JP5191268B2 - コンバイン - Google Patents

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本発明は、エンジンの回転数を電気的に制御可能なコンバインに関する。
近年、エンジンの回転数を電気的に制御するコンバインが提案されている。例えば、特許文献1には、作業状態のときはエンジンの回転数を定格回転に保つ一方、非作業状態のときはエンジンの回転数を定格よりも低い回転数に自動的に落すことにより、騒音及び燃料の削減を図るコンバインが開示されている。
特開2004−89049号公報
しかしながら、従来のコンバインは、エンジンの回転数を電気的に制御可能であっても、作業中は、車速やエンジン負荷に拘わらず、エンジンの回転数を定格回転に保っているので、騒音や燃料の削減が図られていないのが実状である。
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、少なくとも走行部及び脱穀部をエンジンの動力で動作させるコンバインであって、前記エンジンの回転数を調整するエンジン回転調整手段と、脱穀部に伝動するエンジン動力を無段階に変速する脱穀用無段変速装置と、エンジン回転調整手段及び脱穀用無段変速装置を電気的に制御する制御装置とを備え、該制御装置は、作業中であっても、車速が速くなるとエンジン回転数を増加させ、車速が遅くなるとエンジン回転数を低減させると共に、エンジン回転数の増減に拘わらず脱穀部回転数が一定となるように脱穀用無段変速装置を制御することを特徴とするコンバインである。このようにすると、作業中であっても、車速の増減に応じてエンジン回転数を増減させることにより、騒音及び燃料の削減を図ることができる。しかも、エンジン回転数の増減に拘わらず脱穀部回転数が一定に保たれるので、脱穀部の回転数変動に起因する脱穀精度や選別精度の低下を回避することができる。
また請求項2の発明は、走行変速装置の伝動下流側から取り出した車速連動の動力を前処理部に伝動する第一の前処理伝動経路と、前記脱穀用無段変速装置の伝動下流側から取り出した一定回転の動力を前処理部に伝動する第二の前処理伝動経路とを備えることを特徴とするコンバインである。このようにすると、走行停止状態でも、脱穀部の動力を前処理部に伝動することにより、強制掻込処理(前処理部に残った茎稈を脱穀部まで搬送する処理)を行うことができる。
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1〜図3において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、茎稈を刈取る前処理部2、刈取茎稈から穀粒を脱穀して選別する脱穀部3、選別済みの穀粒を貯溜する穀粒タンク4、脱穀済みの排稈を処理する後処理部5、オペレータが乗車する操縦部6、クローラ式の走行部7などを備えて構成されている。
前処理部2は、未刈茎稈を分草するデバイダ8、分草された茎稈を引き起す引起し装置9、茎稈の株元位置を切断する刈刃10、刈取茎稈を脱穀部3に向けて搬送する前処理搬送装置11、刈取茎稈の扱深さを調節する扱深さ搬送装置12などを備えて構成され、機体の左前端部に昇降自在に連結されている。
脱穀部3は、扱室に沿って茎稈を搬送する脱穀フィードチェン13、搬送茎稈から穀粒を脱穀する扱胴14、扱室の終端まで到達した処理物を再度単粒化処理する処理胴15、脱穀された穀粒を選別する揺動選別体16、選別風を起風する圧風ファン17、一番物を回収する一番ラセン18、二番物を回収する二番ラセン19、選別室内の藁屑などを機外に排出する排塵ファン20、脱穀済みの排藁を後処理部5に向けて搬送する排藁搬送装置21などを備えて構成されている。
操縦部6の下方には、前処理部2、脱穀部3、走行部7、脱穀フィードチェン13などに動力を供給するエンジンEが搭載されている。図3に示すように、エンジンEの動力は、走行用無段変速装置(HST)22及びミッションケース23を介して走行部7に伝動されると共に、脱穀クラッチ(ベルトテンションクラッチ)24及び脱穀用無段変速装置(CVT)25を介して脱穀部3に伝動される。
また、走行用無段変速装置(HST)22の伝動下流側においては、車速連動の動力が取り出され、この動力が、刈取クラッチ(ベルトテンションクラッチ)26を介して前処理部2に伝動される。また、脱穀用無段変速装置25の伝動下流側においては、後述する一定回転の動力が取り出され、この動力が、搬送用無段変速装置(CVT)27を介して脱穀フィードチェン13に伝動されると共に、第二の刈取クラッチである前処理クラッチ(ベルトテンションクラッチ)28及びワンウェイクラッチ29を介して前処理部2に伝動される。
