって説明したが、この通りでなくもよく、スペーサが配置されずに第1ピン内歯の一端側が直接にケースに当接して位置決めされるものであってもよい。また、第2ピン内歯の一端側がスペーサを介して第1ピン内歯の他端側に位置決めされるものであってもよい。また、第2ピン内歯の他端側がスペーサを介して軸受に対して位置決めされるものであってもよい。
本発明は、ピン内歯がケースの内周に配置され、クランク軸の回転に伴い外歯歯車がピン内歯に噛み合いながら偏心して回転する偏心型減速機として、広く適用することができるものである。
本発明の第1実施形態に係る偏心型減速機の断面図である。 図1に示す偏心型減速機におけるケースの一部を拡大して示す断面図である。 図1に示す偏心型減速機における後段減速部及びその近傍を拡大して示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る偏心型減速機の断面図である。 図4に示す偏心型減速機におけるケースの一部を拡大して示す断面図である。 図4に示す偏心型減速機における後段減速部及びその近傍を拡大して示す断面図である。
1 偏心型減速機
11 ケース
14 出力軸
22 ピン内歯
22a 第1ピン内歯
22b 第2ピン内歯
23 クランク軸
25 基部キャリア
26 端部キャリア
27 支柱
28a 第1外歯歯車
28b 第2外歯歯車
30 クランク用孔
31 外歯
101 ピニオン

Claims (4)

  1. ケースと、
    前記ケースの内周に配置され、ピン状の部材として形成された複数のピン内歯と、
    前記ケースに収納されるとともに、前記ピン内歯に噛み合う外歯が外周に設けられた第1外歯歯車及び第2外歯歯車と、
    前記第1外歯歯車及び前記第2外歯歯車に形成されたクランク用孔を貫通し、回転することで前記第1外歯歯車及び前記第2外歯歯車を偏心させて回転させるクランク軸と、
    前記クランク軸の一端側を回転自在に保持する基部キャリアと、
    前記クランク軸の他端側を回転自在に保持する端部キャリアと、
    前記基部キャリアと前記端部キャリアとを連結する支柱と、
    前記基部キャリアに固定され、ピニオンが取り付けられる出力軸と、
    を備えた偏心型減速機であって、
    前記ピン内歯として、少なくとも前記第1外歯歯車の外歯に噛み合う第1ピン内歯と、少なくとも前記第2外歯歯車の外歯に噛み合う第2ピン内歯とが設けられ、
    前記第1ピン内歯はその一端側が前記ケースに対して位置決めされ、前記第2ピン内歯はその一端側が前記第1ピン内歯の他端側に対して位置決めされ
    前記第1外歯歯車と前記第2外歯歯車との間に配置され、前記クランク軸の中間部を回転自在に保持する中間軸受と、
    前記中間軸受を保持するとともに、前記第1外歯歯車と前記第2外歯歯車との間に配置されたプレートと、
    をさらに備え、
    前記ピン内歯は、前記プレートの外周に対して空隙を介して対向し、
    前記ケースの内周には、前記ピン内歯が配置されるピン溝と、前記プレートの外周に対向する位置において全周に亘って前記ピン溝の深さと同じ深さで凹むように又は前記ピン溝の深さよりも深く凹むように形成された凹部とが設けられ、
    前記第1ピン内歯の他端側の端部と前記第2ピン内歯の一端側の端部とが前記ケースの内周に対して前記凹部に対応する位置に配置されていることを特徴とする、偏心型減速機。
  2. 請求項1に記載の偏心型減速機であって、
    前記第2ピン内歯の他端側が前記端部キャリアを前記ケースの内周に対して回転自在に保持する軸受の一端側に対して位置決めされることを特徴とする、偏心型減速機。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の偏心型減速機であって、
    前記ピン内歯は、前記第1ピン内歯における前記第1外歯歯車が接触する部分と前記第2ピン内歯における前記第2外歯歯車が接触する部分とが前記プレートの厚み方向における中心が位置する面を介して対称に位置するように、配置されていることを特徴とする、偏心型減速機。
  4. 請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の偏心型減速機であって、
    前記第1ピン内歯及び前記第2ピン内歯は、同一直線上において並んで配置されるとともに、同数設けられていることを特徴とする、偏心型減速機。
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