JP5188258B2 - 飲酒運転防止装置 - Google Patents
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しかし、飲酒運転は後を絶たず、飲酒運転に起因する重大な事故の発生も後を絶たないのが現状である。
しかし、係る従来技術は、アルコールガスの熱伝導度、電気伝導度を基礎としてアルコールの有無を検知するので、各種手段により呼気を濃縮しなければ、アルコールの検知自体が困難であるという問題を有している。
そして、計測対象者の体液や呼気等を濃縮する手段のスペースが不要となり、本発明の飲酒運転防止装置は、自動車(1)内へ容易に設置することが出来る。
さらに、飲酒をした人間が前記操作手段(5)を作動させて自動車を運転している旨を無線で外部(例えば、警察署8)に発信する様に構成すれば(請求項5)、飲酒運転がされた旨を受信した外部(例えば、警察署8)は、警察官を派遣する等、飲酒運転に対して抑止力のある措置を施すことが出来るので、飲酒運転に起因する悲惨な事故の発生を未然に防止することが可能となる。
図示の実施形態では、飲酒した旨を示す指示物質として、アセトアルデヒドを検出している。そして、アセトアルデヒドと、いわゆる「1:1の関係」で反応するセンサ、例えば薄膜センサを用いている。
もちろん、アセトアルデヒドは指示物質として例示されたものであり、本発明はアセトアルデヒドの検出に限定されるものではない。
係るセンサにおいて、アセトアルデヒド分子を包含する体液が当該薄膜に接触すると、アセトアルデヒド分子のみが薄膜を透過する。薄膜を透過したアセトアルデヒド分子は圧電素子と衝突して、電圧を発生する。
ここで、発生電圧は薄膜を透過したアセトアルデヒド分子の数、すなわちモル濃度に比例するので、当該気体中にアセトアルデヒド分子が存在するか否かのみならず、その濃度も鑑定出来る。
この様なセンサに、例えば、水晶振動子の電極に物質が付着すると、その質量に応じて周波数が減少する性質を利用した計測装置(クオーツクリスタルマイクロバランス:QCM)を組み合わせることにより、微量の体液や呼気等の質量と、運転者の体液や運転者から発散される各種気体中に包含されるアセトアルデヒドの質量を検出し、以って、血液中のアルコール濃度を求めることが可能となる。
図1において、第1実施形態に係る飲酒運転防止装置100は、図示しない車両に設けられている。
飲酒運転防止装置100は、図示しない車両に搭載されているエンジン2と、ドライバーの体臭中に含まれる飲酒した旨を示すアセトアルデヒド及びその濃度を検出するセンサ3と、コントロールユニット4と、解除スイッチ5とを有している。
センサ3は、シートクッション91、シートバック92、ヘッドレスト93の何れか1箇所或いは2個所以上(全箇所を含む)に配置することが出来る。
図示の第1実施形態では、車両はマニュアルモード機能付の自動変速機搭載車両であって、シフトパドル付車両であり、センサ3は、そのシフトパドル13に設けられている。そしてセンサ3は、スイッチ14で総称するエアコン用操作スイッチ、カーオーディオ用操作スイッチ、ナビゲーションシステム用操作スイッチの表面に設けられている。
図4において、運転手席側ドアDの室内側のドアハンドル15にセンサ3が設けられており、また、運転手席側ドアDの室内側に取り付けられたパワーウィンドウ操作用スイッチ16にセンサ3が設けられている。
図5において、シートバック92のドライバーに接する側の表皮92Fには、ドライバーの背中に生じた汗やドライバーの体臭等が透過可能な小孔が、多数設けられている。この小孔が設けられた表皮92Fの内側には、センサ本体3Sを保護するため多孔質部材3Fが埋設してあり、この多孔質部材3Fの更に内側にはセンサ本体3Sが埋設されている。多孔質部材3Fは、例えば、センサ本体3Sに接触する側が適度な柔軟性を有し、比較的脆い材料で構成されたセンサ本体3Sを、その柔軟性によって十分に保護する様になっている。
なお、センサ3は、センサ本体3Sと多孔質部材3Fとで構成されている。