つまり、本実施形態のコンバイン1では、走行用無段変速装置(走行変速装置)22の伝動下流側から取り出した車速連動の動力を、刈取クラッチ26を介して前処理部2に伝動する第一の前処理伝動経路30と、脱穀用無段変速装置25の伝動下流側から取り出した一定回転の動力を、第二の刈取クラッチである前処理クラッチ28及びワンウェイクラッチ29を介して前処理部2に伝動する第二の前処理伝動経路31とが構成されている。
第二の前処理伝動経路31は、走行停止状態でも、脱穀部3の動力を前処理部2に伝動することにより、強制掻込処理(前処理部2に残った茎稈を脱穀部3まで搬送する処理)を可能にするが、走行中に刈取クラッチ26及び前処理クラッチ28が入りになっても、ワンウェイクラッチ29が前処理部2側から脱穀部3側への動力伝動を遮断するので、脱穀部3側に影響はない。また、脱穀回転数よりも前処理回転数が高い状況では、前処理回転が自動的に車速連動になるので、通常通りの刈取作業を行うことができる。
コンバイン1には、エンジンEの回転数を調整するエンジン回転調整手段32が設けられている。このエンジン回転調整手段32は、例えば、燃料噴射量制御に基づいてエンジン回転数を調整する電子ガバナで構成されており、制御装置33を用いて電気的に制御される。図4に示すように、本実施形態の制御装置33は、エンジンEの回転数を検出するエンジン回転検出手段34、コンバイン1の走行速度を検出する走行速度検出手段35、脱穀部3の回転数を検出する脱穀回転検出手段36、脱穀フィードチェン13の回転数を検出する搬送回転検出手段37、強制掻込時に操作される強制掻込スイッチ38などから信号を入力し、これらの入力信号に応じて、エンジン回転調整手段32、脱穀用無段変速装置25、搬送用無段変速装置27、前処理クラッチ28などを電気的に制御するようになっている。尚、本実施形態の走行速度検出手段35は、主変速レバーL(走行用無段変速装置22の変速操作具)の位置を検出する主変速レバーポテンショメータで構成されるが、走行速度検出手段35がこれに限定されないことは勿論であり、例えば、走行部7の車軸回転を検出する車軸回転センサで構成してもよい。
本発明に係る制御装置33は、作業中であっても、車速の増減に応じてエンジン回転数を増減させると共に、エンジン回転数の増減に拘わらず脱穀部回転数が一定となるように脱穀用無段変速装置25を制御するようになっている(図5参照)。このようにすると、作業中であっても、車速の増減に応じてエンジン回転数を増減させる、つまり車速が速くなるとエンジン回転数を増加させ、車速が遅くなるとエンジン回転数を低減させることにより、騒音及び燃料の削減を図ることができる。しかも、エンジン回転数の増減に拘わらず脱穀部回転数が一定に保たれるので、脱穀部3の回転数変動に起因する脱穀精度や選別精度の低下を回避することができる。
以下、制御装置33の具体的な制御手順について、図6を参照して説明する。この図に示すように、制御装置33は、まず、車速検出処理(S1)、エンジン回転検出処理(S2)、脱穀回転検出処理(S3)及びフィードチェン速度検出処理(S4)を行った後、車速に応じた目標エンジン回転数を演算すると共に(S5)、車速に応じた目標フィードチェン速度を演算する(S6)。その後、現在のエンジン回転数が目標エンジン回転数と一致しているか否かを判断し(S7)、該判断結果がYESである場合は、エンジン回転調整手段32を停止する一方(S8)、判断結果がNOである場合は、現在のエンジン回転数が目標エンジン回転数よりも高いのか、それとも低いのかを判断する(S9)。そして、現在のエンジン回転数が目標エンジン回転数よりも高いと判断した場合は、エンジン回転調整手段32を減速側へ駆動し(S10)、現在のエンジン回転数が目標エンジン回転数よりも低いと判断した場合は、エンジン回転調整手段32を増速側へ駆動する(S11)。これにより、前述したように、車速の増減に応じてエンジン回転数が増減されることになる。
次に、現在の脱穀部回転数が所定回転数であるか否かを判断し(S12)、該判断結果がYESである場合は、脱穀用無段変速装置25を停止する一方(S13)、判断結果がNOである場合は、現在の脱穀部回転数が所定回転数よりも高いのか、それとも低いのかを判断する(S14)。そして、現在の脱穀部回転数が所定回転数よりも高いと判断した場合は、脱穀用無段変速装置25を減速側へ駆動し(S15)、現在の脱穀部回転数が所定回転数よりも低いと判断した場合は、脱穀用無段変速装置25を増速側へ駆動する(S16)。これにより、前述したように、エンジン回転数の増減に拘わらず脱穀部回転数が一定に保たれる。
