本発明の一実施例をコンバインの図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は機体フレーム1の下方に設けた走行装置、3は機体フレーム1の上方に設けた脱穀装置、4は脱穀装置3の前側に設けた刈取装置、5は脱穀装置3の側部に設けたグレンタンク、6はグレンタンク5の前側に設けた操縦部である。
前記刈取装置4は、最先端位置に立毛する穀稈を左右に分草する分草装置8を左右に並設し、各分草装置8の後側に分草装置8が分草した穀稈を引起す引起装置9を設け、引起装置9の後側には刈刃10を設け、刈刃10の上方の後側には刈刃10によって刈り取った刈取後の穀稈を後方の脱穀装置3にまで搬送する刈取穀稈搬送装置11を設ける。
刈取穀稈搬送装置11により終端部にまで搬送されてきた穀稈は、前記脱穀装置3のフィードチェン13に適正姿勢で受け継ぎされて、搬送される。フィードチェン13は、扱胴14を内装軸架せる扱室一側の扱ぎ口に沿って張設されている。脱穀処理後の排藁は排藁チェン15によって搬出処理されるようになっている。
エンジン16からの回転動力は、HST(油圧式無段変速装置・図示省略)を経由して走行ミッション装置(図示省略)に伝達され、走行装置2を駆動する。
刈取装置4には,刈取クラッチ(図示省略)を介して刈取装置4への刈取入力軸(図示省略)に伝達されると共に、脱穀装置3には脱穀クラッチ23を介して動力が伝達されるようになっている。
この脱穀クラッチ23は、刈脱クラッチレバーによって入り切り操作される。脱穀クラッチ23の入りの状態では前記扱胴14、フィードチェン13、唐箕25や排塵ファン26等の選別装置が駆動される。
しかして、フィードチェン13には、エンジン16から排塵ファン26に入力した以降の伝動経路にフィードチェン13の駆動速度を複数段階または無段階に変速可能な変速装置28と、フィードチェン13への動力伝達を遮断可能なチェンクラッチ30を備える。
図6〜図11は、変速装置28の有段式変速装置31の構成を示し、高・低速度に変速された回転動力を駆動スプロケット32を介して伝達する構成としている。32Aは入力プーリーである。
フィードチェン13を変速する有段式変速装置31は、変速ギヤケース33に内装する。変速ギヤケース33は、入力軸34、前記排塵ファン26への駆動軸35、カウンタ軸36、フィードチェン13の駆動軸37の合計4本の軸を軸架して構成している。
有段式変速装置31は、前記カウンタ軸36上において、一側に高速ギヤ38を、他側に低速ギヤ39を設けると共に、それぞれの内側には前記チェンクラッチ30を構成するクラッチ爪40を設けて遊嵌状態に軸装する。
一方、フィードチェン13の駆動軸37には、前記高速ギヤ38に噛合する小径ギヤ41と、前記低速ギヤ39に噛合する大径ギヤ42とをそれぞれ軸着して変速可能に構成する。高低速ギヤ38,39の内側に設けられたクラッチ爪40は、カウンタ軸36上において、左右摺動自在で左右両側に係合爪が設けられたシフター43、これに連結されたシフターアーム44、シフター軸45によって操作されながら、高速ギヤ38と低速ギヤ39とのいずれか一方側に選択的に係合するか、或いは中間のニュートラル位置で停止するかを選択できるように構成している。
このように、フィードチェン13の有段式変速装置31は、カウンタ軸36上において、シフター軸45の回転操作により、シフターアーム44、シフター43がシフター軸45中心に左右回動してクラッチ爪40を左右移動させて切り替えて、高速又は低速の有段での変速切り替えと、高低速ギヤ38,の中間で何れにも噛み合わないニュートラル位置での停止状態(チェンクラッチ30の切り状態)とに選択することができる。
次に変速操作機構について説明すると、該変速操作機構は、高低変速用モータ50と、ニュートラル用モータ51との2つの操作用の制御モータで自動変速制御を行う構成としている。
高低変速用モータ50は、適宜の減速機構を介して半円弧軌跡を描いて往復回動する駆動アーム52を、ピン53と長穴54を介して作動ロッド55に連動可能に連結した構成としている。
