JP4011188B2 - コンバイン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、脱穀フィードチェン等の脱穀搬送装置を備えるコンバインの技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種コンバインの前処理部には、刈り取った茎稈を車速に連動した速度で搬送する前処理搬送装置が設けられる一方、脱穀部には、前処理搬送装置から引き継いだ茎稈を扱室に沿って搬送する脱穀搬送装置が設けられているが、従来の脱穀搬送装置は、搬送速度が略一定(エンジン回転数連動であり、中高速刈取り時の前処理搬送速度と略同速)であるため、低速刈取り時や高速刈取り時には、脱穀搬送装置と前処理搬送装置との速度差に基づいて不都合が生じる可能性がある。つまり、低速刈取り時には、脱穀搬送速度が前処理搬送速度を大きく上回るため、引継ぎ部で搬送乱れが生じる可能性がある一方、高速刈取り時には、前処理搬送速度が脱穀搬送速度を大きく上回るため、脱穀茎稈の層が厚くなって脱穀負荷が増大する可能性があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、前記脱穀搬送装置の搬送速度を、前処理搬送装置と同様に車速に連動させることが提案される。そしてこの場合には、引継ぎ部で搬送乱れが生じる不都合を防止できる許りでなく、脱穀茎稈の層厚を車速に拘わらず略一定に保つことが可能であるが、脱穀茎稈の層厚が略一定であっても、多収穫材料、濡れ材、倒伏材等の高負荷材料を脱穀する場合には、依然として脱穀負荷が増大する不都合があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、扱室を備える脱穀部に、前処理部から引き継いだ茎稈を扱室に沿って搬送する脱穀搬送装置を設けたコンバインにおいて、前記脱穀搬送装置の動力供給経路に、脱穀搬送装置の搬送速度を変速する脱穀搬送変速装置を介設するにあたり、該脱穀搬送変速装置による変速領域には、車速に基づいて設定される脱穀搬送速度に、脱穀部の負荷に対応して増減速される脱穀負荷対応速度を加算して脱穀搬送速度の目標値を設定し、脱穀搬送速度が該目標値になるよう変速作動させる領域があることを特徴とするコンバインである。つまり、脱穀搬送速度が車速に連動するため、前処理部との引継ぎ部で搬送乱れが生じる不都合を防止できる許りでなく、脱穀茎稈の層厚を車速に拘わらず略一定に維持して脱穀負荷の増大を防止することができ、しかも、高負荷時には脱穀搬送速度が速くなるため、脱穀茎稈の層厚を薄くして脱穀負荷を軽減することができる。
請求項2の発明は、請求項1において、脱穀搬送速度に脱穀負荷対応速度を加算した目標値で変速作動させる領域を高速走行領域にしたことを特徴とするコンバインである。つまり、脱穀負荷が増大し易い高速刈取り時には、脱穀搬送速度が脱穀負荷に連動(茎稈の引継ぎが大きく乱れない範囲)するため、脱穀茎稈の層厚を薄くして脱穀負荷を軽減することができ、一方、その他の走行領域では、脱穀搬送速度が車速に連動するため、引継ぎ部で搬送乱れが生じる不都合を防止できる許りでなく、脱穀茎稈の層厚を車速に拘わらず略一定に維持することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態の一つを図面に基づいて説明する。図面において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、茎稈を刈取る前処理部2、刈取茎稈から穀粒を脱穀し、かつ穀粒を選別する脱穀部3、選別済みの穀粒が貯溜される穀粒タンク4、脱穀済みの排稈を排出処理する後処理部5、各種の操作具が配設される操作部6、左右一対のクローラ走行体を備える走行部7等で構成されるが、これらの基本構成は何れも従来通りである。
【0006】