次に、現在のフィードチェン速度が目標フィードチェン速度と一致しているか否かを判断し(S17)、該判断結果がYESである場合は、搬送用無段変速装置27を停止する一方(S18)、判断結果がNOである場合は、現在のフィードチェン速度が目標フィードチェン速度よりも高いのか、それとも低いのかを判断する(S19)。そして、現在のフィードチェン速度が目標フィードチェン速度よりも高いと判断した場合は、搬送用無段変速装置27を減速側へ駆動し(S20)、現在のフィードチェン速度が目標フィードチェン速度よりも低いと判断した場合は、搬送用無段変速装置27を増速側へ駆動する(S21)。これにより、フィードチェン速度が前処理部2と同様に車速連動となり、前処理部2から脱穀フィードチェン13への茎稈の受け渡しが円滑に行われる。
また、制御装置33は、強制掻込スイッチ38の操作を判断しており(S22)、該判断結果がYESの場合は、前処理クラッチ28を入り(ON)とし(S23)、判断結果がNOの場合は、前処理クラッチ28を切り(OFF)とする(S23)。これにより、走行停止状態でも、脱穀部3の動力を前処理部2に選択的に伝動し、強制掻込処理が可能となる。
叙述の如く構成された本実施形態によれば、少なくとも走行部7及び脱穀部3をエンジンEの動力で動作させるコンバイン1であって、エンジンEの回転数を調整するエンジン回転調整手段32と、脱穀部3に伝動するエンジン動力を無段階に変速する脱穀用無段変速装置25と、エンジン回転調整手段32及び脱穀用無段変速装置25を電気的に制御する制御装置33とを備え、該制御装置33は、作業中であっても、車速の増減に応じてエンジン回転数を増減させると共に、エンジン回転数の増減に拘わらず脱穀部回転数が一定となるように脱穀用無段変速装置25を制御するので、作業中であっても、騒音及び燃料の削減を図ることができる。しかも、エンジン回転数の増減に拘わらず脱穀部回転数が一定に保たれるので、脱穀部3の回転数変動に起因する脱穀精度や選別精度の低下を回避することができる。
また、走行用無段変速装置22の伝動下流側から取り出した車速連動の動力を前処理部2に伝動する第一の前処理伝動経路30と、脱穀用無段変速装置25の伝動下流側から取り出した一定回転の動力を前処理部2に伝動する第二の前処理伝動経路31とを備えるので、走行停止状態でも、脱穀部3の動力を前処理部2に伝動することにより、強制掻込処理を行うことができる。
尚、本発明は、前記実施形態に限定されないことは勿論であって、特許請求の範囲を逸脱しない限り、任意の変更を加えることができる。例えば、図7に示すように、搬送用無段変速装置を省き、脱穀フィードチェンを一定速度で駆動させるようにしてもよい。
コンバインの側面図である。 コンバインの平面図である。 コンバインの伝動構成を示す伝動回路図である。 制御装置の入出力を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る作用説明図である。 制御装置の制御手順を示すフローチャートである。 第二実施形態に係るコンバインの伝動構成を示す伝動回路図である。
符号の説明
1 コンバイン
2 前処理部
3 脱穀部
7 走行部
13 脱穀フィードチェン
22 走行用無段変速装置
25 脱穀用無段変速装置
26 刈取クラッチ
27 搬送用無段変速装置
28 前処理クラッチ
29 ワンウェイクラッチ
30 第一の前処理伝動経路
31 第二の前処理伝動経路
32 エンジン回転調整手段
33 制御装置
38 強制掻込スイッチ
E エンジン

Claims (2)

  1. 少なくとも走行部及び脱穀部をエンジンの動力で動作させるコンバインであって、
    前記エンジンの回転数を調整するエンジン回転調整手段と、
    脱穀部に伝動するエンジン動力を無段階に変速する脱穀用無段変速装置と、
    エンジン回転調整手段及び脱穀用無段変速装置を電気的に制御する制御装置とを備え、
    該制御装置は、作業中であっても、車速が速くなるとエンジン回転数を増加させ、車速が遅くなるとエンジン回転数を低減させると共に、エンジン回転数の増減に拘わらず脱穀部回転数が一定となるように脱穀用無段変速装置を制御する
    ことを特徴とするコンバイン。
  2. 走行変速装置の伝動下流側から取り出した車速連動の動力を前処理部に伝動する第一の前処理伝動経路と、
    前記脱穀用無段変速装置の伝動下流側から取り出した一定回転の動力を前処理部に伝動する第二の前処理伝動経路とを備える
    ことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
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