前記作動ロッド55は、駆動アーム52が支軸56側を回動支点として回動し、この回動作用に伴い、変速トルク・スプリング57、支軸56と一体回動する作動アーム58、長さ方向の伸縮調整が可能なロッド59を介して前記シフター軸45に操作力を伝達するようになっており、このシフター軸45の回転によってシフターアーム44を回動させ、高速側と低速側とに切り替え変更することができる。
次に、ニュートラル用モータ51は、減速機構を介して半円弧軌跡を描いて往復回動する駆動アーム60を、ピン61と長穴62を介して中立復帰プレート63に接続している。中立復帰プレート63は、変速ギヤケース33側に設けた支軸64を回動支点として上下に進退回動する構成であり、そして、このプレート中立復帰プレート63には、前記シフター軸45と一体回動する中立作動アーム65を中立位置に規制案内すべく係合可能なV字状の係合カム66を形成したカムプレート67が設けられている。
中立復帰プレート63が下方へ進出回動すると、カムプレート67の係合カム66が中立作動アーム65に上方から係合して中立作動アーム65を中立位置に規制案内することができる。これにより、シフター軸45は中立位置で確実に係合保持されて停止することになる。中立復帰プレート63が後退移動すると、中立作動アーム65に対する中立位置での係合保持が解除される。
しかして、ニュートラル位置への操作信号が出力されてニュートラル用モータ51が始動すると、中立復帰プレート63は、回動する駆動アーム60を介して上下方向に進退移動する。そして、中立復帰プレート63の下方への進出移動に伴い係合カム66が中立作動アーム65に係合し、係合カム66によって中立作動アーム65を中立位置まで規制案内しながら中立位置にて停止保持することになる。この中立位置での停止保持は、中立復帰プレート63の後退移動によって解除されることになる。
しかして、エンジン16の回転速度を設定回転速度まで自動的に減速させる手扱ぎモードを実行する制御手段70と、この手扱ぎモードを有効状態と無効状態とに切り換えるモード切換手段(例えば、手扱ぎモードスイッチ)71を備える。
制御手段70は、例えば、図12のように、メインスイッチ70Aと、脱穀クラッチセンサ70Bと、脱穀レバーセンサ70Cと、エンジン停止手段70Dと、エンジン始動牽制手段70Eをコントローラー70Fに接続して構成している。
後述する図13において、70Gは制御手段70のエンジン自動制御スイッチ、70Hは同主変速レバーセンサ、70Jは同車速センサ、70Kは同駐車ブレーキセンサ、70Lは同手扱ぎモードランプ、70Mは同唐箕用モータ、70Nは同シーブモータ、70Pは同刈取クラッチモータである。
また、後述する図15において、70Rは穀稈センサである。
前記制御手段70は、手扱ぎ作業を可能とする条件のうちの少なくとも一つの条件が成立した場合に、モード切換手段71の手扱ぎモードを自動的に有効状態に切り換える。
そして、所定位置に設けた緊急停止スイッチ72がONした場合に、前記チェンクラッチ30を遮断すると共にエンジン16を自動的に停止させる(図12)。
そのため、手扱ぎモード時には、フィードチェン13の搬送速度が遅くなることで、緊急停止スイッチ72が作動したとき、フィードチェン13の駆動停止機能と相俟って、安全にフィードチェン13を停止させられる。
なお、手扱ぎモードスイッチ73をオンにして手扱ぎモードとすると、自動的にフィードチェン13を低速駆動に切り替え、エンジン16の回転数を設定回転速度に低下させる。
この場合、前記設定回転速度は、エンジン16の定格回転速度(通常2400rpm〜2800rpm)よりも低速で、アイドリング回転速度よりも高速に設定する。
そのため、手扱ぎモードが有効状態となると、エンジン回転速度が、定格回転速度よりも低速でアイドリング回転速度よりも高速に設定された回転速度(通常1500rpm〜2000rpm)まで自動的に減速する。
