JP5196914B2 - エレベータ制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、巻上機を駆動する電動機の回転位置を検出してカゴを昇降制御するエレベータ制御装置に関し、特に回転位置検出手段(エンコーダ)の故障時におけるカゴの制動技術に関するものである。
一般に、エレベータ制御装置において、カゴ昇降用の巻上機を駆動する電動機は、エンコーダ(回転位置検出手段)による磁極位置検出情報(回転位置)に基づいて適切に駆動されることにより、磁極位置に応じた運転が行われている。したがって、エンコーダが故障して磁極位置検出情報が得られない場合には、回転子の磁極位置を把握することができなくなり、巻上機の駆動が困難となるので、エレベータの運転を中止する必要がある。
また、エンコーダ故障時にカゴ内に乗客が存在した場合には、安全が確認できるまで、または保守技術者が到着して救出作業が行われるまでは、乗客がカゴ内に閉じ込めることになるので、早期に乗客を救出してエレベータの運転が可能な状態にすることが望まれている。
従来のエレベータ制御装置は、エンコーダ故障時の磁極位置検出情報を、電動機の磁極位置と電機子電流との関係から求まる電機子インダクタンスから推定するとともに、救出運転に際しては、カゴ停止中に電動機に電圧を印加して得られる電機子電流から磁極位置を推定し、その推定結果に基づいて電動機をベクトル制御で駆動させ、救出運転を可能としている(たとえば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術によれば、停止時の磁極位置を利用するのみであり、救出運転で始動したとしても、減速時の低速度領域(速度0から、誘起電圧値による磁極推定が精度よく可能となる速度までの領域)においては、安定した電動機駆動確保が困難と推定される。
すなわち、電動機回転時の磁極位置推定手段により求めた磁極位置を利用して電動機を駆動させることができるが、低速度領域では磁極位置推定値の誤差が増大することに起因して、安全で安定したカゴ停止が困難になるとともに、誤差を含む推定値に基づいた停止位置に起因して、カゴの着床精度が低下する可能性があった。
特開平11−60103号公報
従来のエレベータ制御装置では、たとえば特許文献1の場合、推定された磁極位置に基づいて電動機を駆動させているが、低速度領域では磁極位置推定値の誤差が増大するので安定したカゴ停止が困難になるとともに、ばらついた推定値に基づく停止に起因して、カゴの着床精度が低下するという課題があった。
そこで、磁極位置推定値の誤差増大に起因して安定駆動が困難となる低速度領域において、制動機構(ブレーキ)のブレーキ制動タイミングを以下の制御手順(1)〜(4)のように工夫して、低速度領域を回避して安定した駆動を実現した手法も考えられる。
(1)エレベータ始動時はブレーキ制動中に電動機にトルクを発生させ、ブレーキ開放と同時に始動させる。
(2)エレベータ始動後の低速領域では、電動機の正確な磁極位置推定が可能となるように電動機電機子巻線の電流を抑制し、不安定な低速領域を強制的に通過させる。
(3)エレベータの低速外領域では、電動機の磁極位置推定値を用いて電動機を安定駆動させる。
(4)カゴ停止時は、電動機に対する電流制御を停止させ惰性走行とし、その惰性走行中に強制的にブレーキ制動させエレベータを停止させる。
しかしながら、上記手法を適用した場合も、制御手順(4)のカゴ停止時において、惰性走行中にブレーキ制動させることにより、目的の階床に対する着床精度が低下するという課題が依然として存在する。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、回転位置検出手段の故障時におけるカゴ停止時に、カゴの着床精度を向上させたエレベータ制御装置を得ることを目的とする。