前記前処理部2は、未刈茎稈を分草するデバイダ8、分草された茎稈を引き起す引起し装置9、茎稈の株元位置を切断する刈刃10、刈取茎稈を後述する第二前処理搬送装置(扱深さ搬送体)11まで挟持搬送する第一前処理搬送装置12等で構成されるが、上記引起し装置9、刈刃10、第一前処理搬送装置12および第二前処理搬送装置11には、走行主変速機構13(静油圧式無段変速ユニットHST)を経由したエンジン動力が供給されるため、車速に連動した速度で茎稈の刈取りおよび搬送が行われるようになっている。
【0007】
前記第二前処理搬送装置11には、茎稈の株元側を搬送する株元搬送チェン14と、茎稈の穂先側を搬送する穂先搬送体15とが並設されているが、第二前処理搬送装置11全体は、扱深さモータ(図示せず)の駆動に基づき、搬送終端側を支点として上下方向に強制回動せしめられるようになっている。即ち、第二前処理搬送装置11は、第一前処理搬送装置12の搬送終端部で茎稈を受け継ぐにあたり、その挟持位置を、上記強制回動に基づいて上下させることが可能であるため、第二前処理搬送装置11の終端部で茎稈を引き継ぐ脱穀フィードチェン(脱穀搬送装置)16の茎稈挟持位置を変化させて脱穀部3における扱深さを調節することができるようになっている。
【0008】
一方、前記脱穀部3は、扱胴17を内装する扱室18と、各種の選別装置を内装する選別室19とで構成されている。そして、扱室18は、脱穀フィードチェン16が扱室18に沿って搬送する茎稈の穂先側を受け入れると共に、受け入れた茎稈の穂先側を扱胴17の回転力で脱穀処理するが、扱胴17および各種の選別装置には、走行主変速機構13を経由しないエンジン動力が供給されるため、エンジン回転数に応じた速度(通常、エンジン回転数は定格回転に固定されるため、脱穀処理速度は略一定)で脱穀および選別が行われるようになっている。
【0009】
前記脱穀フィードチェン16は、脱穀部3の外側面部に前後方向を向いて配設され、前述した第二前処理搬送装置11の終端部まで搬送された茎稈を左右方向を向く姿勢で受け継ぐと共に、受け継いだ茎稈の株元側を挟持レール20との間で挟持しつつ扱室18に沿って後方に搬送するものであるが、脱穀フィードチェン16の駆動スプロケット21を軸支する駆動ケース22は、脱穀部3(選別室19)の前端部に左右方向を向いて内装される圧風ファン(唐箕ファン)23の駆動軸24からベルト式無段変速装置25を介して脱穀部動力を入力すると共に、該動力を減速して駆動スプロケット21に供給するようになっている。
【0010】
前記ベルト式無段変速装置25は、固定割プーリ26a、27aに対するスライド割プーリ26b、27bの軸方向移動に基づいてピッチ径(ベルト懸回径)が変化する一対の可変ピッチプーリ26、27を備え、該一対の可変ピッチプーリ26、27間に伝動ベルト28を懸回して構成されている。そして、一方の可変ピッチプーリ27を、後述する変速作動装置29の駆動力でピッチ径増加方向に強制的に変速作動させると、ピッチ径増加方向に弾機30で付勢される他方の可変ピッチプーリ26が弾機30の付勢力に勝るベルト張力を受けてピッチ径減少方向に従動的に変速作動し、また、一方の可変ピッチプーリ27を、ピッチ径減少方向に強制的に変速作動させると、他方の可変ピッチプーリ26がベルト張力に勝る弾機30の付勢力を受けてピッチ径増加方向に従動的に変速作動することになる。つまり、一対の可変ピッチプーリ26、27は、変速作動装置29の駆動に伴ってピッチ径が背反的に変化し、このピッチ径変化に基づいて脱穀フィードチェン16の搬送作動速度を無段階に変速するようになっている。
【0011】
さて、前記駆動ケース22の入力軸31および圧風ファン23の駆動軸24に可変ピッチプーリ26、27をそれぞれ連結するにあたり、変速作動装置29の駆動力で強制的に変速作動する可変ピッチプーリ27を駆動ケース22の入力軸31に連結する一方、弾機30の付勢力でピッチ径増加方向に変速作動する可変ピッチプーリ26を圧風ファン23の駆動軸24に連結している。つまり、脱穀フィードチェン16側の可変ピッチプーリ27を増速側に強制的に変速作動させた場合に、エンジン側の可変ピッチプーリ26は、弾機30の付勢力を受けながら増速側に変速作動するため、弾機30の付勢力に抗しながら増速側に変速作動する場合に比して迅速に変速作動することになり、その結果、ベルト式無段変速装置25の増速側への応答性が向上するようになっている。