図5の例では、シートバック92の幅方向(図5では左右方向)の全幅に渡ってセンサ3が配置されている。しかし、シートバック92の幅方向について、部分的にセンサ3を配置しても良い。
図6はステアリングホイール11の断面を示している。ステアリングホイール11の表面には、全周にわたって、センサ本体3Sが巻き付けられるように取り付けられている。センサ本体3Sの全周には、多孔質部材3Fが巻き付けられている。
この場合においても、センサ本体3Sと多孔質部材3Fにより、センサ3が構成されている。
そのように多孔質部材を構成することにより、運転操作が正確に行われると共に、センサ本体3Sを十分に保護することが出来る。
また、ドアハンドル15(図4参照)に設けられるセンサ3も、図6で示すのと概略同様な構成を具備している。
図7は、例えば、オーディオ機器操作用のスイッチ14の表面に取り付けたセンサ3の構成を示している。
オーディオ機器操作用のスイッチ14の表面には、センサ本体3Sが貼り付けられ、その上面には多孔質部材3Fが被覆されている。多孔質部材3Fの構成は図5を参照して説明したのと同様であり、その表面には多くの小孔が形成され、手の指との接触が頻繁に行われても摩耗しないように、カバー部材(例えばフィルム)3Cで被覆されている。
なお、図4で示すパワーウィンドウ操作用スイッチとナビゲーションシステム用操作スイッチに設けられるセンサ3も、図7で説明したのと概略同様な構成を具備している。
判定回路42は、比較回路から送られた比較結果に基づいて、ドライバーが飲酒又は酒気帯びに該当するか否かを判定する。そして、飲酒又は酒気帯びに該当する場合には、エンジン2に停止する制御信号、例えば、エンジン2の図示しないインジェクションポンプからの燃料噴射を禁止する制御信号、を発信する。
ドライバーの着衣の量(厚み)や種類によって、ドライバーの汗(体液)が、衣類を透過し難く、センサ3に接触し難い場合がある。その様な場合であっても、シートクッション91、シートバック92、ヘッドレスト93の複数個所にセンサ3を設ければ、ドライバーの汗がセンサ3に接触する確率が増加する。同様に、ドライバーの呼気や体臭がセンサ3に接触する確率も増加する。
そして、着衣とは無関係にドライバーの汗をセンサ3に接触させて、汗に含まれるアセトアルデヒドの濃度を計測することにより、或いは、ドライバーの呼気や体臭に含まれるアセトアルデヒドの濃度を計測することにより、ドライバーが酩酊して危険な状態にあるか否かを検知することが出来る。
詳細については、図10を参照して後述する。
図8のステップS1において、コントロールユニット4は、図2〜図7で説明した各センサ3により、ドライバーの体液やドライバーが発する気体からアセトアルデヒドを検出したか否かを判断する。
ドライバーの体液やドライバーが発する気体からアセトアルデヒドを検出したならば(ステップS1がYES)、ステップS2に進む。
アセトアルデヒドを検出しない場合には(ステップS1がNO)、ステップS5でエンジンを作動可能にして、ステップS6へ進む。
アセトアルデヒド濃度が所定濃度未満であれば(ステップS2がNO)、ステップS5でエンジン作動可能にして、ステップS6まで進む。
エンジンが作動していれば(ステップS3がYES)、ステップS4に進む。ステップS4において、コントロールユニット4は、エンジンを停止させる。
一方、エンジンが作動していなければ(ステップS3がNO)、ステップS6に進む。
一方、図示の第1実施形態に係る制御を続行するのであれば(ステップS6がNO)、ステップS1まで戻り、再びステップS1以降を繰り返す。
図示しないガバナ等を制御して、エンジン2への燃料供給を遮断する、
図示しない点火系への電流供給を遮断する、
図示しないスタータモータへの電流供給を遮断する、
図示しないトランスミッションを制御して、いわゆる「ニュートラル(N)」位置や「パーキング位置(P)」以外にはギヤが入らない様にする、
図示しないサイドブレーキが解除されない様にする、