したがって、フィードチェン13を素早く停止させることができるものでありながら、手扱ぎ穀稈に十分な脱粒作用を与えることができる。
前記操縦部6には、駐車ブレーキ(図示省略)を作動させる駐車ブレーキペダルを備え、前記駐車ブレーキの作動または駐車ブレーキペダルの踏み込み操作を検出する駐車ブレーキ検出手段75がこれを検出した場合に、前記手扱ぎモードを有効状態へ自動的に切り換える構成とする(図13)。
そのため、機体を停止させるべく駐車ブレーキが作動した場合または駐車ブレーキペダルが踏み込み操作されると、エンジン回転速度を減速し、これによりフィードチェン13の駆動速度が自動的に低速になって、手扱ぎ作業を開始状態となり、手扱ぎ作業を開始する。
前記手扱ぎモードが有効状態に切り換えられ、前記駐車ブレーキの解除または駐車ブレーキペダルの踏み込み操作の解除が駐車ブレーキ検出手段75により検出されたときには、手扱ぎモードを有効状態から無効状態へ自動的に切り換える構成とする。
そのため、手扱ぎ作業の終了時に駐車ブレーキの解除、または駐車ブレーキペダルの踏み込み操作を解除すると、フィードチェン13の駆動速度を高速化させる。
しかして、前記フィードチェン13の始端部には、フィードチェン13への手扱ぎ穀稈の供給を規制する規制部材77を備える(図14)。
規制部材77は棒状部材により形成し、フィードチェン13の上方に位置して穀稈を上下から挟持案内する挟持体として作用すると共に、フィードチェン13上に手刈り穀稈を載置供給できなくさせる規制体として兼用構成としている。
規制部材77は、取付部材78を脱穀装置3側に取付軸79中心に上下回動自在に取付け、フィードチェン13の上方の規制位置と上方から退避した手刈り位置との間移動するように構成する。
この規制部材77の規制位置と手刈り位置を検出する検出手段(例えば、後述する回転数減速スイッチ91)を設け、検出手段が規制部材77による手扱ぎ穀稈の供給規制を解除した場合に、手扱ぎモードを有効状態に自動的に切り換える構成とする。
そのため、フィードチェン13へ手扱ぎ穀稈を供給するために規制部材77による供給規制を解除すると、自動的にフィードチェン13の駆動速度を低速化させ、この状態で手扱ぎ穀稈をフィードチェン13へ供給する。
また、緊急停止スイッチ72がONによりチェンクラッチ30が遮断された状態において、脱穀クラッチ23を遮断操作した後に再び接続操作すると、チェンクラッチ30が自動的に接続される構成とする。
そのため、緊急停止スイッチ72の操作によってエンジン16およびフィードチェン13を停止させ、その後、脱穀クラッチ23を遮断操作してフィードチェン13に詰まった穀稈や異物を取り除く。
次に、脱穀クラッチ23を再び接続操作すると、フィードチェン13は自動的に駆動可能状態に復帰し、手扱ぎ作業の再開、或いは、刈取作業へ移行する。
前記変速装置28(有段式変速装置31)は、手扱ぎモードスイッチ73を入れると、自動的にクラッチ爪40を低速ギヤ39に噛み合わせて、フィードチェン13を低速駆動に切り替え、緊急停止スイッチ72が作動すると、エンジン16の停止と同時にクラッチ爪40をニュートラル位置へ切り替えて、チェンクラッチ30を遮断し、フィードチェン13への駆動を切る構成とする。
そのため、手扱ぎモード時には、フィードチェン13の搬送速度が遅くなることで、緊急停止スイッチ72が作動したとき、フィードチェン13の駆動停止機能と相俟って、安全にフィードチェン13を停止させられる。
なお、手扱ぎモードスイッチ73をオンにして手扱ぎモードとすると、自動的にフィードチェン13を低速駆動に切り替え、エンジン16の回転数を所定回転数に低下させる。
また、前記有段式変速装置31は、手扱ぎモードスイッチ73を入れると、自動的にクラッチ爪40を低速ギヤ39に噛み合わせて、フィードチェン13を低速駆動に切り替えると共に、エンジン16の回転数を一定回転まで低下させ、緊急停止スイッチ72が作動すると、エンジン16の停止と同時にクラッチ爪40をニュートラル位置へ切り替えてフィードチェン13への駆動を切る構成とする。