【0012】
32は前記可変ピッチプーリ27の内側方に設けられる変速スリーブであって、該変速スリーブ32は、スライド割プーリ27b(変速作動部)に対し、軸回り方向に回動自在で、かつ軸方向に一体移動すべく軸受33を介して連結されている。一方、34は前記駆動ケース22から外側方に突出する入力軸31の支持筒であって、該支持筒34の外周部には、所定ピッチの螺旋溝34aが形成されているが、該螺旋溝34aには、変速スリーブ32の内周部に保持されるボール35が嵌合しているため、変速スリーブ32が軸回り方向に正逆回転すると、螺旋溝34aの案内で変速スリーブ32およびスライド割プーリ27bが軸方向に一体的に進退移動し、このプーリ変位に基づいて可変ピッチプーリ27が強制的に変速作動せしめられるようになっている。
【0013】
36は前記変速スリーブ32の外周部にモータブラケット37を介して設けられる減速機構付きの電動モータ(アクチュエータ)であって、該電動モータ36の出力軸36aに設けられる小径ギヤ38は、変速スリーブ32の外周部に固設される大径ギヤ39に噛合しているため、モータ駆動に伴って変速スリーブ32を回動させ、延ては前述した様にスライド割プーリ27bを強制的に変速作動させることになるが、変速スリーブ32に軸回り方向回動自在に支持されるモータブラケット37には、ピン40が突設される一方、駆動ケース22に固設されるセンサブラケット41には、ピン40の軸回り方向の回動を規制し、かつ軸方向(スリーブ移動方向)の移動を許容する長孔形状のガイド孔41aが形成されており、その結果、駆動中の電動モータ36が軸回り方向に回動することなく、変速スリーブ32およびスライド割プーリ27bと一体的に軸方向に移動するようになっている。即ち、電動モータ36、変速スリーブ32等からなる変速作動装置29を可変ピッチプーリ27と一体的なアッセンブリに構成することができるため、変速作動装置29およびベルト式無段変速機構25の配設スペースを可及的に小さくすることができる許りでなく、組付作業も簡略化することができるようになっている。
【0014】
42は前記センサブラケット41に組付けられるフィードチェン変速センサ(ポテンショメータ)であって、該フィードチェン変速センサ42のセンサ軸42aには、前記ピン40に弾圧的に接当するセンサアーム42bが一体的に設けられている。つまり、ピン40の位置検出に基づいてスライド割プーリ27b(変速スリーブ32)の変速位置を検出するが、センサブラケット41およびピン40は、前述の様に電動モータ36の回動規制部材にも兼用されるため、部品点数の削減および構造の簡略化を図ることができるようになっている。
【0015】
ところで、前記ベルト式無段変速機構25は、脱穀フィードチェン16の下方で、かつ脱穀フィードチェン16よりも機体内側に配設されるが、さらに、前記駆動ケース22および変速作動装置29は、ベルト式無段変速機構25よりも機体内側に配設されているため、駆動ケース22もしくは変速作動装置29が機体外側方に突出して脱穀部3の幅寸法を増大させる不都合を回避することができるようになっている。
【0016】
また、前記駆動ケース22および変速作動装置29は、脱穀部3の前端部に設けられる圧風ファン23の前側スペース(前処理部2と脱穀部3との間のスペース)を利用して配設されている。そのため、脱穀部3の内部にスペースを確保する場合に比して脱穀部3の大型化を回避することができる許りでなく、脱穀部3の構造を大幅に変更することなく実施することができるようになっている。
【0017】
またさらに、前記駆動ケース22および変速作動装置29は、側面視で脱穀フィードチェン16の茎稈搬送経路よりも下側に配置されており、そのため、脱穀フィードチェン16の搬送茎稈が駆動ケース22や変速作動装置29に干渉して搬送乱れを生じる不都合を回避することができるようになっている。
【0018】
