JP5194476B2 - 多孔性ポリプロピレンフィルム - Google Patents

多孔性ポリプロピレンフィルム Download PDF

Info

Publication number
JP5194476B2
JP5194476B2 JP2007035852A JP2007035852A JP5194476B2 JP 5194476 B2 JP5194476 B2 JP 5194476B2 JP 2007035852 A JP2007035852 A JP 2007035852A JP 2007035852 A JP2007035852 A JP 2007035852A JP 5194476 B2 JP5194476 B2 JP 5194476B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
mass
polypropylene
crystal
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007035852A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008201814A (ja
Inventor
良輔 松井
順一 増田
正寿 大倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2007035852A priority Critical patent/JP5194476B2/ja
Publication of JP2008201814A publication Critical patent/JP2008201814A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5194476B2 publication Critical patent/JP5194476B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)
  • Cell Separators (AREA)

Description

本発明はフィルム厚み方向に貫通孔を有する多孔性ポリプロピレンフィルムに関する。さらに詳しくは、透気抵抗が小さく、透過性に優れ、透湿防水材料や蓄電デバイスのセパレーター用途に好適な微多孔性二軸配向ポリプロピレンフィルムに関するものである。
ポリプロピレンフィルムは優れた機械特性、熱性、電気特性、光学特性により、工業材料用途、包装材料用途、光学材料用途、電機材料用途など多様な用途で用いられている。このポリプロピレンフィルムに空隙を設け、多孔化した多孔性ポリプロピレンフィルムについても、ポリプロピレンフィルムとしての特性に加えて、透過性や低比重などの優れた特性を併せ持つことから、電池や電解コンデンサーのセパレーターや各種分離膜、衣料、医療用途における透湿防水膜、フラットパネルディスプレイの反射板や感熱転写記録シートなど多岐にわたる用途において使用されている。
ポリプロピレンフィルムを多孔化する手法としては、多岐にわたる提案がなされている。多孔化方法は大別すると湿式法と乾式法の2つが存在する。湿式法とは、ポリプロピレンをマトリックス樹脂として、シート化する際、抽出する被抽出物を添加、混合し、被抽出物の良溶媒を使用して添加物のみを抽出することで、マトリックス樹脂中に空隙を形成する方法を挙げることができ、様々な提案がなされている(たとえば、特許文献1参照)。一方、乾式法としては、たとえば、溶融押出時に低温押出、高ドラフト比を採用することにより、シート化した延伸前フィルム中のラメラ構造を制御し、これを一軸延伸することでラメラ界面での開裂を発生させ、空隙を形成する方法が提案されている(たとえば、特許文献2参照。)また、乾式法として、無機粒子やマトリックス樹脂であるポリプロピレンなどに非相溶な樹脂を粒子として多量添加し、シートを形成して延伸することにより粒子とポリプロピレン樹脂界面で開裂を発生さえ、空隙を形成する方法も提案されている(たとえば、特許文献3参照)。さらには、ポリプロピレンの結晶多形であるα型結晶(α晶)とβ型結晶(β晶)の結晶密度の差と結晶転移を利用してフィルム中に空隙を形成させる、いわゆるβ晶法という方法の提案も数多くなされている(たとえば、特許文献4〜7)。さらに、このβ晶法を用いる多孔性ポリプロピレンフィルムの製造方法として、ポリプロピレン樹脂のβ晶を効率よく形成し、より高性能な多孔性フィルムを得るために、β晶核剤と呼ぶ添加物に関しての提案もなされている(たとえば、特許文献8)。特に、β晶核剤に関するアミド系化合物を添加することの提案以来、β晶法による多孔性ポリプロピレンフィルムの特性向上は著しく、またそれに併せて、多種多様な提案がなされている(たとえば、特許文献9参照)。また、β晶核剤としてキナクリドン系化合物を使用し、耐衝撃性などに優れる熱成形可能な無延伸シートについての提案もなされている。
しかしながら、これらの提案で得られる多孔性フィルムの透過性ではまだまだ不十分である。たとえば、電池や電解コンデンサーのセパレーターや各種分離膜に用いる場合を考えると、透過性を向上させることは、電池の場合は内部抵抗の低減につながり、電池の出力密度を向上させることができるが、現状では不十分である。また、分離膜に使用する場合にも、透過効率、処理効率の向上に繋がることから、現状の透過性の到達レベルでは、未だ不十分である。
特開昭55−131028号公報 特公昭55−32531号公報 特開昭57−203520号公報 特開昭63−199742号公報 特開平6−100720号公報 特開平9−255804号公報 特開2005−171230号公報 特開平7−33895号公報 特開2006−89727号公報 特開平7−126409号公報