この発明によるエレベータ制御装置は、電動機およびブレーキを有する巻上機と、電動機の回転位置を検出する回転位置検出手段と、カゴの目標着床位置に設けられた電磁石装置とを備え、電動機の回転位置に基づいて巻上機を駆動してカゴを昇降制御するとともに、回転位置検出手段の故障時に電磁石装置を駆動するエレベータ制御装置であって、回転位置検出手段の故障を検出して故障信号を生成する故障検出手段と、故障信号に応答して電動機の回転速度および磁極位置を推定する回転速度・磁極位置推定手段と、電動機の回転中の誘起電圧ωΦおよび電機子巻線抵抗の電圧降下RIを演算する誘起電圧・電圧降下演算手段と、誘起電圧ωΦおよび電圧降下RIに関する条件「ωΦ>RI」が不満足となった時点でブレーキを駆動して電動機を停止させるとともに、電磁石装置を駆動してカゴを停止させる制動制御手段とを備えたものである。
この発明によれば、回転位置検出手段の故障に応答した停止時において、磁極位置推定値の誤差が増大する低速度領域に入る前にブレーキ制動させることにより、惰性走行中のエレベータ速度をブレーキ制御で停止しない程度に低下させ、目標着床位置に設定された電磁石装置の磁気的吸引力を利用してカゴを誘導し、電磁石装置による磁気的ロックにより着床精度を改善することができる。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ制御装置を示す構成図であり、機械室レスエレベータシステム(トラクション式)の場合の概略レイアウトを、昇降路7、エレベータカゴ(以下、単に「カゴ」という)9および階床13とともに示している。
図1において、巻上機5は、吊りロープ8に接続されたカゴ9を昇降路7内で昇降駆動するために、同期電動機からなる電動機2と、吊りロープ8が巻回されて電動機2と同軸で回転する綱車3と、綱車3の回転駆動に対して制動を加えるブレーキ4と、電動機2の回転位置を検出するエンコーダ11とにより構成されている。
電動機2は、制御装置12に接続され、制御装置12内の電力変換器1の出力電流により駆動される。なお、制御装置12内の制御ブロック101については、図2を参照しながら後述する。
そらせ車6は、必要に応じて吊りロープ8をそらせるために設けられ、巻上機5とともに昇降路7の上部に配置されている。
吊りロープ8は綱車3およびそらせ車6に巻回され、吊りロープ8の各端部は、カゴ9および釣合い錘10にそれぞれ接続されている。これにより、カゴ9および釣合い錘10は、巻上機5の駆動力により昇降路7内を昇降駆動される。なお、トラクション駆動方式式のローピングは、「1:1」や「2:1」など任意である。また、トラクション式エレベータに限らず、巻動式などのエレベータでもよい。
カゴ9を昇降させる巻上機5を駆動制御するために、巻上機5には、巻上機5(電動機2)の回転速度(回転位置)を検出するエンコーダ11が取り付けられている。
昇降路7には、着床プレート14と、カゴ側電磁石装置15および昇降路側電磁石装置16からなる電磁石装置と、現在のカゴ9の位置を検出するカゴ位置検出装置17とが設けられている。
なお、着床プレート14は、カゴ9のドア(カゴ9の床高さ)と乗場側のドア(各階床13の床高さ)とのレベル偏差が、戸開が可能と定められた範囲内にあることを検出するために設置されている。なお、図示しないが、カゴ9には、着床プレート14を検出して床位置確認用の検出信号を制御装置12に入力するための検出手段が設けられている。
また、昇降路7に固定されたカゴ位置検出装置17は、所定間隔のスリットによるパルスカウントや、磁気近接センサなどの手段により構成されている。
一方、カゴ9に設けられたカゴ側電磁石装置15および昇降路7に設けられた昇降路側電磁石装置16は、各階床13へのカゴ9の着床精度を確保するために設置されている。
図2は図1内の制御装置12を具体的に示す機能ブロック図であり、制御装置12と関連するエレベータ周辺構成も一部図示している。
図2において、制御装置12は、電力変換器1に接続されて電力変換器1からの出力電流によって駆動される電動機2と、電動機2と同軸で回転する綱車3と、ブレーキ4とを備えた巻上機5を駆動するとともに、カゴ9を駆動するために、制御ブロック101を備えている。
巻上機5およびカゴ9を駆動する制御ブロック101は、回転速度・磁極位置検出手段102と、カゴ位置検出手段103と、速度パターン生成手段104と、速度制御器105と、電流制御器106と、回転速度・磁極位置推定手段107と、巻上機駆動条件演算手段108と、カゴ負荷検出手段109と、ブレーキ制御装置110と、電磁石制御装置111とを備えている。