一方、43はマイクロコンピュータ(MPU、ROM、RAM等を含む)を用いて構成されるフィードチェン変速制御装置であって、該フィードチェン変速制御装置43の入力側には、前述したフィードチェン変速センサ42、主変速レバー(走行変速レバー)44のレバー位置を検出する主変速レバー位置センサ45、車速を検出する車速センサ46、エンジン回転を検出するエンジン回転センサ47、作業機クラッチ(図示せず)の入切りを検出する作業機クラッチスイッチ48、作業機回転(脱穀動力回転)を検出する作業機回転センサ49等が入力インタフェース回路を介して接続される一方、出力側には、前述した電動モータ36が出力インタフェース回路を介して接続されている。即ち、前記フィードチェン変速制御装置43は、車速および脱穀負荷に応じて脱穀フィードチェン16の搬送速度を変速制御する「フィードチェン変速制御」の制御プログラムを備えており、以下、「フィードチェン変速制御」の制御手順をフローチャートに基づいて説明する。但し、フローチャートにおいて、Vは車速、V1、V2は車速設定値(V1<V2)、VH1、VH2はフィードチェン速度設定値、FDCTGTはフィードチェン速度目標値、FHSNSはフィードチェン速度現在値、SGRPMは作業機回転数、PRESGRは前回の作業機回転数、αは不感帯である。
【0019】
前記「フィードチェン変速制御」においては、まず、エンジンが回転中で、かつ作業機クラッチが入り状態であるか否かを判断(処理A)する。つまり、脱穀作業中であるか否かを判断し、該判断がNOである場合には、電動モータ36の駆動を停止するが、本実施形態のコンバイン1は作業機回転センサ49を備えるため、上記の処理Aを、作業機回転を判断する処理Bに置き換えても同様の結果を得ることができる。また、処理Aもしくは処理BをフローチャートのC位置で実行するようにしてもよく、この場合には、上記判断がNOであっても、電動モータ36の増速側への駆動を許容することが可能になる。
【0020】
前記処理Aの判断結果がYESである場合には、主変速レバー位置およびエンジン回転数に基づいて車速Vを演算(処理D)した後、後述する「フィードチェン速度目標値演算」(サブルーチン)を実行するが、本実施形態のコンバイン1は車速センサ46を備えるため、上記の処理Dを省略してもよい。
【0021】
そして、フィードチェン速度目標値を演算した後は、フィードチェン速度目標値FDCTGTに対するフィードチェン速度現在値FHSNSの偏差(絶対値)を不感帯αと比較し、偏差が不感帯αに含まれる場合には、モータ駆動を停止する一方、偏差が不感帯αを越える場合には、フィードチェン速度現在値FHSNSをフィードチェン速度目標値FDCTGTに近付ける方向に電動モータ36を駆動させるが、モータ駆動時には、リミット判断に基づいてモータ駆動を停止させる許りでなく、駆動方向毎に設定されるタイマ(増速側タイマもしくは減速側モータ)を起動し、該タイマが終了するまで逆方向へのモータ駆動を規制するようになっている。
【0022】
さて、前記「フィードチェン速度目標値演算」では、まず、現在の車速Vが車速第一設定値V1(低速走行判断基準値)よりも小さいか否かを判断し、該判断がYESの場合には、フィードチェン速度第一設定値VH1(設定下限速度)をフィードチェン速度目標値FDCTGTにセットするようになっている。即ち、脱穀フィードチェン速度を前処理搬送速度と同様に車速に連動させるにあたり、車速変動が生じ易い低速走行領域では、脱穀フィードチェン速度を一定速度に保つため、低速刈取り時の車速変動に基づいて搬送乱れが生じる不都合を防止することができ、しかも、フィードチェン速度第一設定値VH1は、低速刈取り時の前処理搬送速度よりも速い(茎稈の引継ぎが大きく乱れない範囲)ため、濡れ材、倒伏材等を刈取る低速刈取り時において脱穀茎稈の層厚を薄くし、脱穀負荷を軽減することができるようになっている。
【0023】
一方、現在の車速Vが車速第一設定値V1以上である場合には、現在の車速Vが車速第二設定値V2(中速走行判断基準値)よりも小さいか否かを判断し、該判断がYESの場合には、車速Vに連動するフィードチェン速度目標値FDCTGTを下記の演算式を用いて演算するようになっている。