本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、多孔性ポリプロピレンフィルムの生産性や機械強度などを維持したまま、透過性が良好である多孔性ポリプロピレンフィルムを提供することであり、また、それにより内部抵抗を低減することができる蓄電デバイス用セパレーターを提供することである。
上記した課題は、アミド系化合物をポリプロピレン樹脂に対して0.01〜0.5質量%およびキナクリドン系化合物をポリプロピレン樹脂に対して0.01〜0.1質量%を含有する多孔性ポリプロピレンフィルムによって達成することができる。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、フィルム中に形成した空孔間を貫通する貫通孔が多数形成されるために、透気性能に優れたフィルムであり、蓄電デバイスのセパレーター用途や各種分離膜に好適に使用することができる。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムはポリプロピレン樹脂に結晶化核剤、特にβ晶核剤を含有することが好ましく、β晶核剤の中でも、アミド系化合物をポリプロピレン樹脂に対して0.01〜0.5質量%含有することが好ましい。フィルム中の透過性の点からは0.05〜0.4質量%であればより好ましく、0.1〜0.4質量%であれば特に好ましい。アミド化合物が0.01質量%未満であれば、ポリプロピレンフィルム中に貫通孔を形成できない場合があり、逆に0.5質量%を超えて添加しても効果が飽和してしまうだけではなく、核剤が異物としてフィルムピンホールの原因になるなどの問題を生じる場合がある。ここで、ポリプロピレン樹脂のβ晶核剤として作用するアミド系化合物としては、下記一般式で示すアミド系化合物が好ましい。
−NHCO−R−CONH−R
ここで、Rは芳香環、脂肪族環または炭素数2〜24の脂肪族炭化水素を示す。R、Rは芳香環または脂肪族環を示す。
具体的には、アジピン酸ジアニリド、テレフタル酸ジ(シクロヘキシルアミド)、テレフタル酸ジ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N’−ジ(2−メチルシクロヘキシル)−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドなどを挙げることができる。このようなアミド系化合物からなるβ晶核剤としては、新日本理化製“エヌジェイスター”(タイプ名:Nu−100)などがあり、好ましく用いることができる。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、β晶核剤であるキナクリドン系化合物をポリプロピレン樹脂に対して0.01〜0.1質量%含有することが好ましい。キナクリドン系化合物が0.01質量%未満であると、透過性の低いフィルムとなってしまう。逆に0.1質量%を超える量添加しても、効果が飽和したり、アミド系化合物添加の効能を阻害したりする場合がある。キナクリドン系化合物は、0.02〜0.1質量%含有せしめればより好ましく、0.03〜0.08質量%であれば特に好ましい。ここで、β晶核剤であるキナクリドン化合物としては、γ−キナクリドンやキナクリドンキノンを挙げることができる。
本発明では、β晶核剤として、アミド系化合物とキナクリドン系化合物を併用して使用することで、単独で使用する場合に比較して、高透気性を実現することができることを見出したものである。また、その際、理由は不明ではあるが、フィルム中の空孔の割合を示す空孔率や、空孔の平均径を示す孔径はほとんど変化せずに透気性が向上することから、アミド系化合物とキナクリドン系化合物を併用することで、空孔間を貫通する、貫通孔が増加するものと考えられる。なお、キナクリドン系化合物のフィルム中への含有量はアミド系化合物の含有量に対して5〜50質量%であることが好ましい。キナクリドン系化合物の添加量がアミド系化合物に対して5質量%未満であると、キナクリドン系化合物を添加した効果の発現が認めにくい場合があり、逆に50質量%を超えるとアミド系化合物の機能を阻害する場合がある。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂は、プロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレンはもちろんのこと、ポリプロピレンのβ晶を形成し、空孔を形成できる範囲において、コモノマー残基を含むポリプロピレン共重合体であってもよい。コモノマーとしては、不飽和炭化水素が好ましく、たとえばエチレンやα−オレフィンである1−ブテンや1−ペンテン、4−メチルペンテン−1、1−オクテンなどを挙げることができる。ポリプロピレンへのこれらエチレンやα−オレフィンの共重合率は5質量%以下であることが好ましい。
本発明で用いるポリプロピレン樹脂はメルトフローレート(MFR、条件230℃、2.16kg)が2〜30g/10分の範囲のアイソタクチックポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。高空孔率、大孔径と製膜安定性の両立の観点からは、MFRが5〜20g/10分の範囲であればより好ましい。ここで、MFRはJIS K 7210(1995)で規定されている樹脂の溶融粘度を示す指標であり、ポリオレフィン樹脂の特徴を示す物性値として広く用いられているものである。ポリプロピレン樹脂の場合は、JIS K 7210の条件M、温度230℃、荷重2.16kgで測定を行う。
また、アイソタクチックポリプロピレン樹脂のアイソタクチックインデックスは90〜99.9%であれば好ましい。アイソタクチックインデックスが90%未満であると、樹脂の結晶性が低く、高い透気性を得るのが困難な場合がある。アイソタクチックポリプロピレン樹脂は市販されている樹脂を用いることができる。