そのため、手扱ぎモード時には、フィードチェン13の搬送速度が遅くなることで、緊急停止スイッチ72が作動したとき、フィードチェン13の駆動停止機能と相俟って、迅速にフィードチェン13を停止させられる。
即ち、手扱ぎモードで、フィードチェン13の駆動速度が自動的に低速になっているため、通常速度でフィードチェン13を駆動しているときよりも、フィードチェン13をより素早く停止させられる。
この場合、手扱ぎモードスイッチ73をオンにして手扱ぎモードにしていても、車速が一定以上になると、手扱ぎモードを解除し、クラッチ爪40を高速ギヤ38に噛み合わせて、フィードチェン13を高速駆動(通常作業速度)に切り替える。
そのため、操縦者が誤って手扱ぎモードスイッチ73をオンにして手扱ぎモードにしていても、走行速度を増速操作して車速が一定以上になると、手扱ぎモードを解除し、クラッチ爪40を高速ギヤ38に噛み合わせて、フィードチェン13を高速駆動に切り替えて、通常作業を行うことになる。
したがって、手扱ぎモードスイッチ73の誤操作に伴う性能低下を防止する。
前記手扱ぎモードスイッチ73は操縦部6に設け、前記緊急停止スイッチ72は脱穀装置3の外側面に設け、手扱ぎモードスイッチ73の操作による手扱ぎモードは車速が一定以下の場合のみに機能し、それ以外の場合は手扱ぎモードをキャンセルように構成する。
そのため、操縦者が誤って手扱ぎモードスイッチ73をオンにして手扱ぎモードにしていても、手扱ぎモードは車速が一定以下の場合のみに機能し、それ以外の場合は手扱ぎモードをキャンセルして、通常作業を行うことになるので、手扱ぎモードスイッチ73の誤操作に伴う性能低下を防止する。
車速が一定以上で、手扱ぎモードスイッチ73が操作されると、操縦部6内にホーンを鳴動させる等の警告し、操縦部6のモニタに「車速が○○以下でスイッチを操作してください」と表示する。
そのため、安全性の確保と、誤操作の明確化と、操作に対する作動しない理由の認識とを図れる。
また、HSTレバー(図示省略)を操作し、一定以上前進側になると、手扱ぎモードを自動的に解除し、通常に戻すように構成する。
そのため、操縦者が誤って手扱ぎモードスイッチ73をオンにして手扱ぎモードにしていても、走行速度が一定以上前進側になると、手扱ぎモードを解除するので、通常作業を行うことになって、手扱ぎモードスイッチ73の誤操作に伴う性能低下を防止する。
また、車速を感知し、一定以上になると、手扱ぎモードを自動的に解除し、通常に戻すように構成する。
そのため、誤操作に伴う性能低下を防止する。
また、手扱ぎモード時でも、一定速以上になると、手扱ぎモードのオン状態を保持したままで通常モードでの作業に変更し、再び、一定速以下になると、手扱ぎモードになるように制御する。
そのため、手扱ぎモードスイッチ73をオンにして手扱ぎモードにしていて、作業者が手扱ぎモードにしていたことを忘れて、走行速度の増速操作を行ったときは通常モードで作業し、車速が一定以下になると、手扱ぎモードに自動的に復帰させる。
したがって、誤操作に伴う性能低下を防止すると共に、手扱ぎモードと通常モードとを作業者の操作意思を反映させて自動的に切り替えるので、操作性を低下させない。
この場合、手扱ぎモード時で一定速以上になって手扱ぎモードのオン状態を保持したままで通常モードでの作業に変更して、再び、一定速以下に戻って手扱ぎモードに戻すとき、一定速以下が所定時間経過後に戻すように制御する。
そのため、手扱ぎモードと通常モードとを自動的に切り替えるが、所定時間経過後に戻すので、通常刈取の後進時などに手扱ぎモードに戻るのを防止し、一層、操作および制御の安全性を確保する。
また、手扱ぎモードは、HSTレバー(図示省略)位置が中立位置から一定範囲内の場合のみ機能し、そうでない場合はキャンセルするように制御する。
そのため、安全性の確保と、誤操作による不具合防止とを図れる。