FDCTGT ← K1・V+K2
但し、K1=(VH2−VH1)/(V2−V1)
K2=VH1−V1・(VH2−VH1)/(V2−V1)
即ち、中速刈取り時には、脱穀フィードチェン速度を車速に連動させるため、引継ぎ部で搬送乱れが生じる不都合を防止できる許りでなく、脱穀茎稈の層厚を車速に拘わらず略一定に保つことができ、しかも、上記の演算式で演算されるフィードチェン速度は、前処理搬送速度よりも速い(茎稈の引継ぎが大きく乱れない範囲)ため、多収穫材料等を刈取る中速刈取り時において脱穀茎稈の層厚を薄くし、脱穀負荷を軽減することができるようになっている。
【0024】
また、現在の車速Vが車速第二設定値V2以上である場合には、フィードチェン速度第二設定値VH2(仮の設定上限速度)をフィードチェン速度目標値FDCTGTにセットするようになっている。即ち、脱穀フィードチェン速度を前処理搬送速度と同様に車速に連動させるにあたり、脱穀フィードチェン速度を、中速走行領域と高速走行領域との間で設定上限速度まで上昇させ、高速走行領域では設定上限速度に維持するため、多収穫材料を刈取る中速刈取り時の脱穀フィードチェン速度を、茎稈の引継ぎが大きく乱れない範囲で可及的に速くして脱穀負荷を軽減することができ、しかも、設定上限速度(後述する負荷連動領域を含む)は、高速刈取り時の前処理搬送速度と略同速に設定されるため、高速刈取り時には、引継ぎ部の搬送乱れを防止しつつ高能率作業を行うことができるようになっている。
【0025】
また、フィードチェン速度目標値FDCTGTにフィードチェン速度第二設定値VH2をセットした場合には、現在の作業機回転数SGRPMに基づいて脱穀部3の負荷を判断するようになっている。つまり、現在の作業機回転数SGRPMが作業機回転下限設定値Sminよりも少ない場合には脱穀部3が高負荷状態であると判断する一方、現在の作業機回転数SGRPMが作業機回転中間設定値Shよりも多い場合には脱穀部3が低負荷状態であると判断し、また、現在の作業機回転数SGRPMが作業機回転下限設定値Smin以上で、かつ作業機回転中間設定値Sh以下である場合には脱穀部3が適正負荷状態であると判断するようになっている。
【0026】
そして、前回が適正負荷状態(前回の作業機回転数PRESGRに基づいて判断)であり、かつ現在が高負荷状態である場合には、増速用カウンタCをインクリメント(C←C+1)する一方、前回が適正負荷状態で、かつ現在が低負荷状態である場合には、増速用カウンタCをデクリメント(C←C−1)し、しかる後、下記の演算式を用いて最終的なフィードチェン速度目標値FDCTGTを演算するようになっている。
FDCTGT ← C・(VHmax−VH2)/n+FDCTGT
即ち、脱穀フィードチェン速度を車速に連動させるものでありながら、脱穀負荷が増大しやすい高速刈取り時には、脱穀フィードチェン速度を脱穀負荷に応じて段階的(n段階)に増減速(茎稈の引継ぎが大きく乱れない範囲)するため、脱穀負荷を適正状態に維持することができるようになっている。
【0027】
また、脱穀フィードチェン速度を脱穀負荷に応じて増速する場合には、Lフラグ(低回転フラグ)をセットした後、Hフラグ(高回転フラグ)のセット状態を判断し、該判断がセットの場合にのみ増速用カウンタCをインクリメントする一方、脱穀フィードチェン速度を脱穀負荷に応じて減速する場合には、Hフラグをセットした後、Lフラグのセット状態を判断し、該判断がセットの場合にのみ増速用カウンタCをデクリメントするようになっている。つまり、脱穀フィードチェン速度の急激な増減速を規制しているため、フィードチェン変速制御の安定性を向上させることができるようになっている。また、脱穀フィードチェン速度の急激な増減速を規制する方法としては、「フィードチェン速度目標値演算(2)」に示す如く、負荷状態に応じてHタイマ(T2)もしくはLタイマ(T1)の計時をスタートし、該タイマ時間が経過するまで増速用カウンタCのデクリメントもしくはインクリメントを遅延するようにしてもよい。
【0028】