本発明のポリプロピレンフィルムは、製膜時の延伸工程において、β晶からα晶への結晶転移によりフィルム中に空隙が形成され、それが連結することで貫通孔を有する多孔性フィルムを得ることができる。その際の空隙形成効率を向上させ、フィルム製造条件の制約を低減できる点で、ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂がホモポリプロピレン樹脂99〜95質量%とエチレン・α−オレフィン共重合体5〜1質量%からなることが好ましい。ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体としては直鎖状低密度ポリエチレンや超低密度ポリエチレンを挙げることができ、中でも、オクテン−1を共重合したエチレン・オクテン−1共重合体を好ましく用いることができる。このエチレン・α−共重合体は市販されている樹脂を用いることができる。
また、本発明のポリプロピレン樹脂は、1〜5質量%の範囲で高溶融張力ポリプロピレンを含有することが製膜性向上の点で好ましい。高溶融張力ポリプロピレンとは高分子量成分や分岐構造を有する成分をポリプロピレン樹脂に混合したり、ポリプロピレンに長鎖分岐成分を共重合させたり、溶融状態での張力を高めたポリプロピレン樹脂であるが、中でも長鎖分岐成分を共重合させたポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。この高溶融張力ポリプロピレンは市販されており、たとえば、Basell社製ポリプロピレン樹脂PF814、PF633、PF611やBorealis社製ポリプロピレン樹脂WB130HMS、Dow社製ポリプロピレン樹脂D114、D206などを用いることができる。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂とそれに含有させるアミド系化合物およびキナクリドン系化合物は、フィルム製造時に所定量を混合して直接溶融押出しを行ってもよいが、添加する核剤化合物の樹脂中での分散性や樹脂自体を混合する場合の分散性、粉体である核剤化合物などの取扱性、さらにはフィルムの物性の均一性などの観点から、予め二軸溶融押出機を用いてコンパウンドを行ってフィルム製造を行うことが好ましい。また、核剤がポリプロピレン樹脂に添加されて市販されている樹脂、たとえばSUNOCO社性β晶核剤添加ポリプロピレン“BEPOL”(タイプ名:B022−SPなど)を用いてもよい。
本発明のポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂は、多孔性フィルムを製造する観点からβ晶形成能が50〜100%であることが好ましい。β晶形成能が50%未満ではフィルム製造時にβ晶量が少ないためにα晶への転移を利用してフィルム中に形成される空隙数が少なくなり、その結果透過性の低いフィルムしか得られない場合がある。
ここで、β晶形成能とは以下の条件で測定される、一定条件下におけるポリプロピレン樹脂中のβ晶の存在比率を示しており、β晶をどれだけ形成する能力があるのかを示す値として定義する。また、β晶形成能に対して、β晶分率という言葉を使用する場合があるが、この用語はある時点でのポリプロピレン樹脂中のβ晶の存在比率を示す値である。すなわち、同じβ晶形成能を有する樹脂を使用してフィルムを製造しても、溶融押出時の条件や延伸前後でβ晶の存在比率は変化することから、その時々のβ晶の存在比率を示すときにβ晶分率を使用することとする。
β晶形成能の測定は、ポリプロピレン樹脂あるいはポリプロピレンフィルム5mgを示差走査熱量計を用いて窒素雰囲気下で室温から240℃まで10℃/分で昇温(ファーストラン)し、10分間保持した後、30℃まで10℃/分で冷却する。5分保持後、再度10℃/分で昇温(セカンドラン)した際に観察される融解ピークについて、145〜157℃の温度領域にピークが存在する融解をβ晶の融解ピーク、158℃以上にピークが観察される融解をα晶の融解ピークとして、それぞれ融解熱量を求め、α晶の融解熱量をΔHα、β晶の融解熱量をΔHβとしたとき、以下の式で計算される値をβ晶形成能とする。
β晶形成能(%) = 〔ΔHβ / (ΔHα + ΔHβ)〕 × 100
なお、1stランで観察される融解ピークから同様にβ晶の存在比率を算出したものが、そのポリプロピレンのβ晶分率を示している。
β晶形成能を好ましい範囲内にする方法としては、特に限定されるものではないが、使用するポリプロピレン樹脂の組成およびβ晶核剤の添加量により調整を行うことができる。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムはフィルムの厚み方向に貫通孔を有していることが好ましく、貫通孔による透気抵抗度(ガーレー)が1〜250秒であることが好ましい。ここで、透気抵抗度(ガーレー)とはJIS P 8117(1998)に基づいて測定される透気度の指標であり、面積642mmのフィルムを空気100mlが通過する時間である。透気抵抗度が小さい値であるほど、フィルムの透過性、透気性が優れていることを示しており、フィルムの孔径、空孔率がほぼ同じで透気性が優れていれば、フィルム中に貫通孔がより多く形成されているものと考えられる。透気抵抗度(ガーレー)はより好ましくは1〜200秒であり、1〜160秒であれば特に好ましい。