回転速度・磁極位置検出手段102は、巻上機5内のエンコーダ11の出力信号に基づく演算により、電動機2の回転速度および磁極位置を検出する。カゴ位置検出手段103は、カゴ位置検出装置17の検出信号またはエンコーダ11の出力信号に基づくパルス演算により、カゴ9の位置を検出する。また、カゴ負荷検出手段109は、乗客を含むカゴ9の重量を計測し、カゴ負荷として検出する。
速度パターン生成手段104は、検出されたカゴ負荷およびカゴ位置と、あらかじめ格納された次回停止位置(最寄階または緊急停止前に指定された階)情報とに基づいて、カゴ9の速度パターン(制動パターンを含む)を生成する。
速度制御器105は、速度パターン生成手段104から得られる速度指令と、回転速度・磁極位置検出手段102で得られた回転速度とに基づいて電流指令を演算する。
電流制御器106は、電流制御器105から得られた電流指令と巻上機5に流れ込む電流検出値との比較結果と、回転速度・磁極位置検出手段102で得られた磁極位置検出値とを使用して、電力変換器1に対する適切な電圧指令を演算する。
電流制御器106からの電圧指令は、電力変換器1に供給され、これにより、巻上機5は最適に運転される。
一方、エンコーダ11の故障時においては、前述のように、エンコーダ11の出力信号に基づく電動機2の回転速度および磁極位置の情報が使用できなくなる。
したがって、エンコーダ11の故障時には、制御ブロック101内の回転速度・磁極位置推定手段107は、電動機2の回転速度および磁極位置を推定し、速度推定値を速度制御器105に入力するとともに、電動機2の回転時の磁極推定値を電流制御器106に入力する。
これにより、速度制御器105は、速度推定値から電流指令を演算することができ、電流制御器106は、速度制御器105で演算された電流指令と、磁極推定値とから、適切な電圧指令を演算することができる。
したがって、エンコーダ11の故障時においても、適切な電圧指令を電力変換器1に供給して、巻上機5を駆動することができるように構成されている。
なお、回転速度・磁極位置検出手段102は、エンコーダ11の検出パルスの異常値に基づきエンコーダ11の故障を検出して故障信号を生成する故障検出手段(図示せず)を含んでいてもよい。
回転速度・磁極位置推定手段107は、故障信号に応答して電動機2の回転速度および磁極位置を推定する。
また、巻上機駆動条件演算手段108は、故障信号に応答して、電動機2(巻線抵抗R、巻線電流I)の回転中(角速度ω、電機子鎖交磁束数Φ)の誘起電圧ωΦおよび電機子巻線抵抗の電圧降下RIを演算する誘起電圧・電圧降下演算手段と、誘起電圧ωΦおよび電圧降下RIの演算値に基づく以下の条件を満足するか否かに基づいて、電動機2への駆動指令または停止指令とブレーキ4への制動指令とを出力する制動制御手段とを含む。
すなわち、巻上機駆動条件演算手段108は、電動機2の回転中の誘起電圧ωΦおよび電機子巻線抵抗の電圧降下RIを検出して、条件「ωΦ>RI」または「電動機2の回転速度Vm>所定速度V」を演算し、この条件が不満足(「ωΦ≦RI」または「Vm≦V」)となった時点で、ブレーキ4を駆動して電動機2を停止させるとともに、各電磁石装置15、16を駆動してカゴ9を停止させる。
また、巻上機駆動条件演算手段108内の制動制御手段は、エンコーダ11の故障時におけるカゴ9の停止時において、カゴ位置検出手段103により検出されるカゴ位置に応じて、巻上機5のブレーキ4に対するブレーキトルクを段階的に制御することにより、カゴ9の停止時の衝撃を抑制するようになっている。
また、巻上機駆動条件演算手段108は、エンコーダ11の故障時において、巻上機駆動信号が「駆動」の場合には、電力変換器1を「ゲート開放」し、巻上機5の駆動信号が「停止」を示す場合には、電力変換器1を「ゲート遮断」するとともに、ブレーキ制御装置110からブレーキ4に対してブレーキ制動信号を発生させる。
さらに、カゴ9の着床精度を確保するために、カゴ側電磁石装置15および昇降路側電磁石装置16に対して、電磁石制御装置11から直流電流指令を送出し、磁極を発生させるように構成されている。
ブレーキ制御装置110は、カゴ位置に基づいて、ブレーキ制御信号を出力する。
また、電磁石制御装置111は、カゴ位置に基づいて、カゴ側電磁石装置15および昇降路側電磁石装置16を制御する。