叙述の如く構成されたものにおいて、脱穀フィードチェン16の動力供給経路に、脱穀フィードチェン16の搬送速度を変速するベルト式無段変速装置25を介設すると共に、該ベルト式無段変速装置25を変速作動装置29の駆動に基づいて変速作動させるにあたり、前記変速作動装置29を、ベルト式無段変速装置25の機体内側に配置したため、変速作動装置29が機体外側に突出して脱穀部3の幅寸法を増大させる不都合がなく、その結果、ベルト式無段変速装置25の近傍に変速作動装置29を配設するにあたり、機体の大型化を回避することができる。
【0029】
また、変速作動装置29は、脱穀部3の前端部に設けられる圧風ファン23の前側スペースに配置されているため、圧風ファン23の前側スペースを有効利用できる許りでなく、脱穀部3の内部に変速作動装置29の配置スペースを確保する必要がなく、その結果、脱穀部3の内部構造を変更することなく実施できる利点がある。
【0030】
また、変速作動装置29は、脱穀フィードチェン16よりも下側に配置されているため、脱穀フィードチェン16の搬送茎稈が変速作動装置29に干渉して搬送乱れを生じる不都合を回避することができる。
【0031】
また、ベルト式無段変速装置25の脱穀フィードチェン16側の可変ピッチプーリ27を、電動モータ36の駆動力で強制的に変速作動させる一方、エンジン側の可変ピッチプーリ26を、ピッチ径増加方向に作用する弾機30の付勢力で変速作動させるため、脱穀フィードチェン16側の可変ピッチプーリ27を増速側に強制的に変速作動させた場合に、エンジン側の可変ピッチプーリ26が弾機30の付勢力を受けながら増速側に変速作動することになる。つまり、弾機30の付勢力に抗しながら増速側に変速作動する場合に比して迅速に変速作動することになり、その結果、ベルト式無段変速装置25の増速側への応答性を向上させて脱穀負荷を軽減することができる。
【0032】
また、可変ピッチプーリ27のスライド割プーリ27bを強制的に移動させる電動モータ36は、該電動モータ36の駆動に伴ってスライド割プーリ27bと一体的に移動するため、電動モータ36(変速作動機構29)を可変ピッチプーリ27と一体的なアッセンブリに構成することができ、その結果、電動モータ36を含むベルト式無段変速装置25の配設スペースを可及的に小さくすることができる。
【0033】
また、脱穀フィードチェン速度を車速に連動させるにあたり、低速刈取り時および中速刈取り時の脱穀フィードチェン速度を前処理搬送速度よりも速く設定したため、脱穀フィードチェン速度を車速に連動させて引継ぎ部の搬送乱れを防止するものでありながら、多収穫材料を刈取る中速刈取り時や、濡れ材、倒伏材等を刈取る低速刈取り時には、茎稈の引継ぎが大きく乱れない範囲で脱穀フィードチェン速度を速くすることができ、その結果、多収穫材料、濡れ材、倒伏材等の層厚を薄くして脱穀負荷を軽減することができる。
【0034】
しかも、脱穀フィードチェン速度は、中速走行領域と高速走行領域との間で設定上限速度まで上昇し、高速走行領域では設定上限速度を維持するため、多収穫材料を刈取る中速刈取り時の脱穀フィードチェン速度を、茎稈の引継ぎが大きく乱れない範囲でさらに速くすることができ、その結果、多収穫材料の層厚をさらに薄くして脱穀負荷の軽減を図ることができる。
【0035】
また、車速変動が生じ易い低速刈取り時には、脱穀フィードチェン速度を設定下限速度に維持するため、車速変動に伴う搬送乱れを防止することができる。
【0036】
一方、通常材料を刈取る高速刈取り時には、脱穀フィードチェン速度を前処理搬送速度と略同速にしているため、引継ぎ部の搬送乱れを防止しつつ高能率作業を行うことができる。
【0037】
さらに、高速刈取り時には、脱穀フィードチェン速度を脱穀負荷に連動(茎稈の引継ぎが大きく乱れない範囲)させるため、脱穀フィードチェン速度を車速に連動させるものでありながら、脱穀部3の過負荷も防止することができる。
【0038】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されないものであることは勿論であって、例えば脱穀フィードチェン16の変速パターンは、前記実施形態の変速パターンAに限定されないことは言うまでもなく、図面に示す変速パターンB〜Dを採用してもよい。そして、変速パターンBでは、脱穀フィードチェン速度を、車速変動領域の略全域で車速および脱穀負荷に連動させるため、車速変動領域の略全域で引継ぎ部の搬送乱れおよび脱穀部3の過負荷を防止することができる。
【0039】
また、変速パターンCは、低速走行領域および中速走行領域の脱穀フィードチェン速度を、車速および脱穀負荷に連動させる一方、高速走行時の脱穀フィードチェン速度を脱穀負荷のみに連動させるものである。
【0040】
また、変速パターンDは、中速走行領域の脱穀フィードチェン速度を車速および脱穀負荷に連動させる一方、高速走行時の脱穀フィードチェン速度を脱穀負荷のみに連動させるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの斜視図である。
【図2】前処理部の概略側面図である。
【図3】脱穀部の側面図である。
【図4】同上断面図である。
【図5】脱穀部の動力伝動図である。
【図6】圧風ファンの正面図である。
【図7】ベルト式無段変速装置の正面図である。
【図8】エンジン側可変ピッチプーリの断面図である。
【図9】フィードチェン側可変ピッチプーリおよび駆動ケースの断面図である。
【図10】センサブラケットの平面図である。
【図11】主変速レバーの側面図である。
【図12】同上後面図である。
【図13】フィードチェン変速制御装置の入出力を示すブロック図である。
【図14】フィードチェン変速制御のフローチャートである。
【図15】フィードチェン速度目標値演算のフローチャートである。
【図16】フィードチェン速度目標値演算(2)のフローチャートである。
【図17】作業機回転設定領域の説明図である。
【図18】変速パターンAを示すグラフである。
【図19】変速パターンBを示すグラフである。
【図20】変速パターンCを示すグラフである。
【図21】変速パターンDを示すグラフである。
【図22】従来の脱穀フィードチェン速度を示すグラフである。
【符号の説明】
1 コンバイン
2 前処理部
3 脱穀部
11 第二前処理搬送装置
16 脱穀フィードチェン
23 圧風ファン
25 ベルト式無段変速装置
26 可変ピッチプーリ(動力源側)
27 可変ピッチプーリ(フィードチェン側)
29 変速作動装置
30 弾機
36 電動モータ
43 フィードチェン変速制御部
Claims (2)
- 扱室を備える脱穀部に、前処理部から引き継いだ茎稈を扱室に沿って搬送する脱穀搬送装置を設けたコンバインにおいて、前記脱穀搬送装置の動力供給経路に、脱穀搬送装置の搬送速度を変速する脱穀搬送変速装置を介設するにあたり、該脱穀搬送変速装置による変速領域には、車速に基づいて設定される脱穀搬送速度に、脱穀部の負荷に対応して増減速される脱穀負荷対応速度を加算して脱穀搬送速度の目標値を設定し、脱穀搬送速度が該目標値になるよう変速作動させる領域があることを特徴とするコンバイン。
- 請求項1において、脱穀搬送速度に脱穀負荷対応速度を加算した目標値で変速作動させる領域を高速走行領域にしたことを特徴とするコンバイン。
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JP07655598A JP4011188B2 (ja) | 1998-03-10 | 1998-03-10 | コンバイン |
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Family
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Family Applications (1)
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-
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