透気抵抗度(ガーレー)を好ましい範囲である1〜250秒とする方法としては、特に限定されるものではないが、本発明のβ晶核剤の中でもアミド系化合物とキナクリドン系化合物を併用することが、フィルム中の貫通孔をより多く形成できる観点から好ましい。また、フィルム中で均一に開裂が起こり、空孔分布に偏りがないことが透気性向上には好ましい態様である。そのような態様を実現させるためには、後述するように二軸延伸時の延伸速度を低速とすることが好ましい。また、縦延伸でフィルム中に空孔の元となる亀裂を形成した後に、横延伸で空孔を成長させ、孔径を広げる観点では、延伸時の応力を低く抑えることが望ましいので、横延伸温度を高め、具体的には140〜155℃とすることが好ましい。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、優れた透過性能とフィルムの機械特性を両立させる観点から、フィルム厚みが10〜100μmであることが好ましい。厚みが10μm未満ではフィルムの強度不足でセパレーターなどに使用する際に欠陥が生じる場合がある。また、厚みが100μmを超える場合には、透過性不足になる場合がある。フィルム厚みとしては15〜80μmであればより好ましく、20〜50μmであればさらに好ましい。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは機械特性の観点から空孔率が40〜80%であることが好ましい。透気性の点からは空孔率が80%を超えることが望ましいが、機械強度が低下してしまい、欠陥が生じる場合があるので、80%以下が好ましい。また、空孔率が40%未満では透過性が不足する場合がある。より好ましくは50〜80%であり、60〜80%であればさらに好ましい。空孔率を好ましい範囲とする方法としては、特に限定されるものではないが、後述するフィルム製造時の未延伸フィルム中のβ晶分率の制御および延伸温度、速度などにより制御することができる。具体的には、β晶分率が高くなるようにキャストロールの温度を105〜130℃に設定し、未延伸フィルムを得れば高空孔率のフィルムを得やすくなる。また、延伸速度、温度は透気抵抗度と同等に延伸速度を低速とすると高空孔率のフィルムが得やすい。
以下に本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムの製造方法を具体的に説明する。なお、本発明のフィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。ポリプロピレン樹脂として、MFR8g/10分の市販のホモポリプロピレン樹脂94質量部、同じく市販のMFR2.5g/10分高溶融張力ポリプロピレン樹脂3質量部、さらにメルトインデックス18g/10分の超低密度ポリエチレン樹脂3質量部にN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド0.2質量部、γ−キナクリドン0.05質量部を混合し、二軸押出機を使用して予め所定の割合で混合した原料を準備する。この際、溶融温度は200〜230℃あるいは270〜300℃とすることが好ましい。これは230〜270℃の温度範囲で溶融するとN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドが凝集し粗大結晶を形成してしまい、樹脂のβ晶形成能が著しく低下してしまうためである。
次に、混合原料を単軸の溶融押出機に供給し、220℃にて溶融押出を行う。そして、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて異物や変性ポリマーなどを除去した後、Tダイよりキャストドラム上に吐出し、未延伸シートを得る。この際、キャストドラムは表面温度が105〜130℃であることが、キャストフィルムのβ晶分率を高く制御する観点から好ましい。この際、特にシートの端部の成形が後の延伸性に影響するので、端部にスポットエアーを吹き付けてドラムに密着させることが好ましい。また、シート全体のドラム上への密着状態から必要に応じて全面にエアナイフを用いて空気を吹き付けてもよい。
次に得られた未延伸シートを二軸配向させ、フィルム中に空孔を形成する。二軸配向させる方法としては、フィルム長手方向に延伸後幅方向に延伸、あるいは幅方向に延伸後長手方向に延伸する逐次二軸延伸法、またはフィルムの長手方向と幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸法などを用いることができるが、高透気性フィルムを得やすいという点で逐次二軸延伸法を採用することが好ましく、特に長手方向に延伸後、幅方向に延伸することが好ましい。
具体的な延伸条件としては、まず未延伸シートを長手方向に延伸する温度に制御する。温度制御の方法は、温度制御された回転ロールを用いる方法、熱風オーブンを使用する方法などを採用することができる。長手方向の延伸温度としては90〜120℃、さらに好ましくは95〜110℃の温度を採用することが好ましい。延伸倍率としては3〜6倍、より好ましくは3〜5倍である。フィルムの長手方向への延伸の際には、フィルム幅が減少する所謂ネックダウンと呼ばれる現象が見られるが、高透気性を実現するためにはネックダウン率(延伸後のフィルム幅/延伸前のフィルム幅)が30〜70%であれば好ましい。幅方向への延伸を考えると、40〜65%であればより好ましい。次に、いったん冷却後、ステンター式延伸機にフィルム端部を把持させて導入する。そして、好ましくは140〜155℃に加熱して幅方向に5〜12倍、より好ましくは6〜10倍延伸を行う。なお、このときの横延伸速度としては100〜1,000%/分で行うことが好ましく、100〜600%/分であればより好ましい。次いで、そのままステンター内で熱固定を行うが、その温度は横延伸温度以上160℃以下が好ましい。さらに、熱固定時にはフィルムの長手方向および/もしくは幅方向に弛緩させながら行ってもよく、特に幅方向の弛緩率を7〜12%とすることが、熱寸法安定性の観点から好ましい。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、優れた透気性を有するだけでなく、十分な機械特性を保持できることから、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタなど、蓄電デバイスの陽極と陰極を隔離し、かつ伝導性物質であるイオンなどが比較的自由に移動できるセパレーターとして好ましく用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)β晶形成能