HSTレバー位置が一定以上で、手扱ぎモードスイッチ73が操作されると、操縦部6内にホーンを鳴動させる等の警告し、操縦部6のモニタに「微速に戻してからスイッチを操作してください」と表示する。
そのため、安全性の確保と、誤操作の明確化と、操作に対する作動しない理由の認識とを図れる。
HSTレバー位置が一定以上で、手扱ぎモードスイッチ73が操作されると、操縦部6内にホーンを鳴動させる等の警告し、操縦部6のモニタに「停車してからスイッチを操作してください」と表示する。
そのため、安全性の確保と、誤操作の明確化と、操作に対する作動しない理由の認識とを図れる。
手扱ぎモードは、HSTレバーが中立位置の場合のみ機能させ、そうでない場合はキャンセルするように制御する。
そのため、安全性の確保と、誤操作による不具合の防止が図れる。
HSTレバーが中立位置以外で、手扱ぎモードスイッチ73が操作されると、操縦部6内にホーンを鳴動させる等の警告し、操縦部6のモニタに「停車してからスイッチを操作してください」と表示する。
そのため、安全性の確保と、誤操作の明確化と、操作に対する作動しない理由の認識とを図れる。
また、手扱ぎモード時には脱穀装置3のシーブ74(図2,図3)を1〜2段閉じるように制御する。
そのため、選別性能を維持する。
また、手扱ぎモード時には脱穀装置3の唐箕25(図2,図3)の風量を1〜2段上げるように制御する。
そのため、選別性能を維持する。
しかして、フィードチェン13の変速装置28を設けた変速ギヤケース33を、背面視において、脱穀装置3の脱穀室81の上部と重なる構成とする。
そのため、フィードチェン13のフィードチェン13の変速装置28を変速ギヤケース33内に設けることで、変速ギヤケース33の幅が広くなるが、変速ギヤケース33を背面視において脱穀装置3の脱穀室81の上部に重なるように構成することで、フィードチェン13を外側に移動させないですみ、機体幅を広げることなく、フィードチェン13の変速装置28を設けることができる。
この場合、変速ギヤケース33の、脱穀装置3の脱穀室81に対して重なる量は、受網82の左側端部よりフィードチェン13側とする(図16)。
そのため、藁屑が多く落下する部分に、排塵ファン26を設けることができる。
また、変速ギヤケース33の、脱穀装置3の脱穀室81に対して入れ込む量は、図示は省略するが、排藁チェン15の始端部軌跡よりもフィードチェン13側とすると、機体幅を広げることなく構成でき、取扱性能が低下することがない。
フィードチェン13の変速および駆動の入切させる変速用モータ50を、変速ギヤケース33を上下に挟むように設けると共に(図7)、変速ギヤケース33の外側面より外側に突出しないように構成する。
そのため、変速および駆動の入切させる変速用モータ50を設けるに際し、変速ギヤケース33の上下方向に存在する空間を有効利用して、機体幅を広げることなく、変速用モータ50を設けることができる。
また、フィードチェン13の駆動伝達および変速を行う前記変速装置28は、排塵ファン26に回転伝達する変速ギヤケース33の入力軸34に設けた高速プーリー(図示省略)と低速プーリー(図示省略)の何れかに入力する動力を切り替えて伝達する構成にしてもよく、このプーリーにより構成した変速装置28によっても、上述の制御を行うことは勿論可能である。
また、図18は、フィードチェン13の駆動伝達および変速を行う前記変速装置28を、フィードチェン用無段変速装置80により構成し、フィードチェン13の回転を無段階に変速し、あるいは、駆動伝達を遮断して、フィードチェン13の駆動を停止させるという、上述の制御を行う。
また、図17は、脱穀装置3の背面図を示し、排塵ファン26に回転伝達する前記変速ギヤケース33を介してフィードチェン13を駆動する構成とし、排塵ファン26を揺動棚86に対して機体の左右方向で中央付近に配置する。
そのため、揺動棚86上の藁屑・排塵物の吸引を偏りなく行える。
前記変速ギヤケース33の右上方に、チェンクラッチ30を入切するモータ51を配置し、変速ギヤケース33の左下方に、フィードチェン13を変速する変速用モータ50を設ける。