電磁石制御装置111は、具体的には、カゴ9が正規の目標着床位置に近づいた時点で、各電磁石装置15、16に対して直流電流指令を与えて磁極を形成することにより、目標着床位置にカゴ9を誘導し、カゴ位置を磁気的にロックさせることにより、着床精度を改善する。
なお、回転速度・磁極位置推定手段107は、公知文献(たとえば、「電気学会技術報告第719号(第18−19頁)PMSMセンサレス駆動法(2)モデル追従方式」)に参照されるように、電動機2の巻線電流または誘起電圧を利用した回転速度(回転時磁極位置)推定手段を備えている。
また、巻上機駆動条件演算手段108は、回転速度・磁極位置推定手段107からの速度推定値に基づく回転角速度ωと、巻上機5に流れ込む電流検出値Iと、巻上機5内の電動機2の電機子巻線抵抗Rと、電動機2の電機子巻線鎖交磁束数最大値(一定値Φ)とから、電動機2の回転中(角速度ω)の誘起電圧ωΦおよび電機子巻線抵抗の電圧降下RIを演算して、上記条件「ωΦ>RI」で電動機2を駆動させるとともに、それ以外の条件では電動機2を停止させる。これにより、巻上機駆動条件演算手段108は、駆動・停止指令を電力変換器1に出力して、駆動・停止を切り替える。
なお、条件「ωΦ>RI」は、「電動機2の回転速度Vm>所定速度V」と置き換えてもよい。
次に、図3のフローチャートおよび図4のタイミングチャートを参照しながら、図1および図2に示したこの発明の実施の形態1に係るエレベータ制御装置において、電動機2のエンコーダ11が故障した場合の救出運転アルゴリズムについて説明する。
図4はカゴ速度(カゴ9の運転パターン)とブレーキ4の制動/開放状態との関係を示している。
図4においては、救出運転前処理モードAと、始動モードB(磁極推定無視)と、低速外モード(磁極推定)Cと、段階制動および各電磁石装置15、16の作動を含む停止モード(磁極推定無視)Dとが示されている。
図3において、エンコーダ11の故障発生が検知されると(ステップS1)、運転中のカゴ9は、階床13の中間位置などで緊急停止される(ステップS2)。
続いて、カゴ9の緊急停止後に、システムの安全チェックを行い、巻上機5のエンコーダ11の異常以外のシステムに問題があるか否かを確認する(ステップS3)。
ステップS3において、エンコーダ11以外のシステムに問題がない(システムが安全である)ことが確認されれば、乗客をカゴ9の外へ退避させるための救出運転動作(ステップS4〜S14)に進む。
このとき、巻上機5のエンコーダ11は故障中なので、前述のように、エンコーダ11で検出される磁極位置は、信頼性がなく使用することはできない。
まず、カゴ負荷検出手段109からカゴ9の負荷状態を検出し、カゴ9と釣合い錘10との関係が、不平衡(アンバランス)状態(a)であるか、平衡(バランス)状態(b)であるかを確認する(ステップS4)。
ステップS4において、不平衡状態(a)である(すなわち、YES)と判定されれば、速度パターン生成手段104は、不平衡状態(a)の運転モードに応じて、最寄階または緊急停止前に指定された階へのカゴ9の運転方向を決定するとともに、速度指令(一定速)を生成し(ステップS6)、ステップS7に進む。
また、ステップS4において、平衡状態(b)である(すなわち、NO)と判定されれば、磁極初期位置を検出した後(ステップS5)、平衡状態(b)の運転モードに応じて、最寄階または緊急停止前に指定された階への速度指令を生成し(ステップS6A)、ステップS7Aに進む。
ただし、速度指令は、ブレーキ制動指令で直ちに停止可能な範囲の速度(惰性走行距離が小さい速度)に制限される。
ここで、図4の運転パターンを参照しながら、救出運転速度およびブレーキ制動状態について説明する。
図4において、まず、救出運転前処理モードAの区間での動作について説明し、次に、始動モードBの区間での動作について説明する。始動モードBの区間は、電動機2が停止から所定速度Vに至るまでの期間に相当する。
図3内のステップS7のように、アンバランス状態(a)の場合には、巻上機5は、停止状態(電動機2に電流を流さない)として、ブレーキ4を開放することにより、負荷の重い方向に自然にカゴ9を上昇または下降させ、結果的に電動機2を始動させる。