樹脂またはフィルム5mgを試料としてアルミニウム製のパンに採取し、示差走査熱量計(DSC)(セイコー電子工業(株)製 RDC220)を用いて測定した。まず、窒素雰囲気下で室温から240℃まで10℃/分で昇温(ファーストラン)し、10分間保持した後、30℃まで10℃/分で冷却する。5分保持後、再度10℃/分で昇温(セカンドラン)した際に観察される融解ピークについて、145〜157℃の温度領域にピークが存在する融解をβ晶の融解ピーク、158℃以上にピークが観察される融解をα晶の融解ピークとして、高温側の平坦部を基準に引いたベースラインとピークに囲まれる領域の面積から、それぞれの融解熱量を求め、α晶の融解熱量をΔHα、β晶の融解熱量をΔHβとしたとき、以下の式で計算される値をβ晶形成能とする。なお、融解熱量の較正はインジウムを用いて行った。
β晶形成能(%) = 〔ΔHβ / (ΔHα + ΔHβ)〕 × 100
なお、1stランで観察される融解ピークから同様にβ晶の存在比率を算出したものが、その試料の状態でのβ晶分率を示している。
(2)空孔率
まず、フィルムを30mm×40mmの大きさに切取り試料とし、電子比重計(ミラージュ貿易(株)製 SD−120L)を用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気にて測定を行った。測定は3回行い平均値をそのフィルムの比重ρとした。
次に、測定したフィルムサンプルを280℃、5MPaで熱プレスを行い、その後、25℃の水で急冷して得た、空孔を完全に消去したシートを作成する。このシートの比重(d)を上記した方法で同様に測定して、平均値をシートの比重とした。なお、後述する実施例1において、シートの比重dは0.91であった。フィルムの比重をρとしたとき、以下の式にて空孔率を算出した。
空孔率(%) = 〔(d − ρ) / d〕 × 100
(3)孔径
フィルムの孔径は、JIS K 3832(1990)のバブルポイント法(ハーフドライ法)に準じ、自動細孔径分布測定器(POROUS MATERIALS製 PERM−POROMETER)を用いて、バブルポイントを測定した。なお、測定条件は以下の通りである。
試験液 :3M製“フロリナート”FC−40
試験温度 :25℃
試験ガス :空気
解析ソフト:Capwin
測定条件 :Capillary Flow Porometry−Wet up, Dry downのdefault条件による自動測定
なお、バブルポイント法において、孔径(細孔直径)と試験圧力の間には以下の関係式が成立する。
d=Cγ/P×10
ただし、d:細孔直径(nm)、C:定数、γ:フロリナートの表面張力(16mN/m)、P:圧力(Pa)である。
ここでは、上記に基づき、装置付属のデータ解析ソフトを用いて、1/2半濡れ曲線から平均孔径を算出した。なお、本測定については、装置付属のマニュアルにも詳述されている。測定を3回行い、平均値をそのフィルムの孔径とした(単位:nm)。
(4)透気抵抗度(ガーレー)
フィルムから1辺の長さ100mmの正方形を切取り試料とした。JIS P 8117(1998)のB形のガーレー試験機を用いて、23℃、相対湿度65%にて、100mlの空気の透過時間の測定を3回行った。透過時間の平均値をそのフィルムの透気抵抗度(ガーレー)とした。
(5)フィルム厚み
フィルム厚みはダイヤルゲージを用い、JIS K 7130(1992)A−2法に準じて、フィルムを10枚重ねた状態で任意の5ヶ所について厚さを測定した。その平均値を10で除してフィルム厚みとした。
(6)破断強度
フィルムを長手方向および幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分としてフィルムの長手方向と幅方向にそれぞれ引張試験を行った。測定雰囲気23℃、相対湿度65%で行った。フィルムが破断したときのフィルムにかかる荷重を読み取り、試験前の試料の断面積(フィルム厚み×10mm)で除した値を破断強度とした。なお、測定は各サンプル、各方向に5回ずつ行い、各々の方向の平均値で評価を行った。
(7)フィルム中のアミド系化合物およびキナクリドン系化合物含有量
フィルム中に含有しているアミド系化合物もしくはキナクリドン系化合物の含有量は以下のようにして定量することが可能である。フィルムを良溶媒に溶解させ、各磁気共鳴スペクトル(NMR)を用いて含有化合物および含有量を定量することができる。また、キナクリドン系化合物の場合、励起ラマン分光法を用いて定量を行うことができる。なお、後述する実施例では、フィルム中のアミド系化合物およびキナクリドン系化合物は添加する際に計量した値を用いた。
(8)セパレーターとしての評価
フィルムのセパレーターとしての評価は、以下の通りリチウムイオン電池を作製し行った。
・正極用材料
LiCoO(セイミケミカル(株)製C−012)・・89.5重量部
アセチレンブラック(電気化学工業(株)製75%プレス品)・・4.5重量部
ポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業(株)製)・・6重量部
N−メチル−2−ピロリドン・・40重量部
上記物質を混合し、スラリーを作製した。得られたスラリーを集電体であるアルミニウム箔上に塗着、乾燥後、打ち抜き加工した。
・負極材料
メソカーボンマイクロビーズ(MCMB;大阪ガスケミカル(株)製25−28)・・93重量部
アセチレンブラック・・2重量部
ポリフッ化ビニリデン・・5重量部
N−メチル−2−ピロリドン・・50重量部
上記組成を混合し、スラリーを作製した。得られたスラリーを集電体である銅箔上に塗着、乾燥後、打ち抜き加工した。
プロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネートを3:7で混合した溶媒に、LiPFを濃度が1mol/Lとなるように溶解させ、これを電解液として用いた。上記で作製した正極と負極の間に、フィルムをそのままセパレーターとして挟み、打ち抜き加工後、正極、負極各端子を取り出し、アルミラミネートタイプの外装体に挿入した。当該外装体の3方をシール後、上記の電解液を注入し、減圧下で4方目をシールし、蓄電デバイスとした。このようにして得たリチウムイオン電池について、電気抵抗計にて電池の内部抵抗を測定した。各フィルムについて3回測定を行い、その平均値で評価を行った。なお、内部抵抗は45mΩ以下を目標レベルとした。
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂として、住友化学(株)製ホモポリプロピレン WF836DG3(MFR:7g/10分、アイソタクチックインデックス:97%)を94質量部、Basell社製高溶融張力ホモポリプロピレン Pro−fax PF814(MFR:2.5g/10分、アイソタクチックインデックス:97%)を3質量部、エチレン・α−オレフィン共重合体である、ダウ・ケミカル社製 Engage8411(メルトインデックス:18g/10分)3質量部に加えて、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化製、Nu−100)を0.2質量部、さらに同じくβ晶核剤である、γ−キナクリドンを0.05質量部加えて混合し、2軸押出機に供給して、290℃で溶融混練を行い、ストランド状に押出し、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットした。
このチップを単軸押出機に供給して220℃で溶融押出を行い、30μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイから120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出し、ドラムに15秒間接するようにキャストして未延伸シートを得た。ついで、100℃に加熱したセラミックロールを用いて予熱を行い、フィルムの長手方向に4倍延伸を行った。一旦冷却後、次にステンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、145℃で6倍に、延伸速度500%/分で延伸した。そのまま、幅方向に5%のリラックスを掛けながら160℃で5秒間の熱処理を行い、厚み25μmの多孔性ポリプロピレンフィルムを得た。
(実施例2)
ポリプロピレン樹脂として、住友化学(株)製ホモポリプロピレン WF836DG3を95質量部、高溶融張力ポリプロピレンであるBasell社製 Pro−fax PF814を5質量部に加えて、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドを0.5質量部、γ−キナクリドンを0.1質量部加えて混合し、2軸押出機に供給して、290℃で溶融混練を行い、ストランド状に押出し、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットした。
このチップを単軸押出機に供給して220℃で溶融押出を行い、30μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイから115℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出し、ドラムに15秒間接するようにキャストして未延伸シートを得た。ついで、100℃に加熱したセラミックロールを用いて予熱を行い、フィルムの長手方向に4倍延伸を行った。一旦冷却後、次にステンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、135℃で6倍に、延伸速度300%/分で延伸した。そのまま、幅方向に5%のリラックスを掛けながら155℃で5秒間の熱処理を行い、厚み25μmの多孔性ポリプロピレンフィルムを得た。
(実施例3)
ポリプロピレン樹脂として、(株)プライムポリマー製ホモポリプロピレン F107BV(MFR:7g/10分、アイソタクチックインデックス:98%)を97質量部と、エチレン・α−オレフィン共重合体であるダウ・ケミカル社製エンゲージ8411を3質量部に加えて、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドを0.4質量部と、γ−キナクリドンを0.05質量部加えて混合し、2軸押出機に供給して、220℃で溶融混練を行い、ストランド状に押出し、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットした。
このチップを単軸押出機に供給して220℃で溶融押出を行い、30μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイから120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出し、ドラムに15秒間接するようにキャストして未延伸シートを得た。ついで、100℃に加熱したセラミックロールを用いて予熱を行い、フィルムの長手方向に4倍延伸を行った。一旦冷却後、次にステンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、135℃で6倍に、延伸速度500%/分で延伸した。そのまま、幅方向に5%のリラックスを掛けながら155℃で5秒間の熱処理を行い、厚み30μmの多孔性ポリプロピレンフィルムを得た。
(実施例4)