図示しないイグニッションキーが回動しないようにする、
等が可能である。
ステップS3において、エンジンが作動しているか否かの判定に代えて、車速がゼロであるか否かを判定しても良い。車速がゼロであれば車両は停止しているので、車両の危険な走行は行なわれず、それに起因した事故は発生しない。そのため、車速がゼロの場合も、ステップS4におけるエンジンを停止する制御を行なう必要はない。
危険防止の観点から、血中アルコール濃度が閾値を越えた可能性がある場合は、全て「エンジン停止」(ステップS4)の制御を行なうことが適切だからである。
係る不都合を解消するために、解除スイッチ5は設けられている。
図10で示されている様に、解除スイッチ5を作動させると、センサ3が所定濃度以上のアセトアルデヒドを検知しても、図8で示すステップS4における「エンジン停止」の制御は行なわれなくなる。
上述した様に、解除スイッチ5は、非常時に作動されるべきものである。運転席から操作し易い位置に解除スイッチ5を配置すれば、例示した様な非常時に該当しないにも拘らず、飲酒したドライバーが操作して、車両を運転してしまう可能性が存在する。係る事態を排除するため、解除スイッチ5は、ドライバーが操作し難い箇所に配置されていることが好ましいのである。
上述した様に、解除スイッチ5を操作してドライバーが飲酒していてもエンジンを停止しないという制御は、あくまでも非常事態に対処するため限定的に発動する制御であり、非常事態に該当しない通常時においては、係る制御(図10のステップS13)は解除して、図8の制御が優先されるべきだからである。
上述の一定条件(図8のステップS4の処理が再び有効となる条件)としては、「所定の時間が経過する」に加えて、例えば、「エンジンが停止した」、「車速がゼロの状態が所定回数以上発生した」等の条件が考えられる。
図11、図12の第2実施形態では、解除スイッチ5が作動している場合の作用と、それに関連する構成について、第1実施形態とは異なっている。但し、解除スイッチ5が作動していない場合については、第2実施形態は第1実施形態と同様に機能する。
図11、図12の第2実施形態では、ドライバーの体液やドライバーの発する気体から所定濃度以上のアセトアルデヒドを検知した場合において、解除スイッチ5が作動しており、且つ、自動車が走行している(車速≠0)場合には、当該車両において「飲酒運転が為されている」旨の表示が為されると共に、「飲酒運転が為されている」旨が、無線LAN等を介して、警察署等の所轄機関に対して通報される様に構成されている。
飲酒運転信号発生手段6は、発信用アンテナ61を有している。
図12において、ステップS21では、コントロールユニット4は、センサ3により、ドライバーの汗や体臭等からアセトアルデヒドが検出されたか否かを判断する。
アセトアルデヒドを検出したならば(ステップS21がYES)ステップS22に進む。アセトアルデヒドを検出しなければ(ステップS21がNO)、ステップS24に進み、エンジンを作動可能ならしめ、ステップS29まで進む。
ドライバーの体液やドライバーの発する気体におけるアセトアルデヒド濃度が所定濃度以上であれば(ステップS22がYES)ステップS23に進む。
所定濃度未満であれば(ステップS22がNO)、ステップS24に進み、エンジンを作動可能ならしめ、ステップS29まで進む。
解除スイッチ5がONであれば(ステップS23がYES)ステップS25に進み、解除スイッチ5がOFFであれば(ステップS23がNO)、ステップS27に進む。
車速が0でなければ(ステップS25がYES)、すなわち自動車1が走行していれば、ステップS26で表示手段6を作動させ、飲酒信号発生手段6から飲酒信号を発信した後、ステップS29に進む。
それと共に、ステップS26において、「飲酒運転が為されている」旨が、無線LAN等を介して、警察署等の所轄機関に対して通報されるので、警察車両は当該自動車を早期に停止せしめて、飲酒運転による事故を防止出来る。