一方、バランス状態(b)の場合には、ブレーキ4を開放してもカゴ9を上昇または下降させることができないので、図3内のステップS5において、推定した停止中の電動機2の磁極位置と、ステップS6Aで算出された速度指令とに基づく適切な位相の始動電圧指令を電動機2に与える。
その後、ステップS7Aのように、ブレーキ制動中に巻上機5を指定方向に始動させ、ブレーキ4の開放後に、始動電圧により電動機2が回転し始めたら、電流を小さい値に設定する。これにより、抵抗の電圧降下RIが小さくなり、慣性回転による誘起電圧ωΦと電圧降下RIとの関係が、「ωΦ>RI(Vm>V)」となった時点で、図4内の低速外モードCの区間に移行する。
ここで、エンコーダ11が故障した巻上機5の電動機2について、回転速度・磁極位置推定手段107の推定結果に基づき巻上機5およびカゴ9を駆動または停止させる条件について説明する。
前述のように、一般的な磁極位置推定手段では、低速領域における安定した磁極位置推定が困難であり、磁極位置推定値が誤差により最適でなくなることに起因して、速度指令や電流指令が振動的になるか、または発振する可能性があり、カゴ9の安全な運転が妨げられることが容易に類推される。
ここで、一般的な磁極位置推定手段による磁極位置推定値に誤差が発生する要因について説明する。たとえば、誘起電圧値ωΦによる磁極位置推定手段の場合、速度が大きい領域では、電動機2の回転速度とともに誘起電圧が大きくなるので、磁極位置を高精度に検出することができるが、速度が小さい領域「ωΦ≦RI(Vm≦V)」の場合、誘起電圧ωΦが抵抗Rによる電圧降下RI以下(電動機2の回転速度Vmが所定速度V以下)となり、磁極位置検出情報となる誘起電圧ωΦが埋もれてしまい、推定値誤差の発生要因となる。
また、電機子電流の指令値と実測値との差分を利用した磁極位置推定手段の場合では、低速運転時の電流差分情報が小さくなり、推定値誤差の発生要因となる。
したがって、このような、低速運転にともなう推定誤差に起因して安定駆動が不可能な領域では、前述のように、エンコーダ11が故障している巻上機5への電流指令を基本的に停止することによって、不安定領域を早期に通過させることが考えられる。
次に、図4内の始動モードB(図3内のステップS7に対応)から低速外モードC(ステップS9に対応)への移行動作について説明する。
低速外モードCの区間は、電動機2が所定速度Vよりも大きい速度Vmで駆動されている期間である。低速外モードCにおいては、巻上機5が駆動状態にあり、カゴ9は、電動機2の駆動力で昇降駆動されている。
具体的には、図3内のステップS7に続いて、まず、巻上機駆動条件演算手段108は、始動モードBの区間において、条件「ωΦ>RI」または「回転速度Vm>所定速度V」を満足するか否かを判定する(ステップS8)。
ステップS8において、上記条件が満足されず、「ωΦ≦RI」または「Vm≦V」(すなわち、NO)と判定されれば、ステップS7に戻り、電力変換器1に対する停止指令の送出を継続して、巻上機5を停止状態として、始動モードBを継続する。
一方、ステップS8において、条件「ωΦ>RI」または「Vm>V」を満足する(すなわち、YES)と判定されれば、電力変換器1に対して駆動指令を送出し、巻上機5を駆動状態として、低速外モードCに移行する(ステップS9)。
低速外モードCにおいて、巻上機5は、回転速度・磁極位置推定手段107からの速度推定値および磁極推定値を用いた速度制御器105および電流制御器106を介して、電力変換器1からの電圧指令により駆動されている。このとき、電動機2の磁極位置は、回転速度・磁極位置推定手段107により安定して推定されるので、電動機2は、安定に運転されることができる。
次に、図4内の低速外モードC(図3内のステップS9に対応)から停止モードD(ステップS12に対応)への移行動作について説明する。
停止モードDの区間は、電動機2が所定速度Vから停止に至る期間である。
具体的には、図3内のステップS9に続いて、まず、制御装置12内のカゴ位置検出手段103は、着床プレート14の検出信号をカゴ9から取得するとともに、エレベータの乗場側に設置されたカゴ位置検出装置17からカゴ9の検出位置を取得して、速度パターン生成手段104から減速指令を発生させる(ステップS10)。