ポリプロピレン樹脂として、住友化学(株)製ホモポリプロピレン WF836DG3を92質量部、Basell社製高溶融張力ホモポリプロピレン Pro−fax PF814を3質量部、エチレン・α−オレフィン共重合体である、ダウ・ケミカル社製 Engage8411(メルトインデックス:18g/10分)5質量部に加えて、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化製、Nu−100)を0.15質量部、さらに同じくβ晶核剤である、γ−キナクリドンを0.02質量部加えて混合し、2軸押出機に供給して、290℃で溶融混練を行い、ストランド状に押出し、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットした。
このチップを単軸押出機に供給して220℃で溶融押出を行い、30μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイから120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出し、ドラムに15秒間接するようにキャストして未延伸シートを得た。ついで、100℃に加熱したセラミックロールを用いて予熱を行い、フィルムの長手方向に4.5倍延伸を行った。一旦冷却後、次にステンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、140℃で5倍に、延伸速度400%/分で延伸した。そのまま、幅方向に5%のリラックスを掛けながら155℃で5秒間の熱処理を行い、厚み20μmの多孔性ポリプロピレンフィルムを得た。
(実施例5)
ポリプロピレン樹脂として、住友化学(株)製ホモポリプロピレン WF836DG3を100質量部にβ晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化製、Nu−100)を0.25質量部、さらに同じくβ晶核剤である、γ−キナクリドンを0.08質量部加えて混合し、2軸押出機に供給して、300℃で溶融混練を行い、ストランド状に押出し、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットした。
このチップを単軸押出機に供給して225℃で溶融押出を行い、35μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイから115℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出し、ドラムに12秒間接するようにキャストして未延伸シートを得た。ついで、120℃に加熱したセラミックロールを用いて予熱を行い、フィルムの長手方向に4倍延伸を行った。一旦冷却後、次にステンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、135℃で6倍に、延伸速度600%/分で延伸した。そのまま、幅方向に5%のリラックスを掛けながら155℃で5秒間の熱処理を行い、厚み30μmの多孔性ポリプロピレンフィルムを得た。
(比較例1)
β晶核剤であるγ−キナクリドンを添加しない以外は実施例1と同様に製膜を実施し、厚み25μmの多孔性ポリプロピレンフィルムを得た。
(比較例2)
β晶核剤であるγ−キナクリドンを添加しない以外は実施例2と同様に製膜を実施し、厚み25μmの多孔性ポリプロピレンフィルムを得た。
(比較例3)
β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドを添加せず、γ−キナクリドンの添加量を0.3質量部にする以外は実施例3と同様に製膜を実施し、厚み10μmのポリプロピレンフィルムを得た。
(比較例4)
β晶核剤であるγ−キナクリドンの添加量を0.15質量部にする以外は実施例1と同様に製膜を実施し、厚み22μmの多孔性ポリプロピレンフィルムを得た。
Figure 0005194476
Figure 0005194476
Figure 0005194476
本発明の要件を満たすアミド系化合物とキナクリドン系化合物を併用した実施例と、1種類のみを使用した比較例を比較すると、実施例では空孔率や孔径、破断強度は維持したまま透気抵抗度が小さく、すなわち透気性の向上が認められた。それに伴い、セパレーターの評価である内部抵抗も実施例が小さい値を示しており、電池の性能が向上していることが認められた。
本発明による多孔性ポリプロピレンフィルムは、フィルム中に形成した空孔間を貫通する貫通孔が多数形成されるために、透気性能に優れたフィルムであり、蓄電デバイスのセパレーター用途や各種分離膜に好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. アミド系化合物をポリプロピレン樹脂に対して0.01〜0.5質量%、およびキナクリドン系化合物をポリプロピレン樹脂に対して0.01〜0.1質量%を含有する多孔性ポリプロピレンフィルム。
  2. アミド系化合物が下記一般式で示される化合物である、請求項1に記載の多孔性ポリプロピレンフィルム。
    2−NHCO−R1−CONH−R3
    ここで、R1は芳香環、脂肪族環または炭素数2〜24の脂肪族炭化水素を示す。R2、R3は芳香環または脂肪族環を示す。
  3. ポリプロピレン樹脂のβ晶形成能が50〜100%であり、二軸延伸後の透気抵抗度(ガーレー)が1〜250秒である、請求項1または2に記載の多孔性ポリプロピレンフィルム。
  4. ポリプロピレン樹脂がホモポリプロピレン樹脂99〜95質量%とエチレン・α−オレフィン共重合体1〜5質量%からなる、請求項1〜3のいずれかに記載の多孔性ポリプロピレンフィルム。
  5. ポリプロピレン樹脂の1〜5質量%が高溶融張力ポリプロピレンである、請求項1〜4のいずれかに記載の多孔性ポリプロピレンフィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の多孔性ポリプロピレンフィルムを用いてなる蓄電デバイス用セパレーター。