例えば突発的な事故や疾病のため、飲酒した者が運転して被害者や急病人を搬送しなければならない場合には、無線LAN等を介して通報を受けた警察署等の所轄機関は、警察車両等に被害者や病人を移動して搬送し、或いは、警察車両で当該飲酒運転中の車両を先導して、事故の発生を抑制しつつ医療機関に搬送することが可能となる。
車速が0でなければ(ステップS27がYES)、すなわち自動車1が走行しているのであれば、ステップS28でエンジン2を停止する制御を行い、ステップS29に進む。
一方、車速が0であり(ステップS27がNO)、自動車1が走行していなければ、飲酒運転は行われておらず、危険性は少ないと判断して、ステップS28をバイパスし、エンジンを停止させずにステップS29に進む。
制御を続けるのであれば(ステップS29がNO)、ステップS21まで戻り、再びステップS21以降を繰り返す。
すなわち、酩酊状態のドライバーが解除スイッチ5を操作して、自動車1を走行させてしまった場合には、コントロールユニット4から飲酒運転信号発信手段6に、飲酒運転である旨が出力され、自動車1の後部に取り付けられた表示手段7には飲酒運転中である旨の表示がなされる。そのため、当該自動車1の近傍を走行している他の自動車のドライバーが、当該自動車1が飲酒運転中であることを認識することが出来る。
その結果、飲酒運転による悲惨な事故を積極的に防止し、飲酒者に対して飲酒運転を抑制することが出来る。
図11、図12の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1〜図10で説明した第1実施形態と同様である。
例えば、図示の実施形態はアセトアルデヒドを指示物質として例示しているが、指示物質としては、エチルアルコールや、その他の化合物等を選択する事が可能である。そして、指示物質として例えばエチルアルコールを選択する場合には、図示の実施形態におけるセンサとしては、エチルアルコールと1:1の関係で感応するセンサを用いる。
また、センサとして、水晶振動子表面に有機化合物を吸着した薄膜センサを用いることも可能である。
2・・・エンジン
3・・・センサ
4・・・制御手段/コントロールユニット
5・・・解除スイッチ
6・・・飲酒運転信号発信手段
7・・・表示手段
41・・・比較回路
42・・・判定回路
43・・・データベース
100・・・飲酒運転防止装置
Claims (1)
- 自動車の運転席(9)及び運転席周辺の操作系(11〜16)に配置されたセンサ(3)と、制御手段(4)とを有し、前記センサ(3)は運転席に座着した者の発する指示物質の濃度を検出する機能を有しており、該指示物質は血中にエチルアルコールが存在することを示す物質であり、前記制御手段(4)は、センサ(3)で検出された前記指示物質の濃度と閾値とを比較して、前記指示物質の濃度が閾値以上である場合には自動車を発進不能とする制御を行なう機能を有する飲酒運転防止装置において、前記運転席周辺のセンサ(3)の配置される操作系は、ステアリングホイール(11)と、カーオーディオ用、エアコン用、及びナビゲーションシステム用操作スイッチ(14)とであり、運転席(9)のシートバック(92)に取付けられているセンサ(3)は多孔質部材(3F)とセンサ本体(3S)とを備え、シートバック(92)のドライバーに接する側の表皮(92F)には汗や体臭が透過可能な小孔が多数設けられ、その小孔が設けられた表皮(92F)の内側には前記多孔質部材(3F)が埋設され、その多孔質部材(3F)の更に内側にはセンサ本体(3S)が埋設されており、ステアリングホイール(11)にはその表面全周にセンサ本体(3S)が巻き付けられ、そのセンサ本体(3S)の全周には多孔質部材(3F)が巻き付けられており、前記スイッチ(14)の表面にはセンサ本体(3S)が貼り付けられ、その上面には多孔質部材(3F)が被覆され、その表面には多くの小孔が形成されたカバー部材(3C)で被覆されていることを特徴とする飲酒運転防止装置。
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