続いて、カゴ9の減速中において、巻上機駆動条件演算手段108は、「ωΦ>RI」または「Vm>所定速度V」を満足するか否かを判定し(ステップS11)、この条件を満足している(すなわち、YES)と判定されれば、ステップS9に戻って、電力変換器1に対して駆動指令を送出し続け、巻上機5を駆動状態に維持して、引き続きカゴ9を昇降させる。
一方、ステップS11において、上記条件を満足しない(すなわち、NO)と判定されれば、巻上機駆動条件演算手段108は、電力変換器1に対して停止指令を送出するとともに、ブレーキ制御装置110によりカゴ位置に応じたブレーキ制動(図4内の停止モードD)を段階的に実行させて、カゴ9が目標着床位置に停止できるように速度を順次低下させる(ステップS12)。
その後、カゴ位置検出装置17により、カゴ9が目標着床位置に近づいたことを認識した時点で、電磁石制御装置111から、カゴ9に設置されたカゴ側電磁石装置15と昇降路7に設置された昇降路側電磁石装置16とに対して直流電流指令を供給し、N極またはS極の磁極を発生させ(図4内の1点鎖線枠参照)、各電磁石装置15、16の吸引力によりカゴ9を目標着床位置に位置決め誘導する(ステップS13)。
最後に、カゴ9が目標着床位置に誘導されたことを確認し、カゴ速度が「0」となった時点で、巻上機5のブレーキ4を完全制動させて戸開し、乗客をカゴ9の外に避難させるとともに、非難終了後に、各電磁石装置15、16に対する電磁石制御装置111からの直流電流指令を解除して、各電磁石装置15、16によるカゴ位置の磁気的ロックを解除し(ステップS14)、図3の処理ルーチンを終了する。
以上のように、この発明の実施の形態1によれば、電動機2およびブレーキ4を有する巻上機5と、電動機2の回転位置を検出するエンコーダ11(回転位置検出手段)と、カゴ9の目標着床位置に設けられたカゴ側電磁石装置15および昇降路側電磁石装置16(電磁石装置)とを備え、電動機2の回転位置に基づいて巻上機5および電磁石装置を駆動してカゴ9を昇降制御するエレベータ制御装置において、回転位置検出手段の故障を検出して故障信号を生成する故障検出手段を含む回転速度・磁極位置検出手段102と、誘起電圧・電圧降下演算手段および制動制御手段を含む巻上機駆動条件演算手段108とを備えている。
巻上機駆動条件演算手段108内の誘起電圧・電圧降下演算手段は、故障信号に応答して、回転速度・磁極位置推定手段107により電動機2の回転速度を推定して、電動機2の回転中の誘起電圧ωΦおよび電機子巻線抵抗の電圧降下RIを演算する。
巻上機駆動条件演算手段108内の制動制御手段は、誘起電圧ωΦおよび電圧降下RIに関する条件「ωΦ>RI」が不満足となった時点で、ブレーキ4を駆動して電動機2を停止させるとともに、各電磁石装置15、16を駆動してカゴ9を停止させる。
また、巻上機駆動条件演算手段108内の制動制御手段は、カゴ9が目標着床位置に近づいた時点で、カゴ側電磁石装置15および昇降路側電磁石装置16に対して直流電流指令を与えて磁極を形成させることにより、カゴ9を目標着床位置に誘導する。
このように、カゴ9の停止時において、磁極位置推定値の誤差が増大する低速度領域に入る前にブレーキ4により制動させ、目標着床位置に対応する位置に設置されたカゴ側電磁石装置15および昇降路側電磁石装置16の磁気的吸引力を利用してカゴ9を誘導することにより、エンコーダ11の故障時におけるカゴ9の着床精度を改善することができる。
すなわち、惰性走行中のカゴ速度をブレーキ制御で停止しない程度に低下させるとともに、カゴ側電磁石装置15と、着床精度が最適となるような高さの昇降路壁に設置された昇降路側電磁石装置16と、による磁気的ロックを用いて、目標着床位置を確保することにより、着床精度を改善することができる。
したがって、特にカゴ位置が認識できていないエレベータ救出運転において、従来手法(カゴ9の減速時の低速度領域で不安定な電動機駆動となる手法や、着床プレート14を認識した時点でブレーキ制動させてカゴ9を急停止させる手法)と比較して、各電磁石装置15、16による目標着床位置でのカゴ位置ロックを行うことにより、着床精度が改善するので、効果が顕著である。
また、巻上機駆動条件演算手段108内の制動制御手段は、カゴ位置検出手段103により検出されるカゴ位置に応じて、巻上機5のブレーキ4に対するブレーキトルクを段階的に制御することにより、カゴの停止時の衝撃を抑制する。
このように、エンコーダ11の故障時におけるカゴ停止時において、各電磁石装置15、16によりカゴ9を目標着床位置に停止させるための一連のブレーキ制動を行う際に、段階的なブレーキ制御によりカゴ速度を調整しながら各電磁石装置15、16を作動させることにより、カゴ位置ロック時の慣性によるオーバシュートなどの停止時衝撃を抑制することができる。
したがって、巻上機5のエンコーダ11が故障した場合でも、磁極位置推定誤差が生じて安定した運転が困難な低速領域では、ブレーキ4による制動と各電磁石装置15、16によるカゴ位置ロックを実行することにより、カゴ9内の乗客に対して安全に救出運転させることができる。
ただし、この発明の実施の形態1に係るエレベータ制御装置は、救出運転に限るものではない。
この発明の実施の形態1に係るエレベータ制御装置を示す構成図である。 図1内の制御装置を具体的に示す機能ブロック図である。 この発明の実施の形態1に係るエレベータ制御装置によるエンコーダ故障時の救出運転アルゴリズムを示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1に係るエレベータ制御装置によるカゴ速度とブレーキ状態との関係を示すタイミングチャートである。
符号の説明
1 電力変換器、2 電動機、4 ブレーキ、5 巻上機、7 昇降路、8 吊りロープ、9 カゴ、10 釣合い錘、11 エンコーダ(回転位置検出手段)、12 制御装置、13 階床、14 着床プレート、15 カゴ側電磁石装置、16 昇降路側電磁石装置、17 カゴ位置検出装置、101 制御ブロック、102 回転速度・磁極位置検出装置、103 カゴ位置検出手段、104 速度パターン生成手段、105 速度制御器、106 電流制御器、107 回転速度・磁極位置推定手段、108 巻上機駆動条件演算手段、109 カゴ負荷検出手段、110 ブレーキ制御装置、111 電磁石制御装置。

Claims (3)

  1. 電動機およびブレーキを有する巻上機と、
    前記電動機の回転位置を検出する回転位置検出手段と、
    カゴの目標着床位置に設けられた電磁石装置とを備え、
    前記電動機の回転位置に基づいて前記巻上機を駆動して前記カゴを昇降制御するとともに、前記回転位置検出手段の故障時に前記電磁石装置を駆動するエレベータ制御装置であって
    前記回転位置検出手段の故障を検出して故障信号を生成する故障検出手段と、
    前記故障信号に応答して前記電動機の回転速度および磁極位置を推定する回転速度・磁極位置推定手段と、
    前記電動機の回転中の誘起電圧ωΦおよび電機子巻線抵抗の電圧降下RIを演算する誘起電圧・電圧降下演算手段と、
    前記誘起電圧ωΦおよび前記電圧降下RIに関する条件「ωΦ>RI」が不満足となった時点で前記ブレーキを駆動して前記電動機を停止させるとともに、前記電磁石装置を駆動して前記カゴを停止させる制動制御手段と
    を備えたことを特徴とするエレベータ制御装置。
  2. 前記電磁石装置は、
    前記カゴに設けられたカゴ側電磁石装置と、
    前記カゴの昇降路に設けられた昇降路側電磁石装置とを含み、
    前記制動制御手段は、前記カゴが目標着床位置に近づいた時点で、前記カゴ側電磁石装置および前記昇降路側電磁石装置に対して直流電流指令を与えて磁極を形成させることにより、前記カゴを前記目標着床位置に誘導することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
  3. 前記カゴの位置を検出するカゴ位置検出手段を備え、
    前記制動制御手段は、前記カゴ位置検出手段により検出されるカゴ位置に応じて、前記巻上機のブレーキに対するブレーキトルクを段階的に制御することにより、前記カゴの停止時の衝撃を抑制することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータ制御装置。
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