そのため、二つのモータをコンパクトに配置できる。
排塵ファン26を扱胴14の中心に対して振り分けるように構成する(図17)。
そのため、扱胴14から排出される藁屑を、左右均一に吸引排出させられる。
前記変速ギヤケース33の取付フレーム88の上部前側を切り上げ、切上げ面88Aを形成する(図7)。
そのため、排藁搬送時の排藁が取付フレーム88に引っ掛かるのを抑制する。
前記エンジン16は、エンジン自動制御スイッチ70Gを搭載し、前記規制部材77の回動軌跡中に回転数減速スイッチ91を設け、回転数減速スイッチ91が規制部材77の開状態を検出すると、エンジン16の回転数を減速させ、規制部材77を閉状態にすると、エンジン16の回転数を元の回転数に復帰させる(図15)。
手扱ぎモードのとき、規制部材77を開状態にして回転数減速スイッチ91がこれを検出してエンジン16の回転数を自動的に減速させるので、緊急停止スイッチ72を作動させたとき、エンジン16の回転数が減速させられているので、停止に要する時間を短縮させられる。
また、操縦部6の操縦者でなくても、手扱ぎ作業者が規制部材77を規制部材77の開状態にすると、回転数減速スイッチ91によりエンジン16の回転数を減速させるので、作業性を向上させられる。
この場合、規制部材77を開状態にしてエンジン16の回転数を減速させたとき、規制部材77を閉状態にしてエンジン16の回転数を元の回転数に復帰させるには、手動によるアクセルレバーの操作を必要とした構成にする。
そのため、エンジン16の回転数を元の回転数に復帰させる操作を、アクセルレバーの手動操作としているので、復帰操作の作業者への意識付けを高め、安全性を向上させられる。
脱穀装置3の前方に前記規制部材77を設け、該規制部材77を手扱ぎレバー93と兼用し、手扱ぎレバー93の操作である規制部材77を開操作しないと、手扱ぎ作業を行えないように構成する。
そのため、手扱ぎ作業時の安全性を確保できる。
なお、手扱ぎレバー93(規制部材77)の操作か前記手扱ぎモードスイッチ73の操作の何れかによって、手扱ぎモードとするように、構成すると、手扱ぎモードスイッチ73から離れていても、手扱ぎモードに切り替えることができ、操作性および作業性を向上させられる。
(実施例の作用)
走行装置2により機体を前進させると、各分草体5により分草し、分草体5により分草された穀稈は引起装置6により引起され、刈刃9により切断され、切断された穀稈は株元側搬送装置と穂先側搬送装置により搬送され、搬送された穀稈は穀稈供給搬送装置15に引き継がれ、穀稈供給搬送装置15により脱穀装置3に供給して脱穀する。
この場合、一般的には、先ず、圃場の四隅を手刈りし、コンバインを進入させられる空き地を形成し、この空き地から圃場の穀稈をコンバインを走行させて刈取脱穀する。
圃場の刈取脱穀が終了すると、機体を停止させ、穀稈供給搬送装置15および脱穀装置3を駆動させ、穀稈供給搬送装置15に手作業で手刈り穀稈を供給して脱穀する。
この場合、エンジン16の回転速度を設定回転速度まで自動的に減速させる手扱ぎモードを実行する制御手段70と、この手扱ぎモードを有効状態と無効状態とに切り換えるモード切換手段71を備え、制御手段70は、手扱ぎ作業を可能とする条件のうちの少なくとも一つの条件が成立した場合に、モード切換手段71の手扱ぎモードを自動的に有効状態に切り換える構成とし、所定位置に設けた緊急停止スイッチ72がONした場合に、前記チェンクラッチ30を遮断すると共にエンジン16を自動的に停止させるので、手扱ぎモード時には、フィードチェン13の搬送速度が遅くなることで、緊急停止スイッチ72が作動したとき、フィードチェン13の駆動停止機能と相俟って、安全にフィードチェン13を停止させられる。
即ち、手刈り穀稈投入作業時に、作業具等が挾扼杆16と供給搬送チェン駆動スプロケット32とに挟まれる事故が発生することがあるが、緊急停止スイッチ72が操作されると、フィードチェン13に至る伝動経路中のチェンクラッチ30がフィードチェン13への駆動を遮断させて停止し、フィードチェン13の移動を停止させるので、巻き込まれた作業具や脱穀装置3が破損するのを防止させられる。
また、手扱ぎモードスイッチ73をオンにして手扱ぎモードとすると、自動的にフィードチェン13を低速駆動に切り替え、エンジン16の回転数を設定回転速度に低下させるので、フィードチェン13の駆動速度が自動的に低速になっているため、通常速度でフィードチェン13を駆動しているときよりも、フィードチェン13をより素早く停止させられる。
この、フィードチェン13を自動的に低速駆動に切り替えたときのエンジン16の設定回転速度は、エンジン16の定格回転速度よりも低速で、アイドリング回転速度よりも高速に設定しているので、手扱ぎモードが有効状態となると、エンジン回転速度が、定格回転速度よりも低速でアイドリング回転速度よりも高速に設定された回転速度まで自動的に減速する。
したがって、フィードチェン13を素早く停止させることができるものでありながら、手扱ぎ穀稈に十分な脱粒作用を与えることができる。
操縦部6には、駐車ブレーキを作動させる駐車ブレーキペダルを備え、前記駐車ブレーキの作動または駐車ブレーキペダルの踏み込み操作が検出された場合に、前記手扱ぎモードを有効状態へ自動的に切り換える構成としているので、機体を停止させるべく駐車ブレーキが作動した場合または駐車ブレーキペダルが踏み込み操作されると、エンジン回転速度を減速し、これによりフィードチェン13の駆動速度が自動的に低速になって、手扱ぎ作業を開始状態となり、手扱ぎ作業を開始する。
手扱ぎモードが有効状態に切り換えられ、駐車ブレーキの解除または駐車ブレーキペダルの踏み込み操作の解除が検出されたときには、手扱ぎモードを有効状態から無効状態へ自動的に切り換える構成としているので、手扱ぎ作業の終了時に駐車ブレーキの解除、または駐車ブレーキペダルの踏み込み操作を解除すると、フィードチェン13の駆動速度を高速化させる。
しかして、フィードチェン13の始端部には、フィードチェン13への手扱ぎ穀稈の供給を規制する規制部材77を備え、規制部材77は棒状部材により形成し、フィードチェン13の上方に位置して穀稈を上下から挟持案内する挟持体として作用すると共に、フィードチェン13上に手刈り穀稈を載置供給できなくさせる規制体として兼用構成としているので、通常の刈取作業のときは規制部材77をフィードチェン13の上方に位置させて規制位置とし、手刈り作業のときはフィードチェン13の上方から退避させて手刈り位置とする。
そして、規制部材77による手扱ぎ穀稈の供給規制を解除した場合に、手扱ぎモードを有効状態に自動的に切り換える構成としているので、フィードチェン13へ手扱ぎ穀稈を供給するために規制部材77による供給規制を解除すると、自動的にフィードチェン13の駆動速度を低速化させ、この状態で手扱ぎ穀稈をフィードチェン13へ供給する。
したがって、規制部材77による供給規制を解除すると、手扱ぎモードとして自動的にフィードチェン13の駆動速度を低速化させ、操作性を向上させられる。
また、緊急停止スイッチ72のONによりチェンクラッチ30が遮断された状態において、脱穀クラッチ23を遮断操作した後に再び接続操作すると、チェンクラッチ30が自動的に接続される構成としているので、緊急停止スイッチ72の操作によってエンジン16およびフィードチェン13を停止させ、その後、脱穀クラッチ23を遮断操作してフィードチェン13に詰まった穀稈や異物を取り除く。
次に、脱穀クラッチ23を再び接続操作すると、フィードチェン13は自動的に駆動可能状態に復帰し、手扱ぎ作業の再開、或いは、刈取作業へ移行する。
また、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示、あるいは説明しているが、これらは夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。