JP2007035852A 2007-02-16 2007-02-16 多孔性ポリプロピレンフィルム Expired - Fee Related JP5194476B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007035852A JP5194476B2 (ja) 2007-02-16 2007-02-16 多孔性ポリプロピレンフィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007035852A JP5194476B2 (ja) 2007-02-16 2007-02-16 多孔性ポリプロピレンフィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008201814A JP2008201814A (ja) 2008-09-04
JP5194476B2 true JP5194476B2 (ja) 2013-05-08

Family

ID=39779649

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007035852A Expired - Fee Related JP5194476B2 (ja) 2007-02-16 2007-02-16 多孔性ポリプロピレンフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5194476B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5460024B2 (ja) * 2008-11-10 2014-04-02 三菱樹脂株式会社 多孔性フィルム、それを利用したリチウム電池用セパレータ、および電池
CN102292361B (zh) * 2009-01-27 2013-10-30 三井化学株式会社 电容器用丙烯均聚物
CN102282203B (zh) * 2009-03-17 2013-04-03 东丽株式会社 多孔聚丙烯膜及其制造方法
EP2500374A4 (en) * 2009-11-09 2015-04-08 Toray Industries POROUS FILM AND POWER STORAGE
FR2954595B1 (fr) 2009-12-21 2012-03-30 Bollore Film de separateur, son procede de fabrication, supercondensateur, batterie et condensateur munis du fim
KR20120116468A (ko) * 2010-03-18 2012-10-22 미쓰비시 쥬시 가부시끼가이샤 폴리프로필렌계 수지 다공 필름, 전지용 세퍼레이터 및 전지
JP5771043B2 (ja) * 2010-09-30 2015-08-26 積水化学工業株式会社 プロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法、並びにリチウムイオン電池用セパレータ及びリチウムイオン電池
JP5771045B2 (ja) * 2010-09-30 2015-08-26 積水化学工業株式会社 プロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法、並びにリチウムイオン電池用セパレータ及びリチウムイオン電池
JP2013032505A (ja) * 2011-06-27 2013-02-14 Toray Ind Inc 多孔性ポリオレフィンフィルム、蓄電デバイス用セパレータおよび蓄電デバイス
ES2771153T3 (es) * 2014-09-11 2020-07-06 Borealis Ag Composición de polipropileno para película de capacitor
CN105070861A (zh) * 2015-07-10 2015-11-18 湖北崇高科工有限公司 汽车蓄电池隔板

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1369221B9 (en) * 2001-02-21 2010-12-29 New Japan Chemical Co., Ltd. Successively biaxial-oriented porous polypropylene film and process for production thereof
JP4876387B2 (ja) * 2003-11-05 2012-02-15 東レ株式会社 二軸配向微多孔フィルムおよびその製造方法
AU2005235863A1 (en) * 2004-04-22 2005-11-03 Toray Industries, Inc. Microporous polypropylene film and process for producing the same
JP4807006B2 (ja) * 2004-08-24 2011-11-02 新日本理化株式会社 多孔性フィルムの製造法及び該製造法により得られる多孔性フィルム
JP2007003975A (ja) * 2005-06-27 2007-01-11 Toray Ind Inc 光反射板用ポリプロピレンフィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008201814A (ja) 2008-09-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5194476B2 (ja) 多孔性ポリプロピレンフィルム
JP5256773B2 (ja) 多孔性ポリプロピレンフィルム
KR102266028B1 (ko) 폴리올레핀 미다공막 및 이의 제조 방법
JP5672007B2 (ja) 多孔性ポリプロピレンフィルムロール
JP5604898B2 (ja) 多孔性ポリプロピレンフィルムロール
WO2016104792A1 (ja) ポリオレフィン微多孔膜、その製造方法および電池用セパレータ
JP5807388B2 (ja) 多孔性ポリプロピレンフィルム
JPWO2012105661A1 (ja) 多孔性ポリプロピレンフィルム、蓄電デバイス用セパレータおよび蓄電デバイス
KR20160016805A (ko) 폴리올레핀 다층 미다공막 및 이의 제조 방법
JP6394597B2 (ja) ポリオレフィン多層微多孔膜およびその製造方法
JP2012131990A (ja) 蓄電デバイス用セパレータ
JP6135665B2 (ja) ポリオレフィン多孔性フィルムおよび蓄電デバイス
JP5450944B2 (ja) ポリオレフィン微多孔膜、電池用セパレータ及び電池
JP5251193B2 (ja) 多孔性ポリオレフィンフィルム
WO2014103713A1 (ja) 多孔性ポリオレフィンフィルムおよびその製造方法、ならびにそれを用いてなる蓄電デバイス用セパレータ
WO2013054930A1 (ja) 多孔性ポリオレフィンフィルムおよび蓄電デバイス
US20210367309A1 (en) Separator for electric storage device
JP2013032505A (ja) 多孔性ポリオレフィンフィルム、蓄電デバイス用セパレータおよび蓄電デバイス
KR20140048147A (ko) 다공성 폴리프로필렌 필름 및 그의 제조 방법
JP2010215901A (ja) 多孔性ポリプロピレンフィルム
JP2012022911A (ja) 積層セパレータおよび蓄電デバイス
WO2013054931A1 (ja) 多孔性ポリプロピレンフィルムおよび蓄電デバイス
JP7357161B2 (ja) 蓄電デバイス用セパレータ
JP2010108922A (ja) 多孔性積層フィルムおよび蓄電デバイス
JP2010100845A (ja) 多孔性ポリオレフィンフィルムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120327

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130108

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130121

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160215

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160215

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees